コンバイン
【課題】低速走行での刈取作業における制御精度のばらつき低減、高速走行での刈取作業におけるハンチング・追従遅れの低減。
【解決手段】走行用静油圧式無段変速装置12と走行速度に同調して刈取装置4を変速駆動する刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するように制御出力するコントローラ60を設けたことを特徴とするコンバイン。
【解決手段】走行用静油圧式無段変速装置12と走行速度に同調して刈取装置4を変速駆動する刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するように制御出力するコントローラ60を設けたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行用静油圧式無段変速装置により走行速度を無段階に変速可能な走行装置の前方に刈取装置を設け、走行装置の上方には脱穀装置を設け、前記刈取装置は走行装置の走行速度に同調して刈取搬送用静油圧式無段変速装置により変速駆動する構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−35737
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置により刈取装置を走行速度に同調して変速駆動するため、低速走行における刈取作業では、負荷や油圧機構の特性により制御精度にばらつきが生じ、刈取装置への伝達回転が停止してしまう課題がある。
また、低速走行での刈取作業に合わせて、刈取装置への伝達回転が停止しないように出力すると、高速走行での刈取作業ではハンチングや追従遅れ(車速の変化に応じて刈取装置の回転数を変化させる追従が遅れること)という課題がある。
本願は、走行用静油圧式無段変速装置とは別の刈取搬送用静油圧式無段変速装置により刈取装置を駆動させる構成を採用し、低速から高速の間の何れの車速でも刈取装置に伝達する回転の制御精度を向上させるように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度を無段階に変速可能な走行装置3の前方に刈取装置4を設け、走行装置3の上方には脱穀装置2を設け、前記刈取装置4は走行装置3の走行速度に同調して刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速駆動する構成とし、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するように制御出力するコントローラ60を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行用静油圧式無段変速装置12によりエンジン22の一定回転を無段階に変速して走行装置3に伝達して走行し、走行装置3の走行速度に同調して刈取装置4の回転が変速され、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速する。
本発明では、前記コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、低速モードのときコントローラ60から断続的に出力され、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力される。
本発明では、前記コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、高速モードのときも断続出力とし、且つ、出力周期を低速モードのときに比し長く且つ出力時間も長く出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、高速モードのとき低速モードに比し出力周期が長く断続的に、しかも、出力時間も長く出力する。
本発明では、前記コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、車速が低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへの切り替わりをコントローラ60が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取作業中に、車速が低速モードから高速モードの対象範囲の走行速度へ、あるいは、高速モードから低速モードの対象範囲の走行速度に変化すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する。
例えば、車速が低速モードから高速モードへ切り替わるときには、車速は増速変化するので、高速モードを選択して制御する。
反対に、高速モードから低速モードへ切り替わるとき、車速は減速変化するので、低速モードを選択して制御する。
本発明では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に減速出力を行うとき、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ63が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取装置4の負荷によって刈取装置4を停止させてしまうおそれのある走行速度の範囲であっても、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21からの回転を停止させる刈取用HSTポンプのトラニオン軸の位置が停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる。
本発明では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への増速出力は出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する。
本発明では、前記コントローラ60の減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されると、減速および増速出力が夫々半減するように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、減速出力および増速出力を一定時間内に、交互に所定回数以上反復出力されると、以後の減速または増速出力が半減するように出力時間を調整する。
本発明では、コントローラ60からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、以後の減速または増速出力を一定時間毎に小さくするように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されると、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さくすべく、出力時間を調整する。
本発明では、コントローラ60からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、コントローラ60からの減速出力または増速出力を一定時間停止させる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力された場合、コントローラ60は減速・増速出力を一定時間停止させ、一定時間経過後再度出力を開始する。
本発明では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、該刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を電動モータにより回転させて減速するように構成し、前記電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ63を設け、コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への減速出力中に、前記モータポジションセンサ63は前記電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、前記減速出力を停止させる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行中であって減速出力中に、モータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、減速出力を停止させる。
本発明では、機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達したとき、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを前記の記憶モータポジション値以下に減速出力しない構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達すると、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、記憶したモータポジション値以下に減速出力しない。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、車速が所定走行速度より低速のときには低速モードで刈取搬送用静油圧式無段変速装置21から刈取装置4に回転出力させ、車速が所定走行速度より高速のときには高速モードで刈取搬送用静油圧式無段変速装置21から刈取装置4に回転出力させることができ、刈取装置4を低速から高速までの何れの走行速度にも同調させることができ、特に、負荷や油圧機構の特性による制御精度のばらつきを減少させて制御精度を向上させ、低速走行時の刈取装置4の回転停止発生を防止できて刈取作業の確実性を向上させ、高速時には走行速度への同調の追従性を向上させて刈取作業を安定させることができる。
請求項2の発明では、上記発明の効果に加え、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力するので、刈取装置4の回転停止発生を防止可能な繊細な回転制御を行えて制御精度を向上させ、操作性を向上させられる。
請求項3の発明では、上記発明の効果に加え、高速モードのとき低速モードに比し出力周期を長く且つ出力時間も長く断続出力して制御精度を向上させるので、走行速度の変化に対する刈取装置4の回転の追従性を向上させることができ、高速走行による刈取作業が可能になって、作業効率を向上させることができる。
請求項4の発明では、上記発明の効果に加え、制御モードを切替える所定速度付近での制御モードの選択を適切に行うことができ、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度に同調させた刈取装置4の駆動制御の制御精度を向上させるてハンチングの発生防止や追従性向上させることができ、特に、制御モードを切替える所定速度付近での操作を容易にできて、操作性を向上させることができる。
請求項5の発明では、上記発明の効果に加え、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への減速出力に際して、刈取装置4の回転停止させる付近の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の制御精度を向上させることができ、不用意な刈取装置4の停止を回避でき、刈取作業の安定性および確実性を向上させることができる。
請求項6の発明では、上記発明の効果に加え、増速出力に対する刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転増速の反応を適確にして、制御信号に対する追従性を向上させて制御精度を向上させることができ、ハンチングおよびオーバーシュート(過剰回転)となるのを防止することができる。
請求項7の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力および増速出力が所定回数以上反復されると、減速および増速出力を夫々半減するように出力時間を調整するので、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への信号出力を適正にでき、ハンチングを検出してオーバーシュートを抑制することができる。
請求項8の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力および増速出力が所定回数以上反復されると、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さく出力時間を調整するので、ハンチング動作を抑制することができる。
請求項9の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力および増速出力が所定回数以上反復されると、減速・増速出力を一定時間停止させるので、センサの検出値等の安定するのを待って再度出力を開始することができ、ハンチングを防止する。
請求項10の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力中に、モータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したと検出すると、減速出力を停止させるので、更に、減速出力することがなく制御精度を向上させ、刈取装置4の回転が停止してしまう事態の発生を回避することができ、微速の刈取作業を可能にする。
