説明

コンデンサ漏れ電流測定方法及びコンデンサ漏れ電流測定装置

【課題】コンデンサの漏れ電流測定時に、処理能力を低下させることなく高精度に漏れ電流を測定可能で、さらに搬送テーブルを大型化せずに、種々の容量のコンデンサで共用できるコンデンサ漏れ電流測定方法および測定装置を提供する。
【解決手段】コンデンサ漏れ電流測定装置は、リニアフィーダ1と、分離供給部2と、複数のワーク収納孔4が等間隔で形成された円形の搬送テーブル3と、充電ステージ6と、測定前充電ステージ7と、測定ステージ8と、排出ステージ9と、搬送ピッチ調整手段10とを備えている。搬送テーブル3がワーク収納孔4の間隔の2倍を単位として間歇回転し、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までの移動距離を搬送テーブル3の1回転より長くするため、漏れ電流の測定精度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定方法およびコンデンサ漏れ電流測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサの漏れ電流測定方法は、日本工業規格であるJIS C 5101-1の4.9項の規定に従うのが一般的である。この規定は、「コンデンサに直流電圧を印加し、ほぼその電圧に到達したときから最大5分後に測定する。規定の漏れ電流値に短時間で達した場合は、5分間印加する必要はない」、というものである。
【0003】
図21は漏れ電流測定に関わる一般的なコンデンサC0の等価回路図である。図21に示すようにコンデンサC0は等価的に、主容量Cと、絶縁抵抗R1と、誘電吸収因子Dとを並列接続して構成される。誘電吸収因子Dは、コンデンサC0に電圧を印加したときに内部に発生する電界により形成される誘電分極を、直列接続された内部抵抗rと容量(以下、誘電分極容量)とで表したものである。誘電分極は、非特許文献1に記載されているように、コンデンサC0の充電を開始してから一定時間経過後に安定するが、安定するまでの間は内部抵抗rを介して誘電分極容量への充電が行われる。以下では、誘電分極容量への充電を誘電吸収因子Dへの充電と呼ぶ。
【0004】
誘電吸収因子Dは、図21に示すように直列接続された内部抵抗rと誘電分極容量の一組だけで等価的に表されるとは限らず、直列接続された内部抵抗rと誘電分極容量の組を複数組並列に接続した等価回路で表される場合もありうる。このような場合でも、コンデンサC0の充電時にコンデンサC0に流れる電流の時間変化は誘電吸収因子Dの内部構成に依存しないため、図21では、簡略化のために、内部抵抗rと誘電分極容量の一組だけで誘電吸収因子Dを等価的に表している。
【0005】
誘電分極が安定した後にコンデンサC0に流れる電流は、実際には絶縁抵抗R1を流れる漏れ電流である。したがって、コンデンサC0の漏れ電流を精度よく測定するには、誘電分極が安定した後に漏れ電流を測定する必要があり、この漏れ電流を測定することにより、絶縁抵抗R1も求めることができる。
【0006】
図22はコンデンサC0に規定電圧を印加して充電を行った場合のコンデンサC0に流れる電流の時間変化を示す図であり、横軸は時間、縦軸はコンデンサC0に流れる電流である。図22の領域(ア)は充電電流領域であり、主として主容量Cが充電される。領域(イ)は誘電吸収領域であり、誘電吸収因子Dが充電される。領域(ウ)は誘電吸収因子Dが十分に充電された後の漏れ電流領域であり、この領域で漏れ電流が測定される。
【0007】
誘電吸収領域(イ)において誘電吸収因子Dを充電するのにはある程度長い時間を要するため、コンデンサC0に規定電圧を印加してから、漏れ電流領域(ウ)に到達するまでの時間も長くなってしまう。上述したJIS C 5101-1の「コンデンサに直流電圧を印加し、ほぼその電圧に到達したときから最大5分後に測定する」、という規定は、上記の誘電吸収因子Dを充電して、漏れ電流領域に達した後に漏れ電流を測定しないと、正確な電流値を測定できないことを意味する。
【0008】
しかしながら、これでは、個々のコンデンサC0を充電するのに時間がかかるため、この規定の後半の「規定の漏れ電流値に短時間で達した場合は、5分間印加する必要はない」、に着目し、これに対応するために、漏れ電流領域に短時間で到達する方法がいくつか提案されている。
【0009】
例えば、特許文献1は、複数回に分けて充電を行うことにより、1回当たりの充電期間を短縮し、かつ充電期間ごとに充電電圧を制御して、可能な範囲内で高い電圧をコンデンサに印加して急速充電を実現している。
【非特許文献1】電気工学ハンドブック(第6版)110頁、181頁
【特許文献1】特開平10−115651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の手法には以下の問題がある。
【0011】
図23は従来の漏れ電流測定装置の平面図である。被測定対象コンデンサC0からなるワークはリニアフィーダ1にて分離供給部2に搬送される。分離供給部2は、個々のワークを、円形の搬送テーブル3の周囲に等間隔で配置された複数のワーク収納孔4に1つずつ収納する。搬送テーブル3は、その中心軸5の周りを例えば図示のR方向に間歇的に回転可能とされ、搬送テーブル3の周縁部に沿って、複数の充電ステージ6および測定前充電ステージ7と測定ステージ8とが互いに間隔を隔てて配置されている。
【0012】
複数の充電ステージ6の底面には2つのプローブ(図23では不図示)がワークの両端に設けた電極に対し上下に移動可能に設けられている。搬送テーブル3の移動に伴って、ワーク収納孔4が充電ステージ6の位置に来ると、2つのプローブがワークの両端電極に当接してワークを初期充電する。
【0013】
複数の充電ステージ6間、または充電ステージ6と測定前充電ステージ7間をワークが移動している最中は、プローブがワークの両端電極に当接しておらず、ワークに蓄積された電荷は自然放電される。この放電期間には、図21の等価回路からわかるように、主容量Cに蓄えられた電荷が誘電吸収因子Dの容量分に内部抵抗rを通じて移動し、これにより誘電吸収因子Dが充電される。誘電吸収因子Dを充電するのに要する時間は、誘電吸収時間と呼ばれる。この誘電吸収時間は、ワークが充電ステージ6に停止した状態で充電される時間と、ワークが複数の充電ステージ6の間或いは充電ステージ6と測定前充電ステージ7との問を移動する時間とを合せた時間である。
【0014】
その後、いくつかの充電ステージ6において漏れ電流領域まで充電されたワークが測定前充電ステージ7に到達すると、図示されないプローブがワーク収納孔4に収納されたワークの電極に当接して主容量Cがフル充電される。これにより、誘電吸収因子Dの充電に用いられて減少した主容量Cの電荷を補充する。その後、ワークは測定前充電ステージ7から測定ステージ8に到達し、図示されないプローブがワーク収納孔4に収納されたワークの電極に当接してワークの絶縁抵抗R1を流れる漏れ電流を測定する。
【0015】
漏れ電流を測定した後、ワークに充電された電荷を放電して、ワークは排出ステージ9から図示されない収納箱に向けて排出される。ワークが排出されて空になったワーク収納孔4には、再び分離供給部2において次のワークが収納される。
【0016】
この装置を用いてコンデンサの漏れ電流を測定する場合、次のような問題が発生する。この装置において、主容量Cの値が大きいワークを扱う場合、Cの値が大きくなるのに対応して誘電吸収因子Dの容量も大きくなり、誘電吸収因子Dを十分に充電してワークを漏れ電流領域まで到達させるまでの所要時間が長くなる。
【0017】
これに対処するためには、誘電吸収時間を長くすること、すなわちワークがステージに停止する時間を長くするか、或いはワークがステージ間を移動する速度を遅くする必要がある。しかしながら、このようにすると、単位時間当りのワークの処理数量すなわち処理能力が低下するという問題がある。
【0018】
ワークの処理能力を低下させることなく誘電吸収時間を長くするためには、搬送テーブル3のステージ間移動速度を変えずに搬送テーブル3の直径を大きくしてワークがステージ間を移動する距離を長くすることが考えられる。しかしながら、このようにすると装置が大きくなり、また、主容量Cの値が大きいワークを扱う搬送テーブルと、主容量Cの値が小さいワークを扱う搬送テーブルとを共用することができないなど、コストアップの要因になるという問題がある。
【0019】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンデンサの漏れ電流測定時に、処理能力を低下させることなく高精度に漏れ電流を測定可能で、さらに搬送テーブルを大型化せずに、種々の容量のコンデンサで共用できるコンデンサ漏れ電流測定方法および測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様によれば、周回可能な搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定方法において、前記搬送体の周囲に配置された収納ステージにて、前記複数のワーク収納孔に前記コンデンサを収納するステップと、前記搬送体の周囲に配置された充電ステージにて、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電するステップと、前記搬送体の周囲に配置された測定ステージにて、前記充電ステージにて前記コンデンサを充電した後、主容量および誘電吸収因子の双方を充電済みの前記コンデンサの漏れ電流を測定するステップと、前記搬送体の周囲に配置された排出ステージにて、前記測定ステージで測定を終了した前記コンデンサを排出するステップと、を備え、前記収納ステージから前記排出ステージまでに前記搬送体が1周分より多く周回することを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定方法コンデンサ漏れ電流測定方法が提供される。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、周回可能な搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定装置において、前記搬送体の周囲に配置され、前記複数のワーク収納孔に前記コンデンサを収納する収納手段と、前記搬送体の周囲に配置され、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電する充電手段と、前記搬送体の周囲に配置され、前記充電手段にて前記コンデンサを充電した後、主容量および誘電吸収因子の双方を充電済みの前記コンデンサの漏れ電流を測定する測定手段と、 前記搬送体の周囲に配置され、前記測定手段で測定を終了した前記コンデンサを排出する排出手段と、を備え、前記収納手段から前記排出手段までに前記搬送体が1周分より多く周回することを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定装置コンデンサ漏れ電流測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンデンサの漏れ電流測定時に、処理能力を低下させることなく高精度に漏れ電流を測定でき、さらに搬送テーブルを大型化せずに、種々の容量のコンデンサで共用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず、本発明の基本原理を簡単に説明する。本発明に係るコンデンサ漏れ電流測定装置では、コンデンサを収納し、充電し、漏れ電流測定を行い、排出する。収納から排出までを搬送テーブルの1周分より長くすることで、充電から漏れ電流測定までの時間を長く取って、主容量および誘電吸収因子の双方を充電した後に、コンデンサの漏れ電流を測定を行うものである。
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下では、漏れ電流を測定する対象となる被測定対象コンデンサC0をワークと呼ぶ。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。図1では、図23と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。図1のコンデンサ漏れ電流測定装置は、リニアフィーダ1と、分離供給部2と、複数のワーク収納孔4が等間隔で形成された円形の搬送テーブル(搬送体)3と、充電ステージ6と、測定前充電ステージ7と、測定ステージ8と、排出ステージ9と、搬送ピッチ調整手段10とを備えている。
【0026】
本実施形態ではワーク収納孔4の総数を11個とし、各ワーク収納孔4の位置を(1)〜(11)で表している。
【0027】
分離供給部2は位置(1)に配置されている。また、充電ステージ6は位置(3)に配置されている。さらに、測定前充電ステージ7と測定ステージ8の間隔は、それぞれ位置(6)と(8)に配置され、ワーク収納孔4の間隔の2倍だけ離れている。また、排出ステージ9は位置(10)に配置されている。
【0028】
ここで、「距離」を以下のように定義する。図1において、図1において搬送テーブル3が、例えば隣接するワーク収納孔間に相当する中心角αだけ回転したときに、ワーク収納孔内のワークの中央部分はそれに対応して破線の円弧Tのように回転する。この円弧Tに沿って計測した長さを距離と呼ぶことにする。
【0029】
搬送ピッチ調整手段10は、搬送テーブル3が、その中心軸5のまわりを反時計回り(図示のR方向)にワーク収納孔4の間隔の2倍を単位として間歇的に回転(以下、間歇回転)するよう、搬送ピッチを調整する。このとき、あるワーク収納孔4に収納されたワークが1回の間歇回転で移動する距離は、位置2つ分に相当する。例えば、搬送テーブル3が停止状態のときに、あるワーク収納孔4が位置(1)にあったとすると、搬送テーブル3が1回間歇回転して停止したときに、このワーク収納孔4は位置(3)に移動する。
【0030】
次に、第1の実施形態の処理動作について説明する。図1において、ワーク収納孔4のすべてが空の場合を初期状態とする。初期状態において、あるワーク収納孔4が分離供給部2の位置(1)にあって、ワークが収納されたとする。搬送テーブル3が間歇回転すると、ワークが収納されたワーク収納孔4は位置(3)、(5)、(7)のように、位置(1)を基準として2ずつ増える位置で停止する。また、位置(11)の次は位置(2)に停止し、その後位置(4)、(6)、(8)のように2ずつ異なる位置で間歇的に停止する。
【0031】
ここで、ワーク収納孔4の総数が11であり、搬送テーブル3が間歇回転する単位がワーク収納孔4の間隔の2倍であるため、位置(1)でワークが収納されたワーク収納孔4は、搬送テーブル3が2回転したときに再び位置(1)に戻る。すなわち、ワーク収納孔4に収納されたワークは、充電ステージ6(位置(3))で充電された後、搬送テーブル3で1周より多く回転された後に、測定前充電ステージ7(位置(6))で再充電され、引き続いて測定ステージ8(位置(8))で漏れ電流が測定され、その後、排出ステージ9(位置(10))から排出される。
