説明

コンテナヤード及びヤードクレーン並びに位置検出装置

【課題】土地利用率の向上を図るとともにヤードクレーンの安定した自律走行を補償することを目的とする。
【解決手段】コンテナヤードにおいて、荷役作業エリアAの路面に荷役作業用ガイドライン50を敷設するとともに、該荷役作業用ガイドライン50と異なる磁気情報を有する特設用ガイドライン51を特設エリアBの路面に敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、港湾等に設けられ、箱型形状のコンテナが多数蔵置されるコンテナヤード、該コンテナヤードにおいてコンテナの荷役作業を行う自走式のヤードクレーン並びに該自走式のヤードクレーンに搭載される位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、港湾等に設けられたコンテナヤードでは、RTG(Rubber Tired Gantry
Crane)等のヤードクレーンによってコンテナの荷役作業が行われている。ヤードクレーンは、上部に昇降装置を有する門型に構成された架台を有している。架台の両下端部には車輪が設けられ、この車輪によって自律走行を行う。コンテナヤードの路面には、ヤードクレーンの自律走行を誘導するためのオートステア用磁気ガイドライン(以下「荷役作業用ガイドライン」という。)が敷設されており、ヤードクレーンに搭載されたオートステア用磁気センサによってガイドラインの磁気が読み取られ、自律走行が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−371689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、上述したようなコンテナヤードには、ヤードクレーンがコンテナの荷役作業を行う荷役作業エリアとは別に、給油場所、メンテナンスヤード、冷凍ヤード、植物検査ヤード、危険物ヤード等のようなコンテナの荷役作業以外の作業が行われる特設エリアが設けられている。これらの特設エリアには、上述の荷役作業エリアと同様に、ヤードクレーンの自律走行を誘導するためのオートステア用磁気ガイドライン(以下、「特設用ガイドライン」という。)が敷設されている。
【0004】
近年、ヤードの土地利用率を向上させるために、荷役作業エリアと特設用エリアとを極めて接近して設けることが検討されている。この場合、荷役作業エリアの路面に敷設される荷役作業用ガイドラインと、特設用エリアの路面に敷設される特設用ガイドラインとが非常に接近して設けられる可能性があり、両者間の距離は多く見積もっても10m程度となる。
【0005】
ヤードクレーンは、起動時、復旧時における初期位置を取得するためにGPS受信機を搭載しているが、コストの面から検出精度の高いGPS受信機を搭載することは難しいため、検出精度は誤差10m程度が限界とされる。
したがって、例えば、荷役作業エリアと特設用エリアとの境界付近でヤードクレーンの起動や復旧が行われた場合には、GPSによる位置検出精度が十分ではないために、いずれのガイドライン上にいるのかを判別することができず、安定した自律走行を補償できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、土地利用率の向上を図るとともにヤードクレーンの安定した自律走行を補償することの可能なコンテナヤード、該コンテナヤード内を自律走行するヤードクレーン、該ヤードクレーンに搭載される位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、コンテナの荷役作業が行われる荷役作業エリアにおいて、ヤードクレーンの自律走行を誘導するために路面に敷設される荷役作業用ガイドラインと、前記コンテナの荷役作業以外の作業が行われる特設エリアにおいて、前記ヤードクレーンの自律走行を誘導するために路面に敷設される特設用ガイドラインとを有し、前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとが異なる磁気情報を有するコンテナヤードを提供する。
【0008】
本発明によれば、荷役作業用ガイドラインと特設用ガイドラインとが異なる磁気情報を有しているので、これらの磁気情報をヤードクレーンが読み取ることにより、どちらのガイドライン上にいるのかを容易に且つ確実に判別することが可能となる。異なる磁気情報とは、例えば、極性、磁気強度、N極、S極の磁石の配列パターン等が異なっていることをいう。
【0009】
上記コンテナヤードにおいて、前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとは、磁気の特性が異なることとしてもよい。
【0010】
このような構成によれば、ガイドラインの磁気特性(例えば、磁極)の違いを検出することで、いずれのガイドライン上にいるのかを容易に判別することができる。
【0011】
上記コンテナヤードにおいて、前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとが異なる磁気パターンを有することとしてもよい。
【0012】
このような構成によれば、磁気パターン(例えば、ガイドライン上におけるN極、S極の磁石の配列パターン、或いは、磁気強度の分布パターン)の違いを読み取ることにより、いずれのガイドライン上にいるのかを容易に判別することができる。
【0013】
