説明

コンドレープ性能のある疎水性不織布、およびこれを作る方法

【課題】連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布の製造方法を提供する。
【解決手段】連続繊維の疎水性不織布上にコンドレープ性能を付与できる繊維表面修飾物質を適用する。該物質は、本質的にはアミノ修飾ポリジメチルシロキサンである。このコンドレープ性能のある疎水性布は、180秒を超える滲み透りにより測定される場合は実質的な疎水性により、MDおよびCDに関しての少なくとも15%平均のハンドル−O−メーターの減少により測定される場合はコンドレープ性能における実質的な増加により特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続繊維のコンドレープ性能のある(condrapable)疎水性不織布およびこれを作る方法、より特には、繊維表面修飾物質を使用してこれを作る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続繊維の不織布は、布の当業界においてよく知られ、「メルトスパン(meltspun)」として共通に知られ、これはそのクラスの最初のメンバー、つまりメルトブローン(meltblown)、スパンボンド(spunbond)、およびこれらの組み合わせに由来する文言である。他の不織布が当業界において知られている一方、それらはステープルファイバー(つまり、連続繊維よりもはるかに短い繊維)を含有し、非連続繊維のこのような不織布のよく知られた例である梳かれた布である。
【0003】
メルトスパン布は、幅広い種々の異なる適用における利用を持つ。これらの適用の内の幾つかは(例えば、おむつバックシートおよびカフ(cuff)としての使用)、この布において使用される材料の性質による、メルトスパン布の疎水的性質および遮断性能から起きている。例えば、ポリプロピレン繊維から形成される布は、典型的には、連続繊維から形成される布による吸水が望ましくないおむつバックシートおよびカフ、外科用ガウンおよび同様のものにおける使用に要求される高い程度の疎水性を示すが、ここでは、手触りおよびドレープ性が劣る。一方、ポリエチレンおよびポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーのような他の材料で形成されるメルトスパン布は、特定の適用に関しては不満足に低いレベルの疎水性を呈すか、あるいは元より親水的でさえあるが、優れた相対的柔らかさおよびドレープを呈する。この場合には、この材料は、ポリジメチルシロキサン(今後「PDMS」)のような疎水的材料の使用により、疎水的またはより疎水的にされてもよい。このPDMSは、これから繊維が作られるポリマー混合物中へ取り込まれるか、または布形成後の該布へ適用されてもよい。
【0004】
特定の布添加物の経済的適用は、該添加物含有水性溶媒がその後、便利に噴霧、塗布、または他の方法で布に適用されるように水性溶媒中で該添加物を分散することにより典型的に達成され、該水性溶媒はその後、該布の繊維表面上に該添加物を残すための簡単な乾燥により、該布から除去される。これらの添加物のうちの幾つかは、元より親水性であり、これ故に該水性溶媒中に容易に分散される。他は疎水性であり、これ故に、該水性溶媒中に該添加物を分散させるために、(長鎖脂肪酸のような)親水性乳化剤の使用を必要とする。後者の例では、該水性溶媒の除去は、処理されたその布が親水性であるか、または少なくとも該添加物での処理の前よりもより疎水性ではないように、該繊維上に、所望の添加物だけでなく該親水性乳化剤をも残す。このような添加物の例は、柔らかさ、滑らかさおよび肌触りのような美的触覚特性を増長するのに汎用される界面活性剤および潤滑剤である。該布の柔軟化を提供するための界面活性剤の使用は、該布の疎水的性質を与え、実際、疎水的性質を要求する特定の適用には、許容不可能な親水性生産物をしばしば生産してしまう。例えば、米国特許第3,973,068号参照。
【0005】
より特別に述べると、ポリプロピレンで形成される連続繊維の疎水性不織布を提供することが、知られている。柔軟剤または潤滑剤として、水性溶媒中に分散される親水性添加物をこのような布の繊維に適用することが知られており(該布上への該添加物の経済的適用を容易にするために)、その後該布は乾燥されて、該水性溶媒を除去し、処理された布が残る。しかしながら、それで処理される該添加物が、それ自身がまず疎水性であるか、またはある量の親水性乳化剤が、前記水性溶媒中で非疎水性添加物を分散させるように使用されたので、このように生産されるこの処理された布は、典型的には、その意図された使用に対しては、もはや充分に疎水的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布を作る方法を提供することである。
【0007】
もう1つ他の目的は、該布がその本質的に疎水的性質を保持する、水性溶媒中に分散された繊維表面修飾物質を添加物として使用するこのような方法を提供することである。
【0008】
更なる目的は、該物質が、それが該布の疎水的な性質に不利益に影響を及ぼさないように、ある量の親水性乳化剤を使用して、水性溶媒中で分散されるような方法を提供することである。
【0009】
該方法により作られる生産物を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今や、初期のコンドレープ性能を持ち、連続繊維の疎水性不織布を提供する段階を含み、水性溶媒中に分散された繊維表面修飾物質を該布に適用する、連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布を作る方法中において、本発明の前記および関連目的物が得られることが、見出された。最終的には、該布は乾燥され、該水性溶媒を除去し、コンドレープ性能のある疎水性布を残す。本発明の1つの態様において、該物質は、本質的にアミノ修飾ポリジメチルシロキサンを含む。本発明のもう1つ別の態様において、該乾燥布は、300秒を超える滲み透り(strike through)により測定される場合は、実質的な疎水性により、MDおよびCDに関して少なくとも15%(および好ましくは少なくとも20%)平均のハンドル−O−メーター(Handle-O-Meter)の減少(測定される力における)により測定される場合は、コンドレープ性能における実質的な改善により特徴付けられる。
【0011】
好ましくは、該布は、メルトスパン不織布である。
好ましい実施例においては、前記アミノ修飾は、PDMSのメチル基に対する、アミノアルキル基の置換である。これ故に、アミノ修飾PDMSは、
【0012】
【化1】

【0013】
ここで、独立して、Y、X=末端基;
R=R−NH−R
=−(CH−、ここでpは0より大きく;
=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキルアミノアルキル、またはアミノアリール;および
独立して、n、mは0より大きい。
好ましくは、R=CH−CH−CH−NH−R
【0014】
