説明

コンバイン

【課題】刈取り部に前照灯をメンテナンスが容易な状態で設けるものでありながら、引起し穀稈や未刈り穀稈の前照灯への引っ掛かりを回避しやすいとともに刈取り作業が容易となる照明を行なわせること、及び前照灯の強固な支持を可能にする。
【解決手段】刈取り部の横カバー40に、走行機体の前方向き及び横外側向きに開口する照明灯収容凹部41を分草具の後方上方に配置して設けてある。横カバー40の側板部40aの裏側に配置したフレーム側支持体部42b、側板部40aをフレーム側支持体部42bとで挟む状態でフレーム側支持体部42bに締め付け連結するとともに照明灯収容凹部41に配置した照明灯側支持体部42aを照明灯支持体42に備えてある。前照灯50を照明灯収容凹部41に入り込ませて照明灯側支持体部42aに支持させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分草具及び前記分草具からの植立穀稈に作用する引起し装置を備える刈取り部が走行機体の前部に連結され、前記刈取り部の横側部に前記引起し装置の引起しケースの横隣に位置する状態で設けた横カバーを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、従来、例えば特許文献1及び2に記載されたものがあった。特許文献1に記載されたコンバインでは、横カバーとしての左サイドカバー及び右サイドカバーを備えている。特許文献2に記載されたコンバインでは、横カバーに設けた前照灯装置を備えている。前照灯装置は、横カバーの前照灯装置組み付け凹部に組み込んだ前照灯、及び前照灯を覆うレンズを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−9065号公報
【特許文献2】特開2008−245663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンバインにおいて、前照灯を刈取り部に設けるのに、前照灯のバルブ交換などのメンテナンスが容易となるように、引起し装置における引起しケースや横カバーから前方側や横外側に露出させて設けた場合、前照灯を簡単な構造で取付けることができる反面、引起し装置によって引起し処理される穀稈や刈取り部の横側に位置する未刈り穀稈の穂先側が前照灯に引っ掛かりやすくなる。逆に、特許文献2に記載された技術を採用することによって前照灯を設けた場合、前照灯に穀稈が引っ掛かりにくい反面、構造が複雑になる。
【0005】
本発明の目的は、前照灯のメンテナンスが容易であるのみならず、引起し穀稈や未刈り穀稈の引っ掛かりを回避しやすいとともに刈取り作業が容易となる照明を行なわせることができ、さらに前照灯の支持を強固に行なわせ得る状態で前照灯を刈取り部に設けることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、分草具及び前記分草具からの植立穀稈に作用する引起し装置を備える刈取り部が走行機体の前部に連結され、前記刈取り部の横側部に前記引起し装置の引起しケースの横隣に位置する状態で設けた横カバーを備えたコンバインにおいて、
前記横カバーに、走行機体前方向き及び走行機体横外側向きに開口する照明灯収容凹部を前記分草具の後方でかつ上方に配置して設け、
前記横カバーのうちの前記照明灯収容凹部の内壁を形成する側板部の裏側に配置して刈取り部フレーム側に支持させたフレーム側支持体部と、前記側板部を前記フレーム側支持体部とで挟む状態で前記フレーム側支持体部に締め付け連結するとともに前記照明灯収容凹部に配置した照明灯側支持体部とを備えて、照明灯支持体を構成し、
前照灯を前記照明灯収容凹部に入り込むように配置した状態で前記照明灯側支持体部に支持させてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、横カバーに走行機体前方向き及び走行機体横外側向きに開口する照明灯収容凹部を分草具の後方でかつ上方に配置して設け、前照灯を照明灯収容凹部に入り込むように配置した状態で照明灯側支持体部に支持させてあるから、前照灯を構造簡単に設けることができ、かつ前照灯を照明灯側支持体部に支持させたままにしても、引起し装置及び横カバーの前方や横側方から前照灯を容易に取り扱うことができる。それでありながら、前照灯が引起しケース及び横カバーから前方側や横外側へ突出することを回避あるいは抑制して、引起し装置によって引起こし処理される穀稈や刈取り部の横側に位置する未刈り穀稈の穂先側を前照灯に引っ掛かりにくくでき、かつ前照灯による前方の照明を分草具の後方上方から行なわせて、分草具の影を大きくしないで前方を照明させることができる。
【0008】