請求項11の発明では、上記発明の効果に加え、走行開始時の車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達すると、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを記憶モータポジション値以下に減速出力しないように制御精度を向上させることができ、減速出力されても必ず刈取装置4の回転数が所定値以上の回転数を確保でき、減速出力中の刈取装置4の回転停止を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取装置の回転数と車速との関係図。
【図3】伝動機構の概略図。
【図4】無段変速装置の油圧回路図。
【図5】ブロック図。
【図6】低速モードの増速出力図。
【図7】低速モードの減速出力図。
【図8】高速モードの増速出力図。
【図9】高速モードの減速出力図。
【図10】減速制御時の刈取用HSTモータ停止位置までの出力時間説明図。
【図11】ブロック図。
【図12】フローチャート図。
【図13】ブロック図。
【図14】フローチャート図。
【図15】フローチャート図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は機体フレ−ム、2は機体フレ−ム1の上方位置に設けた脱穀装置、3は機体フレ−ム1の下方位置に設けた走行装置、4は機体フレ−ム1の前方に設けた刈取装置、5は前記脱穀装置2の側部に設けた該脱穀装置2より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部、7はグレンタンク5内の穀物を揚穀する揚穀排出装置である。
前記刈取装置4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
10は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、11は穀稈供給搬送装置10の始端側に設けたシンクロ用前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置10は、前記刈取装置4で刈り取られた穀稈を、脱穀装置2の脱穀室(図示省略)へ穀稈供給口(図示省略)から供給し、脱穀されて脱穀室の穀稈排出口(図示省略)から排出するまで搬送するものであるが、刈取装置4で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置10まで搬送する構成は任意である。
【0009】
前記穀稈供給搬送装置10は、挾扼杆(図示省略)と搬送供給チエン(フィードチェン、図示省略)により構成する。挾扼杆は脱穀装置2の上部カバーに上下自在に取付けられ、搬送供給チエンに弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエンは無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール(図示省略)により案内されて移動するように構成する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度変更可能に構成し、刈取装置4へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにする。
走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図2のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインBにより変速するように構成する。
前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を変更して油圧モータ16への送油量を無段階に変更して回転を伝達し、油圧モータ16にも傾斜角度を二段階に切替可能なモータ斜板17を設け、機体の走行速度の上限を通常走行と高速走行への切替可能に構成する(図4)。
19はモータ斜板17を切替える切替手段(ソレノイド)である。
【0010】
この場合、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16を高速走行に切替えた状態であっても、前記主変速レバー13を最高速に操作しても、前記刈取装置4が刈取作業可能な走行速度となるように、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14から油圧モータ16への送油量を制限する車速制限制御を行うように構成する。
即ち、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16が高速状態で主変速レバー13を最高速に操作して油圧ポンプ14の回転を最大にすると、油圧モータ16の回転を最大にしたときの最高走行速度ラインCになり、この最速走行速度に同調させて刈取装置4を増速駆動させて刈取作業しても、走行速度の上がりすぎによる刈刃9の刈跡の悪化、藁量の増加による刈取装置4の詰まり・破損を招くことがあるが、本願では、所定条件(刈取作業中等)では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を制限して主変速レバー13を最も高速に操作したときでも、刈取装置4による刈取作業が可能な走行速度である制限速度ラインDとなるように車速制限制御を行う(図2)。
【0011】
そのため、主変速レバー13を最も高速に操作したときの、走行速度の上がりすぎによる刈刃9の刈跡の悪化、藁量の増加による刈取装置4の詰まり・破損を防止する。また、負荷の軽い麦刈取作業で稲より車速アップした作業が可能となる。
また、本願の走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成し、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11は、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により走行速度に同調させて変速する。
しかして、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度への同調は、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10とをエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
また、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝達回転は、走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が単独で刈取装置4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動するように構成する。
【0012】
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取装置4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させた状態で、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が単独でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10に手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0013】
エンジン22から走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への回転伝達機構の構成は任意であるが、一例を示すと、25Aは走行用出力プーリー、25Bは刈取脱穀用出力プーリー,26は走行用静油圧式無段変速装置12の入力プーリー、28は刈取脱穀用出力プーリー25Bの回転が伝達される中間プーリー,29は中間軸、30は中間歯車、31は中間伝動軸、32は一対の脱穀用伝達傘歯車、33は脱穀伝動軸、33Aは脱穀用中間プーリー、34は扱胴、35は処理胴、36は刈取用中間歯車、37は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸、38は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸、39は刈取用中間出力軸、40は搬送シンクロ用出力軸、41は穀稈供給搬送中間出力軸、41Aは供給搬送用プーリー、42は唐箕、43は穀稈供給搬送装置10の駆動歯車、44は刈取脱穀クラッチ、45は刈取用中間出力軸39に設けた刈取中間出力プーリー,46は刈取中間入力プーリー、47は刈取中間出力プーリー45と刈取中間入力プーリー46に掛け回したベルトである。
50は刈取用中間歯車36および刈取用中間出力軸39等を設けたギヤケースであり、ギヤケース50の操縦部6側に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。
51は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTポンプ、52は刈取用HSTモータである(図4)。
【0014】
しかして、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4の回転を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4の回転を走行速度に同調させて変速するようにコントローラ60は制御出力するように構成する。
車速に追随させて刈取装置4の回転制御する場合、低速から高速まで同じように制御出力すると、負荷や油圧機構の特性により制御精度にばらつきが生じ、ハンチングや追従遅れ(車速の変化に応じた刈取装置4の回転変化の追従が遅れること)が懸念される。
本願では、走行速度を車速センサ61により検出し、車速が所定走行速度より低速のときには低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するようにコントローラ60が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に制御出力するので、低速時には刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取装置4に安定した回転を出力して刈取作業の確実性を向上させる。また、高速時には追従性を向上させて刈取作業を安定させる。
【0015】
即ち、図2のように、刈取装置4の回転数を走行速度の増減速に同調させて変速するが、このときの走行速度の増減速に同調させるために刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の出力回転を増減速させる出力を、所定走行速度を基準に低速走行中では低速モードで実行し、高速走行では高速モードで実行する構成としている。
なお、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52の開度により刈取装置4の回転数が決定されるため、低速モードと高速モードの何れの場合でも、同一車速では刈取用HSTモータ52の開度が同一となり、それゆえ、刈取装置4の回転停止から通常回転までを図10は表示しており、減速制御時の刈取用HSTモータ停止位置(開度が零)までの出力時間が示されている。
62は刈取装置4の回転センサである(図5)。
【0016】
コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力するように構成する。
そのため、繊細な回転制御を行え、操作性を向上させられる。
【0017】
図6は低速モードのときの増速出力状態を示し、図7は低速モードのときの減速出力状態を示したものである。
また、コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、高速モードのときも断続出力とするが、出力周期を長く且つ出力時間も長く出力するように構成する。
そのため、走行速度の変化に対する刈取装置4の回転の追従性を向上させることができ、高速走行による刈取作業が可能になって、作業効率を向上させることができる。
図8は高速モードのときの増速出力状態を示し、図9は高速モードのときの減速出力状態を示したものである。
車速が低速モードから高速モードの範囲へ、あるいは、高速モードから低速モードの範囲へ出力モードの切り替わる走行速度に変化したとコントローラ60が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する。
【0018】
即ち、モード切替所定速度付近では、低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへと車速が変化するが、車速変化に対応した低速モードと高速モードとの選択を、車速が低速モードから高速モードへ切り替わるときには、車速は増速変化するので、高速モードを選択して制御する。
反対に、高速モードから低速モードへ切り替わるとき、車速は減速変化するので、低速モードを選択して制御する。
そのため、出力モードの切り替わり時のハンチングや追従性の不足を防止する。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に減速出力を行うときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ63が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる。
