説明

コンバインの排気構造

【課題】局所的な温度上昇を生じさせることなく排気が可能な排気構造を提供する。
【解決手段】走行機体1の前部に刈取部3を備え、刈取部3の後方には運転部20を備え、運転部20の後方に脱穀装置4と穀粒を回収する回収部5とを左右方向に並設し、運転部20の下方にはエンジン60を備えている。エンジン60からの排気は、エンジンにおける走行機体1の左右中央側の上部に設けられたマフラー67および排気管68を介して排出される。この排気管68は、脱穀装置4と回収部5との間を通り、マフラー67から走行機体1の後部下方に向かって直線状に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クローラ走行装置を有する車台上の一側部には、前側の刈取装置から搬送される刈取穀稈の供給を受けて脱穀選別する脱穀装置を、又他側部にはエンジン、操縦席、及び脱穀選別穀粒を収容するグレンタンクを配置するコンバインにおいて、エンジンの排気を案内するテールパイプを、車台の中央下部で前後方向に亘るセンタフレームの下側に沿わせて、該脱穀装置の奥側壁面よりも内側下方に位置させて設けるエンジン排気装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1の技術では、このような構成により、テールパイプ上にわら屑等が降りかかるのを防止している。
【0003】
また、他の技術として、刈取、脱穀、選別後の籾を貯留するグレンタンクと、上下方向と水平方向に回動自在に配置されて、前記グレンタンクより籾を排出する排出オーガと、一端が機体上に搭載されたエンジンに接続され、他端が脱穀部とグレンタンクとの間に延設される、排気サイレンサやテールパイプなどによって構成される排気装置と、を備えたコンバインであって、前記テールパイプの排出口を脱穀部上方に配置し、排出方向を収納時の排出オーガと反対側の機体斜め後方となるように構成したことを特徴とするコンバインが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2の技術では、上記構成によって排気を上方へ排出するため、テールパイプでの泥詰まり、排気による地面からの粉塵の舞い上がりを防止している。また、排気が吸気側に回り込むことがないため、排気がオペレータに直接かかることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−276533号公報(段落番号0003−0004,図1,図3,図5)
【特許文献2】特開2008−48706号公報(段落番号0009−0019,図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1および2の技術では、それぞれの課題を解決するために上記構成を採用している。しかしながら、いずれの技術でもテールパイプ等にエルボー部が形成されており、テールパイプ等の内部を排気が流れた際に、そのエルボー部に局所的な温度上昇のおそれがあり好ましくない。
【0007】
本発明の目的は、このような課題に鑑み、局所的な温度上昇を生じさせることなく排気が可能な排気構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1の構成のコンバインの排気構造は、走行機体の前部に設けられた刈取部と、前記刈取部の後方に設けられた運転部と、前記運転部の後方に左右方向に並設された脱穀装置と穀粒を回収する回収部と、前記運転部の下方に設けられたエンジンと、マフラーを介して前記エンジンからの排気を排出する排気管と、を備えたコンバインの排気構造であって、前記マフラーは前記エンジンにおける前記走行機体の左右中央側の上部に設けられ、前記排気管は、前記脱穀装置と前記回収部との間を通り、前記マフラーから前記走行機体の後部下方に向かって直線状に設けられている。
【0009】
この構成では、排気管は直線状に構成されているため、エルボー部のような局所的な温度上昇を生じる箇所がない。また、排気管は脱穀装置と回収部の間を通るように設置され、排気管の大部分が走行機体の上側に設置されているため、容易に組み立てやメンテナンスを行うことができる。また、排気管が直線状で後方下方に向かって設けられているため、わら屑等が排気管の上に落ちた場合でも、排気管から下方に落ち易くなっている。
【0010】
請求項2の構成のコンバインの排気構造では、前記回収部の底部を下方ほど前記脱穀装置から離れる傾斜面に構成し、前記排気管を前記回収部の底部の下方に配置している。
【0011】
この構成では、回収部の底部に構成された傾斜面下方に排気管を設置しているため、排気管と回収部との干渉を避けることができ、これにより回収部の容量低下を回避することができる。
【0012】
請求項3の構成のコンバインの排気構造では、前記排気管は、前記排気の流れに伴い外気を吸入する吸気部を備えている。
