説明

コンテンツ・アイテムをアノテーションするための装置及び方法

コンテンツ・アイテムをアノテーションするための装置は、第一オントロジーから縮約オントロジーを生成するオントロジー・プロセッサ(103)を備える。縮約オントロジーは、第一オントロジーの概念のサブセットを含む。解析プロセッサ(107)とアノテーション・プロセッサ(109)とが、縮約オントロジーに基づくコンテンツ解析によってコンテンツ・アイテムに関する第一アノテーション・データを判定する。監視プロセッサ(115)が、第一アノテーション・データの利用を監視する。判断基準プロセッサ(117)は、第一のアノテーション・データの利用が、第一の判断基準と適合するかどうかを判定する。適合しないとき、オントロジープロセッサ(103)が、第一のオントロジーから第二のオントロジーを生成し、且つ解析プロセッサ(107)とアノテーションプロセッサ(109)とが、第二のオントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて第一のアノテーション・データを変更する。本発明は、アノテーションに関するコンピュータ・リソースが可能であるより効率的な利用と共にコンテンツ・アイテムの容易にした自動アノテーションを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ・アイテムをアノテーションするための装置及び方法に関し、より詳細には、デジタルイメージ又はビデオシーケンスのようなヴィジュアル・コンテンツ・アイテムの自動アノテーションに専ら関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチメディア及びエンターテイメント・コンテンツの利用及び提供が、大幅に増加している。例えば、利用可能なテレビ及びラジオチャンネルの数が著しく増大し、インターネットの人気は新規なコンテンツの配給手段を提供する。加えて、コンテンツのデジタル化及び圧縮方法の増大により、デジタルピクチャ、音楽、オーディオクリップ、ビデオクリップなどを含む多くの異なるタイプのコンテンツ・アイテムの配給が増大している。
【0003】
結果として、ユーザーには、異なる情報源から大量の異なるタイプのコンテンツが益々提供されることになる。所望するコンテンツを識別且つ選択するために、ユーザーは、非常に扱い難く且つ非実用的である大量の情報を処理しなければならない。
【0004】
従って、かなりのリソースが、ユーザー体験を改善し且つコンテンツの識別及び選択に際してユーザーを支援し得る技術及びアルゴリズムの研究に投資されている。コンテンツ・アイテムの取り扱い、検索及び処理を容易にするためには、コンテンツを示すデータを作成して同データをコンテンツに関連付けることによって、コンテンツ・アイテムをアノテート(注釈)することが一般的である。
【0005】
例えば、ビデオクリップ及びイメージのようなマルチメディア・リソースの売上げは、ユーザーが、サーチエンジンを介してそれらマルチメディア・リソースを検索可能であることに依存する。検索の成功は、多くの場合、コンテンツを記載する適切なデータの利用可能性に依存する。しかしながら、多くのコンテンツ所有者が直面する問題は、所有者が、アノテートされなかった又は不十分なアノテーションを提供されただけの、使われていない古いコンテンツからなる大量の保存記録を所有していることである。
【0006】
コンテンツ・アイテムのアノテーションは、多くの場合、人間がコンテンツ・アイテムを見直し、適切なデータを選択又は生成するという、手作業で実行される。しかしながら、この方法は、非常に煩わしく、時間を費やし且つリソースを消費し、多数のコンテンツ・アイテムの収集にとって実用的でない。
【0007】
これを解決するために、コンテンツ・アイテムの自動アノテーション方法が、提案されている。特に、自動コンテンツ解析は、特定の対象物又はコンテンツ・アイテムの特徴を識別して、識別された特徴を反映するためにコンテンツに関するデータを生成するように、実行され得る。そのような自動アノテーションシステムの例が、例えば、イメージの自動解析からデータを生成することを記載する特許文献1、又はデジタルコンテンツに関するデータが自動的に生成可能で且つユーザーによって修正可能なシステムを記載する特許文献2に認められる。自動アノテーションの他の例が、例えばhttp://www.acemedia.org/aceMedia/files/document/aceMedia−Annual−public−report−2005.pdfから入手可能な非特許文献1、及び非特許文献2において提供されている。
【0008】
しかしながら、現在の方法に関連する問題は、現在の方法が不十分なアノテーションを生成する、及び/又は時間を費やし且つリソースを必要とする傾向があることである。例えば、上述の非特許文献1のシステムについては、パーソナル・コンピュータ上の0.5メガピクセル・イメージのアノテーションに、現在のところ、(約500MBのメモリを有するペンティアム(登録商標)P4 2.8GHzシステムを使用して)約2分を要する。
【0009】
これは、多くのシナリオにおいて非常に実用的でない。例えば、アノテートしていないコンテンツ・アイテムの多くの保存記録を有するコンテンツ所有者は、全てのコンテンツ・アイテムがアノテートされるまで非常に長時間を我慢しなければならない。さらに、上述した各方法は、検索、格納保管及び配給をさらに複雑にする各コンテンツ・アイテムに関する大量のデータを生成する傾向がある。
【0010】
従って、コンテンツ・アイテムの変更されたアノテーションシステムは有利であり、特に、柔軟性の向上、ユーザー経験の改善、検索の容易性、複雑性の減少、アノテーションの改善、リソース要求の減少、処理時間の減少及び/又は性能の改善を可能にするシステムは有利となろう。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0114325号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0071865号明細書
【非特許文献1】2005年のエースメディア公開年次報告書
【非特許文献2】「遺伝的アルゴリズムを使用する知識支援ビデオ解析」N.ヴォイジン(Voisine),S.ダシオポウロウ(Dasiopoulou),V.(メザリス)Mezaris,E.スピロウ(Spyrou),T.アサナシアディス(Athanasiadis),I.コンパトシアリス(Kompatsiaris),M.G.ストリンジス(Strinzis),マルチメディアインタラクティブサービスのためのイメージ解析学会(WIAMIS 2005),モントルー,スイス、2005年4月13日〜15日
