説明

コンバイン

【課題】排気マフラーをエンジンの上部に設けるとともにエンジン排気を走行機体の後部下方に排出するものでありながら、排気による土ほこりの発生を抑制しながら排気管路の局所的な温度上昇を回避できるようにする。
【解決手段】排気マフラー41からの排気を流動案内して排出する排気管43を、排気マフラー41の排気口42aから脱穀装置と穀粒回収部との間を通して走行機体の後部下方に向けて直線状に設けてある。排気管43の軸芯43dに対して交差する角度の案内面44aを備えて、排気管43の排気を案内面44aによって走行機体後方向きに流動するように案内する流動ガイド44を、排気管43の排出口43aの下側に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の前部に設けられた運転部と、前記運転部の下方に設けられたエンジンと、前記運転部の後方に走行機体横方向に並べて設けられた脱穀装置と穀粒回収部とを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されたコンバインがあった。特許文献1に記載されたものでは、エンジンの排気口に、排気マフラーとしてのマフラー、及びマフラーから下降するエキゾーストパイプを介してテールパイプの一端側が連結され、テールパイプを車台の中央下部で前後方向に亘るセンタフレームの下側に沿わせて、エンジン排気を車台の中央後側へ向けて行なうようエンジン排気装置が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−276533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を採用することにより、エンジンの排気を走行機体の後部下方に排出するよう構成した場合、排気マフラーの排気口から走行機体の後部下方に向かう排気管路にエルボー部(屈曲部)が形成され、エルボー部にエンジン排気による局所的な温度上昇が発生しやすくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、排気マフラーをエンジンの上部に設けるとともにエンジン排気を走行機体の後部下方に排出するものでありながら、排気による土ほこりの発生を抑制しながら排気管路の局所的な温度上昇を回避できるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、走行機体の前部に設けられた運転部と、前記運転部の下方に設けられたエンジンと、前記運転部の後方に走行機体横方向に並べて設けられた脱穀装置と穀粒回収部とを備えたコンバインにおいて、
前記エンジンのための排気マフラーを前記エンジンの上部に設け、
前記排気マフラーからの排気を流動案内して排出する排気管を、前記排気マフラーの排気口から前記脱穀装置と前記穀粒回収部との間を通して前記走行機体の後部下方に向けて直線状に設け、
前記排気管の軸芯に対して交差する角度の案内面を備えて、前記排気管の排気を前記案内面によって走行機体後方向きに流動するように案内する流動ガイドを、前記排気管の排出口の下側に配置してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、排気マフラーから排出されるエンジン排気は、排気管によって走行機体の後部下方に流動案内されて排出される。排気管は、直線状に設けてあるから、流動するエンジン排気が局所的に滞留や流速低下して排気管を加熱する事態を発生させない。
【0008】
エンジンの上部に設けた排気マフラーの排気口から走行機体の後部下方に向かう直線状の排気管によってエンジン排気が単に流動案内されるだけであれば、排気管から排出されるエンジン排気は、排気管の軸芯に沿った方向に排出されて地面に吹き付けられやすい。本第1発明の構成によると、排気管の軸芯に対して交差する角度の案内面を備えて、排気管の排気を案内面によって走行機体後方向きに流動するように案内する流動ガイドを、排気管の排出口の下側に配置してあるから、排気管から排出されるエンジン排気を走行機体後方向きに向けて流動させることができ、排気管によるエンジン排気の地面に対する吹き付けを抑制できる。
【0009】
従って、排気マフラーをエンジンの上部に設けるとともにエンジン排気を走行機体の後部下方に排出するものでありながら、排気管の過熱によって周辺装置が温度上昇する事態が生じないように排気管の局所的な温度上昇を防止することができ、さらに排気管のエンジン排気の排出による土ほこりの発生を抑制できる。
【0010】
本第2発明は、前記流動ガイドを、前記排気管に装着してある。
【0011】