上記コンテナヤードにおいて、前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとが連結されていることとしてもよい。
【0014】
荷役作業用ガイドラインと特設用ガイドラインとが連結されている場合でも、各ガイドラインが有している磁気情報を読み取ることにより、いずれのガイドライン上にいるのかを容易に判別することが可能となる。
【0015】
上記コンテナヤードにおいて、前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとは、前記ヤードクレーンの幅方向に所定の間隔ずれて敷設されており、前記所定の間隔が10m以内に設定されていることとしてもよい。
【0016】
本発明によれば、荷役作業用ガイドラインと特設用ガイドラインとの間隔が10m以内であることにより、GPSの誤差範囲内に収まってしまう場合であっても、これらガイドラインの磁気情報を読み取ることで、いずれのガイドライン上にいるのかを容易にかつ確実に判別することが可能となる。また、荷役作業用ガイドラインと特設用ガイドラインとが10m以内の間隔をあけて配置されることで、無駄なスペースを極力低減し、コンテナヤードの土地全体を有効活用することが可能となる。
【0017】
本発明は、上述のコンテナヤード内を自律走行するヤードクレーンに搭載される位置検出装置であって、路面に敷設されたガイドラインの極性の読み取りが可能な磁気センサを有し、前記磁気センサによって取得されるガイドラインの極性情報に基づいて、前記荷役作業用ガイドライン及び前記特設用ガイドラインのいずれのガイドライン上にいるのかを判別する位置検出装置を提供する。
【0018】
このような構成を備えることにより、ヤードクレーンがいずれのガイドライン上にいるのかを容易にかつ確実に判別することが可能となる。
位置検出装置は、後述する実施形態においては、例えば、ガイドラインを構成する磁石の極性を検出するオートステアリングセンサと、オートステアリングセンサからの情報に基づいてガイドラインを判別する制御装置とを備えている。
【0019】
上記位置検出装置において、前記磁気センサは、前記ガイドラインの磁気の強度情報を取得することとしてもよい。
【0020】
本発明は、上記位置検出装置を備えるヤードクレーンを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、土地利用率の向上を図るとともにヤードクレーンの安定した自律走行を補償することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係るコンテナヤード及びヤードクレーン並びに位置検出装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るコンテナヤードの概略構成を示したブロック図である。
図1に示すように、ヤードクレーン1が走行するコンテナヤードは、ヤードクレーン1によってコンテナの荷役作業が行われる荷役作業エリアAと、コンテナの荷役作業以外の作業が行われる特設エリアBとを有している。特設エリアBの一例としては、給油場所、メンテナンスヤード、冷凍ヤード、植物検査ヤード、危険物ヤード等が挙げられる。
【0023】
荷役作業エリアAには、図2に示されるように、岸壁3に平行な方向及び直交する方向に所定の間隔をあけて、コンテナ(貨物)4を段積みする蔵置スペース5が規則正しく配置されている。これら蔵置スペース5のうち、岸壁3に平行な方向に並ぶグループはそれぞれレーン(LANE)と呼ばれ、例えば、岸壁3に近いほうから順にレーン(1),(2),(3),(4)と番号が付されている。同様に、岸壁3に直行する方向に並ぶグループはそれぞれブロック(BLOCK)と呼ばれ、例えば、岸壁3に沿って並ぶ順にブロック(1),(2),(3)と番号が付されている。各蔵置スペース5は、レーンとブロックの番号の組合せによってそれぞれ特定される。
【0024】
また、荷役作業エリアAには、コンテナ4をコンテナヤード内の他の場所またはコンテナヤード外に搬送するシャーシ2の走行レーン9が岸壁3に平行に併設けられている。ヤードクレーン1は門型をなし、蔵置エリア5とそれに併設されたシャーシ走行レーン9とを跨ぐように配置される。荷役作業エリアAの路面には、ヤードクレーン1が荷役作業エリアA内を移動し、円滑な荷役作業を行うことができるように、走行経路に沿ってヤードクレーン1を誘導するための荷役作業用ガイドライン50が敷設されている。
ヤードクレーン1は、図示しない管理塔からコンテナの荷役作業を行う場所情報を受信すると、荷役作業エリアAに敷設された荷役作業用ガイドライン50に沿って自律走行することで所望の場所まで移動し、蔵置エリア5に積み上げられたコンテナ4をシャーシ2に積載したり、また、シャーシ2に積載されているコンテナ4を所定の蔵置エリア5の所定の位置に積み降ろしたりする荷役作業を行う。
【0025】
各蔵置スペース5には、図3に示されるように、複数のコンテナがその長手方向を岸壁3に平行な方向に沿う形で規則正しく積み上げられる。各蔵置スペース5に段積みされる複数のコンテナ4において、岸壁3に直交する方向に並ぶグループはベイ(BAY)、岸壁3に平行な方向に並ぶグループはロウ(ROW)、積み上げられた複数のコンテナ4の段数はティア(TIER)と呼ばれ、それぞれ番号が付されている。そして、各蔵置スペース5におけるコンテナ1の配置位置は、ベイ、ロウ、ティアの番号の組合せによって特定される。
