説明

コンバイン

【課題】刈取り部を昇降操作する油圧シリンダの油圧回路をコンパクトに得ることができながら操作弁の塵埃付着を回避しやすくする。
【解決手段】機体フレーム3の前端部に作動油タンク32を、脱穀装置4に刈取穀稈を搬送する搬送経路Rから落下した塵埃を機体フレーム3の前方に向けて落下させる排塵シュート31の下方に配置してある。作動油タンク32の上端側が機体フレーム3から上方に突出している。油圧シリンダ30のための操作弁42を、排塵シュート31の下方に作動油タンク32の上端32bよりも高い配置高さで配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の機体フレームの前部に刈取り部フレームが揺動昇降自在に支持された刈取り部と、前記刈取り部を昇降操作するように前記刈取り部フレームと前記機体フレームに連結された油圧シリンダと、前記刈取り部から刈取穀稈が供給されるように前記機体フレームに設けた脱穀装置とを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、従来、例えば特許文献1記載されたものがあった。特許文献1に記載されたコンバイでは、機体フレームとしての車体フレーム、刈取り部としての刈取搬送装置、刈取り部フレームとしての刈取フレーム、油圧シリンダとしての昇降シリンダを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−117019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したコンバインにおいて、油圧シリンダのための油圧回路をコンパクトに得ることができるように、油圧シリンダのための操作弁を油圧シリンダの近くに配置して機体フレームに支持させた場合、操作弁のための支持台を機体フレームに設け、操作弁を機体フレームに直接には取り付けないとしても、機体フレームに装備される走行装置の近くに操作弁が位置することになり、走行装置によって飛散される塵埃や土が操作弁に付着しやすくなる。
【0005】
本発明は、油圧回路をコンパクトに得ることができるものでありながら、操作弁の塵埃付着を回避しやすいコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、走行機体の機体フレームの前部に刈取り部フレームが揺動昇降自在に支持された刈取り部と、前記刈取り部を昇降操作するように前記刈取り部フレームと前記機体フレームに連結された油圧シリンダと、前記刈取り部から刈取穀稈が供給されるように前記機体フレームに設けた脱穀装置とを備えたコンバインにおいて、
前記機体フレームの前端部に作動油タンクを、脱穀装置に刈取穀稈を搬送する搬送経路から落下した塵埃を前記機体フレームの前方に向けて落下させる排塵シュートの下方に配置して、さらに前記作動油タンクの上端側が前記機体フレームから上方に突出する状態で設け、
前記油圧シリンダのための操作弁を、前記排塵シュートの下方に前記作動油タンクの上端よりも高い配置高さに配置して設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、刈取穀稈用の搬送経路から落下した塵埃が操作弁に落下することを排塵シュートによって回避しながら、操作弁を走行装置から上方に離間するように機体フレームに対して上方に離れた箇所に位置させて、走行装置によって飛散された塵埃を操作弁に届きにくくできる。作動油タンクと操作弁が近付き合って作動油タンクと操作弁の間の油路を短くすることができ、操作弁が油圧シリンダから離れて操作弁と油圧シリンダの間の油路が長くなることになっても、操作弁と作動油タンクの間の油路が短いことによって、油路全体としてはあまり長くないものにできる。
【0008】
従って、油圧シリンダのための油圧回路を、操作弁と機体フレームの離間によってあまり長くなることを回避した極力コンパクトな状態で得ることができるのみならず、操作弁の塵埃付着による故障や作動不良が発生しにくい高品質の状態で得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記操作弁を、前記作動油タンクの走行機体横方向での中心に対して走行機体横外側に偏倚させて配置してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、走行機体の横外側から操作弁に手を届きやすくできる。
【0011】
従って、操作弁の点検や交換を走行機体の横外側から容易にかつ能率よく行なえるよう便利なものにできる。