本第2発明の構成によると、流動ガイドと排気管を一体化したコンパクトな構造にできる。
【0012】
従って、走行機体の後部下方に広いスペースを確保できない場合でも、排気管及び流動ガイドをコンパクトに配備して、土ほこりの発生を抑制しながらの排気を行なわせることができる。
【0013】
本第3発明は、前記排気管の後方に、前記流動ガイドからの排気の流動方向を走行機体下方向きに変更する向き変更ガイドを配備してある。
【0014】
本第3発明の構成によると、流動ガイドの作用によって排気管から後方向きに流動して流動力が低下し、向き変更ガイドを作用させても地面に強く当たりにくい状態になったエンジン排気に向き変更ガイドを作用させて、エンジン排気を下方向きに流動させて上方に拡散しにくくできる。
【0015】
従って、エンジン排気による土ほこりの発生を抑制できるのみならず、エンジン排気の上方への拡散を抑制できる。
【0016】
本第4発明は、前記向き変更ガイドの上端を、前記排気管の排出口の上端より高い配置高さに位置させ、前記向き変更ガイドの下端を、前記排気管の排出口の下端より低い配置高さに位置させてある。
【0017】
本第4発明の構成によると、向き変更ガイドが走行機体後面視で排気管の排出口の全体に対して重複するようにでき、たとえば湿田において後進された場合、排気管の排出口に向けて移動することになる泥土を向き変更ガイドによって排気管の後方で受け止めさせて、泥土を排気管の排気口に侵入しにくくできる。
【0018】
従って、向き変更ガイドを土止め手段に活用して構造簡単に排気管の泥詰まりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバインの全体を示す右側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す左側面図である。
【図3】コンバインの全体を示す平面図である。
【図4】機体フレーム及び機体フレーム上の配置関係を示す平面図である。
【図5】排気装置を示す側面図である。
【図6】排気装置及び穀粒回収部を示す後面図である。
【図7】排気管の排出口を示す平面図である。
【図8】排気管の排出口を示す縦断側面図である。
【図9】排気管の排出口を示す斜視図である。
【図10】向き変更ガイドの全体を示す斜視図である。
【図11】取り付け状態での向き変更ガイドを示す縦断側面図である。
【図12】取り付け状態での向き変更ガイドを示す後面図である。
【図13】穀粒回収部を示す側面図である。
【図14】タンクの前支持構造及び前側の背当て体の支持構造を示す正面図である。
【図15】タンクの前支持構造及び前側の背当て体の支持構造を示す側面図である。
【図16】タンクの前支持構造及び前側の背当て体の支持構造を示す平面図である。
【図17】タンクの後支持構造を示す後面図である。
【図18】タンクの後支持構造を示す側面図である。
【図19】タンクの後支持構造を示す平面図である。
【図20】下降使用姿勢に切り換えられた前側の背当て体を示す正面図である。
【図21】後側の背当て体が取り付けられた状態における穀粒回収部を示す側面図である。
【図22】後側の背当て体の取り付け構造を示す後面図である。
【図23】後側の背当て体の取り付け構造の分解状態での平面図である。
【図24】図22のXXIV―XXIV断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す右側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す左側面図である。図3は、本発明の実施に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1が装備された機体フレーム2、及び機体フレーム2の前端部の横一端側に設けられた運転部3を備えた走行機体と、機体フレーム2の運転部3の横側に位置する部位に連結された刈取り部4と、運転部3の後方に走行機体横方向に並べて走行機体に設けられた脱穀装置5と穀粒回収部6とを備えて構成してある。
【0021】
走行機体は、運転部3の運転座席3aが位置する部位の下方に設けられたエンジン11が装備された原動部10を備え、エンジン11が出力する駆動力を、機体フレーム2の前端部に設けられたミッションケース7に入力してミッションケース7の内部に位置する走行ミッション(図示せず)から左右一対のクローラ走行装置1,1のクローラ駆動輪体1aに伝達して、左右一対のクローラ走行装置1,1を駆動する。走行機体は、エンジン11からの駆動力を、ミッションケース7の内部に位置する作業ミッション(図示せず)から刈取り部4の駆動機構(図示せず)に伝達して、刈取り部4を駆動する。
