説明

コンバインのクローラ走行装置

【課題】 湿田でもクローラベルト50の上部側50bが泥に入り込みにくく、しかも、クローラベルト50の上部側50bが上下振動しても後部側の連結フレーム60に当たらないコンバインのクローラ走行装置を提供する。
【解決手段】 前後一対の連結フレーム60,60のうちの後側の連結フレーム60を、複数個の接地輪体47f,47a,47,47b,47rのうちの最も自走機体後方側に位置する接地輪体47rの回転軸芯P2より自走機体後方側に配置してある。上部輪体49を、複数個の接地輪体47f,47a,47,47b,47rのうちの最後方側の接地輪体47rと隣り合って、最後方側の接地輪体47rの前側に位置する接地輪体47bの直上方に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走機体の機体フレームに対して前後一対の連結フレームを介して固着されたトラックフレーム、前記機体フレームによって駆動回動自在に支持されるクローラ駆動輪体、前記トラックフレームによって回動自在に支持されるとともに自走機体前後方向に並ぶ複数個の接地輪体、前記トラックフレームの後端部によって回動自在に支持されるクローラ緊張輪体を備え、前記クローラ駆動輪体、前記接地輪体、前記クローラ緊張輪体に巻回されたクローラベルトを備えたコンバインのクローラ走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記クローラ走行装置において、従来、たとえば特許文献1に示すように、駆動スプロケット3と、後輪4との間で固定されていて、クローラ6の上部側が巻回する歯車17を備えたものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−13870号公報(1−3頁、第1,2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインにあっては、泥土の深い湿田で作業されることがあるが、この場合、クローラベルトの上部側が泥土に入り込まない方が、泥土による抵抗を受けにくくしながら、泥土を走行装置に堆積しにくくしながら走行することができる。
【0005】
上記した従来のクローラ走行装置にあっては、歯車17がクローラベルトの上部側に案内作用する上部輪体となり、この上部輪体によってクローラベルトの上部側が受け止め支持されて、クローラベルトの接地側と上部側の機体上下方向での間隔が広くなり、湿田でもクローラベルトの上部側を泥土に入り込みにくくすることが可能となる。
ところが、従来のクローラ走行装置の技術を採用した場合、上部輪体の作用によってクローラベルトの上部側と接地側の間隔が広くなる走行装置前後方向での範囲が走行装置全体の前後長さの割には狭く、クローラ走行装置の後端側において、クローラベルト上部側の比較的長い部分が泥土に入り込みやすくなっていた。
【0006】
本発明の目的は、湿田でもクローラベルトの上部側を泥土に入り込みにくくすることができ、しかも、クローラベルトが連結フレームに当たるトラブルを回避することができるコンバインのクローラ走行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明にあっては、自走機体の機体フレームに対して前後一対の連結フレームを介して固着されたトラックフレーム、前記機体フレームによって駆動回動自在に支持されるクローラ駆動輪体、前記トラックフレームによって回動自在に支持されるとともに自走機体前後方向に並ぶ複数個の接地輪体、前記トラックフレームの後端部によって回動自在に支持されるクローラ緊張輪体を備え、前記クローラ駆動輪体、前記接地輪体、前記クローラ緊張輪体に巻回されたクローラベルトを備えたコンバインのクローラ走行装置において、
前記前後一対の連結フレームのうちの自走機体後方側の連結フレームを、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体のうちの最も自走機体後方側に位置する最後方側の接地輪体の回転軸芯よりも自走機体後方側に位置するように配置し、前記クローラベルトの上部側に案内作用する上部輪体を、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体のうちの前記最後方側の接地輪体と隣り合う前側の接地輪体の直上方位置又はこれよりも自走機体後方側に配置してある。
