説明

コンテンツ再生装置及びコンテンツ再生プログラム

【課題】個別に適切な付加価値のある映像情報を付与したコンテンツを提供する。
【解決手段】画面に表示された番組を撮影した画像を用いてコンテンツを再生するコンテンツ再生装置において、前記番組が表示された画面を含む画像を取得するための撮像手段と、前記撮像手段により得られる画像に対する再生内容を設定する再生内容設定手段と、前記再生内容設定手段により得られる設定情報に基づいて、前記撮像手段により得られる画像の予め設定された位置に対し、所定のオブジェクトを表示させた画像を再生する再生手段とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置及びコンテンツ再生プログラムに係り、特に個別に適切な付加価値のある映像情報を付与したコンテンツを提供するためのコンテンツ再生装置及びコンテンツ再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、テレビ局等で様々な番組が制作されている。制作された番組は、放送波等により各視聴者の家庭等に送信され、送信された家庭等のテレビ受像機に表示されることで、各視聴者に提供される。
【0003】
また、従来では、コンピュータを用いて自動的に番組制作する仕組みが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す手法では、テレビのニュース番組等の制作において、番組記述言語であるTVML(TV program Making Language)を用い、演出データや情報データを入力することで自動的に番組制作を行っている。
【0004】
TVMLは、テレビ番組を制作するためのオブジェクトベースの記述言語であり、テレビ番組の映像や音声等を、素材データと台本(演出内容等)とに分けて記述することができ、制作側で台本を記述することで、テレビ受像機やPC(Personal Computer)等で動作するソフトウェア等がこれを読み取り、台本に記述された素材データを取得して、即座にテレビ番組として再生・視聴することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−24610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述したような従来の番組制作では、例えば番組に登場するCG(Computer Graphics)キャラクタや演出データ等の設定を行った場合に、その設定に基づいて表示される番組が、テレビ受像機やPC等の画面に表示される。例えば、特許文献1に示されているような手法では、演出データや情報データを、その設定を行う所定の視聴者(ユーザ)の嗜好情報(例えば、好きなジャンル等)に対応させて設定することで、その視聴者の好みに合った専用の番組を表示することができる。
【0007】
しかしながら、例えば1つのテレビ受像機の画面に表示された番組を複数の視聴者(例えば、家族や兄弟)等で視聴する場合、上述した嗜好情報は所定の視聴者である1個人の情報であるため、設定した嗜好情報に対応する視聴者のみしか満足することができず、視聴する複数の視聴者の全てに個別の付加価値のある映像情報を与えることはできない。したがって、例えば、同時に視聴する視聴者の一人が難聴者である場合には、その視聴者だけ手話を表示するといった個別に適切な付加価値のある映像情報を与える方法は存在していなかった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、個別に適切な付加価値のある映像情報を付与したコンテンツを提供するためのコンテンツ再生装置及びコンテンツ再生プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0010】
本発明は、画面に表示された番組を撮影した画像を用いてコンテンツを再生するコンテンツ再生装置において、前記番組が表示された画面を含む画像を取得するための撮像手段と、前記撮像手段により得られる画像に対する再生内容を設定する再生内容設定手段と、前記再生内容設定手段により得られる設定情報に基づいて、前記撮像手段により得られる画像の予め設定された位置に対し、所定のオブジェクトを表示させた画像を再生する再生手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、コンピュータを、上述したコンテンツ再生装置が有する各手段として機能させるためのコンテンツ再生プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、個別に適切な付加価値のある映像情報を付与したコンテンツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態におけるコンテンツ再生システムの概略構成例を示す図である。
【図2】コンテンツ提供サーバにおける機能構成の一例を示す図である。
【図3】携帯端末における機能構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態におけるコンテンツ提供の具体例を説明するための図である。
【図5】本実施形態における携帯端末の移動検知時における画面表示例を示す図である。
【図6】視聴環境と仮想スタジオとの対応関係を説明するための図である。
【図7】仮想カメラの制御パラメータの具体的を説明するための図である。
【図8】携帯端末の動きに対応するCGキャラクタ制御の一例を示す図である。
【図9】コンテンツ再生処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明について>
本発明は、例えばテレビ番組(以下、「放送番組」、「番組」ともいう)等のコンテンツを表示している表示装置(例えば、テレビ受像機、PCのディスプレイ、携帯端末の表示部等)の画面を撮影した画像(映像も含む)に、個別の付加価値のある映像情報等を付与して視聴者に提供する。具体的には、本発明では、例えば放送されているテレビ番組がテレビ受像機の画面に表示されている場合に、その表示されている画面を撮影し、その撮影したカメラの画角等に対応した画像の空間上に、CGキャラクタや小道具等のオブジェクトを表示したり、表示したオブジェクトにテレビ番組の内容に合わせて所定の演出(例えば、手話等)を行わせる等の処理を行う。
