説明

コンテナ

【課題】石炭等の粒塊物をばら荷として積み込んだ積載物を輸送するコンテナにおいて、コンテナの後端から放出する積載物を輸送先の貯蔵場の手前でこぼれ落ちないように放出する。
【解決手段】石炭等の粒塊物がばら荷として積み込まれた積載物を輸送するコンテナ10の後端下部には、積載物を放出させるときにはコンテナ10の底壁後端から後方に延出し、積載物を放出させないときにはコンテナ10の後壁12に沿って収納される案内板20を水平軸線回りに回動可能に設け、リフトLによってコンテナ10の前方部分を持ち上げたときにコンテナ10内から滑り落ちる積載物を案内板20により輸送先の貯蔵場Sに案内して放出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式リフトによってその前方部分をリフト可能なトレーラーに搭載して石炭等の粒塊物がばら荷として積み込まれた積載物を輸送するコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭等の粒塊物がばら荷として積み込まれた積載物の陸上輸送は、主としてダンプトラックやコンテナが用いられている。特許文献1に記載のダンプトラックは、シャシー上に荷台が設けられており、この荷台は油圧シリンダにより前方部分を持ち上げることで後方に傾斜可能となっている。ダンプトラックの荷台に積み込まれた石炭等のばら荷の積載物は所定の輸送先に輸送され、荷台の前方部分を持ち上げて後方に傾斜させることで輸送先の貯蔵場に放出される。
【0003】
コンテナは牽引自動車に接続されるトレーラーに搭載可能となっており、牽引自動車に備えられたリフトによりコンテナの前方部分を持ち上げることで後方に傾斜可能となっている。コンテナに積み込まれた石炭等の積載物は牽引自動車により所定の輸送先に輸送され、コンテナの前方部分を持ち上げて後方に傾斜させることで輸送先の貯蔵場に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−283855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、石炭等のばら荷の積載物を陸上輸送するのにコンテナを用いた輸送が増加している。コンテナによる陸上輸送は、コンテナをトレーラーから取り外せば石炭等のばら荷の積載物を積み込んだまま保管することができ、また、コンテナに積載した石炭等のばら荷の積載物を輸送しないときには牽引自動車を他のコンテナの輸送に利用できる等の利点がある。
【0006】
ところで、ダンプトラックは、一般的に荷台の後端より前側に最後列の車輪が設けられているのに対し、コンテナを搭載するトレーラーは、図1に示すように、その後端位置に最後列の車輪が設けられているものが多い。また、輸送先の貯蔵場は、ダンプトラックや牽引自動車が走行する路面より低い場所に設けられていることがある。このような路面より低い貯蔵場にダンプトラックにより輸送した石炭等のばら荷の積載物を放出するときには、ダンプトラックを貯蔵場の直前位置まで後退移動させると、荷台の後端は最後列の車輪より後側にあるので貯蔵場の上側となる位置となっている。これにより、荷台を後方に傾斜させて石炭等のばら荷の積載物を放出すると、石炭等のばら荷の積載物は貯蔵場の直前位置の路面にこぼれることなく貯蔵場に放出される。
【0007】
これに対し、上述したような後端位置に最後列の車輪が設けられたトレーラーにコンテナを搭載して、上記のように輸送先の路面より低い貯蔵場に石炭等のばら荷の積載物を放出するときには、牽引自動車によりトレーラーを貯蔵場の直前位置まで後退移動させても、コンテナの後端位置はトレーラーの最後列の車輪の上側にあるので貯蔵場の上側位置にならなく、コンテナから放出される石炭等のばら荷の積載物の一部は貯蔵場の手前の路面に落下して残る問題があった。本発明は、このような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、リフトによってその前方部分を持ち上げ可能なトレーラーに搭載される石炭等の粒塊物がばら荷として積み込まれた積載物を輸送するコンテナであって、コンテナの後壁は下端が後方に回動可能となるように支持されていて、リフトによってコンテナの前方部分を持ち上げたときに滑り落ちる積載物の荷重により後壁が後方に回動して積載物を後方に放出するようにしたコンテナにおいて、コンテナの後端下部にはその底壁後端から後方に延出してコンテナ内の積載物を輸送先の貯蔵場に案内して放出させる案内板を設けたことを特徴とするコンテナを提供するものである。
