説明

コンバイン

【課題】二番還元コンベアの終端に連通し二番物等を処理する枝梗処理装置を備えたコンバインにおいて、二番還元コンベアも短く形成することができ、機体全体をコンパクトに構成するコンバインを提供すること。
【解決手段】
扱胴を有する脱穀部と、脱穀部で穀粒を揺動選別・風選別する選別部と、脱穀部の送塵口に連通して脱穀物を再処理する送塵口処理胴と、一番コンベアに連通した一番揚穀コンベアと、二番コンベアに連通した二番還元コンベアと、二番還元コンベアの終端に連通し二番物等を処理する枝梗処理装置と、を備えたコンバインにおいて、送塵口処理胴の下方に枝梗処理した二番物を搬送するための戻しコンベアを設け、戻しコンベアの始端と枝梗処理装置の排出口とを連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝梗処理装置を具備するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインは、刈取部と、脱穀部と、脱穀部で脱穀した穀粒を揺動選別・風選別する選別部とを有し、脱穀部には扱胴を収納し、脱穀部の送塵口に受口を連通して扱胴の脱穀物を再処理する送塵口処理胴を扱胴後部側方で平行に設け、しかも、選別部の上方に二番物等を処理する枝梗処理装置を配設し、二番コンベア及び還元コンベアを介して枝梗処理装置へ送られた二番物から枝梗等を取り除いた後に、処理二番物を再び揺動選別装置の選別開始部へ戻して揺動選別・風選別を行うように構成している(例えば、特許文献1(特開2004−033154号公報)に記載)。
【0003】
そして、枝梗処理装置の配設位置は、一般に扱室の近傍に配設されていることが多く、例えば、上記特許文献1(特開2004−033154号公報)に記載のコンバインでは、扱室の前下部横側方に配設されており、特許文献2(特許第2953458号公報)に記載のコンバインでは、扱室に沿って下方横側にスクリューコンベア形態で配設されており、特許文献3(特開平6−327341号公報)に記載のコンバインでは、扱室の上方横側に送塵口処理胴の前部延長のスクリューコンベア形態で配設されている。
【0004】
しかし、異なる位置として、特許文献4(特開2008−61523号公報)では、二番還元コンベアの始端口と終端口にそれぞれ異なる枝梗処理部を配設して、終端口の枝梗処理装置から扱室後側の供給口に直接に枝梗処理後の二番物を搬入するようにしたものがある。
【0005】
このように、枝梗処理装置の配設位置によって、二番還元コンベアの延設形態も異なっており、例えば、枝梗処理装置が扱室前部に近接して配設されておれば、二番還元コンベアは前傾となって、終端を枝梗処理装置に連通する長尺の構造となる。しかし、上記特許文献1(特開2004−033154号公報)に記載のコンバインのように、枝梗処理装置を扱室の前下部横側方に配設しているにも不拘、二番還元コンベアは後傾にしたものにあっては、二番還元コンベアをより短くコンパクト化して、機体の全体構造を簡略化するようにしている。
【0006】
かかる技術では、二番還元コンベアと枝梗処理装置との間に戻しコンベアを介在する必要がある。すなわち、後傾の二番還元コンベアの上終端と扱室の前部横側方に配設した枝梗処理装置との間に前後方向に延設した戻しコンベアを介在して二番物を戻しコンベアを介して枝梗処理装置に搬送しなければならない。
【0007】
このように枝梗処理装置の位置は基本的に二番還元コンベアの前方位置、すなわち扱室の近傍に配設し、枝梗処理した二番物を揺動選別装置の選別開始部へ戻して再処理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−033154号公報
【特許文献2】特許第2953458号公報
【特許文献3】特開平6−327341号公報
【特許文献4】特開2008−061523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このように枝梗処理装置の配設位置を扱室近傍にすると、二番コンベアから枝梗処理装置まで枝梗付の二番物を搬送しなければならず、戻しコンベアや長尺の二番還元コンベアを用いるとその搬送経路は必然的に長くなり、その間に枝梗が脱落したり切断されて枝梗処理装置に至る前段階の搬送経路中で滞溜してしたりしまうおそれがあり、二番物の搬送効率が低下し、また枝梗処理装置の枝梗処理に悪影響を及ぼす欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に記載の発明は、扱胴を有する脱穀部と、脱穀部で穀粒を揺動選別・風選別する選別部と、脱穀部の送塵口に連通して脱穀物を再処理する送塵口処理胴と、一番コンベアに連通した一番揚穀コンベアと、二番コンベアに連通した二番還元コンベアと、二番還元コンベアの終端に連通し二番物等を処理する枝梗処理装置と、を備えたコンバインにおいて、送塵口処理胴の