説明

コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、およびコンテンツ表示システム

【課題】立体映像を観察するためのシャッタめがねの新たな利用分野を提供する。
【解決手段】コンテンツ再生装置300において、タイミング信号生成部306は、コンテンツを表示する表示パネル202を観察するユーザが装着するシャッタめがね400のレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号と、少なくとも前記シャッタが開くときに表示パネル202のバックライト208が点灯するよう指示するバックライト制御信号とを生成する。送信部308は、前記シャッタ制御信号をシャッタめがね400に送信する。タイミング信号生成部306は、バックライト208の点灯タイミングとシャッタめがね400のレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、およびコンテンツ表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、民生用テレビの高性能化が進み、奥行きを持った立体映像を提示することが可能な3次元テレビが普及してきている。このような3次元テレビを実現するための方式は種々存在するが、中には左目用の画像と右目用の画像とを交互に時分割で表示する映像を観察するためのシャッタ式のシャッタめがねを着用する方式が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
立体映像を観察するために専用のシャッタめがねを要する方式においては、当然のことながら、ユーザは必ずシャッタめがねを着用する。本発明者は、ユーザが必ずシャッタめがねを着用する点に着目し、本シャッタめがねを立体映像を観察するために利用するのみならず、新たな利用の可能性を探求できると考えた。
【0004】
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、立体映像を観察するためのシャッタめがねの新たな利用分野を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様はコンテンツ再生装置である。この装置は、コンテンツを表示する表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号と、少なくとも前記シャッタが開くときに前記表示パネルのバックライトが点灯するよう指示するバックライト制御信号と、を生成するタイミング信号生成部と、前記シャッタ制御信号を前記シャッタめがねに送信する送信部とを含む。ここで前記タイミング信号生成部は、前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更する。
【0006】
本発明の別の態様はコンテンツ再生方法である。この方法は、コンテンツを表示する表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号を生成するステップと、少なくとも前記シャッタが開くときに、前記表示パネルのバックライトの点灯を指示するバックライト制御信号を生成するステップと、前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更するステップと、前記シャッタ制御信号を前記シャッタめがねに送信するステップとをプロセッサに実行させる。
【0007】
本発明のさらに別の態様はコンテンツ表示システムである。このシステムは、コンテンツ再生装置と、前記コンテンツ再生装置の再生するコンテンツを表示する表示パネルと、前記表示パネルを観察するためのシャッタめがねとを含む。ここで前記コンテンツ再生装置は、前記表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号と、少なくとも前記シャッタが開くときに前記表示パネルのバックライトが点灯するよう指示するバックライト制御信号とについて、前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更可能とするタイミング信号生成部とを含み、前記シャッタめがねは、前記コンテンツ再生装置から前記シャッタ制御信号を取得し、当該シャッタ制御信号をもとに左右のレンズのシャッタタイミングを制御するシャッタタイミング制御部を含み、前記表示パネルは、前記コンテンツ再生装置から取得した再生すべきコンテンツの映像を表示する表示部と、前記コンテンツ再生装置から取得した前記バックライト制御信号をもとにバックライトを点灯させるバックライト駆動部とを含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、立体映像を観察するためのシャッタめがねの新たな利用分野を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】シャッタ式の3次元映像表示システムの概観を示す図である。