好ましいアミノ修飾PDMSにおいては、組み合わさったn+mが400〜1,500(好ましくは約1,100);アミノ修飾の度合いが2〜5(好ましくは約3.5);およびアミノ数は0.1〜0.3(好ましくは約0.12〜0.15)である。該アミノ修飾PDMSの分子量は、布への適用時にて約30,000〜150,000(好ましくは70,000〜100,000)である。
【0015】
該布の湿潤含浸率は、乾燥した該布に基づき20〜200%であり;前記水性溶媒は、該水性溶媒の重量に基づき、この中に0.5〜20%の前記物質を持ち;該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づき、この上に0.005〜0.5%の前記物質を持つ。
【0016】
前記繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、これらのコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる。好ましくは該繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる。最も好ましくは、該繊維はポリプロピレンである。該繊維は、熱的結合(融合結合)、化学的結合(樹脂結合)、水の絡み合いおよびニードルパンチからなる群から選ばれる工程により、好ましくは熱的結合工程により、結合される。
【0017】
前記物質は、少なくとも1つの親水性乳化剤により、前記水性溶媒中で分散されてもよい。好ましくは、該親水性乳化剤は非イオン性であり、および任意に、それは少なくとも1つのエトキシル化脂肪族アルコールである。該親水性乳化剤は、8〜17のHLBを持ち、前記物質の重量に基づき、3〜30%にて存在する。該親水性乳化剤は、非イオン性または陽イオン性共乳化剤を包含してもよい。
【0018】
本発明は、連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布をも取り込んでおり、連続繊維の疎水性不織布、および該布上に、コンドレープ性能のある疎水性不織布を形成するための繊維表面修飾物質を含む。該物質は、本質的にアミノ修飾ポリジメチルシロキサンを含み、該コンドレープ性能のある疎水性不織布は、180秒を超える滲み透りにより測定される場合は、実質的な疎水性により、初期のコンドレープ性能に対して相対的なMDおよびCDに関して少なくとも15%平均のハンドル−O−メーターの減少により測定される場合は、コンドレープ性能における実質的な改善により、特徴付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
端的には、本発明は、連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布、およびこれを作る方法である。該方法は、連続繊維の疎水性不織布を提供する段階、水性溶媒中で分散された繊維表面修飾物質を該布に適用する段階、およびその後、該布を乾燥させて該水性溶媒を除去し、コンドレープ性能のある疎水性不織布(該修飾物質を含有する)を残す段階を含む。これ故に、該繊維表面修飾物質は、該布を疎水的にしておく一方で、該布の初期のコンドレープ性能を改善することが可能でなければならない。アミノ修飾ポリジメチルシロキサンが、同時に該アミノ修飾により該布をよりコンドレープ性能のあるようにする一方、その大変疎水的なPDMSの性質により該布の所望の疎水性を維持し、改善することさえあるということが見出されている。該物質は、元より充分に疎水的なので、該物質を水性溶媒中で分散させるために親水性乳化剤を使用することが必要である場合でさえ、該親水性乳化剤の存在に関わらず、該物質の本質的に疎水的な性質が勝り、該布を疎水的に維持する。
【0020】
用語「疎水性」は、区別され数量化可能な3つのパラメーター:
ハイドロヘッド(hydrohead、静水ヘッドに関した EDANA 120.80);
滲 み 透 り(strike-through,滲み透り時間または獲得スピードに関した EDANA1503-96);および
接 触 角(FIBRO DAT(動的吸収試験器−2.6版)1100)
に関連した属性のことを言う。この用語が、先行技術、および該先行技術が関わる疎水性の特別な適用において使用される文脈に依り、該先行技術は、如何なる所与の例においても、これらのパラメーターの内の1つまたは2つだけを試験または基準として使用して、疎水性を数量的に決定することがある。本明細書中および請求項中で使用されるように、布は、180秒を超える滲み透りの場合のみ「実質的な疎水性」を持つものとして特徴付けられる。このような高い滲み透りは、典型的には(しかし必須ではない)少なくとも5cmのハイドロヘッドおよび少なくとも90°の接触角に関係している。
【0021】
本明細書中および請求項中で使用されるように、造語である用語「コンドレープ性能」は、手(またはハンドル)の美的触覚パラメーター、およびドレープ性能を組み合わせる属性のことを言う。「手」は、典型的には、手が該布表面上を平行に動かされた場合に、手の指がその感覚を体験するような、布の感覚器官を刺激する感覚に関する。ガラスのような材料が非常に滑らかでしかも乏しい手触りを持つことがあるので、それは正確には滑らかさではない。ポリプロピレン膜のような材料がとても柔らかくてしかも乏しい手触りを持つことがあるので、それは正確には柔らかさではない。他方、「ドレープ性能」は、折り畳まれたり押し潰されたりする布の能力のことを言う。簡便には、手触りは布の外部または表面摩擦に関連したように考えられてもよく、ドレープ性能は該布の内部または繊維対繊維摩擦に関連したように考えられてもよい。
【0022】
よく知られたハンドル−O−メーター試験手順(INDA IST 90.3-95)は、感覚器官を刺激する試験のパネルの結果によく関連する、信頼出来る量的測定を提供する。手触り、柔らかさ、ドレープ性能、フレキシビリティおよび類似のものも測定として、それは当業界において種々言及される。しかしながら、実際、それは、手触りもしくは外部摩擦効果、およびドレープ性能もしくは内部摩擦効果の両方を測定する。このハンドル−O−メーターは、開口部としておよそ同じ長さのブレードを有するスロット開口部を通じて布を押すのに要求される力を測定する。所与の寸法の布検体は、5〜100gsmの基礎重量を持つ布に関しては、0.25インチ(6.4mm)の幅のスロットを形成する2つの薄い金属板からなる該器具の台上に置かれる。該布検体の中央線(MDまたはCD)は、該スロットおよび/または該スロット中へと該検体に力を加えるのに使用される浸透ブレードを横切って並べられる。これを行うのに要求されるこの力は、力のグラム数で測定され、報告される。この試験は、再び90°に向いた該布検体と共に繰り返される。指示された場合以外は、報告されるこの結果は、器械の方向(MD)および器械を横切る方向(CD)を向いたスロットを横切って広げられた布を用いた結果の平均である。この試験は、通常は、2つの側のある材料に関しては両方の側上で行われるが、本状況では、この試験は、前記材料が2つの側を有するとは考えられなかったので、1つの側上だけで行われた。構造または形成の均一性における変動はこのハンドル−O−メーター試験結果に、影響を及ぼすので、幾つか(約10)の読み取りの平均を取るべきである。