【0012】
本第3発明では、前記作動油タンクの上部から機体上方向きに延出して、延出端部で前記操作弁を支持する支持部材を設けてある。
【0013】
本第3発明の構成によると、作動油タンクから上方向きに延出するだけの支持部材を設けるものでありながら、操作弁を機体フレームから上方に支持部材の長さ以上に離して配置することができる。
【0014】
従って、走行装置から飛散した塵埃の操作弁に対する付着を回避しやすいものを、作動油タンクから延出するだけの支持部材を採用して安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】走行機体を示す平面図である。
【図4】刈取り部を示す側面図である。
【図5】作動油タンク及び操作弁の配設部を示す側面図である。
【図6】運転部の乗降口付近を示す斜視図である。
【図7】(a)は、乗降ステップの下降使用状態を示す縦断正面図、(b)は、乗降ステップの上昇格納状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1,1を有し、かつ機体前部の横一端側に位置する運転部2及び原動部10を有した走行機体と、この走行機体の機体フレーム3の前端部に連結された刈取り部20と、機体フレーム3の後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置4と穀粒タンク5を備えて構成してある。
【0018】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、原動部10にエンジン11が運転座席2aの下方に配置した状態で設けられており、走行機体は、エンジン11の出力が機体フレーム3の前端部に設けられた走行用ミッション6(図3参照)を介して左右一対の走行装置1,1のクローラ駆動輪体1aに伝達されることにより、左右一対の走行装置1,1を駆動して走行する。
【0019】
刈取り部20は、機体フレーム3の前部に昇降軸心Pまわりに揺動昇降自在に支持された刈取り部フレーム21を備えており、この刈取り部フレーム21が油圧シリンダ30によって揺動操作されることにより、刈取り部20の前端部に走行機体横方向に並べて設けてある6つの分草具22が地面近くに下降した下降作業位置と、分草具22が地面から高く上昇した上昇非作業位置とに昇降する。刈取り部20は、下降作業位置に下降操作され、この状態で走行機体が走行されることにより、植立穀稈を分草具22によって刈取り対象と非刈取り対象に分草し、刈取り対象の植立穀稈を刈り取るとともに刈取り穀稈を脱穀装置4に供給する。
【0020】
脱穀装置4は、刈取り部20からの刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン4aによって挟持して走行機体後方向きに搬送し、刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に挿入して脱穀処理する。穀粒タンク5は、脱穀装置4から搬出され、揚穀装置7によって供給された脱穀粒を貯留する。穀粒タンク5に貯留された脱穀粒は、穀粒タンク5の後部に位置する搬出口に連通された穀粒排出オーガ8によって搬出する。
【0021】
原動部10について説明する。
図3に示すように、エンジン11は、出力軸11aが走行機体横方向に沿った横向き姿勢で搭載してある。エンジン11に対して走行機体横外側に位置する箇所に冷却用ラジエータ12を設けてある。エンジン11によって回転駆動される冷却ファン13による送風作用により、エンジンボンネット14の外部の空気をエンジンボンネット14の内部に吸引して冷却風を発生させて冷却用ラジエータ12に供給し、冷却用ラジエータ12を通り抜けた冷却風をエンジン11のまわりを通して冷却用ラジエータ12が位置する側とは反対側の走行機体横外側に向けて排出する。図3に示す符号15は、エンジン用のマフラーである。
【0022】
刈取り部20について説明する。
図1,2,4に示すように、刈取り部20は、刈取り部フレーム21及び6つの分草具22を備える他、分草具22の後側に走行機体横方向に並んで位置する5つの引起し装置23と、引起し装置23の後方に位置する走行機体横向きのバリカン形の刈取装置24と、刈取装置24の上方に位置する掻き込み装置25と、掻き込み装置25の後方から脱穀フィードチェーン4aの始端部付近に至る搬送装置26とを備えて構成してある。
【0023】