【0032】
これにより、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までのワークの移動距離を、搬送テーブル3の1周分より大きくすることができる。従って、漏れ電流領域に到達するまで誘電吸収因子を充電する誘電吸収時間を長く確保でき、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流も精度よく測定できる。
【0033】
図2は、図1のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図2は、ワーク収納孔の位置(1)〜(11)のそれぞれにおいて、搬送テーブル3の1周目に収納されるワークの種類、2周目に収納されるワークの種類、および処理を行うステージ名を表している。図2では、搬送テーブル3が、ワーク収納孔位置(1)〜(11)の順に1周目から2周目まで間歇回転する例を示している。すなわち、1周目の収納孔位置(1)〜1周目の収納孔位置(11)、2周目の収納孔位置(1)〜2周目の収納孔位置(11)の順に時間が経過し、2周目の収納孔位置(11)の次は1周目の収納孔位置(1)に戻る。
【0034】
まず、すべてのワーク収納孔4が空である初期状態の搬送テーブル3に対して収納孔位置(1)でワーク収納孔4にワークが供給される。これを図2において1周目の収納孔位置(1)における「X」で示す。図2では、収納孔位置(1)に対応するステージ名を「収納」としている。これは、収納孔位置(1)に図1の分離供給部2が存在することを示している。
【0035】
搬送テーブル3が1回間歇回転すると、図2においてこのワークは収納孔位置(3)に到達する。図2では、収納孔位置(3)に対応するステージ名を「充電」としている。これは、収納孔位置(3)に図1の充電ステージ6が存在することを示している。この充電ステージ6でワークは充電される。このとき、収納孔位置(1)にあるワーク収納孔4には次のワークが収納される。収納孔位置(2)にあるワーク収納孔4は図2において「空」であるが、これはまだワークが収納されていないことを示す。後述のように、このワーク収納孔4には2周目の収納孔位置(1)で最初のワークが収納される。
【0036】
充電ステージ6から測定前充電ステージ7までの距離は、搬送テーブル3を1周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図2において充電ステージ6に対応する1周目の収納孔位置(3)の次にワークが停止する位置は1周目の収納孔位置(5)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに1周分より多く回転させた位置に測定前充電ステージ7が設けられる。その位置は2周目の収納孔位置(6)であり、図2において対応するステージ名を「測定前充電」としている。すなわち、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までのワークの移動距離は1周目の収納孔位置(3)から2周目の収納孔位置(6)までであり、この間に搬送テーブル3は1周分より多く回転している。充電ステージ6から測定前充電ステージ7へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0037】
図21を用いて説明したように、コンデンサの誘電吸収因子を充電するのには時間がかかるが、本実施形態では、充電ステージ6でコンデンサの充電を行った後に、搬送テーブル3を1周分より多く回転させてから、測定前充電ステージ7に到達するようにしたため、測定前充電ステージ7に到達する時点で、ワーク(コンデンサ)の誘電吸収因子を十分に充電させることができる。
【0038】
測定前充電ステージ7では、ワ一クの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(8)に到達する。図2では、収納孔位置(8)に対応するステージ名を「測定」としている。これは、収納孔位置(8)に図1における測定ステージ8が存在することを示している。測定ステージ8で漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0039】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(10)に到達する。図2では、収納孔位置(10)に対応するステージ名を「排出」としている。これは、収納孔位置(10)に図1における排出ステ一ジ9が存在することを示している。排出ステージ9でワークは排出され、空になったワーク収納孔4は再び1周目と同様の収納孔位置(1)に到達して、分離供給部2により新しいワークが収納される。
【0040】
このように、搬送テーブル3が2周するとワーク収納孔4は元の位置に戻る。なお、図2中の「Y」は1周目でワークが収納されなかった収納孔位置に2周目でワークが収納されることを示す。この「Y」に対応するワークの処理内容は、図2には記載されないが、3周目の収納孔位置(10)においてワーク収納孔4から排出され、空になったワーク収納孔4には、やはり図2には記載されないが、4周目の収納孔位置(1)において新しいワークが収納される。
【0041】
また図2において影を付けた部分は、ワークと各ステージ名との対応位置を示すものである。ステージ名は上から下へ、すなわち時間経過に従って工程順に並んでいる。このため、コンデンサの主容量が小さく、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までに時間を要さない場合、すなわち搬送テーブル3が1周する間に全工程を終了できる場合には、搬送テーブル3の間歇回転の単位を、隣接するワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、搬送テーブル3や、分離供給部2(収納ステージ)、充電ステージ6、測定前充電ステージ7、測定ステージ8および排出ステージ9などの設備を共用することができる。
【0042】
ただし、コンデンサの主容量が小さい場合、測定前充電ステージ7から測定ステージ8までの距離を、搬送テーブル3の間歇回転1回分の距離にする。具体的にはコンデンサの主容量が大きく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔の2倍のときと、コンデンサの主容量が小さく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔と同一のときとでは、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離を変える。
【0043】
そこで、測定ステージ8とその直前に配置される測定前充電ステージ7が一体になった装置を2種類用意し、そのうちの一方は他方よりも、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離を広げておく。これにより、コンデンサの主容量が大きいか否かにより、この装置を差し替えるだけで、主容量が大きいコンデンサと小さいコンデンサの両方の漏れ電流を精度よく測定できる。
【0044】
具体例として、図1及び図2に示す本実施形態を、コンデンサの主容量が小さい場合、すなわち搬送テーブル3の間歇回転の単位が隣接するワーク収納孔4の間隔と同一であり、搬送テーブル3が1周する間に測定を行う手法を以下に示す。
【0045】
図3は、図1の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。搬送ピッチ調整手段10は、コンデンサの容量に応じて、後述する充電測定手段100または101のうち1つを選択し、かつ搬送テーブル3を間歇回転させる搬送ピッチをワーク収納孔4の間隔を単位として調整する。図4は、図3のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図4は搬送テーブル3が1周する間に漏れ電流を測定する例を示し、搬送テーブル3の間歇回転の単位はワーク収納孔4の間隔に一致する。従って、ワーク収納孔4のすべてが空である初期状態から動作を開始すると、「X」で示したように、搬送テーブル3が1周する間にワークは全ワーク収納孔4に収納される。
【0046】
ここで、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離は、搬送テーブル3の間歇回転1回分の距離、すなわち、隣接するワ一ク収納孔4間の距離に一致する。そこで、図1では、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にした充電測定手段100を用いていたが、図3では、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にした別の充電測定手段101に差し替えている。充電測定手段101における測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離は、充電測定手段100における測定前ステージ7と測定ステージ8との距離の1/2である。より具体的には、充電測定手段101における測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離は、コンデンサの主容量が小さい場合の間歇回転の距離、すなわち隣接するワーク収納孔4間の距離である。
【0047】
このように、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合は充電測定手段100を用いるが、この充電測定手段100を充電測定手段101に差し替えて、かつ搬送テーブル3の間歇回転の単位をワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流の測定を、図4のように搬送テーブル3の1周分で終了させることができる。
【0048】
ここで、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図2)と主容量が小さいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図4)における誘電吸収時間と処理能力の比較を行う。数値例として、搬送テーブル3の停止時間を10ms、1回の間歇回転に要するワ一クの移動時間を15msとする。
【0049】
図2の場合、充電ステージ6(収納孔位置(3))から測定ステージ8(収納孔位置(8))までの停止位置は9箇所、間歇回転は8回なので、充電ステージ6から測定ステージ8までの所要時間すなわち誘電吸収時間t1は、
t1=10ms×9+15ms×8
=210ms
となる。また、各ステージ6〜8をワークが通過するのに要する時間は、ワークの停止時間と移動時間の和であるので、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a1は、
a1=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0050】
これに対して、図4の場合、充電ステージ6(収納孔位置(3))から測定ステージ8(収納孔位置(8))までの停止位置は6箇所、間歇回転は5回なので、充電ステージ6から測定ステージ8までの所要時間すなわち誘電吸収時間t2は、
t2=10ms×6+15ms×5
=135ms
となる。また、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a2は、
a2=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0051】
以上より、図2と図4を比較すると、処理能力は同じであるが、誘電吸収時間は図2の方が長くなっており、図2はコンデンサの容量が大きくて誘電吸収時間が長い場合に適しており、図4はコンデンサの容量が小さくて誘電吸収時間が短い場合に適していることがわかる。
【0052】
このように、第1の実施形態では、搬送テーブル3がワーク収納孔4の間隔の2倍を単位として間歇回転し、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までの移動距離を搬送テーブル3の1周より長くするため、主容量が大きいコンデンサであっても、コンデンサ内部の誘電吸収因子を十分に充電でき、ワークを漏れ電流領域まで到達させた後に、漏れ電流を測定することになり、漏れ電流の測定精度を向上できる。また、搬送テーブル3を間歇回転させている間に、順にワーク収納孔4にワークを収納して、各ワークを順に充電ステージ6、測定前充電ステージ7および測定ステージ8まで順に搬送するため、各ワークの漏れ電流測定処理の処理能力を低下させるおそれはない。
【0053】
また、本実施形態の変形例として、充電ステージ6、測定前充電ステージ7、測定ステージ8、排出ステージ9を工程順に配置し、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にして、測定前充電ステージ7と測定ステージ8の距離がそれぞれ異なる充電測定手段100,101を設けて、被測定対象のコンデンサの主容量が大きい場合は充電測定手段100を、主容量が小さい場合は充電測定手段101を選択することが考えられる。ワークの容量に応じて、充電測定手段100と充電測定手段101のいずれかを選択し、かつ搬送テーブル3の間歇回転の単位を調整することで、分離供給部2や搬送テーブル3などを共用してコンデンサの漏れ電流を測定できる。これにより、装置全体のコストアップを防止できる。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態における充電ステージ6、測定前充電ステージ7および測定ステージ8からなる組合せを2組直列に配置し、搬送テーブル3を3回転させてコンデンサ漏れ電流測定を行うものである。
【0055】
図5は本発明の第2の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0056】
本実施形態ではワーク収納孔4の総数を28個とし、各ワーク収納孔4の位置を(1)〜(28)で表している。
【0057】
分離供給部2は位置(1)に配置されている。また、図1と異なり、図5は2つずつの充電ステージ61,62、測定前充電ステージ71,72、測定ステージ81,82を備えている。充電ステージ61,62は、それぞれ位置(4),(15)に配置されている。測定前充電ステージ71,72はそれぞれ位置(9),(20)に配置されている。測定ステージ81,82はそれぞれ位置(12),(23)に配置されている。測定前充電ステージ71と測定ステージ81の間隔、および測定前充電ステージ72と測定ステージ82の間隔は、それぞれワーク収納孔4の間隔の3倍だけ離れている。また、排出ステージ9は位置(26)に配置されている。