下方に枝梗処理した二番物を選別部に搬送するための戻しコンベアを設け、戻しコンベアの始端と枝梗処理装置の排出口とを連通したことを特徴とするコンバインを提供せんとするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、戻しコンベアの始端と枝梗処理装置の排出口との連通部は、送塵口処理胴の受網より後方に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、戻しコンベアの始端と枝梗処理装置の排出口とを連通したことにより、枝梗処理装置を機体の後端近傍配置することができ、しかも二番還元コンベアも可及的に後傾姿勢とすることができることになり、主要な穀稈処理の後処理空間に枝梗処理装置を配設することが可能となり、かつ二番還元コンベアも短く形成することができ、機体全体をコンパクトに構成することができる効果があり、更には、枝梗処理された二番物を戻しコンベアへ効率的に受け渡すことができる効果がある。
【0013】
請求項2の発明によれば、戻しコンベアの始端と枝梗処理の排出口との連通部を送塵口処理胴の受網より後方に配設したため、主要な穀稈処理の一部の機能を担う送塵口処理胴の受網の後方において枝梗処理を行い、枝梗処理された二番物を戻しコンベアに受け渡すことができるので、主要部分の穀稈処理空間を避けて機体の後尾部分で枝梗処理及び再選別のための二番物搬送の始動が行えることになり、従って、機体後尾の空間を有効に利用でき機体のコンパクト化に貢献することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態におけるコンバインの全体構成を示した側面図である。
【図2】この発明の実施形態におけるコンバインの機体の一部構成を示した側面図である。
【図3】この発明の実施形態におけるコンバインの機体の一部構成を示した平面図である。
【図4】この発明の実施形態におけるコンバインの機体の一部構成を示した断面図である。
【図5】この発明の実施形態におけるコンバインの枝梗処理装置及びその周辺の構成を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るコンバインについて、図面に基づいて詳述する。
【0016】
本発明に係るコンバインAは、図1に示すように、機体1の下部に左右一対のクローラ式の走行部2を配設し、機体1の前部に昇降自在に配設した刈取部3と、扱胴を有する脱穀部4と、脱穀部4で穀粒を揺動選別・風選別する選別部5と、脱穀部4の送塵口に連通して脱穀物を再処理する送塵口処理胴6と、一番コンベア7に連通した一番揚穀コンベア8と、二番コンベア9に連通した二番還元コンベア10と、二番還元コンベア10の終端に連通し二番物等を処理する枝梗処理装置11と、を具備するものである。
【0017】
刈取部3は、前端に分草板12を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース13を立設して同引起しケース13より突出したタインの回転により穀稈を引き起こし、上記分草板12後部に配設した刈刃14にて株元を刈り取るようにしている。
【0018】
刈取部3は、刈り取られた穀稈を、上部搬送装置15、下部搬送装置16、縦搬送装置17にて後部へ搬送し、縦搬送装置17の上端から株元をフィードチェーン18に受け継げさせ、脱穀部4内に搬送するようにしている。そして、同フィードチェーン18後端には排藁チェーン19を配設し、この排藁チェーン19の後部下方には排藁カッター装置、拡散コンベアなどからなる排藁処理部39を形成し、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一に放出するようにしている。
【0019】
脱穀部4は、機体1の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴21を扱室20に設け、同扱胴21の外周面には扱歯21a・21a・・・を取り付けている。一方、フィードチェーン18により、穀稈の株元部を拘束し、かつ穀稈の先端部を扱胴21の下方に挿入しつつ機体後方に搬送するようにしている。そして、扱胴21の回転により、扱歯21a・21a・・・が籾(処理物)に接触して脱粒を行う。また、受網28は扱胴21を格納した扱室20の下半部を覆うように設けており、被処理物(籾および細断された藁屑の混合物)のみを下方に落下するようにしている。
【0020】
扱胴21後部には、送塵口26を通して、略円柱形状の送塵口処理胴6を内蔵する処理室22を設けており、扱胴21で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物を処理室22に搬送し、送塵口処理胴6の回転駆動によって機体後方に搬送させながら籾と枝梗とに分離し、被処理物(籾および細断された藁屑の混合物)のみ、上記処理室の下半部を覆うように設けた受網41の孔(網目)を通過して下方に落下するようにしている。
