説明

コンテンツ処理装置およびコンテンツ処理方法

【課題】様々な外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行において生じる処理動作の破綻を回避する。
【解決手段】実施形態に係るコンテンツ処理装置は1以上の外部機器に接続されるインタフェース回路121−124と、1以上の外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行する制御回路261とを備える。処理回路261は複数のコンテンツ処理に対して優先順位を設定し、複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作を制限する制御モジュール261Pを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に様々なコンテンツについて録画、再生、および移動のような処理を同時並列的に行うコンテンツ処理装置およびコンテンツ処理方法に関し、例えば受信放送コンテンツを外付HDD (Hard Disk Drive)等に記録しながら再生可能なコンテンツ処理装置およびコンテンツ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、テレビジョン放送のデジタル化が推進されている。例えば、日本国内においては、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送および110度CS(Communication Satellite)デジタル放送等の衛星デジタル放送だけでなく、地上デジタル放送も開始されている。
【0003】
従来、例えばハードディスク(LAN−HDD)にネットワーク接続可能なデジタルテレビジョン放送受信装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この放送受信装置は、例えば受信放送コンテンツ(すなわち、番組タイトル)のデジタル映像音声データをネットワーク上のハードディスクに録画する処理とこのハードディスクに録画されたデジタル映像音声データの再生処理とを同時並列的に行う “追いかけ再生”機能を備えている。
【特許文献1】特開2008−28659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ネットワーク接続状態のハードディスクを利用して安定な追いかけ再生を行うことのできるコンテンツを特定するために録画および再生データの通信速度を測定する測定技術を開示する。しかしながら、この測定技術は、オプションで接続される様々な外部機器の動作速度や処理回路の処理能力に依存して正常な処理動作が困難になる状況に対処できない。外部汎用機器としては、例えばNAS(Network Attached Storage),USB(Universal Serial Bus)−HDD,DVDレコーダ,コンテンツサーバ等の汎用機器が挙げられる。例えばHDDからの再生処理とメディアサーバとしてのコンテンツ送出処理とが同時並列的に実行される場合、このHDDが内蔵HDDや指定された特殊なHDDであれば正常な処理動作を保障できるが、このHDDがUSB-HDDやNASなどの外部汎用機器であると、HDDの読み書きにおける動作速度やHDDの読み書き処理に使用するCPUパワーに依存して処理動作が破綻する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、様々な外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行において生じる処理動作の破綻を回避できるコンテンツ処理装置およびコンテンツ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点によれば、1以上の外部機器に接続されるインタフェース回路と、1以上の外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行する処理回路とを備え、処理回路は複数のコンテンツ処理に対して優先順位を設定し、複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作を制限する制御モジュールを含むコンテンツ処理装置が提供される。
【0007】
本発明の第2観点によれば、1以上の外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行するコンテンツ処理方法であって、複数のコンテンツ処理に対して優先順位を設定し、複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作を制限するコンテンツ処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
これらコンテンツ処理装置およびコンテンツ処理方法では、複数のコンテンツ処理に対して優先順位が設定され、複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作が制限される。この制限により負荷が低減されるため、処理動作の破綻を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るコンテンツ処理装置について添付図面を参照して説明する。このコンテンツ処理装置は、PVR(Personal Video Recorder)およびメディアサーバ機能を有し、外付機器と連携して放送コンテンツの録画、再生、および移動のような処理を同時並列的に行うデジタルテレビジョン放送受信装置として構成されている。
【0010】