【0009】
上記のように構成したコンテナにおいては、コンテナの後端下部にはその底壁後端から後方に延出してコンテナ内の積載物を輸送先の貯蔵場に案内して放出させる案内板を設けたので、コンテナの後端を輸送先の貯蔵場に近づけにくいときでも、コンテナ内の積載物はその底壁後端から後方に延出する案内板により輸送先の貯蔵場に案内されて放出されることになり、コンテナ内の積載物がコンテナの後端と貯蔵場との間にこぼれ落ちて残ることがない。
【0010】
上記のように構成したコンテナにおいては、案内板はコンテナの後端下部に回動可能に支持されていて、積載物を放出させるときにはコンテナの底壁後端から後方に延出させ、積載物を放出させないときにはコンテナの後壁に沿って収納させるようにするのが好ましく、このようにすれば、コンテナを輸送するときには案内板が後壁に沿って収納されているので走行の支障となることがなく、また、コンテナから積載物を放出するときには案内板をコンテナの底壁後端から後方に延出する位置まで回動させるだけであるので取付作業が簡単である。
【0011】
上記のように構成したコンテナは、案内板の両側部には積載物がコンテナの側方へ落下するのを防ぐための落下防止板を設けるのが好ましく、このようにしたときには、コンテナ内の積載物を案内板により貯蔵場に案内して放出するときに、コンテナから放出される積載物が案内板の両側からこぼれ落ちることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るコンテナを牽引自動車により牽引されるトレーラーに搭載して、リフトにより前方を持ち上げたときの側面図である。
【図2】トレーラーに搭載したコンテナの後面図である。
【図3】案内板を案内位置にしたときのコンテナを後方から見た斜視図である。
【図4】コンテナを貯蔵場の直前位置まで後退移動させた側面図である。
【図5】図5のコンテナの前方を持ち上げて石炭を放出させているときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るコンテナの一実施形態を図1〜図5を用いて説明する。本発明に係るコンテナ10は、リフトLによってその前方部分を持ち上げ可能なトレーラーTに搭載される石炭等の粒塊物をばら荷として積み込んだ積載物を輸送するコンテナであって、コンテナ10の下部後壁12bは下端が後方に回動可能となるように支持されていて、リフトLによってコンテナ10の前方部分を持ち上げたときに滑り落ちる石炭等の積載物の荷重により下部後壁12bが後方に回動して石炭等の積載物を後方に放出するようにしたコンテナである。このコンテナ10は、その後端下部に底壁後端から後方に延出してコンテナ10内の石炭等の積載物を輸送先の貯蔵場Sに案内して放出させる案内板20を備えている。以下に、本発明に係るコンテナ10について詳述する。
【0014】
図1〜図2に示すように、コンテナ10は、石炭等の粒塊物をばら荷として積み込んだ積載物を輸送するためのものであり、陸上においては主としてトレーラーTまたは鉄道の貨車等に搭載されて積載物を輸送先に輸送する。コンテナ10は、直方体形状をして上部に石炭等の積載物を投入するための左右両開き式の上部扉11が設けられている。コンテナ10の後壁12は、フレームに固定された上部後壁12aと、この上部後壁12aの下端に上端が水平軸線回りに回動可能に支持された下部後壁12bとからなる。トレーラーTの荷台に搭載されたコンテナ10の前方を牽引自動車MのリフトLによって持ち上げると、コンテナ10の下部後壁12bはコンテナ10内から滑り落ちる石炭等の積載物の荷重によりその下端が上方に持ち上げられて後方に回動する。なお、下部後壁12bには、コンテナ10を輸送するときに開放しないようにするための図示しないロック部材が設けられている。なお、トレーラーTは牽引自動車MのリフトLによって前方を持ち上げるようにしているが、トレーラーTの前部にリフトLを搭載するようにして前方を持ち上げるようにしてもよい。
【0015】