【0008】
すなわち、上部輪体を最後方側の接地輪体と隣り合う前側の接地輪体の直上方位置又はこれよりも自走機体後方側に配置したものだから、クローラ駆動輪体からクローラ緊張輪体の極力近くに位置する部位までの極力長い範囲においてクローラベルトの上部側と接地側の間隔が大になるように、クローラベルトの上部側を上部輪体によって受け止め支持させることができる。
【0009】
この場合、クローラベルトの上部側のクローラ駆動輪体と上部輪体との間に位置する部分の長さが長くなることから、走行振動が激しくなるなどの場合によっては、クローラ駆動輪体と上部輪体の間でクローラベルトが上下振動しやすくなる。このため、自走機体後方側の連結フレームがクローラ駆動輪体と上部輪体との間に位置していると、クローラベルトが上下振動のために連結フレームに当たりやすくなる。これに対し、本第1発明では、自走機体後方側の連結フレームを最後方側の接地輪体の回転軸芯よりも自走機体後方側に配置したものだから、クローラベルトの前記上下振動が発生してもクローラベルトが後方側の連結フレームに当接することを回避しながら、クローラベルト上部側の接地側との間隔が大になる部分の長さを長くすることができる。
【0010】
従って、本第1発明によれば、クローラ駆動輪体からクローラ緊張輪体の極力近くに位置する部位までの極力長い範囲においてクローラベルトの上部側と接地側の間隔が大になり、湿田においてもクローラベルトの上部側が泥土に入り込みにくくなって走行しやすくなるとともに走行装置に泥土が堆積しにくくなる。
しかも、クローラ駆動輪体と上部輪体の間でのクローラベルトの上下振動が発生することがあっても、クローラベルトが後方側の連結フレームに対して当接せず、当接した場合のように騒音やクローラベルトの損傷が発生することを回避できる。
【0011】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記前後一対の連結フレームの自走機体前後方向視での自走機体外側縁を、この自走機体外側縁の中間点で折れ曲がった折曲縁であって、中間点より機体上方側では自走機体上下方向に沿った鉛直縁となり、中間点より機体下方側では連結フレーム下端側ほど自走機体外側に位置する状態に傾斜した傾斜縁となった折曲縁に設定し、前記前後一対の連結フレームの自走機体前後方向視での自走機体内側縁を、連結フレームの上端付近から下端付近に至るまで連結フレーム下端側ほど自走機体外側に位置する状態に傾斜した傾斜縁に設定してある。
【0012】
すなわち、連結フレームの中間点より上端側が、クローラベルトのループ外に出て自走機体の機体フレームに連結し、連結フレームの中間点より下端側が、クローラベルトのループ内に入り込んで走行装置のトラックフレームに対して連結するにように構成することによって、自走機体の機体フレームと、走行装置のトラックフレームとを連結フレームによって連結する。連結フレームの機体フレームに対して連結する上端側の自走機体横方向での大きさが、トラックフレームに対して連結する下端側の自走機体横方向での大きさよりも大になるものである。
すなわち、連結フレームがクローラベルトのループ外とループ内とにわたって斜めに位置して、連結フレームの下方に機体下方空間を形成する状態で機体フレームとトラックフレームとを連結するようにしながら、連結フレームの上端側と、機体フレームとが機体横方向での連結範囲の大きい連結状態で連結し合うようにすることができるものである。
【0013】
従って、本第2発明によれば、連結フレームの下方に機体下方空間を確保することができるものでありながら、連結フレームと機体フレームが大きな連結範囲で連結し合って走行装置と機体フレームが強固に連結した状態を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2,3に示すように、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走するように構成し、かつ、運転座席2が装備された搭乗型運転部、運転座席2の下方に位置するエンジン3が装備された原動部を備えた自走機体の機体フレーム4に脱穀装置Dを搭載し、自走機体の前記原動部の後方側に、穀粒タンク11を有する穀粒袋詰め部10を前記脱穀装置Dと自走機体の横方向に並ぶように配置して設け、前記脱穀装置Dの機体前端部に、回転リール23を有する刈取り前処理部20のフィーダ21の後端部を回動自在に連結するとともに、前記フィーダ21にリフトシリンダ5を連動させて、稲などを収穫する全稈投入型コンバインを構成してある。
