説明

コンバイン

【課題】一番コンベアや唐箕ファンなどと共通のベルトを介して二番コンベアに動力を伝達する構成では、ベルトが長くなるため、動力伝達効率が悪く、それに伴って、二番還元コンベアへの動力伝達効率も悪くなる、という問題があった。
【解決手段】エンジン部70からの動力によって脱穀・選別作業を行うコンバイン1において、脱穀作業用の穀稈を機体後方に搬送するフィードチェン31と、エンジン部70からの動力をフィードチェン31に伝達する動力伝達機構95と、選別作業後の二番物を機体前方に搬送する二番還元コンベア442と、エンジン部70からの動力を二番還元コンベア442に伝達するベベルギヤ96と、を備え、二番還元コンベア442は、フィードチェン31とともに機体左右一側に配置され、ベベルギヤ96は、動力伝達機構95から分岐して構成されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関し、より詳細には、駆動源となるエンジンからの動力を二番還元コンベアに伝達する動力伝達手段の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインにおいてエンジンからの動力を二番還元コンベアに伝達する動力伝達手段の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載のコンバインでは、エンジンからの動力が二番コンベアを介して二番還元コンベアに伝達されるように構成される。ここで、エンジンから二番コンベアまでの動力伝達手段では、二番コンベアに設けられたプーリとともに、例えば、一番コンベア、唐箕ファンなどに設けられた各プーリなどに共通のベルトが巻回される。
【特許文献1】実開平3−122630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一番コンベアや唐箕ファンなどと共通のベルトを介して二番コンベアに動力を伝達する構成では、ベルトが長くなるため、動力伝達効率が悪く、それに伴って、二番還元コンベアへの動力伝達効率も悪くなる、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
すなわち、請求項1においては、駆動源からの動力によって脱穀・選別作業を行うコンバインであって、脱穀作業用の穀稈を機体後方に搬送するフィードチェンと、前記駆動源からの動力を前記フィードチェンに伝達する第一動力伝達手段と、選別作業後の二番物を機体前方に搬送する二番還元コンベアと、前記駆動源からの動力を前記二番還元コンベアに伝達する第二動力伝達手段と、を備え、前記二番還元コンベアは、前記フィードチェンとともに前記コンバインの機体左右一側に配置され、前記第二動力伝達手段は、前記第一動力伝達手段から分岐して構成されるものである。
【0006】
請求項2においては、機体外方向に回動可能に構成され、前記フィードチェンを支持するフィードチェンフレームと、前記二番還元コンベアを覆うコンベアケースと、前記フィードチェンフレームと前記コンベアケースとを連結する連結部材と、を備え、前記二番還元コンベアは、前記連結部材を介して前記フィードチェンフレームと一体的に機体外方向に回動可能とされるものである。
【0007】
請求項3においては、前記二番還元コンベアの搬送経路上に、二番物の枝梗を処理する枝梗処理装置が設けられるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、二番還元コンベア側に配置されるフィードチェンの第一動力伝達手段を利用して、二番還元コンベアの第二動力伝達手段を構成できるため、二番還元コンベアへの動力伝達効率が良い。
【0010】
請求項2においては、二番還元コンベアがフィードチェンフレームと一体的に機体外方向に回動することにより、コンバイン内部の二番還元コンベア側が開放されるため、コンバイン内部のメンテナンス性が向上する。
【0011】
請求項3においては、二番物が枝梗処理装置により枝梗処理されてから二番還元コンベアにより選別部に還元されるため、選別精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインを示した側面図、図2はフィードチェンフレームおよび二番縦コンベアのコンベアケースを示した側面図、図3は選別部を示した側面断面図、図4は枝梗処理装置を示した側面断面図、図5はエンジン部からの動力伝達構成を示したスケルトン図、図6はフィードチェンフレームおよび二番還元コンベアの機体外方向への回動構成を示した平面図、図7は図6の背面断面図である。