【非特許文献3】「ヴィジュアル及びセマンティック・イメージ記述子」J.スタウダー(Stauder),J.シロット(Sirot),H.レボン(LeBogne),E.クック(Cooke)及びN.E.オコナー(O‘Connor)らの、知識統合、セマンティクス及びデジタルメディア技術に関する欧州学会、EWIMT 2004、ロンドン、英国、2004年11月25日〜26日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、一つ又は任意の組み合わせで、一以上の上述の欠点をより好ましく軽減し、解決し、又は解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の側面によると、コンテンツ・アイテムをアノテーションするための装置が提供され、当該装置は、第一オントロジーからこの第一オントロジーの概念のサブセットを含む縮約オントロジーを生成するための手段と、縮約オントロジーに基づくコンテンツ解析によってコンテンツ・アイテムに関する第一アノテーション・データを判定するための手段と、第一アノテーション・データの利用を監視するための監視手段と、第一アノテーション・データの利用が第一判断基準と適合するかどうかを判定するための判断基準手段と、第一アノテーション・データの利用が第一判断基準と適合しないときに、第一オントロジーから第二オントロジーを生成し、且つ第二オントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて第一アノテーション・データを変更するための変更手段と、を備える。
【0013】
本発明は、変更された及び/又は容易にしたコンテンツ・アイテムのアノテーションを可能とする。本発明は、特に、アノテーション情報の利用に関して十分なレベルに段階的に且つ自動的に洗練されるコンテンツ・アノテーションを可能とし得る。本発明は、コンテンツ・アイテムのために生成されるデータ量を十分なレベルに減少させ、且つ特に、完全な解析のための必要性を排除し又は軽減する。本発明は、コンテンツ・アイテムをアノテートするための処理時間及びリソース要件の削減を可能とし得る。
【0014】
本発明は、コンテンツ・アイテムのアノテーションを、それらのコンテンツ・アイテムが使用されるシステムの特定の特徴及び環境に対し自動的に適合させることを可能とし得る。特に、コンテンツ・アイテムのアノテーションは、完全なアノテーションが要求されない限り、縮小したアノテーションに制限され得る。特定の要件への適合は、自動的に且つ如何なるユーザーの関与無しに達成し得る。
【0015】
第二オントロジーは、縮約オントロジーより多くの概念を含み、及び/又は複数の異なるドメインオントロジーを含む組み合わされたオントロジーとし得る。
装置は、第一アノテーション・データの利用を監視する処理を反復するように構成され、第一アノテーション・データの利用が第一判断基準と適合するかどうかが判定され、第一アノテーション・データの利用が第一判断基準と適合されないとき、第一オントロジーから新規なオントロジーを生成し、且つ、この新規なオントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて第一アノテーション・データを変更する。各々の新規なオントロジーは、第一オントロジーのより大きなサブセットに対応し、例えば、より多数の概念を含む。
【0016】
アノテーション・データは、コンテンツ・アイテムを記述する任意の種類のデータとし得る。例えば、アノテーション・データは、メタデータ(データについてのデータ)とでき、及び/又は例えば、自由のテキスト用語及び数値データを含むことができる。
【0017】
本発明の付加的な特徴によると、縮約オントロジーを生成するための手段はさらに、概念のサブセットに関する第一コンテンツ記述データを生成するように構成され、コンテンツ解析は第一コンテンツ記述データに応じて実行される。
【0018】
これは、縮約されたオントロジーの特徴を対象とした、変更された及び/又は容易にするコンテンツ解析を可能とし、変更されたアノテーションを可能とし、及び/又はコンテンツ・アイテムをアノテートするための処理時間及びリソース要件の削減を可能とする。第一コンテンツ記述データは、特に、縮約オントロジーの概念における典型的なインスタンスに関する記述データとし得る。
【0019】
本発明の付加的な特徴によると、変更手段は、第二オントロジーの概念に関する第二コンテンツ記述データを生成するように構成され、第二オントロジーに基づくコンテンツ解析は、さらに第二コンテンツ記述データに応じて実行される。
【0020】
これは、第二オントロジーの特徴を対象とした、変更された及び/又は容易にするコンテンツ解析を可能とし、変更されたアノテーションを可能とし、及び/又はコンテンツ・アイテムをアノテートするための処理時間及びリソース要件の削減を可能とし得る。第二コンテンツ記述データは、特に、第二オントロジーの概念における典型的なインスタンスに関する記述データとし得る。
【0021】
本発明の付加的な特徴によると、装置が、複数のアノテートされたコンテンツ・アイテムを格納するための手段と、第一オントロジーに基づく検索データに応じて複数のコンテンツ・アイテムを検索するための手段と、検索データと第一アノテーション・データとの間の照合に応じて第一コンテンツ・アイテムを識別するための手段とをさらに備える。
【0022】
識別するための手段は、検索データが照合判断基準に応じて第一アノテーション・データと照合することを判定するように構成され得る。任意の適切な照合判断基準が使用され得る。本発明は、上記検索及び/又はアノテーション処理によって要求されるリソースを制限するとともに、アノテートされたコンテンツ・アイテムに基づくコンテンツ・アイテムに関する検索システムを可能とし得る。
【0023】
本発明の付加的な特徴によると、第一判断基準は、第一コンテンツ・アイテムが検索に応じて識別される回数の評価を含む。
上記判断基準は、多くの実施形態において、アノテーション様式をシステムに関する特定の要件に適合させるための特に有利な判断基準を提供し得る。
【0024】
本発明の付加的な特徴によると、第一判断基準は、第一コンテンツ・アイテムを識別する検索によって識別された他のコンテンツ・アイテムの数の評価を含む。
上記判断基準は、多くの実施形態において、アノテーション様式をシステムに関する特定の要件に適合させるための特に有利な判断基準を提供し得る。
【0025】
本発明の付加的な特徴によると、第一コンテンツ・アイテムを識別するための手段は、第一コンテンツ・アイテムが、検索データとどの程度照合するかの照合表示を生成するように構成され、第一判断基準は、照合表示の評価を含む。
【0026】
上記判断基準は、多くの実施形態において、アノテーション様式をシステムに関する特定の要件に適合させるための特に有利な判断基準を提供し得る。
本発明の付加的な特徴によると、装置が、検索によって識別されたコンテンツ・アイテムの表示を装置のユーザーに提示するための手段と、少なくとも一つのコンテンツ・アイテムのユーザー選択を受信するための手段とをさらに備え、第一判断基準は、第一コンテンツ・アイテムがユーザーによって選択された回数の評価を含む。
【0027】
上記判断基準は、多くの実施形態において、アノテーション様式をシステムに関する特定の要件に適合させるための特に有利な判断基準を提供し得る。特に、ユーザーフレンドリー経験を維持するとともに、ユーザー優先度に対する効率的な適合を対応可能とし得る。
【0028】
本発明の付加的な特徴によると、装置は、複数のコンテンツ・アイテムに関するアノテーションのレベルのアノテーション表示を判定するための手段をさらに備え、第一判断基準が、アノテーション表示の評価を含む。
【0029】
上記判断基準は、多くの実施形態において、アノテーション様式をシステムに関する特定の要件に適合させるための特に有利な判断基準を提供し得る。
本発明の付加的な特徴によると、装置は、ユーザー入力に応じて縮約オントロジーの概念のサブセットから概念を選択するための手段をさらに備える。
【0030】