刈取り部フレーム21は、機体フレーム3の前部に設けた走行機体上下向きの支柱部27の上部に昇降軸芯Pまわりに揺動自在に支持される走行機体前後向きのメインフレーム21aと、メインフレーム21aの前端部から走行機体前方向きに延出するとともに走行機体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ6本の分草杆21bとを備えて構成してある。
【0024】
6つの分草具22は、6本の分草杆21bの先端部に振り分けて支持させてある。各分草具22は、刈取対象の植立穀稈を分草具22の後方に隣り合う一対の分草杆21b、21bによって形成されている引起し経路28に導入する。各引起し装置23は、対応する引起し経路28に導入された植立穀稈の引起しを行う。掻き込み装置25は、刈取装置24の上方から前方向きに延出する無端回動形の掻き込みベルト25aの複数本を走行機体横方向に並べて構成してあり、各引起し装置23によって引起し処理される植立穀稈の株元側を対応する掻き込みベルト25aによって機体後方向きに係止搬送して刈取装置24に掻き込み供給する。刈取装置24は、各引起し装置23によって引起し処理されながら掻き込みベルト25aによって供給された植立穀稈の株元を切断する。
【0025】
搬送装置26は、刈取装置24の上方から脱穀フィードチェーン4aの搬送始端部付近に至る株元側挟持搬送部26aと、掻き込みベルト25aの終端部の上方から脱穀フィードチェーン4aの搬送始端部付近に至る穂先側係止搬送部26bを備えており、刈取装置24によって刈取り処理され、掻き込みベルト25aによって送り込まれた刈取り穀稈を、株元側挟持搬送部26aによる株元側の挟持搬送と穂先側係止搬送部26bによる穂先側の係止搬送とによって立ち姿勢で走行機体後方向きにかつ走行機体横外側向きに搬送し、搬送終端部において穂先側係止搬送部26bによる穂先側の引き込みによって横倒れ姿勢に姿勢変更し、横倒れ姿勢になった刈取り穀稈を脱穀フィードチェーン4aの搬送始端部に供給する。刈取り穀稈を横倒れ姿勢で脱穀フィードチェーン4aに供給する際、刈取り穀稈の穂先側は、ゴム板で成る案内板29(図1,5参照)によって受け止め支持されて脱穀装置4の入口底板4bに案内される。
【0026】
図5に示すように、機体フレーム3の上方に、ゴム板で成る排塵シュート31を脱穀装置4の入口底板4bの裏面側に設けた支持部4cから走行機体前方向きに延出する状態で設けてある。排塵シュート31は、案内板29の下方で、かつ搬送装置26が刈取り穀稈を脱穀フィードチェーン4aに向けて搬送する搬送経路Rの下方に前下がり姿勢で位置しており、搬送経路Rから落下した切れワラなどの塵埃を機体フレーム3の前方に向けて落下させて、塵埃が機体フレーム3の前端部や油圧シリンダ30及びその付近に落下することを防止する。排塵シュート31には、図3に二点鎖線で示すように、その前部における左右中間部に支柱部27における支持体33を避けるように切り欠き部31aが形成されている。
【0027】
刈取り部10を昇降操作する構造について説明する。
図4,5に示すように、刈取り部フレーム21を支持する支柱部27は、機体フレーム3の前端部に油圧シリンダ30の上方に配置して設けた作動油タンク32と、作動油タンク32の上部に連結ボルトによって固定された鋳造製の支持体33とを備えて構成してある。支持体33は、支持体本体33aと支持体本体33aに上下開閉自在に支持された開閉支持片33bを備えており、刈取り部フレーム21のメインフレーム21aの基部から走行機体横向きに延出する連結用の筒軸部21cを支持体本体33aと開閉支持片33bによって昇降軸心Pまわりに回転自在に枢支する。作動油タンク32の上部には、支持体33を支持する前方下方に傾斜した傾斜面32Aと、支持部材41を支持する後方下方に傾斜した傾斜面32Bが形成され、作動油タンク32の上部は、塵埃がたまりにくい上向きに尖った山形に形成されている。
【0028】
油圧シリンダ30は、刈取り部フレーム21におけるメインフレーム21aに設けたシリンダ連結部21dと、機体フレーム3の前部にブラケットを付設して設けたシリンダ連結部3bとに連結してある。油圧シリンダ30は、排塵シュート31の下方に支持部材41に支持させて設けた操作弁42に接続してある。
【0029】
操作弁42は、運転部2に運転座席2aの前方に配置して設けた操作レバー45(図1,2参照)が走行機体前後方向に揺動操作されることによって上昇状態と中立状態と下降状態に切換え操作される。操作弁42は、上昇状態に切換え操作された場合、ミッション6のケース内に組み込まれた油圧ポンプ(図示せず)によって作動油タンク32から取り出して供給された作動油を油圧シリンダ30に供給してこの油圧シリンダ30を伸長側に操作し、この油圧シリンダ30によって刈取り部20を上昇側に操作させる。操作弁42は、下降状態に切換え操作された場合、油圧シリンダ30から作動油を排出させて油圧シリンダ30を短縮側に操作し、この油圧シリンダ30によって刈取り部20を下降側に操作させる。