そのため、低速モードでは、刈取装置4の負荷によって刈取装置4を停止させてしまうおそれのある範囲であっても、不用意な刈取装置4の停止を回避でき、刈取作業の安定性および確実性を向上させる。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する。
【0019】
増速出力を連続で行うと、回転が制御に対して追従できなくなり、オーバーシュート(過剰回転)してしまう場合があるが、本願では、出力後、出力信号送出停止時間を設けることで、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータの動作に対する回転の追従状況をコントローラ60により判断させて、ハンチングおよびオーバーシュート(過剰回転)となるのを防止する。
前記減速出力および増速出力を一定時間内に、交互に所定回数以上反復操作したときには、コントローラ60は減速出力・増速出力が半減するように、この減速出力および増速出力が終了するまで、出力時間を調整する。
これによって、ハンチングを検出してオーバーシュートを抑制することができる。
前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復操作されたときには、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さくすべく、この減速出力および増速出力が終了するまで、出力時間を調整する。
そのため、ハンチング動作を抑制する。
【0020】
また、前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、コントローラ60は減速・増速出力を一定時間停止させてもよい。
センサの検出値等の安定するのを待って、再度出力を開始し、ハンチングを防止する。
走行中であって減速出力中に、刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を示すモータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、減速出力を停止させる。
既定の停止位置より所定未満の増速側位置となる微速の低速走行となったときに、更に、減速出力すると、刈取装置4の回転が停止してしまうので、減速出力を停止させて、刈取装置4の回転停止を回避し、微速の刈取作業を可能にする。
即ち、一般のHST機構では、動作停止について、実際の油圧出力停止位置より更に減速側に設定することが常識であるが、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の制御にあっては、既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したとき、減速出力を停止させる。
【0021】
機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達したとき、このときの刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、前記モータポジションを記憶モータポジション値以下に減速出力しないように制御する。
減速出力による刈取装置4の回転停止を回避する。
前記主変速レバー13の操作位置を検出する主変速レバー位置検出センサ65を設け(図5)、主変速レバー位置検出センサ65の検出値に基づく走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14の開度に作動させ、機体の走行速度を設定するように構成する。
前記油圧ポンプ14の開度は、主変速レバー13の操作位置の検出情報と、操作前の主変速レバー13の操作前位置情報とを元に設定するように構成する。
そのため、油圧ポンプ14の開度を、操作前の主変速レバー13の操作前位置情報と主変速レバー13の操作位置の検出情報とから演算された情報により設定できるため、オペレータが急激な主変速レバー13の操作を行った場合の車速の加減速を低減(または増加)させられ、車速の急変を回避できる。
【0022】
即ち、単に、主変速レバー13の操作位置に応じた走行速度となるように、油圧ポンプ14を開閉させると、車速が急変することがあるが、油圧ポンプ14を、操作前の主変速レバー13の操作前位置情報と主変速レバー13の操作位置の検出情報とから演算された情報により開閉するので、主変速レバー13の操作位置に応じた走行速度に到達するまでの加速程度を予め演算処理された加速程度とすることができ、乗り心地を良好にし、走行用静油圧式無段変速装置12の耐久性を向上させられる。
前記主変速レバー位置検出センサ65の検出値をコントローラ60は移動平均処理し、走行用静油圧式無段変速装置12のバルブの通電を行うソレノイド(図示省略)の選択と通電電流の移動平均化処理に基づいて設定印加するように構成する。
前記刈取装置4の作業中か否かを検出する作業有無感知センサ68を設け(図5)、刈取装置4の非作業中では、作業中に比し、主変速レバー13の操作位置に対する走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14の開度の変更の応答が遅くなる構成とする。
そのため、路上走行と刈取作業中の変速操作のレスポンスに変化を持たせることができ、路上走行では滑らかな変速を可能にしつつ圃場内での刈取作業中の機動性に富んだ変速操作が可能となる。
【0023】
前記作業有無感知センサ68は、刈取装置4および脱穀装置2への伝動を入切する刈取脱穀クラッチセンサ69により刈取装置4の非作業中と作業中とを検出するようにして構成し、前記主変速レバー位置検出センサ65の検出値によるコントローラ60の移動平均処理時間を、非作業中では作業中より長く(遅く)する。
前記コンバインには、ノッタ/カッタ等の作業機構(図示省略)を搭載可能に構成し、作業機構の搭載の有無を検出する有無感知手段71を設け(図5)、作業機構の搭載の有無により各部の作業回転数の最高値を切り替えるように構成する。
例えば、ノッタを搭載した場合、高速作業では藁量が増大して結束ミスが発生するおそれがあるが、ノッタを搭載しているときには自動的に車速を押さえるため、作業機に応じた車速を容易に選択でき、誤って作業機の許容範囲を越えた走行速度になることに起因して発生する詰まりや破損を防止する。
操縦部6には駐車ブレーキペダル72を設ける。駐車ブレーキペダル72を踏むと走行用静油圧式無段変速装置12を中立位置にする(前後進のニュートラル位置)。操縦部6には別途掻込ペダル73を設け、駐車ブレーキペダル72によらず掻込ペダル73によっても走行用静油圧式無段変速装置12を増減速させるアクチュエータ(図示省略)に出力し、走行用静油圧式無段変速装置12を中立位置にする。
【0024】
そして、掻込ペダル73により走行用静油圧式無段変速装置12の中立が保持され、主変速レバー13を中立位置に戻すか、あるいは、主変速レバー13の新たな操作が有るまで、掻込ペダル73による走行用静油圧式無段変速装置12の中立が保持される。
したがって、畦際まで刈取走行して主変速レバー13を減速操作し、掻込ペダル73を踏むと機体は必ず停止し、この状態で刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を駆動するまで、掻込作業を行え、安全且つ操作が容易である。
74はHSTポジションセンサである。
走行用静油圧式無段変速装置12は、エンジンの回転を一定に維持する負荷制御が行われるように構成する。
【0025】
脱穀装置2の負荷が上昇して、エンジンの回転数が落ちると、走行用静油圧式無段変速装置12により車速を遅くして、脱穀装置2への穀稈供給量を減少させて負荷を軽減させ、エンジンの一定回転を保持する(図14)。
この場合、負荷制御中に、機体を旋回させる旋回操作があったときには、旋回時の走行負荷でエンジン回転数が低下しないように燃料噴射量を増し、旋回操作前の速度を維持するように構成する(図15)。
そのため、旋回を円滑に行うことができる。
即ち、旋回中では、主変速レバー13の操作位置に応じた出力値を走行用静油圧式無段変速装置12に出力し、旋回操作の直前の状態を維持し、旋回が終了して穀稈センサ75のオンにより負荷制御の牽制を解除し、エンジンの回転を一定に維持するために、車速を落とす。
したがって、旋回後の負荷制御の開始を適確に行えて、脱穀装置2の作動を安定させることができる。
76はパワステポジションセンサである。
【0026】
(実施例の作用)
機体を走行させると、刈取装置4が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取装置4により搬送された穀稈はシンクロ用前側供給搬送装置11に引き継がれ、シンクロ用前側供給搬送装置11は穀稈を穀稈供給搬送装置10に受け渡し、穀稈供給搬送装置10は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置2の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により主変速レバー13を傾倒させると、走行用静油圧式無段変速装置12がエンジン22の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により走行装置3の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取装置4は走行速度に応じて最適な作業回転数が伝達される。
即ち、主変速レバー13を傾倒操作すると、走行用静油圧式無段変速装置12によエンジン22の一定回転が無段階に変速されて走行装置3に伝達され、走行装置3の走行速度に同調して刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速される。
【0027】
しかして、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するようにコントローラ60は制御出力するように構成しているので、負荷や油圧機構の特性による制御精度にばらつきを発生させず、低速時には刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取装置4に安定した回転を出力して刈取作業の確実性を向上させ、高速時には追従性を向上させて刈取作業を安定させる。
コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力するように構成しているので、繊細な回転制御を行え、操作性を向上させられる。
【0028】
コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、高速モードのときも断続出力とするが、出力周期を長く且つ出力時間も長く出力するように構成しているので、走行速度の変化に対する刈取装置4の回転の追従性を向上させることができ、高速走行による刈取作業が可能になって、作業効率を向上させることができる。
車速が、低速モードから高速モードへ出力モードが切替わる走行速度、あるいは、高速モードから低速モードへ出力モードが切替わる走行速度であるとコントローラ60が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御するので、制御モードを切替える所定速度付近で、低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへと車速が変化するときでも、低速モードと高速モードとの選択を、そのときの車速の変化の態様によって行うので、最適な制御モードを選択することができる。
【0029】
例えば、車速が低速モードから高速モードへ切り替わるときには、車速は増速変化するので、高速モードを選択して制御する。
反対に、高速モードから低速モードへ切り替わるとき、車速は減速変化するので、低速モードを選択して制御する。
そのため、出力モードの切り替わり時のハンチングや追従性の不足を防止する。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に減速出力を行うときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサモータポジションセンサ63が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させるので、低速モードでは、刈取装置4の負荷によって刈取装置4を停止させてしまうおそれのある範囲であっても、不用意な刈取装置4の停止を回避でき、刈取作業の安定性および確実性を向上させる。
【0030】
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力するので、増速出力を連続で行うと、回転が制御に対して追従できなくなり、オーバーシュート(過剰回転)してしまう場合があるが、本願では、出力後、出力信号送出停止時間を設けることで、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータの動作に対する回転の追従状況をコントローラ60により判断させて、ハンチングおよびオーバーシュート(過剰回転)となるのを防止する。
前記減速出力および増速出力を一定時間内に、交互に所定回数以上反復出力したときには、コントローラ60は減速・増速出力が半減するように、出力時間を調整するので、ハンチングを検出してオーバーシュートを抑制する。
