説明

コンデンサ回路、電圧測定装置及び電力機器

【課題】20℃を基準として分圧比の変化率が±0.2%以内にできるコンデンサ回路、電圧測定装置、及び電力機器を提供する。
【解決手段】第1コンデンサ回路24と第2コンデンサ回路25を直列接続し、第2コンデンサ回路25の分圧により電圧を測定可能にしたコンデンサ回路を含む電力機器の電圧測定装置において、第2コンデンサ回路25と並列に温度補整用コンデンサ53を接続する。そして、温度補整用コンデンサ53の静電容量をCaとし、第2コンデンサ回路25の静電容量をC2としたとき、両コンデンサの静電容量の比(Ca/C2)を、1/10≦Ca/C2≦76/100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力機器の電圧測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力機器に搭載され、配電線の相電圧を検出する電圧測定装置として、特許文献1が知られている。特許文献1の電圧測定装置は、コンデンサ分圧方式で電圧測定を行うようにされており、具体的には、高電圧側コンデンサと低電圧側コンデンサとを互いに直列に接続したコンデンサ直列回路が用いられている。そして、相電圧はこのコンデンサ直列回路の両端に入力され、高電圧側コンデンサの静電容量と低電圧側コンデンサの静電容量との比に応じて分圧されるが、相電圧の検出は、低電圧側コンデンサに分圧された分圧電圧に基づいて行われる。
【0003】
図4は、コンデンサ分圧方式の電圧測定装置に含まれる一対のコンデンサ回路100,200の直列回路を示している。なお、図4では、説明の便宜上、一相分の電圧測定を行う回路分のみを示している。ここで、以下、コンデンサ回路100は、高電圧側コンデンサ回路といい、コンデンサ回路200を、低電圧側コンデンサ回路という。
【0004】
同図において、該直列回路の両端子のうち、一方の端子は、一相の配電線Lに対して接続される入力端子T100とされ、他方の端子は接地されるとともに、第1出力端子T110とされている。又、高電圧側コンデンサ回路100と、低電圧側コンデンサ回路200の接続点は、第2出力端子T120に接続されている。
【0005】
配電線Lの電圧(相電圧)を、Vinとすると、第1出力端子T110と第2出力端子T120出力端子間の分圧出力Voutは、
Vout = {C1/(C1+C2)}Vin
となる。なお、C1は高電圧側コンデンサ回路100の静電容量であり、C2は低電圧側コンデンサ回路200の静電容量である。
【0006】
又、分圧比は、下記の通りである。
分圧比=C1/(C1+C2)
【特許文献1】特許第3632920号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年は、配電線の相電圧を計測する電圧測定装置は、高精度化を要求する声が高まっており、配電線用においては、前記分圧比の±0.5%の精度が要求されるまでに至っている。
【0008】
しかし、特許文献1の構成では、−20℃〜60℃の温度範囲において、分圧比の変化率が±1%の精度であるため、この要求を満たせない問題がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、20℃を基準として分圧比の変化率が±0.2%以内にできるコンデンサ回路を提供することにある。又、他の目的は、20℃を基準として分圧比の変化率が±0.2%以内にできるコンデンサ回路を備えた電圧測定装置を提供することにある。さらに、他の目的は、20℃を基準として分圧比の変化率が±0.2%以内にできるコンデンサ回路を備えた電圧測定装置を有する電力機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、第1コンデンサ回路と第2コンデンサ回路を直列接続し、第2コンデンサ回路の分圧出力により電圧を測定可能にしたコンデンサ回路において、第2コンデンサ回路と並列に温度補整用コンデンサを接続し、前記温度補整用コンデンサの静電容量をCaとし、前記第2コンデンサ回路の静電容量をC2としたとき、両者の静電容量の比(Ca/C2)を
1/10 ≦Ca/C2≦76/100
としたことを特徴とするコンデンサ回路を要旨とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第2コンデンサ回路をセラミックコンデンサにより構成したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記温度補整用コンデンサをポリエステルフィルムコンデンサとしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記第1コンデンサ回路及び第2コンデンサ回路のうち、少なくともいずれか一方は、コンデンサを複数含むことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のコンデンサ回路からなる電圧測定部と、該電圧測定部が出力した電圧に基づいて、電圧検出信号を出力する信号処理部とを含むことを特徴とする電圧測定装置を要旨とするものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5の電圧測定装置を備えることを特徴とする電力機器を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、20℃を基準として分圧比の変化率が±0.2%以内にできるコンデンサ回路を提供することができる。