【0013】
この構成により、マフラーからの排気が排気管中を流れると、その流れに伴って外気が吸気部から排気管中に吸い込まれる。これにより、排気の温度を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自脱形コンバインの全体側面図である。
【図2】自脱形コンバインの全体平面図である。
【図3】機体フレーム上の配置関係を示す平面図である。
【図4】マフラーの排気管部分を示す図である。
【図5】自脱形コンバインの全体背面図である。
【図6】刈取搬送装置の駆動力伝達系を示す側面図である。
【図7】刈取搬送装置の駆動力伝達系を示す断面図である。
【図8】搬送機構駆動ケースの拡大断面図である。
【図9】伝動系を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
〔コンバインの全体構成〕
図1、図2および図3は本実施形態における自脱形コンバインの全体側面図、全体平面図および機体フレーム上の配置関係を示す平面図である。本実施形態におけるコンバインは、角パイプ材などにより枠状に形成した機体フレーム1(本発明の走行機体の例)を備え、機体フレーム1の下部には左右一対のクローラ式走行装置2が備えられている。また、機体フレーム1の前方および左前部には昇降揺動可能に連結した刈取搬送装置3(本願発明の刈取部の例)、刈取搬送装置3の後方には搭乗運転部20(本発明の運転部の例)が備えられている。この搭乗運転部20の下方には原動部6が配置されている。さらに搭乗運転部20の後方左側には脱穀装置4、後方右側には脱穀装置4により脱穀された穀粒を回収する穀粒貯留装置5(本発明の回収部の例)が左右に並設されている。なお、後述するように、本実施形態では、穀粒貯留装置5はグレンタンク51により構成しているが、袋詰め用のホッパー(図示せず)により構成しても構わない。
【0017】
〔機体フレームの構成〕
機体フレーム1は、図3に示すように、前後方向に長い角パイプ状の左右一対のメインフレーム10と、一対のメインフレーム10に対して左右方向に横切る方向で交差する状態で搭載設置された多数の横向きフレーム11と、横向きフレーム11の機体外側端側に搭載設置される前後向きの側部フレーム12とにより、格子枠状に形成されている。
【0018】
図3に示すように、機体フレーム1上には左右のメインフレーム10の両側に振り分けた状態で、左後部に前記脱穀装置4、右後部に前記穀粒貯留装置5が搭載されており、右前部には原動部6が設けられている。
【0019】
機体フレーム1の右後端部には、穀粒貯留装置5の穀粒排出用オーガ52が配設されており、機体フレーム1の左後端部には、筒状の給油口17を備えた燃料タンク16が配設されている。前方側の機体フレーム1上には、その右側方にエンジン60、油圧ポンプ65、およびラジエター61を搭載した原動部6が設けられている。
【0020】
また、一対のメインフレーム10の間には、左右のクローラ式走行装置2に対して駆動力を伝達するための駆動車軸(図示せず)を備えたミッションケース26を装備している。このミッションケース26は、ミッションケース26内のギヤ類の潤滑および冷却のための潤滑油を貯留するためのタンクを兼用している。また、ミッションケース26よりも機体左側寄りの機体フレーム1上には、各種油圧装置に対する作動油を供給するための作動油タンク27を搭載している。
【0021】
〔刈取搬送装置の構成〕
図1に示すように、刈取搬送装置3には、伝動ケースを兼ねた筒状の刈取部フレーム110が前下がり傾斜姿勢で接続されている。この刈取部フレーム110の前側端部の間には、筒状の駆動ケース111が横長姿勢で連結されている。また、刈取部フレーム110には、植立穀稈を所定の刈取姿勢に引き起す引起装置31、引き起した植立穀稈の株元を切断するバリカン型の刈取装置32、および、切断した穀稈を脱穀装置4の横外側に備えられたフィードチェーン47の始端部まで搬送する穀稈搬送装置33が連結されている。
【0022】
穀稈搬送装置33は、刈り取った穀稈の穂先を係止しつつ搬送する穂先係止搬送機構33aと、刈り取った穀稈の株元を挟持しつつ搬送する株元挟持搬送機構33bと、フィードチェーン47の前方に配備された中継搬送機構33cとから構成されている。このような構成により、刈取装置32により刈り取られた立ち姿勢の穀稈は、穀稈搬送装置33の始端部に受け取られ、後方上方に搬送されながら、横倒し姿勢に変更されフィードチェーン47に受け渡される。
【0023】
また、駆動ケース111には、図1,6および7に示すように、刈取装置32に駆動力を伝達する刈取装置駆動ケース112、引起装置31に駆動力を伝達する引起装置駆動ケース113が接続されている。さらに、引起装置駆動ケース113は、分岐駆動ケース114を介して穂先係止搬送機構33aに駆動力を伝達する搬送機構駆動ケース115が接続されている。
【0024】