前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力したときには、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さくすべく、出力時間を調整するので、ハンチング動作を抑制する。
【0031】
また、前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力したときには、コントローラ60は減速・増速出力を一定時間停止させるように構成すると、センサの検出値等の安定するのを待って、再度出力を開始し、ハンチングを防止する。
走行中であって減速出力中に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、減速出力を停止させるので、既定の停止位置より所定未満の増速側位置となる微速の低速走行となったときに、更に、減速出力すると、刈取装置4の回転が停止してしまうが、減速出力を停止させて、刈取装置4の回転停止を回避でき、微速の刈取作業を可能にする。
【0032】
機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達したとき、この走行速度のときの刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを記憶モータポジション値以下に減速出力しないように制御するので、減速出力による刈取装置4の回転停止を回避する。
しかして、走行装置3の走行速度を変速する走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速するが、更に、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17も傾斜角度を二段階に切替可能(切替操作手段の構成は任意)に構成し、通常走行と高速走行との切替え可能に構成しているから、通常走行速度(標準側)で刈取作業(標準作業および倒伏作業)を行い、高速走行速度(高速側)で走行して移動時間を短縮する。
【0033】
しかして、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12とは別個に刈取装置4の専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設け、走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とにより、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転を走行装置3の走行速度に同調して変速するように構成しているので、この刈取装置4の専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による特有の作用について以下詳述する。
走行装置3の走行速度は主変速レバー13の操作により走行速度を変速し、この走行速度に対して、例えば、図2の走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAより上昇率の高い加速をするようにした倒伏作業ラインBとを選択的に採用して、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させる。
【0034】
刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝動回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独で刈取装置4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させることができるので、作業態様を広げ、汎用性を向上させられる。
即ち、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができるので、機体走行開始直後から安定して刈取装置4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させることができるので、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給する供給作業を容易にでき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0035】
しかして、エンジン22の回転が中間プーリー28に伝達され、中間プーリー28は中間軸29と中間歯車30を介してケースの中間伝動軸31に回転を伝達し、中間伝動軸31で扱胴34側と穀稈供給搬送中間出力軸41および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とに伝動を分岐する。
脱穀用伝達傘歯車32に伝達された回転は扱胴34に伝達して駆動する。
中間伝動軸31の回転は穀稈供給搬送中間出力軸41に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転は穀稈供給搬送装置10の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置10を駆動する。
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸41は走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とは無関係にエンジン22からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置10に伝達し、穀稈供給搬送装置10と扱胴34とは常時同じ関係で回転する。
【0036】
穀稈供給搬送中間出力軸41の下手側には刈取用中間歯車36により回転が伝達される刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37を設けているので、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプに入力されて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のモータから変速された回転が刈取HST出力軸38により出力され、刈取HST出力軸38は刈取用中間出力軸39および搬送シンクロ用出力軸40により刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動回転させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しており、ブロック図等を含めたこれらの実施例は相互に夫々種々組合せ可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…機体フレ−ム、2…脱穀装置、3…走行装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、10…穀稈供給搬送装置、11…シンクロ用前側供給搬送装置、12…走行用静油圧式無段変速装置、13…主変速レバー、14…油圧ポンプ、15…ポンプ斜板、16…油圧モータ、17…モータ斜板、18…ミッションケース、21…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、22…エンジン、26…入力プーリー、27…ミッションケース、28…中間プーリー、29…中間軸、30…中間歯車、31…中間伝動軸、32…脱穀用伝達傘歯車、33…脱穀伝動軸、34…扱胴、35…処理胴、36…刈取用中間歯車、37…刈取HST入力軸、38…刈取HST出力軸、39…刈取用中間出力軸、40…搬送シンクロ用出力軸、41…穀稈供給搬送中間出力軸、42…唐箕、43…駆動歯車、44…刈取脱穀クラッチ、45…刈取中間出力プーリー、46…刈取中間入力プーリー、47…ベルト、50…ギヤケース、52…刈取用HSTモータ、60…コントローラ、61…車速センサ、63…モータポジションセンサ、65…主変速レバー位置検出センサ、68…作業有無感知センサ、69…刈取脱穀クラッチセンサ、71…有無感知手段、72…駐車ブレーキペダル、73…掻込ペダル、75…穀稈センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行用静油圧式無段変速装置により走行速度を無段階に変速可能な走行装置の前方に刈取装置を設け、走行装置の上方には脱穀装置を設け、前記刈取装置は走行装置の走行速度に同調して刈取搬送用静油圧式無段変速装置により変速駆動する構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−35737
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置により刈取装置を走行速度に同調して変速駆動するため、低速走行における刈取作業では、負荷や油圧機構の特性により制御精度にばらつきが生じ、刈取装置への伝達回転が停止してしまう課題がある。
また、低速走行での刈取作業に合わせて、刈取装置への伝達回転が停止しないように出力すると、高速走行での刈取作業ではハンチングや追従遅れ(車速の変化に応じて刈取装置の回転数を変化させる追従が遅れること)という課題がある。
本願は、走行用静油圧式無段変速装置とは別の刈取搬送用静油圧式無段変速装置により刈取装置を駆動させる構成を採用し、低速から高速の間の何れの車速でも刈取装置に伝達する回転の制御精度を向上させるように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度を無段階に変速可能な走行装置3の前方に刈取装置4を設け、走行装置3の上方には脱穀装置2を設け、前記刈取装置4は走行装置3の走行速度に同調して刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速駆動する構成とし、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するように制御出力するコントローラ60を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行用静油圧式無段変速装置12によりエンジン22の一定回転を無段階に変速して走行装置3に伝達して走行し、走行装置3の走行速度に同調して刈取装置4の回転が変速され、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速する。
本発明では、前記コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、低速モードのときコントローラ60から断続的に出力され、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力される。
本発明では、前記コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、高速モードのときも断続出力とし、且つ、出力周期を低速モードのときに比し長く且つ出力時間も長く出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、高速モードのとき低速モードに比し出力周期が長く断続的に、しかも、出力時間も長く出力する。
本発明では、前記コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、車速が低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへの切り替わりをコントローラ60が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取作業中に、車速が低速モードから高速モードの対象範囲の走行速度へ、あるいは、高速モードから低速モードの対象範囲の走行速度に変化すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する。
例えば、車速が低速モードから高速モードへ切り替わるときには、車速は増速変化するので、高速モードを選択して制御する。
反対に、高速モードから低速モードへ切り替わるとき、車速は減速変化するので、低速モードを選択して制御する。
本発明では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に減速出力を行うとき、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ63が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取装置4の負荷によって刈取装置4を停止させてしまうおそれのある走行速度の範囲であっても、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21からの回転を停止させる刈取用HSTポンプのトラニオン軸の位置が停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる。
本発明では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への増速出力は出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する。