【0026】
また、図1に示した特設エリアBにも、上述した荷役作業エリアAと同様に、ヤードクレーン1を誘導するための特設用ガイドラインが敷設されている。図4に示すように、荷役作業エリアAと特設エリアBとの間のエリアCには、荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51の両方が間隔をあけて併設される。このとき両ガイドラインの間隔は約10m以下に設定される。このように両ガイドラインがずれて、なおかつ、近接して敷設されるのは、コンテナヤードの土地を有効活用することを最重視してコンテナヤード内の配置設計がなされる結果、ヤードクレーン1の走行を誘導するガイドラインについては、重要度が低くなってしまうからである。もちろん荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51とは、図4に示されるように分離されている必要はなく、図5に示すように連結されていてもよい。
【0027】
上記荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51とは異なる磁気情報、例えば、異なる磁気特性を有している。具体的には、荷役作業用ガイドライン50は、短いユニット状の磁石が、N極を上方に向けて所定の間隔で並べられて構成されている。これに対し、特設用ガイドライン51は短いユニット状の磁石がS極を上方に向けて所定の間隔で並べられて構成されている。このように、荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドラインが互いに異なる磁気情報を有しているので、ヤードクレーン1は、これらの磁気情報を読み取ることにより、いずれのガイドライン上にいるのかを確実に把握することが可能となる。
【0028】
上記ヤードクレーン1は、図6に示すように、水平方向に配設されたガータ41の両端部に柱状の脚構造体42a、42bを連結してなる門型構造体10を有している。
門型構造体10を構成する脚構造体42a,42bの下端部には、門型構造体10の走行方向に沿って複数の車輪43が設けられている。各脚構造体42a、42bの下端には、走行モータ(図示略)が設けられており、これら走行モータによって、車輪43が駆動されることにより、ヤードクレーン1が自律走行可能とされている。
なお、本実施形態において、トロリ44の横行方向を前後方向、該横行方向に直交する方向を左右方向と定義している。
【0029】
ガータ41には、ガータ41の長手方向へ沿って移動可能に支持されたトロリ44が設けられており、このトロリ44には、コンテナ等の搬送品を吊り上げる吊具45がワイヤ46によって吊り下げられている。
トロリ44には、ワイヤ46の巻取り、送り出しを行う昇降装置47が設けられている。この昇降装置47は、巻きモータによってワイヤ46が巻回されたドラムを回転させることにより、ワイヤ46のドラムへの巻取り及び送り出しを行い、吊具45を昇降させるようになっている。さらに、トロリ44には、横行モータ(図示略)によってトロリ44をガータ41の長手方向に沿って移動させるトロリ装置(図示略)が設けられている。
【0030】
また、脚構造体42bには、その下端側にディーゼルエンジン式の発電機11が設けられており、隣接して設けられた燃料タンク(図示略)からの燃料によって駆動するようになっている。また、対向側の脚構造体42aには、電気室20が設けられている。電気室20には、配電盤や制御装置が内蔵されている。配電盤は、発電機11から供給される電力を上述した各モータ(走行モータ、巻きモータ、横行モータ等)に対して供給するためのものである。制御装置は、クレーンの各部の制御(例えば、クレーンの走行制御、トロリの横行制御、昇降装置47による昇降制御等)を行うものである。
【0031】
車輪43には、各車輪の速度検出を行うための速度検出器(図示略)が設けられている。この速度検出器は、各車輪の速度を検出し、この検出結果を後述する制御装置に出力する。速度検出器としては、例えば、パルスジェネレータや、ロータリーエンコーダ等が挙げられる。速度検出器は、各車輪の回転軸に設けられていても良いし、各車輪を回転駆動させる走行モータの回転軸に設けられていても良い。
【0032】
また、脚構造体42a,42bの下端部には、上記荷役作業用ガイドライン50、特設用ガイドライン51の磁気情報を検出するためのオートステアリングセンサ32,33が設けられている。オートステアリングセンサ32,33は、例えば、磁気センサである。
オートステアリングセンサ32は、脚構造体42aの下端部に2つ並んで設けられており、ヤードクレーン1が左右方向に走行する場合の前後方向の位置ずれ検出及びガイドライン判別に用いられる。オートステアリングセンサ32は、例えば、図7に示すように、ヤードクレーン1の前後方向に複数の素子34が並べられて構成されている。路面に敷設された荷役作業用ガイドライン50、または特設用ガイドライン51に近接した素子34は、これらガイドラインを構成する磁石の磁界41を感知して磁石の存在を検出するとともに、その磁界の向き等から磁石の極性を検出し、検出結果を制御装置に出力する。
【0033】
