説明

コンバイン

【課題】脱穀装置の入口部で藁屑や雑草が溜まることを防ぎ、穀稈の搬送不良や脱穀装置入口部での穀稈の詰まりが発生しないようにしたコンバインを提供すること。
【解決手段】脱穀装置(5)の前部に備えた入口漏斗(20)における搬送穀稈の穂先側端部上方に、穀稈と共に搬送されてきた藁屑や雑草を脱穀装置(5)の内部に掻き込むためのラグ(29a)付きのチェーン(29)を有する掻込装置(21)を配置し、エンジン(50)からの出力を刈取装置(4)に伝達する刈取入力プーリ(23)から掻込装置(21)のラグ(29a)付きのチェーン(29)に動力を伝達させる伝動機構(24,26,27)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置に特徴のあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインはエンジンを搭載し、エンジンの発生する動力をコンバインの走行、刈取、脱穀などに使用するが、刈取装置で刈り取った穀稈は脱穀装置に送られ、脱穀された後、グレンタンクに一時的に貯留される。グレンタンクに貯留されている穀粒はオーガからトラックなどに排出される。
従来のコンバインでは、刈り取った穀稈を刈取装置から脱穀装置に搬送する過程で脱穀装置入口部の穂先側に藁屑や雑草が溜まり、稲の搬送姿勢の不良が生じたり、脱穀装置入口部で穀稈搬送に詰まりが生じることがあった。
【0003】
そこで、穀稈の穂先側を脱穀装置の扱室に送り込むために脱穀装置に設けた入口漏斗を設け、さらにこの入口漏斗上に穀稈の穂先を掻き込む掻込装置を有するコンバインが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57−9266号公報
【特許文献2】実開昭58−155935号公報
【特許文献3】特開昭61−265018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1〜3に開示されたコンバインでは、掻込装置で穀稈の穂先側を脱穀装置の扱室に送り込むことができるが、脱穀装置の入口の穀稈穂先側には藁屑や雑草が溜まり、穀稈の搬送不良や脱穀装置入口部での詰まりが発生することがあった。特に麦の脱穀時にそのようなトラブルが発生することが多かった。
【0006】
本発明の課題は、脱穀装置の入口部で藁屑や雑草が溜まることを防ぎ、穀稈の搬送不良や脱穀装置入口部での穀稈の詰まりが発生しないようにしたコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
【0008】
請求項1記載の発明は、エンジン(50)と該エンジン(50)からの駆動力で駆動する走行部(2)と該走行部(2)の前方に設けた穀稈を刈り取る刈取装置(4)と走行部(2)に設けた刈り取った穀稈を挟持して脱穀・選別する脱穀装置(5)とを備えたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(5)の前部に備えた入口漏斗(20)における搬送穀稈の穂先側端部上方に、穀稈と共に搬送されてきた藁屑や雑草を脱穀装置(5)の内部に掻き込むためのラグ(29a)付きのチェーン(29)を有する掻込装置(21)を配置し、エンジン(50)からの出力を刈取装置(4)に伝達するために設けられた刈取入力プーリ(23)から前記掻込装置(21)のラグ(29a)付きのチェーン(29)に動力を伝達させる伝動機構(24,26,27)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0009】
請求項2記載の発明は、掻込装置(21)のチェーン(29)に装着したラグ(29a)を脱穀装置(5)の前板(5a)に近い位置で掻込装置(21)内に収納するラグガイド(21b)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0010】
請求項3記載の発明は、掻込装置(21)の後方に該掻込装置(21)の回動支点(34)を設け、該回動支点(34)を中心に掻込装置(21)の前部を上方に回動させることで掻込装置(21)の伝動機構(24,26,27)を遮断し、回動支点(34)を中心に掻込装置(21)の前部を下方に回動させることで掻込装置(21)の伝動機構(24,26,27)を接続するクラッチ機構(35〜38)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、脱穀装置(5)の入口漏斗(20)における搬送穀稈の穂先側端部上方に掻込装置(21)を配置して、該掻込装置(21)のラグ(29a)の作動により