【0058】
搬送ピッチ調整手段10は、搬送テーブル3が、その中心軸5のまわりを反時計回り(図示のR方向)にワーク収納孔4の間隔の3倍を単位として間歇回転するよう、搬送ピッチを調整する。このとき、あるワーク収納孔4に収納されたワークが1回の間歇回転で移動する距離は、位置3つ分に相当する。例えば、搬送テーブル3が停止状態のときに、あるワーク収納孔4が位置(1)にあったとすると、搬送テーブル3が1回間歇回転して停止したときに、このワーク収納孔4は位置(4)に移動する。
【0059】
次に、第2の実施形態の処理動作について説明する。図5において、ワーク収納孔4のすべてが空の場合を初期状態とする。初期状態において、あるワーク収納孔4が分離供給部2の位置(1)にあって、ワークが収納されたとする。搬送テーブル3が間歇回転すると、ワークが収納されたワーク収納孔4は位置(4)、(7)、(10)のように、位置(1)を基準として3ずつ増える位置で停止する。また、位置(28)の次は位置(3)に停止し、その後位置(6)、(9)、(12)のように3ずつ異なる位置で間歇的に停止する。
【0060】
ここで、ワーク収納孔4の総数が28であり、搬送テーブル3が間歇回転する単位がワーク収納孔4の間隔の3倍であるため、位置(1)でワークが収納されたワーク収納孔4は、搬送テーブル3が3回転したときに再び位置(1)に戻る。すなわち、ワーク収納孔4に収納されたワークは、充電ステージ61(位置(4))で充電された後、搬送テーブル3で1周より多く回転された後に、測定前充電ステージ71(位置(9))で再充電され、引き続いて測定ステージ81(位置(12))で漏れ電流が測定される。その後、同様の手順で、充電ステージ62(位置(15))で充電された後、搬送テーブル3で1周より多く回転された後に、測定前充電ステージ72(位置(20))で再充電され、引き続いて測定ステージ82(位置(23))で漏れ電流が測定され、その後、排出ステージ9(位置(26))から排出される。
【0061】
これにより、充電ステージ61から測定前充電ステージ71までのワークの移動距離、および、充電ステージ62から測定前充電ステージ72までのワークの移動距離を、搬送テーブル3の1周分より大きくすることができる。従って、漏れ電流領域に到達するまで誘電吸収因子を充電する誘電吸収時間を長く確保でき、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流も精度よく測定できる。
【0062】
図6は、図5のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図6は、ワーク収納孔の位置(1)〜(28)のそれぞれにおいて、搬送テーブル3の1周目に収納されるワークの種類、2周目に収納されるワークの種類、3周目に収納されるワークの種類、および処理を行うステージ名を表している。図6では、搬送テーブル3が、ワーク収納孔位置(1)〜(28)の順に1周目から3周目まで間歇回転する例を示している。すなわち、1周目の収納孔位置(1)〜1周目の収納孔位置(28)、2周目の収納孔位置(1)〜2周目の収納孔位置(28)、3周目の収納孔位置(1)〜3周目の収納孔位置(28)の順に時間が経過し、3周目の収納孔位置(28)の次は1周目の収納孔位置(1)に戻る。
【0063】
まず、すべてのワーク収納孔4が空である初期状態の搬送テーブル3に対して収納孔位置(1)でワーク収納孔4にワークが供給される。これを図6において1周目の収納孔位置(1)における「X」で示す。図6では、収納孔位置(1)に対応するステージ名を「収納」としている。これは、収納孔位置(1)に図5の分離供給部2が存在することを示している。
【0064】
搬送テーブル3が1回間歇回転すると、図6においてこのワークは収納孔位置(4)に到達する。図6では、収納孔位置(4)に対応するステージ名を「充電1」としている。これは、収納孔位置(4)に図5の充電ステージ61が存在することを示している。この充電ステージ61でワークは充電される。このとき、収納孔位置(1)にあるワーク収納孔4には次のワークが収納される。収納孔位置(2),(3)にあるワーク収納孔4は図6において「空」であるが、これはまだワークが収納されていないことを示す。後述のように、このワーク収納孔4には2周目、3周目の収納孔位置(1)で最初のワークが収納される。
【0065】
充電ステージ61から測定前充電ステージ71までの距離は、搬送テーブル3を1周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図6において充電ステージ61に対応する1周目の収納孔位置(4)の次にワークが停止する位置は1周目の収納孔位置(7)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに1周分より多く回転させた位置に測定前充電ステージ71が設けられる。その位置は2周目の収納孔位置(9)であり、図6において対応するステージ名を「測定前充電1」としている。すなわち、充電ステージ61から測定前充電ステージ71までのワークの移動距離は1周目の収納孔位置(4)から2周目の収納孔位置(9)までであり、この間に搬送テーブル3は1周分より多く回転している。充電ステージ61から測定前充電ステージ71へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0066】
測定前充電ステージ71では、ワークの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(12)に到達する。図6では、収納孔位置(12)に対応するステージ名を「測定1」としている。これは、収納孔位置(12)に測定ステージ81が存在することを示している。測定ステージ81で1回目の漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0067】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(15)に到達する。図6では、収納孔位置(15)に対応するステージ名を「充電2」としている。これは、収納孔位置(15)に充電ステージ62が存在することを示している。この充電ステージ62で再びワークは充電される。
【0068】
充電ステージ62から測定前充電ステージ72までの距離は、搬送テーブル3を1周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図6において充電ステージ62に対応する2周目の収納孔位置(15)の次にワークが停止する位置は2周目の収納孔位置(18)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに1周分より多く回転させた位置に測定前充電ステージ72が設けられる。その位置は3周目の収納孔位置(20)であり、図6において対応するステージ名を「測定前充電2」としている。すなわち、充電ステージ62から測定前充電ステージ72までのワークの移動距離は2周目の収納孔位置(15)から3周目の収納孔位置(20)までであり、この間に搬送テーブル3は1周分より多く回転している。充電ステージ62から測定前充電ステージ72へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0069】
測定前充電ステージ72では、ワ一クの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(23)に到達する。図6では、収納孔位置(23)に対応するステージ名を「測定2」としている。これは、収納孔位置(23)に測定ステージ82が存在することを示している。測定ステージ82で2回目の漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0070】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(26)に到達する。図6では、収納孔位置(26)に対応するステージ名を「排出」としている。これは、収納孔位置(26)に、図5における排出ステ一ジ9が存在することを示している。排出ステージ9でワークは排出され、空になったワーク収納孔4は再び1周目と同様の収納孔位置(1)に到達して、分離供給部2により新しいワークが収納される。
【0071】
このように、搬送テーブル3が3周するとワーク収納孔4は元の位置に戻る。なお、図6中の「Y」および「Z」は1周目でワークが収納されなかった収納孔位置に2周目および3周目でワークが収納されることを示す。この「Y」および「Z」に対応するワークの処理内容は、図6には記載されないが、それぞれ4周目および5周目の収納孔位置(26)においてワーク収納孔4から排出され、空になったワーク収納孔4には、やはり図6には記載されないが、それぞれ5周目および6周目の収納孔位置(1)において新しいワークが収納される。
【0072】
また図6において影を付けた部分は、ワークと各ステージ名との対応位置を示すものである。ステージ名は上から下へ、すなわち時間経過に従って工程順に並んでいる。このため、コンデンサの主容量が小さく、充電ステージ61から測定前充電ステージ71および充電ステージ62から測定前充電ステージ72までに時間を要さない場合、すなわち搬送テーブル3が1周する間に全工程を終了できる場合には、搬送テーブル3の間歇回転の単位を、隣接するワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、搬送テーブル3や、分離供給部2(収納ステージ)、充電ステージ61,62、測定前充電ステージ71,72、測定ステージ81,82および排出ステージ9などの設備を共用することができる。
【0073】
ただし、コンデンサの主容量が小さい場合、測定前充電ステージ71から測定ステージ81までの距離と、測定前充電ステージ72から測定ステージ82までの距離を、搬送テーブル3の間歇回転1回分の距離にする。具体的にはコンデンサの主容量が大きく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔の3倍のときと、コンデンサの主容量が小さく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔と同一のときとでは、測定前充電ステージ71と測定ステージ81との距離、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82との距離を変える。
【0074】
そこで、第1の実施形態と同様に、測定ステージ81とその直前に配置される測定前充電ステージ71、および、測定ステージ82とその直前に配置される測定前充電ステージ72が一体になった装置をそれぞれ2種類用意し、そのうちの一方は他方よりも、測定前充電ステージ71と測定ステージ81、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82との距離を広げておく。これにより、コンデンサの主容量が大きいか否かにより、この装置を差し替えるだけで、主容量が大きいコンデンサと小さいコンデンサの両方の漏れ電流を精度よく測定できる。
【0075】
具体例として、図5及び図6に示す本実施形態を、コンデンサの主容量が小さい場合、すなわち搬送テーブル3の間歇回転の単位が隣接するワーク収納孔4の間隔と同一であり、搬送テーブル3が1周する間に測定を行う手法を以下に示す。
【0076】
図7は、図5の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。搬送ピッチ調整手段10は、コンデンサの容量に応じて、後述する充電測定手段102と充電測定手段103、または、充電測定手段104と充電測定手段105のうち1つを選択し、かつ搬送テーブル3を間歇回転させる搬送ピッチをワーク収納孔4の間隔を単位として調整する。
【0077】
図8は、図7のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図8は搬送テーブル3が1周する間に漏れ電流を測定する例を示し、搬送テーブル3の間歇回転の単位はワーク収納孔4の間隔に一致する。従って、ワーク収納孔4のすべてが空である初期状態から動作を開始すると、「X」で示したように、搬送テーブル3が1周する間にワークは全ワーク収納孔4に収納される。以下では、図3および図4との相違点を中心に説明する。
【0078】
図5で用いる充電測定手段102および充電測定手段103は、測定前充電ステージ71と測定ステージ81、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離の3倍である。これに対して、図7で用いる充電測定手段104および充電測定手段105は、測定前充電ステージ71と測定ステージ81、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離である。
【0079】
このように、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合は充電測定手段102,103を用いるが、これらの充電測定手段102,103を充電測定手段104,105に差し替えて、かつ搬送テーブル3の間歇回転の単位をワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流の測定を、図8のように搬送テーブル3の1周分で測定を終了させることができる。
【0080】
ここで、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図6)と主容量が小さいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図8)における誘電吸収時間と処理能力の比較を行う。数値例として、第1の実施形態と同様に、搬送テーブル3の停止時間を10ms、1回の間歇回転に要するワ一クの移動時間を15msとする。
【0081】
図6の場合、充電ステージ61(収納孔位置(4))から測定ステージ82(収納孔位置(23))までの停止位置は26箇所、間歇回転は25回なので、充電ステージ61から測定ステージ82までの所要時間すなわち誘電吸収時間t3は、
t3=10ms×26+15ms×25
=635ms
となる。また、各ステージ6〜8をワークが通過するのに要する時間は、ワークの停止時間と移動時間の和であるので、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a3は、
a3=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0082】
これに対して、図8の場合、充電ステージ61(収納孔位置(4))から測定ステージ82(収納孔位置(23))までの停止位置は20箇所、間歇回転は19回なので、充電ステージ61から測定ステージ82までの所要時間すなわち誘電吸収時間t4は、