【0030】
図3に示すように、作動油タンク32は、原動部10から排出されるエンジン冷却風が当たるように原動部10の横側方に配置した状態で、かつ作動油タンク32の走行機体横方向での全長にわたって排塵シュート31の下方に位置するように配置した状態で機体フレーム3に支持させてある。作動油タンク32の上端側は、機体フレーム3から上方に突出している。作動油タンク32は、走行機体横方向に長い形状に形成してある。作動油タンク32の走行機体横外方側端32aは、機体フレーム3の横外側縁3aに対して走行機体内側に少し入り込んでいる。
【0031】
図5に示すように、油圧シリンダ30を制御する操作弁42は、機体フレーム3から上方に離れた箇所に位置して走行装置1から飛散した塵埃が届きにくいように作動油タンク32の上端32bよりも高い配置高さに配置してある。この実施形態では、操作弁42の下部が排塵シュート31の切り欠き部31aの上端と同じ又は上端より高い配置高さで配置されている。
【0032】
すなわち、操作弁42は、作動油タンク32の上部(傾斜面32B)から走行機体上方向き及び後方向きに斜めに延出し、機体フレーム3から延出する場合よりも短い支持部材41の延出端部に支持させた操作弁装置40に備えてある。操作弁42は、支持部材41に連結ボルトによって固定されたバルブケーシング44と、このバルブケーシング44に走行機体前後方向に摺動操作自在に組み込まれた摺動スプールとを備えて構成してある。支持部材41が作動油タンク32から走行機体上方向き及び後方向きに斜めに延出するから、支持部材41を排塵シュート31に沿わせて配置でき、操作弁装置40が排塵シュート31に当たることを回避しながら操作弁装置40の配置高さを高く設定できる。
【0033】
操作弁装置40は、作動油タンク32の走行機体横方向での中心32cに対して走行機体横外方側に偏倚させて配置してあり、操作弁42は、作動油タンク32の走行機体横方向での中心32cに対して走行機体横外方側に偏倚した箇所に位置している。
【0034】
操作弁装置40は、油圧シリンダ30を制御する操作弁42を備える他、二つの走行装置用の操作弁43,43を備えている。二つの走行装置用の操作弁43,43は、操作弁42を構成するバルブケーシング44と同じバルブケーシング44と、このバルブケーシング44に走行機体前後方向に摺動操作自在に組み込まれた摺動スプールとを備えて構成してある。
【0035】
二つの走行装置用の操作弁43,43は、走行機体の左右傾斜を検出する傾斜センサ(図示せず)による検出結果を基に作動するローリング制御手段(図示せず)によって切換え制御され、一方の操作弁43は、左側の走行装置1に備えられたローリングシリンダ(図示せず)を操作することにより、左側の走行装置1のトラックフレーム1b(図1参照)を機体フレーム3に対して昇降操作して、機体フレーム3に対する左側の走行装置1の姿勢調節を行ない、他方の操作弁43は、右側の走行装置1に備えられたローリングシリンダ(図示せず)を操作することにより、右側の走行装置1のトラックフレーム1bを機体フレーム3に対して昇降操作して、機体フレーム3に対する右側の走行装置1の姿勢調整を行なう。
【0036】
つまり、二つの操作弁43,43は、ローリング制御手段によって切換え制御され、機体フレーム3の左右における地上高を変更調節して、傾斜地においても機体フレーム3の姿勢を略水平に保持する。
【0037】
走行機体の運転部付近について説明する。
図6は、運転部2の乗降口付近を示す斜視図である。この図に示すように、運転部2の乗降口50に位置する運転部床51の下方に、上下2段の乗降ステップ52,53を設けてある。
【0038】
上段側の乗降ステップ52は、走行機体の横側壁板54に足先を入り込ませるように設けた貫通孔55の下側に固定されている。
【0039】
下段側の乗降ステップ53は、乗降ステップ53の前後側に設けた連結部材58を機体フレーム3の外面側に設けた支持部材60に枢支ピン61を介して枢支させ、かつ連結部材58のピン孔58aを長孔に形成することにより、下降使用状態と上昇格納状態に揺動切換え自在に支持させてある。
【0040】