請求項2の発明によれば、一方のコンデンサ回路をセラミックコンデンサにすることにより、請求項1の効果を容易に実現できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、温度補整用コンデンサにポリエステルフィルムコンデンサを使用することにより、請求項1の効果を容易に実現できる。
請求項4の発明によれば、第1コンデンサ回路及び第2コンデンサ回路のうち、少なくともいずれか一方は、コンデンサを複数含むことによっても、請求項1の発明の効果を奏することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至請求項4の発明の効果を奏する電圧測定装置を提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項5の効果を備えた、電力機器を定期用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を電力機器としての開閉器の電圧測定装置に具体化した一実施形態を図1〜3を参照して説明する。
図1に示すように開閉器10は、配電線LのU,V,W相毎に設けられるとともに各相の配電線Lの電力伝送をオンオフ可能にされた開閉部10aを備えている。
【0018】
図2に示すように、電圧測定装置20は、U相、V相及びW相の配電線Lの電圧Vu、Vv、Vwを検出するための電圧測定回路21〜23を備えている。
又、開閉器10には、制御装置30が接続され、該制御装置30には、電圧測定装置20の電圧測定結果に基づいて、信号処理する信号処理部26と前記開閉部10aを開閉制御する制御部27とを備えている。
【0019】
電圧測定回路21〜23は同一構成であるため、以下では電圧測定回路21の構成について代表的に説明する。なお、電圧測定回路21〜23はコンデンサ回路及び電圧測定部に相当する。
【0020】
電圧測定回路21は、開閉部10aよりも需要家側の配電線Lにおいて、その入力端子T10がU相線に接続されている。もう1つの入力端子T20は図示しない中性線を介して接地されており、U相の電圧Vuは入力端子T10,T20間に入力される。
【0021】
なお、電圧測定回路22、23についても同様であって、配電線LのV相、W相の電圧Vv、Vwが、それぞれ電圧測定回路22、23に入力可能にされている。
図2に示すように、電圧測定回路21は、第1コンデンサ回路24と、第2コンデンサ回路25の直列回路、及び第2コンデンサ回路25に並列接続される温度補整用コンデンサ53からなる。本実施形態では、第1コンデンサ回路24が高電圧側コンデンサ回路に相当し、第2コンデンサ回路25が低電圧側コンデンサ回路に相当する。本実施形態では、第1コンデンサ回路24は単体のコンデンサ51から構成されている。前記コンデンサ51としては、例えば、NP0(=温度係数0ppm/℃)のセラミックコンデンサが用いられる。第2コンデンサ回路25は、単体のコンデンサ52からなる。コンデンサ52は、例えば、C0G(=温度係数0±30ppm/℃))のセラミックコンデンサが用いられる。又、温度補整用コンデンサ53は、ポリエステルフィルムコンデンサからなる。
【0022】
NP0のセラミックコンデンサと、C0Gのセラミックコンデンサは、静電容量の温度変化率が、−20℃〜80℃において、ほぼ同じ程度であることが好ましい。因みに、NP0のセラミックコンデンサでは、静電容量の温度変化率は、−20℃では−0.2%であり、80℃では+0.2%であった。又、C0Gのセラミックコンデンサでは、静電容量の温度変化率は、−20℃では+0.1%であり、80℃では−0.05%であった。
【0023】
そして、温度補整用コンデンサ53とコンデンサ52は、両者の静電容量の比(Ca/C2)が、1/10≦Ca/C2≦76/100の範囲となるように、それらの静電容量が選択されている、なお、Caは温度補整用コンデンサ53の静電容量である。又、C2は第2コンデンサ回路であるコンデンサ52の静電容量である。
【0024】
このように、温度補整用コンデンサ53の静電容量Caと、コンデンサ52の静電容量C2との関係、すなわち、静電容量の比(Ca/C2)が、1/10≦Ca/C2≦76/100の範囲となっていることにより、20℃を基準として分圧比の変化率が±0.2%以内にすることができる。この理由は後述する。
【0025】
前記第1コンデンサ回路24と第2コンデンサ回路25は、互いに直列に接続されており、すなわち、コンデンサ51とコンデンサ52とは互いに直列に接続されている。第1コンデンサ回路24と第2コンデンサ回路25の直列回路は、両端が入力端子T10、T20に接続されている。すなわち、この直列回路の一端は入力端子T10に接続され、直列回路の他端がもう1つの入力端子T20に接続されている。