図1は、このデジタルテレビジョン放送受信装置(TV)111の構成を概略的に示す。この放送受信装置111は、主として、薄型のキャビネット112と、このキャビネット112を起立させて支持する支持台113とから構成されている。そして、キャビネット112には、例えばSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)表示パネル,液晶表示パネル等でなる平面パネル型の映像表示器114、スピーカ115、操作部116、リモートコントローラ117から送信される操作情報を受ける受光部118等が設置されている。
【0011】
また、このデジタルテレビジョン放送受信装置111には、例えばSD(Secure Digital)メモリカード、MMC(Multimedia Card)およびメモリスティック等の第1のメモリカード119が着脱可能となっており、この第1のメモリカード119に対して番組や写真等の情報の記録再生が行われるようになっている。
【0012】
さらに、このデジタルテレビジョン放送受信装置111には、例えば契約情報等の記録された第2のメモリカード(ICカード)120が着脱可能となっており、この第2のメモリカード120に対して情報の記録再生が行われるようになっている。
【0013】
また、このデジタルテレビジョン放送受信装置111は、第1のLAN(Local Area Network)端子121、第2のLAN端子122、USB(Universal Serial Bus)端子123およびi.LINK端子124を備えている。
【0014】
このうち、第1のLAN端子121は、LAN対応HDD専用ポートとして使用されるもので、LAN接続されたNAS(Network Attached Storage)であるLAN対応のHDD(LAN−HDD)125に対して、イーサネット(登録商標)により情報の記録再生を行うために使用される。
【0015】
このように、LAN対応HDD専用ポートとしての第1のLAN端子121を設けることにより、他のネットワーク環境やネットワーク使用状況等に影響されることなく、LAN対応のHDD125に対してハイビジョン画質による番組の情報記録を安定して行うことができる。
【0016】
また、第2のLAN端子122は、イーサネット(登録商標)を用いた一般的なLAN対応ポートとして使用されるもので、例えばハブ126を介して、LAN対応のHDD(LAN−HDD)127、コンテンツサーバ128、HDD内蔵のDVD(Digital Versatile Disk)レコーダ129等の機器を接続し、これらの機器と情報伝送を行うために使用される。
【0017】
尚、コンテンツサーバ128については、家庭内ネットワークにおいてコンテンツのサーバ機器として動作するための機能を持ち、さらにコンテンツのアクセスに必要なURI(Uniform Resource Identifier)情報を提供するサービスを備えたUPnP(ユニバーサルプラグアンドプレイ)対応機器として構成される。
【0018】
尚、DVDレコーダ129については、第2のLAN端子122を介して通信されるデジタル情報が制御系のみの情報であるため、デジタルテレビジョン放送受信装置111との間でアナログの映像および音声情報を伝送するために、専用のアナログ伝送路130を設ける必要がある。
【0019】
さらに、この第2のLAN端子122は、ハブ126に接続されたブロードバンドルータ131を介して、例えばインターネット等のネットワーク132に接続し、このネットワーク132を介してコンテンツサーバ133や携帯電話134等と情報伝送を行うために使用される。
【0020】
尚、コンテンツサーバ133は、コンテンツプロバイダによってインターネット上に設けられたものであり、様々なコンテンツを登録したウェブサイトを公開しこのウェブサイトからコンテンツを配信するサーバ機器として動作し、さらにコンテンツのアクセスに必要なURI情報を提供するサービスを備えたUPnP対応機器としても動作するように構成される。
【0021】
また、USB端子123は、一般的なUSB対応ポートとして使用されるもので、例えばハブ135を介して、携帯電話136、デジタルカメラ137、メモリカードに対するカードリーダ/ライタ138、HDD(USB−HDD)139、キーボード140等のUSB機器を接続し、これらのUSB機器と情報伝送を行うために使用される。
【0022】
さらに、i.LINK端子124は、例えばAV−HDD141、D(Digital)−VHS(Video Home System)142等をシリアル接続し、これらの機器と情報伝送を行うために使用される。
【0023】
図2は、デジタルテレビジョン放送受信装置111の主要な信号処理系を示している。
【0024】
すなわち、BS/CSデジタル放送受信用のアンテナ243で受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子244を介して衛星デジタル放送用のチューナ245aに供給される。
【0025】
チューナ245aは、制御回路261からの制御信号により所望のチャンネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号をPSK(Phase Shift Keying)復調器245bに出力する。
【0026】
PSK復調器245bは、制御回路261からの制御信号により、チューナ245aで選局された放送信号を復調し、所望の番組を含んだトランスポートストリームを得て、TS復号器245cに出力する。
【0027】
