説明

コンバイン

【課題】アクチュエータを介して穀粒排出オーガを昇降及び旋回動作させるオーガ操作具を備えたコンバインにおいて、誤操作を起こし難く、且つ安価な構成のオーガ操作具を提供する。
【解決手段】穀粒排出オーガ13を昇降及び旋回動作させるオーガ操作具19を、機体の左右方向に操作することにより穀粒排出オーガ13の旋回操作を行なうトグルスイッチ22と、該トグルスイッチ22の操作方向に直交する方向に操作することにより穀粒排出オーガ13の昇降操作を行なうシーソースイッチ21とで構成すると共に、両スイッチ21,22を、連続して形成された二つの面18a,18bに隣接(分離)して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを介して穀粒排出オーガを昇降及び旋回動作させるオーガ操作具を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインでは、穀粒タンク内に一時的に貯留された穀粒を機外に排出する穀粒排出オーガの昇降や旋回作動を行わせるアクチュエータとして、油圧シリンダや電動モータを備えており、これら油圧シリンダの伸縮動作や電動モータの回転動作を、単一の手動操作具である手動十字レバーを介して行なえるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−159519号公報(第5−6頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来のものは、単一の手動操作具である手動十字レバーによって穀粒排出オーガの異なる動作、即ち穀粒排出オーガの昇降と旋回動作を行なわせるものであり、誤操作を起こしやすいといった潜在的な不具合を有していた。また、前記手動十字レバーは、高い防水性と防塵性を要求されるのでコストが高くなるといった欠点も有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、アクチュエータを介して穀粒排出オーガを昇降及び旋回動作させるオーガ操作具を備えたコンバインにおいて、前記オーガ操作具を、機体の左右方向に操作することにより穀粒排出オーガの旋回操作を行なうトグルスイッチと、該トグルスイッチの操作方向に直交する方向に操作することにより穀粒排出オーガの昇降操作を行なうシーソースイッチとで構成すると共に、両スイッチを隣接して設けたことを第1の特徴としている。
そして、前記両スイッチを、連続して形成された二つの面に分離して設けたことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、アクチュエータを介して穀粒排出オーガを昇降及び旋回動作させるオーガ操作具を備えたコンバインにおいて、前記オーガ操作具を、機体の左右方向に操作することにより穀粒排出オーガの旋回操作を行なうトグルスイッチと、該トグルスイッチの操作方向に直交する方向に操作することにより穀粒排出オーガの昇降操作を行なうシーソースイッチとで構成すると共に、両スイッチを隣接して設けたことによって、穀粒排出オーガの昇降と旋回動作とを、スイッチ形状が異なり、且つ操作形態の異なるシーソースイッチとトグルスイッチで以って別々に行なうことができるので、従来の手動十字レバーのような誤操作を起こし難くなり、しかも両スイッチが従来の手動十字レバーに比べて安価であることから総合的なコストの低減も図れる。
そして、請求項2の発明によれば、前記両スイッチを、連続して形成された二つの面に分離して設けたことによって、更にオーガ操作具の誤操作を起こし難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、コンバイン1の側面図と平面図であって、コンバイン1は、穀稈を刈取る前処理部2と、該前処理部2で刈取った穀稈から穀粒を脱穀し、且つ、この穀粒を選別する脱穀部3と、該脱穀部3で
選別した穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク4と、脱穀された後の排藁を切断処理するカッタ装置5と、走行部である左右一対のクローラ走行装置6と、運転席7及びマルチステアリングレバー8等の各種操作具やメータ類を設けた操縦部9を備えている。
【0007】
そして、穀粒タンク4内に一時的に貯留された穀粒は、穀粒タンク4の後側下部に固設した固定パイプ11と、この固定パイプ11に回動自在に連結した縦パイプ12と、該縦パイプ12の上端に固設して縦パイプ12と一体に回動(旋回)すると共に、上下方向に起伏自在(上下昇降可能)に設けた穀粒排出オーガ13を経由して機外に排出される。更に詳しく説明すると、穀粒タンク4の底部には、前後方向を向く図示しない第一螺旋搬送体を配設してあり、この第一螺旋搬送体によって固定パイプ11まで搬送した穀粒を、上述の縦パイプ12及び穀粒排出オーガ13に内装されている第二螺旋搬送体と第三螺旋搬送体に引き継いで機外に排出できるように構成している。
【0008】
また、穀粒排出オーガ13は、この穀粒排出オーガ13と縦パイプ12との間に介設した油圧アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ16の伸縮に応じて昇降(起伏)作動すると共に、縦パイプ12を回動させる電動アクチュエータであるオーガ旋回モータ17の正逆転駆動に応じて旋回作動する。尚、穀粒タンク4の底部に配設した第一螺旋搬送体には、図示しないベルト伝動装置を介してエンジンEの動力が入力されると共に、この動力の断接を、穀粒排出クラッチ(ベルトテンション式クラッチ)を作動させる排出クラッチモータの正逆転駆動により行なっている。
【0009】