【0013】
先ず、本発明の一実施例に係るコンバイン1の全体構成について説明する。
図1に示すように、コンバイン1は、機体フレーム2に対して、走行部10と、刈取部20と、脱穀部30と、選別部40と、穀粒貯溜部50と、排藁処理部60と、駆動源となるエンジン部70と、ミッション部80と、操縦部などを備える。
【0014】
走行部10は、機体フレーム2の下部に設けられる。走行部10は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11などを備え、クローラ式走行装置11により機体を前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0015】
刈取部20は、機体フレーム2の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部20は、分草具21と、引起装置22と、切断装置23と、搬送装置24などを備え、分草具21により圃場の穀稈を分草し、引起装置22により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置23により引起後の穀稈を切断し、搬送装置24により切断後の穀稈を脱穀部30側へ搬送することができるように構成される。
【0016】
脱穀部30は、機体フレーム2の左側前部に設けられ、刈取部20の後方に配置される。脱穀部30は、フィードチェン31と、扱胴32と、受網33と、フィードチェンフレーム34などを備え、フィードチェンフレーム34によりフィードチェン31が支持され、フィードチェン31により刈取部20から搬送されてくる穀稈を受け継いで排藁処理部60側へ搬送し、扱胴32および受網33により搬送中の穀稈を脱穀することができるように構成される。
【0017】
選別部40は、機体フレーム2の左側部に設けられ、脱穀部30の下方に配置される。選別部40は、揺動選別装置41と、風選別装置42と、穀粒搬送装置43と、二番還元装置44と、藁屑排出装置などを備え、揺動選別装置41により脱穀部30から落下する脱穀物を穀粒と藁屑や塵埃などとに揺動選別し、風選別装置42により揺動選別後のものを更に穀粒と藁屑や塵埃などとに風選別し、穀粒搬送装置43により選別後の穀粒を穀粒貯溜部50側へ搬送し、二番還元装置44により選別後の穀粒を揺動選別装置41側へ搬送する一方、藁屑排出装置により藁屑や塵埃などを外部へ排出することができるように構成される。
【0018】
穀粒貯溜部50は、機体フレーム2の右側後部に設けられ、脱穀部30および選別部40の右側方に配置される。穀粒貯溜部50は、穀粒タンク51と、穀粒排出装置52などを備え、穀粒タンク51により選別部40から搬送されてくる穀粒を貯溜し、穀粒排出装置52により貯溜中の穀粒を任意の方向に搬送してから外部へ排出することができるように構成される。
【0019】
排藁処理部60は、機体フレーム2の左側後部に設けられ、脱穀部30の後方に配置される。排藁処理部60は、排藁搬送装置と、排藁切断装置などを備え、排藁搬送装置により脱穀部30から搬送されてくる脱穀済みの穀稈を受け継いでこれを排藁として外部へ排出する、もしくは排藁切断装置へ搬送して、排藁切断装置により切断してから外部へ排出することができるように構成される。
【0020】
駆動源となるエンジン部70は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、穀粒貯溜部50の前方に配置される。エンジン部70は、エンジンなどを備え、その動力を当該エンジンを駆動源とする各部の装置に適宜の伝動機構を介して供給して、エンジンにより各部の装置を駆動させることができるように構成される。
【0021】
ミッション部80は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70の前方に配置される。ミッション部80は、トランスミッションなどを備え、エンジン部70のエンジンの動力が走行部10や刈取部20などの各装置へ供給される前に、トランスミッションにより当該動力を変速することができるように構成される。
【0022】