本発明では、前記コントローラ60の減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されると、減速および増速出力が夫々半減するように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、減速出力および増速出力を一定時間内に、交互に所定回数以上反復出力されると、以後の減速または増速出力が半減するように出力時間を調整する。
本発明では、コントローラ60からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、以後の減速または増速出力を一定時間毎に小さくするように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されると、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さくすべく、出力時間を調整する。
本発明では、コントローラ60からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、コントローラ60からの減速出力または増速出力を一定時間停止させる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力された場合、コントローラ60は減速・増速出力を一定時間停止させ、一定時間経過後再度出力を開始する。
本発明では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、該刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を電動モータにより回転させて減速するように構成し、前記電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ63を設け、コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への減速出力中に、前記モータポジションセンサ63は前記電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、前記減速出力を停止させる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行中であって減速出力中に、モータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、減速出力を停止させる。
本発明では、機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達したとき、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを前記の記憶モータポジション値以下に減速出力しない構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達すると、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、記憶したモータポジション値以下に減速出力しない。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、車速が所定走行速度より低速のときには低速モードで刈取搬送用静油圧式無段変速装置21から刈取装置4に回転出力させ、車速が所定走行速度より高速のときには高速モードで刈取搬送用静油圧式無段変速装置21から刈取装置4に回転出力させることができ、刈取装置4を低速から高速までの何れの走行速度にも同調させることができ、特に、負荷や油圧機構の特性による制御精度のばらつきを減少させて制御精度を向上させ、低速走行時の刈取装置4の回転停止発生を防止できて刈取作業の確実性を向上させ、高速時には走行速度への同調の追従性を向上させて刈取作業を安定させることができる。
請求項2の発明では、上記発明の効果に加え、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力するので、刈取装置4の回転停止発生を防止可能な繊細な回転制御を行えて制御精度を向上させ、操作性を向上させられる。
請求項3の発明では、上記発明の効果に加え、高速モードのとき低速モードに比し出力周期を長く且つ出力時間も長く断続出力して制御精度を向上させるので、走行速度の変化に対する刈取装置4の回転の追従性を向上させることができ、高速走行による刈取作業が可能になって、作業効率を向上させることができる。
請求項4の発明では、上記発明の効果に加え、制御モードを切替える所定速度付近での制御モードの選択を適切に行うことができ、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度に同調させた刈取装置4の駆動制御の制御精度を向上させるてハンチングの発生防止や追従性向上させることができ、特に、制御モードを切替える所定速度付近での操作を容易にできて、操作性を向上させることができる。
請求項5の発明では、上記発明の効果に加え、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への減速出力に際して、刈取装置4の回転停止させる付近の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の制御精度を向上させることができ、不用意な刈取装置4の停止を回避でき、刈取作業の安定性および確実性を向上させることができる。
請求項6の発明では、上記発明の効果に加え、増速出力に対する刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転増速の反応を適確にして、制御信号に対する追従性を向上させて制御精度を向上させることができ、ハンチングおよびオーバーシュート(過剰回転)となるのを防止することができる。
請求項7の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力および増速出力が所定回数以上反復されると、減速および増速出力を夫々半減するように出力時間を調整するので、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への信号出力を適正にでき、ハンチングを検出してオーバーシュートを抑制することができる。
請求項8の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力および増速出力が所定回数以上反復されると、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さく出力時間を調整するので、ハンチング動作を抑制することができる。
請求項9の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力および増速出力が所定回数以上反復されると、減速・増速出力を一定時間停止させるので、センサの検出値等の安定するのを待って再度出力を開始することができ、ハンチングを防止する。
請求項10の発明では、上記発明の効果に加え、減速出力中に、モータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したと検出すると、減速出力を停止させるので、更に、減速出力することがなく制御精度を向上させ、刈取装置4の回転が停止してしまう事態の発生を回避することができ、微速の刈取作業を可能にする。
請求項11の発明では、上記発明の効果に加え、走行開始時の車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達すると、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを記憶モータポジション値以下に減速出力しないように制御精度を向上させることができ、減速出力されても必ず刈取装置4の回転数が所定値以上の回転数を確保でき、減速出力中の刈取装置4の回転停止を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取装置の回転数と車速との関係図。
【図3】伝動機構の概略図。
【図4】無段変速装置の油圧回路図。
【図5】ブロック図。
【図6】低速モードの増速出力図。
【図7】低速モードの減速出力図。
【図8】高速モードの増速出力図。
【図9】高速モードの減速出力図。
【図10】減速制御時の刈取用HSTモータ停止位置までの出力時間説明図。
【図11】ブロック図。
【図12】フローチャート図。
【図13】ブロック図。
【図14】フローチャート図。
【図15】フローチャート図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は機体フレ−ム、2は機体フレ−ム1の上方位置に設けた脱穀装置、3は機体フレ−ム1の下方位置に設けた走行装置、4は機体フレ−ム1の前方に設けた刈取装置、5は前記脱穀装置2の側部に設けた該脱穀装置2より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部、7はグレンタンク5内の穀物を揚穀する揚穀排出装置である。
前記刈取装置4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
10は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、11は穀稈供給搬送装置10の始端側に設けたシンクロ用前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置10は、前記刈取装置4で刈り取られた穀稈を、脱穀装置2の脱穀室(図示省略)へ穀稈供給口(図示省略)から供給し、脱穀されて脱穀室の穀稈排出口(図示省略)から排出するまで搬送するものであるが、刈取装置4で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置10まで搬送する構成は任意である。
【0009】
前記穀稈供給搬送装置10は、挾扼杆(図示省略)と搬送供給チエン(フィードチェン、図示省略)により構成する。挾扼杆は脱穀装置2の上部カバーに上下自在に取付けられ、搬送供給チエンに弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエンは無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール(図示省略)により案内されて移動するように構成する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度変更可能に構成し、刈取装置4へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにする。
走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図2のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインBにより変速するように構成する。
前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を変更して油圧モータ16への送油量を無段階に変更して回転を伝達し、油圧モータ16にも傾斜角度を二段階に切替可能なモータ斜板17を設け、機体の走行速度の上限を通常走行と高速走行への切替可能に構成する(図4)。
19はモータ斜板17を切替える切替手段(ソレノイド)である。
【0010】
この場合、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16を高速走行に切替えた状態であっても、前記主変速レバー13を最高速に操作しても、前記刈取装置4が刈取作業可能な走行速度となるように、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14から油圧モータ16への送油量を制限する車速制限制御を行うように構成する。
即ち、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16が高速状態で主変速レバー13を最高速に操作して油圧ポンプ14の回転を最大にすると、油圧モータ16の回転を最大にしたときの最高走行速度ラインCになり、この最速走行速度に同調させて刈取装置4を増速駆動させて刈取作業しても、走行速度の上がりすぎによる刈刃9の刈跡の悪化、藁量の増加による刈取装置4の詰まり・破損を招くことがあるが、本願では、所定条件(刈取作業中等)では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を制限して主変速レバー13を最も高速に操作したときでも、刈取装置4による刈取作業が可能な走行速度である制限速度ラインDとなるように車速制限制御を行う(図2)。
【0011】
そのため、主変速レバー13を最も高速に操作したときの、走行速度の上がりすぎによる刈刃9の刈跡の悪化、藁量の増加による刈取装置4の詰まり・破損を防止する。また、負荷の軽い麦刈取作業で稲より車速アップした作業が可能となる。
また、本願の走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成し、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11は、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により走行速度に同調させて変速する。