t4=10ms×20+15ms×19
=485ms
となる。また、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a4は、
a4=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0083】
以上より、図6と図8を比較すると、処理能力は同じであるが、誘電吸収時間は図6の方が長くなっており、図6はコンデンサの容量が大きくて誘電吸収時間が長い場合に適しており、図8はコンデンサの容量が小さくて誘電吸収時間が短い場合に適していることがわかる。
【0084】
このように、第2の実施形態では、第1の実施形態の効果に加え、搬送テーブル3を3周させてコンデンサ漏れ電流測定を行うようにしたため、第1の実施形態より誘電吸収時間を長くできる効果がある。
【0085】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態に対して、充電ステージ6を1つ追加してコンデンサ漏れ電流測定を行うものである。
【0086】
図9は本発明の第3の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では図1との相違点を中心に説明する。
【0087】
本実施形態ではワーク収納孔4の総数を13個とし、各ワーク収納孔4の位置を(1)〜(13)で表している。
【0088】
分離供給部2は位置(1)に配置されている。また、図1と異なり、図9では2つの充電ステージ611,612を備えている。充電ステージ611,612は、それぞれ位置(3),(6)に配置されている。測定前充電ステージ7と測定ステージ8はそれぞれ位置(8)および(10)に配置されている。測定前充電ステージ7と測定ステージ8の間隔は、ワーク収納孔4の間隔の2倍だけ離れている。また、排出ステージ9は位置(12)に配置されている。
【0089】
搬送ピッチ調整手段10は、搬送テーブル3が、図1と同様に、その中心軸5のまわりを反時計回り(図示のR方向)にワーク収納孔4の間隔の2倍を単位として間歇回転するよう、搬送ピッチを調整する。
【0090】
次に、第3の実施形態の処理動作について説明する。図9において、ワーク収納孔4のすべてが空の場合を初期状態とする。初期状態において、あるワーク収納孔4が分離供給部2の位置(1)にあって、ワークが収納されたとする。搬送テーブル3が間歇回転すると、ワークが収納されたワーク収納孔4は位置(3)、(5)、(7)のように、位置(1)を基準として2ずつ増える位置で停止する。また、位置(13)の次は位置(2)に停止し、その後位置(4)、(6)、(8)のように2ずつ異なる位置で間歇的に停止する。
【0091】
ここで、ワーク収納孔4の総数が13であり、搬送テーブル3が間歇回転する単位がワーク収納孔4の間隔の2倍であるため、位置(1)でワークが収納されたワーク収納孔4は、搬送テーブル3が2回転したときに再び位置(1)に戻る。すなわち、ワーク収納孔4で収納されたワークは、充電ステージ611(位置(3))で充電された後、搬送テーブル3で1周より多く回転された後に、充電ステージ612(位置(6))で再充電され、その後、測定前充電ステージ7(位置(8))で再充電され、引き続いて測定ステージ8(位置(10))で漏れ電流が測定され、その後、排出ステージ9(位置(12))から排出される。
【0092】
これにより、充電ステージ611から充電ステージ612までのワークの移動距離を、搬送テーブル3の1周分より大きくすることができる。従って、漏れ電流領域に到達するまで誘電吸収因子を充電する誘電吸収時間を長く確保でき、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流も精度よく測定できる。
【0093】
図10は、図9のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図10は、ワーク収納孔の位置(1)〜(13)のそれぞれにおいて、搬送テーブル3の1周目に収納されるワークの種類、2周目に収納されるワークの種類、および処理を行うステージ名を表している。図10では、搬送テーブル3が、ワーク収納孔位置(1)〜(13)の順に1周目から2周目まで間歇回転する例を示している。すなわち、1周目の収納孔位置(1)〜1周目の収納孔位置(13)、2周目の収納孔位置(1)〜2周目の収納孔位置(13)の順に時間が経過し、2周目の収納孔位置(13)の次は1周目の収納孔位置(1)に戻る。
【0094】
まず、すべてのワーク収納孔4が空である初期状態の搬送テーブル3に対して収納孔位置(1)でワーク収納孔4にワークが供給される。これを図10において1周目の収納孔位置(1)における「X」で示す。図10では、収納孔位置(1)に対応するステージ名を「収納」としている。これは、収納孔位置(1)に図9の分離供給部2が存在することを示している。
【0095】
搬送テーブル3が1回間歇回転すると、図10においてこのワークは収納孔位置(3)に到達する。図10では、収納孔位置(3)に対応するステージ名を「充電1」としている、これは、収納孔位置(3)に図9における充電ステージ611が存在することを示している。この充電ステージ611でワークは充電される。このとき、収納孔位置(1)にあるワーク収納孔4には次のワークが収納される。収納孔位置(2)にあるワーク収納孔4は図10において「空」であるが、これはまだワークが収納されていないことを示す。後述のように、このワーク収納孔4には2周目の収納孔位置(1)で最初のワークが収納される。
【0096】
充電ステージ611から充電ステージ612までの距離は、搬送テーブル3を1周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図10において充電ステージ611に対応する1周目の収納孔位置(3)の次にワークが停止する位置は1周目の収納孔位置(5)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに1周分より多く回転させた位置に充電ステージ612が設けられている。その位置は2周目の収納孔位置(6)であり、図10において対応するステージ名を「充電2」としている。すなわち、充電ステージ611から充電ステージ612までのワークの移動距離は1周目の収納孔位置(3)から2周目の収納孔位置(6)までであり、この間に搬送テーブル3は1周分より多く回転している。充電ステージ611から充電ステージ612へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0097】
充電ステージ612に到達したワ一クは再び充電された後、収納孔位置(8)に到達する。図10では、収納孔位置(8)に対応するステージ名を「測定前充電」としている。これは、収納孔位置(8)に測定前充電ステージ7が存在することを示す。
【0098】
測定前充電ステージ7では、ワークの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワ一クは収納孔位置(10)に到達する。図10では、収納孔位置(10)に対応するステージ名を「測定」としている。これは、収納孔位置(10)に図9における測定ステージ8が存在することを示している。測定ステージ8で漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0099】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(12)に到達する。図10では、収納孔位置(12)に対応するステージ名を「排出」としている。これは、収納孔位置(12)に図9における排出ステ一ジ9が存在することを示している。排出ステージ9でワークは排出され、空になったワーク収納孔4は再び1周目と同様の収納孔位置(1)に到達して、分離供給部2により新しいワークが収納される。
【0100】
このように、搬送テーブル3が2周するとワーク収納孔4は元の位置に戻る。なお、図10中の「Y」は1周目でワークが収納されなかった収納孔位置に2周目でワークが収納されることを示す。この「Y」に対応するワークの処理内容は、図10には記載されないが、3周目の収納孔位置(12)においてワーク収納孔4から排出され、空になったワーク収納孔4には、やはり図10には記載されないが、4周目の収納孔位置(1)において新しいワークが収納される。
【0101】
また図10において影を付けた部分は、ワークと各ステージ名との対応位置を示すものである。ステージ名は上から下へ、すなわち時間経過に従って工程順に並んでいる。このため、コンデンサの主容量が小さく、充電ステージ611から充電ステージ612までに時間を要さない場合、すなわち搬送テーブル3が1周する間に全工程を終了できる場合には、搬送テーブル3の間歇回転の単位を隣接するワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、搬送テーブル3や、分離供給部2(収納ステージ)、充電ステージ611,612、測定前充電ステージ7、測定ステージ8および排出ステージ9などの設備を共用することができる。
【0102】
ただし、コンデンサの主容量が小さい場合、測定前充電ステージ7から測定ステージ8までの距離を、搬送テーブル3の間歇回転1回分の距離にする。具体的には、コンデンサの主容量が大きく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔の2倍のときと、コンデンサの主容量が小さく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔と同一のときとでは、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離を変える。
【0103】
そこで、第1の実施形態と同様に、測定ステージ8とその直前に配置される測定前充電ステージ7が一体になった装置を2種類用意し、そのうちの一方は他方よりも、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離を広げておく。これにより、コンデンサの主容量が大きいか否かにより、この装置を差し替えるだけで、主容量が大きいコンデンサと小さいコンデンサの両方の漏れ電流を精度よく測定できる。
【0104】
具体例として、図9及び図10に示す本実施形態を、コンデンサの主容量が小さい場合、すなわち搬送テーブル3の間歇回転の単位が隣接するワーク収納孔4の間隔と同一であり、搬送テーブル3が1周する間に測定を行う手法を以下に示す。
【0105】
図11は、図9の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。搬送ピッチ調整手段10は、コンデンサの容量に応じて、後述する充電測定手段106または充電測定手段107のうち1つを選択し、かつ搬送テーブル3を間歇回転させる搬送ピッチをワーク収納孔4の間隔を単位として調整する。
【0106】
図12は、図11のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図12は搬送テーブル3が1周する間に漏れ電流を測定する例を示し、搬送テーブル3の間歇回転の単位はワーク収納孔4の間隔に一致する。従って、ワーク収納孔4のすべてが空である初期状態から動作を開始すると、「X」で示したように、搬送テーブル3が1周する間にワークは全ワーク収納孔4に収納される。以下では、図3および図4との相違点を中心に説明する。
【0107】
図9で用いる充電測定手段106は、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離の2倍である。これに対して、図11で用いる充電測定手段107は、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離である。
【0108】
このように、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合は充電測定手段106を用いるが、この充電測定手段106を充電測定手段107に差し替えて、かつ搬送テーブル3の間歇回転の単位をワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流の測定を、図12のように搬送テーブル3の1周分で終了させることができる。
【0109】
ここで、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図10)と主容量が小さいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図12)における誘電吸収時間と処理能力の比較を行う。数値例として、第1の実施形態と同様に、搬送テーブル3の停止時間を10ms、1回の間歇回転に要するワ一クの移動時間を15msとする。
【0110】
図10の場合、充電ステージ611(収納孔位置(3))から測定ステージ8(収納孔位置(10))までの停止位置は11箇所、間歇回転は10回なので、充電ステージ611から測定ステージ8までの所要時間すなわち誘電吸収時間t5は、
t5=10ms×11+15ms×10
=260ms
となる。また、各ステージ6〜8をワークが通過するのに要する時間は、ワークの停止時間と移動時間の和であるので、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a5は、
a5=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0111】
これに対して、図12の場合、充電ステージ611(収納孔位置(3))から測定ステージ8(収納孔位置(10))までの停止位置は8箇所、間歇回転は7回なので、充電ステージ611から測定ステージ8までの所要時間すなわち誘電吸収時間t6は、
t6=10ms×8+15ms×7
=185ms
となる。また、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a6は、
a6=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0112】
以上より、図10と図12を比較すると、処理能力は同じであるが、誘電吸収時間は図10の方が長くなっており、図10はコンデンサの容量が大きくて誘電吸収時間が長い場合に適しており、図12はコンデンサの容量が小さくて誘電吸収時間が短い場合に適していることがわかる。
【0113】
このように、第3の実施形態では、第1の実施形態の効果に加え、充電ステージを2つ用いて充電を行うようにしたため、コンデンサの主容量および誘電吸収因子をより確実に充電することができる効果がある。
【0114】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第3の実施形態における充電ステージ611,612、測定前充電ステージ7および測定ステージ8からなる組合せを2組直列に配置し、搬送テーブル3を3回転させてコンデンサ漏れ電流測定を行うものである。