【図2】立体映像を表示する場合のシャッタめがねのシャッタのタイミングと、3次元テレビにおけるバックライトの点灯のタイミングとの関係を示す図である。
【図3】実施の形態に係るコンテンツ表示システムの機能構成を模式的に示す図である。
【図4】環境光を低減する場合のシャッタめがねのシャッタのタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとの関係を示す図である。
【図5】プライバシフィルタをかける場合のシャッタめがねのシャッタのタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとの関係を示す図である。
【図6】実施の形態に係るコンテンツ表示システムの処理や通信手順を時系列的に示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(前提技術)
実施の形態の前提となる3次元テレビシステムについて説明する。
【0012】
人間の左右の目は6cm程度離れているため、左目から見える映像と右目から見える映像には視差が生じる。3次元空間における物体を異なる視点から見た場合の画像を「視差画像」という。人間の脳は、左右の目で知覚した視差画像を利用して物体の奥行きを認識しているといわれている。そのため、左目で知覚される視差画像と右目で知覚される視差画像とをそれぞれの目に投影すると、人間は奥行きを持った映像として認識する。以下、左右の視差画像を含む映像を「立体映像」といい、3次元映像と同様の意味で用いる。
【0013】
図1は、視差画像を利用したシャッタ式の3次元映像表示システム100の概観を示す図である。3次元映像表示システム100は、視差画像を投影する3次元テレビ200、視差画像を見るために利用するシャッタめがね400、およびコンテンツ再生装置300を含む。
【0014】
3次元テレビ200は、コンテンツ再生装置300から取得した左目用の視差画像と右目用の視差画像とを交互に時分割で提示する。コンテンツ再生装置300は、3次元テレビ200の視差画像の表示タイミングを赤外線等の同期信号として無線で発信する。シャッタめがね400は、コンテンツ再生装置300から送信された同期信号を受信するための受信部(図示せず)を備えており、受信した同期信号に応じて左右のレンズにシャッタをかける。シャッタは、例えば既知の液晶シャッタの技術を用いることで実現できる。
【0015】
具体的には、3次元テレビ200が左目用の視差画像を表示する場合、シャッタめがね400はコンテンツ再生装置300から右目のレンズのシャッタを閉じるべき旨の信号を受信する。シャッタめがね400は、受信した信号をもとに右目のレンズのシャッタを閉じることで、ユーザの右目に入る映像を遮蔽する。これにより、3次元テレビ200が左目用の視差画像を表示する場合、ユーザの左目にのみ左目用の視差画像が投影される。反対に、3次元テレビ200が右目用の視差画像を表示する場合、シャッタめがね400が左目のレンズのシャッタを閉じることにより、ユーザの右目にのみ右目用の視差画像が投影される。
【0016】
図1はコンテンツ再生装置300と3次元テレビ200とが別の装置である場合について図示したものであり、コンテンツ再生装置300は例えば据置型のゲーム機である。コンテンツ再生装置300の機能の全部または一部は、3次元テレビ200の一部として組み込まれていてもよい。
【0017】
図2は、立体映像を表示する場合のシャッタめがね400のシャッタのタイミングと、3次元テレビ200における視差画像の表示のタイミングとの関係を示す図である。図2においては、時刻2tにおいて所定の時間(例えば10ミリ秒)シャッタめがね400の右目のシャッタが開くと同時に同じ期間3次元テレビ200の表示パネルのバックライトが点灯することを示している。また、時刻4tにおいて所定の時間シャッタめがね400の左目のシャッタが開くと同時に同じ期間3次元テレビ200の表示パネルのバックライトが点灯することを示している。それ以外の時刻においてはシャッタめがね400の右目のシャッタおよび左目のシャッタが閉じ、かつ3次元テレビ200の表示パネルのバックライトは消灯する。
【0018】