【0021】
このようにして落下した被処理物は、後述する戻しコンベア24により機体1前方(すなわち、送塵口処理胴6の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送させ、戻しコンベア24の前端に設けられた排塵口より選別部5に再投入している。より具体的には、被処理物は、後述するチャフシーブ25上において一番コンベア7の上方となる位置に落下する。
【0022】
選別部5は、揺動選別装置27による揺動選別と、唐箕30による風選別とを行い、一番物と二番物と藁屑等とに分別するようにしている。揺動選別装置27の前端部は、扱胴21の前端部の下方まで延出し、揺動選別装置27の後端部は前述した送塵口処理胴6の後端部下方まで延出するように揺動選別装置27の前後長さを定めている。そして、揺動選別装置27前下部には図示せぬ揺動軸を設けるとともに、後部には揺動駆動機構を設け、揺動駆動機構によって揺動選別装置27が支持機枠に対して揺動するように構成している。
【0023】
揺動選別装置27の前部には前流穀板32を設けるとともに、同前流穀板32の後下方に後流穀板33を設けている。前後の流穀板32,33は板状の部材を波形に成形したものであり、受網28を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は前後の流穀板上に落下し、揺動選別装置27の揺動により機体後方に搬送するようにしている。上記後流穀板33の後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ31を連設するとともに、同グレンシーブ31と後流穀板33の上方、かつ前流穀板32の後方には、第一選別部であるチャフシーブ25を被装している。チャフシーブ25の後方には、ストローラック29を配設している。
【0024】
チャフシーブ25は、揺動選別装置27に投入する処理物の量に応じてその開度を調節することが可能である。穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ25を通過して下方に落下し、チャフシーブ25の開口よりも大きい藁屑等は後方に搬送するようにしている。このとき、チャフシーブ25とグレンシーブ31との間には唐箕30により選別部5の前方から後方への気流を発生させており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離する。
【0025】
唐箕30は、前流穀板32の後部下方かつ後流穀板33の前部下方に配置し、チャフシーブ25やグレンシーブ31に選別風を送風する。揺動選別装置27の下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア7と二番コンベア9とを横設している。一番コンベア7と二番コンベア9との位置関係は、一番コンベア7が唐箕30に近い側、二番コンベア9が唐箕30から遠い側となる。一番コンベア7の右端部にはその長手方向(搬送方向)が略上下方向となるように設けた一番揚穀コンベア8を連結し、この一番揚穀コンベア8の上端はグレンタンク35内と連通している。
【0026】
選別部5内に投入され、揺動選別装置27の前流穀板32上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、チャフシーブ25上に漏下される過程で唐箕30により発生する選別部5の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部を後方に吹き飛ばすようにしている。チャフシーブ25上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、揺動選別装置27の揺動により、後方に搬送する。このとき、穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等はチャフシーブ25の開口部より下方に落下し、大きい藁屑をチャフシーブ25の後方まで搬送し、ストローラック29を経て機外に排出するようにしている。
【0027】
チャフシーブ25の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等は後流穀板33およびグレンシーブ31上に漏下する。このときにも唐箕30からの選別風により、細かい藁屑の一部を後方に吹き飛ばして分離するようにしている。
【0028】
脱穀部4内の扱室20後方には、脱穀後の排藁から落下する穀粒を下方の揺動選別盤に案内する四番樋34を具備している。
【0029】