しかして、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度への同調は、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10とをエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
また、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝達回転は、走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が単独で刈取装置4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動するように構成する。
【0012】
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取装置4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させた状態で、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が単独でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10に手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0013】
エンジン22から走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への回転伝達機構の構成は任意であるが、一例を示すと、25Aは走行用出力プーリー、25Bは刈取脱穀用出力プーリー,26は走行用静油圧式無段変速装置12の入力プーリー、28は刈取脱穀用出力プーリー25Bの回転が伝達される中間プーリー,29は中間軸、30は中間歯車、31は中間伝動軸、32は一対の脱穀用伝達傘歯車、33は脱穀伝動軸、33Aは脱穀用中間プーリー、34は扱胴、35は処理胴、36は刈取用中間歯車、37は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸、38は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸、39は刈取用中間出力軸、40は搬送シンクロ用出力軸、41は穀稈供給搬送中間出力軸、41Aは供給搬送用プーリー、42は唐箕、43は穀稈供給搬送装置10の駆動歯車、44は刈取脱穀クラッチ、45は刈取用中間出力軸39に設けた刈取中間出力プーリー,46は刈取中間入力プーリー、47は刈取中間出力プーリー45と刈取中間入力プーリー46に掛け回したベルトである。
50は刈取用中間歯車36および刈取用中間出力軸39等を設けたギヤケースであり、ギヤケース50の操縦部6側に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。
51は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTポンプ、52は刈取用HSTモータである(図4)。
【0014】
しかして、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4の回転を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4の回転を走行速度に同調させて変速するようにコントローラ60は制御出力するように構成する。
車速に追随させて刈取装置4の回転制御する場合、低速から高速まで同じように制御出力すると、負荷や油圧機構の特性により制御精度にばらつきが生じ、ハンチングや追従遅れ(車速の変化に応じた刈取装置4の回転変化の追従が遅れること)が懸念される。
本願では、走行速度を車速センサ61により検出し、車速が所定走行速度より低速のときには低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するようにコントローラ60が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に制御出力するので、低速時には刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取装置4に安定した回転を出力して刈取作業の確実性を向上させる。また、高速時には追従性を向上させて刈取作業を安定させる。
【0015】
即ち、図2のように、刈取装置4の回転数を走行速度の増減速に同調させて変速するが、このときの走行速度の増減速に同調させるために刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の出力回転を増減速させる出力を、所定走行速度を基準に低速走行中では低速モードで実行し、高速走行では高速モードで実行する構成としている。
なお、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52の開度により刈取装置4の回転数が決定されるため、低速モードと高速モードの何れの場合でも、同一車速では刈取用HSTモータ52の開度が同一となり、それゆえ、刈取装置4の回転停止から通常回転までを図10は表示しており、減速制御時の刈取用HSTモータ停止位置(開度が零)までの出力時間が示されている。
62は刈取装置4の回転センサである(図5)。
【0016】
コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力するように構成する。
そのため、繊細な回転制御を行え、操作性を向上させられる。
【0017】
図6は低速モードのときの増速出力状態を示し、図7は低速モードのときの減速出力状態を示したものである。
また、コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、高速モードのときも断続出力とするが、出力周期を長く且つ出力時間も長く出力するように構成する。
そのため、走行速度の変化に対する刈取装置4の回転の追従性を向上させることができ、高速走行による刈取作業が可能になって、作業効率を向上させることができる。
図8は高速モードのときの増速出力状態を示し、図9は高速モードのときの減速出力状態を示したものである。
車速が低速モードから高速モードの範囲へ、あるいは、高速モードから低速モードの範囲へ出力モードの切り替わる走行速度に変化したとコントローラ60が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する。
【0018】
即ち、モード切替所定速度付近では、低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへと車速が変化するが、車速変化に対応した低速モードと高速モードとの選択を、車速が低速モードから高速モードへ切り替わるときには、車速は増速変化するので、高速モードを選択して制御する。
反対に、高速モードから低速モードへ切り替わるとき、車速は減速変化するので、低速モードを選択して制御する。
そのため、出力モードの切り替わり時のハンチングや追従性の不足を防止する。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に減速出力を行うときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ63が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる。
そのため、低速モードでは、刈取装置4の負荷によって刈取装置4を停止させてしまうおそれのある範囲であっても、不用意な刈取装置4の停止を回避でき、刈取作業の安定性および確実性を向上させる。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する。
【0019】
増速出力を連続で行うと、回転が制御に対して追従できなくなり、オーバーシュート(過剰回転)してしまう場合があるが、本願では、出力後、出力信号送出停止時間を設けることで、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータの動作に対する回転の追従状況をコントローラ60により判断させて、ハンチングおよびオーバーシュート(過剰回転)となるのを防止する。
前記減速出力および増速出力を一定時間内に、交互に所定回数以上反復操作したときには、コントローラ60は減速出力・増速出力が半減するように、この減速出力および増速出力が終了するまで、出力時間を調整する。
これによって、ハンチングを検出してオーバーシュートを抑制することができる。
前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復操作されたときには、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さくすべく、この減速出力および増速出力が終了するまで、出力時間を調整する。
そのため、ハンチング動作を抑制する。
【0020】
また、前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、コントローラ60は減速・増速出力を一定時間停止させてもよい。
センサの検出値等の安定するのを待って、再度出力を開始し、ハンチングを防止する。
走行中であって減速出力中に、刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を示すモータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、減速出力を停止させる。
既定の停止位置より所定未満の増速側位置となる微速の低速走行となったときに、更に、減速出力すると、刈取装置4の回転が停止してしまうので、減速出力を停止させて、刈取装置4の回転停止を回避し、微速の刈取作業を可能にする。
即ち、一般のHST機構では、動作停止について、実際の油圧出力停止位置より更に減速側に設定することが常識であるが、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の制御にあっては、既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したとき、減速出力を停止させる。
【0021】
機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達したとき、このときの刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、前記モータポジションを記憶モータポジション値以下に減速出力しないように制御する。
減速出力による刈取装置4の回転停止を回避する。
前記主変速レバー13の操作位置を検出する主変速レバー位置検出センサ65を設け(図5)、主変速レバー位置検出センサ65の検出値に基づく走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14の開度に作動させ、機体の走行速度を設定するように構成する。
前記油圧ポンプ14の開度は、主変速レバー13の操作位置の検出情報と、操作前の主変速レバー13の操作前位置情報とを元に設定するように構成する。
そのため、油圧ポンプ14の開度を、操作前の主変速レバー13の操作前位置情報と主変速レバー13の操作位置の検出情報とから演算された情報により設定できるため、オペレータが急激な主変速レバー13の操作を行った場合の車速の加減速を低減(または増加)させられ、車速の急変を回避できる。
【0022】
即ち、単に、主変速レバー13の操作位置に応じた走行速度となるように、油圧ポンプ14を開閉させると、車速が急変することがあるが、油圧ポンプ14を、操作前の主変速レバー13の操作前位置情報と主変速レバー13の操作位置の検出情報とから演算された情報により開閉するので、主変速レバー13の操作位置に応じた走行速度に到達するまでの加速程度を予め演算処理された加速程度とすることができ、乗り心地を良好にし、走行用静油圧式無段変速装置12の耐久性を向上させられる。
前記主変速レバー位置検出センサ65の検出値をコントローラ60は移動平均処理し、走行用静油圧式無段変速装置12のバルブの通電を行うソレノイド(図示省略)の選択と通電電流の移動平均化処理に基づいて設定印加するように構成する。
前記刈取装置4の作業中か否かを検出する作業有無感知センサ68を設け(図5)、刈取装置4の非作業中では、作業中に比し、主変速レバー13の操作位置に対する走行用静油圧式無段変速装置12の油圧ポンプ14の開度の変更の応答が遅くなる構成とする。
そのため、路上走行と刈取作業中の変速操作のレスポンスに変化を持たせることができ、路上走行では滑らかな変速を可能にしつつ圃場内での刈取作業中の機動性に富んだ変速操作が可能となる。
【0023】
前記作業有無感知センサ68は、刈取装置4および脱穀装置2への伝動を入切する刈取脱穀クラッチセンサ69により刈取装置4の非作業中と作業中とを検出するようにして構成し、前記主変速レバー位置検出センサ65の検出値によるコントローラ60の移動平均処理時間を、非作業中では作業中より長く(遅く)する。