TS復号器245cは、制御回路261からの制御信号によりトランスポートストリーム(TS)多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号および音声信号をデパケットすることにより得たPES(Packetized Elementary Stream)を信号処理部247内のSTDバッファ247fへ出力する。
【0028】
また、TS復号器245cは、デジタル放送により送られているセクション情報を信号処理部247内のセクション処理部247hへ出力する。
【0029】
また、地上波放送受信用のアンテナ248で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子249を介して地上デジタル放送用のチューナ250aに供給される。
【0030】
チューナ250aは、制御回路261からの制御信号により所望のチャンネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器250bに出力する。
【0031】
OFDM復調器250bは、制御回路261からの制御信号により、チューナ250aで選局された放送信号を復調し、所望の番組を含んだトランスポートストリームを得て、TS復号器250cに出力する。
【0032】
TS復号器250cは、制御回路261からの制御信号によりトランスポートストリーム(TS)多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号および音声信号をデパケットすることにより得たPES(Packetized Elementary Stream)を信号処理部247内のSTDバッファ247fへ出力する。
【0033】
また、TS復号器250cは、デジタル放送により送られているセクション情報をセクション処理部247hへ出力する。
【0034】
ここで、信号処理部247は、テレビ視聴時には、TS復号器245cおよびTS復号器250cからそれぞれ供給されたデジタルの映像信号および音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部254および音声処理部255に出力している。また、信号処理部247は、コンテンツ再生時には、制御回路261から入力されたコンテンツの信号を選択し、様々なCODECのうちのコンテンツに適合する1つに基づいてコンテンツの信号をデコードするデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部254および音声処理部255に出力する。
【0035】
制御回路261には、信号処理部247から、番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報,番組属性情報(番組ジャンル等),字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)が入力されている。
【0036】
制御回路261は、これら入力された情報からEPG,字幕を表示するため画像生成処理を行い、この生成した画像情報をグラフィック処理部254へ出力する。
【0037】
セクション処理部247hは、TS復号器245c(250c)から入力されたセクション情報の中から、番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報,番組属性情報(番組ジャンル等),字幕情報等(サービス情報、SIやPSI)を制御回路261へ出力する。
【0038】
グラフィック処理部254は、(1)信号処理部247内のAVデコーダから供給されるデジタルの映像信号と、(2)OSD(On Screen Display)信号生成部257で生成されるOSD信号と、(3)データ放送による画像データと、(4)制御回路261により生成されたEPG,字幕信号とを合成して映像処理部258へ出力する機能を有する。
【0039】
また、字幕放送による字幕を表示するとき、グラフィック処理部254は、制御回路261からの制御による字幕情報に基づき、映像信号上に字幕情報を重畳する処理を行う。
【0040】
グラフィック処理部254から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部258に供給される。この映像処理部258は、入力されたデジタルの映像信号を、映像表示器114で表示可能なフォーマットのアナログ映像信号に変換した後、映像表示器114に出力して映像表示させるとともに、出力端子259を介して外部に導出させる。
【0041】
また、音声処理部255は、入力されたデジタルの音声信号を、スピーカ115で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換した後、スピーカ115に出力して音声再生させるとともに、出力端子260を介して外部に導出させる。
【0042】
ここで、このデジタルテレビジョン放送受信装置111は、上述した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御回路261によって統括的に制御されている。この制御回路261は、CPU(Central Processing Unit)261P等を内蔵しており、操作部116からの操作情報を受け、または、リモートコントローラ117から送出された操作情報を、受光部118を介して受信し、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0043】
この場合、制御回路261は、主として、そのCPU261Pが実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)261aと、該CPU261Pに作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)261bと、各種の設定情報および制御情報等が格納される不揮発性メモリ261cとを利用している。