【0015】
更に、本発明は、上述したように表示装置の画面を撮影する場合に用いられる装置として、例えば容易に持ち運びが可能な携帯端末(例えば、タブレットPCや携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機器、ノート型PC等を含む)等を用いることとし、表示装置の画面を撮影する携帯端末を移動させると、表示装置と携帯端末との位置関係に応じて、上述したオブジェクトの向きや動作を変化させることができる。これにより、多方面からCGキャラクタ等を表示することができ、例えば手話の手が見える方向を変化させる等の高い付加価値のある映像情報等を付与することができる。
【0016】
以下に、上述したような特徴を有する本発明におけるコンテンツ再生装置及びコンテンツ再生プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
なお、本実施形態では、コンテンツの一例として番組を用いる。また、本実施形態では、番組の再生等に用いられるスクリプトの一例として、TVMLを用いることとするが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0018】
<コンテンツ再生システムの概略構成例>
図1は、本実施形態におけるコンテンツ再生システムの概略構成例を示す図である。図1に示すコンテンツ再生システム10は、コンテンツ提供サーバ11と、表示装置としてのテレビ受像機12と、コンテンツ再生装置としての1又は複数の携帯端末13(図1の例では、携帯端末13−1、13−2)とを有するよう構成されている。なお、コンテンツ提供サーバ11と、携帯端末13とは、例えばインターネット回線や、無線通信回線等の通信ネットワーク14を介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0019】
コンテンツ提供サーバ11は、予め蓄積されている画像や映像、音声、テキストデータ等の各種データに基づいて、視聴者に提供するテレビ番組等の制作を行う制作側の装置である。なお、コンテンツ提供サーバ11は、放送局であってもよい。
【0020】
コンテンツ配信サーバ11は、制作したテレビ番組を、例えば図1に示す放送波等を用いて視聴者側の表示装置12(図1の例では、テレビ受像機)に出力する。なお、テレビ番組の送信手法は、放送波に限定されるものではなく、例えばテレビ受像機12ではなくPCに送信される場合には、コンテンツ提供サーバ11からストリーム信号等により配信されてもよい。
【0021】
また、コンテンツ提供サーバ11は、放送波により視聴者側に送信したテレビ番組に相当するTVMLスクリプトを、通信ネットワーク14を介して携帯端末13−1,13−2に出力する。これにより、本実施形態では、携帯端末13側で、テレビ受像機12の画面に表示される番組に対応するCGデータ(例えば、CGキャラクタや小道具等の各種オブジェクトや、画像、映像等を含む)等を個別に取得することができる。したがって、視聴者毎に適切な付加価値のある映像情報等を付与したコンテンツを提供することができる。
【0022】
テレビ受像機12は、コンテンツ提供サーバ11から送信されたテレビ番組を表示する第1の表示手段である。なお、テレビ受像機12は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ等の一般的な表示装置を用いることができるが本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0023】
携帯端末13−1,13−1は、それぞれ個別の視聴者15−1,15−2が所持するものであり、カメラ等の撮像手段、及び撮像した画像(映像も含む)を表示することができる表示手段(第2の表示手段)を有する。携帯端末13は、テレビ受像機12(第1の表示手段)の画面に表示されている番組を撮像手段により撮影することで、第2の表示手段に表示させることができる。なお、携帯端末13は、例えばカメラ付きの携帯電話端末や、タブレット型PC、HMD(Head Mounted Display)等の一般的な端末を用いることができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0024】
このとき、携帯端末13は、本実施形態におけるソフトウェア(アプリケーション)等により、テレビ受像機12の画面が撮影された映像に対して、CGキャラクタ等のオブジェクト16を空間的に重ねて表示させることで、その携帯端末13毎の各視聴者に個別の付加価値のある映像情報を付与する。これにより、携帯端末13−1,13−2で表示される映像は、テレビ受像機12に表示される番組の映像を撮影しているものであっても、それぞれ異なる映像を付加的に表示させることができる。なお、携帯端末13で撮影された実写映像のテレビ受像機12の画面は、必ずしも実際に表示されている映像である必要はなく、例えば携帯端末13に付属する受信機において受信したテレビ番組を重ねて表示したり、携帯端末13で個別に生成する映像を重ねて表示することもできる。
【0025】
つまり、本実施形態では、図1に示すようにテレビ受像機12と携帯端末13間の空間を3次元の仮想スタジオとして利用し、その空間にオブジェクト16が存在しているように携帯端末13の画面に表示させるものである。したがって、携帯端末13の画面から表示される内容は、仮想カメラ(CGカメラ)で撮影された内容となる。
【0026】
なお、付加価値のある映像情報の必要のない視聴者がいる場合には、携帯端末13を介して番組を見る必要はなく、テレビ受像機12の画面に表示される番組をそのまま視聴すればよいことになる。
【0027】
また、視聴端末13には、コンテンツ提供サーバ11から通信ネットワーク14を介してテレビ受像機12で再生される番組に対応するTVMLスクリプトが送信される。したがって、視聴端末13は、コンテンツ提供サーバ11から得られたTVMLスクリプトの内容に基づいてオブジェクト16の生成を行い、番組表示に対応させたオブジェクトの表示や演出等を行うことができる。