【0115】
図13は本発明の第4の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。第3の実施形態の図9と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では図9との相違点を中心に説明する。
【0116】
本実施形態ではワーク収納孔4の総数を34個とし、各ワーク収納孔4の位置を(1)〜(34)で表している。
【0117】
分離供給部2は位置(1)に配置されている。また、図9と異なり、図13では4つの充電ステージ611,612,621,622および2つずつの測定前充電ステージ71,72、測定ステージ81,82を備えている。充電ステージ611,612,621,622は、それぞれ位置(4),(9),(18),(23)に配置されている。測定前充電ステージ71,72はそれぞれ位置(12),(26)に配置されている。測定ステージ81,82はそれぞれ位置(15),(29)に配置されている。測定前充電ステージ71と測定ステージ81の間隔、および測定前充電ステージ72と測定ステージ82の間隔は、それぞれワーク収納孔4の間隔の3倍だけ離れている。また、排出ステージ9は位置(32)に配置されている。
【0118】
搬送ピッチ調整手段10は、搬送テーブル3が、その中心軸5のまわりを反時計回り(図示のR方向)にワーク収納孔4の間隔の3倍を単位として間歇回転するよう、搬送ピッチを調整する。
【0119】
次に、第4の実施形態の処理動作について説明する。図13において、ワーク収納孔4のすべてが空の場合を初期状態とする。初期状態において、あるワーク収納孔4が分離供給部2の位置(1)にあって、ワークが収納されたとする。搬送テーブル3が間歇回転すると、ワークが収納されたワーク収納孔4は位置(4)、(7)、(10)のように、位置(1)を基準として3ずつ増える位置で停止する。また、位置(34)の次は位置(3)に停止し、その後位置(6)、(9)、(12)のように3ずつ異なる位置で間歇的に停止する。
【0120】
ここで、ワーク収納孔4の総数が34であり、搬送テーブル3が間歇回転する単位がワーク収納孔4の間隔の3倍であるため、位置(1)でワークが収納されたワーク収納孔4は、搬送テーブル3が3回転したときに再び位置(1)に戻る。すなわち、ワーク収納孔4に収納されたワークは、充電ステージ611(位置(4))で充電された後、搬送テーブル3で1周より多く回転された後に、充電ステージ612(位置(9))で再充電され、その後、測定前充電ステージ71(位置(12))で再充電され、引き続いて測定ステージ81(位置(15))で漏れ電流が測定される。その後、同様の手順で、充電ステージ621(位置(18))で充電された後、搬送テーブル3で1周より多く回転された後に、充電ステージ622(位置(23))で再充電され、その後、測定前充電ステージ72(位置(26))で再充電され、引き続いて測定ステージ82(位置(29))で漏れ電流が測定され、その後、排出ステージ9(位置(32))から排出される。
【0121】
これにより、充電ステージ611から充電ステージ612までのワークの移動距離、および、充電ステージ621から充電ステージ622までのワークの移動距離を、搬送テーブル3の1周分より大きくすることができる。従って、漏れ電流領域に到達するまで誘電吸収因子を充電する誘電吸収時間を長く確保でき、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流も精度よく測定できる。
【0122】
図14は、図13のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図14は、ワーク収納孔の位置(1)〜(34)のそれぞれにおいて、搬送テーブル3の1周目に収納されるワークの種類、2周目に収納されるワークの種類、3周目に収納されるワークの種類、および処理を行うステージ名を表している。図14では、搬送テーブル3が、ワーク収納孔位置(1)〜(34)の順に1周目から3周目まで間歇回転する例を示している。すなわち、1周目の収納孔位置(1)〜1周目の収納孔位置(34)、2周目の収納孔位置(1)〜2周目の収納孔位置(34)、3周目の収納孔位置(1)〜(34)の順に時間が経過し、3周目の収納孔位置(34)の次は1周目の収納孔位置(1)に戻る。
【0123】
まず、すべてのワーク収納孔4が空である初期状態の搬送テーブル3に対して収納孔位置(1)でワーク収納孔4にワークが供給される。これを図14において1周目の収納孔位置(1)における「X」で示す。図14では、収納孔位置(1)に対応するステージ名を「収納」としている。これは収納孔位置(1)に図13の分離供給部2が存在することを示している。
【0124】
搬送テーブル3が1回間歇回転すると、図14においてこのワークは収納孔位置(4)に到達する。図14では、収納孔位置(4)に対応するステージ名を「充電11」としている。これは、収納孔位置(4)に図13における充電ステージ611が存在することを示している。この充電ステージ611でワークは充電される。このとき、収納孔位置(1)にあるワーク収納孔4には次のワークが収納される。収納孔位置(2),(3)にあるワーク収納孔4は図14において「空」であるが、これはまだワークが収納されていないことを示す。後述のように、このワーク収納孔4には2周目、3周目の収納孔位置(1)で最初のワークが収納される。
【0125】
充電ステージ611から充電ステージ612までの距離は、搬送テーブル3を1周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図14において充電ステージ611に対応する1周目の収納孔位置(4)の次にワークが停止する位置は1周目の収納孔位置(7)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに1周分より多く回転させた位置に充電ステージ612が設けられる。その位置は2周目の収納孔位置(9)であり、図14において対応するステージ名を「充電12」としている。すなわち、充電ステージ611から充電ステージ612までのワークの移動距離は1周目の収納孔位置(4)から2周目の収納孔位置(9)までであり、この間に搬送テーブル3は1周分より多く回転している。充電ステージ611から充電ステージ612へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0126】
充電ステージ612に到達したワ一クは再び充電された後、収納孔位置(12)に到達する。図14では、収納孔位置(12)に対応するステージ名を「測定前充電1」としている。これは、収納孔位置(12)に図13における測定前充電ステージ71が存在することを示す。
【0127】
測定前充電ステージ71では、ワークの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(15)に到達する。図14では、収納孔位置(15)に対応するステージ名を「測定1」としている。これは、収納孔位置(15)に図13における測定ステージ81が存在することを示している。測定ステージ81で漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0128】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(18)に到達する。図14では、収納孔位置(18)に対応するステージ名を「充電21」としている。これは、収納孔位置(18)に図13における充電ステージ621が存在することを示している。この充電ステージ621で再びワークは充電される。
【0129】
充電ステージ621から充電ステージ622までの距離は、搬送テーブル3を1周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図14において充電ステージ621に対応する2周目の収納孔位置(18)の次にワークが停止する位置は2周目の収納孔位置(21)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに1周分より多く回転させた位置に充電ステージ622が設けられる。その位置は3周目の収納孔位置(23)であり、図14において対応するステージ名を「充電22」としている。すなわち、充電ステージ621から充電ステージ622までのワークの移動距離は2周目の収納孔位置(18)から3周目の収納孔位置(23)までであり、この間に搬送テーブル3は1周分より多く回転している。充電ステージ621から充電ステージ622へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0130】
充電ステージ622に到達したワ一クは再び充電された後、収納孔位置(26)に到達する。図14では、収納孔位置(26)に対応するステージ名を「測定前充電2」としている。これは、収納孔位置(26)に図13における測定前充電ステージ72が存在することを示している。
【0131】
測定前充電ステージ72では、ワ一クの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(29)に到達する。図14では、収納孔位置(29)に対応するステージ名を「測定2」としている。これは、収納孔位置(29)に図13における測定ステージ82が存在することを示している。測定ステージ82で2回目の漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0132】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(32)に到達する。図14では、収納孔位置(32)に対応するステージ名を「排出」としている。これは、収納孔位置(32)に図13における排出ステ一ジ9が存在することを示している。排出ステージ9でワークは排出され、空になったワーク収納孔4は再び1周目と同様の収納孔位置(1)に到達して、分離供給部2により新しいワークが収納される。
【0133】
このように、搬送テーブル3が3回転するとワーク収納孔4は元の位置に戻る。なお、図14中の「Y」および「Z」は1周目でワークが収納されない(1周目で収納孔位置(1)に停止しない)ワーク収納孔4には、2周目および3周目の収納孔位置(1)でワークが収納されることを示す。この「Y」および「Z」に対応するワークは、図14には記載されないが、それぞれ4周目および5周目の収納孔位置(32)においてワーク収納孔4から排出され、空になったワーク収納孔4には、やはり図14には記載されないが、それぞれ5周目および6周目の収納孔位置(1)において新しいワークが収納される。
【0134】
また図14において影を付けた部分は、ワークと各ステージ名との対応位置を示すものである。ステージ名は上から下へ、すなわち時間経過に従って工程順に並んでいる。このため、コンデンサの主容量が小さく、充電ステージ611から充電ステージ612、および、充電ステージ621から充電ステージ622までに時間を要さない場合、すなわち搬送テーブル3が1回転する間に全工程を終了できる場合には、搬送テーブル3の間歇回転の単位を隣接するワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、搬送テーブル3や、分離供給部2(収納ステージ)、充電ステージ611,612,621,622、測定前充電ステージ71,72、測定ステージ81,82および排出ステージ9などの設備を共用することができる。
【0135】
ただし、コンデンサの主容量が小さい場合、測定前充電ステージ71から測定ステージ81までの距離と、測定前充電ステージ72から測定ステージ82までの距離を、搬送テーブル3の間歇回転1回分の距離にする。具体的には、コンデンサの主容量が大きく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔の3倍のときと、コンデンサの主容量が小さく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔と同一のときとでは、測定前充電ステージ71と測定ステージ81との距離、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82との距離を変える。
【0136】
そこで、第3の実施形態と同様に、測定ステージ81とその直前に配置される測定前充電ステージ71、および、測定ステージ82とその直前に配置される測定前充電ステージ72が一体になった装置をそれぞれ2種類用意し、そのうちの一方は他方よりも、測定前充電ステージ71と測定ステージ81、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82との距離を広げておく。これにより、コンデンサの主容量が大きいか否かにより、この装置を差し替えるだけで、主容量が大きいコンデンサと小さいコンデンサの両方の漏れ電流を測定できる。
【0137】
具体例として、図13及び図14に示す本実施形態を、コンデンサの主容量が小さい場合、すなわち搬送テーブル3の間歇回転の単位が隣接するワーク収納孔4の間隔と同一であり、搬送テーブル3が1周する間に測定を行う手法を以下に示す。
【0138】
図15は、図13の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。搬送ピッチ調整手段10は、コンデンサの容量に応じて、後述する充電測定手段108と充電測定手段109、または、充電測定手段110と111のうち1つを選択し、かつ搬送テーブル3を間歇回転させる搬送ピッチをワーク収納孔4の間隔を単位として調整する。
【0139】
図16は、図15のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図16は搬送テーブル3が1周する間に漏れ電流を測定する例を示し、搬送テーブル3の間歇回転の単位はワーク収納孔4の間隔に一致する。従って、ワーク収納孔4のすべてが空である初期状態から動作を開始すると、「X」で示したように、搬送テーブル3が1周する間にワークは全ワーク収納孔4に収納される。以下では、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0140】
図13で用いる充電測定手段108,109は、測定前充電ステージ71と測定ステージ81、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離の3倍である。これに対して、図15で用いる充電測定手段110,111は、測定前充電ステージ71と測定ステージ81、および、測定前充電ステージ72と測定ステージ82を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離である。