【0023】
該布がよりコンドレープ性能のあるほど、該ブレードの影響下に、それは該スロットを通じてより容易に動く。この試験結果は、該材料のドレープ性能(つまり、それが該ブレードにより折り畳まれたり押し潰されたりして該スロットを通過する容易さ)および該材料の手触り(つまり、この動いている布およびこの静置スロットの間に発生する摩擦が克服される容易さ)の両方を反映する。該スロットを通じて該布を押すのに要求される力が小さいほど、この試験の読み取りは少なくなり、該布がよりコンドレープ性能のあるようになる。
【0024】
該布は、(メルト−ブローン層Mまたはスパンボンド層Sのような)1層、(SS、MMまたはSM布のような)2層の複合体、または(SMSまたはSMMS布のような)3以上の層の複合体さえ含んでもよい。SMSまたはSMMS布においては、中の層(単数または複数)が特別の液体または気体の遮断特性のために選択される一方、外側の層は所望の手触りまたは感触を提供するために選択されてもよい。従って、特別の布は、重量(g/m)において大きく変動してもよく、重量におけるこの変動は、勿論該布のドレープ性能およびこれ故にこれらのコンドレープ性能に実質的なインパクトを与えるであろう。従って、コンドレープ性能を決定することにおいては、前記ハンドル−O−メーター試験手順は、異なる幅のスロット、より重い基礎重量を要求するより広いスロットを使用して、試験される異なる重量の布を持つように修飾されなくてはならず、またはこの試験は、比較可能な重量の布に関してのみの比較目的で遂行されなくてはならない。従って、本明細書中で使用されるように、布は、それが、初期のコンドレープ性能に関連したMDおよびCDに関して少なくとも15%平均のハンドル−O−メーターの減少を持つ場合のみ、「コンドレープ性能における実質的な改善」を持つものとして特徴付けられ、該スロットの幅は、該布の重量に関して適切に選択される。
【0025】
本発明の方法は、当業界においてよく知られた方法により形成される連続繊維の疎水性不織布で始まる。好ましくは、該布は、「メルトスパン」−つまり、メルトブローン、スパンボンドまたはこれらの組み合わせである。それは、ステープルファイバーよりもむしろ、本質的に連続繊維で形成され、これ故に梳かれた不織布は除かれる。
【0026】
好ましい実施形態では、該繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、これらの(オレフィン、エステル、アミドまたは他のモノマーとの)コポリマー、およびこれらの配合物からなる群から選択される熱可塑性または回転可能なポリマーである。本明細書中で使用されるように、用語「配合」は、少なくとも2つのポリマーの均一な混合物、または2成分繊維のような少なくとも2つの物理的に区別されるポリマーの非均一混合物を包含する。好ましくは、該繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのコポリマーおよびこれらの配合物からなる群から選択されるポリオレフィンであり、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、およびポリエチレン/ポリプロピレン配合物を包含する。最適には、該繊維は、単独または少量のより疎水性でないポリエチレンを伴ったこのような繊維の天然の疎水性により、ポリプロピレンである。
【0027】
熱的結合(融合結合)、化学的結合(樹脂結合)、水の絡み合いおよびニードルパンチの群から選択されるもののような、当業界においてよく知られた幅広い種々の方法のいずれかにより、該繊維は、連続繊維の不織布の形態へと結合される。
【0028】
この方法は、水性溶媒中に分散された繊維表面修飾物質を該布に適用する段階を含む。噴霧、コーティング、泡立て、塗布、スクリーン印刷のような、布に添加物または物質を適用するための当業界においてよく知られた種々の方法のいずれかにより、あるいは飽和浴またはニップ付きの二重キスロールの使用によりさえ、該布への該物質の経済的適用を容易にするために、該物質は、水性溶媒中で分散される。該物質を該布に適用する好ましい「浸液およびニップ」法において、該布は、該溶媒(「該浸液」)を含有する水溶液を通過し、それからニップロール(「該ニップ」)を通過し、これは、該布表面から過剰の溶液を除去する一方、該布内部へと該溶液を押し込む。ドレープ性能を作り出すには、静的な繊維対繊維摩擦は抑制されねばならず、これによって、該布の変形を可能にすることが出来る。これは該物質に、該布の表面上に残ることだけでなく、該布の間隙中へ浸透すること、および理論的には、該布の各繊維の表面に到達することも要求する。
【0029】
前記湿潤含浸率(つまり、該布による該水性溶媒の、該修飾物質を包めた前記含浸率)は、該乾燥布に基づいて、好ましくは20%〜200%である。より高い布含浸率レベルがより長い布乾燥時間を要求する一方、より低い湿潤含浸率は、非一様に低いレベルの、該布に添加される該物質を作り出す傾向にある。該水性溶媒は、該水性溶媒の重量に基づいて、この中に0.5%〜20%の物質を持つ。該水性溶媒中のより高いレベルの該物質が、潜在的に該水性溶媒中で望まれない粘度変化に至る一方、該水性溶媒中のより低いレベルの該物質は、該布に添加される非一様に低いレベルの該物質を作り出す傾向にある。該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて、この中に好ましくは0.005%〜0.5%の修飾物質を持つ。該乾燥布上のより高いレベルの該修飾物質は、不必要なだけでなく高価である一方、該乾燥布上のより低いレベルの該物質は、一様性の緊密な制御を伴って達成するのが難しいが、該布の疎水性レベルに不利益に影響を及ぼすこともある。
【0030】
この物質を有する布を乾燥して、前記水性溶媒を除去し、コンドレープ性能のある疎水性布を残すことは、熱い空気を通す乾燥器、蒸気缶、熱い空気のドラム、赤外線オーブン、または同様のもののような慣用的な手段により達成されてもよい。この熱い空気は、特定の布材料にとって適切な温度に、典型的には、130℃の軟化温度を有するポリプロピレンに関しては110℃〜125℃に維持される。
【0031】
前記のように、PDMSまたはポリジメチルシロキサンは、布の疎水性を増加させるための、よく知られた添加物である。このPDMSは、式:
【0032】
【化2】

【0033】
を持ち、式中、mは0より大きい。
典型的には、mは、400〜1500、好ましくは400〜650の範囲内であり、これにより、25℃にて200〜1000センチストーク(mm/秒)の粘度を提供する。
本発明のアミノ修飾は、メチル基に関してのアミノアルキル基の置換である。これ故に、アミノ修飾PDMSは:
【0034】
【化3】

【0035】
であり、式中、
Y、Xは独立して末端基であり;
R=R−NH−R
=−(CH−(ここで、pは0より大きい);
=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキルアミノアルキル、またはアミノアリール;および