【0026】
又、コンデンサ51とコンデンサ52との接続点は出力端子T30に接続されている。出力端子T40は、入力端子T20とともに前記直列回路の他端に接続されている。前記電圧測定回路21の出力端子T30、T40は信号処理部26に接続されており、出力端子T30,T40間の電圧V1が信号処理部26に供給されるようにされている。
【0027】
この電圧V1は、コンデンサ51の静電容量C1、コンデンサ52の静電容量C2、及び温度補整用コンデンサ53の静電容量Caの合計値と、コンデンサ51の静電容量C1の分圧比(下記式(1)参照)に基づいて得られる。
【0028】
分圧比={C1/(C1+C2+Ca)} …(1)
すなわち、電圧V1は、下記の式(2)に基づいて得られる電圧である。
V1= {C1/(C1+C2+Ca)}Vu …(2)
他の電圧測定回路22、23についても同様に配電線LのV相、W相の電圧Vv、Vwが印加され、電圧測定回路22、23からは、それに応じて測定された値である電圧V2、V3が信号処理部26に供給される。信号処理部26は、電圧測定回路21〜23からの電圧V1〜V3に基づいて電圧検出信号を制御部27に出力する。なお、信号処理部26は、アナログ回路やデジタル回路等により構成されている。制御部27は、電圧検出信号に基づいて各相の開閉部10aを開閉制御する。
【0029】
(静電容量の比(Ca/C2)について)
次に、温度補整用コンデンサ53の静電容量Caと、第2コンデンサ回路25の静電容量C2の比(Ca/C2)を、1/10≦Ca/C2≦76/100の範囲としている理由について説明する。
【0030】
表1は、静電容量C1、静電容量C2、及び静電容量Caに具体的に数値を与えて得られた計算結果を示している。なお、表1の各種数値を得るための計算条件は、下記の通りである。なお、ΔCは、それぞれのコンデンサの特定温度(−20℃、又は+80℃)における20℃時を基準としたときの静電容量の変化率である。
【0031】
・第1コンデンサ回路24のコンデンサ51
材質:NP0セラミックコンデンサ
静電容量:50pF (20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=−0.2%
+80℃時の温度変化ΔC=+0.2%
・第2コンデンサ回路25のコンデンサ52
材質:C0Gセラミックコンデンサ
静電容量:65950pF−Ca (20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=+0.1%
+80℃時の温度変化ΔC=−0.05%
・温度補整用コンデンサ
材質:ポリエステルフィルムコンデンサ
静電容量: 表1中に記載(20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=−1.0%
+80℃時の温度変化ΔC=+1.0%
・分圧比=C1/(C1+C2+Ca)
表1の「Ca/C2」の欄は、20℃におけるCa/C2の数値である。
【0032】
又、表1では、Ca,C2の数値を変える毎に、−20℃における分圧比の変化率が、20℃における分圧比を基準として計算で求められ、その結果が、温度変化の「−20℃」の欄に表されている。又、表1では、Ca,C2の数値を変える毎に、80℃における分圧比の変化率が、20℃における分圧比を基準として計算で求められ、その結果が、温度変化の「80℃」の欄に表されている。
【0033】
表1に示されているようにCa/C2が、10〜69%の範囲では、−20℃においては、分圧比の変化率は、−0.20〜0.15%であり、80℃においては、分圧比の変化率は、0.15〜−0.18%の範囲である。このようにして、10〜69%の範囲では、分圧比の変化率を±0.2%以内にできる。
【0034】
【表1】

次にコンデンサ51,52として表2の試料No.1〜6を使用して、これらからなるコンデンサ回路に電圧を印加して分圧測定し、その測定結果に基づきそれぞれ−20℃、80℃の分圧比の変化率を算出した。その算出結果を表2の「−20℃」及び「80℃」の欄に示す。
【0035】
なお、試料No.1〜6において、コンデンサ51は、NP0セラミックコンデンサ(静電容量:50pF (20℃時)、−20℃時の温度変化ΔC=−0.2%、+80℃時の温度変化ΔC=+0.2%)を使用した。又、コンデンサ52は、C0Gセラミックコンデンサ(静電容量:65950pF (20℃時)、−20℃時の温度変化ΔC=+0.1%、+80℃時の温度変化ΔC=−0.05%)を使用した。
【0036】
【表2】

又、コンデンサ51、52、温度補整用コンデンサ53として表2の試料No.7〜12を使用して、これらからなるコンデンサ回路に電圧を印加して分圧測定し、その測定結果に基づきそれぞれ−20℃、80℃の分圧比の変化率を算出した。その算出結果を表2の「−20℃」及び「80℃」の欄に示す。なお、試料No.7〜12において、コンデンサ51,52,温度補整用コンデンサ53は、表1の計算条件と同じコンデンサを使用した。なお、試料No.1〜6は比較例であり、試料No.7〜12は実施例である。