これにより、変更された及び/又は容易にしたコンテンツ・アイテムのアノテーションを可能とし得る。特に、第一アノテーション・データの変更された適合を可能とし、従って、更なるアノテーションが必要とされる可能性を縮減させる。
【0031】
本発明の付加的な特徴によると、装置は、第一オントロジーにおける概念の使用頻度に応じて、縮約オントロジーの概念のサブセットから概念を選択するための手段をさらに備える。
【0032】
これにより、変更された及び/又は容易にしたコンテンツ・アイテムのアノテーションを可能とし得る。特に、第一アノテーション・データの変更された適合を可能とし、従って、更なるアノテーションが必要とされる可能性を縮減させる。
【0033】
本発明の別の側面によると、コンテンツ・アイテムのアノテーションの方法が提供され、当該方法は、第一オントロジーから、当該第一オントロジーの概念のサブセットを含む縮約オントロジーを生成するステップと、縮約オントロジーに基づくコンテンツ解析によってコンテンツ・アイテムに関する第一アノテーション・データを判定するステップと、第一アノテーション・データの利用を監視するステップと、第一アノテーション・データの利用が、第一判断基準と適合するかどうかを判定するステップと、第一アノテーション・データの利用が、第一判断基準と適合されないとき、第一オントロジーから第二オントロジーを生成し、且つ第二オントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて第一アノテーション・データ変更するステップとを備える。
【0034】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴、特性及び利点は、以下に記載された実施形態を参照して説明され、明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下の記載は、ピクチャ又はビデオクリップのようなヴィジュアル・コンテンツ・アイテムのセマンティック・アノテーション(意味的注釈付け)及び検索に適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせる。さらに、記載された例において、アノテーションは全自動的に実行し得る。しかしながら、本発明がこの用途に制限されないことは十分に認識されよう。
【0036】
アノテーションに関して記載されたシステムは、二段階の(又はそれ以上の)アノテーション処理を採用する。最初に、一つ以上のコンテンツ・アイテムのコンテンツ解析及びアノテーションが、縮約されたオントロジーと縮約された一組のコンテンツ記述子とに基づいて実行される。これにより、迅速且つ少ないリソースでのアノテーションが可能となり且つ小さなデータセットがもたらされる。その後、データが(例えば、検索又は他のエンドユーザーの操作によって)使用されるときに、その使用が監視されて、データセットがその使用に基づいて適正であるか否かをシステムが判定する。アノテーションが適切な判断基準に応じて十分ではないと判定されると、コンテンツ解析とアノテーションとが、拡張されたオントロジーとより大きな一組のコンテンツ記述子とを使用して繰り返される。これは、付加的でより正確なアノテーションを提供するが、より長い時間を要し且つより多くのリソースを必要とし得る。しかしながら、付加的な時間及びリソースは、特に必要となったときのみ消費される。この処理は、多数回反復され、特に連続的に反復され得る。こうして、完全なフィードバックループが実行され、オントロジーの変更、解析の実行、コンテンツ・アイテムのアノテート、利用の監視、アノテートするために使用されるオントロジーの拡張、新規なオントロジーを使用した再解析、データのアノテーションへの追加、利用の再監視、オントロジーの再拡張等、が継続される。こうして、当該方法は、付加的なデータを提供するリソースが、それが最も必要とされるコンテンツ・アイテム及びオントロジーを対象とする場合に、コンテンツ・アイテムの修正におけるアノテーションの段階的で且つ目標とされた変更を可能とし得る。
【0037】
コンテンツ解析とアノテーションとは、コンテンツ・アイテムがアノテートされることについてのオントロジーの使用に基づく。オントロジーは関心のあるドメインの共通の認識である。特に、オントロジーは、様々な概念に関する参照フレーム及び定義と、それら参照フレーム及び定義の間の関係とを提供し、知識の一般的な表現であり、特定のドメインに特有であり得る。オントロジーの範囲内の概念は、ドメインの物理的な(具体的な)オブジェクト(海辺のイメージのドメインにおける海)、又は抽象的なオブジェクト(海辺のイメージのドメインにおける天気)とし得る。概念は、当該概念のインスタンス(事例)によって表される。与えられた概念の多数の異なる特性(パラメータ及び特徴)は、オントロジーにおいて表現し得る。こうして、アプリケーションとウェブサービスとの間で共有される定義されたオントロジーに関して、異なるアプリケーションとウェブサービスとが、定義されたオントロジーを使用することによってオブジェクト(具体的な又は抽象的な)の特徴に関する情報を変換し得る。これによって、ウェブサービスとアプリケーションとが、ウェブサービスとアプリケーションとの設計の時点において予め定義されるべきオブジェクトを必要とすること無しに、正確且つ効果的に情報を変換することを可能にする。こうして、オントロジーは、情報が意味することについての一貫性のある理解を共有するために使用されるとともに、異なるウェブサービスとアプリケーションとについての共通の参照として知識の再利用を可能とする。
【0038】
特定の例示において、コンテンツについてのデータをもたらすオントロジー主導の解析は、自動アノテーションによって生成され、ユーザーアプリケーションは、例えばオントロジーの観点で検索データを特定し、それによってユーザーアプリケーションと当該システムとの間のインターフェースを容易にする。
【0039】
図1は、本発明のある実施形態に従うコンテンツ・アイテムサーバーの例を示す。コンテンツ・アイテムサーバーは、コンテンツ・アイテムを自動的且つ順応的にアノテートする機能コンテンツ・アイテム、及びそのアノテーションを使用してコンテンツ・アイテムを検索する機能を備える。アノテーション及び検索動作は、オントロジーを基礎とする。
【0040】
特に、コンテンツ・アイテムサーバーは、多数のコンテンツ・アイテムを格納し且つ特定の例示において、多数のビデオクリップ及びデジタルイメージを格納するコンテンツ・アイテム格納部101を備える。以下の記載は、コンテンツ・アイテムのいずれもが最初にアノテートされていない場合に焦点が当てられるが、記載された原理は、一部又は全てのコンテンツ・アイテムが、あるアノテーションを有する場合にも同等に適用されることを十分に理解されたい。例えば、記載されたアノテーション手順は、いずれの又は不十分なアノテーション無しで受け取った新規なコンテンツ・アイテムに適用されるだけでもよい。
【0041】