【0028】
ここで、図1に示すコンテンツ再生システム10を構成するコンテンツ提供サーバ11、テレビ受像機12、及び携帯端末13の台数については、図1に示す台数に限定されるものではなく、それぞれの装置を1又は複数にすることができる。つまり、本実施形態では、コンテンツ提供サーバ11、テレビ受像機12、及び携帯端末13の台数の関係をL:M:N(L、M、Nは1以上)とすることができる。次に、本実施形態の主な構成である上述したコンテンツ提供サーバ11及び携帯端末13の機能構成例について具体的に説明する。
【0029】
<コンテンツ提供サーバ11:機能構成例>
図2は、コンテンツ提供サーバにおける機能構成の一例を示す図である。図2に示すコンテンツ提供サーバ11は、入力手段21と、出力手段22と、蓄積手段23と、台本生成手段24と、番組スクリプト生成手段25と、番組制作手段26と、配信制御手段27と、再生手段28と、送受信手段29と、制御手段30とを有するよう構成されている。
【0030】
入力手段21は、管理者や番組制作者(ユーザ)等からの台本(演出)の生成指示や、番組スクリプト生成指示、番組制作指示、配信制御指示、再生指示、送受信指示等の各種の入力を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0031】
出力手段22は、入力手段21により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成されたデータや制作された番組等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段22は、ディスプレイ等の画面表示デバイスやスピーカ等の音声出力デバイス等を有する。なお、本実施形態における入力手段21及び出力手段22は、例えばタッチパネル等のように、入力及び出力の両方の機能を有する形態であってもよい。
【0032】
蓄積手段23は、例えば番組台本(以下、単に「台本データ」ともいう)、素材データ、番組制作エンジン、スクリプト、番組等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。
【0033】
具体的には、生成される番組に対する全ての演出内容が記述された番組台本、番組台本に記述されている番組を生成するための画像や映像、音声、テキストデータ等の各種データからなる複数の素材データ(キャラクタ、セット、音声、動作、静止画、動画等)、番組の演出内容や番組を構成する上で必要な番組制作エンジン、制作した番組対応するTVMLスクリプト、TVMLスクリプトにより生成された番組等が蓄積されている。
【0034】
なお、番組制作エンジンとは、例えば番組に登場するCGキャラクタや、番組における1つの動作の単位で「タイトル表示」、「ズームイン」、「CGキャラクタの動作」等のイベントが予め定義されたものである。本実施形態では、番組制作エンジンを用いることで、例えば番組の内容を表す台本データからのテキストデータ等を入力すると、それを元に番組の自動生成に必要なTVMLスクリプトを出力することができる。
【0035】
また、蓄積手段23は、その他の各種設定情報等を蓄積する。なお、蓄積手段23は、上述した各種データを通信ネットワーク14等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0036】
台本生成手段24は、テレビ受像機12に送信され、視聴者に提供される番組を制作するための演出情報等を含めた台本データを生成する。また、台本生成手段24は、携帯端末13に送信され、視聴者に提供される番組にオブジェクトが付加されたコンテンツ(番組)を提供するための台本データを生成する。
【0037】
したがって、台本生成手段24は、テレビ受像機12に送信する番組が既に制作されている場合には、その番組に対応させた台本データのみが生成される。したがって、例えば実写等の番組が既に制作されている場合、台本生成手段24は、その番組を1つの映像データとみなし、その映像データに対してCGキャラクタのオブジェクト等を携帯端末13の画面に表示させるための台本データを生成する。なお、台本生成手段24は、生成した台本データを蓄積手段23に蓄積する。
【0038】
番組スクリプト生成手段25は、台本生成手段24等により生成された台本データや、蓄積手段23に蓄積された素材データ、番組制作エンジン等を用いてテレビ受像機12に送信する番組に対応する番組スクリプト(例えば、TVMLスクリプト)を生成する。このスクリプトには、番組に対する演出情報等が含まれ、更に付加的に携帯端末13の画面に表示されるCGキャラクタや机や椅子等の各種オブジェクト、各オブジェクトに対する動作等の設定情報も含まれる。また、番組スクリプト生成手段25は、生成されたスクリプトを蓄積手段23に蓄積する。
【0039】
番組制作手段26は、番組スクリプト生成手段25により生成された番組スクリプトに対応させて、実際にテレビ受像機12に表示させる番組を制作する。なお、本実施形態では、一例として番組制作手段26で生成される番組をTVMLに基づく仮想空間上の番組としているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、実写等の番組を制作してもよい。この場合には、例えば実空間のスタジオで1又は複数のカメラにより撮影された映像に対し、番組制作者等が入力手段21等を用いて指示した編集内容(例えばワイプ等の画面の切り替えやテロップの挿入)等に基づいて、所定の番組を制作する。番組制作手段26は、制作された番組を蓄積手段23に蓄積する。
【0040】
配信制御手段27は、視聴者側に対して番組や番組スクリプト等を送信する。具体的には、配信制御手段27は、制作された番組をテレビ受像機12に放送波等により送信する。また、配信制御手段27は、送信された番組に対応する番組スクリプトを視聴者の携帯端末13に配信する。なお、配信制御手段27は、例えば携帯端末13から、現在視聴している番組に対する番組スクリプトの問い合わせがあった場合等に、その対応する番組スクリプトを配信するように制御してもよい。