本第1発明の構成によると、横カバーのうちの照明灯収容凹部の内壁を形成する側板部の裏側に配置して刈取り部フレーム側に支持させたフレーム側支持体部と、横カバーの側板部をフレーム側支持体部とで挟む状態でフレーム側支持体部に締め付け連結するとともに照明灯収容凹部に配置した照明灯側支持体部とを備えて照明灯支持体を構成し、照明灯側支持体部に前照灯を支持させてあるから、横カバーに照明灯取付け孔を設けるとともにこの照明灯取付け孔に刈取り部フレームから延出する照明灯支持体を設け、前照灯を横カバーの照明灯取付け孔に配置して照明灯支持体に支持させる場合と同様に優れた支持強度で前照灯を支持させることができる。また、横カバーの側板部がフレーム側支持体部と照明灯側支持体部によって挟持され、照明灯支持体を横カバーの支持部材に利用した構造簡単な支持構造によって構カバーを強固に支持させることができる。
【0009】
従って、前照灯を照明灯収容凹部から取り出さなくとも容易に取り扱ってバルブ交換などのメンテナンスを容易に行なうことができるものでありながら、引起こし穀稈や未刈り穀稈の穂先を前照灯に引っ掛かりにくくしながら有利に、かつ分草具の大きな影ができないとともに前照灯を揺れ動きにくいように強固に支持させて見やすい状態で照明して容易に収穫作業を行なうことができる。また、横カバーを構造簡単に強固に支持させることができる。
【0010】
本第2発明では、前記照明灯収容凹部を走行機体上下方向に長い形状に形成するとともに、前記照明灯収容凹部の下端側で、前記前照灯の下方に位置する部位に空隙が形成されるように、前記前照灯を前記照明灯収容凹部の上端側に寄せて配置してある。
【0011】
本第2発明の構成によると、たとえば前照灯を比較的下向きに照射するよう調整した場合など、前照灯による照射光が照明灯収容凹部の前照灯下方に位置する部位の空隙を通って刈取り部の前端付近に届くようにできる。
【0012】
従って、前照灯を照明灯収容凹部に配置するものでありながら、刈取り部の前端付近を良好に照明して作業を楽に行なうことができる。
【0013】
本第3発明は、前記横カバーを、前記照明灯収容凹部を設けた上側横カバー部と、前記上側横カバー部の下方に位置するとともに前記上側横カバー部とは別体の下側横カバー部とを備えて構成し、
前記下側横カバー部を、前記下側横カバー部に設けた取付け用フックにより、前記刈取り部に設けられた支持部材に脱着自在に取付けられるように構成してある。
【0014】
本第3発明の構成によると、下側横カバー部の取付け用フックによる取付けを解除すれば、横カバーのうちの上側横カバー部を取り付けたままにしながら、下側横カバー部を取り外すことができる。
【0015】
従って、刈取り部の点検や修理作業を行なう場合など、強固に支持される前照灯の取り外しを行なわなくとも、下側横カバー部を取り外すだけで容易に刈取り部の横側方から作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】刈取り部を示す正面図である。
【図3】刈取り部を示す斜視図である。
【図4】刈取り部の前部を示す左側面図である。
【図5】刈取り部の前部を示す右側面図である。
【図6】右側の前照灯が配設された部位を示す正面図である。
【図7】左側の前照灯が配設された部位を示す正面図である。
【図8】右側の上側横カバー部を示し、(a)は、上側横カバー部の正面図、(b)は、上側横カバー部の裏面側を示す側面図、(c)は、上側横カバー部の後面図、(d)は、上側横カバー部の表面側を示す側面図である。
【図9】左側の上側横カバー部を示し、(a)は、上側横カバー部の正面図、(b)は、上側横カバー部の表面側を示す側面図、(c)は、上側横カバー部の後面図、(d)は、上側横カバー部の裏面側を示す側面図である。
【図10】下側カバー部の取り付け構造を示す縦断正面図である。
【図11】防塵カバーの縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。この図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走するように構成され、かつ機体前端部の横一端部に設けられた運転部2を有した走行機体と、この走行機体の機体フレーム4の前端部に連結された刈取り部10と、機体フレーム4の後部に設けられた脱穀装置5と、機体フレーム4の後部に脱穀装置5と走行機体横方向に並べて設けられた袋詰め部6とを備えて構成してある。運転部2には、運転座席2aを設けてある。
【0018】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なうものである。