制御装置は、磁石の極性に基づいていずれのガイドライン上にいるのかを判別するとともに、素子34の配列方向のうち、磁石を検出した複数の素子群の中間となる位置に磁石の極性に基づいて判別したガイドラインが位置していると判断する。制御装置は、このガイドラインの位置情報に基づいて、ガイドラインに対するヤードクレーン1の前後方向における位置ずれ量を得ることができるから、ヤードクレーン1の前後方向を制御してオートステアリングセンサ32の中間位置にガイドラインが対向位置するようにする。このように制御を行うことで、ヤードクレーン1はガイドラインに沿って走行することが可能となる。
【0034】
オートステアリングセンサ33は、例えば、脚構造体42a、42bの下端部にそれぞれ1つずつ設けられており、ヤードクレーン1が前後方向に走行する場合の左右方向の位置ずれ検出及びガイドライン判別に用いられるセンサである。オートステアリングセンサ33は、例えば、ヤードクレーン1の左右方向に複数の素子34が並べられて構成されている。素子34については、上述したオートステアリング32と同様である。
制御装置は、オートステアリングセンサ33から入力される磁石の極性に基づいていずれのガイドライン上にいるのかを判別するとともに、素子34の配列方向のうち、磁石を検出した複数の素子群の中間となる位置に磁石の極性に基づいて判別したガイドラインが位置していると判断し、上述した左右方向に走行する場合と同様に、左右方向における位置ずれ補正等を行う。
更に、ヤードクレーン1は、GPS受信機(図示略)を備えている。GPS受信機は、GPS衛星から位置情報を取得し、取得した位置情報を制御装置へ出力する。
【0035】
次に、上述したヤードクレーン1の自律走行について説明する。ヤードクレーン1の走行開始時(例えば、ヤードクレーンの起動時であり、イグニッションがオンであることが検知された場合など)において、ガイドラインの磁気情報、本実施形態では、磁石の極性がオートステアリングセンサ32、33によって取得されるとともに、GPS受信機により現在の位置情報が取得され、これら磁石の極性情報並びに現在の位置情報が制御装置へ入力される。制御装置は、オートステアリングセンサ32、33によって検出された磁石の極性に基づいて荷役作業用ガイドライン50及び特設用ガイドライン51のうち、いずれのガイドライン上にいるのかを判別するとともに、GPS受信機から受信した位置情報を初期位置として設定する。
【0036】
制御装置は、自己が存在するガイドラインの情報および現在位置情報を設定すると、これら情報を管理棟に送信するとともに、自己の自律走行を開始する。自律走行中においては、速度検出器の検出信号、並びに、オートステアリングセンサ32、33により検出されるガイドラインの磁石の極性が制御装置に逐次入力される。制御装置は、磁極に基づいて常にヤードクレーン1が乗っているガイドラインを判別するとともに、速度検出器からの検出信号に基づいて位置情報を更新することにより、当該ヤードクレーン1の走行位置を管理する。
このように、制御装置には随時オートステアリングセンサ32、33によって検出される磁極情報が入力されるので、速度検出器からの検出信号に基づいて更新される自己の位置情報に誤差が含まることとなっても、自己が誘導されているガイドラインを判別することが可能となる。
【0037】
以上説明してきたように、本実施形態に係るコンテナヤード及びヤードクレーン並びに地位検出装置によれば、荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51とが極性の異なる磁石で構成されているので、ヤードクレーン1が備えるGPSの位置検出精度が十分でない場合でも、ガイドラインから発せられる磁界の極性を判断することで、ヤードクレーン1はガイドラインの判別を確実にかつ容易に行うことが可能となる。
【0038】
これにより、例えば、特設エリアBの出入口に安全柵等が設けられている場合に、ヤードクレーン1が特設用ガイドライン51上にいるにもかかわらず、荷役作業用ガイドライン50上にいると誤判断をし、自律走行を続けることで安全柵等に誤って衝突するといった事態を防止することが可能となる。
【0039】
また、荷役作業エリアAと特設エリアBとの境界に、境界を知らせるためのセンサを設置するとともにヤードクレーン1に該センサを検知するための手段、例えば、レーザレーダを設置し、ヤードクレーン1に搭載されたレーザレーダによって該センサを検知することで、荷役作業エリアAと特設エリアBとの境界を認識することも考えられる。
本実施形態に係るコンテナヤード及びヤードクレーンによれば、ガイドラインを構成する磁石の極性に基づいてガイドラインを判別するので、上述したようなセンサ及びレーザレーダを不要とすることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、荷役作業用ガイドライン50をN極が上方に向けられた磁石で構成し、特設用ガイドライン51をS極が上方に向けられた磁石で構成したが、これに代えて、荷役作業用ガイドライン50をS極が上方に向けられた磁石で構成し、特設用ガイドライン51をN極が上方に向けられた磁石で構成することとしてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0042】
〔変形例1〕
例えば、図8に示すように、荷役作業用ガイドライン50及び特設用ガイドライン51を構成する磁石のうち、所定の間隔Lで逆の磁極をもつ磁石を配置する。例えば、荷役作業用ガイドライン50がN極の磁石で構成されていた場合には、所定の間隔LでS極が上方に向けられた磁石60を配置する。また、この場合には、特設用ガイドライン51はS極の磁石で構成されることとなるので、所定の間隔LでN極が上方に向けられた磁石を配置する。この場合において、所定の間隔Lは、荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51とで異なっていてもよい。