【0041】
再生手段28は、番組スクリプト生成手段25により生成された番組スクリプト(TVMLスクリプト)を再生し、その映像又は音声等を、出力手段22を用いてビューアーとして表示させる。本実施形態では、上述した再生手段28の機能を「TVMLプレイヤ」という。また、再生手段28は、再生された番組を蓄積手段23に蓄積する。
【0042】
送受信手段29は、通信ネットワーク14を介して制御データ、番組、番組スクリプト(TVMLスクリプト)、番組制作エンジン、素材データ、台本データ等の各種データを、コンテンツ再生システム10を構成するテレビ受像機12や携帯端末13に送信したり、テレビ受像機12や携帯端末13、その他の端末等から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0043】
具体的には、送受信手段29は、例えば番組をテレビ受像機12に送信すると共に、TVMLスクリプトを携帯端末13に送信する。また、送受信手段29は、携帯端末13からのTVMLスクリプト取得要求(問い合わせ)等を受信することができ、その要求に対応するTVMLスクリプトやそれに伴う素材データ、番組制作エンジン等を要求のあった携帯端末13に送信することができる。
【0044】
制御手段30は、コンテンツ提供サーバ11における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段30は、入力手段21により入力された管理者や番組制作者等からの入力情報に基づいて、台本データを生成したり、番組や番組スクリプトを生成したり、番組を制作したり、配信を制御したり、番組を再生する等の各種制御を行う。
【0045】
<携帯端末13:機能構成例>
次に、上述したコンテンツ再生システム10における携帯端末13の機能構成例について図を用いて説明する。図3は、携帯端末における機能構成の一例を示す図である。図3に示す携帯端末13は、入力手段31と、第2の表示手段としての出力手段32と、蓄積手段33と、撮像手段34と、再生内容設定手段35と、再生手段36と、移動検知手段37と、送受信手段38と、制御手段39とを有するよう構成されている。
【0046】
入力手段31は、視聴者(ユーザ)等からの撮影指示や、再生内容設定指示、再生指示、移動検知指示等の各種の入力を受け付ける。なお、入力手段31は、例えば操作ボタン、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0047】
出力手段32は、入力手段31により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや番組等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段32は、ディスプレイ等の画面表示デバイスやスピーカ等の音声出力デバイス等を有する。なお、本実施形態における入力手段31及び出力手段32は、例えばタッチパネル等のように、入力及び出力の両方の機能を有する形態であってもよい。
【0048】
蓄積手段33は、例えば番組スクリプト(TVMLスクリプト)、番組制作エンジン、素材データ等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。蓄積手段33は、例えば撮像手段34により撮影された画像(映像を含む)や再生内容設定手段35により設定された設定情報、再生手段36により再生された内容、移動検知手段37により得られる検知結果等を蓄積する。
【0049】
なお、蓄積手段33により蓄積されたデータは、必要に応じて読み出しや書き込みを行うことができる。また、蓄積手段33は、その他の各種設定情報等を蓄積する。更に、蓄積手段33は、上述した各種データを通信ネットワーク等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0050】
撮像手段34は、カメラ等により所定の画角からなる画像を撮影する。なお、本実施形態では、撮像手段34によりテレビ受像機12の画面を含む画像が撮影される。
【0051】
なお、テレビ受像機12は、映像として撮影する場合に映像中の全フレームで撮影されていてもよく、また、一部のフレームで撮影されていてもよい。したがって、本実施形態では、撮像手段34により撮影される映像の1フレーム以上にテレビ受像機12の全画面が含まれているのが好ましい。また、本実施形態では、映像の一部にテレビ受像機12の画面が含まれていればよく、サイズは特に制限されるものではないが、画面全体に対して肉眼で視認できる程度の所定の割合以上の画面であることが好ましい。もし肉眼で視認できれば、番組に対する付加価値のある映像情報を与えていることが視聴者に容易に把握させることができるからである。
【0052】
再生内容設定手段35は、例えば番組再生時に付加価値のある映像情報として表示させるオブジェクトの種類(例えば、CGキャラクタや椅子、小道具、表、グラフ、商品等)や表示(合成)する位置(領域)、大きさ、色、表示内容、演出内容、携帯端末13から表示される画像の画角等の設定(例えば、仮想カメラの制御パラメータ(カメラパラメータ))等の各種再生内容を設定する。また、再生内容設定手段35は、再生内容として、移動検知手段37により検知した携帯端末13自体の移動内容に基づき、オブジェクトの動作内容等を設定する。
【0053】
ここで、再生内容の設定は、例えば視聴者が入力手段31等を用いて各条件に対する設定を入力することで行ってもよい。また、再生内容設定手段35は、例えば撮像手段34により得られる画像に対して画像解析を行い、その画像中に含まれるテレビ受像機12の画面枠の位置や大きさ、傾き等のうち、少なくとも1つを取得し、その取得結果に基づいて、上述したオブジェクトの再生内容等を設定してもよい。更に、再生内容設定手段35は、テレビ受像機12の画面に表示されている番組を画像解析し、その結果から得られる情報に基づいて、個別の再生制御を行うための条件を設定することができる。