【0141】
このように、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合は充電測定手段108,109を用いるが、これらの充電測定手段108,109を充電測定手段110,111に差し替えて、かつ搬送テーブル3の間歇回転の単位をワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流の測定を、図16のように搬送テーブル3の1周分で測定を終了させることができる。
【0142】
ここで、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図14)と主容量が小さいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図16)における誘電吸収時間と処理能力の比較を行う。数値例として、第1の実施形態と同様に、搬送テーブル3の停止時間を10ms、1回の間歇回転に要するワ一クの移動時間を15msとする。
【0143】
図14の場合、充電ステージ611(収納孔位置(4))から測定ステージ82(収納孔位置(29))までの停止位置は32箇所、間歇回転は31回なので、充電ステージ611から測定ステージ82までの所要時間すなわち誘電吸収時間t7は、
t7=10ms×32+15ms×31
=785ms
となる。また、各ステージ6〜8をワークが通過するのに要する時間は、ワークの停止時間と移動時間の和であるので、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a7は、
a7=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0144】
これに対して、図16の場合、充電ステージ611(収納孔位置(4))から測定ステージ8(収納孔位置(29))までの停止位置は26箇所、間歇回転は25回なので、充電ステージ611から測定ステージ82までの所要時間すなわち誘電吸収時間t8は、
t8=10ms×26+15ms×25
=635ms
となる。また、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a8は、
a8=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0145】
以上より、図14と図16を比較すると、処理能力は同じであるが、誘電吸収時間は図14の方が長くなっており、図14はコンデンサの容量が大きくて誘電吸収時間が長い場合に適しており、図16はコンデンサの容量が小さくて誘電吸収時間が短い場合に適していることがわかる。
【0146】
このように、第4の実施形態では、第3の実施形態の効果に加え、搬送テーブル3を3回転させてコンデンサ漏れ電流測定を行うようにしたため、さらに誘電吸収時間を長くできる効果がある。
【0147】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、第1の実施形態において、搬送テーブル3を3回転させてコンデンサ漏れ電流測定を行うものである。
【0148】
図17は本発明の第5の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では図1との相違点を中心に説明する。
【0149】
本実施形態ではワーク収納孔4の総数を16個とし、各ワーク収納孔4の位置を(1)〜(16)で表している。
【0150】
分離供給部2は位置(1)に配置されている。充電ステージ6は位置(4)に配置されている。測定前充電ステージ7と測定ステージ8はそれぞれ位置(8)および(11)に配置されている。測定前充電ステージ7と測定ステージ8の間隔は、ワーク収納孔4の間隔の3倍だけ離れている。また、排出ステージ9は位置(14)に配置されている。
【0151】
搬送ピッチ調整手段10は、搬送テーブル3が、その中心軸5のまわりを反時計回り(図示のR方向)にワーク収納孔4の間隔の3倍を単位として間歇回転するよう、搬送ピッチを調整する。
【0152】
次に、第5の実施形態の処理動作について説明する。図17において、ワーク収納孔4のすべてが空の場合を初期状態とする。初期状態において、あるワーク収納孔4が分離供給部2の位置(1)にあって、ワークが収納されたとする。搬送テーブル3が間歇回転すると、ワークが収納されたワーク収納孔4は位置(4)、(7)、(11)のように、位置(1)を基準として3ずつ増える位置で停止する。また、位置(16)の次は位置(3)に停止し、その後位置(6)、(9)、(12)のように3ずつ異なる位置で間歇的に停止する。
【0153】
ここで、ワーク収納孔4の総数が16であり、搬送テーブル3が間歇回転する単位がワーク収納孔4の間隔の3倍であるため、位置(1)でワークが収納されたワーク収納孔4は、搬送テーブル3が3回転したときに再び位置(1)に戻る。すなわち、ワーク収納孔4に収納されたワークは、充電ステージ6(位置(4))で充電された後、搬送テーブル3で2周より多く回転された後に、測定前充電ステージ7(位置(8))で再充電され、引き続いて測定ステージ8(位置(11))で漏れ電流が測定され、その後、排出ステージ9(位置(14))から排出される。
【0154】
これにより、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までのワークの移動距離を、搬送テーブル3の1回転分より大きくすることができる。従って、漏れ電流領域に到達するまで誘電吸収因子を充電する誘電吸収時間を長く確保でき、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流も精度よく測定できる。
【0155】
図18は、図17のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図18は、ワーク収納孔の位置(1)〜(16)のそれぞれにおいて、搬送テーブル3の1周目に収納されるワークの種類、2周目に収納されるワークの種類、3周目に収納されるワークの種類、および処理を行うステージ名を表している。図18では、搬送テーブル3が、ワーク収納孔位置(1)〜(16)の順に1周目から3周目まで間歇回転する例を示している。すなわち、1周目の収納孔位置(1)〜1周目の収納孔位置(16)、2周目の収納孔位置(1)〜2周目の収納孔位置(16)、3周目の収納孔位置(1)〜3周目の収納孔位置(16)の順に時間が経過し、3周目の収納孔位置(16)の次は1周目の収納孔位置(1)に戻る。
【0156】
まず、すべてのワーク収納孔4が空である初期状態の搬送テーブル3に対して収納孔位置(1)でワーク収納孔4にワークが供給される。これを図18において1周目の収納孔位置(1)における「X」で示す。図18では、収納孔位置(1)に対応するステージ名を「収納」としている。これは、収納孔位置(1)に図17の分離供給部2が存在することを示している。
【0157】
搬送テーブル3が1回間歇回転すると、図18においてこのワークは収納孔位置(4)に到達する。図18では、収納孔位置(4)に対応するステージ名を「充電」としている。これは、収納孔位置(4)に図17における充電ステージ6が存在することを示している。この充電ステージ6でワークは充電される。このとき、収納孔位置(1)にあるワーク収納孔4には次のワークが収納される。収納孔位置(2),(3)にあるワーク収納孔4は図18において「空」であるが、これはまだワークが収納されていないことを示す。後述のように、このワーク収納孔4には2周目、3周目の収納孔位置(1)で最初のワークが収納される。
【0158】
充電ステージ6から測定前充電ステージ7までの距離は、搬送テーブル3を2周分より多く回転させた距離だけ離れている。すなわち、図18において充電ステージ6に対応する1周目の収納孔位置(4)の次にワークが停止する位置は1周目の収納孔位置(7)であり、その位置から搬送テーブル3をさらに2周分より多く回転させた位置に測定前充電ステージ7が設けられる。その位置は3周目の収納孔位置(8)であり、図18において対応するステージ名を「測定前充電」としている。すなわち、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までのワークの移動距離は1周目の収納孔位置(4)から3周目の収納孔位置(8)までであり、この間に搬送テーブル3は2周分より多く回転している。充電ステージ6から測定前充電ステージ7へ移動する間に、コンデンサ内部の誘電吸収因子が充電される。
【0159】
測定前充電ステージ7では、ワ一クの主容量をフル充電する。その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(11)に到達する。図18では、収納孔位置(11)に対応するステージ名を「測定」としている。これは、収納孔位置(11)に図17における測定ステージ8が存在することを示している。測定ステージ8で漏れ電流の測定が行われ、測定後にワークに充電された電荷は放電される。
【0160】
その後、搬送テーブル3を間歇回転させて、ワークは収納孔位置(14)に到達する。図18では、収納孔位置(14)に対応するステージ名を「排出」としている。これは、収納孔位置(14)に図17における排出ステ一ジ9が存在することを示している。排出ステージ9でワークは排出され、空になったワーク収納孔4は再び1周目と同様の収納孔位置(1)に到達して、分離供給部2により新しいワークが収納される。
【0161】
このように、搬送テーブル3が3回転するとワーク収納孔4は元の位置に戻る。なお、図18中の「Y」および「Z」は1周目でワークが収納されなかった収納孔位置に2周目および3周目でワークが収納されることを示す。この「Y」および「Z」に対応するワークは、図18には記載されないが、それぞれ4周目および5周目の収納孔位置(14)においてワーク収納孔4から排出され、空になったワーク収納孔4には、やはり図18には記載されないが、それぞれ5周目および6周目の収納孔位置(1)において新しいワークが収納される。
【0162】
また図18において影を付けた部分は、ワークと各ステージ名との対応位置を示すものである。ステージ名は上から下へ、すなわち時間経過に従って工程順に並んでいる。このため、コンデンサの主容量が小さく、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までに時間を要さない場合、すなわち搬送テーブル3が1周する間に全工程を終了できる場合には、搬送テーブル3の間歇回転の単位を、隣接するワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、搬送テーブル3や、分離供給部2(収納ステージ)、充電ステージ6、測定前充電ステージ7、測定ステージ8および排出ステージ9などの設備を共用することができる。
【0163】
ただし、コンデンサの主容量が小さい場合、測定前充電ステージ7から測定ステージ8までの距離を、搬送テーブル3の間歇回転1回分の距離にする。具体的には、コンデンサの主容量が大きく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔の3倍のときと、コンデンサの主容量が小さく、間歇回転の単位がワーク収納孔4の間隔と同一のときとでは、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離を変える。
【0164】
そこで、第1の実施形態と同様に、測定ステージ8とその直前に配置される測定前充電ステージ7が一体になった装置を2種類用意し、そのうちの一方は他方よりも、測定前充電ステージ7と測定ステージ8との距離を広げておく。この装置を差し替えるだけで、主容量が大きいコンデンサと小さいコンデンサの両方の漏れ電流を精度よく測定できる。
【0165】
具体例として、図17及び図18に示す本実施形態を、コンデンサの主容量が小さい場合、すなわち搬送テーブル3の間歇回転の単位が隣接するワーク収納孔4の間隔と同一であり、搬送テーブル3が1周する間に測定を行う手法を以下に示す。
【0166】
図19は、図17の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図である。搬送ピッチ調整手段10は、コンデンサの容量に応じて、後述する充電測定手段112または充電測定手段113のうち1つを選択し、かつ搬送テーブル3を間歇回転させる搬送ピッチをワーク収納孔4の間隔を単位として調整する。
【0167】
図20は、図19のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図である。図20は搬送テーブル3が1周する間に漏れ電流を測定する例を示し、搬送テーブル3の間歇回転の単位はワーク収納孔4の間隔に一致する。従って、ワーク収納孔4のすべてが空である初期状態から動作を開始すると、「X」で示したように、搬送テーブル3が1周する間にワークは全ワーク収納孔4に収納される。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0168】
図17で用いる充電測定手段112は、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離の3倍である。これに対して、図19で用いる充電測定手段113は、測定前充電ステージ7と測定ステージ8を一体にした装置で、それらの距離は隣接するワーク収納孔4間の距離である。
【0169】
このように、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合は充電測定手段112を用いるが、この充電測定手段112を充電測定手段113に差し替えて、かつ搬送テーブル3の間歇回転の単位をワーク収納孔4の間隔と同一とすることで、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流の測定を図20のように搬送テーブル3の1周分で終了させることができる。
【0170】
ここで、主容量が大きいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図18)と主容量が小さいコンデンサの漏れ電流を測定する場合(図20)における誘電吸収時間と処理能力の比較を行う。数値例として、第1の実施形態と同様に、搬送テーブル3の停止時間を10ms、1回の間歇回転に要するワ一クの移動時間を15msとする。
【0171】
図18の場合、充電ステージ6(収納孔位置(4))から測定ステージ8(収納孔位置(11))までの停止位置は14箇所、間歇回転は13回なので、充電ステージ6から測定ステージ8までの所要時間すなわち誘電吸収時間t9は、
t9=10ms×14+15ms×13
=335ms