【0022】
刈取り部4は、機体フレーム2の前端部から上下揺動自在に延出された刈取り部フレーム4aを備え、刈取り部フレーム4aが油圧シリンダ8によって揺動昇降操作されることにより、刈取り部4の前端部に走行機体横方向に並べて設けられた分草具4bが地面近くに下降した下降作業状態と分草具4bが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。
【0023】
したがって、コンバインは、刈取り部4を下降作業状態にして走行機体を走行させることにより、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、刈取り部4を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部4は、刈り取り対象の植立穀稈を分草具4bによって走行機体横方向に並ぶ複数の引起し装置4cのうちの所定の引起し装置4cに導入し、各引起し装置4cによって引起し処理される植立穀稈を一つのバリカン形の刈取り装置4dによって刈取り処理し、刈取り穀稈を供給装置4eによって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aに供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を走行機体後方向きに挟持搬送し、刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理し、脱穀粒を揚穀装置9によって穀粒回収部6に備えられたタンク20に供給する。
【0024】
〔機体フレームの構成〕
図4,5に示すように、機体フレーム2は、走行機体の前後方向に長い角パイプ状の左右一対のメインフレーム30,30と、一対のメインフレーム30,30の上を左右方向に通ってメインフレーム30に連結された複数本の横向きフレーム31と、横向きフレーム31の機体外側端部に連結される前後向きの側部フレーム32とを備えて構成され、格子枠状に形成されている。
【0025】
図4に示すように、機体フレーム2の左後部に脱穀装置5が搭載され、機体フレーム2の右後部に穀粒回収部6が搭載され、機体フレーム2の右前部に原動部10が設けられている。
【0026】
〔原動部の構成〕
図4,5に示すように、原動部10は、機体フレーム1の右前部に隣り合って位置する一対の横向きフレーム31,31の所定箇所に搭載されたエンジン11と、エンジン11の右横側方に設けたエンジン冷却用のラジエータ12と、ラジエータ12とエンジン11の間に設けた回転冷却ファン13とを備えて構成してある。
【0027】
回転冷却ファン13は、エンジン11によって回転駆動されて原動部10の外部に位置する空気を吸引して冷却風を発生させ、発生させた冷却風をラジエータ12に供給する。
【0028】
エンジン11は、出力軸が走行機体横向きになる姿勢で搭載されている。横向きフレーム31に形成されたエンジンマウント14とエンジン11に形成された連結部15との間にクッションゴム16が介装されている。機体フレーム2の左後端部に、筒状の給油口17a備えた燃料タンク17が配設されており、この燃料タンク17からエンジン11に燃料が供給される。機体フレーム2の左前部に、作動油タンク18が搭載されている。
【0029】
〔エンジンの排気装置の構成〕
エンジン11に、排気マフラー41を備えた排気装置40が接続されている。
図4,5,6に示すように、排気装置40は、エンジン11の上部に走行機体の横方向での中央部に配置して設けた排気マフラー41と、排気マフラー41の排気口42aから走行機体の後部下方に向かって延びる排気管43と、排気管43の後端側に位置する排出口43aの下側に設けた流動ガイド44と、排気管43の排出口43aの後方に位置する箇所であって、燃料タンク17の前方に位置する箇所に配備した向き変更ガイド45とを備えて構成してある。
【0030】
排気マフラー41は、エンジン11のエキゾーストマニホールド11aに排気導入口(図示せず)が接続された走行機体前後方向に長い円形のマフラー本体41aと、マフラー本体41aの後壁から走行機体後方向きに延出されて排出口42aを形成している排出筒42とを備えて構成されている。
【0031】
排気管43は、排気マフラー41の排気口42aを囲繞する前端部43bから排出口43aが位置する後端部43cまで軸芯43dが直線軸芯となる直線状に構成した状態で、脱穀装置5の走行機体横方向での内側に位置する横機壁部と穀粒回収部6のタンク20の下方に位置する袋支持部21との間を走行機体前後方向に、排出口側ほど低い配置高さに位置する傾斜姿勢で通るよう配置してある。排気管43は、軸芯43dに沿う方向での三箇所に分散配置して設けた連結部43eを備え、機体フレーム2に設けられた支柱46及びステー47に連結部43eで支持されている。