このように、コンバイン1は、各部を機体フレーム2に適宜に設けて構成され、操縦部での操作具の操作に応じて、エンジン部70からエンジンの動力を各部の装置に供給するなどして、走行部10にて機体を走行させながら、刈取部20で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部30で刈取部20からの穀稈を脱穀し、選別部40で脱穀部30からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部50で選別部40からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部60で脱穀部30からの排藁を外部へ排出することができるように構成される。
【0023】
次に、フィードチェンフレーム34について、図2により説明する。
図2に示すように、フィードチェンフレーム34は、前後方向に設けられ、脱穀部30の左側部に配置される。フィードチェンフレーム34は、横フレーム341と、斜フレーム342と、後部フレーム343と、補強フレーム344などを備え、これら各フレーム341〜344が適宜の方法によって連結されて側面視略三角形状に形成され、フィードチェン31を支持するように構成される。フィードチェンフレーム34には、駆動スプロケット35と、従動スプロケットと、従動ローラと、テンションローラが回転自在に支持される。これら駆動スプロケット35、従動スプロケット、従動ローラ、テンションローラには、フィードチェン31が巻回される。
【0024】
駆動スプロケット35は、フィードチェンフレーム34(横フレーム341)の前部下側に配置される。駆動スプロケット35は、エンジン部70からの動力をフィードチェン31に伝達するように構成される。駆動スプロケット35は、左右方向に設けられた回転駆動軸351を有して回転可能に構成される。
【0025】
次に、選別部40について、図3、図4により説明する。
図3に示すように、選別部40において、揺動選別装置41は、フィードパン411と、チャフシーブ412と、ストローラック413と、グレンシーブ414などを備える。揺動選別装置41は、扱胴32の下方に配置され、揺動選別装置41の前部および後部に設けられる揺動機構(図示省略)により、フィードパン411、チャフシーブ412、ストローラック413、グレンシーブ414などを伴って機体に対して揺動可能に設けられる。
【0026】
揺動選別装置41の前部には、フィードパン411が配置される。フィードパン411は、脱穀部30から落下する脱穀物を、後方に搬送しながら均平、比重選別するように構成される。そして、フィードパン411の後方には、チャフシーブ412が配置される。チャフシーブ412は、フィードパン411により搬送された脱穀物や脱穀部30から落下する脱穀物などを、後方に搬送しながらこれら脱穀物から穀粒を粗選別するように構成される。そして、チャフシーブ412の後方には、ストローラック413が配置されるとともに、チャフシーブ412の下方には、グレンシーブ414が配置される。ストローラック413は、チャフシーブ412により搬送された脱穀物などを、後方に搬送しながらほぐして穀粒を落下させ、藁屑などを脱穀部30の後部から排出させるように構成される。グレンシーブ414は、チャフシーブ412により粗選別された穀粒を精選別するように構成される。
【0027】
風選別装置42は、唐箕ファン421と、一番コンベア422と、二番コンベア423などを備える。風選別装置42の前部には、唐箕ファン421が配置される。唐箕ファン421は、左右方向に設けられた回転駆動軸421Aを有して回転可能に構成される。そして、唐箕ファン421の後方で風選別装置42の底部には、一番コンベア422および二番コンベア423が前後に並置される。一番コンベア422および二番コンベア423は、左右方向に設けられた回転駆動軸422A・423Aをそれぞれ有して回転可能に構成される。
【0028】
そして、風選別装置42は、唐箕ファン421を回転駆動させることによって、選別風を起こして後方へ送風し、揺動選別装置41から落下する穀粒や藁屑に選別風を当てて、これらを比重選別するように構成される。つまり、唐箕ファン421の選別風が当たった穀粒や藁屑の内、比重の重いものは選別風の影響を受けずに一番コンベア422へ落下するのに対して、比重の軽いものは選別風によって後方へ運ばれて、二番コンベア423へ落下する。