n、mは独立して0より大きい。
このYおよびXとして有用な末端基は、H、OH、メチル、エチル、アセチル、メトキシ、エトキシおよび同様のものを包含する。
は、メチレン、ビメチレン、トリメチレン等のようなポリメチレンである。特に好ましいアミノ修飾は、Rとしてトリメチレンを採用し、以下のアミノプロピルの式:
R=CH−CH−CH−NH−R
を持つ。
は、各アミノ修飾の追加のアミノ基により与えられる追加的なコンドレープ性能を達成するために、好ましくは非イオン性であり、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリール、あるいは好ましくはこれらのアミノ誘導体(つまり、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキルアミノアルキルまたはアミノアリール)である。
【0036】
好ましいアミノ修飾PDMSにおいては、nは120〜500、好ましくは約150であり、nおよびm合わせて400〜1500(好ましくは約1100)である。このアミノ修飾PDMSの分子量は、前記布に適用する時に、約30,000〜150,000(好ましくは70,000〜100,000)である。一般的に述べると、もしPDMSがアミノ修飾されていなかった場合よりも、この場合は僅かにより疎水的でない布であったであろう一方、n/m比を増加させることは、よりコンドレープ性能のある布を作り出す。また一般的に述べると、アミノ修飾PDMSの分子量を増加させることは、認知し得るほど布の疎水性を減少させることなしに、布のコンドレープ性能における僅かな増加を作り出す。アミノ修飾PDMSの分子量における増加が各分子におけるアミノ基の合計数を増加させるが修飾されていないPDMS基の相対的な数を減少させない一方、おそらくこれは、n/m比における増加が各分子におけるアミノ基の数を増加させるだけでなく、修飾されていないPDMS基の相対的な数を減少させるからでもある。
【0037】
アミノ修飾の度合いは2〜5(好ましくは約3.5)であり、アミノ数は0.1〜0.3(好ましくは0.12〜0.15)である。アミノ修飾の度合いは、アミノ修飾基により置き換えられたPDMS分子における合計のメチル基の割合を表す。アミノ数は、アミノ修飾PDMSの1グラムを中和するのに等価な水酸化カリウム(KOH)のミリグラムを表す。従って、アミノ修飾の度合いおよびアミノ数両方は、PDMS分子に加えられるアミノ基の数を指し示している。統計的事項として、アミノ修飾PDMSと共に混ぜ込まれる修飾されていない痕跡量のPDMSがやむを得ず存在するであろうが、典型的には1重量%未満であることが分かるであろう。
【0038】
アミノ修飾PDMSは、マクロ的に乳化された形態で SILASTOL SLKN および UKANOL のような商標名で、ドイツ Boeblingen の Schill & Seilacher Aktiengesellschaft から入手出来るが、ここでアミノ修飾は、アミノエチル−アミノプロピル基(つまり、Rがプロピルであり、Rがアミノエチル、アミノアルキル)である。このようなアミノ修飾PDMSは、織物に関して柔らかさを提供するのに使用されて来たし、使用されているが、該織物が柔らかくなりより親水性になることを可能にする改善された生産物により、一般的には取って代わられている。
【0039】
前記のように、PDMSは大変疎水的である。それ自体として、またはアミノ修飾形態(つまり、本発明の前記修飾物質として)で使用されるにせよ、親水性乳化剤の仲介を通じてのみ、それは典型的に、水性溶媒中に分散され得る。好ましい親水性乳化剤は、少なくとも1つのエトキシル化された脂肪族アルコールのように、形態において非イオン性であり、好ましくはエトキシル化された脂肪族アルコールの混合物である。それは、非イオン性または陽イオン性の共乳化剤をも包含してもよい。該親水性乳化剤は、8〜17、好ましくは10〜15、および任意には13のHLB(疎水性/親油性のバランス)を持つ。それは、該物質の重量に基づいて3%〜30%のレベルにて、典型的には使用される。勿論、親水性乳化剤は、該布の疎水的性質における該乳化剤添加の親水性効果を最小化するために、最低レベルにて使用される。修飾された、または修飾されていないPDMSは、それ自体である程度ポリプロピレンよりも疎水的であるが、それがエマルジョンを形成することを可能にするために要求される親水性乳化剤と混合される場合には、それはポリプロピレンとおよそ同じ疎水性を持つ。
【0040】
前記布が前記水性溶媒を除去するために乾燥された後、この残っている布(この上に残っている前記物質および如何なる乳化剤をも包含する)は、300秒を超える滲み透りにより測定される場合は、実質的な疎水性により、初期のコンドレープ性能に対して相対的なMDおよびCDに関して少なくとも15%平均(および好ましくは少なくとも20%平均)のハンドル−O−メーター減少により測定される場合は、コンドレープ性能における実質的な改善により特徴付けられる。
【0041】
驚いたことに、最終的なコンドレープ性能における最小の改善(初期のコンドレープ性能の百分率として測定される)は、初期のコンドレープ性能レベルには関係のない結果になることが見出された。これ故に、初期には如何なる実質的なコンドレープ性能を欠いていたそれらの布だけでなく、初期には実質的なコンドレープ性能を呈していたそれらの布も、前記物質により改善されたコンドレープ性能を呈するようにされるであろう。
【0042】
本発明の生産物は、連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布をこれで形成するように、該繊維上に繊維表面修飾物質を持つ連続繊維の疎水性不織布である。該物質は、本質的に前記のアミノ修飾PDMSを含み、前記のように、該コンドレープ性能のある疎水性繊維は、実質的な疎水性により、および少なくとも15%のコンドレープ性能における実質的な改善により特徴付けられる。
【実施例】
【0043】
以下の実施例が、本発明の効果を例示する。
[実施例I]
本発明による繊維表面修飾物質(SILASTOL SJKN)が、水の重量に基づいて3%のレベルにて水性溶媒(水)中で分散された。該物質は、19%の結合面積を持ち、2つのキスロール塗布器(布の各側に1つのロール)を使用して該布の充分な飽和を確実にし、これ故に、該繊維の該表面の保湿を完了する、ポリプロピレンの熱的にSS結合された不織布(15gsm)に適用された。該布のスピードは250m/分であり、キスロールのスピードは8rpmであった。該布は、「完全乾燥(bone dry)」状態までIR−乾燥器で乾燥され、その後24時間適切な条件に置かれた。以下の試験結果が得られた(10検体の平均);
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて、0.18%の前記物質を含有していた。
該乾燥布は、300秒より長い滲み透り時間を示した(無処理の比較品:300秒を超える)。該試験は、350秒にて停止された。