【0015】
すなわち、リフトシリンダ5を伸縮操作すると、このリフトシリンダ5がフィーダ21を脱穀装置Dに対して上下に揺動操作することにより、刈取り前処理部20を分草具22などが地面上近くに位置した下降作業状態と、分草具22などが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに自走機体に対して昇降操作する。刈取り前処理部20を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理部20は、分草具22によって植立穀稈を刈取り対象と非刈取り対象とに分草し、分草具22からの刈り取り対象の植立穀稈の穂先側を回動する回転リール23によってプラットホーム24の内部に位置するオーガ25の方に掻き寄せながら、プラットホーム24の前端部に位置するバリカン型の刈取装置26によって株元側を刈取り、刈取穀稈を機体横向きの軸芯周りで回動する前記オーガ25によって横送りし、これによって前記フィーダ21の入り口の前方に到達した刈取穀稈をオーガ25と共に回動する棒状の掻き送り爪25aによってフィーダ21に掻き込み、フィーダ内に入った刈取穀稈の株元から穂先までの全体をフィーダ内で回動駆動されるフィーダコンベヤ27によってフィーダ21に沿わせて後方上方に搬送して脱穀装置Dの機体内に送り込む。脱穀装置Dは、刈取穀稈を脱穀処理し、脱穀粒を袋詰め部10の穀粒タンク11に供給し、脱穀排ワラを脱穀機体の後部から放出する。
【0016】
図2,5に示すように、穀粒袋詰め部10は、脱穀機Dからの脱穀粒を貯留する前記穀粒タンク11、この穀粒タンク11の下部に機体前後方向に並ぶ複数の漏斗形底部それぞれに設けた袋詰め吐出筒12、穀粒タンク11の下方に位置する袋支持杆13及び袋受けデッキ16を備えて構成してあり、袋支持杆13の基端側に空の穀粒袋を装着して収納しておき、この穀粒袋を袋支持杆13の基端側から先端側に取り出して袋詰め吐出筒12に装着することにより、穀粒タンク11の穀粒が袋詰め吐出筒12から穀粒袋に吐出されて袋詰めすることができるようになっている。
【0017】
前記袋受けデッキ16の端部に補助者用ステップ14を連結してある。この補助者用ステップ14は、上下揺動自在に枢支されていて、上下に揺動操作することにより、袋受けデッキ16から自走機体横外側向きにほぼ水平に延出する状態に倒伏した使用状態と、原動部のエンジンボンネット6の横外側面に沿った状態に起立した格納状態とに切り換わるようになっている。袋詰め作業の際、補助者ステップ14を使用状態にして袋詰め作業者が使用するようになっている。穀粒タンク11に固定ハンドル15を設けてあり、補助作業者が固定ハンドル15を支持して搭乗することができるようになっている。
【0018】
脱穀装置Dについてさらに詳述すると、図4に示すように、この脱穀装置Dは、脱穀機体内の上部に位置する扱室30、この扱室30に脱穀機体前後向きの軸芯Xまわりで回動自在に設けた扱胴31などを備えた脱穀部A、前記扱室30の下方に駆動揺動自在に位置する揺動選別装置32などを備えた選別部B、選別室の底部に設けた脱穀機体横向きの1番スクリューコンベヤ33及び2番スクリューコンベヤ34、脱穀機体の前記袋詰め部10が位置する方の横外側に設けた搬送装置35及び還元搬送装置36、前記扱室30の送塵口37や前記選別部Bからのワラ屑を細断処理して脱穀機体の後方に落下放出するように扱室後部の下方に駆動回動自在に設けた細断チョッパー38を備えて構成してある。
【0019】