時刻2tにおいて3次元テレビ200が右目用の視差画像を表示してユーザの右目に右目用視差画像を提示し、時刻4tにおいて3次元テレビ200が左目用の視差画像を表示してユーザの左目に左目用視差画像を提示することで、ユーザに奥行き感のある3次元映像を提示することが可能となる。
【0019】
(実施の形態)
本発明の実施の形態の概要を述べる。実施の形態は、コンテンツが表示される表示パネルのバックライトの点滅周期に対するシャッタめがね400のシャッタの開閉周期を変更することにより、ユーザの目に投影される光の量を制御する。これにより、表示パネルの周囲に存在する光である環境光を低減したり、シャッタめがね400を着用しないユーザが表示パネルに表示される特定のコンテンツを見づらくなるよう制御したりする。
【0020】
図3は、実施の形態に係るコンテンツ表示システム500の機能構成を模式的に示す図である。コンテンツ表示システム500は、表示パネル202、コンテンツ再生装置300、およびシャッタめがね400を含む。
【0021】
コンテンツ再生装置300は、操作受付部302、プログラム実行部304、タイミング信号生成部306、および送信部308を含む。
【0022】
操作受付部302は、コンテンツ再生装置300に対する操作をユーザから受け付けるユーザインタフェースである。プログラム実行部304は、操作受付部302から取得した指示をもとに、コンテンツを実現するためのコンテンツプログラムを実行する。コンテンツプログラムとは、例えばインターネットの情報を閲覧するブラウザ、電子メールのクライアント、チャット、ゲームや映画、音楽等を再生するためのプログラム等である。プログラム実行部304は、コンテンツプログラムの実行画面を後述する表示パネル202に出力する。
【0023】
タイミング信号生成部306は、表示パネル202のバックライトの点灯を指示するためのバックライト制御信号と、表示パネル202を観察するユーザが装着するシャッタめがね400の、左右のレンズのシャッタの開閉を指示するためのシャッタ制御信号とを生成する。
【0024】
プログラム実行部304が実行するプログラムが、例えば立体映像のコンテンツのプログラムの場合、タイミング信号生成部306は、図2に示すように、左目用の視差画像をユーザの左目に投影し、右目用の視差画像をユーザの右目に投影するようにバックライト制御信号とシャッタ制御信号とを生成する。また、プログラム実行部304が実行するプログラムが、例えば電子メールクライアントのような通常の2次元のコンテンツのプログラムの場合、操作受付部302を介してユーザから特段の指示がない場合、タイミング信号生成部306はシャッタめがね400の左右のレンズは常に開いた状態となるシャッタ制御信号を生成する。
【0025】
送信部308は、タイミング信号生成部306が生成したシャッタ制御信号をシャッタめがね400に送信する。送信部308はまた、タイミング信号生成部306を介してプログラム実行部304から取得したコンテンツに含まれる音声信号を、シャッタめがね400に送信する。これらの送信は、例えば赤外線や近距離無線通信等の既知の技術を用いて実現される。
【0026】
表示パネル202は、表示部206、バックライト駆動部204、およびバックライト208を含む。表示パネル202は、例えば前述の3次元テレビ200の表示部分であり、液晶パネルの技術を用いて実現される。
【0027】
バックライト駆動部204は、タイミング信号生成部306から取得したバックライト制御信号をもとに、バックライト208を駆動する。表示部206は、プログラム実行部304から取得したコンテンツを表示する。バックライト208は、例えば発光ダイオード等、数ミリ秒程度で高速に応答して点滅できるものが好ましい。
【0028】
シャッタめがね400は、受信部402、音声再生部404、シャッタタイミング制御部406、左目シャッタ駆動部408、左目シャッタ410、右目シャッタ駆動部412、および右目シャッタを含む。
【0029】
音声再生部404は、受信部402を介してコンテンツ再生装置300から取得した、コンテンツ再生装置300にて再生中のコンテンツに含まれる音声信号を再生する。音声再生部404は、イヤフォンやヘッドフォン等の既知の技術で実現され、シャッタめがね400と一体に構成される。
【0030】
シャッタタイミング制御部406は、受信部402を介してコンテンツ再生装置300から取得したシャッタ制御信号をもとに、左目シャッタ駆動部408と右目シャッタ駆動部412との動作を制御する。左目シャッタ駆動部408は、シャッタタイミング制御部406の制御の下、シャッタめがね400の左目側のレンズのシャッタである左目シャッタ410を開閉する。同様に、右目シャッタ駆動部412は、シャッタタイミング制御部406の制御の下、シャッタめがね400の右目側のレンズのシャッタである右目シャッタ414を開閉する。