コンテンツ・アイテムサーバーは、オントロジー・データ格納部105に連結されたオントロジー・プロセッサ103をさらに備える。オントロジー・データ格納部105は、コンテンツ・アイテムのための一つ以上のオントロジーを備える。例示において、オントロジー・データ格納部105は、異なるヴィジュアル・ドメインに関連付けられた多数のオントロジーを備える。例えば、オントロジー・データ格納部105は、海辺のイメージ又はビデオクリップに関するオントロジー、テニスのイメージ又はビデオクリップに関するオントロジー、顔のイメージ又はビデオクリップに関するオントロジーなどを備えることができる。各々のオントロジーは、(視覚的特徴、空間的且つ時間的な概念のような)イメージ及びビデオに関する多数の大まかな概念の定義、並びに(地理学的特徴、確立された周囲の物体、及び植物/動物のような)自然及び人工ドメインの範囲に適用可能である中核概念を備える。オントロジーのドメインに関連付けられた概念、並びに各概念間の関係も格納される。例えば、海辺に関するオントロジーは、海、砂、空、太陽、天気、人々、道路、車などのような概念を含むデータ構造と、『海辺「の一部である」砂』のような、海辺に関する概念の間の関係とを定義できる。
【0042】
さらに、例示において、オントロジー・データ格納部105は、オントロジーによって定義された概念のインスタンスと関連付けられたコンテンツ記述データも備える。特に、少なくともオントロジーのある概念に関して、オントロジー・データ格納部105は、異なる概念に属する典型的なイメージオブジェクトと関連付けられた特徴及び特性を記述したデータを備える。例えば、海辺のオントロジーにおける海の概念に関して、海のイメージに関する典型的な色及び外観を記述したコンテンツ記述データを、格納することができる。
【0043】
オントロジー・プロセッサ103は、解析プロセッサ107に連結され、解析プロセッサ107は、さらにアノテーション・プロセッサ109に連結される。解析プロセッサ107とアノテーション・プロセッサ109とは、さらにコンテンツ・アイテム格納部101に連結される。
【0044】
コンテンツ・アイテムサーバーがコンテンツ・アイテムの自動アノテーションを開始するときに、オントロジー・プロセッサ107は、オントロジー・データ格納部105からオントロジーを検索する。オントロジーは、例えば、コンテンツ・アイテムのコンテンツにおける最初の情報に基づいて、コンテンツ・アイテムに対応するオントロジーとして具体的に選択され得る。例えば、イメージが潜在的に海辺のシナリオに関連しており、従って、海辺のオントロジーがオントロジー・データ格納部105から検索され得ることは周知である。他のシナリオにおいて、最も適切なオントロジーは、ユーザーの入力に基づいて決定されるか、又は最初の粗いコンテンツ解析に基づく。例えば、アノテーションの開始に先行して、ユーザーは、コンテンツ・アイテム格納部101のコンテンツ・アイテムをドメイングループに手動で構成し得る(例えば、一つのディレクトリが、海辺のイメージ/ビデオクリップ、別の顔のイメージ/ビデオクリップなどを備え得る)。
【0045】
オントロジーを検索することに加えて、オントロジー・プロセッサ103は、オントロジー内で定義される典型的なインスタンスに関して格納されたコンテンツ記述データも受け取る。
【0046】
オントロジー・プロセッサ103は、コンテンツ・アイテムの解析及びアノテーションのために最初に使用される縮小されたオントロジーを生成することを実行する。特に、オントロジー・プロセッサ103は、第一オントロジーから概念のサブセットを選択して、これらの概念からなるオントロジーを使用する。例えば、オントロジーは数十の概念を備え、オントロジー・プロセッサ103は、最初のアノテーションための解析を行うためにこれらの概念のうちの例えば5つを選択し得る。こうして、オントロジーの全ての可能性のある概念に関するデータを生成することが試みられる代わりに、最初のアノテーションは、概念の小さなサブセットに関するデータを生成することを試みるのみである。
【0047】
加えて、オントロジー・プロセッサ103は、コンテンツ記述データのサブセットを選択する。特に、選ばれた概念の典型的なインスタンスに属するコンテンツ記述データが選択される。
【0048】
オントロジー・プロセッサ103は、次に縮小されたオントロジーと選択されたコンテンツ記述データとを解析プロセッサ107に入力する。
解析プロセッサ107は、縮小されたオントロジーと選択したコンテンツ記述データとに基づくコンテンツ解析を実行することを進める。
【0049】
単純な例として、解析プロセッサ107は、コンテンツ・アイテム記述データによって示された特徴に似ている特徴を有するピクチャ・オブジェクトを識別することを試みる。例えば、縮約されたオントロジーからの典型的なインスタンスが「海」の概念を含むのならば、コンテンツ解析は、(例えば、緑/青の色バリエーション、「空」の下、「地面の」上、等の)海のオブジェクトに関する受信した記述データと合うピクチャ・オブジェクトを見つけるべくデジタルイメージを検索できる。
【0050】
実際のシステムにおいては、いっそう多くの複合化及び洗練されたコンテンツ解析が使用されることが認識される。上記解析アルゴリズムは、当業者に公知であり、任意の適切なコンテンツ解析手法は、本発明から逸脱すること無く使用できる。図1のコンテンツ・アイテムサーバーに適したより進化したコンテンツ解析の例は、非特許文献3に見ることができる。 コンテンツ解析の結果は、コンテンツ解析と縮約されたオントロジーとに基づきコンテンツ・アイテムに関するセマンティック・データを生成するアノテーション・プロセッサ109に入力される。特に、アノテーション・プロセッサ109は、縮約されたオントロジーに応じて構成されたデータオブジェクトを生成できる(こうして、当初の完全なオントロジーに応じて構成することもできる)。こうして、縮約されたオントロジーの概念の一つ以上のサブセットに関するセマンティック・データを含むデータオブジェクトが生成される。
【0051】
単純な例として、コンテンツ解析が概念の一つと対応するイメージオブジェクトを認識すると、アノテーション・プロセッサ109は、この概念の存在並びにオブジェクトのさらなる詳細を記述する構造内にデータ要素を含み得る。
【0052】
アノテーション・プロセッサ109は、次にコンテンツ・アイテム格納部101にアノテーション・データ・オブジェクトをコンテンツ・アイテムとともに格納する。その結果、そのアノテーション・データ・オブジェクトを様々なユーザーアプリケーションについて利用可能となる。
【0053】
コンテンツ解析とアノテーションとが、コンテンツ・アイテムに関するオントロジーの基礎を成す小サブセットの概念について実行されるときに、リソース要求における実質的な縮約が達成される。特に、コンテンツ・アイテムの非常に迅速なアノテーションが達成される。これにより、コンテンツ・アイテムをアノテートするときの待ち時間が非常に短縮され、特に、比較的低いコンピュータリソースを使用して、コンテンツ・アイテムの多くのライブラリーの実用的なアノテーションが可能となる。特定の例において、コンテンツ・アイテムサーバーは、縮約されたオントロジーを使用して、コンテンツ・アイテム格納部101に格納された全てのコンテンツ・アイテムをアノテートする。オントロジー・プロセッサ103によって使用される基本的なオントロジー及び/又は同オントロジー・プロセッサ103によって生成される縮約されたオントロジーは、異なる各コンテンツ・アイテムに関して異なることを十分に理解されたい。
【0054】
コンテンツ・アイテムサーバーは、生成されたアノテーション・データの利用を監視するように設けられ、アノテーション・データの何れもが不十分であると思われたときに特に監視できる。この場合には、コンテンツ解析とアノテーションとの別の反復が、最初の縮約されたオントロジーより大きなオントロジーを使用して実行され、それにより、より多くの(及び/又はより正確な)データが生成される。