図1〜図3に示すように、案内板20は、コンテナ10内の石炭等の積載物を輸送先の貯蔵場Sに案内して放出させるものである。図3に示すように、案内板20は、コンテナ10の後端下部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。案内板20の両側部にはコンテナ10内から放出される積載物が側方に落下するのを防止するための落下防止板21、21が固定されている。案内板20は、コンテナ10内の積載物を放出させるときにはコンテナ10の底壁後端から後方に延出する案内位置にされ、コンテナ10を輸送するときのようにコンテナ10内の積載物を放出させないときには後端を上方に回動させてコンテナ10の後壁12に沿う位置にある収納位置にされる。案内板20は、コンテナ10の右側の外側後部に設けられたウインチ22に巻回されたワイヤ23に滑車24を通して接続されており、案内板20はウインチ22のハンドル22aを操作することでワイヤ23を巻き取りまたは繰り出して案内位置と収納位置との間で回動する。
【0016】
以下に、上記のように構成したコンテナ10による石炭の輸送を、コンテナ10を最後列の車輪が荷台の後端位置に設けられたトレーラーTに搭載し、牽引自動車Mの走行する路面より低い場所に設けられた貯蔵場Sへ輸送する例を用いて説明する。先ず、トレーラーTの荷台にコンテナ10を搭載、搭載したコンテナ10の上部扉11を解放して石炭を積み込み、牽引自動車Mによりコンテナ10を搭載したトレーラーTを輸送先に輸送する。図4に示すように、輸送先では、牽引自動車MによりトレーラーTを貯蔵場Sの直前位置となる車輪止めより少し前側位置まで後退移動させる。このとき、コンテナ10の後端は貯蔵場Sより少し離れた位置となっている。
【0017】
次に、コンテナ10に外側後部に設けられたウインチ22のハンドル22aを操作することで、案内板20を収納位置(図4に示す二点鎖線により示す)から案内位置(図4に示す実線により示す)まで回動させると、案内板20の後端は貯蔵場Sの上側位置となる。コンテナ10の下部後壁12bを図示しないロック部材による固定から外すと、コンテナ10の下部後壁12bが回動自在となる。牽引自動車MのリフトLによりコンテナ10の前方部分を持ち上げると、図5に示すように、トレーラーTの後輪が車輪止めに当たる位置まで移動するとともに、コンテナ10内から滑り落ちる石炭Cの荷重により下部後壁12bが後方に回動し、コンテナ10の後方から石炭が放出される。コンテナ10の後方から放出される石炭は、案内板20によりコンテナ10の直ぐ後方に落下することなく、貯蔵場Sに案内されて放出される。また、案内板20の両側部には落下防止板21、21が設けられているので、コンテナ10内から放出される石炭が案内板20を滑り落ちるときに、石炭が案内板20の両側からこぼれ落ちない。
【0018】
コンテナ10内の石炭を放出し終えると、リフトLにより持ち上げていたコンテナ10の前方を下ろし、再び下部後壁12bを図示しないロック部材により回動しないようにロックする。ウインチ22のハンドル22aを操作することで、案内板20を案内位置(図4に示す実線により示す)から収納位置(図4に示す二点鎖線により示す)まで回動させて、案内板20をコンテナ10の後壁12に沿って収納する。
【0019】
上述したように、輸送先の貯蔵場Sには、牽引自動車Mが走行する路面より低い場所に設けられていることがある。また、コンテナ10を搭載するトレーラーTによっては、その後端に最後列の車輪が設けられているので、上記のような路面より低い場所の貯蔵場Sに石炭等の積載物を放出するときに、トレーラーTを貯蔵場Sの直前位置まで後退移動させてもコンテナ10の後端が貯蔵場Sの直上位置とならないことがある。上記のように構成したコンテナ10は、その後端下部にその底壁後端から後方に延出してコンテナ10内の積載物を輸送先の貯蔵場Sに案内して放出させる案内板20が設けられているので、コンテナ10内の積載物がコンテナ10の後端と貯蔵場Sとの間にこぼれ落ちて残ることがない。
【0020】