前記コンバインには、ノッタ/カッタ等の作業機構(図示省略)を搭載可能に構成し、作業機構の搭載の有無を検出する有無感知手段71を設け(図5)、作業機構の搭載の有無により各部の作業回転数の最高値を切り替えるように構成する。
例えば、ノッタを搭載した場合、高速作業では藁量が増大して結束ミスが発生するおそれがあるが、ノッタを搭載しているときには自動的に車速を押さえるため、作業機に応じた車速を容易に選択でき、誤って作業機の許容範囲を越えた走行速度になることに起因して発生する詰まりや破損を防止する。
操縦部6には駐車ブレーキペダル72を設ける。駐車ブレーキペダル72を踏むと走行用静油圧式無段変速装置12を中立位置にする(前後進のニュートラル位置)。操縦部6には別途掻込ペダル73を設け、駐車ブレーキペダル72によらず掻込ペダル73によっても走行用静油圧式無段変速装置12を増減速させるアクチュエータ(図示省略)に出力し、走行用静油圧式無段変速装置12を中立位置にする。
【0024】
そして、掻込ペダル73により走行用静油圧式無段変速装置12の中立が保持され、主変速レバー13を中立位置に戻すか、あるいは、主変速レバー13の新たな操作が有るまで、掻込ペダル73による走行用静油圧式無段変速装置12の中立が保持される。
したがって、畦際まで刈取走行して主変速レバー13を減速操作し、掻込ペダル73を踏むと機体は必ず停止し、この状態で刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を駆動するまで、掻込作業を行え、安全且つ操作が容易である。
74はHSTポジションセンサである。
走行用静油圧式無段変速装置12は、エンジンの回転を一定に維持する負荷制御が行われるように構成する。
【0025】
脱穀装置2の負荷が上昇して、エンジンの回転数が落ちると、走行用静油圧式無段変速装置12により車速を遅くして、脱穀装置2への穀稈供給量を減少させて負荷を軽減させ、エンジンの一定回転を保持する(図14)。
この場合、負荷制御中に、機体を旋回させる旋回操作があったときには、旋回時の走行負荷でエンジン回転数が低下しないように燃料噴射量を増し、旋回操作前の速度を維持するように構成する(図15)。
そのため、旋回を円滑に行うことができる。
即ち、旋回中では、主変速レバー13の操作位置に応じた出力値を走行用静油圧式無段変速装置12に出力し、旋回操作の直前の状態を維持し、旋回が終了して穀稈センサ75のオンにより負荷制御の牽制を解除し、エンジンの回転を一定に維持するために、車速を落とす。
したがって、旋回後の負荷制御の開始を適確に行えて、脱穀装置2の作動を安定させることができる。
76はパワステポジションセンサである。
【0026】
(実施例の作用)
機体を走行させると、刈取装置4が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取装置4により搬送された穀稈はシンクロ用前側供給搬送装置11に引き継がれ、シンクロ用前側供給搬送装置11は穀稈を穀稈供給搬送装置10に受け渡し、穀稈供給搬送装置10は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置2の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により主変速レバー13を傾倒させると、走行用静油圧式無段変速装置12がエンジン22の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により走行装置3の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取装置4は走行速度に応じて最適な作業回転数が伝達される。
即ち、主変速レバー13を傾倒操作すると、走行用静油圧式無段変速装置12によエンジン22の一定回転が無段階に変速されて走行装置3に伝達され、走行装置3の走行速度に同調して刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速される。
【0027】
しかして、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置4を走行速度に同調させて変速するようにコントローラ60は制御出力するように構成しているので、負荷や油圧機構の特性による制御精度にばらつきを発生させず、低速時には刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取装置4に安定した回転を出力して刈取作業の確実性を向上させ、高速時には追従性を向上させて刈取作業を安定させる。
コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力するように構成しているので、繊細な回転制御を行え、操作性を向上させられる。
【0028】
コントローラ60による刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への制御出力は、高速モードのときも断続出力とするが、出力周期を長く且つ出力時間も長く出力するように構成しているので、走行速度の変化に対する刈取装置4の回転の追従性を向上させることができ、高速走行による刈取作業が可能になって、作業効率を向上させることができる。
車速が、低速モードから高速モードへ出力モードが切替わる走行速度、あるいは、高速モードから低速モードへ出力モードが切替わる走行速度であるとコントローラ60が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御するので、制御モードを切替える所定速度付近で、低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへと車速が変化するときでも、低速モードと高速モードとの選択を、そのときの車速の変化の態様によって行うので、最適な制御モードを選択することができる。
【0029】
例えば、車速が低速モードから高速モードへ切り替わるときには、車速は増速変化するので、高速モードを選択して制御する。
反対に、高速モードから低速モードへ切り替わるとき、車速は減速変化するので、低速モードを選択して制御する。
そのため、出力モードの切り替わり時のハンチングや追従性の不足を防止する。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に減速出力を行うときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサモータポジションセンサ63が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させるので、低速モードでは、刈取装置4の負荷によって刈取装置4を停止させてしまうおそれのある範囲であっても、不用意な刈取装置4の停止を回避でき、刈取作業の安定性および確実性を向上させる。
【0030】
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力するので、増速出力を連続で行うと、回転が制御に対して追従できなくなり、オーバーシュート(過剰回転)してしまう場合があるが、本願では、出力後、出力信号送出停止時間を設けることで、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータの動作に対する回転の追従状況をコントローラ60により判断させて、ハンチングおよびオーバーシュート(過剰回転)となるのを防止する。
前記減速出力および増速出力を一定時間内に、交互に所定回数以上反復出力したときには、コントローラ60は減速・増速出力が半減するように、出力時間を調整するので、ハンチングを検出してオーバーシュートを抑制する。
前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力したときには、以後の減速・増速出力を一定時間毎に小さくすべく、出力時間を調整するので、ハンチング動作を抑制する。
【0031】
また、前記減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力したときには、コントローラ60は減速・増速出力を一定時間停止させるように構成すると、センサの検出値等の安定するのを待って、再度出力を開始し、ハンチングを防止する。
走行中であって減速出力中に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値をモータポジションセンサ63が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、減速出力を停止させるので、既定の停止位置より所定未満の増速側位置となる微速の低速走行となったときに、更に、減速出力すると、刈取装置4の回転が停止してしまうが、減速出力を停止させて、刈取装置4の回転停止を回避でき、微速の刈取作業を可能にする。
【0032】
機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置4の回転数が所定値以上に到達したとき、この走行速度のときの刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを記憶モータポジション値以下に減速出力しないように制御するので、減速出力による刈取装置4の回転停止を回避する。
しかして、走行装置3の走行速度を変速する走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速するが、更に、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17も傾斜角度を二段階に切替可能(切替操作手段の構成は任意)に構成し、通常走行と高速走行との切替え可能に構成しているから、通常走行速度(標準側)で刈取作業(標準作業および倒伏作業)を行い、高速走行速度(高速側)で走行して移動時間を短縮する。
【0033】
しかして、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12とは別個に刈取装置4の専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設け、走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とにより、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転を走行装置3の走行速度に同調して変速するように構成しているので、この刈取装置4の専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による特有の作用について以下詳述する。
走行装置3の走行速度は主変速レバー13の操作により走行速度を変速し、この走行速度に対して、例えば、図2の走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAより上昇率の高い加速をするようにした倒伏作業ラインBとを選択的に採用して、刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させる。
【0034】
刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝動回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独で刈取装置4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させることができるので、作業態様を広げ、汎用性を向上させられる。
即ち、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができるので、機体走行開始直後から安定して刈取装置4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させることができるので、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給する供給作業を容易にでき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0035】
しかして、エンジン22の回転が中間プーリー28に伝達され、中間プーリー28は中間軸29と中間歯車30を介してケースの中間伝動軸31に回転を伝達し、中間伝動軸31で扱胴34側と穀稈供給搬送中間出力軸41および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とに伝動を分岐する。
脱穀用伝達傘歯車32に伝達された回転は扱胴34に伝達して駆動する。
中間伝動軸31の回転は穀稈供給搬送中間出力軸41に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転は穀稈供給搬送装置10の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置10を駆動する。
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸41は走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とは無関係にエンジン22からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置10に伝達し、穀稈供給搬送装置10と扱胴34とは常時同じ関係で回転する。