脱穀部Aは、前記フィーダコンベヤ27によって扱室30の入り口に送り込まれた刈取穀稈の株元から穂先までの全体を扱胴31の前端部に位置する螺旋状の掻き込み羽根31aによって扱室30に掻き込み、この掻き込み羽根31aからの刈取穀稈を回動する扱胴31の扱歯31bによって扱室内を後方側に搬送しながら脱穀処理し、脱穀粒などの脱穀処理物を受網39から落下させ、脱穀排ワラを扱室30の後部に位置する送塵口37から排出する。
【0020】
選別部Bは、扱室30の受網39から落下した脱穀処理物を前記揺動選別装置32によって受け止め、この揺動選別装置32によって脱穀機体後方向きに搬送しながら、この揺動選別装置32のグレンパン32a、チャフシーブ32b、ストローラック32c、グレンシーブ32dによる揺動選別と、揺動選別装置32の前端側の下方に位置する唐箕40によって供給される選別風とによって穀粒とワラ屑などの塵埃とに選別し、穀粒を揺動選別装置32から落下させ、塵埃を前記細断チョッパー38に供給する。
【0021】
前記1番スクリューコンベヤ33は、選別部Bからの1番処理物を受け止めて脱穀機体の横外側に搬送し、前記搬送装置35は、スクリューコンベヤで成り、1番スクリューコンベヤ33からの処理物を揚送して袋詰め部10の穀粒タンク11に供給するように構成してある。
【0022】
前記2番スクリューコンベヤ34は、選別部Bからの2番処理物を受け止めて脱穀機体の横外側に搬送し、前記還元搬送装置36は、スクリューコンベヤで成り、2番スクリューコンベヤ34からの処理物を脱穀機体の横外側で前方上方に揚送し、搬送終端部に至った処理物を脱穀機体の横側壁に位置する投入口42から脱穀機体内に吐出して揺動選別装置32の始端部に位置する前記グレンパン32aの始端側に落下供給するように構成してある。
【0023】
図6に示すように、前記左右のクローラ走行装置1は、自走機体の前記機体フレーム4の前側の走行装置連結部44に対して連結フレーム60を介して、前記機体フレーム4の後側の走行装置連結部44に対して連結フレーム60を介してそれぞれ固着されたトラックフレーム45、前記機体フレーム4の前端部に固定のミッションケース7を介して機体フレーム4によって回動自在に支持されるクローラ駆動輪体46、前記トラックフレーム45を構成する上下一対の鋼管製のフレーム部45a,45bのうちの下側フレーム部45bの自走機体前後方向に並ぶ複数箇所に回動自在に支持させた接地輪体47f、47a,47,47b,47r、前記トラックフレーム45の前記上側フレーム部45aの後端部によって回動自在に支持されるクローラ緊張輪体48、このクローラ緊張輪体48と前記クローラ駆動輪体46との間で前記トラックフレーム45における前記上側フレーム部45aから延出するアーム部45cによって回動自在に支持される上部輪体49、前記各輪体46,47f、47a,47,47b,47r,48,49にわたって巻回されたゴム製のクローラベルト50を備えて構成してある。
【0024】
図8に示すように、前記クローラ緊張輪体48は、トラックフレーム45の前記上側フレーム部45aの後端部から自走機体後方向きに摺動伸縮自在に延出する緊張アーム部45dによって遊転自在に支持されている。緊張アーム部45dと、前記上側フレーム部45aに固定の支持体51とにわたって装着してある調節ネジ軸52を回転操作することにより、緊張アーム部45dが上側フレーム部45aに対して機体後方側に摺動してクローラ緊張輪体48を機体前後方向に移動調節するようになっている。これにより、クローラ緊張輪体48は、調節ネジ軸52の回転操作による緊張アーム部45dの摺動調節により、自走機体後方側に移動調節されることによってクローラベルト50の緊張力を増加側に調節し、自走機体前方側に移動調節されることによってクローラベルト50の緊張力を減少側に調節するようになっている。
【0025】
図6に示すように、前記前後一対の連結フレーム60,60のうちの自走機体前方側の連結フレーム60は、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体47a,47,47b,47rのうちの最も自走機体前方側に位置する最前方側の接地輪体47fと隣り合って、この最前方側の接地輪体47fの後側に位置する接地輪体47aの回転軸芯P1よりも自走機体前方側でトラックフレーム45に連結するように配置してある。
【0026】