【0054】
これにより、本実施形態では、例えば番組の表示されている画像を解析し、番組の最初又は最後、或いは予め設定された特有の表示やテロップ、スーパーインポーズ等が表示された場合に、その表示に対応するオブジェクトの表示や非表示、オブジェクトの動作内容等を制御することができる。更に、本実施形態では、例えばテロップの内容に合わせて、CGキャラクタに手話を行わせることもできる。
【0055】
なお、上述した画像解析手法としては、画像に含まれる画素毎の輝度情報等に基づいて所定形状の物体の位置や大きさ、表示される文字等を抽出することができる。なお、画像解析により物体の位置や大きさ等を読み取る場合には、例えば視聴者が入力手段31等を用いて画像解析を行う領域を入力したり、テレビ受像機12の画面サイズ等を入力することで、より迅速且つ高精度な画像解析を実現することができる。
【0056】
更に、本実施形態では、携帯端末13をテレビ受像機12に対して相対的に移動させることで、表示するオブジェクトの再生内容を変更することもできる。この場合、再生内容設定手段35は、撮影された映像中に含まれる複数のフレーム同士でテレビ受像機12の位置情報の差分と取り、その差分情報から得られる移動状況に応じて上述した再生内容を設定することもできる。なお、このような携帯端末13の移動に対してオブジェクトの再生内容を設定する場合、再生内容設定手段35は、移動検知手段37から得られる検知結果を利用して再生内容を設定することもできる。また、再生内容設定手段35は、上述した差分情報及び検知結果に基づいて再生内容を設定することもできる。
【0057】
なお、上述した再生内容の設定情報は、上述したコンテンツ提供サーバ11から通信ネットワーク14を介してTVMLスクリプトと共に送信されることで取得してもよい。更に、再生内容の設定情報は、放送波やストリーム信号等により番組と共に送信されてもよい。その場合、テレビ受像機12に番組と共に再生内容の設定情報が表示され、それを撮像手段34で撮影して画像解析することで、その設定情報を取得してもよい。
【0058】
再生手段36は、コンテンツ提供サーバ11で生成したTVMLスクリプトを再生し、映像又は音声等により出力手段32によりビューアーとして表示させる。なお、本実施形態では、上述した再生手段36の機能を「TVMLプレイヤ」という。具体的には、再生手段36は、例えば再生内容設定手段35で設定された再生内容に基づいて、撮像手段34で撮像された映像にオブジェクトを合成した映像を編集し、編集された映像のコンテンツを再生する。これにより、再生手段36により再生されたコンテンツは、例えば出力手段32のディスプレイ等により表示させることができる。
【0059】
移動検知手段37は、携帯端末13自体の移動(動き)を検知する。また、移動検知手段37は、移動時の位置情報等を取得する。なお、移動検知手段37は、例えば一般的な加速度センサやジャイロセンサ等を用いることができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。本実施形態では、移動検知手段37から得られる移動検知内容(位置情報等)に基づいて再生内容設定手段35により再生内容を設定することができ、対応するCGキャラクタ等のオブジェクトの動作が設定され、それに伴い各携帯端末13に対して個別のコンテンツ表示が行われる。
【0060】
送受信手段38は、通信ネットワークを介して制御データ、撮影された画像(映像も含む)、設定された再生内容、再生された番組、移動検知結果等の各種データを、コンテンツ再生システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0061】
制御手段39は、携帯端末13における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段39は、入力手段31により入力された視聴者からの入力情報に基づいてテレビ受像機12を撮影したり、再生内容を設定したり、再生内容に基づいて番組を表示したり、移動検知を行う等の各種制御を行う。
【0062】
<コンテンツ提供の具体例>
次に、本実施形態におけるコンテンツ提供の具体例について図を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるコンテンツ提供の具体例を説明するための図である。なお、図4の例では、放送局側(コンテンツ提供サーバ11)と、視聴者側(携帯端末13)との具体的なデータの流れを簡略化して示したものである。
【0063】
本実施形態では、図4に示すように、コンテンツ提供サーバ11の蓄積手段23から得られる上述した素材データ、番組制作エンジン及び台本データ等に基づいて再生手段28としてのTVML再生機能(TVMLプレイヤ)により再生された放送番組が放送波により視聴者側のテレビ受像機12に出力される。
【0064】
また、コンテンツ提供サーバ11は、上記番組に対応する蓄積手段23の素材データ及び台本データを携帯端末13に送信する。なお、図4の例において、番組制作エンジンは、既に携帯端末13が有しているデータであるものとし、送信を行っていない。
【0065】
なお、上述したデータの送信は、例えば放送番組の送信と同時でもよく、異なる時間であってもよい。なお、時間が異なる場合には、テレビ受像機12における番組の表示の前に携帯端末13が素材データ及び台本データを取得しているのが好ましい。これにより、テレビ受像機12による番組表示のタイミングに合わせて視聴者(携帯端末)毎に個別の付加価値のある映像情報を与えたコンテンツを提供することができる。
【0066】