【0029】
また、風選別装置42は、一番コンベア422を駆動させることによって、落下してきたものを風選別装置42の右側へ一番コンベア422により一番物として搬送して穀粒搬送装置43へ渡すとともに、二番コンベア423を駆動させることによって、選別風にて運ばれてきた後に落下してきたものを風選別装置42の左側へ二番コンベア423により二番物として搬送して二番還元装置44へ渡すことができるように構成される。
【0030】
二番還元装置44は、二番縦コンベア441と、二番還元コンベア442と、枝梗処理装置443と、を備える。
【0031】
二番縦コンベア441は、二番コンベア423により機体左方に搬送された二番物を受け継いで、この二番物を機体上方に搬送するように構成される。二番縦コンベア441は、上下方向に設けられた回転駆動軸441Aを有して回転可能に構成される。二番縦コンベア441は、揺動選別装置41および風選別装置42の左側に配置される。二番縦コンベア441は、コンベアケース444によって覆われる。コンベアケース444は、上下方向に設けられた円筒状の部材であり、二番縦コンベア441を内装するように構成される。
【0032】
二番還元コンベア442は、二番縦コンベア441により機体上方に搬送された二番物を受け継いで、この二番物を機体前方に搬送するように構成される。二番還元コンベア442は、前後方向に設けられた回転駆動軸442Aを有して回転可能に構成される。二番還元コンベア442は、揺動選別装置41および風選別装置42の左側に配置される。二番還元コンベア442の前端部は、揺動選別装置41の前部上方に配置される。二番還元コンベア442は、コンベアケース445によって覆われる。コンベアケース445は、前後方向に設けられた円筒状の部材であり、二番還元コンベア442を内装するように構成される。
【0033】
図4に示すように、枝梗処理装置443は、二番物の枝梗を処理するように構成される。枝梗処理装置443は、本実施例では二番還元コンベア442の前端部に設けられる。なお、枝梗処理装置443が設けられる位置は、二番還元コンベア442の前端部に限定するものではく、二番還元コンベア442の搬送経路上であればよい。枝梗処理装置443は、処理歯443A・443A・・・と、拡散羽根443Bとを備える。
【0034】
処理歯443A・443A・・・は、二番物の枝梗を除去するなどの処理を行うように構成される。処理歯443A・443A・・・は、二番還元コンベア442の回転駆動軸442A上で軸方向において適宜間隔に立設される。拡散羽根443Bは、処理歯443A・443A・・・により処理された後の穀粒を拡散するように構成される。拡散羽根443Bは、二番還元コンベア442の回転駆動軸442A上で処理歯443A・443A・・・の前側に立設される。そして、処理歯443A・443A・・・および拡散羽根443Bは、処理ケース443Cによって覆われる。処理ケース443Cの内周面には、処理歯443A・443A・・・と協動して二番物の枝梗を除去するなどの処理を行う固定歯443D・443D・・・が設けられる。処理ケース443Cには、処理後の穀粒が拡散羽根443Bにより拡散された後、放出される放出口(図示省略)が開口される。
【0035】
そして、二番還元装置44は、二番縦コンベア441、二番還元コンベア442、枝梗処理装置443を駆動させることによって、二番コンベア423から受けた二番物を二番縦コンベア441により二番還元コンベア442へ搬送し、二番縦コンベア441から受けた二番物を二番還元コンベア442により枝梗処理装置443へ搬送し、二番還元コンベア442から送られてくる二番物を枝梗処理装置443により枝梗を除去するなどの処理を行った後、揺動選別装置41に落下させて戻すことができるように構成される。こうして、選別部40は、揺動選別装置41および風選別装置42を経た二番物を繰り返し選別することができるように構成される。
【0036】
次に、エンジン部70からの動力伝達構成について、図3、図5により説明する。
図3、図5に示すように、エンジン部70は、左右方向に配置されたクランク軸71を有する。クランク軸71と、唐箕ファン421の回転駆動軸421Aとの間には、ベルト機構91が介設される。ベルト機構91は、クランク軸71に設けられる出力プーリ911と、回転駆動軸421Aに設けられる入力プーリ912と、出力・入力プーリ911・912に巻回されるベルト913とを備える。