図6に示すように、前記前後一対の連結フレーム60,60のうちの自走機体後方側の連結フレーム60は、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体47a,47,47b,47rのうちの最も自走機体後方側に位置する最後方側の接地輪体47rの回転軸芯P2よりも自走機体後方側でトラックフレーム45に連結するように配置してある。前記上部輪体49は、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体47a,47,47b,47rのうちの前記最後方側の接地輪体47rと隣り合って、この最後方側の接地輪体47rの前側に位置する接地輪体47bの直上方に位置するように、すなわち、上部輪体49の回転軸芯49aが前記最後方側の接地輪体47rの前側に位置する接地輪体47bの回転軸芯P3を通る鉛直線上に位置するように配置してある。さらに、上部輪体49は、上部輪体49に掛かるクローラベルト部分と、クローラ駆動輪体46に掛かるクローラベルト部分とが等しい又はそれに近い配置高さになる状態にしてクローラベルト50の上部側をその下方から受け止め支持するように配置してある。
【0027】
つまり、左右のクローラ走行装置1は、ミッションケース7に伝達されるエンジン3の駆動力によってクローラ駆動輪体46を回動駆動し、クローラベルト50をクローラ緊張輪体48によって所定の緊張状態に維持しながら、かつ、各接地輪体47f,47a,47,47b,47rや上部輪体49によって案内させながらクローラ駆動輪体46によって回動駆動するようになっている。すなわち、クローラベルト50の複数個の接地輪体47f,47a,47,47b,47rに巻回する接地側50aが前進側や後進側に移動するように、かつ、クローラベルト50のクローラ緊張輪体48、クローラ駆動輪体46、上部輪体49に巻回する上部側が接地側とは反対側に移動するように回動駆動するようになっている。
【0028】
そして、上部輪体49の前記配置構成により、クローラ駆動輪体46からクローラ緊張輪体48の極力近くに位置する部位までの極力長い範囲においてクローラベルト50の上部側50bと接地側50aの間隔が大になって、湿地でもクローラベルト50の上部側を泥内に入り込みにくくしながら、自走機体後方側の連結フレーム60の前記配置構成により、クローラベルト50の上部側50bに上下振動が発生してもクローラベルト上部側が後方側の連結フレーム60に当接することを回避しながら、走行できるようになっている。
【0029】
左側の走行装置1の前記前後一対の連結フレーム60,60も、右側の走行装置1の前記前後一対の連結フレーム60,60も、図7,8,9に示す如く構成してある。
【0030】
すなわち、連結フレーム60は、前壁部61aと後壁部61bと横壁部61cとを備えて、自走機体横外向きに開口する溝形になるように折り曲げ成形した折曲げ板金で成るフレーム本体61と、このフレーム本体61の自走機体横外側縁部に対して前記開口を閉じるようにして連結した折り曲げ板金で成る側板62とによって、中空構造に構成してある。
【0031】
連結フレーム60の上端側は、機体フレーム4の下面側に連結された左右一対の自走機体前後向きの鋼管材44aと、左右の鋼管材44aどうしの間に位置する鋼管材44bとで成る前記走行装置連結部44の下面に連結フレーム60の上端面が当接するように配置し、連結フレーム60の前面側や後面側を前記鋼管材44bに連結する連結板65と、連結フレーム60の自走機体横外側の側面がわを鋼管材44aに連結する連結板66とによって前記走行装置連結部44に連結してある。連結フレーム60の下端側は、トラックフレーム45の自走機体上方向き面、及び、自走機体内側向きの横側面に対して当て付けて連結してある。
【0032】
連結フレーム60の前記フレーム本体61及び側板62を図7,9に示す形状に形成することにより、連結フレーム60の自走機体前後方向視での自走機体外側縁68を、この自走機体外側縁68の中間点68aで折れ曲った折曲縁であって、中間点68aより機体上方側では自走機体上下方向に沿った鉛直縁となり、中間点68aより機体下方側では連結フレーム下端側ほど自走機体外側に位置する状態に傾斜した傾斜縁となった折曲縁に設定し、連結フレーム60の自走機体前後方向視での自走機体内側縁69を、連結フレーム60の上端付近から下端付近に至るまで連結フレーム下端側ほど自走機体外側に位置する状態に傾斜した傾斜縁に設定してある。