【0031】
図3は、実施の形態に係るコンテンツ表示システム500を実現するための機能構成を示しており、その他の構成は省略している。図3において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メインメモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メインメモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0032】
例えば、コンテンツ再生装置300が据置型のゲーム機であり、表示パネル202が3次元テレビ200の表示部という場合もある。また、コンテンツ再生装置300が携帯ゲーム機や携帯電話等の場合には、コンテンツ再生装置300と表示パネル202とは一体の装置となる。
【0033】
以下、タイミング信号生成部306が生成するバックライト制御信号とシャッタ制御信号との関係について説明する。表示パネル202のバックライト208が点灯しており、かつユーザの着用するシャッタめがね400の左目シャッタ410が開いているとき、ユーザの左目に表示パネル202の表示部206の画像が投影される。同様に、表示パネル202のバックライト208が点灯しており、シャッタめがね400の右目シャッタ414が開いているとき、ユーザの右目に表示部206の画像が投影される。
【0034】
これは逆に、表示パネル202のバックライト208が点灯していてもシャッタめがね400のシャッタが閉じているときは、ユーザの目には表示部206の画像は投影されない。また、シャッタめがね400のシャッタが開いていても、表示パネル202のバックライト208が消灯しているときは、ユーザの目には表示部206の画像は投影されない。
【0035】
そこで、タイミング信号生成部306は、シャッタ制御信号に制御されるシャッタめがね400の左目シャッタ410または右目シャッタ414のいずれかあるいは両方が開いているときには、少なくともバックライト制御信号に制御される表示パネル202のバックライト208が点灯している状態となるように、バックライト制御信号およびシャッタ制御信号を生成する。バックライト208が点灯していても、シャッタめがね400のいずれかのシャッタが開いているとは限らない。すなわち、バックライト208の点灯の頻度は、シャッタめがね400のシャッタの開く頻度と同じかそれよりも高い頻度となる。
【0036】
バックライト制御信号とシャッタ制御信号とを上記のように制御することによって、ユーザの目に投影される光の量を制御することが可能となる。例えばバックライト208が120[Hz]で点滅する場合を考える。このときバックライト制御信号とシャッタ制御信号とを同期させ、シャッタめがね400の両方のシャッタも120[Hz]で開閉する場合と、シャッタめがね400の両方のシャッタを30[Hz]で開閉する場合とでは、後者は前者と比較してユーザの目に投影される光は4分の1倍(30[Hz]/120[Jz]=1/4倍)の量となる。
【0037】
なお「ユーザの目に投影される光」には、表示パネル202から照射されるバックライト208を起源とする光のみならず、例えば太陽光のような自然光を起源とする光や、蛍光灯等の人工光源を起源とする光である環境光も含まれる。
【0038】
以上述べたバックライト制御信号とシャッタ制御信号とを同期することでユーザの目に投影される光の量を制御する技術を用いて、実施の形態に係るコンテンツ表示システム500で「環境光の低減」と「プライバシフィルタ」とを実現する原理を説明する。
【0039】
表示パネル202が、例えば太陽光のような、バックライト208の生成する光よりも強い光を発生する光源下におかれた場合、ユーザは表示パネル202の映像が見づらくなることがある。図4は、そのような強い環境光を低減する場合のシャッタめがね400のシャッタのタイミングと、バックライト208の点灯のタイミングとの関係を示す図である。
【0040】
図4は、通常の頻度の4分の1の頻度でバックライト208を点灯し、バックライト208が点灯しているときに、シャッタめがね400の両方のシャッタが開いていることを示す。通常の頻度でバックライト208が点灯する場合、時刻t、2t、および4tにおいても点灯するが、図4では時刻3tにおいてのみバックライト208がする。このようにすることにより、シャッタめがね400のシャッタが開いている間のみユーザの目に環境光が投影されるため、シャッタめがね400をかけない場合と比較してユーザの目に環境光が投影される環境光の量が減少する。この結果、ユーザの目に投影される環境光の量に対する、バックライト208を起源とする光の量が相対的に増加し、表示パネル202の視認性が向上する。表示パネル202に映像が表示されていない間にユーザの目に投影されていた環境光の量が削減されるからである。