つまり、刈取り部10の刈取り部フレーム11が機体フレーム4の前端部に上下揺動自在に連結されているとともに、刈取り部フレーム11のメインフレーム21と機体フレーム4にわたって油圧シリンダ7が連結されている。刈取り部10は、刈取り部フレーム11が油圧シリンダ7によって上下に揺動操作されることにより、刈取り部10の前端部に走行機体横方向に並べて設けてある複数個の分草具12が地面近くに下降した下降作業状態と、各分草具12が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。刈取り部10は、下降作業状態に下降操作され、この状態で走行機体が走行することにより、刈取対象の植立穀稈を引起し処理しながら刈り取り処理し、刈取り穀稈を脱穀装置5に供給する。
【0019】
脱穀装置5は、刈取り部10から供給された刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン5aによって挟持して搬送し、これによって刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理し、脱穀粒を脱穀機体外に搬出する。
【0020】
袋詰め部6は、脱穀装置5からの脱穀粒を揚穀装置8によって袋詰めタンク6aに供給されて貯留し、袋詰めタンク6aに貯留した脱穀粒を、袋詰めタンク6aの下部に設けてある吐出筒(図示せず)から籾袋に吐出する。
【0021】
刈取り部10についてさらに説明する。
図2は、刈取り部10を示す正面図である。図3は、刈取り部10を示す斜視図である。これらの図及び図1に示すように、刈取り部10は、刈取対象の植立穀稈を各分草具12によって分草具間に連なる引起し経路13に導入して引起し経路13の横側に設けてある引起し装置14によって引起し処理し、各引起し装置14によって引起し処理される植立穀稈を、引起し装置14の後方に設けてある一つのバリカン形の刈取装置15によって刈り取り処理し、刈取装置15からの刈取り穀稈を、刈取装置15の上方に搬送始端部が位置する供給装置16によって走行機体後方向きにかつ横外側向きに搬送して脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給する。
【0022】
図1〜5に示すように、刈取り部フレーム11は、機体フレーム4の前端部から走行機体前方向きに上下揺動自在に延出する伝動ケースで成るメインフレーム21と、このメインフレーム21の前端部に走行機体横向きに位置する伝動ケースで成る横フレーム部22から走行機体前方向きに延出するとともに走行機体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ複数本の分草フレーム23と、横フレーム部22の一端部から走行機体上方向きに延出する引起し伝動ケース24と、この引起し伝動ケース24と横フレーム部22の他端部に立設された支柱25の上端部どうしにわたって架設された走行機体横向きの引起し駆動ケース26とを備えて構成してある。
【0023】
各分草具12は、これの下端部の背面側で分草フレーム23の先端部に支持されている。刈取装置15は、刈取装置15に設けられた刈取りフレーム15aで各分草フレーム23の基端部に連結されている。
【0024】
各引起し装置14は、分草フレーム23の前端部に設けられた支持アーム27に下端側が支持され、引起し駆動ケース26に設けられた出力ケース部26aに上端側が支持された引起しケース14aと、この引起しケース14aの内部に駆動回動自在に設けられた無端回動形の引起しチェーン14bとを備えて構成してある。引起しチェーン14bの長手方向での複数箇所に、引起し爪14cを起伏揺動自在に設けてある。
【0025】
各引起し装置14は、各引起し爪14cを引起しケース14aの横一側方において引起し爪14cの先端側が引起しケース14aから突出するように起立させた状態で引起しケース14aに沿わせて上昇移動させ、分草具12によって引起し経路13に導入された植立穀稈を、上昇移動する引起し爪14cによって梳き上げて引き起し処理する。
【0026】
図1〜3に示すように、刈取り部10の上部に、供給装置16から上方に塵埃が飛散することを防止する防塵カバー30を設けてある。
【0027】
防塵カバー30は、合成樹脂板によって構成してあり、図4に示す如きカバーフレーム31及び支持杆31aに支持されている。図11は、防塵カバー30の縦断正面図である。この図に示すように、防塵カバー30の内面に、内面のほぼ全体にわたって貼り付けた吸音材32の一例としてのスポンジを設けてある。
【0028】
カバーフレーム31は、枠組み状態に組み合わせて連結された複数本の屈曲棒材によって構成してある。カバーフレーム31の前端側は、刈取り部フレーム11を構成する引起し駆動ケース26に支持されている。支持杆31aは、刈取り部フレーム11を構成する引起し伝動ケース24から走行機体後方上方向きに延出した支持フレーム33に支持されている。支持フレーム33の中間部と引起し伝動ケース24の中間部とにわたって補助フレーム34を連結してある。