また、案内板20はコンテナ10の後端下部に回動可能に支持されていて、積載物を放出させるときにはコンテナ10の底壁後端から後方に延出する案内位置にし、積載物を放出させないときにはコンテナ10の後壁12に沿って収納させる収納位置にしているので、コンテナ10をトレーラーTに搭載して輸送するときには、案内板20が後壁12に沿って収納されているので走行の支障となることがなく、また、コンテナ10から積載物を放出するときには、案内板20をコンテナ10の底壁後端から後方に延出する位置まで回動させるだけであるので取付作業が簡単である。
【0021】
さらに、案内板20の両側部には、積載物がコンテナ10の側方へ落下するのを防ぐための落下防止板21が設けられているので、コンテナ10内の積載物が案内板20により貯蔵場Sに案内して放出されるときに、コンテナ10から放出される積載物が案内板20の両側からこぼれ落ちることがない。
【0022】
本実施形態においては、コンテナ10を搭載するトレーラーTは、その一例として後端位置に最後列の車輪が設けられたもので説明したが、本発明はこのようなトレーラーTに搭載されるときに上述したような効果を特に発揮しているが、後端位置より前側に最後列の車輪が設けられたトレーラーに搭載されたときでも、コンテナ10の後端から放出される積載物を案内板20によりコンテナ10の直ぐ後方にこぼれさせることなく貯蔵場に案内して放出させることができる。また、本発明に係るコンテナ10を用いれば、最後列の車輪の位置に関係なくどのようなトレーラーを用いても、積載物をコンテナ10の直ぐ後方にこぼれさせることなく貯蔵場に案内して放出させることができ、搭載するトレーラーの選択肢が広くなる。
【0023】
また、本実施形態においては、輸送先の貯蔵場Sは、路面より低い位置に設けられた貯蔵場について説明したが、本発明はこのような貯蔵場Sに放出させるときだけでなく、路面と同一高さの貯蔵場に放出させるときでも、案内板20によりコンテナ10の直ぐ後方にこぼれ落ちることなく貯蔵場に案内して放出させることができる。
【0024】
また、本実施形態においては、コンテナ10の積載物としてばら荷の石炭を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、他の積載物として、穀物、鉱物及び土砂等のばら荷の粒塊物であるときでも同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
10…コンテナ、12b…後壁(下部後壁)、20…案内板、21…落下防止板、L…リフト、T…トレーラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフトによってその前方部分を持ち上げ可能なトレーラーに搭載される石炭等の粒塊物がばら荷として積み込まれた積載物を輸送するコンテナであって、前記コンテナの後壁は下端が後方に回動可能となるように支持されていて、前記リフトによって前記コンテナの前方部分を持ち上げたときに滑り落ちる前記積載物の荷重により前記後壁が後方に回動して前記積載物を後方に放出するようにしたコンテナにおいて、
前記コンテナの後端下部にはその底壁後端から後方に延出して前記コンテナ内の積載物を輸送先の貯蔵場に案内して放出させる案内板を設けたことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナにおいて、
前記案内板は前記コンテナの後端下部に回動可能に支持されていて、前記積載物を放出させるときには前記コンテナの底壁後端から後方に延出させ、前記積載物を放出させないときには前記コンテナの後壁に沿って収納させたことを特徴とするコンテナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンテナにおいて、
前記案内板の両側部には前記積載物が前記コンテナの側方へ落下するのを防ぐための落下防止板を設けたことを特徴とするコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−173623(P2011−173623A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39283(P2010−39283)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(593078202)日本トランスシティ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】