【0032】
排気管43の前端部43bは、排気マフラー41の排出筒42との間にエゼクタ通路48が形成される状態で排気マフラー41の排出筒42に接続してある。
【0033】
排気管43の排出口43aは、脱穀装置5に設けられた一番スクリューコンベヤ9の搬送終端部を脱穀装置5と穀粒回収部6の間に設けられた揚穀装置50の搬送始端部に連通させるように一番スクリューコンベヤ9と揚穀装置5とに亘って設けられた接続ケース51の下方に位置し、かつ左右一対のクローラ走行装置1,1の間に位置する走行機体の後部下方に配置してある。
【0034】
図7は、排気管43の排出口43aを示す平面図である。図8は、排気管43の排出口43aを示す縦断側面図である。図9は、排気管43の排気口43aを示す斜視図である。これらの図に示すように、排気管43の排出口43aは、排気管43の後端部43cの上部分及び下部分を左右一対の延出部43g,43gが残るようにして前後方向に切除し、下部分の切除によって形成される開口の一部を、排出口43cの下側に配置して排気管43に装着した流動ガイド44によって閉じることによって形成してあり、機体後方向き及び機体上方向きに開口している。すなわち、排気管43の排出口43aは、左右一対の延出部43g,43gの上側に平面視形状がU字形となり、側面視で水平線に対して後下がり傾斜となるように形成されて位置する上側開口と、左右一対の延出部43g,43gの下側に平面視形状が矩形となり、側面視で水平線に対して上側開口よりも緩いやや後下がり傾斜となるように形成されて位置する下側開口とを備えて構成してある。排気管43の上部分の切除によって形成した上側開口は、排気管43の下部分の切除によって形成される開口の一部を流動ガイド44によって閉じることによって発生する開口不足を補う。左右一対の延出部43g,43gのそれぞれの延出端部(後端部)は、やや先細りになるように延出端部の外側縁が内側に向かって傾斜した形状になっている。
【0035】
流動ガイド44には、排気管43の軸芯43dに対して交差する角度の案内面44aを備えてある。流動ガイド44は、側面視で水平線に対して後下がり傾斜姿勢となっており、前進時において泥土を排出口43aの下方に押し下げる機能を発揮する。向き変更ガイド45には、下端側ほど走行機体後方側に位置するように傾斜した傾斜案内面45aを備えてある。向き変更ガイド45の傾斜案内面45aの後下がりの傾斜角は、流動ガイド44の案内面44aの後下がりの傾斜角より急角度になっている。
【0036】
したがって、排気装置40は、エンジン11の排気を次の如く排出処理する。
すなわち、エキゾーストマニホールド11aから排出されるエンジン排気を、排気マフラー41のマフラー本体41aに導入して消音処理し、排気マフラー41の排出口42aから排出されるエンジン排気を排気管43の前端側に導入し、導入したエンジン排気を、排気管43によって接続ケース51の下方に位置する走行機体の後部下方に流動案内する。排気管43は、排気管43の外部からエゼクタ通路48によって排気管43の内部に導入した冷却用の空気をエンジン排気に合流させてエンジン排気の温度低下を図ることにより、さらに排気管43が直線状であって局所的なエンジン排気の滞留を発生させないことにより、エンジン排気による排気管43の局所的な温度上昇を発生させないでエンジン排気を流動案内する。排気管43によって走行機体の後部下方に流動案内したエンジン排気を、排気管43の排出口43aから排出する。このとき、排気管43の排出口43aから排出されるエンジン排気を、排気管43の軸芯43dに沿う向きに流動して地面に当たることを防止するように、流動ガイド44の案内面44aによって走行機体後方向きに流動するように案内する。流動ガイド44から走行機体後方向きに流動したエンジン排気が燃料タンク17に向いて流動しにくいように、かつ走行機体の上方向きに飛散しにくいように、流動ガイド44からのエンジン排気の流動方向を、向き変更ガイド45の傾斜案内面45aによって走行機体下方向きの流動方向に変更する。
【0037】