図7(a)は、下段側の乗降ステップ53の下降使用状態を示す縦断正面図である。この図に示すように、下段側の乗降ステップ53を、走行機体横外側に引き出して枢支ピン61がピン孔58aの一端部に位置した状態にして枢支ピン61の軸芯まわりに下降操作する。すると、乗降ステップ53の基端側の端面53aが支持部材60に設けてあるストッパー部62に当接して支持された状態になり、乗降ステップ53が下降使用状態になる。すなわち、乗降ステップ53は、支持部材60から走行機体横外側向きに水平に延出した水平取り付け姿勢になり、かつステップ面53bに掛かる負荷に抗して水平取付け姿勢にストッパー部62によって維持される状態になる。
【0041】
図7(b)は、下段側の乗降ステップ53の上昇格納状態を示す縦断正面図である。この図に示すように、下段側の乗降ステップ53を下降使用状態から枢支ピン61の軸芯まわりに上昇操作すると、乗降ステップ53がピン孔58aの長孔形状のために少し下降して枢支ピン61がピン孔58aの他端部に位置した状態になる。すると、連結部材58の先端部58bが枢支ピン61と機体フレーム3の外側面の間に入り込んで機体フレーム3の外側面に当接して支持された状態になり、乗降ステップ53が上昇格納状態になる。すなわち、乗降ステップ53は、支持部材60から走行機体上方向きに延出した上向き取り付け姿勢になり、かつ乗降ステップ53の重量に抗して上向き取り付け姿勢に機体フレーム3によって維持される状態になる。
【0042】
図6,7に示すように、下段側の乗降ステップ53に、乗降ステップ53の外枠ステップ材56の前後側の横向き辺部に支持される内ステップ材57を設けるとともに、内ステップ材57をアングル材によって構成してある。内ステップ材57を構成するアングル材の取付け姿勢を、一方の帯板部57aが乗降ステップ53の厚さ方向に沿い、他方の帯板部57bが一方の帯板部57aから乗降ステップ53の基端側に向かって延出する状態で乗降ステップ53の裏面側に位置する取付け姿勢に設定して、他方の帯板部57bによって足掛けエッジ57cを形成してある。
【0043】
つまり、乗降ステップ53に当てた足先によって乗降ステップ53を揺動操作する場合、足掛けエッジ57cに足先を掛けることにより、足の滑り外れが防止されて乗降ステップ53の揺動切換えをスムーズにかつ的確に行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、刈取り穀稈の穂先側だけを扱室に挿入する脱穀装置4を備えるコンバインの他、刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を扱室に供給する脱穀装置を備えるコンバインにも利用できる。
【符号の説明】
【0045】
3 機体フレーム
4 脱穀装置
20 刈取り部
21 刈取り部フレーム
30 油圧シリンダ
31 排塵シュート
32 作動油タンク
32b 作動油タンクの上端
32c 作動油タンクの中心
41 支持部材
42 操作弁
R 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の機体フレームの前部に刈取り部フレームが揺動昇降自在に支持された刈取り部と、前記刈取り部を昇降操作するように前記刈取り部フレームと前記機体フレームに連結された油圧シリンダと、前記刈取り部から刈取穀稈が供給されるように前記機体フレームに設けた脱穀装置とを備えたコンバインであって、
前記機体フレームの前端部に作動油タンクを、前記脱穀装置に刈取穀稈を搬送する搬送経路から落下した塵埃を前記機体フレームの前方に向けて落下させる排塵シュートの下方に配置して、さらに前記作動油タンクの上端側が前記機体フレームから上方に突出する状態で設け、
前記油圧シリンダのための操作弁を、前記排塵シュートの下方に前記作動油タンクの上端よりも高い配置高さに配置して設けてあるコンバイン。
【請求項2】
前記操作弁を、前記作動油タンクの走行機体横方向での中心に対して走行機体横外側に偏倚させて配置してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記作動油タンクの上部から機体上方向きに延出して、延出端部で前記操作弁を支持する支持部材を設けてある請求項1又は2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−211911(P2011−211911A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80582(P2010−80582)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】