【0044】
また、この制御回路261は、カードI/F(Interface)265を介して、第1のメモリカード119が装着可能なカードホルダ266に接続されている。これによって、制御回路261は、カードホルダ266に装着された第1のメモリカード119と、カードI/F265を介して情報伝送することができる。
【0045】
さらに、制御回路261は、カードI/F267を介して、第2のメモリカード120が装着可能なカードホルダ268に接続されている。これにより、制御回路261は、カードホルダ268に装着された第2のメモリカード120と、カードI/F267を介して情報伝送することができる。
【0046】
また、制御回路261は、通信I/F269を介して第1のLAN端子121に接続されている。これにより、制御回路261は、第1のLAN端子121に接続されたLAN対応のHDD125と、通信I/F269を介して情報伝送することができる。この場合、制御回路261は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を有し、第1のLAN端子121に接続されたLAN対応のHDD125にIP(Internet Protocol)アドレスを割り当てて制御している。
【0047】
さらに、制御回路261は、通信I/F270を介して第2のLAN端子122に接続されている。これにより、制御回路261は、第2のLAN端子122に接続された各機器(図1参照)と、通信I/F270を介して情報伝送することができる。
【0048】
また、制御回路261は、USB I/F271を介してUSB端子123に接続されている。これにより、制御回路261は、USB端子123に接続された各機器(図1参照)と、USB I/F271を介して情報伝送することができる。
【0049】
さらに、制御回路261は、i.LINK I/F272を介してi.LINK端子124に接続されている。これにより、制御回路261は、i.LINK端子124に接続された各機器(図1参照)と、i.LINK I/F272を介して情報伝送することができる。
【0050】
ところで、この実施形態では、LAN対応のHDD125に初期登録時のHDD125、HDD127、コンテンツサーバ128、DVDレコーダ129それぞれに割り当てられたストレージID(IPアドレス、機器名を含む)を記述した登録ファイルを記憶保持している。
【0051】
また、不揮発性メモリ261cに、LAN対応のHDD125、HDD127、コンテンツサーバ128、DVDレコーダ129それぞれのストレージIDを記憶している。
【0052】
また、制御回路261は、この発明に係わる機能として、UPnPを利用した(1)サーバ機器発見機能モジュール261dと、(2)UPnPを利用したコンテンツ情報取得機能モジュール261eと、(3)コンテンツアクセス制御機能モジュール261fとを備えている。
【0053】
(1)制御回路261は、サーバ機器発見機能モジュール261dにより、UPnPのディスカバリ機能を用いてネットワーク上のUPnP対応機器を発見する。例えばサーバ機器発見機能モジュール261dは、UPnPのディスカバリ機能を用いてコンテンツサーバ128を発見する。
【0054】
(2)制御回路261は、コンテンツ情報取得機能モジュール261eにより、UPnPのコントロール機能を用いてUPnP対応機器をコントロールし、UPnP対応機器内のコンテンツをアクセスするために必要なURI情報を取得する。例えばコンテンツ情報取得機能モジュール261eは、コンテンツサーバ128をコントロールし、コンテンツサーバ128内のHDD等に蓄積されているコンテンツをアクセスするために必要なURI情報をコンテンツサーバ128から取得する。
【0055】
(3)制御回路261は、コンテンツアクセス制御機能モジュール261fにより、サーバ機器発見機能モジュール261dにより取得したサーバ機器のIPアドレス情報と、コンテンツ情報取得機能モジュール261eにより取得したURI情報から得たIPアドレス情報と、デジタルテレビジョン放送受信装置111のLAN端子122に割り当てられたIPアドレスとネットマスクに基づいてコンテンツへのアクセス可否判定を行う。そして制御回路261は、アクセス可と判断した場合にはコンテンツアクセスを許可するが、否と判断した場合には許可できない旨を映像表示器114にOSDにより表示させる。
【0056】
図3は制御回路261において行われる様々なコンテンツ処理の種類の例を示す。様々なコンテンツ処理は、HDDへの録画処理、HDDからの再生処理、メディアサーバからの再生処理、メディアサーバとしての送出処理、HDD間の再生処理、メディアサーバへの移動処理、メディアサーバとしての移動受付処理を選択的に含む。上述のHDDは例えばLAN−HDD125、LAN−HDD127、USB−HDD139、AV−HDD141である。また、メディアサーバは例えばTV111(制御回路261)、コンテンツサーバ128である。さらに、TV111をコンテンツサーバとした場合のクライアントは例えばDVDレコーダ129、図示しないLAN接続のコンピュータである。上述した複数のコンテンツ処理は例えばリモートコントローラ117の操作に従って選択され、CPU261Pによって同時並列的に実行される。
【0057】