【0037】
また、唐箕ファン421の回転駆動軸421Aと、一番コンベア422の回転駆動軸422Aと、二番コンベア423の回転駆動軸423Aとの間には、ベルト機構92が介設される。ベルト機構92は、回転駆動軸421Aに設けられる出力プーリ921と、回転駆動軸422Aに設けられる入力プーリ922と、回転駆動軸423Aに設けられる入力プーリ923と、出力・入力プーリ921・922・923に巻回されるベルト924とを備える。
【0038】
そして、二番コンベア423の回転駆動軸423Aと、二番縦コンベア441の回転駆動軸441Aとの間には、ベベルギヤ93・94が介設される。回転駆動軸423Aには、ベベルギヤ93が設けられ、ベベルギヤ93に噛合するベベルギヤ94が回転駆動軸441Aに設けられる。
【0039】
また、唐箕ファン421の回転駆動軸421Aと、フィードチェン31の駆動スプロケット35に設けられた回転駆動軸351との間には、第一動力伝達手段となる動力伝達機構95が構成される。動力伝達機構95は、唐箕ファン421からの動力(エンジン部70からの動力)をフィードチェン31に伝達するように構成される。
動力伝達機構95は、唐箕ファン421の前方で左右方向に設けられた水平伝達軸951と、水平伝達軸951と唐箕ファン421の回転駆動軸421Aとの間に介設されたベルト機構952と、水平伝達軸951の右端部で上下方向に設けられた鉛直伝達軸953と、鉛直伝達軸953と水平伝達軸951との間に介設されたベベルギヤ954・955と、フィードチェン31の駆動スプロケット35が設けられた回転駆動軸351と鉛直伝達軸953との間に介設されたベベルギヤ956・957と、を備える。水平伝達軸951の中途部にはカップリング951Aが設けられる。
【0040】
ベルト機構952は、回転駆動軸421Aに設けられる出力プーリ952Aと、水平伝達軸951に設けられる入力プーリ952Bと、出力・入力プーリ952A・952Bに巻回されるベルト952Cとを備える。そして、水平伝達軸951には、ベベルギヤ954が設けられ、ベベルギヤ954に噛合するベベルギヤ955が鉛直伝達軸953に設けられる。また、鉛直伝達軸953には、ベベルギヤ956が設けられ、ベベルギヤ956に噛合するベベルギヤ957が第一伝達軸352に設けられる。
【0041】
第一伝達軸352と回転駆動軸351との間にあって、第一伝達軸352および回転駆動軸351と同一軸心上には、第二伝達軸353が配置される。第二伝達軸353と第一伝達軸352とは、クラッチ354を介して連結される。クラッチ354は、第一伝達軸352からの動力を第二伝達軸353に伝達あるいは遮断する。第二伝達軸353と回転駆動軸351とは、係脱部355を介して連結される。
【0042】
係脱部355は、第二伝達軸353側に設けられる係止爪355Aと、回転駆動軸351側に設けられる係止爪355Bと、を備える。係止爪355Aと係止爪355Bとは、フィードチェンフレーム34が機体内方向(機体右方向)に回動された場合には、互いに係合し、フィードチェンフレーム34が機体外方向(機体左方向)に回動された場合には、係合が解除される。つまり、フィードチェンフレーム34が機体内方向(機体右方向)に回動された場合には、第二伝達軸353からの動力が係脱部355を介して回転駆動軸351に伝達され、フィードチェンフレーム34が機体外方向(機体左方向)に回動された場合には、第二伝達軸353から回転駆動軸351への動力の伝達が遮断される。
【0043】
そして、二番還元コンベア442の回転駆動軸442Aには、ベベルギヤ957に噛合する第二動力伝達手段となるベベルギヤ96が設けられる。ベベルギヤ96は、唐箕ファン421からの動力(エンジン部70からの動力)を二番還元コンベア442に伝達するように構成される。
【0044】
このような構成により、エンジン部70からの動力は、次のようにしてコンバイン1の各装置に伝達される。
【0045】