図5に示すように、向き変更ガイド45のガイド本体45Aでの上端45eは、排気管43の排出口43aの上端43rの配置高さより高い配置高さに配置し、向き変更ガイド45のガイド本体45Aでの下端45bは、排気管43の排出口43aの下端43fの配置高さより低い配置高さに配置してある。向き変更ガイド45のガイド本体45Aでの横幅W1は、排気管43の直径よりも大に設定してある。したがって、向き変更ガイド45は、走行機体後面視で排気管43の排出口43aの全体に対して重複する状態となり、走行機体が湿田において後進された場合、排気管43の排出口43aに向けて移動することになる泥土を向き変更ガイド45によって排気管43の後方で受け止めて排気管43の排気口43aに侵入しにくくする。すなわち、向き変更ガイド45は、ガイド本体45A及び横向きフレーム34の背面側のスペースに泥土を受け止め、受け止めた泥土をガイド本体45Aの傾斜などによってその上方及び横外側に流動させるドーザ機能を発揮する。
【0038】
図10は、向き変更ガイド45の全体を示す斜視図である。図11は、取付け状態での向き変更ガイド45を示す縦断側面図である。図12は、取付け状態での向き変更ガイド45を示す後面図である。これらの図に示すように、向き変更ガイド45は、傾斜案内面45aが形成されたガイド本体45Aと、ガイド本体45Aの上端に中継部45Bを介して連結する取付け部45Cと、ガイド本体45Aの背面側に設けた係止部45Dとを備えて構成してある。
【0039】
向き変更ガイド45は、機体フレーム2を構成する左右一対の前後向きフレーム33,33の間にガイド本体45A及び中継部45Bが入り込み、左右一対の前後向きフレーム33,33に亘って連結された横向きフレーム34の縦辺部34aに係止部45Dとガイド本体45Aとによって係合する組み付け姿勢にして、取付け部45Cが横向きフレーム34の上面側に連結ねじ35によって連結部材36との共締めで締め付け連結されることにより、所定の組み付け状態になる。連結部材36は、脱穀装置5の底部を横向きフレーム34に連結するものである。
【0040】
向き変更ガイド45の両横側に切り欠き部45c,45dを形成してある。一方の切り欠き部45cは、ガイド本体45A、中継部45B及び取り付け部45Cに亘って設けてある。他方の切り欠き部45dは、ガイド本体45Aと中継部45Bに亘って設けてある。各切り欠き部45c,45dは、前後向きフレーム33の入り込みを許容して、ガイド本体45Aの下端側での横幅W1及び取付け部45Dでの横幅W2を、左右一対の前後向きフレーム33,33の間隔W3よりも大きい横幅に設定している。
【0041】
〔穀粒回収部の構成〕
図13は、穀粒回収部6を示す側面図である。図1,3,6,13に示すように、穀粒回収部6は、袋詰め用のホッパー形に構成されたタンク20と、タンク20の下方に走行機体前後方向に並べて設けられた複数本の袋支持杆22を有した袋支持部21と、機体フレーム2に装着された袋受けデッキ23及び作業台24とを備えて構成してある。
【0042】
タンク20は、脱穀装置5の一番スクリューコンベヤ9から搬出された脱穀粒を、揚穀装置50によって供給されて貯留し、貯留した脱穀粒を、タンク20の底部に走行機体前後方向に並べて設けられた吐出筒24から吐出する。
【0043】
袋支持部21は、籾袋25(図1参照)の出し入れ口の両横側にハトメリングを備えて構成された係止部が袋支持杆22に装着されることにより、吐出筒24の奥側に収納された状態の籾袋25、及び吐出筒24に出し入れ口が装着された穀粒投入状態の籾袋25を袋支持杆22によって吊下げ支持する。袋受けデッキ23は、袋支持杆22によって吊下げ支持される籾袋25の底側を受け止め支持する。作業台24は、吐出筒24に空の籾袋25を装着したり、吐出筒24から満杯の籾袋25を取り外したりする袋詰め作業を行う作業者が搭乗に使用するものである。
【0044】
図13,14に示すように、タンク20の前端側は、機体フレーム2に立設された左右一対の前支柱61,61とタンク20の前壁部20aとに亘って設けた前支持構造60を介して左右一対の前支柱61,61に支持されている。
【0045】
図14,15,16に示すように、前支持構造60は、左右一対の前支柱61,61にわたって連結された走行機体横向きの支持フレーム62と、支持フレーム62の中間部に板金部材を連結して形成されたタンク受け台部63と、タンク20の前壁部20aに板金部材を連結して形成された前連結脚部64とを備えて構成されている。前連結脚部64に設けられた底辺部64aをタンク受け台部63に載置して連結ボルト65によって締め付け連結するよう構成されている。
【0046】
支持フレーム62と右側の前支柱61とは、支持フレーム62を前支柱61の上端に載置して溶接することによって連結されている。支持フレーム62と左側の前支柱61とは、支持フレーム62に板金を連結して形成した連結部62aを前支柱61に板金部材を連結して形成された支持部61aにボルト連結することによって連結されている。