脱穀装置(5)の内部に藁屑、雑草などのゴミを送り込み、入口漏斗(20)上に前記ゴミが溜まることがなく、穀稈の搬送不良を起こさず、脱穀作業の能率を高めることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加え、ラグガイド(21b)によりチェーン(29)に付けたラグ(29a)を脱穀装置(5)の前板(5a)に近い位置で掻込装置(21)の内部に収納することができ、ラグ(29a)で藁屑などを掻き込まないときにラグ(29a)に穀稈などが触れることがないので、脱穀装置(5)の入口漏斗(20)上で穀稈の穂先部の搬送姿勢が乱れることがなく、穀稈を適正な姿勢で脱穀装置(5)へ供給して脱穀作業を円滑に行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加え、掻込装置(21)の前部を上げ下げするだけで、クラッチ機構(35〜38)により掻込装置(21)の作動を入り切りできるので、掻込装置(21)が不要な場合には、この掻込装置(21)を上方回動させて伝動を遮断し、この掻込装置(21)の駆動負荷によるエンジン(50)の出力の消耗をなくすことで、コンバインの作業能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例の穀類の収穫作業を行うコンバインの一部切欠左側面図である。
【図2】図1のコンバインの一部切欠平面図である。
【図3】図1のコンバインの一部切欠正面図である。
【図4】図1のコンバインの脱穀装置入口部の内部側面図である。
【図5】図1のコンバインの他の実施例の脱穀装置入口部の内部側面図である。
【図6】図1のコンバインの他の実施例の脱穀装置入口部の内部側面図である。
【図7】図1のコンバインの他の実施例の脱穀装置入口部の内部側面図である。
【図8】図1のコンバインの他の実施例の掻込装置の移動機構を説明する側面図であ
【図9】図1のコンバインの一部切り欠き平面図である。
【図10】図1のコンバインの一部切り欠き正面図である。
【図11】図1のコンバインの一部切り欠き正面図である。
【図12】図1のコンバインの掻込装置の要部側面図である。
【図13】図11の掻込装置の変形例のコンバイン正面図である。
【図14】図1のエンジン冷却用ファンからの送風を利用して脱穀装5の入口漏斗上の藁屑や雑草を扱室に送り込む構成図である。
【図15】図14の入口漏斗部分の斜視図(図15((a))と扱室の入口部分の側面図(図15(b))である。
【図16】図1の他の実施例のエンジンからの送風を利用する構成の脱穀装置の入口漏斗部分の斜視図(図16((a))と脱穀装置の入口漏斗部分の断面図(図16(b))である。
【図17】図1の他の実施例の脱穀装置入口部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態のコンバインの基本構成を図1の左側面図と図2の平面図と図3の正面図に示す。なお、前記各図面にでは内部構造が一部見える状態の図にしている。なお、本明細書ではコンバインの前進方向に向かった操縦者から見て左右方向をそれぞれ左側、右側といい、コンバインの前進方向を前側、後進方向を後側という。
【0016】
コンバイン1は機体フレーム2の下方に走行装置3を配設し、走行装置3の上方位置に脱穀装置5を設け、前記脱穀装置5の前方位置に刈取装置4を設け、刈取装置4で刈り取られた穀稈は脱穀装置5に送られ、脱穀された後、グレンタンク7に一時的に貯留される。グレンタンク7に貯留されている穀粒はオーガ8からトラックなどに排出される構成からなっている。
前記刈取装置4の最前方部に分草具9を配し、分草した穀稈を引起装置6で引き起こし、刈取装置4に掻き込み、刈刃10で穀稈の根元付近を刈取、刈取した穀稈は図示しない株元側搬送装置および穂先側搬送装置で刈取装置4内を搬送する。これらの刈取装置4は刈取フレーム12に取付けられ、刈取フレーム12は縦支持フレーム13の先端に取付け、縦支持フレーム13の基部には機体幅方向に長手方向が向いた横伝動筒14を設け、横伝動筒14を機体フレーム2上に設けた支持架台(図示せず)に該横伝動筒14を、粗の中心軸の周りに回転自在に取付ける。従って、刈取装置4は、横伝動筒14を中心に図示しない刈取上下シリンダにより上下する。
【0017】
刈取装置4により搬送された穀稈は図示しない扱深さ調節装置などにより、穀稈の稈身方向を機体の左右方向に向きを変えると同時に穀稈の扱深さを調節して脱穀装置5の脱穀室に供給するときの扱深さを調節する。
上記各装置の駆動はエンジン50(図14参照)からの動力を油圧式無段変速装置(HST)を含む変速装置を経由して行われる。