図7に示すように、駆動ケース111、刈取装置駆動ケース112、引起装置駆動ケース113、および搬送機構駆動ケース115にはそれぞれの長手方向に沿って、伝動軸111a,112a,113aおよび115aがそれぞれ挿通されている。
【0025】
伝動軸112aおよび113aの駆動ケース111側端部には、それぞれベベルギヤ112bおよび113bが備えられている。一方、伝動軸111aには、ベベルギヤ112bおよび113bと咬合するベベルギヤ111bおよび111cが備えられている。なお、駆動ケース111の内部は、オイルバス方式により潤滑されている。
【0026】
また、伝動軸113aの引起装置駆動ケース113と分岐駆動ケース114との連結部付近の位置には、ベベルギヤ113cが備えられている。一方、分岐駆動ケース114の接続部114eの内部には、引起装置駆動ケース113側から分岐駆動ケース114の本体部114d側に向かって伝動軸114aが挿通されている。この伝動軸114aの両端には、ベベルギヤ114bおよび114cが備えられ、ベベルギヤ114bはベベルギヤ113cと咬合するように構成されている。
【0027】
さらに、分岐駆動ケース114の底部には、ベベルギヤ114cと咬合するベベルギヤ115cが備えられており、ベベルギヤ115cは分岐駆動ケース114の本体部114dから搬送機構駆動ケース115に挿通されている伝動軸115aに接続されている。
【0028】
搬送機構駆動ケース115の分岐駆動ケース114とは逆の端部からは、穂先係止搬送機構33aに接続されている伝動軸115bが挿通されている。伝動軸115aと115bとは、内面にスプラインを備えた円筒状の接続部材115dを介して接続されている。この接続部はグリースにより潤滑されているが、伝動軸115aが回転する際にグリースが飛散するおそれがある。そのため、この接続部材115dをゴム製の蛇腹115eにより覆い、蛇腹115eの上下端をそれぞれ止め輪115fにより固定している(図8参照)。これにより、グリースの飛散を防止することができる。
【0029】
このような構成により、伝動軸111aに伝動された伝動力を引起装置31、刈取装置32、穀稈搬送装置33に伝達することができる。
【0030】
〔原動部の構成〕
図3および図4に示すように、原動部6は、機体フレーム1に搭載したエンジン60と、エンジン60の横側部に取り付けられた油圧ポンプ65と、エンジン60を冷却するためのラジエター61と、オイルクーラー66と、ラジエター61に対する送風方向を正逆に切り換えて送風可能な送風ファン62とを備えている。
【0031】
送風ファン62は、スライド操作自在な操作体64を備え、操作体64のスライド操作で送風ファン62の羽根の角度を変更して送風方向を正方向と逆方向とに切換操作自在に構成されている。
【0032】
本発明における原動部6では、エンジンマフラー67(本発明のマフラー)は、機体の左右方向の中央付近上部に備えられており、後述するサイドパネル20bの下方に備えられている。これにより、エンジンマフラー67上にわら屑等が落ちにくくなっている。また、エンジンマフラー67は、エンジン60からの排気を排気管68に導く排気吐出管67aを備えている。排気吐出管67aは、後述する吸気部を機体後方側に位置させるために、斜め後方下方に向けて屈曲した形状に形成されている。図1および図4に示すように、排気管68は直線形状の管により構成され、エンジンマフラー67の排気吐出管67aに接続されている。これにより、エンジンマフラー67からの排気は排気管68内をスムーズに流れ、排気管68に局所的な温度上昇を生じさせることがない。また、排気管68は斜め後方下方に向かって直線状に延出されており、下端の排気口68bの高さが機体フレーム1と略同じ高さとなっている。排気管68の延出端部には、排気口68bから排出される排気を下向きに案内する案内部材68dが設けられている。このコンバインの背面視では、排気口68bは左右一対のクローラ式走行装置2の間に位置している。なお、排気管68は図示していないブラケット等により脱穀装置4や機体フレーム1に支持されている。
【0033】
また、図4に示すように、排気管68の内径は排気吐出管67aの外形よりも大きくなっている。排気管68の前端部には、径の大きな大径部分68cが一体又は別体で設けられており、この大径部分68cに排気吐出管67aの先端部を入り込ませてある。このような構成とすることにより、排気管68の中を排気が流れる際に負圧が生じ、その負圧により排気管68と排気吐出管67aとの隙間68a(本発明の吸気部の例)から排気管68に外気が吸入され、排気温度を低下させることができる。
【0034】