【0036】
穀稈供給搬送中間出力軸41の下手側には刈取用中間歯車36により回転が伝達される刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37を設けているので、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプに入力されて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のモータから変速された回転が刈取HST出力軸38により出力され、刈取HST出力軸38は刈取用中間出力軸39および搬送シンクロ用出力軸40により刈取装置4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動回転させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しており、ブロック図等を含めたこれらの実施例は相互に夫々種々組合せ可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…機体フレ−ム、2…脱穀装置、3…走行装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、10…穀稈供給搬送装置、11…シンクロ用前側供給搬送装置、12…走行用静油圧式無段変速装置、13…主変速レバー、14…油圧ポンプ、15…ポンプ斜板、16…油圧モータ、17…モータ斜板、18…ミッションケース、21…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、22…エンジン、26…入力プーリー、27…ミッションケース、28…中間プーリー、29…中間軸、30…中間歯車、31…中間伝動軸、32…脱穀用伝達傘歯車、33…脱穀伝動軸、34…扱胴、35…処理胴、36…刈取用中間歯車、37…刈取HST入力軸、38…刈取HST出力軸、39…刈取用中間出力軸、40…搬送シンクロ用出力軸、41…穀稈供給搬送中間出力軸、42…唐箕、43…駆動歯車、44…刈取脱穀クラッチ、45…刈取中間出力プーリー、46…刈取中間入力プーリー、47…ベルト、50…ギヤケース、52…刈取用HSTモータ、60…コントローラ、61…車速センサ、63…モータポジションセンサ、65…主変速レバー位置検出センサ、68…作業有無感知センサ、69…刈取脱穀クラッチセンサ、71…有無感知手段、72…駐車ブレーキペダル、73…掻込ペダル、75…穀稈センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用静油圧式無段変速装置(12)により走行速度を無段階に変速可能な走行装置(3)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(3)の上方には脱穀装置(2)を設け、前記刈取装置(4)は走行装置(3)の走行速度に同調して刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)により変速駆動する構成とし、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置(4)を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置(4)を走行速度に同調させて変速するように制御出力するコントローラ(60)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1において、前記コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への制御出力は、高速モードのときも断続出力とし、且つ、出力周期を低速モードのときに比し長く且つ出力時間も長く出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1において、前記コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への制御出力は、車速が低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへの切り替わりをコントローラ(60)が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1において、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)に減速出力を行うとき、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)の刈取用HSTモータ(52)のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ(63)が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項1において、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項7】
請求項1において、前記コントローラ(60)の減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されると、減速および増速出力が夫々半減するように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項8】
請求項1において、前記コントローラ(60)からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、以後の減速または増速出力を一定時間毎に小さくするように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項9】
請求項1において、コントローラ(60)からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、コントローラ(60)からの減速出力または増速出力を一定時間停止させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項10】
請求項1において、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)は、該刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を電動モータにより回転させて減速するように構成し、前記電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ(63)を設け、コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への減速出力中に、前記モータポジションセンサ(63)は前記電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、前記減速出力を停止させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項11】
請求項10において、機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置(4)の回転数が所定値以上に到達したとき、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを前記の記憶モータポジション値以下に減速出力しない構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
走行用静油圧式無段変速装置(12)により走行速度を無段階に変速可能な走行装置(3)の前方に刈取装置(4)を設け、走行装置(3)の上方には脱穀装置(2)を設け、前記刈取装置(4)は走行装置(3)の走行速度に同調して刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)により変速駆動する構成とし、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)の回転制御は、車速が所定走行速度より低速のときには、低速モードとして刈取装置(4)を走行速度に同調させて変速し、車速が所定走行速度より高速のときには、高速モードとして刈取装置(4)を走行速度に同調させて変速するように制御出力するコントローラ(60)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への制御出力は、低速モードのとき断続出力とし、出力周期を短く且つ出力時間も短く出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1において、前記コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への制御出力は、高速モードのときも断続出力とし、且つ、出力周期を低速モードのときに比し長く且つ出力時間も長く出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1において、前記コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への制御出力は、車速が低速モードから高速モードへ、あるいは、高速モードから低速モードへの切り替わりをコントローラ(60)が判定すると、所定時間内の車速の変化に基づいて出力モードを自動的に選択して制御する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1において、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)に減速出力を行うとき、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)の刈取用HSTモータ(52)のトラニオン軸を動かす電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ(63)が設定されている停止位置に近づく程断続出力の出力時間を減少させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項1において、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)に増速出力を行うときは、出力後一定時間出力を休止させ、その後、再出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項7】
請求項1において、前記コントローラ(60)の減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されると、減速および増速出力が夫々半減するように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項8】
請求項1において、前記コントローラ(60)からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、以後の減速または増速出力を一定時間毎に小さくするように出力時間を調整する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項9】
請求項1において、コントローラ(60)からの減速出力および増速出力が一定時間内に交互に所定回数以上反復出力されたときには、コントローラ(60)からの減速出力または増速出力を一定時間停止させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項10】
請求項1において、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)は、該刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)の刈取用HSTモータ52のトラニオン軸を電動モータにより回転させて減速するように構成し、前記電動モータの出力軸の回転位置を検出するモータポジションセンサ(63)を設け、コントローラ(60)による刈取搬送用静油圧式無段変速装置(21)への減速出力中に、前記モータポジションセンサ(63)は前記電動モータの出力軸の回転位置のモータポジション値が既定の停止位置より所定未満の増速側位置に到達したことを検出すると、前記減速出力を停止させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項11】
請求項10において、機体停止状態から走行開始時、車速所定値未満で刈取装置(4)の回転数が所定値以上に到達したとき、このときのモータポジション値を記憶し、以後の減速出力を行っても、モータポジションを前記の記憶モータポジション値以下に減速出力しない構成としたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−252731(P2010−252731A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108553(P2009−108553)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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