【0029】
図1〜3に示すように、刈取り部10の左右の横側部に、横カバー40及び前照灯50を設けてある。
【0030】
左側の横カバー40は、複数の引起し装置14のうちの左端に位置する引起し装置14の引起しケース14aの横外側での横隣に位置し、右側の横カバー40は、複数の引起し装置14のうちの右端に位置する引起し装置14の引起しケース14aの横外側での横隣に位置している。
【0031】
図1〜4に示すように、左側の前照灯50は、左側の横カバー40の上部における外面側に左端の引起し装置14の前方に位置する分草具12の後方でかつ上方に位置するよう配置して設けた照明灯収容凹部41に入り込むように配置し、照明灯収容凹部41に配置した照明灯側支持体部42aを有した照明灯支持体42(図7参照)に支持させてある。横カバー40の照明灯収容凹部41は、走行機体前方向き及び走行機体横外側向きに開口するように形成してある。左側の前照灯50の横幅方向での大部分(横幅方向での全長のうちの8〜8.5割)が照明灯収容凹部41に入り込んでおり、左側の前照灯50の横外側端部が照明灯収容凹部41から外側に出ている。
【0032】
図2,3,5に示すように、右側の前照灯50は、右側の横カバー40の上部における外面側に右端の引起し装置14の前方に位置する分草具12の後方でかつ上方に位置するよう配置して設けた照明灯収容凹部41に入り込むように配置し、照明灯収容凹部41に配置した照明灯側支持体部42aを有した照明灯支持体42(図6参照)に支持させてある。横カバー40の照明灯収容凹部41は、走行機体前方向き及び走行機体横外側向きに開口するように形成してある。右側の前照灯50の横幅方向での大部分(横幅方向での全長のうちの8〜8.5割)が照明灯収容凹部41に入り込んでおり、右側の前照灯50の横外側端部が照明灯収容凹部41から外側に出ている。
【0033】
左側及び右側の照明灯収容凹部41は、照明灯収容凹部41の側面を構成する側板部40aと、照明灯収容凹部41の後面を構成する後面部40bと、照明灯収容凹部41の上面を構成する上面部40cとで形成されている。側板部40aの側面視での形状は、上端側ほど徐々に前後長さが長くなる形状に形成されており、側板部40aの後端に連なる後面部40bは、前方下方に傾斜する傾斜面に形成されている。この実施形態では、後面部40bは、側面視で後側に凹状に湾曲した状態で傾斜する傾斜面に形成されているが、側面視で直線状に傾斜する傾斜面に形成してもよい。上面部40cは、側面視で側板部40bよりも緩い傾斜で前方下方へ傾斜する傾斜面に形成されており、正面視で外方上方に傾斜する傾斜面に形成されている。この実施形態では、上面部40cは、正面視で下側に凸状に湾曲した状態で傾斜する傾斜面に形成されているが、正面視で直線状に傾斜する傾斜面に形成してもよい。
【0034】
図6,7に示すように、左側の前照灯50のための照明灯支持体42及び右側の前照灯50のための照明灯支持体42は、照明灯収容凹部41に配置した照明灯側支持体部42aを備える他、横カバー40のうちの照明灯収容凹部41を形成する側板部40aの裏面側に配置して照明灯側支持体部42aに連結ボルト43によって連結されたフレーム側支持体部42bを備えて構成してある。
【0035】
照明灯収容凹部41の側板部40aには、側板部40aの外面から更に内側に凹入した前照灯取付部40Aが形成されている。左側の前照灯50のための照明灯支持体42及び右側の前照灯50のための照明灯支持体42における照明灯側支持体部42aとフレーム側支持体部42bとは、横カバー40の照明灯収容凹部41を形成する側板部40aの照明灯取付部40Aを挟む状態で連結ボルト43によって締め付け連結されている。
【0036】
左側の前照灯50のためのフレーム側支持体部42b及び右側の前照灯50のためのフレーム側支持体部42bは、照明灯側支持体部42aに連結される支持部42cと、この支持部42cに一端側が連結された連結部42dとを備えて構成してある。左側の照明灯50のためのフレーム側支持部42bは、引起し駆動ケース26が左端の引起し装置14に動力伝達するよう備える出力ケース部26aに設けることによって刈取り部フレーム11に備えさせた取付座部26bに連結部42dが連結ボルトによって連結されている。右側の照明灯50のためのフレーム側支持部42bは、引起し駆動ケース26が右端の引起し装置14に動力伝達するように備える出力ケース部26aに設けることによって刈取り部フレーム11に備えさせた取付座部26bに連結部42dが連結ボルトによって連結されている。