図4は様々なコンテンツ処理を同時並列的に行うために行われる優先順位設定処理のフローチャートを示す。この優先順位設定処理は例えばリモートコントローラ117の操作に従ってCPU261Pで行われる。この優先順位設定処理が開始されると、ブロックB1において処理別の優先順位設定が行われる。この処理別の優先順位設定では、優先順位が例えば(1)固定順位、(2)ユーザ指定順位、あるいは(3)固定およびユーザ指定順位の組み合わせに設定される。固定およびユーザ指定順位の組み合わせでは、例えば録画処理が最高優先順位に固定され、再生処理が最低優先順位に固定され、その他の処理がユーザ指定の順位に設定される。続いて、ブロックB2において同一優先順位処理間での取り扱い設定が行われる。この取り扱い設定では、例えば(1)ユーザ指定の機器順に対応処理を優先させたり、(2)動作開始タイミング順に対応処理を優先させたり、(3)外部機器の使用頻度順に対応処理を優先させたり、(4)ユーザ指定の番組ジャンル順に対応処理を優先させたりする設定が行われる。
【0058】
図5は優先順位設定処理において固定順位の設定例を示す。ここでは、(優先順位1:HDDへの録画処理)>(優先順位2:HDDからの再生処理、またはメディアサーバからの再生処理)>(優先順位3:メディアサーバとしての送出処理)>(優先順位4:HDD間移動処理、HDDからメディアサーバへの移動処理、またはメディアサーバとしての移動処理)という固定順位が設定されている。この設定結果はテーブルとして例えばRAM261bに保存される。RAM261bはデフォルト用に固定順位のテーブルを保持する。
【0059】
図6は同一優先順位処理間での取り扱い設定においてユーザ指定の機器順に対応処理を優先させるための操作画面を示す。この操作画面は映像表示器114に表示されるものである。ユーザは例えばリモートコントローラ117により操作画面上の機器を選択し、優先順位を設定する。
【0060】
図7は同一優先順位処理間での取り扱い設定においてユーザ指定の番組ジャンル順に対応処理を優先させるための操作画面を示す。この操作画面は映像表示器114に表示されるものである。ユーザは例えばリモートコントローラ117により操作画面上の番組ジャンルを選択し、優先順位を設定する。
【0061】
図8はリモートコントローラ117に設けられた操作ボタンの例を示す。図4に示す優先順位設定処理の開始や図6および図7に示す操作画面の表示はこのリモートコントローラ117の操作に従って行われる。ユーザはメニューボタン301の操作により選択肢を表示させ、続いて上下左右の方向ボタン302の操作により選択肢を選択し、決定ボタン303の操作により選択結果を確定させる。また、戻るボタン304は画面を戻すために操作され、終了ボタン305は操作の終了通知として操作される。
【0062】
図9は様々なコンテンツ処理において用いられる複数のバッファを示す。TV111のRAM261bはこれらバッファとして例えば録画バッファBF1,再生バッファBF2,送出バッファBF3を含む。録画バッファBF1はHDDへの録画処理に用いられ、再生バッファBF2はHDDからの再生処理およびメディアサーバからの再生処理に用いられ、送出バッファBF3はメディアサーバとしての送出処理に用いられる。
【0063】
図10は複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行する場合の優先制御処理のフローチャートを示す。この優先制御処理は複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行する場合にCPU261Pによって実行される。この優先制御処理では、ブロックB11でバッファBF1,BF2,BF3の状態がチェックされる。続くブロックB12では、同時並列的に実行されるコンテンツ処理のうちで破綻しそうな処理があるか判定される。具体的には、録画バッファBF1のオーバーフロー、再生バッファBF2のアンダーフロー、送出バッファBF3のアンダーフローが発生しそうなコンテンツ処理が破綻しそうな処理とみなされる。破綻しそうな処理があるとき、CPU261Pの負荷が増大しているため、ブロックB13で優先度の低い処理を制限する。ここで、制限すべきコンテンツ処理が一時的な停止を許容するものであれば、一時停止による制限が行われる。他方、制限すべきコンテンツ処理が一時的な停止を許容しないものであれば、終了による制限が行われる。この後、ブロックB14で一時的な制限であるかどうか確認され、一時的な制限であれば優先制御処理がブロック11に戻る。これに対して、終了による制限であることが確認されれば、ブロックB15でユーザへの通知が行われる。TV111での録画/再生時には、制限の理由が映像表示器114上に表示される。また、メディアサーバ動作時には、制限理由の動画ストリームまたは特殊データをクライアントに送出する。ブロックB15の後、優先制御処理がブロック11に戻る。
【0064】
上述のブロックB11およびB12によるバッファ状態の監視で、破綻しそうな処理が無かった場合には、ブロックB16で一時停止された処理があるかチェックされる。もし無ければ、優先制御処理がブロック11に戻る。一時停止された処理がある場合には、この処理のバッファが正常に戻ったかブロックB17でチェックされる。ここで、正常とは、録画バッファBF1に関して空きができ、再生バッファBF2または送出バッファBF3に関して空きが無くなる状態である。正常に戻っていなければ、優先制御処理がブロック11に戻る。正常に戻っていれば、ブロックB18で一時停止された処理を再開され、この後優先制御処理がブロック11に戻る。
【0065】
上述の実施形態では、複数のコンテンツ処理に対して優先順位が設定され、複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作が制限される。この制限により負荷が低減されるため、処理動作の破綻を回避できる。
【0066】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々に変形可能である。