また、上記脱穀部4側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク35を配設している。グレンタンク35は、図4に示すように、上半部Bを膨大状とし、下半部Cを細幅員状とした変形略箱形状を有している。すなわち、グレンタンク35の機体側に面する側壁は上半部Bを扱室20の上方にまで張り出しさせると共に、下半部Cは(機体)側方との間に一定の間隙を形成している。
【0030】
上記グレンタンク35前部には運転席36を配設する一方、グレンタンク35後部には排出オーガ37の縦オーガ38を立設し、同縦オーガ38を中心にしてグレンタンク35を側方へ回動可能とし、本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
【0031】
そして、同グレンタンク35の底部には排出コンベア40を前後方向へ配設し、排出コンベア40から上記排出オーガ37に動力を伝達して、排出オーガ37先端よりトラック等へグレンタンク35内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部4下方には、選別部5を配設し、脱穀部4から流下する穀粒や藁屑等(以後、「処理物」という)から穀粒を選別し、上記グレンタンク35に搬送するようにしている。
【0032】
グレンシーブ31上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等のうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等はグレンシーブ31を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は、流穀板の後方に設けられた選別部5底面の窪みである一番コンベア7に回収し、一番コンベア7から一番揚穀コンベア8を経て、グレンタンク35に搬送するようにしている。
【0033】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒等が混じった未処理粒は、唐箕30からの選別風により後方に吹き飛し、一番コンベア7の後方に設けた選別部5底面の窪みである二番コンベア9に回収している。
【0034】
そのような構成において、本実施形態におけるコンバインAは、二番還元コンベア10の終端に枝梗処理装置11を設けている。以下、枝梗処理装置11の具体的な構成について説明する。
【0035】
図2〜図5に示すように、二番コンベア9から後傾に上方に延伸して二番コンベア9を配設し、その二番還元コンベア10の終端の連通口60に連通して二番物等を処理する枝梗処理装置11を具備している。
【0036】
また、フィードチェーン18の終端に連通した排藁チェーン19の下方に四番樋34を設けているが、その四番樋34の下方空間に枝梗処理装置11を配設している。すなわち、扱室20の後方にあるフィードチェーン18の終端部分に脱穀済みの穀稈を搬送する排藁チェーン19が斜め方向に配設されており、その下方で落下四番穀粒を受けるための四番樋34が水平に張設されており、この四番樋34の下方空間は機体外空間として有効利用する必要があり、そのために、この四番樋34の下方空間に枝梗処理装置11を配設している。しかも、この四番樋34の下方空間はグレンタンク35の下半部Cの側壁との間隙と連通した空間となっている。
【0037】
従って、枝梗処理装置11に終端を連通する二番還元コンベア10や一番揚穀コンベア8をグレンタンク35の下半部Cの機体側空間に配設することが可能となり、特に二番還元コンベア10と枝梗処理装置11との一体連携構造を機体外の上記した空間に配設し、コンバインの全体容積を拡大することなく、枝梗処理装置11に関係する機構を可及的に機体要所の空間を利用して装備することができる。本発明の実施形態における一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10との後傾等の姿勢の関係はすべて枝梗処理装置11を四番樋34下方に配設可能としたこととグレンタンク35の下半部Cに機体側空間との有効利用から派生するものである。
【0038】
このようにして、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを、機体1の横側方に可及的に近接させて配設し、これにより、機体の幅方向のスペースを有効にコンパクト使用でき、上記した枝梗処理装置11も機体に近接して配設でき、機体全体のコンパクト化を図ることができる。
【0039】
枝梗処理装置11は、図3に示すように、筒状の枝梗ケース本体51を平面視して二番還元コンベア10の後方に配置している。図5に示すように、枝梗ケース本体51内には縦方向に伸延した処理軸50を配設し、その処理軸50の回転軸芯52を二番還元コンベア10の回転軸芯53と略平行に配設している。
【0040】
また、処理軸50の上端には、二番還元コンベア10の終端から二番物を吸引する吸引羽根55を取り付けている。吸引羽根55は、板状の羽根を処理軸50上に放射方向に複数枚配設している。