したがって、左側の前照灯50を支持する照明灯支持体42及び右側の前照灯50を支持する照明灯支持体42は、刈取り部フレーム11に支持されながら前照灯50を支持する。
【0037】
左側の前照灯50及び右側の前照灯50は、前照灯50の下部に軸芯Pまわりに回転自在に設けられた台部材51で照明灯側支持部42aに連結されている。左側の前照灯50のための照明灯収容凹部41及び右側の前照灯50のための照明灯収容凹部41を走行機体上下方向に長い形状に形成するとともに、左側の前照灯50及び右側の前照灯50をそのための照明灯収容凹部41の上端側に寄せて配置して、左側の前照灯50及び右側の前照灯50のための前照灯収容凹部41の下端側で、前照灯50の下方に位置する部位に空隙41aを形成してある。
【0038】
つまり、刈取り部10の左横側においても右横側においても、前照灯50を軸芯Pまわりに揺動調節することにより、前照灯50の取付角度を上下に変更して前照灯50による光の照射向きを上下に変更調節することができるとともに、照射向きを下向きに調節した場合でも、前照灯50による照射光が照明灯収容凹部41の前照灯下方の空隙41aを通って刈取り部10の前端付近に至り、分草具12及び分草具12の前方付近を照明することができる。
【0039】
図2〜5に示すように、左側の横カバー40及び右側の横カバー40は、照明灯収容凹部41を設けた上側横カバー部45と、この上側横カバー部45の下方に位置するとともに上側横カバー部45とは別体に形成した下側横カバー部46とを備えて構成してある。
【0040】
図9は、左側の上側横カバー部45を示し、図9(a)は、上側横カバー部45の正面図、図9(b)は、上側横カバー部45の表面側を示す側面図、図9(c)は、上側横カバー部45の後面図、図9(d)は、上側横カバー部45の裏面側を示す側面図である。これらの図に示すように、左側の横カバー40における上側横カバー部45は、これの上縁部の裏面側に上縁に沿わせて並べて設けた複数個の連結突起47、及び上側横カバー部45の裏面側に上下方向に分散配置して設けた複数個の連結片48を備えている。
【0041】
左側の横カバー40における上側横カバー部45は、図7に示す如く照明灯収容凹部41を形成する側板部40aの前照灯取付部40Aが照明灯支持体42におけるフレーム側支持体部42bと照明灯側支持体部42aによって挟まれることにより、図4に示す如く複数個の連結突起47が防塵カバー30の横側部に設けた連結孔に嵌め込んで係止されることにより、複数個の連結片48が、左端の引起し装置14の引起しケース14aや引起し伝動ケース24などから延出させて刈取り部10の左側に設けられた支持部材に止着されることにより、刈取り部10の左横側部の所定位置に取付けられる。
【0042】
図8は、右側の横カバー40における上側横カバー部46を示し、図8(a)は、上側横カバー部46の正面図、図8(b)は、上側横カバー部46の裏面側を示す側面図、図8(c)は、上側横カバー部46の後面図、図8(d)は、上側横カバー部46の表面側を示す側面図である。これらの図に示すように、右側の横カバー40における上側横カバー部45は、これの裏面側に設けた係止爪49及び連結片48を備えている。
【0043】
右側の横カバー40における上側横カバー部45は、図6に示す如く照明灯収容凹部41を形成する側板部40aの前照灯取付部40Aが照明灯支持体42におけるフレーム側支持体部42bと照明灯側支持体部42aによって挟まれることにより、図5に示す引起し駆動ケース26を覆う駆動ケースカバー60の端部に係止爪49が係止され、右端の引起し装置14の引起しケース14aや支柱25から延出させて刈取り部10の右側に設けられた支持部材に連結片48が止着されることにより、刈取り部10の右横側部の所定位置に取付けられる。
【0044】
図4,5,10に示すように、左側の横カバー40及び右側の横カバー40における下側横カバー部46は、これの裏面側に上下方向及び前後方向に分散配置して設けた複数個の取付け用フック53,54を備えており、この複数個の取付用フック53,54によって刈取り部10の横側部の上側横カバー部45の下方の所定位置に脱着される。
【0045】
すなわち、複数個の取付け用フック53,54のうちの下側カバー部46の下端部に位置する前後一対の下側の取付け用フック53,53は、複数本の分草フレーム23のうちの横端に位置する分草フレーム23に取り付けることによって刈取り部10に設けた支持部材55に対して係脱して下側カバー部46の下側を支持部材55に脱着する。
【0046】