【0037】
温度補整用コンデンサを設けていない試料No.1〜6からなるコンデンサ回路においては、表2に示すように−20℃〜80℃では、温度変化率が−0.30〜0.28%の分圧比の変化率となる。一方、温度補整用コンデンサを設けている試料No.7〜12においては、表2に示すように−20℃〜80℃では、温度変化率が−0.19〜0.12%の分圧比の変化率となる。
【0038】
ここで、試料No.1〜6において、−20℃における分圧比の変化率の平均値は−0.30%であり、80℃における分圧比の変化率の平均値は0.26%である。又、試料No.7〜12において、−20℃における分圧比の変化率の平均値は−0.18%であり、80℃における分圧比の変化率の平均値は0.10%である。これらの実測による平均値を実線により図3の温度特性図として示す。
【0039】
又、併せて、図3中には、表1において試料7〜12と静電容量が同じである例(C1=50pF、C2=53950pF、Ca=12000pF)を、「計算値(Ca)あり」として点線で示した。
【0040】
図3に示すように表1での計算値の例は、測定して得られた値とほぼ同じ程度の分圧比の変化率が得られていることが分かる。
表3は、C1の値を表1の場合と同じにし、C2+Caの値を表1よりも少なくした場合の計算結果を示している。なお、表3の各種数値を得るための計算条件は、下記の通りである。
【0041】
・第1コンデンサ回路24のコンデンサ51については、表1の計算条件と同じである。
・第2コンデンサ回路25のコンデンサ52
材質:C0Gセラミックコンデンサ
静電容量:32450pF−Ca (20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=+0.1%
+80℃時の温度変化ΔC=−0.05%
・温度補整用コンデンサ
材質:ポリエステルフィルムコンデンサ
静電容量: 表3中に記載(20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=−1.0%
+80℃時の温度変化ΔC=+1.0%
・分圧比=C1/(C1+C2+Ca)
表3の「Ca/C2」の欄、「−20℃」の欄及び「80℃」の欄の数値の出し方は、表1と同様に計算されることにより得られる。
【0042】
表3に示されているようにCa/C2が、10〜76%の範囲では、−20℃においては、分圧比の変化率は、−0.20〜0.17%であり、80℃においては、分圧比の変化率は、0.15〜−0.20%の範囲である。このようにして、C2+Caの値を、表1の65950pFよりも小さい値である32450pFにしても、10〜76%の範囲では分圧比の変化率を±0.2%以内にできる。
【0043】
【表3】

表4は、C1の値を変更し、下記の計算条件で各種数値を計算した場合の計算結果を示している。
【0044】
・第1コンデンサ回路24のコンデンサ51
材質:NP0セラミックコンデンサ
静電容量:100pF (20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=−0.2%
+80℃時の温度変化ΔC=+0.2%
・第2コンデンサ回路25のコンデンサ52
材質:C0Gセラミックコンデンサ
静電容量:32450pF−Ca (20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=+0.1%
+80℃時の温度変化ΔC=−0.05%
・温度補整用コンデンサ
材質:ポリエステルフィルムコンデンサ
静電容量: 表3中に記載(20℃時)
−20℃時の温度変化ΔC=−1.0%
+80℃時の温度変化ΔC=+1.0%
・分圧比=C1/(C1+C2+Ca)
表4の「Ca/C2」の欄、「−20℃」の欄及び「80℃」の欄の数値の出し方は、表1と同様に計算されることにより得られる。
【0045】
表4に示されているようにCa/C2が、10〜71%の範囲では、−20℃においては、分圧比の変化率は、−0.20〜0.16%であり、80℃においては、分圧比の変化率は、0.15〜−0.19%の範囲である。このようにして、C1の値を表1の50pFよりも大きな値である100pFとしても、10〜71%の範囲では分圧比の変化率を±0.2%以内にできる。
【0046】
【表4】

従って、上記のように、Ca/C2を、1/10≦Ca/C2≦76/100とすることにより、20℃を基準としてコンデンサ回路の分圧比の変化率を±0.2%以内にすることができる。
【0047】
さて、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1) 本実施形態のコンデンサ回路である電圧測定回路21は、第2コンデンサ回路25と並列に温度補整用コンデンサ53が接続され、温度補整用コンデンサ53の静電容量をCaとし、第2コンデンサ回路25の静電容量をC2としたとき、両者の静電容量の比(Ca/C2)を1/10≦Ca/C2≦76/100とした。この結果、20℃を基準として分圧比の変化率を±0.2%以内にできるコンデンサ回路とすることができる。
【0048】