となる。また、各ステージ6〜8をワークが通過するのに要する時間は、ワークの停止時間と移動時間の和であるので、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a9は、
a9=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0172】
これに対して、図20の場合、充電ステージ6(収納孔位置(4))から測定ステージ8(収納孔位置(11))までの停止位置は8箇所、間歇回転は7回なので、充電ステージ6から測定ステージ8までの所要時間すなわち誘電吸収時間t10は、
t10=10ms×8+15ms×7
=185ms
となる。また、1分当たりのワーク処理数すなわち処理能力a10は、
a10=60000ms÷(10ms+15ms)
=2400個
となる。
【0173】
以上より、図18と図20を比較すると、処理能力は同じであるが、誘電吸収時間は図18の方が長くなっており、図18はコンデンサの容量が大きくて誘電吸収時間が長い場合に適しており、図20はコンデンサの容量が小さくて誘電吸収時間が短い場合に適していることがわかる。
【0174】
このように、第5の実施形態では、第1の実施形態の効果に加え、搬送テーブル3を3回転させてコンデンサ漏れ電流測定を行うようにしたため、第1の実施形態よりさらに誘電吸収時間を長く確保できる効果がある。
【0175】
以上の実施形態において、図2と図4、図6と図8、図10と図12、図14と図16、図18と図20をそれぞれ比較すればわかるように、コンデンサの主容量が大きく搬送テーブル3を2周分以上回転させて測定する場合における搬送テーブル3、ワーク収納孔4などの設備を、コンデンサの主容量が小さく搬送テーブルの1回転で測定が可能な場合の設備と共用できる。搬送テーブル3の周回数には一定の規則があるので、以下に詳述する。
【0176】
まず、第1の実施形態を例に取って説明する。第1の実施形態は、充電ステージ6から測定前充電ステージ7までのワークの移動距離を、搬送テーブル3の1周分より多く回転するものである。すなわち搬送テーブル3の余分な周回数は1周である。そこで、搬送テーブル3の総周回数は、基本となる1周に余分の1周分を加えて2周に設定すればよい。搬送テーブル3の総周回数は図2等の列数に相当するので、図2の列数は2と決定される。
【0177】
次に、搬送ピッチ(搬送テーブル3の1回の間歇回転でワークが移動する距離)を、隣接するワーク収納孔4間の距離の何倍に設定すればよいかを決定する必要がある。その決定方法は、搬送ピッチをB、隣接するワーク収納孔4間の距離をAとすると、
B/A=図2等の列数
である。すなわち、第1の実施形態においては、搬送テーブル3の1回の間歇回転でワークが移動する距離を隣接するワーク収納孔4間の距離の2倍(この2は図2の列数2と一致させて設定する)にすればよい。これは、図2において、搬送テーブル3の1回の間歇回転における位置(ワーク収納孔4の位置を示し、図2の「収納孔位置」欄に記された数字のこと)の変化が2であることを意味する。
【0178】
次に、図1において位置(1)にあったワーク収納孔4が、搬送テーブル3が総周回数だけ回転したとき、すなわち2周したときに再び位置(1)に戻るようにすればよい。ここで、上述のように搬送ピッチは隣接するワーク収納孔4間の距離の2倍であるため、搬送テーブル3の1回の間歇回転における位置の変化は2である。
【0179】
よって、図2の行数が2の倍数でなければ、位置(1)にあったワーク収納孔4は、搬送テーブル3が2周したときに再び位置(1)に戻る。以上より、ワーク収納孔4の総数、すなわち図2の行数は「2の倍数でないこと」、すなわち奇数であることが条件となる。
【0180】
次に、図2の行数(ワーク収納孔4の総数)を決定する。図2の「ステージ名」欄に記されているステージ間の位置(収納孔位置)の差を考える。ワークの移動距離が搬送テーブル3の1周以内であるステージ間においては、ステージ間の位置の差は1回の間歇回転で変化する位置に等しいので、上述のように2である。例えば、図2において、ステージ「収納」は位置(1)であり、ここから1回の間歇回転で次のステージ「充電」に移動すると、ステージ「充電」は位置(3)であるから、位置の差は3−1=2である。同様にステージ「測定前充電」からステージ「測定」までと、ステージ「測定」からステージ「排出」までと、ステージ「排出」からステージ「収納」までとの3箇所についても、ステージ間の位置の差は2である。
【0181】
また、ワークの移動距離が搬送テーブル3の1周分より多いステージ間の位置の差は、1回の間歇回転における位置の変化である2に、搬送テーブル3が1周分より多く回転することによる位置の変化である1以上の整数を加算した値である。図2においてステージ「充電」は位置(3)であり、ここから次のステージ「測定前充電」までは搬送テーブル3が1周分より多く回転する。すなわちステージ「充電」から1回の間歇回転で位置(5)になり、この段階で位置の差は5−3=2(1回の間歇回転における位置の変化)である。そして、そこからさらに搬送テーブル3が1周分より多く回転してステージ「測定前充電」に移動すると、その段階で位置がさらに1だけ加算されて位置(6)になり、結局ステージ「測定前充電」とステージ「充電」の位置の差は6−3=3になる。
【0182】
以上より、図2において、位置の差が2であるステージ間は、ステージ「収納」からステージ「充電」までと、ステージ「測定前充電」からステージ「測定」までと、ステージ「測定」からステージ「排出」までと、ステージ「排出」からステージ「収納」までとの計4箇所であり、位置の差が3であるステージ間は、ステージ「充電」からステージ「測定前充電」までの1箇所であるから、図2の行数(ワーク収納孔4の総数)は、これらの位置の差とステージ間数を積算して、2×4+3×1=11となる。これは「2の倍数でないこと」という条件を満足する。
【0183】
次に、第2の実施形態を例に取り、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態における充電ステージ6、測定前充電ステージ7および測定ステージ8からなる組み合わせを2組直列に配置している。従って、ワークの移動距離が搬送テーブル3の1周分より多く回転する箇所が2箇所となる。すなわち、搬送テーブル3の余分な周回数は2周である。そこで、搬送テーブル3の総回転数は、基本となる1周に余分の2周を加えて3回転に設定すればよい。搬送テーブル3の総回転数は図6の列数に相当するので、図6の列数は3と決定される。
【0184】
次に、搬送ピッチを第1の実施形態と同様にして求める。第2の実施形態においては、搬送テーブル3の1回の間歇回転でワークが移動する距離を隣接するワーク収納孔4間の距離の3倍(この3は図6の列数3と一致させて設定する)にすればよい。これは、図6において、搬送テーブル3の1回の間歇回転における位置(ワーク収納孔4の位置を示し、図6の「収納孔位置」欄に記された数字のこと)の変化が3であることを意味する。
【0185】
次に、図5において位置(1)にあったワーク収納孔4が、搬送テーブル3が総周回数だけ回転したとき、すなわち3周したときに再び位置(1)に戻るようにすればよい。ここで、上述のように搬送ピッチは隣接するワーク収納孔4間の距離の3倍であるため、搬送テーブル3の1回の間歇回転における位置の変化は3である。
【0186】
よって、図6の行数が3の倍数でなければ、位置(1)にあったワーク収納孔4は、搬送テーブル3が3周したときに再び位置(1)に戻る。以上より、ワーク収納孔4の総数、すなわち図6の行数は「3の倍数でないこと」が条件となる。
【0187】
次に、図6の行数(ワーク収納孔4の総数)を決定する。図6の「ステージ名」欄に記入されているステージ間の位置(収納孔位置)の差を考える。ワークの移動距離が搬送テーブル3の1周以内であるステージ間においては、ステージ間の位置の差は1回の間歇回転で変化する位置に等しいので、上述のように3である。例えば、図6において、ステージ「収納」の位置は位置(1)であり、ここから1回の間歇回転で次のステージ「充電1」に移動すると、位置(4)であるから、位置の差は4−1=3である。同様にステージ「測定前充電1」からステージ「測定1」までと、ステージ「測定1」からステージ「充電2」までと、ステージ「測定前充電2」からステージ「測定2」までと、ステージ「測定2」からステージ「排出」までと、ステージ「排出」からステージ「収納」までとの5箇所についても、ステージ間の位置の差は3である。
【0188】
また、ワークの移動距離が搬送テーブル3の1周分より多いステージ間の位置の差は、1回の間歇回転における位置の変化である3に、搬送テーブル3の1周分より多く回転することによる位置の変化である1以上の整数を加算した値である。図6においてステージ「充電1」は位置(4)であり、ここから次のステージ「測定前充電1」までは搬送テーブル3が1周分より多く回転する。すなわちステージ「充電1」から1回の間歇回転で位置(7)になり、この段階で位置の差は7−4=3(1回の間歇回転における位置の変化)である。そして、そこからさらに搬送テーブル3が1周分より多く回転してステージ「測定前充電1」に移動すると、その段階で位置がさらに2だけ加算されて位置(9)になり、結局ステージ「測定前充電1」とステージ「充電1」の位置の差は9−4=5になる。同様に、ステージ「測定前充電2」とステージ「充電2」の位置の差は20−15=5になる。
【0189】
以上より、図6において、位置の差が3であるステージ間は、ステージ「収納」からステージ「充電1」までと、ステージ「測定前充電1」からステージ「測定1」までと、ステージ「測定1」からステージ「充電2」までと、ステージ「測定前充電2」からステージ「測定2」までと、ステージ「測定2」からステージ「排出」までと、ステージ「排出」からステージ「収納」までとの計6箇所であり、位置の差が5であるステージ間は、ステージ「充電1」からステージ「測定前充電1」までと、ステージ「充電2」からステージ「測定前充電2」までとの計2箇所であるから、図6の行数(ワーク収納孔4の総数)は、これらの位置の差とステージ間数を積算して、3×6+5×2=28となる。これは「3の倍数でないこと」という条件を満足する。
【0190】
他の実施形態についても、同様の方法により、図10、図14、図18等の列数及び行数を決定することができる。
【0191】
これらの列数と行数を決定する規則を一般化すると、以下のようになる。
【0192】
まず、列数、すなわち搬送ピッチをB、隣接するワーク収納孔4間の距離をAとしたときのB/Aの値(1回の間歇回転で変化する位置であり、搬送テーブルの総周回数)については、
B/A=1+(充電から測定までの工程の組合わせ数)×(充電から測定までの工程の1組の中の充電工程間において搬送テーブル3を余分に周回させる回転数)
によって求める。ここで、充電には測定前充電を含む。
【0193】
また行数、すなわち、搬送テーブル3に設けるワーク収納孔4の総数については、Nを自然数として、
K=[(B/A)×{(測定工程までの充電工程の数)+(測定工程の数)}+(搬送テーブル3を余分に周回させる充電工程間の数)×N]×(充電工程から測定工程までの一連の工程の組合わせ数)+(B/A)×(収納工程の数)+(B/A)×(排出工程の数)
かつ、Kは(B/A)の倍数でないこと
によって求める。ここで、充電には測定前充電を含む。
【0194】
なお、上述のKの決定方法に、「Kは(B/A)の倍数でないこと」の記載がある。例えば、第1の実施形態及び第2の実施形態における図2及び図6の作成方法の中で、行数を決定する際の条件として、「2の倍数でないこと」および「3の倍数でないこと」の記載である。
【0195】
ここで、列数が4や6のように素数でない場合には、注意が必要である。列数が6の場合を取って説明する。列数が6になるのは搬送テーブルが5周余分に回転する場合であり、例えば第1の実施形態の変形として充電から測定までを5回行う場合がある。このとき、行数Kは、上記の式に数値例として、B/A=6、測定工程までの充電工程の数=2、測定工程の数=1、搬送テーブル3を余分に周回させる充電工程間の数=1、N=3、充電工程から測定工程までの一連の工程の組合わせ数=5、収納工程の数=1、排出工程の数=1、を代入すると、
K={6×(2+1)+1×3}×5+6×1+6×1=117
となる。117は6の倍数ではないので、行数Kとして117を選ぶと、2列分の行数の合計は117×2=234であり、6の倍数になる。従って、搬送テーブル3が隣接するワーク収納孔4間の距離の6倍の搬送ピッチで間歇回転すると、搬送テーブル3が2周したところでワーク収納孔4が元の位置に戻ってしまい、ワークは1周目と3周目で同じ収納孔位置に停止することとなってしまう。
【0196】
このような状況に陥らないように、行数を設定する際には、搬送テーブル3が隣接するワーク収納孔4間の距離の列数倍の搬送ピッチで間歇回転したときに、搬送テーブル3が列数周回して初めてワーク収納孔4が元の位置に戻るようにしておく必要がある。
【0197】
具体的には、行数を列数で除したときの剰余が、列数と互いに素になるように行数を設定すればよい。例えば列数が6の場合には、上記の数値例で、N=1とすると、
K={6×(2+1)+1×1}×5+6×1+6×1=107
となる。ここで、求めた行数107を列数6で除すと、
107/6=17 余り 5
であり、剰余の5は列数6と互いに素であるから、搬送テーブル3が6周したときにワーク収納孔4が初めて元の位置に戻る。
【0198】
上述した実施形態では、図3、図4、図7、図8、図11、図12、図15、図16、図19、図20において、搬送テーブル3の間歇回転の単位が隣接するワーク収納孔4の間隔と同一で、搬送テーブル3が1周する間に測定を行うと説明したが、必ずしも、この間歇回転の単位は隣接するワーク収納孔4の間隔と同一である必要はなく、搬送テーブル3に設けられたワーク収納孔4の総数の約数となる整数をMとして、隣接するワーク収納孔4の間隔のM倍を間歇回転の単位としてもよい。例えば、図7、図8において、搬送テーブル3に設けられたワーク収納孔4の総数は28なので、その約数の1つである2をとり、隣接するワーク収納孔4の間隔の2倍を間歇回転の単位とし、搬送テーブル3が1周する間に測定を行ってもよい。その場合には、測定前充電ステージ71と測定ステージ81の間の距離および測定前充電ステージ72と測定ステージ82の間の距離は、隣接するワーク収納孔4の間の距離の2倍とすればよい。
【0199】
上述した実施形態では、測定前充電ステージと測定ステージを別の場所に配置しているものとして説明したが、これらをまとめて同一の場所(例えば、図1における位置(6))に配置して、ワークが当該場所に停止している間に、充電用プローブを用いて測定前充電を行った後、測定用プローブを用いて測定を行ってもよい。
【0200】
上述した実施形態では、充電から測定までに搬送テーブルを1周分以上間歇回転する例を示したが、必ずしも充電から測定までに搬送テーブルを1周分以上間歇回転しなくてもよい。例えば、図1において、充電ステージ6を位置(3)に、測定前充電ステージ7を位置(9)に、測定ステージ8を位置(11)に、排出ステージを位置(2)にそれぞれ配置して、この順に搬送テーブルを1周分以上間歇回転させてもよい。