【0041】
そこでタイミング信号生成部306は、環境光を低減する場合、バックライト208の点灯を通常の頻度よりも低い頻度で点灯させるバックライト制御信号を生成し、表示部206に表示される複数のコンテンツすべてについて、バックライト208の点灯とシャッタめがね400の左右のレンズのシャッタを開けるタイミングと同期させるシャッタ制御信号を生成する。
【0042】
図5は、プライバシフィルタをかける場合のシャッタめがね400のシャッタのタイミングと、バックライト208の点灯のタイミングとの関係を示す図である。ここで「プライバシフィルタをかける」とは、特定のコンテンツの表示について、シャッタめがね400を着用していないユーザからの視認性を低減させることをいう。プライバシフィルタは任意のコンテンツプログラムにかけることが可能であるが、例えば電子メールのような個人利用が想定されるコンテンツプログラムにかけることが考えられる。
【0043】
図5は、バックライト208は通常の頻度で点灯するが、シャッタめがね400の両方のシャッタは通常の頻度の4分の1のフレームレートで開閉することを示す。すなわち、バックライト208は時刻t、2t、3t、および4tにおいて点灯するが、シャッタめがね400の両方のシャッタは時刻3tにおいてのみ開く。
【0044】
プログラム実行部304は、操作受付部302を介してユーザから特定のコンテンツについてプライバシフィルタをかけるべき旨の指示を取得すると、図5における時刻3tにおいてのみ、コンテンツプログラムの実行画面を表示部206に出力する。プライバシフィルタをかけるべき旨の指示のない他のコンテンツについては、プログラム実行部304は、通常のフレームレートでコンテンツプログラムの実行画面を表示部206に出力する。すなわち、図5における時刻t、2t、3t、および4tにおいてコンテンツプログラムの実行画面を表示部206に出力する。なお、バックライト208は通常の点滅の頻度と、プログラム実行部304が表示部206に出力する通常のフレームレートとは同じである。
【0045】
シャッタめがね400を着用していないユーザが表示パネル202を観察すると、図5における時刻t、2t、および4tにおいてはプライバシフィルタのかかっていないコンテンツのみを知覚する。時刻3tにおいては、プライバシフィルタのかかっていないコンテンツとともに、プライバシフィルタのかかった特定のコンテンツも知覚する。このため、シャッタめがね400を着用していないユーザにとっては、時刻3tにおいてのみ表示されるプライバシフィルタのかかった特定のコンテンツと比較して、時刻t、2t、および4tにも表示されるプライバシフィルタのかかっていないコンテンツの印象が強くなる。その結果、プライバシフィルタのかかった特定のコンテンツは観察しづらくなる。
【0046】
一方、シャッタめがね400を着用したユーザが表示パネル202を観察すると、図5における時刻3tにおいて表示される映像のみ知覚する。したがってプライバシフィルタの有無に関わらずすべてのコンテンツを等しく観察することになるため、プライバシフィルタのかかった特定のコンテンツのみが観察しづらくなるということにはならない。
【0047】
なお、プライバシフィルタのかかった特定のコンテンツは、他のコンテンツに隠されないように、表示部206の最前面に表示する。また、プライバシフィルタをかけるべき指示はあらかじめ操作受付部302を介してユーザから取得し、タイミング信号生成部306内の格納部(図示せず)に格納される。ユーザは、プライバシフィルタをかけるべきか否かの指示を、操作受付部302を介していつでも変更することができる。
【0048】
このように、タイミング信号生成部306がシャッタめがね400の左右のレンズのシャッタを開ける頻度を通常の頻度よりも低い頻度となるようなシャッタ制御信号を生成し、同時に、プログラム実行部304がその頻度に同期するフレームレートで、プライバシフィルタをかけるべき特定のコンテンツを表示部206に出力する。これにより、特定のコンテンツについてプライバシフィルタをかけることできる。フィルム等の物理的なプライバシフィルタと比較して、コンテンツ毎にプライバシフィルタをかけるか否かを制御できる点で有利である。
【0049】