(2) 又、本実施形態の電圧測定装置20は、上記コンデンサ回路としての電圧測定回路21〜23を有するため、20℃を基準として分圧比の変化率を±0.2%以内にできる電圧測定装置とすることができる。
【0049】
(3) 又、本実施形態の電力機器としての開閉器10は、上記電圧測定装置20を備えるため、20℃を基準として分圧比の変化率を±0.2%以内にできる電圧測定装置を備えた開閉器とすることができる。
【0050】
(4) 本実施形態では第2コンデンサ回路25をセラミックコンデンサにより構成したことにより、上記(1)の効果を容易に実現することができる。
(5) 本実施形態では、温度補整用コンデンサ53をポリエステルフィルムコンデンサとしたことにより、上記(1)の効果を容易に実現することができる。
【0051】
なお、前記実施形態は、次のように変更して実施してもよい。
○ 前記実施形態では、コンデンサ51、コンデンサ52は、セラミックコンデンサから構成したが、積層セラミックコンデンサ、ポリスチレンフィルムコンデンサ又はポリプロピレンフィルムコンデンサを使用してもよい。
【0052】
なお、コンデンサ51、コンデンサ52は、静電容量の−20℃と、+80℃において、同じ程度の静電容量の温度変化率を有することが好ましい。
○ 前記実施形態では、開閉器10が設けられた配電線Lの需要家側において、各相の配電線Lの電圧を測定するように1つのみ設けたが、1つに限定されるものではない。開閉器において、変電所側の配電線Lの各相の電圧を測定できるようにさらに1つの電圧測定装置20を設けても良い。
【0053】
○ 又、電圧測定装置20において、電圧測定回路21〜23の個数は3つに限定するものではなく、例えば、1つ、或いは2つでもよい。
○ 前記実施形態では、電力機器として開閉器としたが、電圧測定装置を配電線に設けられる電力機器としては変圧器、遮断器、断路器もあり、これらの機器に設けても良い。
【0054】
○ 前記実施形態において、第1コンデンサ回路24は、単体のコンデンサ51により構成したが、単体に限定するものではなく、2個以上の複数のコンデンサの直列回路で構成したり、或いは、2個以上の複数のコンデンサの並列回路で構成してもよい。
【0055】
○ 前記各実施形態において、第2コンデンサ回路25は単体のコンデンサ52により構成したが、単体に限定するものではなく、2個以上の複数のコンデンサの直列回路で構成したり、或いは、2個以上の複数のコンデンサの並列回路で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】開閉器10の概略を示すブロック図。
【図2】電圧測定装置20の概略を示すブロック図。
【図3】温度特性図。
【図4】従来のコンデンサ回路の直列回路の説明図。
【符号の説明】
【0057】
10…開閉器(電力機器)、20…電圧測定装置、
21〜23…電圧測定回路(コンデンサ回路、電圧測定部)、
24…第1コンデンサ回路、25…第2コンデンサ回路、
26…信号処理部、
51,52…コンデンサ、53…温度補整用コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コンデンサ回路と第2コンデンサ回路を直列接続し、第2コンデンサ回路の分圧出力により電圧を測定可能にしたコンデンサ回路において、
第2コンデンサ回路と並列に温度補整用コンデンサを接続し、
前記温度補整用コンデンサの静電容量をCaとし、前記第2コンデンサ回路の静電容量をC2としたとき、両者の静電容量の比(Ca/C2)を
1/10 ≦ Ca/C2 ≦76/100
としたことを特徴とするコンデンサ回路。
【請求項2】
前記第2コンデンサ回路をセラミックコンデンサにより構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ回路。
【請求項3】
前記温度補整用コンデンサをポリエステルフィルムコンデンサとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンデンサ回路。
【請求項4】
前記第1コンデンサ回路及び第2コンデンサ回路のうち、少なくともいずれか一方は、コンデンサを複数含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のコンデンサ回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のコンデンサ回路からなる電圧測定部と、
該電圧測定部が出力した電圧に基づいて、電圧検出信号を出力する信号処理部とを含むことを特徴とする電圧測定装置。
【請求項6】
請求項5の電圧測定装置を備えることを特徴とする電力機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−205786(P2007−205786A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23147(P2006−23147)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
【Fターム(参考)】