該乾燥布は、123°の接触角を示した(無処理の比較品は128°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均してMDにおいて9.3およびCDにおいて4.5の(mNでの)コンドレープ性能を示した(無処理の比較品:平均して、MDにおいて12.3およびCDにおいて5.5)。表I参照。
これらの試験結果は、無処理の比較品に比較して、平均してMDにおいて25%およびCDにおいて19%のコンドレープ性能における実質的な改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している(全体の平均:22%)。
【0044】
[実施例II]
実施例1の手順が、19%の結合面積を持つポリプロピレンの熱的に結合された不織SMMS布(15.5gsm、3.5gsmのメルトブローンを包含する)について遂行された。
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.24%の前記物質、および19%の結合面積を含有していた。
該乾燥布は、300秒より長い滲み透り時間を示した(無処理の比較品:300秒を超える)。該試験は、350秒にて停止された。
該乾燥布は、124°の接触角を示した(無処理の比較品は127°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均して12.5を超えるMDおよび4.9CDのコンドレープ性能(mN)を示した(無処理の比較品:平均して、16MDおよび6.6CD)。表I参照。
これらの試験結果は、無処理の比較品に比較して、平均して22%MDおよび26%CDのコンドレープ性能における実質的な改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している(全体の平均:24%)。
【0045】
[実施例III]
実施例1の手順が、17%の結合面積を持つポリプロピレンの熱的に結合された不織SS布(15gsm)について遂行された。
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.17%の物質を含有していた。
該乾燥布は、300秒より長い滲み透り時間を示した(無処理の比較品:300秒を超える)。該試験は、350秒にて停止された。
該乾燥布は、123°の接触角を示した(無処理の比較品は123°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均して8.4を超えるMDおよび3.6CDのコンドレープ性能(mN)を示した(無処理の比較品:平均して、12.6MDおよび5.6CD)。表I参照。
これらの試験結果は、比較品に比較して、平均して33%MDおよび35%CDのコンドレープ性能における実質的な改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示す(全体の平均34%)。
【0046】
[実施例IV]
実施例1の手順が、17%の結合面積を持つポリプロピレンの熱的に結合された不織SMMS布(15gsm、3.5gsmのメルトブローンを包含する)について遂行された。
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.26%の物質を含有していた。
該乾燥布は、300秒より長い滲み透り時間を示した(無処理の比較品:300秒を超える)。該試験は、350秒にて停止された。
該乾燥布は、122°の接触角を示した(無処理の比較品は125°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均して14.5を超えるMDおよび5.4CDのコンドレープ性能(mN)を示した(無処理の比較品:平均して、18MDおよび7.7CD)。表I参照。
これらの試験結果は、無処理の比較品に比較して、平均して22%MDおよび26%CDのコンドレープ性能における実質的な改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している(全体の平均:25%)。
【0047】
[実施例V]
実施例1の手順が、実験的な樹脂としてエクソンから得られ、商標名 ESCORENE PP 9355 という、エクソンから市販されている97/3の比のコポリマーに似た、17%の結合面積を持つ96/4の重量比のポリプロピレン/ポリエチレンコポリマーの熱的に結合された不織SS布(15gsm)について遂行された。
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.38%の前記物質を含有していた。
該乾燥布は、約300秒の滲み透り時間を示した(無処理の比較品:240〜300秒)。該試験は、350秒にて停止された。
該乾燥布は、121°の接触角を示した。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均して4を超えるMDおよび1CDのコンドレープ性能(mN)を示した(無処理の比較品:平均して、7MDおよび4CD)。表I参照。
これらの試験結果は、無処理の比較品に比較して、平均して43%MDおよび75%CDのコンドレープ性能における実質的な改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している(全体の平均:59%)。
【0048】
[実施例VI]
処理された比較品として、繊維表面修飾物質(Schill & Seilacher から商標名 SILASTOL E35 として入手可能な、修飾されていないPDMSのマクロ的な乳化剤)が、水の重量に基づいて0.15%のレベルにて水性溶媒(水)中で分散された。該物質は、19%の結合面積を持つポリプロピレンの熱的に結合されたSS不織布(15gsm)の、実験室規模の手触り試料に適用された。1対の圧力調整可能なニップロール(ドイツのマチス社から商標名LABORATORY FOULARD # VFH-35594として入手可能)を有する浸浴(飽和浴に似ている)が使用され、布の充分な飽和を確実にし、これ故に該繊維の表面の保湿を完了した。該布のスピードは0.5m/分であり、該ニップロール圧力は、1〜100単位の規模で50であった。該布は、実験室強制空気オーブン乾燥器を用いて「完全乾燥」状態まで乾燥され、その後24時間適切な条件に置かれた。以下の試験結果が得られた(10検体の平均):
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.25%の前記物質の追加的な乾燥含浸量を持っていた。
該乾燥布は、185.2秒の滲み透り時間を示した(無処理の比較品:197.7秒)。
該乾燥布は、130.2°の接触角を示した(無処理の比較品129.2°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均してMDにおいて9.7およびCDにおいて4.2のコンドレープ性能(mNでの)を示した(無処理の比較品:平均して、MDにおいて12.4およびCDにおいて5.5)。表II参照。
これらの実験室試験結果は、無処理の比較品に比較して、コンドレープ性能における実質的な改善を呈するが疎水性において僅かな減少を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している。