複数個の取付け用フック53,54のうちの前後一対の下側の取付け用フック53,53の上方に位置する前後一対の上側の取付け用フック54,54は、下側カバー部46に装着した係止装置56に揺動自在に支持されており、横端に位置する引起し装置14の引起しケース14a、引起し伝動ケース24、支柱25に支持させることによって刈取り部10に設けた支持部材57に係脱して下側横カバー部46の上側を支持部材57に脱着する。
【0047】
各上側の取付け用フック54は、係止装置56に設けられた閉じバネ(図示せず)によって支持部材57に係合した閉じ姿勢に揺動付勢される。図10に示すように、各上側の取付け用フック54は、係止装置56に揺動操作自在に設けられた解除レバー58によって支持部材57から離脱する開き姿勢に揺動操作できる。
【0048】
つまり、刈取り部10の左側においても右側においても、下側横カバー部46の取付け用フック53,54による支持部材55,57に対する取付けを解除することにより、上側横カバー部45を刈取り部10に取り付けたままにしながら、下側カバー部46のみを刈取り部10から取り外すことができ、前照灯50の取り外しを行なわなくとも供給装置16の点検や修理などを横側方から行なうことができる。
【0049】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、刈取り部10の左右側に横カバー40及び前照灯50を設けた例を示したが、刈取り部10の左側と右側のいずれか一方の横側部だけに横カバー40及び前照灯50を設けて実施してもよい。
(2)上記した実施例では、横カバー40を別体の上側横カバー部45と下側横カバー部46とを備えて構成した例を示したが、横カバー40を全体にわたって単一の横カバーに構成して実施してもよい。
(3)上記した実施例では、下側横カバー部46を前後一対の上側の取付け用フック54,54及び前後一対の下側の取付け用フック53,53によって脱着する例を示したが、下側横カバー部46に設ける取付け用フックの構成及び数を必要に応じて変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、袋詰め部や自脱形の脱穀装置を備えるコンバインの他、穀粒タンクを備えるコンバインにも、刈取り穀稈を株元から穂先までの全体にわたって扱室に投入する脱穀装置を備えた普通型のコンバインにも利用できる。
【符号の説明】
【0051】
10 刈取り部
12 分草具
14 引起し装置
14a 引起しケース
40 横カバー
40a 側板部
41 照明灯収容凹部
41a 空隙
42 照明灯支持体
42a 照明灯側支持体部
42b フレーム側支持体部
45 上側横カバー部
46 下側横カバー部
50 前照灯
53,54 取付け用フック
55,57 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分草具及び前記分草具からの植立穀稈に作用する引起し装置を備える刈取り部が走行機体の前部に連結され、前記刈取り部の横側部に前記引起し装置の引起しケースの横隣に位置する状態で設けた横カバーを備えたコンバインであって、
前記横カバーに、走行機体前方向き及び走行機体横外側向きに開口する照明灯収容凹部を前記分草具の後方でかつ上方に配置して設け、
前記横カバーのうちの前記照明灯収容凹部の内壁を形成する側板部の裏側に配置して刈取り部フレーム側に支持させたフレーム側支持体部と、前記側板部を前記フレーム側支持体部とで挟む状態で前記フレーム側支持体部に締め付け連結するとともに前記照明灯収容凹部に配置した照明灯側支持体部とを備えて、照明灯支持体を構成し、
前照灯を前記照明灯収容凹部に入り込むように配置した状態で前記照明灯側支持体部に支持させてあるコンバイン。
【請求項2】
前記照明灯収容凹部を走行機体上下方向に長い形状に形成するとともに、前記照明灯収容凹部の下端側で、前記前照灯の下方に位置する部位に空隙が形成されるように、前記前照灯を前記照明灯収容凹部の上端側に寄せて配置してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記横カバーを、前記照明灯収容凹部を設けた上側横カバー部と、前記上側横カバー部の下方に位置するとともに前記上側横カバー部とは別体の下側横カバー部とを備えて構成し、
前記下側横カバー部を、前記下側横カバー部に設けた取付け用フックにより、前記刈取り部に設けられた支持部材に脱着自在に取付けられるように構成してある請求項1又は2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−239727(P2011−239727A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114608(P2010−114608)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】