【0055】
特定の例示では、コンテンツ・アイテムサーバーは、外部のユーザーアプリケーションから検索依頼を受信でき、各検索に応じてコンテンツ・アイテムを識別できる。特に、コンテンツ・アイテムサーバーは、コンテンツ・アイテム格納部101とユーザーアプリケーションインターフェース113とに連結された検索プロセッサ111を備える。
【0056】
ユーザーアプリケーションインターフェース113は、コンテンツ・アイテムサーバーに対して外部又は内部にあるユーザーアプリケーションから検索依頼を受信できる。例えば、ユーザーアプリケーションは、マニュアルインターフェースをユーザーに提供する単純なユーザーインターフェースアプリケーションである。ユーザーは、次にユーザーインターフェースアプリケーションを通じてユーザーアプリケーションインターフェース113に送られた検索文字列を明確に入力できる。別の例示として、ユーザーアプリケーションは、例えば、インターネットのようなネットワークを通じてユーザーアプリケーションインターフェース113と通信する遠隔操作アプリケーションとし得る。遠隔操作ユーザーアプリケーションは、例えば、マルチメディアプレイアプリケーションであり得る。
【0057】
受信した検索データは、一般的に、所望されるコンテンツ・アイテムに関してオントロジーに応じて構成される。しかしながら、ある実施形態において、ユーザーアプリケーションから受信した検索データは、ユーザーアプリケーションインターフェース113によって、別のデータ構造からオントロジーに適合するデータ構造に変換できる。
【0058】
検索プロセッサ111は、次にコンテンツ・アイテム格納部101に格納されたアノテーション・データを通じて検索を行う。特に、検索プロセッサ111は、検索データの個々の特定の概念と当該データの各概念とを比較して、適合するコンテンツ・アイテムを検出する。適切な適合の判断基準は、コンテンツ・アイテムに関するアノテーション・データが、検索データと適合するかどうかを判定するために使用できることを理解されたい。
【0059】
検索プロセッサ111は、検索データに適合するコンテンツ・アイテムの識別をユーザーアプリケーションインターフェース113に提供し、次に、このリストをユーザーアプリケーションに転送する。ユーザーアプリケーションは、次に、提供されたリストから選択することによってコンテンツ・アイテムサーバーから特定のコンテンツ・アイテムを依頼でき、特定の依頼に応答して、コンテンツ・アイテムサーバーは、選択されたコンテンツ・アイテムを送信できる。
【0060】
アノテーションは、完全なオントロジーが解析処理を行うために使用されていた場合より安い費用で可能であり、検索処理は容易であり、より迅速に実行できる。しかしながら、縮約されたデータ量は、最適な検索精度未満の結果ともなり得る。例えば、比較的に新規な概念は、検索データが多数のコンテンツ・アイテムと適合するという結果になり、従って、ユーザーにとって非実用的となる。さらに、より詳細な検索データを提供したとしても、検索されるアノテーション・データがそれに対応して詳述されていないときには、必ずしも検索精度は向上するわけではない。
【0061】
従って、コンテンツ・アイテムサーバーは、アノテーション・データの利用を監視する監視プロセッサ115を備える。特定の例示において、監視プロセッサ115は検索データ及び検索結果を監視して、現在のデータが所望のサービスを提供するために十分かどうかを判定する。特に、監視プロセッサ115は、個々の検索について検出される適合の数を監視できる。
【0062】
監視プロセッサ115は、アノテーション・データの利用が与えられた判断基準に合うかどうかを判定する判断基準プロセッサ117に連結される。判断基準は、現在のアノテーション・データが十分かどうかの評価を提供するために選択される。使用される正確な判断基準は、アプリケーションに関する個々の実施形態及び各要件並びに個々の優先順位によって決まることを理解されたい。
【0063】
単純な例として、判断基準プロセッサ117は、各検索が適正な適合数を提供するかどうかを判定できる。例えば、非常に多くの適合が検出されると、これは、データが最も適切なコンテンツ・アイテムを識別するために十分に正確でないことを示し、非常に少ない適合が検出されると、これは、データが十分に検索を適合させるために十分な概念を含んでいないことを示す。
【0064】
判断基準プロセッサ117は、オントロジー・プロセッサ103に連結される。判断基準プロセッサ117は、アノテーション・データが十分でないと判定すると、第二のオントロジーを生成するためにオントロジー・プロセッサ103を制御する。与えられたコンテンツ・アイテムに関して、第二のオントロジーは、縮約されたオントロジーとして、同様な基礎を成すオントロジーに基づく。しかしながら、縮約されたオントロジーとの比較において、第二のオントロジーは、多くのデータが生成される結果となるように選択される(例えば、元オントロジーからの削減は、第一の場合より少ない)。特に、第二のオントロジーは、第一のオントロジーに対応するが、基本となる元のオントロジーから選択された追加の概念を有する。例えば、第一の縮約されたオントロジーが、五つの概念を含むならば、第二のオントロジーは、15個の概念を含むように生成され得る。
【0065】
別の例示のように、縮約されたオントロジーは、一般的に、単一のドメインオントロジーに基づくが、第二のオントロジーは、別のオントロジーから選択された概念を付加的に含む。例えば、デジタルイメージを解析するための第二のオントロジーは、海辺のドメインオントロジーと顔のドメインオントロジーとの両方からの概念を含み得る。
【0066】
第二のオントロジーに加えて、オントロジー・プロセッサ103は、拡張されたオントロジー内で、典型的なインスタンスと適合する付加的なコンテンツ記述データも検索する。例えば、判断基準プロセッサ103は、第二のオントロジーに含まれる典型的な追加の概念に関してコンテンツ記述データを検索できる。
【0067】
第二のオントロジーと付加的なコンテンツ記述データとは、コンテンツ記述データに基づく新規なコンテンツ解析を実行する解析プロセッサ107に送られる。その結果は、新規な概念に関するセマンティック・データを生成するアノテーション・プロセッサ109に送られる。
【0068】
特に、アノテーション・プロセッサ109は、新規な概念に関するデータを生成でき、且つデータをコンテンツ・アイテムに関して既に格納されたアノテーション・データ・オブジェクトに追加できる。ある実施形態において、元のデータオブジェクトに追加的に又は代わりに使用される新規なデータオブジェクトが生成され得ることを理解されたい。
【0069】
ある実施形態において、説明された動作が、多数回反復される及び/又は連続的に反復され得ることを理解されたい。例えば、監視プロセッサ115はアノテーション・データの利用の監視を継続し、コンテンツ・アイテム(又はコンテンツ・アイテムのグループの)に関するアノテーション・データが不十分であると判断基準プロセッサ117が判定する度に、新たな反復が開始され、オントロジー・プロセッサ103が、(例えば、基礎を成すオントロジーから前回の反復のオントロジーへより多くの概念を追加することによって)前回の反復のオントロジーを拡張する新規なオントロジーを生成する。解析プロセッサ107とアノテーション・プロセッサ109とは、次に、新規な拡張されたオントロジーに基づくアノテーション・データを生成し、それによって、コンテンツ・アイテムに関して格納されたアノテーション・データ・オブジェクトに追加された付加的なアノテーション・データを生成する。