図6は、実施の形態に係るコンテンツ表示システム500の処理や通信手順を時系列的に示すシーケンス図である。図6に示すシーケンス図においては、各部の処理や通信手順を、ステップを意味するS(Stepの頭文字)と数字との組み合わせによって表示する。また、Sと数字との組み合わせによって表示した処理で何らかの判断処理が実行され、その判断結果が肯定的であった場合は、Y(Yesの頭文字)を付加して、例えば(S30のY)と表示し、逆にその判断結果が否定的であった場合は、N(Noの頭文字)を付加して、(S30のN)と表示する。本シーケンスにおける処理は、操作受付部302がユーザの操作を取得したときに開始する。
【0050】
操作受付部302は、ユーザからコンテンツプログラムの実行の指示、およびプライバシフィルタをかけるか否かの指示を受け付ける(S10)。プログラム実行部304は、指示されたコンテンツプログラムを実行する(S12)。
【0051】
タイミング信号生成部306は、プライバシフィルタをかけるか否かの指示をもとに、バックライト制御信号を生成する(S14)。タイミング信号生成部306はまた、プライバシフィルタをかけるか否かの指示をもとに、シャッタ制御信号を生成する(S16)。
【0052】
タイミング信号生成部306は、生成したバックライト制御信号をバックライト駆動部204に出力する(S18)。送信部308は、タイミング信号生成部306から取得したシャッタ制御信号をシャッタめがね400に無線で送信する(S20)。
【0053】
バックライト駆動部204はタイミング信号生成部306からバックライト制御信号を受信し(S22)、その信号をもとにバックライト208の点灯を制御する(S24)。受信部402は送信部308からシャッタ制御信号を受信する(S26)。シャッタタイミング制御部406は、受信部402から取得したシャッタ制御信号をもとに左目シャッタ駆動部408および右目シャッタ駆動部412の駆動をして、左目シャッタ410および右目シャッタ414の開閉を制御する(S28)。
【0054】
プログラム実行部304は、実行中のコンテンツの再生が終了しない場合(S30のN)、ステップS10に戻って上述の処理を継続する。バックライト駆動部204は、プログラム実行部304におけるコンテンツの再生が終了せずバックライト制御信号が送られてくる場合(S32のN)、ステップS22に戻って処理を継続する。受信部402も、プログラム実行部304におけるコンテンツの再生が終了せずシャッタ制御信号が送信されてくる場合(S34のN)、ステップS26に戻って処理を継続する。
【0055】
プログラム実行部304におけるコンテンツの再生が終了すると(S30のY)、(S32のY)、および(S34のY)、本シーケンスにおける処理は終了する。
【0056】
以上の構成による動作は以下のとおりである。ユーザは、コンテンツ再生装置300で任意のコンテンツを再生し、シャッタめがね400を着用して観察する。操作受付部302を介してコンテンツ再生装置300に環境光低減やプライバシフィルタをかけるべき旨の指示を出すと、タイミング信号生成部306はそれらの指示をもとにバックライト制御信号とシャッタ制御信号との同期の仕方を変更する。ユーザからの指示が特定のコンテンツにプライバシフィルタをかけるべき旨の指示の場合、プログラム実行部304はそのコンテンツについて、表示パネル202に出力する際のフレームレートを下げる。
【0057】
以上説明したように、実施の形態によれば、シャッタめがね400を立体映像を観察するためのみならず、通常の2次元映像表示における環境光の低減やプライバシフィルタとして利用するという新たな利用分野を提供することができる。
【0058】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0059】
上記の説明ではシャッタめがね400がひとつの場合について説明したが、シャッタめがね400は複数あってもよい。複数のシャッタめがね400に固有の識別子を定めることにより、コンテンツ再生装置300が複数のシャッタめがね400それぞれ一意に特定できるようにする。これにより、複数のユーザそれぞれにプライバシフィルタを実現したり、画面を時分割で共有したりすることで複数のユーザそれぞれに異なるコンテンツを提示することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
100 3次元映像表示システム、 200 3次元テレビ、 202 表示パネル、 204 バックライト駆動部、 206 表示部、 208 バックライト、 300 コンテンツ再生装置、 302 操作受付部、 304 プログラム実行部、 306 タイミング信号生成部、 308 送信部、 402 受信部、 404 音声再生部、 406 シャッタタイミング制御部、 408 左目シャッタ駆動部、 410 左目シャッタ、 412 右目シャッタ駆動部、 414 右目シャッタ、 500 コンテンツ表示システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示する表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号と、少なくとも前記シャッタが開くときに前記表示パネルのバックライトが点灯するよう指示するバックライト制御信号と、を生成するタイミング信号生成部と、