【0041】
さらに、処理軸50の上部から下部にかけて二又フォーク形状の複数本の二番処理歯57を取り付けている。また、枝梗ケース本体51の内周壁に処理軸50側に突出させた板状の受歯58を設けている。そして、処理軸50にボス体54を被嵌している。
【0042】
さらに、処理軸50の下端には、枝梗処理した二番物を後で述べる戻しコンベア24の始端に放出する放出羽根56を取り付けている。放出羽根56は、板状の羽根を処理軸50上に放射方向に複数枚配設している。
【0043】
このような構造により枝梗処理装置11は、二番還元コンベア10の終端の連通口60から吸引羽根55の回転力により、二番物を枝梗ケース本体51内に取込むようにしている。そして、取込まれた二番物を、上記二番処理歯57と上記受歯58とで攪拌しながら枝梗処理するようにしている。枝梗処理された二番物は枝梗ケース本体51内において自重で下方に、放出羽根56の位置まで落下することになる。そして、放出羽根56の回転力により枝梗ケース本体51の下部に設けた排出口64から枝梗処理した二番物を排出し、戻しコンベア24の始端に放出するようにしている。
【0044】
戻しコンベア24は、図4に示すように、正面視して送塵口処理胴6の下方であって、図2及び図5に示すように、側面視して上記送塵口処理胴6と平行に配設している。また、戻しコンベア24は、半筒状の樋体24bを備え、その半筒状の樋体24bの始端を二番還元コンベア10の終端近傍に配設すると共に、その樋体24bの終端を選別部5前部近傍に配設して伸延させている。そして、半筒状の樋体24b内には軸周りにスクリューコンベア24cを備えた戻しコンベア軸24aを回転自在に配設している。この戻しコンベア軸24aの回転によって、枝梗処理された二番物を選別部5前部近傍まで搬送するようにしている。また、図3に示すように、戻しコンベア24の終端下部には排出口65を設け、この排出口65から選別部5の前流穀板32上に再投入するように構成している。
【0045】
そして、枝梗処理装置11は、上述のように、枝梗処理装置11の回転軸芯52と二番還元コンベア10の回転軸芯53とを平行にしているので、二番還元コンベア10と枝梗処理装置11とを平行に配設することができる。これにより、配設構造の簡略化に貢献することができ、また、両者の回転軸芯52、53が平行であるために二番還元コンベア10の回転軸端と枝梗処理装置11の回転軸端との連動構造が容易となる。
【0046】
すなわち、図5に示すように、枝梗処理装置11の処理軸50の上端にはプーリ61を設け、二番還元コンベア10軸の回転軸上端にもプーリ62を設け、各プーリ61,62間にベルト63を懸架することで、二番還元コンベア10の回転軸から動力を受けて、枝梗処理装置11の処理軸50を回転可能としている。この場合、各回転軸端にプーリ61,62を設けてベルト63を懸架する構造を採用する場合も両者の回転軸芯52、53が平行であるために、プーリ61,62の配設構造を簡単にすることができる。
【0047】
また、図2及び図5に示すように、枝梗処理装置11を、後傾姿勢とした二番還元コンベア10の後方に配設し、その枝梗処理装置11の処理軸50を縦軸としている。これにより、枝梗処理装置11は機体の後部近傍の空間を有効に利用して縦型として配設することができ機体全体のコンパクト化に有利である。
【0048】
さらに、二番還元コンベア10は所定角度で後傾姿勢としているが、二番還元コンベア10も可及的に後傾姿勢とすることができることになる。これにより、脱穀空間や選別区間などの主要な穀稈処理の後処理空間に、枝梗処理装置11を配設することが可能となる。
【0049】
また、後処理空間に枝梗処理装置11を設けることで二番還元コンベア10も短く形成することができる。これにより、機体全体をコンパクト、特に長さ方向をコンパクトに構成することができ、更には、枝梗処理された二番物を戻しコンベア24へ効率的に受け渡すことができる。
【0050】
さらには、後傾姿勢で上方に伸延させた二番還元コンベア10の終端から二番物を排出させ、その二番物を枝梗処理装置11の上方から受けて受け渡すようにしているので、二番還元コンベア10から枝梗処理装置11への二番物の受け渡し構造が簡便化できる。
【0051】
この結果、枝梗処理装置11は、図2及び図5に示すように、戻しコンベア24の始端と枝梗処理の排出口との連通部を送塵口処理胴6の受網41より後方に配設している。この受網41を配設している空間では、送塵口処理胴6で処理された枝梗付着粒等の未処理物を籾と枝梗とに分離する、主要な穀稈処理の一部の機能を担うので、その送塵口処理胴6の受網41の後方において枝梗処理を行い、枝梗処理された二番物を戻しコンベア24に受け渡すようにすることで、主要部分の穀稈処理空間を避けて機体の後尾部分で枝梗処理及び再選別のための二番物搬送の始動が行えることになる。従って、機体後尾の空間を有効に利用でき機体のコンパクト化に貢献することができる。