また、本実施形態では、視聴者側からの要求に応じて、放送局側が素材データ及び台本データを生成し、生成したデータを送信するようにしてもよい。これにより、要求のない視聴者(携帯端末13)に対しては余計なデータを送信する必要がないため、効率的なデータ伝送を行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、予めテレビ受像機12毎に識別情報を設定しておき、放送局側で、例えばテレビ受像機12の電源がON/OFFのどちらになっているか等の情報や、そのテレビ受像機12が何の番組を見ているかの情報を上述した識別情報と共に取得し、取得した識別情報に対応して設定されている視聴者の携帯端末13に対して、その視聴している番組に対応する素材データ及び台本データを送信することもできる。これにより、テレビ受像機12に対応させて所定の視聴者の携帯端末13のみを対象として付加データを送信することで、より効率的なデータ伝送を実現することができる。
【0068】
また、図4において、視聴者側(携帯端末13)では、再生内容設定手段35により設定される再生内容に対応するTVMLフィルタやコマンドの挿入/削除等の処理により設定された情報を再生手段36としてのTVML再生機能(TVMLプレイヤ)に出力する。なお、TVMLフィルタとは、TVMLスクリプトの内容にオブジェクトに対する再生内容の記述や仮想カメラ(携帯端末13で表示される映像)の制御パラメータ等の記述において、視聴者が設定した内容との重複部分がある場合に、それらの記述をフィルタリング(削除)するものである。
【0069】
なお、削除した記述内容は、蓄積手段33等に一次的に蓄積しておき、視聴者が設定した再生内容を解除した場合には、その蓄積した再生内容により再生を行うこともできる。また、削除した部分には、視聴者がコマンドの挿入等を行うことができる。
【0070】
更に、本実施形態では、図4に示すように、再生内容設定手段35としての再生制御ソフトウェアにより、テレビ受像機から得られる画像を解析して再生内容を設定することもできる。また、再生制御ソフトウェアは、放送中のテレビ番組のEIT(Event Information Table)やイベントメッセージで伝送される時刻情報等を、例えばテレビ受信機12やインターネット等により放送局側から受信し、受信した情報を用いて、再生手段36としてのTVML再生機能に対してTVMLスクリプトの再生タイミングの制御を行うこともできる。
【0071】
また、携帯端末13は、撮像手段34としてのカメラ撮影機能によりテレビ受像機12からの映像を取得し、再生手段36により本実施形態における上述した再生を行い、映像、音声等を出力する。
【0072】
再生手段36としてのTVML再生機能は、例えばカメラ撮影機能による実写映像を素材の一つとし、例えば仮想スタジオ内に再生内容に基づくオブジェクト(例えば、CGキャラクタ)の背景映像として表示する。
【0073】
これにより、テレビ受像機12に表示されている番組(例えば、実写映像)に対して、付加情報として番組に対応する手話情報を表現するTVMLスクリプトをインターネットにより配信した場合、例えば携帯端末13上で手話映像のオブジェクト(例えば、CGキャラクタ)を生成し、テレビ受信機12の映像を背景として合成して携帯端末13の画面上に表示することができる。つまり、テレビ受像機12と携帯端末13との間にある実空間を仮想スタジオとして利用することができる。なお、オブジェクトの表示の有無は、各携帯端末13により個別に設定することができるため、個別のコンテンツ表示を実現することができる。
【0074】
更に、本実施形態では、移動検知手段37として加速度センサやジャイロセンサ等を用いることにより、例えば上述したテレビ受信機12の画面枠が認識できない場合等であっても、テレビ受像機12に映像が表示されていない場合(例えば、電源OFFの場合)や、画角内にテレビ受像機12の枠全部が入っていない場合等の状況下においても携帯端末13の画面に表示されるオブジェクトの再生内容の制御等を行うことができる。
【0075】
<携帯端末13の移動検知時における画面表示例>
次に、本実施形態における携帯端末13の移動検知時における画面表示例について図を用いて説明する。図5は、本実施形態における携帯端末の移動検知時における画面表示例を示す図である。また、図6は、視聴環境と仮想スタジオとの対応関係を説明するための図である。
【0076】
ここで、図5(a),(b)は、携帯端末13によりテレビ受像機12の撮影する位置を移動した場合の図を示し、図6(a)は、実際の視聴環境の見取り図を示し、図6(c)は、仮想スタジオでの見取り図を示している。
【0077】
例えば、図5(a)の状態では、携帯端末13が有する撮像手段34に設けられるカメラレンズにより撮影される撮影範囲(画角)にテレビ受像機12が含まれているとする。このとき、本実施形態では、テレビ受像機12と携帯端末13との間の撮影空間を仮想スタジオとして設定し、例えばオブジェクトとしてのCGキャラクタが図5、図6に示すように所定の立ち位置(領域)に表示される。なお、この所定の立ち位置(領域)は、再生内容の設定情報として予め蓄積されている。
【0078】
ここで、携帯端末13を図5(a)の状態から図5(b)の状態に移動した場合、携帯端末13のカメラ撮影機能(撮像手段34)によってテレビ受信機12を撮影することで、上述したようにテレビ受信機12の手前にCGキャラクタを合成することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態において、視聴者は、図6(a)に示すように、撮影中の携帯端末13を移動又は回転させることで、図6(b)に示すように、TVMLプレイヤの仮想カメラ(CGカメラ)をリアルタイムに移動又は回転させることができる。なお、本実施形態では、図6(b)に示すように、テレビ受像機12の位置にカメラ映像表示プレートを設定し、視聴環境における携帯端末13の動きに応じて仮想カメラを制御することができる。
【0080】
ここで、仮想カメラの制御パラメータの具体例について図を用いて説明する。図7は、仮想カメラの制御パラメータの具体的を説明するための図である。なお、図7(a)〜(c)は、それぞれパン(pan)、ティルト(tilt)、ロール(roll)について説明する図を示している。また、図7に示すX、Y、Zは、仮想カメラとして携帯端末13が撮影する空間上の座標を示している。
【0081】