【0070】
こうして、コンテンツ・アイテムサーバーは、縮約されるが頻繁に使用可能なデータを提供する最初のアノテーションを要求する迅速且つ低いリソースを可能とする。さらに、十分であると見なされないアノテーションの自動的な改善を可能とする。リソースは、こうして、それが最も必要とされる能力を改善するように使用されることを可能とする、目標とされ且つ適応可能な手法において自動的に使用される。
【0071】
最初のアノテーションは、例えば、コンテンツ所有者によって決定される一定の期間に渡って監視できる。これは、固定された時間的期間(例えば、時間、日数、週)又はコンテンツの使用回数(例えば、10、100、1000回使用)とし得る。アノテーションは、適用された判断基準によって十分(正確且つ完全)であると判断されると、次に、さらなる動作は、システムの一部又はコンテンツ所有者にとって必要とされない。
【0072】
さらに、コンテンツ・アイテムサーバーは、利用の監視を継続し、十分でないコンテンツ・アイテムのアノテーションの改善を自動的に継続し得る。従って、アノテーション・データの第二のアップデートが判断基準に適合しない場合、別のより拡張されたオントロジーが生成されて、さらにアノテーション・データがこのオントロジーを使用して生成される。新規なオントロジーを生成し、コンテンツ解析を実行し、そしてデータを生成する処理は、従って、判断基準が適合されるまで、連続的に反復される。
【0073】
その上、ある実施形態において、判断基準は、時間と共に変化し得る。例えば、最初のアノテーション及び処理に関して、比較的に緩やかな判断基準が使用される。その後、全てのコンテンツ・アイテムが、この判断基準と適合するようにアノテートされたときに(従って、このレベルにアノテートするために使用されたコンピュータリソースは、制限されない)、判断基準は、生成されたさらなるデータをもたらすより厳格な判断基準によって置き替えられる又は変更され得る。従って、システム能力の段階的な変更は、与えられた能力レベルへの迅速な初期化が許容されつつ達成される。
【0074】
適切な判断基準は、アノテーション・データが十分であるかどうかを判定するために判断基準プロセッサ117によって使用され得ることを理解されたい。
特に、検索に応答してコンテンツ・アイテムが複数回識別される、及び/又は、第一のコンテンツ・アイテムを識別する検索によって識別された他のコンテンツ・アイテムの数が評価され得る。
【0075】
例えば、どの位イメージ又はビデオコンテンツが、キーワード及び/又は例示領域を用いて検索するユーザーに提示されたかが評価され得る。ユーザーによって出された多数の問い合わせの一部としての提示は、アノテーションが不明確である可能性がある又は誤りである可能性があることや、ユーザーの問い合わせ中にイメージ又はビデオが検出されることを、より良いアノテーションが支援し得ることを意味していない。これは、否定的な応答であり、アノテーションを変更するためにフィードバックループを使用するのに有利に働く。
【0076】
別の例示として、イメージ又はビデオコンテンツがどの位、キーワード及び/又は(複合型のビジュアル・セマンティック検索のための)例示領域を用いて検索するユーザーに対し、小セットの候補コンテンツの一部として(例えば、返送された上位20アイテム内で)提示されたかが評価され得る。少数の返送されたアイテムの一部としての提示は、アノテーションがイメージ又はビデオコンテンツを表示するのに十分に正確であったことを示す。
【0077】
別の例示は、イメージ又はビデオコンテンツがどの位、キーワード及び/又は例示領域を用いて検索するユーザーに対し、大セットの候補コンテンツの一部として(例えば、返送された200アイテムの一つとして)提示されたかが評価され得る。多数の返送されたアイテムの一部としての提示は、アノテーションが不明確な可能性がある又は誤りである可能性があることを示す。これは、否定的な応答であり、アノテーションを変更するためにフィードバックループを使用するのに有利に働く。
【0078】
従って、判断基準は、コンテンツ・アイテムが、与えられたコンテンツ・アイテムの数未満の結果をもたらす検索文字列によって十分頻繁に検出されるかどうかを判定できる。
代わりに又は付加的に、判断基準は、どの位密接に第一のコンテンツ・アイテムが検索データと適合するかを評価できる。検索精度の評価は、アノテーション・データが十分であるかを判断するために使用される。
【0079】
代わりに又は付加的に、ユーザーアプリケーションが検索結果からコンテンツ・アイテムを選択できる実施形態において、判断基準は、ユーザーアプリケーションによって第一のコンテンツ・アイテムが選択された回数の判断を含み得る。
【0080】
例えば、イメージ又はビデオコンテンツがどの位、イメージ又はビデオコンテンツに提供された候補コンテンツのセット内でユーザーによって容認されたかを判断できる。例えば、コンテンツが購入されたこと、又はコンテンツが検索に基づく関連するフィードバック内で選択されたことである。これは、肯定的な応答であり、最初のアノテーションを維持するのに有利に働く。同様に、イメージ又はビデオコンテンツがどの位、イメージ又はビデオコンテンツに提供された候補コンテンツのセット内でユーザーによって拒絶されたかを判断できる。これは、否定的な応答であり、アノテーションを変更するためのフィードバックループを使用するのに有利に働く。
【0081】
代わりに又は付加的に、判断基準は、コンテンツが一体どの位使用されたのかを判断できる。今までにほとんど選択されないと、市場において非常に限定された魅力しかなく、さらなるアノテーションに値しない。
【0082】
代わりに又は付加的に、判断基準は、アノテートされたコンテンツ・アイテムに関するデータ・アノテーションのレベルのアノテーション表示を評価でき、判断基準は、アノテーション表示の評価を含み得る。特に、判断基準は、どの位の密度でイメージ又はビデオのアノテーションが、コンテンツ・アイテム格納部101にあるかを判断できる。イメージ又はビデオが、同様なアノテーションを有する大サブセットのイメージ及びビデオの一部である各アノテーションを有するときは、それは、否定的な応答であり、アノテーションを変更するためにフィードバックループを使用するのに有利に働く。
【0083】
当該評価は、単純な方法で、例えば、選ばれた時間期間の後で適用でき、否定的な表示より多くのより肯定的な表示が検出されるとき、次に、更なるアノテーションが必要とされることがない(評価は一定期間毎に繰り返され得る)。代わりに又は付加的に、しきい値は、否定的な応答が選択された回数生じたときに更なるアノテーションが実行されるように適用できる。
【0084】
縮約されたオントロジーのために選択された最初の概念は、予め定められた及び/又はユーザーによって手動で選択された概念である。しかしながら、ある実施形態において、縮約されたオントロジーのための及び/又はその後のオントロジーのための概念の選択は、システムの利用に基づく。すなわち、検索に使用された概念の履歴が累積され、最も頻繁に使用された概念は、頻繁に現れない他の概念に優先して、オントロジーのために選択された優先概念として識別される。