【0201】
上述した実施形態では、搬送ピッチを一定にして、コンデンサが充電ステージ間(充電ステージと測定前充電ステージの間、または、異なる充電ステージ間)を移動する際の距離が搬送テーブルの1周分より大きくなるようにしているが、搬送ピッチを可変にして、充電ステージで充電されたコンデンサが搬送テーブルのちょうど1周分回転した後に、同一の充電ステージに到着して、再度充電されるようにしてもよい。
【0202】
上述した実施形態では、円形の搬送テーブル3の外側に開口したワーク収納孔4にワークを収納して搬送する場合について説明したが、搬送テーブル3の厚さ方向に搬送テーブル3を貫通するワーク収納孔4にワークを収納して搬送してもよい。
【0203】
上述した実施形態では、搬送テーブル3が水平に設置された場合について説明したが、搬送テーブル3が垂直に設置されていたり、あるいは、傾斜して設置されていたりしてもよい。
【0204】
上述した実施形態では、搬送体として円形の搬送テーブル3を回転(周回)させてワークを搬送する場合について説明したが、無端ベルトのような帯状体を周回させてワークを搬送してもよい。
【0205】
上述した実施形態では、搬送テーブル3にワーク収納孔4が等間隔で設けられる例を説明したが、ワーク収納孔4は必ずしも等間隔で設けられている必要はない。ただし、各ワーク収納孔4間の距離に合わせて搬送テーブル3を間歇回転させる必要がある。
【0206】
上述した各実施形態において、充電ステージは充電手段に対応し、測定前充電ステージは測定前充電手段に対応し、測定ステージは測定手段に対応する。これら各ステージでは、必ずしも、物理的なステージを設けて充電や測定を行う必要はなく、例えば、搬送テーブル3の上下または左右方向からワークの電極にプローブを接触させて、充電または漏れ電流測定を行う。
【0207】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図2】図1のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図3】図1の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図4】図3のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図6】図5のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図7】図5の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図8】図7のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図10】図9のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図11】図9の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図12】図11のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図14】図13のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図15】図13の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図16】図15のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図17】本発明の第5の実施形態に係るコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図18】図17のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図19】図17の変形例であり、主容量が小さいコンデンサの漏れ電流測定を行うコンデンサ漏れ電流測定装置の平面図。
【図20】図19のコンデンサ漏れ電流測定装置の処理動作を示した図。
【図21】漏れ電流測定に関わる一般的なコンデンサC0の等価回路図。
【図22】コンデンサC0に規定電圧を印加して充電を行った場合のコンデンサC0に流れる電流の時間変化を示す図。
【図23】従来の漏れ電流測定装置の平面図。
【符号の説明】
【0209】
1 リニアフィーダ
2 分離供給部
3 搬送テーブル
4 ワーク収納孔
5 中心軸
6,61,62,611,612,621,622 充電ステージ
7,71,72 測定前充電ステージ
8,81,82 測定ステージ
9 排出ステージ
10 搬送ピッチ調整手段
100〜113 装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回可能な搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定方法において、
前記搬送体の周囲に配置された収納ステージにて、前記複数のワーク収納孔に前記コンデンサを収納するステップと、
前記搬送体の周囲に配置された充電ステージにて、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電するステップと、
前記搬送体の周囲に配置された測定ステージにて、前記充電ステージにて前記コンデンサを充電した後、主容量および誘電吸収因子の双方を充電済みの前記コンデンサの漏れ電流を測定するステップと、
前記搬送体の周囲に配置された排出ステージにて、前記測定ステージで測定を終了した前記コンデンサを排出するステップと、を備え、
前記収納ステージから前記排出ステージまでに前記搬送体が1周分より多く周回することを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項2】
前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサの搬送ピッチが、隣接する前記ワーク収納孔間の距離の2以上の整数倍となるように、前記搬送体を間歇的に周回させることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項3】
前記複数のワーク収納孔は、前記搬送体が間歇的に周回しながら前記2以上の整数周周回した後に元の位置に戻ることを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項4】
前記充電ステージは2以上あり、前記2以上の充電ステージでの前記コンデンサの充電が行われた後に、前記測定ステージでの前記コンデンサの漏れ電流の測定が行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項5】
前記2以上の充電ステージ間のワークが移動する距離のうち少なくとも1つは、前記搬送体の1周分を超える距離であることを特徴とする請求項4に記載のコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項6】
前記測定ステージの直前に配置される前記充電ステージと前記測定ステージとの距離が、前記コンデンサの容量に応じて選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項7】
前記コンデンサの容量に応じて、前記搬送体を間歇的に周回させる搬送ピッチをワーク収納孔の間隔を単位として調整することを特徴とする請求項6に記載のコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項8】
周回する搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定方法において、
前記搬送体の周囲に配置された充電ステージにて、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電するステップと、
前記充電ステージにて前記コンデンサを充電した後に、前記搬送体を1周分より多く周回させた状態で、測定前充電ステージにて、前記コンデンサを再充電するステップと、
前記測定前充電ステージにて前記コンデンサを再充電した後に、前記搬送体を間歇的に周回させて、再充電後の前記コンデンサの漏れ電流を測定するステップと、を備えることを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項9】
周回する搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定方法において、
測定ステージと測定前充電ステージとの距離を、前記コンデンサの容量に応じて選択して、かつ前記コンデンサの容量に応じて、前記搬送体を間歇的に周回させる搬送ピッチをワーク収納孔の間隔を単位として調整するステップと、
前記搬送体を間歇的に周回させながら、充電ステージにて、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電するステップと、
前記充電ステージにて前記コンデンサを充電した後に、前記搬送体を間歇的に周回させて、前記測定前充電ステージにて再充電するステップと、
前記測定前充電ステージにて前記コンデンサを再充電した後に、前記搬送体を間歇的に周回させて、再充電後の前記コンデンサの漏れ電流を測定するステップと、を備えることを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定方法。
【請求項10】
周回可能な搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定装置において、
前記搬送体の周囲に配置され、前記複数のワーク収納孔に前記コンデンサを収納する収納手段と、
前記搬送体の周囲に配置され、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電する充電手段と、
前記搬送体の周囲に配置され、前記充電手段にて前記コンデンサを充電した後、主容量および誘電吸収因子の双方を充電済みの前記コンデンサの漏れ電流を測定する測定手段と、
前記搬送体の周囲に配置され、前記測定手段で測定を終了した前記コンデンサを排出する排出手段と、を備え、
前記収納手段から前記排出手段までに前記搬送体が1周分より多く周回することを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項11】
前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサの搬送ピッチが、隣接する前記ワーク収納孔間の距離の2以上の整数倍となるように、前記搬送体を間歇的に周回させる搬送ピッチ調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項12】
前記ワーク収納孔は、前記搬送体が間歇的に周回しながら前記2以上の整数周周回した後に元の位置に戻ることを特徴とする請求項11に記載のコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項13】
2以上の前記充電手段が設けられ、
前記測定手段は、前記2以上の充電手段が前記コンデンサの充電を行った後に、前記コンデンサの漏れ電流の測定を行うことを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載のコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項14】
前記2以上の充電手段間のワークが移動する距離のうち少なくとも1つは、前記搬送体の1周分を超える距離であることを特徴とする請求項13に記載のコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項15】
前記測定手段の直前に配置される前記充電手段と前記測定手段との距離が、前記コンデンサの容量に応じて選択されることを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載のコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項16】
前記搬送ピッチ調整手段は、前記コンデンサの容量に応じて、前記搬送体を間歇的に周回させる搬送ピッチをワーク収納孔の間隔を単位として調整することを特徴とする請求項15に記載のコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項17】
周回する搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定装置において、
前記搬送体の周囲に配置され、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電する充電手段と、
前記充電手段にて前記コンデンサを充電した後に、前記搬送体を1周分より多く周回させた状態で、前記コンデンサを再充電する測定前充電手段と、
前記測定前充電手段にて前記コンデンサを再充電した後に、前記搬送体を間歇的に周回させて、再充電後の前記コンデンサの漏れ電流を測定する測定手段と、を備えることを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定装置。
【請求項18】
周回する搬送体に等間隔で設けられた複数のワーク収納孔のそれぞれに、被測定対象であるコンデンサを収納し、前記搬送体を間歇的に周回させて前記コンデンサの漏れ電流を測定するコンデンサ漏れ電流測定装置において、
測定手段と測定前充電手段との距離を、前記コンデンサの容量に応じて選択した後、前記コンデンサの容量に応じて、前記搬送体を間歇的に周回させる搬送ピッチをワーク収納孔の間隔を単位として調整する搬送ピッチ調整手段と、
前記搬送体を間歇的に周回させながら、前記複数のワーク収納孔に収納された前記コンデンサを順に充電する充電手段と、
前記充電手段にて前記コンデンサを充電した後に、前記搬送体を間歇的に周回させて、前記コンデンサを再充電する測定前充電手段と、
前記測定前充電手段にて前記コンデンサを再充電した後に、前記搬送体を間歇的に周回させて、再充電後の前記コンデンサの漏れ電流を測定する測定手段と、を備えることを特徴とするコンデンサ漏れ電流測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−98031(P2010−98031A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266063(P2008−266063)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】