【0043】
このように、所定の間隔Lで磁極の異なる磁石を配置することで、ヤードクレーン1は、磁極の異なる磁石が検出される度に、その情報に基づいて上述した速度検出器からの検出情報に基づいて設定される位置情報を校正することが可能となる。
また、上記磁石の配置に限られることなく、N極が上方に向けられた磁石とS極が上方に向けられた磁石との配置パターンを荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51とで異ならせることで、ヤードクレーン1が、該磁極の配置パターンを読み取ることによっていずれのガイドライン上にいるのかを判別することとしてもよい。
【0044】
〔変形例2〕
上記実施形態では、荷役作業用ガイドライン50と特設用ガイドライン51とで磁極を異ならせていたが、これに代えて、荷役作業用ガイドライン50から発せられる磁界の強度と、特設用ガイドライン51から発せられる磁界の強度とを異ならせることとしてもよい。これにより、ヤードクレーン1においては、オートステアリングセンサ32,33によって検出される磁石の磁界の強度の変化を検知することで、荷役作業用ガイドライン50上にいるのか、特設用ガイドライン51上にいるのかを判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテナヤードの全体概略構成を示した図である。
【図2】図1に示したコンテナの荷役作業エリアの構成を示した図である。
【図3】図2に示した蔵置エリアにおけるコンテナ段積みの様子を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る荷役作業用ガイドラインと特設用ガイドラインとの配置の一例を示した図である。
【図5】荷役作業用ガイドラインと特設用ガイドラインとが連結されている様子を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るヤードクレーンの全体概略構成を示した図である。
【図7】オートステアリングセンサの一構成例を示した図である。
【図8】荷役作業用ガイドラインの他の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ヤードクレーン
2 シャーシ
4 コンテナ
5 蔵置エリア
50 荷役作業用ガイドライン
51 特設用ガイドライン
32,33 オートステアリングセンサ
A 荷役作業エリア
B 特設エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの荷役作業が行われる荷役作業エリアにおいて、ヤードクレーンの自律走行を誘導するために路面に敷設される荷役作業用ガイドラインと、
前記コンテナの荷役作業以外の作業が行われる特設エリアにおいて、前記ヤードクレーンの自律走行を誘導するために路面に敷設される特設用ガイドラインと
を有し、
前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとが異なる磁気情報を有するコンテナヤード。
【請求項2】
前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとは、磁気の特性が異なる請求項1に記載のコンテナヤード。
【請求項3】
前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとは、異なる磁気パターンを有する請求項1に記載のコンテナヤード。
【請求項4】
前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとが連結されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンテナヤード。
【請求項5】
前記荷役作業用ガイドラインと前記特設用ガイドラインとは、前記ヤードクレーンの幅方向に所定の間隔ずれて敷設されており、前記所定の間隔が10m以内に設定されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンテナヤード。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のコンテナヤード内を自律走行するヤードクレーンに搭載される位置検出装置であって、
路面に敷設されたガイドラインの極性の読み取りが可能な磁気センサを有し、前記磁気センサによって取得されるガイドラインの極性情報に基づいて、前記荷役作業用ガイドライン及び前記特設用ガイドラインのいずれのガイドライン上にいるのかを判別する位置検出装置。
【請求項7】
前記磁気センサは、前記ガイドラインの磁気の強度情報を取得する請求項6に記載の位置検出装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の位置検出装置を備えるヤードクレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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