これにより、前後一対の連結フレーム60,60のいずれにおいても、連結フレーム60の機体フレーム4における走行装置連結部44に対して連結する上端側の自走機体横方向での大きさが、トラックフレーム45に対して連結する下端側の自走機体横方向での大きさよりも大になったものになり、連結フレーム60は、クローラベルト50のループ外とループ内とにわたって斜めに位置して、連結フレーム60の下方に機体下方空間を形成する状態で機体フレーム4とトラックフレーム45とを連結しながら、機体フレーム4の走行装置連結部44に対して機体横方向での連結範囲の大きい連結状態で強固に連結した状態になっている。
【0033】
〔別実施形態〕
上記実施形態では、上部輪体49を、最後方側の接地輪体47rと隣り合って、この最後方側の接地輪体47rの前側に位置する接地輪体47bの直上方に配置しているが、この前側の接地輪体47bの直上方位置よりも自走機体後方側に位置するように配置して実施してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】コンバイン全体の左側面図
【図2】コンバイン全体の右側面図
【図3】コンバイン全体の平面図
【図4】脱穀装置の断面図
【図5】コンバイン全体の後面図
【図6】クローラ走行装置の側面図
【図7】クローラ走行装置の連結フレーム配設部の断面図
【図8】クローラ走行装置の後部の側面図
【図9】連結フレームの後面図
【符号の説明】
【0035】
4 機体フレーム
45 トラックフレーム
46 クローラ駆動輪体
47a 前側の接地輪体
47b 後側の接地輪体
47f 最前方側の接地輪体
47r 最後方側の接地輪体
48 クローラ緊張輪体
49 上部輪体
50 クローラベルト
50a クローラベルトの接地側
50b クローラベルトの上部側
60 連結フレーム
68 連結フレームの自走機体外側縁
69 連結フレームの自走機体内側縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機体の機体フレームに対して前後一対の連結フレームを介して固着されたトラックフレーム、前記機体フレームによって駆動回動自在に支持されるクローラ駆動輪体、前記トラックフレームによって回動自在に支持されるとともに自走機体前後方向に並ぶ複数個の接地輪体、前記トラックフレームの後端部によって回動自在に支持されるクローラ緊張輪体を備え、前記クローラ駆動輪体、前記接地輪体、前記クローラ緊張輪体に巻回されたクローラベルトを備えたコンバインのクローラ走行装置であって、
前記前後一対の連結フレームのうちの自走機体後方側の連結フレームを、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体のうちの最も自走機体後方側に位置する最後方側の接地輪体の回転軸芯よりも自走機体後方側に位置するように配置し、
前記クローラベルトの上部側に案内作用する上部輪体を、自走機体側面視で前記複数個の接地輪体のうちの前記最後方側の接地輪体と隣り合う前側の接地輪体の直上方位置又はこれよりも自走機体後方側に配置してあるコンバインのクローラ走行装置。
【請求項2】
前記前後一対の連結フレームの自走機体前後方向視での自走機体外側縁を、この自走機体外側縁の中間点で折れ曲がった折曲縁であって、中間点より機体上方側では自走機体上下方向に沿った鉛直縁となり、中間点より機体下方側では連結フレーム下端側ほど自走機体外側に位置する状態に傾斜した傾斜縁となった折曲縁に設定し、前記前後一対の連結フレームの自走機体前後方向視での自走機体内側縁を、連結フレームの上端付近から下端付近に至るまで連結フレーム下端側ほど自走機体外側に位置する状態に傾斜した傾斜縁に設定してある請求項1記載のコンバインのクローラ走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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