【0047】
図13,17に示すように、タンク20の後端側は、機体フレーム2に立設された後支柱71とタンク20の後壁部20bとに亘って設けた後支持構造70を介して後支柱71に支持されている。
【0048】
図17,18,19に示すように、後支持構造70は、後支柱71から走行機体横外向きに延出された支持アーム72と、支持アーム72に板金部材を連結して形成されたタンク受け台部73と、タンク20の後壁部20bに板金部材を連結して形成された後連結脚部74とを備えて構成されている。後連結脚部74に設けられた底辺部74aをタンク受け台部73に載置して連結ボルト75によって締め付け連結するよう構成されている。
【0049】
穀粒回収部6には、タンク20の下部の横外側に配置された固定ハンドル80、及びタンク20の前端側に配備された背当て体81を設けてある。固定ハンドル80は、袋詰め作業者が体の安定化を図るように手で支持するものである。背当て体81は、袋詰め作業者が体の安定化を図るように背を当て付けて支持させるものである。
【0050】
図14,15,16に示すように、背当て体81は、タンク20の前側に位置する支持フレーム62にブラケット及び筒体を取付けて形成された支持部82に支軸81aを介して揺動昇降自在に支持された揺動アーム部81Aと、揺動アーム部81Aの先端から走行機体後方向きに延出する支持アーム部81Bと、支持アーム部81Bに設けられた背当てクッション81Cとを備えて構成され、支軸81aの軸芯まわりに下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換え自在になっている。
【0051】
図20は、下降使用姿勢に切り換えられた状態での背当て体81を示す正面図である。この図に実線で示す背当て体81や図3に二点鎖線で示す背当て体81のように、背当て体81は、支軸81aの軸芯まわりに下降揺動操作されて、揺動アーム部81Aが支持フレーム62の走行機体横外側の端部に設けられたストッパー83に当接して受け止め支持された状態になると、下降使用姿勢になる。すなわち、背当てクッション81Cがタンク20の横外側に位置し、作業者が背を背当てクッション81Cに当てて支持させることができる。ストッパー83は、クッションゴム84を備えており、クッションゴム84を介して揺動アーム部81Aを受け止め支持する。
【0052】
図14は、上昇格納姿勢に切り換えられた背当て体81を示している。この図及び図3に実線で示す背当て体81のように、背当て体81は、支軸81aの軸芯まわりに上昇揺動操作されて、背当てクッション81Cがタンク20の上方に位置すると、上昇格納姿勢になる。このとき、支持フレーム62にブラケットを連結して形成した支持部85に支持されたロックピン86を揺動アーム部81Aに設けられたピン孔に作用させることにより、背当て体81を上昇格納姿勢に固定できる。
【0053】
穀粒回収部6に二人の袋詰め作業者が搭乗されることがある。この場合のために、図21に示す如くタンク20の後側にも背当て体91を配備できるように構成してある。図22は、タンク20の後側に配備される背当て体91を取り付ける取付け構造92を示す後面図である。図23は、タンク20の後側に配備される背当て体91を取り付ける取付け構造92の分解状態での平面図である。図24は、図22のXXIV―XXIV断面矢視図である。これらの図に示すように、タンク20の後側に配備される背当て体91を取り付ける取り付け構造92は、延長アーム93を備えて構成してある。
【0054】
延長アーム93は、基端部に屈曲板金を連結して形成された連結部94を備えており、この連結部94がタンク20の後側に位置する支持アーム72の先端部に外嵌されて連結ボルトによって支持アーム72に締め付け連結されることにより、支持アーム72から走行機体横外側に向かって延出した延長部72Aを支持アーム72に備えさせる。
【0055】
延長アーム93は、基端部にブラケット及び筒体を連結して形成された支持部95、及び基端部にブラケット96を介して取り付けられたロックピン97、先端部に設けられたストッパー98を備えており、支持アーム72の延長部72Aに、支持部95、ロックピン97及びストッパー98を備えさせる。
【0056】
支持部95に、背当て体91の揺動アーム部91Aを支軸99を介して揺動昇降自在に支持させることにより、タンク20の後側に背当て体91を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換え自在に配備できる。
【0057】