そして、図3に示すように、コンバイン1の操縦部9に搭乗したオペレータMを基準にすると、穀粒排出オーガ13の格納位置Aからの左旋回動作は、
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左リミット位置Lで機械的に規制され、一方格納位置Aからの右旋回動作は、右リミット位置Rで機械的に規制されるようになっている。
【0010】
また、左リミット位置L〜右リミット位置Rの間、即ち穀粒排出オーガ13の旋回領域θには、穀粒排出オーガ13を格納する格納位置A、運転席7の直上位置である運転席位置B、機体の進行方向に対して右直角方向に穀粒排出オーガ13を延出させる右方向排出位置C、及び機体後方に穀粒排出オーガ13を延出させる後方向排出位置D等の基準位置を設定してあり、上述した穀粒排出オーガ13の格納位置A〜右方向排出位置Cの間においては、穀粒排出オーガ13が穀粒タンク4やオペレータMと接触することを回避すべく、当該穀粒排出オーガ13の下降禁止範囲Fを設定している。
【0011】
そして、図4及び図5は、操縦部9の側面図と斜視図であって、運転席7の後方には、穀粒排出オーガ13の昇降や旋回作動、及び穀粒の排出動作を行わせる操作具を集中配置したオーガ操作パネル18を設けている。このオーガ操作パネル18の左側(運転席7の左後方)には、上述したアクチュエータ16,17を介して穀粒排出オーガ13を昇降及び旋回動作させるオーガ操作具19を配設すると共に、該オーガ操作具19に隣接させて
穀粒排出オーガ13を所定の位置に自動旋回スイッチと、穀粒排出オーガ13を任意の穀粒排出位置から所定の格納位置Aへ自動的に旋回復帰させる自動格納スイッチとを兼ねる自動スイッチ20a、及び穀粒タンク4内の穀粒をトラック等の運搬車の貯留タンクに排出するための穀粒排出クラッチスイッチ20bを配設している。
【0012】
更に詳しく説明すると、オーガ操作具19は、穀粒排出オーガ13の昇降操作を行なうシーソースイッチ21と穀粒排出オーガ13の旋回操作を行なうトグルスイッチ22からなり、該トグルスイッチ22は、機体の左右方向に操作することにより穀粒排出オーガ13の旋回動作を可能にする一方、シーソースイッチ21は、前記トグルスイッチ22の操作方向に直交する方向に操作することにより穀粒排出オーガ13の昇降動作を可能にしている。そして、前記両スイッチ21,22を、連続して曲げ形成されたオーガ操作パネル18の上面18aと略垂直面18b、即ち連続して形成された二つの面18a,18bに隣接(分離)して設けてあり、それによって、穀粒排出オーガ13の昇降と旋回動作とを、スイッチ形状が異なり、且つ操作形態(操作概念)の異なるシーソースイッチ21とトグルスイッチ22で以って別々に行なうことができるので、従来の手動十字レバーのような誤操作を起こし難くなり、しかも両スイッチ21,22が従来の手動十字レバーに比べて安価であることから総合的なコストの低減も図れる。そして、前記両スイッチ21,22を、連続して形成された二つの面18a,18bに分離して設けたことによって、更にオーガ操作具19の誤操作を起こし難くすることができる。
【0013】
尚、上述したオーガ操作具19を構成するシーソースイッチ21とトグルスイッチ22は、オーガ操作パネル18を形成する上面18aと略垂直面18bの何れか一方の同一平面に隣接して設けてもよく、その場合もオーガ操作具19の誤操作を起こし難くすることができる。また、本発明のコンバイン1は、穀粒排出オーガ13の昇降や旋回作動を行わせるアクチュエータ16,17と、図示しない穀粒排出クラッチを作動させるアクチュエータを動作制御するオーガ排出制御手段として、マイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される電子制御ユニットを機体側に設けてあり、この電子制御ユニットに、オーガ操作具19を構成するシーソースイッチ21とトグルスイッチ22の操作信号が入力されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】穀粒排出オーガの旋回範囲を示す概略平面図。
【図4】操縦部の側面図。
【図5】操縦部の斜視図。
【符号の説明】
【0015】
13 穀粒排出オーガ
16 アクチュエータ(オーガ昇降シリンダ)
17 アクチュエータ(オーガ旋回モータ)
18a オーガ操作パネルの上面
18b オーガ操作パネルの略垂直面
19 オーガ操作具
21 シーソースイッチ
22 トグルスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(16,17)を介して穀粒排出オーガ(13)を昇降及び旋回動作させるオーガ操作具(19)を備えたコンバインにおいて、前記オーガ操作具(19)を、機体の左右方向に操作することにより穀粒排出オーガ(13)の旋回操作を行なうトグルスイッチ(22)と、該トグルスイッチ(22)の操作方向に直交する方向に操作することにより穀粒排出オーガ(13)の昇降操作を行なうシーソースイッチ(21)とで構成すると共に、両スイッチ(21,22)を隣接して設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記両スイッチ(21,22)を、連続して形成された二つの面(18a,18b)に分離して設けた請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−81909(P2010−81909A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257288(P2008−257288)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】