また、図5に示すように、排気管68は、機体の左右方向において、脱穀装置4と穀粒貯留装置5との間を通るように、平面視でグレンタンク51の内側部と重複する状態で配置されている。本実施形態のコンバインでは、図1から図5に示すように、脱穀装置4により脱穀された穀粒をグレンタンク51に送り出す揚穀装置4aを、脱穀装置4とグレンタンク51との間において、脱穀装置4の下部からグレンタンク51の上部にわたって上下方向に備えている。揚穀装置4aは、脱穀装置4の下方から延び、グレンタンク51の上方に設けられた孔から穀粒をグレンタンク5中に放出するように構成されている。図から明らかなように、本実施形態のグレンタンク51は、穀粒貯留装置5の底面が横幅方向中央部箇所のスクリューコンベヤ55側ほど低くなる、すなわち、穀粒貯留装置の底部が下方ほど脱穀装置4から離れる傾斜面51aが形成されている。このような場合には、排気管68をその傾斜面51aの下方に配置すると、排気管68とグレンタンク51との干渉を避けることができ、これによりグレンタンク51の容量低下を回避することができる。また、図1から図5から明らかなように、排気管68の排気口68bは揚穀装置4aの下端部の下側に位置するように構成されている。
【0035】
〔穀粒排出用オーガの構成〕
図1から3に示すように、後方側の機体フレーム1の右後端部に設けられている穀粒排出用オーガ52は、機体フレーム1側に固定されている駆動モータ5Mを備えている。この駆動モータ5Mによって穀粒排出用オーガ52の縦筒部分52Aが、穀粒貯留装置5の揺動中心である縦軸心y回りで旋回自在に、かつ、その穀粒貯留装置5のグレンタンク51に対しては相対回動自在に構成されている。
【0036】
また、縦筒部分52Aの上端側に接続される横筒部分52Bは、横軸心x回りで起伏揺動自在に構成してあり、その起伏動作は、縦筒部分52Aと横筒部分52Bとの間にわたって設けた油圧駆動式の伸縮シリンダ5Sによって行われる。
【0037】
〔搭乗運転部の構成〕
図2に示すように、搭乗運転部20には、フロントパネル20aおよびサイドパネル20bが備えられている。フロントパネル20aには機体の操向操作を行う操向操作レバー22等が備えられている。一方、サイドパネル20bには、機体の前後進変速操作を行う変速レバー21が備えられている。
【0038】
〔伝動系の構成〕
図3に示すように、エンジン60は、エンジン出力軸60aの軸心方向が左右向きになる姿勢で機体フレーム1に搭載されている。図9は伝動系を表す概略図である。図に示すように、エンジン60から左右の各クローラ式走行装置2への伝動は、機体の左右中央部に向けて突出するエンジン60の出力軸60aの左端部から、左右の各クローラ式走行装置2の駆動輪2Aにわたる走行用の伝動系を介して行われる。走行用の伝動系は、ベルト式の伝動装置24、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置25、および、ミッションケース26に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
【0039】
左右の各クローラ式走行装置2は、搭乗運転部20に装備した変速レバー21を前後方向に揺動操作することにより、静油圧式無段変速装置25による無段階の変速操作と前後進の切り換え操作とを行うことができる。また、搭乗運転部20に装備した操向操作レバー22を左右方向に揺動操作することにより、ミッションケース26内のギヤ式変速装置による直進状態、左右の緩旋回状態、及び左右の急旋回状態の切り換えを行えるように構成されている。
【0040】
刈取部フレーム110には、静油圧式無段変速装置25による変速後の動力がワンウェイクラッチ25aやベルトテンション式の刈取クラッチ30などを介して伝達されている。この伝達力が上述した構成を介して、複数の引起装置31、バリカン形の刈取装置32、および、穀稈搬送装置33等に伝達される。この動力により、機体の走行に伴って、その前端に装備された複数の分草具34が倒伏した植立穀稈を分草し、各引起装置31が分草後の植立穀稈を引き起こし、刈取装置32が引き起こされた植立穀稈の株元側を切断し、穀稈搬送装置33が刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に切り換えながら後方の脱穀装置4に向けて搬送する。
【0041】
なお、刈取速度を、静油圧式無段変速装置25による無段階での変速のみならず、圃場の条件や茎稈の倒伏状況などに応じて大きく変化させたい場合には、ミッションケース26内に装備させた専用のギヤ変速機構で構成された刈取変速機構36による高低2段の変速操作で行えるように構成してある。
【0042】
脱穀装置4には、ベルトテンション式の脱穀クラッチ40を介してエンジン60からの動力が伝達される。この動力により、扱胴41等が駆動され、フィードチェーン47で株元側を挟持搬送される穀稈の穂先側を扱き処理し、かつ選別処理して得られた穀粒を、一番回収スクリュー(図示せず)等を介して穀粒貯留装置5のグレンタンク51に供給搬送する構造によって構成されている。
【0043】