【0067】
上述の実施形態では、コンテンツ処理装置がPVR(Personal Video Recorder)およびメディアサーバ機能を有し、外付機器と連携して放送コンテンツの録画、再生、および移動のような処理を同時並列的に行うデジタルテレビジョン放送受信装置として構成されたが、これに限定されない。一例として、コンテンツ処理装置はディスプレイに接続されたDVDレコーダ等に組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルテレビジョン放送受信装置の構成を概略的に示す例図である。
【図2】図1に示すデジタルテレビジョン放送受信装置の主要な信号処理系を示す例図である。
【図3】図2に示す制御回路において行われる様々なコンテンツ処理の種類の例を示す図である。
【図4】図3に示す様々なコンテンツ処理を同時並列的に行うために行われる優先順位設定処理のフローチャートを示す例図である。
【図5】図4に示す優先順位設定処理において固定順位の設定例を示す図である。
【図6】図4に示す同一優先順位処理間での取り扱い設定においてユーザ指定の機器順に対応処理を優先させるための操作画面を示す例図である。
【図7】図4に示す同一優先順位処理間での取り扱い設定においてユーザ指定の番組ジャンル順に対応処理を優先させるための操作画面を示す例図である。
【図8】図2に示すリモートコントローラに設けられた操作ボタンの例を示す図である。
【図9】図3に示す様々なコンテンツ処理において用いられる複数のバッファを示す例図である。
【図10】図3に示す複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行する場合の優先制御処理のフローチャートを示す例図である。
【符号の説明】
【0069】
111…ネットワーク対応デジタルテレビジョン放送受信装置、114…映像表示器、261…制御回路、261P…CPU、121−124…インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の外部機器に接続されるインタフェース回路と、前記1以上の外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行する処理回路とを備え、前記処理回路は前記複数のコンテンツ処理に対して優先順位を設定し、前記複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って前記優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作を制限する制御モジュールを含むことを特徴とするコンテンツ処理装置。
【請求項2】
前記制御モジュールは前記複数のコンテンツ処理のために設けられる複数のバッファの状態を監視することにより負荷の増大を検出することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項3】
前記複数のコンテンツ処理は、前記外部機器であるハードディスクドライブへの録画処理、前記外部機器であるハードディスクドライブからの再生処理、メディアサーバからの再生処理、メディアサーバとしての送出処理、前記外部機器であるハードディスクドライブ間の再生処理、メディアサーバへの移動処理、メディアサーバとしての移動受付処理を選択的に含むことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項4】
前記制御モジュールは、前記優先順位を固定順位、ユーザ指定順位、並びに固定およびユーザ指定順位の組み合わせのうちのいずれかに設定することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項5】
前記制御モジュールは、同一優先順位処理間での取り扱い設定として、ユーザ指定の機器順、動作開始タイミング順、外部機器の使用頻度順、およびユーザ指定の番組ジャンル順のいずれかにおいて対応処理を優先させることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項6】
前記制御モジュールは、前記処理動作の制限として前記処理動作を一時停止または終了させることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項7】
前記制御モジュールは、前記処理動作の一時停止後、前記負荷の増大が解消された状態で前記処理動作を再開することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項8】
前記処理モジュールは、前記処理動作の終了に伴って前記制限理由のユーザ通知を行うことを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項9】
1以上の外部機器をアクセスする複数のコンテンツ処理を同時並列的に実行するコンテンツ処理方法であって、前記複数のコンテンツ処理に対して優先順位を設定し、前記複数のコンテンツ処理の同時並列的な実行を困難にする負荷の増大に伴って優先順位の低い側のコンテンツ処理から処理動作を制限することを特徴とするコンテンツ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−130514(P2010−130514A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304831(P2008−304831)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】