【0018】
刈取装置4で扱深さを調節された穀稈はフィードチェン16に受け渡される。このときフィードチェン16の上側に配置される挟扼桿17とフィードチェン16により穀稈の株元部分が挟持搬送され、また脱穀装置5の入口部に取付けた幅広の入口漏斗20上を穀稈の穂先側を含めて穀稈の大部分が搬送される。
【0019】
本実施例のコンバインには脱穀装置5の入口部にある入口漏斗20上の右側上方に藁屑や雑草などを掻き込む掻込装置21を設けたことに特徴がある。
該掻込装置21には、前記HSTから伝達される動力で駆動する刈取装置4へ動力伝達するための刈取入力プーリ23と同軸上に設けた掻込出力プーリ24を経由して動力伝達され、該掻込出力プーリ24の駆動力はベルト26を介して掻込装置21の入力軸に設けられた掻込入力プーリ27に伝達される。
【0020】
図1と図3と図4に示すように掻込装置21は脱穀装置5の入口部にある入口漏斗20の右端部の上側に配置に配置され、左右の側板21a,21aと上側カバー21cの間に配置されるラグ付きチェーン29により構成される。多数のラグ29aを装着したチェーン29は入口漏斗20の右側端部にある掻込入力プーリ27と同軸上のスプロケットにより矢印A方向(図4)に回動し、機体前側と下側でラグ29aが両側板21a,21aから突出する位置に向き、機体後ろ側でラグ29aが前記両側板21a,21aの後側に支持された湾曲状のラグガイド21bにより掻込装置21の内部に折り畳まれて収納されるように構成されている。
【0021】
なお、掻込装置21には上側カバー21cがあるので、ラグ29aが掻込装置21の上側にきたときに、ラグ29aが上側カバー21cで覆われているので安全である。
従って、穀稈の株元部分がフィードチェン16と挟扼桿17で挟持搬送されている間に入口漏斗20の右端上方にある掻込装置21のラグ29aが搬送される穀稈の穂先部分に同伴される藁屑や雑草を掻き込むことができる。
【0022】
こうして、脱穀装置5の入口の穀稈穂先側に藁屑や雑草が溜まることを防ぎ、穀稈の搬送不良や脱穀装置5の入口部での詰まりがなくなる。特に麦の脱穀時に発生し易かった詰まりなどのトラブルを防ぐことができるようになり、さらに穀稈の搬送姿勢の穂先側先行を促すことができるようになった。
【0023】
また、掻込装置21のチェーン29の搬送速度がフィードチェーン16の搬送速度より早くなるように設定又は遅くなるように設定することで、穀稈の穂先部の層厚がラグ29aによってさばかれて薄くなり、穀稈の穂先部と共に藁屑や雑草がフィードチェン16の始端部へ引き継がれて巻き込まれることを防止できる。
【0024】
また、図5の掻込装置21を設置した部分の脱穀装置5の入口部の側面図に示すように、掻込装置21の後端部は扱胴31がある扱室30の前面30aまで接近しているので、扱室30まで確実に藁屑や雑草を送り込んで、脱穀装置5の入口部においてゴミ溜まりによる穀稈の搬送不良(詰まり)の発生を防止することができる。
【0025】
また図6に掻込装置21を設置した部分の脱穀装置5の入口部の側面図に示すように、掻込装置21の後端部は脱穀装置5のフロントカバー前板5aと扱室30の前面30aの間に設けても良い。この場合にも脱穀装置5の入口部でのゴミ溜まりによる穀稈の搬送不良(詰まり)の発生を防止し、掻込装置21の上側を覆う特別なカバーを設けることなく、安全な位置に構成できる。
【0026】
さらに図7に掻込装置21の設置部分である脱穀装置5の入口部の側面図に示すように、掻込装置21の後方に掻込装置21の回動支点34を設け、掻込装置21の前部を上方に持ち上げると、掻込装置21のカップリング(図示せず)が外れ、掻込装置21を下げると、カップリングが繋がる。
このように、掻込装置21の前部を上げ下げするだけで、掻込装置21の作動を入り切りできるので、掻込装置21が不要な場合には、この掻込装置21を上方回動させて伝動を遮断し、この掻込装置21の駆動負荷によるエンジン50の出力の消耗をなくすことで、コンバインの作業能力を向上させることができる。
【0027】
図8に掻込装置21の設置部分である脱穀装置5の入口部の主要部側面図に示すように、掻込装置21の後方に掻込装置21の回動支点34を設け、該掻込装置21の前方を上方に持ち上げると、動力伝達ベルト26を押圧していた掻込装置21の伝動用のテンションローラ35で動力伝達ベルト26が緩み、掻込装置21の駆動を切ることができる。
【0028】