【0052】
また、本実施形態におけるコンバインは、二番還元コンベア10の終端に二番物等を処理する枝梗処理装置11を連通口60で連通し、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とは、機体正面視において略平行に立設すると共に、機体正面視でオフセット状態に配設している。
【0053】
すなわち、図4に示すように、一番揚穀コンベア8は、脱穀部4側方にある一番コンベア7の右端部と連動連結すると共に、上方に伸延させ、その上端部でグレンタンク35と連動連結している。一番揚穀コンベア8のコンベア軸は、一番コンベア7のコンベア軸とベベルギヤを介して連動連結している。
【0054】
また、二番還元コンベア10は、脱穀部4側方にある二番コンベア9の右端部と連動連結すると共に、上方に伸延させ、その上端部で上述のように枝梗処理装置11と連動連結している。二番還元コンベア10のコンベア軸は、二番コンベア9のコンベア軸とベベルギヤを介して連動連結している。
【0055】
従来では、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とは、機体の横側方に別々にスペースが設けられていて、さらに二番還元コンベア10の終端部に枝梗処理装置11を設けているため、機体の幅員が大きくなってしまっていた。
【0056】
そこで、本実施形態では、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを、機体正面視において略平行に立設することとした。すなわち、図4に示すように、機体正面視した場合には、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とは、グレンタンク35と脱穀部4との間の配設空間Kにおいて、略平行に立設した。
【0057】
上述のように、グレンタンク35の形状は、上半部Bを膨大状とし、下半部Cを細幅員状とした変形略箱形状としている。すなわち、図4に示すように、グレンタンク35の機体側に面する側壁は上半部Bを扱室20の上方にまで張り出しさせると共に、下半部Cは(機体)側方との間に一定の間隙を形成し、後傾する一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10との配設空間Kとしている。したがって、グレンタンク35の機体側の側壁は上半部Bと下半部Cとの間を傾斜側壁Dで形成して、一番揚穀コンベア8から排出される一番物がグレンタンク35内で、この傾斜側壁Dを介して円滑にグレンタンク35に貯留されるように構成されている。
【0058】
このように、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを上記した配設空間Kを有効に利用した配設すると共に、機体の幅方向のスペースを有効にコンパクト使用でき、また、これらを機体1の横側方に可及的に近接させて配設し、上記した枝梗処理装置11も機体に近接して配設でき、機体全体のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
また、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを、機体正面視でオフセット状態に配設している。具体的には、図4に示すように、一番コンベア7の右端部を、二番コンベア9の右端部よりも右側方に位置させている。これにより、上方に伸延して配設される一番揚穀コンベア8が、同様に上方に伸延して配設される二番還元コンベア10よりも、脱穀部4に対して外側方に位置するように配設している。
【0060】
このように、二番コンベア9に比べて穀粒の貯留量が大きい一番コンベア7から穀粒を搬送する一番揚穀コンベア8の位置を、二番還元コンベア10の位置より機体の外側方にオフセットすることができ、オフセットした分だけ機体側面、すなわち、一番コンベア7の終端から距離を長くとすることができる。そして、一番コンベア7に貯留する大量の穀粒が一番揚穀コンベア8の下端のエルボ部分Lに滞留することを防止し、可及的に円滑に一番揚穀コンベア8に受け渡すことができる。
【0061】
次に、図2に示すように、一番揚穀コンベア8は機体側面視して所定角度で後傾に配設しており、また、二番還元コンベア10も所定角度で後傾に配設している。そして、一番揚穀コンベア8の後傾の角度を二番還元コンベア10の後傾の角度より小さくして、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを、上方に向って狭窄状に配設している。
【0062】