【0049】
[実施例VII]
本発明による繊維表面修飾物質(商標名SILASTOL SJKNとして入手可能な、アミノ修飾PDMSのマクロ的な乳化剤)が、水の重量に基づいて0.4%のレベルにて水性溶媒(水)中で分散された。実施例6の手順が、伴われた。
以下の試験結果が得られた(10検体の平均):
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.15%の前記物質の追加的な乾燥含浸量を持っていた。
該乾燥布は、231.8秒の滲み透り時間を示した(無処理の比較品:197.7秒を超える)。
該乾燥布は、129.6°の接触角を示した(無処理の比較品129.2°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均してMDにおいて8.4およびCDにおいて3.5のコンドレープ性能(mNでの)を示した(無処理の比較品:平均して、MDにおいて12.4およびCDにおいて5.5)。表II参照。
これらの実験室試験結果は、無処理の比較品に比較して、PDMS処理比較品よりも、コンドレープ性能におけるより実質的な改善および疎水性における増加を呈するカンドレープ性能のある疎水性不織布を示している。
【0050】
[実施例VIII]
処理された比較品として、繊維表面修飾物質(商標名 SILASTOL E35 として入手可能な修飾されていないPDMSのマクロ的な乳化剤)が、水の重量に基づいて0.15%のレベルにて水性溶媒(水)中で分散された。該物質は、19%の結合面積を持つポリプロピレンの熱的に結合されたSMMS不織布(15gsm)の、実験室規模の手触り試料に適用された。実施例6の手順が、伴われた。
以下の試験結果が得られた(10検体の平均):
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.25%の前記物質の追加的な乾燥含浸量を持っていた。
該乾燥布は、300秒より長い滲み透り時間を示した(無処理の比較品:300秒を超える)。
該乾燥布は、129.6°の接触角を示した(無処理128.1°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均してMDにおいて14.9およびCDにおいて5.1のコンドレープ性能(mNでの)を示した(無処理の比較品:平均して、MDにおいて16およびCDにおいて6.5)。表II参照。
これらの実験室試験結果は、無処理の比較品に比較して、疎水性における減少なしに、コンドレープ性能における改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している。
【0051】
[実施例IX]
本発明による繊維表面修飾物質(商標名 SILASTOL SJKN として入手可能な、アミノ修飾PDMSのマクロ的な乳化剤)が、水の重量に基づいて0.4%のレベルにて水性溶媒(水)中で分散された。該物質は、19%の結合面積を持つポリプロピレンの熱的に結合されたSMMS不織布(15gsm)に適用された。実施例6の手順が、伴われた。
以下の試験結果が得られた(10検体の平均):
該乾燥布は、該乾燥布の重量に基づいて0.21%の前記物質の追加的な乾燥含浸量を持っていた。
該乾燥布は、300秒より長い滲み透り時間を示した(無処理の比較品:300秒を超える)。
該乾燥布は、127.9°の接触角を示した(無処理の比較品128.1°)。
該乾燥布は、ハンドル−O−メーターを使用して、平均してMDにおいて12.8およびCDにおいて4.3のコンドレープ性能(mNでの)を示した(無処理の比較品:平均して、MDにおいて16およびCDにおいて6.5)。表II参照。
これらの実験室試験結果は、無処理の比較品に比較して、疎水性における減少無しに、PDMS処理比較品よりもコンドレープ性能においてより実質的な改善を呈するコンドレープ性能のある疎水性不織布を示している。
【0052】
(実施例Vの)コポリマー布が、(実施例I〜IVの)純粋なポリエチレン布のいずれよりもより高い初期のコンドレープ性能を示した一方、それは、該純粋なポリエチレン布に対して相対的なコンドレープ性能における驚くべき高い増加も示した(全体で平均59%、および特にCDにおいて)。これは、相対的に高い含浸量のレベルまたは百分率の物質(0.17〜0.26%の純粋なポリエチレン布に対して相対的に0.38%)に関連付けられるかも知れない。
【0053】
(実施例Vの)処理されたコポリマー布が、本願発明により定義されたような境界線「実質的な疎水性」を示した一方、特にコンドレープ性能が疎水性よりもより重要であろう場合には、処理後の疎水性は、多くの実用的な適用に対して充分高いままである。
【0054】
一般的に、前記結合面積が、標準的な結合面積(例えば、約19%)に対して相対的に(例えば、約17%まで)抑えられた場合、実施例I〜IIの実施例III〜Vとの比較は、本発明の方法に対する増強されたコンドレープ性能の効果を指し示している。これ故に、12〜18%の結合面積が好ましく、最適には13〜17%である。
【0055】
一般的に、実施例VI〜IXは、修飾されていないPDMSが無処理の比較品に対して相対的にコンドレープ性能を改善する一方、それは疎水性を減少させるかも知れないことを示している。他方、有意に疎水性を減少させないか、または実際にそれを増加させる一方、アミノ修飾PDMSは、修飾されていないPDMSよりもよりコンドレープ性能を改善する。
【0056】
本発明の材料は、幅広い種々の産業的適用における利用を見出している。例えば、該材料は、空気濾過用のフィルター、車用のフィルター、液体用フィルターおよびフィルターの袋として有用である。該材料は、クリーンルームでの衣料、商品消費者衣服、防塵および化学物質からの保護のような産業的な保護的衣服においても有用である。該材料は、更に、クリーンルームワイプ、油吸収ワイプ、レンズ洗浄ワイプなどの産業的なワイプ、および低い摩擦および/または非引っ掻き表面に関しての表面保護として有用である。該材料に関する他の産業的適用は、家庭での包装、パッケージ化、家具およびベッド作り、車カバー、絶縁、絶縁性電気ケーブル包装、電池のセパレーター、靴の成分を包含する。
【0057】
該物質は、家庭での、および産業的使用両方について、包装およびパッケージとして有用である
【0058】
更に、本発明の材料は、幅広い種々の衛生的な適用における利用を見出している。例えば、該材料は、バックシートもしくは外側カバー、脚のカフ、ウェストバンド、伸縮タブ、および弾性もしくは拡張可能な側板として有用である。
【0059】
最後に、本発明の材料は、幅広い種々の医療的適用における利用も見出している。例えば、該材料は、外科用ドレープ、外科用ガウン、カット−イン−プレース(cut-in-place)ガウン、靴カバー、ふっくらした帽子および無菌化包装として有用である。
【0060】
前記の特別な適用の特定は、例のみとして採用され、限定するものではない。前記産業的、衛生的および医療的適用の他の使用は、本発明の該材料の物理的または化学的特性に勿論由来する。