前記テンションローラ35は、掻込装置21の作動用の出力プーリ24と入力プーリ27の間の動力伝達ベルト26に対して回動自在のアーム36の先端に設けられている。またアーム36の回動中心軸36aはテンションローラ35の取付部の反対側のアーム端部にあり、該アーム36の回動中心軸36a側の端部に固着した第2アーム37の先端部と掻込装置21の側板21aとを回動自在に連結した連結ロッド38が設けられている。
従って、図8の矢印Aに示す方向に掻込装置21の前方を持ち上げるとベルト26が緩み、掻込装置21の作動が停止する構成である。
【0029】
ここで、掻込装置21の作動をオンオフするための部材であるテンションローラ35とアーム36と第2アーム37連結ロッド38を掻込装置21のクラッチ機構という。
上記実施例では掻込装置21は、エンジン50からの動力をプーリとベルトなどを経由して駆動させていたが、図9にコンバインの一部を破断した平面図を示すように、掻込装置21のラグ29aを有するチェーン29を掛け渡した一対のスプロケット(図示せず)を電気モータ40で駆動させる構成とすることもできる。このような電動機構を用いると、操縦席41からのボタン操作で掻込装置21の駆動制御ができ、例えば藁屑などを入口漏斗20を経て脱穀装置5内に掻き込む場合には一定時間、掻込装置21を作動させるように、操縦席41に着席したままでオペレータが必要なときだけ操作できるので、無駄に掻込装置21を作動させることがない。
また、脱穀装置5の入口部に藁屑、雑草などのゴミが溜まると、例えば光学的に検知ができるゴミ検出センサ(図示せず)を脱穀装置5の入口部に配置しておき、ゴミ溜まり検出センサのゴミ検知で自動的に掻込装置21を作動させる構成にすることができる。
【0030】
また、図10のコンバインの一部切欠正面図に示すように掻込装置21のラグ29aを有するチェーン29をモータ40で回動させる構成とし、該チェーン29の回動軌跡を水平方向に設け、入口漏斗20の右側面に横向きに設けることで、この水平回動するラグ29aで入口漏斗20上の藁屑や雑草を脱穀装置5へ掻き込むことができ、脱穀装置5の入口部での藁屑等のゴミ溜まりによる穀稈搬送不良がなくなる。
【0031】
また、図11にコンバインの一部切り欠き正面図に示すように他の実施例の掻込装置21について説明する。
本掻込装置21も脱穀装置5の入口部の右側上方に配置されるが、チェーン29を掛け渡した一対のスプロケット(駆動側スプロケット46と従動スプロケット47)を電気モータ40で駆動させる構成であるが、一対のスプロケット46,47はコンバインの正面から見て横に並んで並列配置されている。
【0032】
電気モータ40で駆動される駆動スプロケット46は脱穀装置5の入口部にある入口漏斗20の下側に配置され、入口漏斗20に藁屑、雑草が入り込んだら操縦者は操作席41からスイッチ操作でモータ40を作動させる。
チェーン29のラグ29aは扱胴31の回転軸31aの延長線上の近くにある入口漏斗20の上で藁屑などを横移動させることができるようにし、ラグ29aで横移動された藁屑などは後から脱穀装置5の入口部に搬送されてくる穀稈で扱室に押し込むようにする。図11に示す場合は入口漏斗20の下側から、該入口漏斗20に形成した左右方向のスリットから上側にラグ29aが突出するように構成し、このラグ29aの移動によって入口漏斗20上で藁屑などを横移動させることができる。
【0033】
図12には駆動プーリ46’と従動プーリ47’の矢印A方向にモータ(図示せず)により回転させるときに、単一のラグ28aだけを有する無端状のベルト28を駆動させ、ベルト28の軌道上に接触センサ49を配置し、接触センサ49にラグ28aが接触することによってベルト28の回転位置を判定する。即ち、ラグ28aの作用を必要としない場合には、ラグ28aが入口漏斗20の下側に移動するまでベルト28が駆動されてから停止し、掻込装置21の下部に収納される。なおベルト28の回転再開時は接触センサ49の出力を無視することで、モータの駆動牽制を解除する。
【0034】
言い換えれば、接触センサ49でベルト28の回転位置を判定し、ラグ28aの位置に応じてモータ(図示せず)の駆動と非駆動を決める。即ち、ベルト28が駆動されてラグ28aが掻込装置21の下側に移動すると、接触センサ49がこのラグ28aを検知し、ベルト28の回転位置をCPUが判定する。この接触センサ49のラグ28a検出によるCPUの判定結果によって、ラグ28aの位置が掻込装置21の下側まできたと判定されると、上述のモータの駆動を停止させ、ラグ28aが入口漏斗20の上側に突出して穀稈搬送の妨げになることを防止できる。
【0035】
図13に図11のコンバイン正面図に示す掻込装置21の変形例を示すが、一対のスプロケット46,47のうちの駆動側スプロケット46を作動するギヤ伝動機構55を設け、該ギヤ伝動機構55を操作席41からのクランクレバー56で作動可能な構成にしても良い。