一番揚穀コンベア8の傾斜角度はグレンタンク35の上半部Bの後側面に連通するため、二番還元コンベア10よりも傾斜角度が大きい。枝梗処理装置11が四番樋34の下方に配設されるので、可及的に二番コンベア9に近接した位置に設けることができ、二番還元コンベア10は可及的に垂直形状に近い姿勢を保持することができる。従って、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とは必然的の上方に向かった狭窄状となる。
【0063】
このように、一番コンベア7と二番コンベア9とは所定間隔を有して離間していても、上方に向って狭窄状に配設することで、一番揚穀コンベア8の終端に配設されるグレンタンク35と、二番還元コンベア10の終端に配設される枝梗処理装置11とを近接させて配置できる。これにより、一番揚穀コンベア8の後傾の角度が大きくても、二番還元コンベア10の後傾の角度を小さくすることができ、機体全長をコンパクト化でき、更には枝梗処理装置11の配置場所も可及的に機体後部に近くとることができる。
【0064】
しかも、一番揚穀コンベア8の先端に設けたグレンタンク35と二番還元コンベア10の先端に設けた枝梗処理装置11とを可及的に近接して配置することができ、しかも、側面視でグレンタンク35と枝梗処理装置11との間に、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを介在させたレイアウトにすることができるので、機体を可及的にコンパクトに構成することができる。
【0065】
さらに、機体1の前部には脱穀空間、選別空間などの主要な空間を配設しているが、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを、機体後方に傾斜させることで、二番還元コンベア10の終端に配設される枝梗処理装置11を、上記主要な空間ではなく比較的スペース的に余裕のある機体1の後方に位置させることができる。
【0066】
また、図2に示すように、一番揚穀コンベア8の先端部はグレンタンク35まで伸延しており、二番還元コンベア10の先端部は上述の枝梗処理装置11の始端まで伸延している。そして、機体平面視した場合には、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10とを、投影が重複するように配設している。すなわち、図3に示すように、一番揚穀コンベア8が二番還元コンベア10の上方に、その先端部を伸延させて配置している。
【0067】
上述のように、枝梗処理装置11が四番樋34の下方に配設されるため、二番還元コンベア10の終端も当然、四番樋34の水平位置近傍までしか伸延されない、すなわち、一番揚穀コンベア8の終端がグレンタンク35の上半部Bの後側面まで伸延されているのと対比し、終端(上端)が二番還元コンベア10の方が低く、短く形成されており、従って、一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10が上方に向かって狭窄状であれば、当然に平面視で投影が重複した状態となる。
【0068】
これにより、二番還元コンベア10の終端に枝梗処理装置11を設けても、一番揚穀コンベア8の先端部がその上方空間まで延伸することができ、重複する分だけ一番揚穀コンベア8と二番還元コンベア10との前後及び左右スペースを可及的に小さく形成して空間の有効化を図ることができる。
【符号の説明】
【0069】
A コンバイン
1 機体
4 脱穀部
5 選別部
20 扱胴
26 送塵口
6 送塵口処理胴
7 一番コンベア
8 一番揚穀コンベア
9 二番コンベア
10 二番還元コンベア
11 枝梗処理装置
18 フィードチェーン
19 排藁チェーン
24 戻しコンベア
41 受網
64 供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴を有する脱穀部と、
脱穀部で穀粒を揺動選別・風選別する選別部と、
脱穀部の送塵口に連通して脱穀物を再処理する送塵口処理胴と、
一番コンベアに連通した一番揚穀コンベアと、
二番コンベアに連通した二番還元コンベアと、
二番還元コンベアの終端に連通し二番物等を処理する枝梗処理装置と、を備えたコンバインにおいて、
送塵口処理胴の下方に枝梗処理した二番物を搬送するための戻しコンベアを設け、戻しコンベアの始端と枝梗処理装置の排出口とを連通したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
戻しコンベアの始端と枝梗処理装置の排出口との連通部は、送塵口処理胴の受網より後方に配設したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−207179(P2010−207179A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59306(P2009−59306)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】