すなわち、図5に示すように、エンジン部70の動力は、クランク軸71から、出力プーリ911、ベルト913、入力プーリ912を経て、回転駆動軸421Aに伝達される。こうして、回転駆動軸421Aに伝達された動力によって、唐箕ファン421が駆動される。そして、唐箕ファン421の回転駆動軸421Aから、出力プーリ921、ベルト924、入力プーリ922を経て、回転駆動軸422Aに動力が伝達される。こうして、回転駆動軸422Aに伝達された動力によって、一番コンベア422が駆動される。また、唐箕ファン421の回転駆動軸421Aから、出力プーリ921、ベルト924、入力プーリ923を経て、回転駆動軸423Aに動力が伝達される。こうして、回転駆動軸423Aに伝達された動力によって、二番コンベア423が駆動される。そして、二番コンベア423の回転駆動軸423Aから、ベベルギヤ93・94を経て、回転駆動軸441Aに動力が伝達される。こうして、回転駆動軸441Aに伝達された動力によって、二番縦コンベア441が駆動される。また、唐箕ファン421の回転駆動軸421Aから、出力プーリ952A、ベルト952C、入力プーリ952B、水平伝達軸951、ベベルギヤ954・955、鉛直伝達軸953、ベベルギヤ956・957、第一伝達軸352、クラッチ354、第二伝達軸353、係脱部355、回転駆動軸351を経て、駆動スプロケット35に動力が伝達される。こうして、駆動スプロケット35に伝達された動力によって、フィードチェン31が駆動される。そして、ベベルギヤ957・96を経て、回転駆動軸442Aに動力が伝達される。こうして、回転駆動軸442Aに伝達された動力によって、二番還元コンベア442および枝梗処理装置443が駆動される。
【0046】
次に、フィードチェンフレーム34および二番還元コンベア442の機体外方向への回動構成について、図2、図6、図7により説明する。
図2に示すように、コンベアケース444は、二番縦コンベア441の上部を覆う連結部材444Aと、二番縦コンベア441の下部を覆う連結部材444Bと、連結部材444Aと連結部材444Bとの間で二番縦コンベア441を覆う円筒状部材であるコンベアケース本体444Cと、を備え、二番縦コンベア441を覆うように構成される。連結部材444Aは、二番還元コンベア442のコンベアケース445と連通連結される。連結部材444Aは、コンベアケース本体444Cの上端部に水平方向に回動可能に設けられる。連結部材444Bは、二番コンベア423が設けられる風選別装置42の底部と連通連結される。なお、本実施例では、連結部材444Aが水平方向に回動可能に設けられるが、連結部材444Aおよび連結部材444Bの少なくともどちらか一方が水平方向に回動可能であればよい。
【0047】
連結部材444Aとフィードチェンフレーム34(横フレーム341)とは、連結部材446により連結される。連結部材446の上端部は、フィードチェンフレーム34(横フレーム341)に固定され、連結部材446の下端部は、連結部材444Aに固定される。つまり、二番還元コンベア442のコンベアケース445とフィードチェンフレーム34(横フレーム341)とは、連結部材444A・446により連結される。連結部材444A・446は、二番還元コンベア442のコンベアケース445とフィードチェンフレーム34とを連結できる十分な剛性を有する部材である。
【0048】
このような構成により、次のようにしてフィードチェンフレーム34と一体的に二番還元コンベア442が機体外方向(機体左方向)に回動される。
【0049】
すなわち、コンベアケース444では、コンベアケース本体444Cとの間で連結部材444Aが水平方向に回動可能であるとともに、連結部材444Aに連結部材446を介してフィードチェンフレーム34が連結されるため、フィードチェンフレーム34は、図6に示すように、機体外方向(機体左方向)に回動可能となる。
さらに、連結部材444Aには、二番還元コンベア442のコンベアケース445が連結されるため、フィードチェンフレーム34が機体外方向(機体左方向)に回動すると、フィードチェンフレーム34と一体的に二番還元コンベア442および枝梗処理装置443が機体外方向(機体左方向)に回動する。
その際、図5に示す回転駆動軸351は、係脱部355によって第二伝達軸353から分離されるとともに、カップリング951Aを挟んで機体外側の水平伝達軸951は、カップリング951Aのボルト(図示省略)を緩める等されてカップリング951Aから分離される。
こうして、図7に示すように、コンバイン1(脱穀部30および選別部40)内部の二番還元コンベア442側(特に、扱胴32や揺動選別装置41の左側)が開放される。
【0050】
なお、上記とは反対の手順によって、二番還元コンベア442がフィードチェンフレーム34と一体的に機体内方向(機体右方向)に回動される。