前記シャッタ制御信号を前記シャッタめがねに送信する送信部とを含み、
前記タイミング信号生成部は、前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記タイミング信号生成部は、前記表示パネルの周囲に存在する光である環境光を低減する場合、前記バックライトが通常よりも低い頻度で点灯するよう指示する前記バックライト制御信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツを実現するためのプログラムを実行して前記表示パネルに出力するプログラム実行部をさらに含み、
前記タイミング信号生成部は、複数の前記コンテンツのうち特定のコンテンツについてプライバシフィルタをかける場合、前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開く頻度を前記バックライトの点灯頻度よりも低い頻度となるよう指示する前記シャッタ制御信号を生成し、
前記プログラム実行部は、複数の前記コンテンツのうち特定のコンテンツについてプライバシフィルタをかける場合、前記シャッタめがねのレンズのシャッタの開くタイミングと同期して当該特定のコンテンツを前記表示パネルに出力することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
コンテンツを表示する表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号を生成するステップと、
少なくとも前記シャッタが開くときに、前記表示パネルのバックライトの点灯を指示するバックライト制御信号を生成するステップと、
前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更するステップと、
前記シャッタ制御信号を前記シャッタめがねに送信するステップとをプロセッサに実行させることを特徴とするコンテンツ再生方法。
【請求項5】
コンテンツを表示する表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号を生成する機能と、
少なくとも前記シャッタが開くときに、前記表示パネルのバックライトの点灯を指示するバックライト制御信号を生成する機能と、
前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更する機能と、
前記シャッタ制御信号を前記シャッタめがねに送信する機能とをコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
コンテンツ再生装置と、前記コンテンツ再生装置の再生するコンテンツを表示する表示パネルと、前記表示パネルを観察するためのシャッタめがねとを含むコンテンツ表示システムであって、
前記コンテンツ再生装置は、前記表示パネルを観察するユーザが装着するシャッタめがねのレンズのシャッタの開閉を指示するシャッタ制御信号と、少なくとも前記シャッタが開くときに前記表示パネルのバックライトが点灯するよう指示するバックライト制御信号とについて、前記バックライトの点灯タイミングと前記シャッタめがねのレンズのシャッタを開くタイミングとの少なくともいずれか一方を変更可能とするタイミング信号生成部とを含み、
前記シャッタめがねは、前記コンテンツ再生装置から前記シャッタ制御信号を取得し、当該シャッタ制御信号をもとに左右のレンズのシャッタタイミングを制御するシャッタタイミング制御部を含み、
前記表示パネルは、前記コンテンツ再生装置から取得した再生すべきコンテンツの映像を表示する表示部と、前記コンテンツ再生装置から取得した前記バックライト制御信号をもとにバックライトを点灯させるバックライト駆動部とを含むことを特徴とするコンテンツ表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−249930(P2011−249930A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118666(P2010−118666)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】