【0061】
本発明の材料は、高いコンドレープ性能、高い疎水性、低い表面対表面摩擦、および高い滑り性/低い粘ちょう性を提供し、これ故に衛生的適用(特に、バックシートもしくは外側カバー、脚のカフ、伸縮タブおよび弾性もしくは拡張可能な側板として)において、(シートカバー、スプリングポケット(spring pocket)、およびスリップカバーのような)家具またはベッド作り産業において、一般的な包装およびパッケージ化の適用において、および絶縁性電気ケーブル包装としての特別な利用を見出している。
【0062】
本発明が、初期および処理後の両方において疎水性であった布の文脈において前に記載されている一方、本発明の原理は、生物分解性ポリマーPLA(ポリ乳酸)またはPCL(ポリカプロラクトン)のような、初期において疎水的性質を有する布(すなわち、有意に10秒未満の、好ましくは3秒未満の滲み透りを呈する)にも適用する。これ故に、もし該布が初期に疎水性であるならば、この処理された布はより親水性でないか、または可能性としては、弱くもしくは中程度に疎水性でさえあるであろう。これは、本発明の前記物質が、それが有効により親水性でないか疎水性でさえあるように、ある程度該布の繊維の表面を覆い、これにより該表面を被覆し、隠蔽し、または変形させる(それをどう見たいかによる)からである。実用的な事項として、該繊維の初期の親水性/疎水性が全て無視されることが出来、この処理された布が僅かにより親水性でないか、実際に疎水性であるかどうかに影響するであろうように、該物質は該繊維の表面の100%は覆わない。本発明の目的に関しては、しかしながら、この処理された布は、少なくとも10秒の滲み透りを持っているべきである。
【0063】
まとめると、本発明は、連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布を作る方法を提供し、該方法は、その本質的に疎水的な性質を保持する、水性溶媒中で分散された繊維表面修飾物質を、添加物として使用する。該物質は、該布の疎水的性質に疎水性が加わるように不利益に影響を及さないように、ある量で親水性乳化剤を使用して、水性溶媒中で分散されてもよい。本発明は、該方法により作られた生産物も提供する。
【0064】
今や、本発明の好ましい実施形態が、詳細に示されて記載され、これに関する種々の修飾および改善が、当業者にとって容易に明らかになるであろう。従って、本発明の精神および範囲は、広く解釈され、付属の請求項によってのみ限定され、前記特定によっては限定されない。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続繊維のコンドレープ性能のある(condrapable)疎水性不織布を作る方法であって:
(A)初期のコンドレープ性能を持つ連続繊維の疎水性不織布を提供し;
(B)該布に、水性溶媒中で分散された繊維表面修飾物質を適用し、該物質が、本質的にアミノ修飾ポリジメチルシロキサンを含み;および
(C)該布を乾燥させ、該水性溶媒を除去し、改善されたコンドレープ性能を持つ疎水性布を残す
段階を含む方法。
【請求項2】
前記アミノ修飾が、メチル基に対してのアミノアルキル基の置換である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記乾燥布が、少なくとも180秒の滲み透りにより測定される場合は実質的な疎水性により、MDおよびCDに関しての初期のコンドレープ性能に対して相対的に少なくとも15%平均のハンドル−O−メーターの減少により測定される場合はコンドレープ性能における実質的な改善により、特徴付けられる方法。
【請求項4】
前記物質が、本質的にアミノ修飾ポリジメチルシロキサンを含み、このアミノ修飾が、メチル基に対してのアミノアルキル基の置換である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記物質が、親水性乳化剤により水性溶媒中で分散される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アミノ修飾PDMSが、
【化1】

であり、式中、独立して、Y、X=末端基;
R=R−NH−R
=−(CH−、ここでpは0より大きく;
=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキルアミノアルキル、またはアミノアリール;および
独立して、n、mは0より大きい
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R=CH−CH−CH−NH−Rである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
がアミノアルキルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Rがアミノエチルアミノプロピルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(A)n=120〜500;およびn+m=400〜1,500;
(B)アミノ修飾の度合いが2〜5;および
(C)アミノ数が0.1〜0.3
である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
(D)n=150;およびn+m=1,100;
(E)アミノ修飾の度合いが3.5;および
(F)アミノ数が0.12〜0.15
である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アミノ修飾PDMSの分子量が、30,000〜150,000である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノ修飾PDMSの分子量が、70,000〜100,000である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記布の湿潤含浸率が、該乾燥布に基づいて20〜200%である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記水性溶媒が、この中に、該水性溶媒の重量に基づいて0.5〜20%の前記物質を持つ、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記乾燥布が、この上に、該乾燥布の重量に基づいて0.005〜0.5%の前記物質を持つ、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのコポリマーおよびこれらの配合物からなる群から選択されるポリオレフィンである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記繊維が、ポリプロピレンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記繊維が、4%のポリエチレンを含有するポリプロピレン/ポリエチレンコポリマーの配合物である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記布が、メルトスパン不織布である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記繊維が、熱的結合、化学的結合、水交絡およびニードルパンチからなる群から選択される工程により結合される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記繊維が、熱的結合工程により結合される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記布が、前記布の全面積に基づいて12〜18%の結合面積を持つ、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記親水性乳化剤が、非イオン性である、請求項5に記載の方法。