【0085】
記載されたシステムの処理動作の例示として、テニスのドメインオントロジーは、それらの間の多数の関係と共に、例えば64個の概念を含み得る(これは比較単純なオントロジーであり、他のオントロジーは、より多くの概念及び関係を含み得る)。しかしながら、ユーザーはテニス映像を探すときに特定のプレーヤー、開催地及び動作を検索する傾向があり、例えば、特定の審判員又はボールボーイの場面における状況は、一般により低い関係性となる。従って、6〜8個の概念に焦点をあわせるようにドメインオントロジーを最初に縮約することによって、処理時間の実質的な縮約は、ユーザーの希望に沿う検索を提供しつつ達成できる。
【0086】
別の例示として、シミュレーションが、100以上のピクチャを有するデータベースの自動アノテーションについて実行される。アノテーションは、トレッキングドメインオントロジーに従って実行される。簡略化のために、このオントロジー内において、以下の関係を有する三つの概念「アウトドア」、「山」及び「雪」に焦点が向けられたシミュレーションを説明する。
【0087】
「雪」―「覆う」―>「山」―はサブクラスの―>「アウトドア」
ステップ1:最初のアノテーション・データベースは、最初に、「アウトドア」というキーワードのみでアノテートされた多くのピクチャ(約65)を備えていた。これは、セマンティック検索が実行されるとき、明らかに各イメージ間を選択するための情報をほとんど提供しない。特に、「雪に覆われた山」に関して検索が実行されると、検索結果が出力されない(なぜならば、ピクチャが詳細なレベルにアノテートされていない)、又は「アウトドア」とアノテートされた全てのピクチャが返送される(なぜならば、システムは、最も類似したアノテーションが、「山」がサブクラスである「アウトドア」であることを検出する)。
【0088】
ステップ2:第一のアノテーション反復。第一の反復の一部として、概念「山」がオントロジーに追加された。イメージのサブセットは、概念「山」と共にアノテートされている。問い合わせに対して、18個という非常に多くの結果が返送され(大きな数ではないがデータベースにおいて高いパーセンテージである)、これはそれらの特徴が不十分であると考えられることを意味する。
【0089】
ステップ3:第二のアノテーション反復。第二の反復において、概念「雪」が含められた。概念「雪」は、「は_で_覆われる」という関係を通じて「山」に関連している。今回は、問い合わせが行われたとき、3個のピクチャのみが、その概念と共にアノテートされて返送された。アノテーションは、所望されるコンテンツを検出することが可能となるよう十分に正確であると見なされ、さらなる反復は実行されなかった。
【0090】
記載された方法は、従って、検索を繰り返すか/変更するか、又は現在のアノテーションを最適であるとして受け入れるかどうかの判定に関する、実行時間のユーザーが定義可能なルールを組み入れる、イメージ及びビデオコンテンツ・セルフアノテーションのためのフィードバックループ処理を使用する。これは、例えば、高効率的な方法でビデオ及びイメージコンテンツの自動的セマンティック・アノテーションの使用を可能とし、上記のツールの使用を多数のコンテンツ収集の所有者のために現実的とさせる。
【0091】
図2は、本発明のある実施形態に従う方法を例示する。
方法はステップ201において開始され、縮約されたオントロジーが、第一のオントロジーから生成される。縮約されたオントロジーは、第一のオントロジーの概念のサブセットを備える。
【0092】
ステップ201の後にステップ203が続き、第一のアノテーション・データが、縮約されたオントロジーに基づくコンテンツ解析によって、コンテンツ・アイテムに関して決定される。
【0093】
ステップ203の後にステップ205が続き、第一のアノテーション・データの利用が監視される。
ステップ205の後にステップ207が続き、第一のアノテーション・データの利用が第一の判断基準と適合するかどうかが判定される。
【0094】
第一の判断基準と照合したとき、ステップ209においてプログラムが終了する。
さもなければ、方法は、ステップ211において継続し、第二のオントロジーが、第一のオントロジーから生成され、第一のアノテーション・データは、第二のオントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて変更される。
【0095】
ある実施形態において、方法は、第一のアノテーション・データを変更する処理を反復し得る。特に、方法は、ステップ211の後でステップ205に戻る。
明瞭化のための上記記載は、様々な機能的なユニット及びプロセッサに関連して本発明の実施形態を説明していることを理解されたい。しかしながら、様々な機能的な各ユニット間又は各プロセッサ間の機能の適切な配分が、本発明から逸脱すること無しに使用され得ることは明らかである。例えば、分離されたプロセッサ又はコントローラによって実行される機能は、同じプロセッサ又はコントローラによって実行され得る。従って、特定の機能的なユニットの参照は、厳密な論理的又は物理的な構造或いは機構を表すというよりはむしろ、説明した機能を提供するための適切な手段の参照としてのみ配慮される。
【0096】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の適した形式を実装できる。本発明は、一つ以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で実行するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に任意的に実装し得る。本発明の実施形態の要素及び構成要素は、任意の適した方法において、物理的に、機能的に及び論理的に実装し得る。実際に、機能は、単一のユニットにおいて、複数のユニットにおいて又は他の機能的なユニットの一部として実装し得る。上記のように、本発明は、単一のユニットにおいて実装し、又は異なるユニットとプロセッサとの間に物理的に且つ機能的に配分し得る。
【0097】
本発明は、ある実施形態に関連して記載されるが、本明細書に説明された特定の形式に制限することを意図しない。むしろ、本発明の範囲は、添付される請求項によってのみ制限される。加えて、特徴が、特定の実施形態に関連して記載されるように表し得るが、当業者は、記載された実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わされ得ることを理解されよう。請求項において、「備える」という用語は、他の要素又はステップの存在を除外しない。
【0098】
さらに、個々にリストされているが、複数の手段、要素又は方法ステップは、例えば、単一のユニット又はプロセッサによって実行され得る。加えて、個々の特徴が、異なる請求項に含まれ得るが、これらは、有利に組み合わされる可能性がある。異なる請求項における包含は、特徴の組み合わせが実行可能な及び/又は有利であることを暗示しない。さらに、請求項の一つのカテゴリーにおける特徴の包含は、このカテゴリーに制限することを暗示しないが、むしろ特徴が、適切に他の請求項カテゴリーに同等に適用可能であることを表示する。さらに、請求項における特徴の順位は、特徴が機能しなければならない、いかなる特徴的な順位も暗示しない。特に、方法の請求項における個々のステップの順位は、ステップが、この順位において実行されなければならないことを暗示しない。むしろ各ステップは、任意の適した順位において実行され得る。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明のある実施形態に従うコンテンツ・アイテムサーバーの例である。