本実施形態において、携帯端末13の移動に伴いオブジェクトの再生内容を設定する場合には、例えば携帯端末13で撮影する仮想カメラの制御パラメータを変更する。具体的には、図7(a)〜(c)に示すように、撮影中の携帯端末13を所定の時間内で移動させることで得られる移動量(△x,△y,△z)及び回転量(△pan,△tilt,△roll)等を制御パラメータの変更量として取得することで、再生内容を変更することができる。これにより、本実施形態では、例えば図5(a),(b)に示すようにCGキャラクタの表示される角度(向き)等を自由に変えることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、例えば携帯端末13の動きに応じてCGキャラクタの向きを携帯端末13の方に向き直して正対するように制御したり、「移動しないでください」や「上下に揺らさないでください」等の携帯端末13の動きに応じたメッセージを、CGキャラクタからの発言等によって音声出力をさせるように制御することができる。
【0083】
図8は、携帯端末の動きに対応するCGキャラクタ制御の一例を示す図である。図8の例では、CGキャラクタの向きをカメラ方向に正対させる例を示している。例えば、所定時間内に撮影中の携帯端末13が図8のように移動した場合には、仮想カメラの位置座標とCGキャラクタ自身の座標位置とを用いて、正対するための回転角度を算出する。これにより、本実施形態では、常にCGキャラクタが仮想カメラ(携帯端末13)に対して正面を向くように回転を行うことができる。更に、本実施形態では、上述した手法を利用して、CGキャラクタが仮想カメラの移動に合わせて追いかけてくるように制御することもできる。
【0084】
なお、上述した処理は携帯端末毎を行うことができる。そのため、本実施形態では、複数の携帯端末13が異なる位置から撮影をした場合であっても、それぞれの携帯端末13で表示されるCGキャラクタは、常に自分のカメラ方向を向くように制御することができ、個別に適切な付加価値のある映像情報を付与したコンテンツを提供することができる。
【0085】
更に、本実施形態では、仮想カメラ(携帯端末13)で撮影した画像に表示されるオブジェクトの例としては、例えば番組に関連する商品やその値段、販売店等を表示したり、番組の理解を促すための解説用の小道具や手話による情報提示を行うためのCGキャラクタを表示することができる。
【0086】
また、本実施形態では、オブジェクトとして番組に関連する城、迷路等のオブジェクトを表示し、仮想カメラの動きや位置に応じて城や迷路の中を移動したり、罠を仕掛けたり、別のCGキャラクタを表示させるといった、いわゆるゲームとしての機能を実現することもできる。また、本実施形態では、携帯端末13の表示画面にスイッチャーや音声フェーダ等を表示し、表示された内容に対して視聴者が指示入力することで、携帯端末13が表示するコンテンツ自体を制御し、例えば番組の制作等を行うこともできる。
【0087】
<実行プログラム>
ここで、上述した携帯端末13等のコンテンツ再生装置は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体、タッチパネル、操作ボタン、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示部、並びに外部と通信するためのインタフェースを備えたコンピュータ(ハードウェア)によって構成することができる。
【0088】
したがって、コンテンツ再生装置が有する各手段の機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0089】
つまり、上述した各構成における処理をコンピュータに実行させるための実行プログラム(コンテンツ再生プログラム)を生成し、例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバ等にそのプログラムをインストールすることにより、コンテンツ再生処理を実現することができる。
【0090】
次に、本発明における実行プログラムによる処理手順についてコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0091】
<コンテンツ再生処理手順>
図7は、コンテンツ再生処理手順の一例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートにおいて、まず、携帯端末13は、カメラ(撮像手段34)から実写映像を取込み(S01)、テレビ受像機12が映っているか否かを判断する(S02)。なお、S01の処理において取込まれる実写映像とは、例えばテレビ受像機12の画面に表示されている番組を意味し、画面の全部でも一部でもよい。また、S02の処理においての判断は、テレビ受像機12の画面枠の全部が画像中に含まれているかを判断する。
【0092】
ここで、テレビ受像機12が映っている場合(S02において、YES)、テレビ受像機12の画像解析処理を行う(S03)。具体的には、テレビ受像機12の画面枠内の画像の内容を解析する。なお、S03の処理では、所定間隔毎の画像フレームを用いて、画像中に含まれる画面枠(テレビ受像機12)の位置情報を取得してもよい。
【0093】
また、テレビ受像機12が映っていない場合(S02において、NO)、加速度センサやジャイロセンサ等の移動検知手段を用いて携帯端末13の移動時の位置情報(例えば、座標情報)等のデータを取得する(S04)。なお、S04の処理では、所定時間毎に、携帯端末13の位置情報を取得してもよい。
【0094】
次に、携帯端末13の移動量・回転量を計算する(S05)。具体的には、S03の処理により、テレビ受像機12の画面枠の位置情報が把握できた場合には、移動前後における映像含まれる所定間隔毎等の画像フレーム間での画面枠の移動方向や傾きを取得して、携帯端末13の移動量や回転量の計算を行う。
【0095】
また、S04の処理により、携帯端末13の位置が把握できた場合には、所定時間毎等の位置情報の差異から携帯端末13の移動量や回転量の計算を行う。また、S05の処理により得られた携帯端末13の移動量・回転量の計算結果から仮想カメラの制御パラメータ(カメラパラメータ)を取得する(S06)。
【0096】