【請求項25】
前記親水性乳化剤が、少なくとも1つのエトキシル化脂肪族アルコールである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記親水性乳化剤が、非イオン性または陽イオン性共乳化剤を包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記親水性乳化剤が、8〜17のHLBを持つ、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記親水性乳化剤が、前記物質の重量に基づいて3〜30%にて存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記減少が、MDおよびCDに関して少なくとも20%平均である、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
連続繊維のコンドレープ性能のある疎水性不織布であって:
(A)初期のコンドレープ性能を持つ連続繊維の疎水性不織布;および
(B)該布上で処理された繊維表面修飾物質
を含み、該物質が本質的にアミノ修飾ポリジメチルシロキサンを含み;該繊維表面修飾物質を用いた処理後の該布が、180秒を超える滲み透りにより測定される場合は実質的な疎水性により、MDおよびCDに関しての初期のコンドレープ性能に対して相対的に少なくとも15%平均のハンドル−O−メーターの減少により測定される場合はコンドレープ性能における実質的な改善により特徴付けられる
布。
【請求項31】
親水性乳化剤を包含する、請求項30に記載の布。
【請求項32】
前記アミノ修飾が、メチル基に対してのアミノアルキル基の置換である、請求項30に記載の布。
【請求項33】
前記アミノ修飾PDMSが、
【化2】

であり、式中、独立して、Y、X=末端基;
R=R−NH−R
=−(CH−、ここでpは0より大きく;
=水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキルアミノアルキル、またはアミノアリール;および
独立して、n、mは0より大きい
請求項30に記載の布。
【請求項34】
R=CH−CH−CH−NH−Rである、請求項33に記載の布。
【請求項35】
がアミノアルキルである、請求項34に記載の布。
【請求項36】
Rがアミノエチル−アミノプロピルである、請求項35に記載の布。
【請求項37】
(C)n=120〜500;およびn+m=400〜1,500;
(D)アミノ修飾の度合いが2〜5;および
(E)アミノ数が0.1〜0.3
である、請求項33に記載の布。
【請求項38】
(F)n=150;およびn+m=1,100;
(G)アミノ修飾の度合いが3.5;および
(H)アミノ数が0.12〜0.15
である、請求項37に記載の布。
【請求項39】
前記アミノ修飾PDMSの分子量が、30,000〜150,000である、請求項33に記載の布。
【請求項40】
前記アミノ修飾PDMSの分子量が、70,000〜100,000である、請求項39に記載の布。
【請求項41】
前記布が、この上に、該布の重量に基づいて0.005〜0.5%の前記物質を持つ、請求項30に記載の布。
【請求項42】
前記繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのコポリマーおよびこれらの配合物からなる群から選択されるポリオレフィンである、請求項30に記載の布。
【請求項43】
前記繊維が、ポリプロピレンである、請求項42に記載の布。
【請求項44】
前記繊維が、4%のポリエチレンを含有するポリプロピレン/ポリエチレンコポリマーである、請求項42に記載の布。
【請求項45】
前記布が、メルトスパン不織布である、請求項30に記載の布。
【請求項46】
前記繊維が、熱的結合、化学的結合、水交絡およびニードルパンチからなる群から選択される工程により結合にされる、請求項30に記載の布。
【請求項47】
前記繊維が、熱的結合工程により結合される、請求項46に記載の布。
【請求項48】
前記布が、前記布の全面積に基づいて12〜18%の結合面積を持つ、請求項30に記載の布。
【請求項49】
前記親水性乳化剤が、非イオン性である、請求項31に記載の布。
【請求項50】
前記親水性乳化剤が、少なくとも1つのエトキシル化脂肪族アルコールである、請求項49に記載の布。
【請求項51】
前記親水性乳化剤が、非イオン性または陽イオン性共乳化剤を包含する、請求項49に記載の布。
【請求項52】
前記親水性乳化剤が、8〜17のHLBを持つ、請求項49に記載の布。
【請求項53】
前記親水性乳化剤が、前記物質の重量に基づいて3〜30%にて存在する、請求項49に記載の布。
【請求項54】
前記減少が、MDおよびCDに関して少なくとも20%平均である、請求項30に記載の布。

【公開番号】特開2009−221649(P2009−221649A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126771(P2009−126771)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【分割の表示】特願2002−575222(P2002−575222)の分割
【原出願日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【出願人】(501486062)ファースト・クオリティ・ノンウォーヴンズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】First Quality Nonwovens, Inc.
【住所又は居所原語表記】270 Walker Drive − Suite 106, State College, PA 16801, U.S.A.
【出願人】(505032045)シル・ウント・ザイラッハー・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】Schill & Seilacher Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Schoenaicher Strasse 205, 71032 Boeblingen, Germany
【Fターム(参考)】