【図2】本発明のある実施形態に従うコンテンツ・アイテムのアノテーションに関する方法の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ・アイテムをアノテーションするための装置であって、
第一オントロジーから、該第一オントロジーの概念のサブセットを含む縮約オントロジーを生成するための手段と、
前記縮約オントロジーに基づくコンテンツ解析によって前記コンテンツ・アイテムに関する第一アノテーション・データを判定するための手段と、
前記第一アノテーション・データの利用を監視するための監視手段と、
前記第一アノテーション・データの前記利用が第一判断基準と適合するかどうかを判定するための判断基準手段と、
前記第一アノテーション・データの前記利用が前記第一判断基準と適合しないときに、前記第一オントロジーから第二オントロジーを生成し、且つ前記第二オントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて前記第一アノテーション・データを変更するための変更手段と、
を備える装置。
【請求項2】
前記縮約オントロジーを生成するための前記手段は、さらに、概念のサブセットに関する第一コンテンツ記述データを生成するように構成され、前記コンテンツ解析は前記第一コンテンツ記述データに応じて実行される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記第二オントロジーの概念に関する第二コンテンツ記述データを生成するように構成され、前記第二オントロジーに基づく前記コンテンツ解析は、さらに前記第二コンテンツ記述データに応じて実行される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
複数のアノテートされたコンテンツ・アイテムを格納するための手段と、
前記第一オントロジーに基づく検索データに応じて前記複数のコンテンツ・アイテムを検索するための手段と、
前記検索データと前記第一アノテーション・データとの間の適合に応じて前記第一コンテンツ・アイテムを識別するための手段と、
をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第一判断基準は、前記第一コンテンツ・アイテムが検索に応じて識別された回数の評価を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第一判断基準は、前記第一コンテンツ・アイテムを識別する検索によって識別された他のコンテンツ・アイテムの数の評価を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第一コンテンツ・アイテムを識別するための前記手段は、どの位密接に前記第一コンテンツ・アイテムが前記検索データと適合するかの適合表示を生成するように構成され、前記第一判断基準は前記適合表示の評価を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記検索によって識別されたコンテンツ・アイテムの表示を前記装置のユーザーに提示するための手段と、
少なくとも一つの前記コンテンツ・アイテムのユーザー選択を受信するための手段と、をさらに備え、
前記第一判断基準は、前記第一コンテンツ・アイテムが前記ユーザーによって選択された回数の評価を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のコンテンツ・アイテムに関するアノテーションのレベルのアノテーション表示を判定するための手段をさらに備え、
前記第一判断基準が前記アノテーション表示の評価を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
ユーザー入力に応じて前記縮約オントロジーの概念のサブセットから概念を選択するための手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第一オントロジーの概念の使用頻度に応じて前記縮約オントロジーの概念のサブセットから概念を選択するための手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記縮約オントロジーは単一のドメインオントロジーであり、前記第二オントロジーは複数の異なるドメインオントロジーを含む組み合わされたオントロジーである、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第二オントロジーは前記縮約オントロジーより多くの概念を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記監視手段と前記判断基準手段と前記変更手段とは、使用様式が前記第一判断基準と適合しないときに、前記第二オントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて前記第二オントロジーと前記第一アノテーション・データとを繰り返して変更するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
ユーザーの入力無しに、前記第一アノテーション・データを生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第一アノテーション・データがセマンティック・アノテーションを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第一コンテンツ・アイテムはヴィジュアル・コンテンツ・アイテムである、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
コンテンツ・アイテムをアノテーションする方法であって、
第一オントロジーから、該第一オントロジーの概念のサブセットを含む縮約オントロジーを生成するステップと、
前記縮約オントロジーに基づくコンテンツ解析によって前記コンテンツ・アイテムに関する第一アノテーション・データを判定するステップと、
前記第一アノテーション・データの利用を監視するステップと、
前記第一アノテーション・データの前記利用が第一判断基準と適合するかどうかを判定するステップと、
前記第一アノテーション・データの前記利用が前記第一判断基準と適合しないときに、前記第一オントロジーから第二オントロジーを生成し、且つ該第二オントロジーに基づくコンテンツ解析に応じて前記第一アノテーション・データを変更するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−539190(P2009−539190A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513374(P2009−513374)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/069342
【国際公開番号】WO2007/146554
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】