【0051】
以上のように、本実施例に係るコンバイン1は、エンジン部70からの動力によって脱穀・選別作業を行うコンバイン1であって、脱穀作業用の穀稈を機体後方に搬送するフィードチェン31と、エンジン部70からの動力をフィードチェン31に伝達する動力伝達機構95と、選別作業後の二番物を機体前方に搬送する二番還元コンベア442と、エンジン部70からの動力を二番還元コンベア442に伝達するベベルギヤ96と、を備え、二番還元コンベア442は、フィードチェン31とともにコンバイン1の機体左右一側に配置され、ベベルギヤ96は、動力伝達機構95から分岐して構成されるものである。
このような構成により、二番還元コンベア442側に配置されるフィードチェン31の動力伝達機構95を利用して、二番還元コンベア442のベベルギヤ96を構成できるため、二番還元コンベア442への動力伝達効率が良い。
【0052】
そして、コンバイン1は、機体外方向に回動可能に構成され、フィードチェン31を支持するフィードチェンフレーム34と、二番還元コンベア442を覆うコンベアケース445と、フィードチェンフレーム34とコンベアケース445とを連結する連結部材444A・446と、を備え、二番還元コンベア442は、連結部材444A・446を介してフィードチェンフレーム34と一体的に機体外方向に回動可能とされるものである。
このような構成により、二番還元コンベア442がフィードチェンフレーム34と一体的に機体外方向に回動することにより、コンバイン1内部の二番還元コンベア442側が開放されるため、コンバイン1内部のメンテナンス性が向上する。
【0053】
また、コンバイン1は、二番還元コンベア442の搬送経路上に、二番物の枝梗を処理する枝梗処理装置443が設けられるものである。
このような構成により、二番物が枝梗処理装置443により枝梗処理されてから二番還元コンベア442により選別部40に還元されるため、選別精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインを示した側面図。
【図2】フィードチェンフレームおよび二番縦コンベアのコンベアケースを示した側面図。
【図3】選別部を示した側面断面図。
【図4】枝梗処理装置を示した側面断面図。
【図5】エンジン部からの動力伝達構成を示したスケルトン図。
【図6】フィードチェンフレームおよび二番還元コンベアの機体外方向への回動構成を示した平面図。
【図7】図6の背面断面図。
【符号の説明】
【0055】
1 コンバイン
31 フィードチェン
34 フィードチェンフレーム
70 エンジン部(駆動源)
95 動力伝達機構(第一動力伝達手段)
96 ベベルギヤ(第二動力伝達手段)
442 二番還元コンベア
443 枝梗処理装置
444A 連結部材
445 コンベアケース
446 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力によって脱穀・選別作業を行うコンバインであって、
脱穀作業用の穀稈を機体後方に搬送するフィードチェンと、
前記駆動源からの動力を前記フィードチェンに伝達する第一動力伝達手段と、
選別作業後の二番物を機体前方に搬送する二番還元コンベアと、
前記駆動源からの動力を前記二番還元コンベアに伝達する第二動力伝達手段と、を備え、
前記二番還元コンベアは、前記フィードチェンとともに前記コンバインの機体左右一側に配置され、
前記第二動力伝達手段は、前記第一動力伝達手段から分岐して構成されるコンバイン。
【請求項2】
機体外方向に回動可能に構成され、前記フィードチェンを支持するフィードチェンフレームと、
前記二番還元コンベアを覆うコンベアケースと、
前記フィードチェンフレームと前記コンベアケースとを連結する連結部材と、を備え、
前記二番還元コンベアは、前記連結部材を介して前記フィードチェンフレームと一体的に機体外方向に回動可能とされる請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記二番還元コンベアの搬送経路上に、二番物の枝梗を処理する枝梗処理装置が設けられる請求項1または請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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