【0036】
図14にはエンジン11の冷却用ファン51からの送風を利用して脱穀装置5の入口漏斗20上の藁屑や雑草を扱室30に送り込む構成図を示し、図15に入口漏斗20部分の斜視図(図15((a))と扱室30の入口部分の側面概略図(図15(b))を示す。冷却用ファン51の送風ダクト52を脱穀装置5の入口部まで延長し、入口漏斗20に設けた送風ダクト出口部52aから入口漏斗20上の藁屑を扱室方向に吹き飛ばす。
【0037】
図16には他の実施例のエンジン50からの送風を利用する構成の脱穀装置5の入口漏斗20部分の斜視図(図16((a))と脱穀装置の入口漏斗20部分の断面図(図16(b))を示す。図16に示す構成は冷却用ファン51からの送風ダクト52の入口漏斗20に設けた出口部52aにはパンチングプレート52bを配置しておく。
【0038】
上記図14などで示すエンジン50の冷却用ファン51を用いることなく、図17の脱穀装置入口部の平面図に示すように扱室入口部に溜まる藁屑などを扱室30に向けて送風搬送する専用のモータ57とファン51と該ファン51からの送風を入口漏斗20に設けた送風ダクト出口部52aに送るダクト52を設けた構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 コンバイン 2 機体フレーム
3 走行装置 4 刈取装置
5 脱穀装置
5a 脱穀装置フロントカバー前板
6 引起装置 7 グレンタンク
8 オーガ 9 分草具
10 刈刃 12 刈取フレーム
13 縦支持フレーム 14 横伝動筒
16 フィードチェン 17 挟扼桿
20 入口漏斗 21 掻込装置
21a 側板 21b ラグガイド
21c 上側カバー 23 刈取入力プーリ
24 掻込出力プーリ 26 動力伝達ベルト
27 掻込入力プーリ 28 ベルト
28a ラグ 29 チェーン
29a ラグ 30 扱室
30a 扱室の前面 31 扱胴
31a 扱胴の回転軸 34 掻込装置回動支点
35 テンションローラ 36 アーム
36a アームの回動中心軸 37 第2アーム
38 連結ロッド 40 モータ
41 操縦席 46 駆動側スプロケット
47 従動スプロケット 49 接触センサ
50 エンジン 51 エンジン冷却用ファン
52 送風ダクト 52a 出口部
52b パンチングプレート 55 ギヤ伝動機構
56 クランクレバー 57 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(50)と該エンジン(50)からの駆動力で駆動する走行部(2)と該走行部(2)の前方に設けた穀稈を刈り取る刈取装置(4)と走行部(2)に設けた刈り取った穀稈を挟持して脱穀・選別する脱穀装置(5)とを備えたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(5)の前部に備えた入口漏斗(20)における搬送穀稈の穂先側端部上方に、穀稈と共に搬送されてきた藁屑や雑草を脱穀装置(5)の内部に掻き込むためのラグ(29a)付きのチェーン(29)を有する掻込装置(21)を配置し、
エンジン(50)からの出力を刈取装置(4)に伝達するために設けられた刈取入力プーリ(23)から前記掻込装置(21)のラグ(29a)付きのチェーン(29)に動力を伝達させる伝動機構(24,26,27)を設けた
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
掻込装置(21)のチェーン(29)に装着したラグ(29a)を脱穀装置(5)の前板(5a)に近い位置で掻込装置(21)内に収納するラグガイド(21b)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
掻込装置(21)の後方に該掻込装置(21)の回動支点(34)を設け、該回動支点(34)を中心に掻込装置(21)の前部を上方に回動させることで掻込装置(21)の伝動機構(24,26,27)を遮断し、回動支点(34)を中心に掻込装置(21)の前部を下方に回動させることで掻込装置(21)の伝動機構(24,26,27)を接続するクラッチ機構(35〜38)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−109961(P2011−109961A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269498(P2009−269498)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】