すなわち、後側の背当て体91は、支軸99の軸芯まわりに下降揺動操作されて、揺動アーム部91Aがストッパー98に当接して支持された状態になると、背当てクッション91Cがタンク20の横外側に位置し、背当てクッション91Cに背を当てることができるように下降使用姿勢になる。
【0058】
後側の背当て体91は、支軸99の軸芯まわりに上昇揺動操作されて、背当てクッション91Cがタンク20の上方に位置すると、上昇格納姿勢になる。このとき、ロックピン97を揺動アーム部91Aに設けられたピン孔に作用させることにより、背当て体91を上昇格納姿勢に固定できる。
【0059】
タンク20の後側に背当て体91を設ける上記した構成にあっては、後側の背当て体91が不要な場合、延長アーム93を取り外して、タンク後側における構造物の走行機体横外側に向かう出っ張りをなくすことができる。
【0060】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、排気管43の排出口43aを走行機体の後端より内側に配置した例を示したが、走行機体の後端より少し後側に突出する箇所に配置して実施してもよい。
【0061】
(2)上記した実施例では、向き変更ガイド45を設けた例を示したが、向き変更ガイド45を省略して実施してもよい。
【0062】
(3)上記した実施例では、脱穀粒を袋詰めするよう構成された穀粒回収部6を設けた例を示したが、脱穀粒を穀粒タンクに回収して貯留し、穀粒タンクに貯留された穀粒を排出オーガによって取り出すように構成された穀粒回収部を設けて実施してもよい。
【0063】
(4)上記した実施例では、エゼクタ通路48を設けた例を示したが、エゼクタ通路48を省略して実施してもよい。
【0064】
(5)上記した実施例では、流動ガイド44を排気管43に装着した例を示したが、流動ガイドのための支持部を機体フレーム2に設け、流動ガイド44を排気管43の排出口43aの下側に接触する配置で機体フレーム2の支持部に支持させる構成を採用して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、自脱型に構成された脱穀装置5を備えるコンバインの他、刈取り穀稈を株元から穂先までの全体にわたって扱室に投入するよう全稈投入型に構成された脱穀装置を備えるコンバインにも利用できる。
【符号の説明】
【0066】
3 運転部
5 脱穀装置
6 穀粒回収部
11 エンジン
41 排気マフラー
42a 排気マフラーの排気口
43 排気管
43a 排気管の排出口
43d 排気管の軸芯
43f 排出口の下端
43r 排出口の上端
44 流動ガイド
44a 流動ガイドの案内面
45 向き変更ガイド
45b 向き変更ガイドの下端
45e 向き変更ガイドの上端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部に設けられた運転部と、前記運転部の下方に設けられたエンジンと、前記運転部の後方に走行機体横方向に並べて設けられた脱穀装置と穀粒回収部とを備えたコンバインであって、
前記エンジンのための排気マフラーを前記エンジンの上部に設け、
前記排気マフラーからの排気を流動案内して排出する排気管を、前記排気マフラーの排気口から前記脱穀装置と前記穀粒回収部との間を通して前記走行機体の後部下方に向けて直線状に設け、
前記排気管の軸芯に対して交差する角度の案内面を備えて、前記排気管の排気を前記案内面によって走行機体後方向きに流動するように案内する流動ガイドを、前記排気管の排出口の下側に配置してあるコンバイン。
【請求項2】
前記流動ガイドを、前記排気管に装着してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記排気管の後方に、前記流動ガイドからの排気の流動方向を走行機体下方向きに変更する向き変更ガイドを配備してある請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記向き変更ガイドの上端を、前記排気管の排出口の上端より高い配置高さに位置させ、前記向き変更ガイドの下端を、前記排気管の排出口の下端より低い配置高さに位置させてある請求項3記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−147735(P2012−147735A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9750(P2011−9750)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】