次に、台本データに更新があるか否かを判断し(S07)、更新がある場合(S07において、YES)、カメラ制御系(例えば、上述した制御パラメータ等)の記述があるか否かを判断する(S08)。ここで、カメラ制御系の記述がある場合(S08において、YES)、カメラ制御系台本データのフィルタ処理を行う(S09)。
【0097】
つまり、本実施形態では、台本データにカメラ制御系の記述が含まれている場合に、視聴者の携帯端末13の動きとは別にカメラ制御が行われてしまうため、視聴者の意図通りに仮想カメラを操作することができなくなるのを防止するために、カメラ制御系の台本をフィルタにより削除する。なお、台本データにカメラ制御系の記述が含まれている場合には、その制御系の記述を蓄積手段33等に蓄積しておき、視聴者の切り替え操作により、台本データの制御系と、携帯端末13の移動に伴う制御系を切り替えることもできる。
【0098】
上述したS07の処理において、台本データの更新がない場合(S07において、NO)、台本データが終了したか否かを判断する(S10)。ここで、台本データが終了していない場合(S10において、NO)、S08の処理において、カメラ制御系の記述がない場合(S08において、NO)、又は、S09の処理が終了後、上述したカメラ制御系等に基づき予め設定された再生内容に対応させて、CG描画(オブジェクト)と実写映像との合成処理を行い、当該処理を行った後、その合成画像(映像)を画面に表示する(S11)。
【0099】
また、上述のS10の処理において、台本データが終了した場合(S10において、YES)、本実施形態におけるコンテンツ再生処理を終了する。
【0100】
上述したように本発明によれば、放送番組等を視聴する際に、その番組が表示された画面を、それぞれの視聴者が持つ携帯端末に付属するカメラで撮影し、その撮影した画像(放送番組の映像を含む)に、CGオブジェクト等の付加映像を合成した映像を視聴者に視聴させることで、個別に適切な付加価値のある映像情報を提供することができる。
【0101】
本発明によれば、例えば1人の視聴者の手元に複数台の視聴端末がある場合には、1つのコンテンツを異なる視点から視聴することができる。また、本発明によれば、視聴端末に囲まれた空間をカメラ撮影して実写とCGキャラクタを合成した映像を生成することができる。また、本発明によれば、例えばCGキャラクタをテレビ受信機の前に表示することができ、このCGキャラクタにテレビ番組に付随する手話を表現させることによって、視聴者はテレビ番組と同期した手話映像を携帯端末上で視聴することができる。なお、手話は、見る角度や距離を多少変えることで手指の読み取り易さが大きく変わることから、CGキャラクタの手話表現が自分の見やすいサイズ、角度に変更することで、より理解しやすい手話映像を提示することが可能となる。
【0102】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
10 コンテンツ再生システム
11 コンテンツ提供サーバ
12 テレビ受像機
13 携帯端末(コンテンツ再生装置)
14 通信ネットワーク
15 視聴者
16 オブジェクト
21,31 入力手段
22,32 出力手段
23,33 蓄積手段
24 台本生成手段
25 番組スクリプト生成手段
26 番組制作手段
27 配信制御手段
28,36 再生手段
29,38 送受信手段
30,39 制御手段
34 撮像手段
35 再生内容設定手段
37 移動検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示された番組を撮影した画像を用いてコンテンツを再生するコンテンツ再生装置において、
前記番組が表示された画面を含む画像を取得するための撮像手段と、
前記撮像手段により得られる画像に対する再生内容を設定する再生内容設定手段と、
前記再生内容設定手段により得られる設定情報に基づいて、前記撮像手段により得られる画像の予め設定された位置に対し、所定のオブジェクトを表示させた画像を再生する再生手段とを有することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記再生内容設定手段は、
前記撮像手段により得られる画像における前記番組が表示された画面の位置に対応させて、前記オブジェクトの再生内容を設定することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記再生内容設定手段は、
前記撮像手段により得られる画像における前記番組が表示された画面部分を画像解析し、画像解析により得られた結果に基づいて、前記オブジェクトの再生内容を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記コンテンツ再生装置の位置を検知する移動検知手段を有し、
前記再生内容設定手段は、前記移動検知手段により得られる位置情報に対応させて、前記オブジェクトの再生内容を設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記再生内容設定手段は、
所定時間における前記コンテンツ再生装置の移動量又は回転量に基づいて、前記オブジェクトの再生内容を設定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記再生内容設定手段は、
前記オブジェクトがCGキャラクタである場合に、前記CGキャラクタに前記番組の内容に対応する手話を含む動作を行わせるように設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至6の何れか1項に記載のコンテンツ再生装置が有する各手段として機能させるためのコンテンツ再生プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46358(P2013−46358A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184905(P2011−184905)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】