ベルトテンション式の脱穀クラッチ40は、エンジン側の出力プーリ60bと脱穀装置4の入力プーリ42との間に掛張された伝動ベルト43と、テンションプーリ44とにより構成されている。
【0044】
フィードチェーン47は、エンジン60からの動力がテンションクラッチ式のフィードチェーンクラッチ49を介して、脱穀装置4への伝動系から伝動ベルト48で分岐された伝動系によって伝達されるように構成されている。また、フィードチェーン47は、フィードチェーンクラッチ49を任意に操作することにより、脱穀装置4の駆動開始あるいは終了時点とタイミングをずらして駆動できるように構成されている。
【0045】
穀粒貯留装置5は、グレンタンク51と穀粒排出用オーガ52とを備え、穀粒排出用オーガ52に対してエンジン60の動力が伝達されるように構成されている。具体的には、エンジン60の出力軸60aのうち、右側横側方から機体外側に向けて突出させた部分から穀粒貯留装置5の入力部53にわたって伝動ベルト54を掛張し、その伝動ベルト54による動力伝達を入り切り操作するベルトテンション式の穀粒排出用クラッチ50を備えている。
【0046】
図2に示すように、グレンタンク51は、その後部に備えた縦軸心y周りに、全体がエンジン60の後方に位置する作業位置と、前部側が機体フレーム1の右外方に張り出してエンジン60の後方を開放するメンテナンス位置とにわたって揺動変位可能に構成されている。また、グレンタンク51は、ロック機構(図示せず)によって作業位置及びメンテナンス位置での位置保持が可能となるように構成されている。
【0047】
このように揺動変位するグレンタンク51の底部に備えられたスクリューコンベヤ55や穀粒排出用オーガ52に対する入力部53は、グレンタンク51の前記縦軸心y周りでの揺動を許容するための係脱構造を備えている。具体的には、伝動ベルト54が掛張される入力プーリ56、および入力プーリ56に対して一体回転可能にかつ相対摺動可能にスプライン嵌合される伝動軸57が機体フレーム1側に設けた軸受けブラケット10bに支持されている。伝動軸57に伝えられた動力は、伝動軸57に対して軸端側を係脱される入力伝動軸58に伝えられる。入力伝動軸58に伝達された動力は、入力伝動軸58のベベルギヤ58aとスクリューコンベヤ55の軸端側に設けられたベベルギヤ55aを介して、スクリューコンベヤ55や穀粒排出用オーガ52に伝達されるように構成されている。
【0048】
入力伝動軸58は、グレンタンク51側に支持されていて、伝動軸57に対して抜き差し可能な凹入係合部58bを備えている。なお、入力伝動軸58は、伝動軸57からの回転動力が伝達され、軸線方向での抜き差し可能に構成されているので、縦軸心y周りでのグレンタンク51の揺動に伴う係脱を許容することができる。なお、伝動軸57は押圧用スプリング59により、入力伝動軸58側へ押しつけ付勢されている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、自脱型のコンバインだけでなく、普通型のコンバインにも利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:機体フレーム(走行機体)
20:搭乗運転部(運転部)
32:刈取装置(刈取部)
4:脱穀装置
5:穀粒貯留装置(回収部)
60:エンジン
67:エンジンマフラー(マフラー)
68:排気管
68a:隙間(吸気部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部に設けられた刈取部と、前記刈取部の後方に設けられた運転部と、前記運転部の後方に左右方向に並設された脱穀装置と穀粒を回収する回収部と、前記運転部の下方に設けられたエンジンと、マフラーを介して前記エンジンからの排気を排出する排気管と、を備えたコンバインの排気構造であって、
前記マフラーは前記エンジンにおける前記走行機体の左右中央側の上部に設けられ、
前記排気管は、前記脱穀装置と前記回収部との間を通り、前記マフラーから前記走行機体の後部下方に向かって直線状に設けられているコンバインの排気構造。
【請求項2】
前記回収部の底部を下方ほど前記脱穀装置から離れる傾斜面に構成し、
前記排気管を前記回収部の底部の下方に配置している請求項1記載のコンバインの排気構造。
【請求項3】
前記排気管は、前記排気の流れに伴い外気を吸入する吸気部を備えている請求項1又は2記載のコンバインの排気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−55784(P2011−55784A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210657(P2009−210657)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】