説明

コンバイン

【課題】安全性に優れ、保守・点検作業を容易に行なうことができるグレンタンクを備えたコンバインを提供する。
【解決手段】上記課題は、グレンタンク(6)の天井壁(21d)に形成された天井孔(27)に開閉自在な蓋(28)を設け、蓋(28)の内側にクリンプ網又は目抜き鉄板からなる保護部(29)を設けることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクを備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、グレンタンクに貯留された穀粒をグレンタンクの下部に設置された排出螺旋に流下させる為に、排出螺旋の上側に山形の揺動シャッタを設置し、揺動シャッタとグレンタンクとの成す左側間隔を、右側間隔よりも狭くしたグレンタンクを備えたコンバインが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のグレンタンクでは、グレンタンクの下部に貯留した穀粒を効率的に排出螺旋へ流下させることはできるが、グレンタンクの上下方向中間部付近での穀粒のブリッヂによる詰まりは、依然として解決されていない。
グレンタンク内で穀粒の詰まりが発生した場合、操作者は、グレンタンクの天井壁に形成された天井孔から棒を挿入し、上方から穀粒に外力を加えて穀粒の詰まりを解消しようとする。しかし、グレンタンクの上部には、脱穀装置で脱穀された穀粒をグレンタンクに揚送する揚穀螺旋が内装された揚穀装置が設置されている為に、操作者が誤って揚穀装置に異物を差入れてしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにあり、次なる課題は、グレンタンクの保守・点検作業を容易行なうことができるコンバインを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、圃場に植立する穀桿を刈取る刈取装置(4)と、刈り取った穀桿を脱穀する脱穀装置(5)と、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(6)と、貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を備えるコンバインにおいて、 前記脱穀装置(5)とグレンタンク(6)との間に揚穀螺旋(10b)を内装する揚穀装置(10)を設け、該揚穀装置(10)の上端部をグレンタンク(6)の上部に連通させ、 前記グレンタンク(6)の天井壁(21d)に形成された天井孔(27)に開閉自在な蓋(28)を設け、該蓋(28)の内側にクリンプ網又は目抜き鉄板からなる保護部(29)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記保護部(29)を天井孔(27)における前記揚穀装置(10)側に臨む部位のみに設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記保護部(29)における揚穀装置(10)側の部位に小径孔(30a)を形成し、該保護部(29)における揚穀装置(10)とは反対側の部位には前記小径孔(30a)よりも大径の大径孔(30b)を形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記保護部(29)における揚穀装置(10)側の部位に小径孔(30a)を形成し、保護部(29)の前記揚穀装置(10)とは反対側の部位には、機体前後方向に長辺を有する長孔(30c)を形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記グレンタンク(6)の前壁(21a)の上部に点検窓(24)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記グレンタンク(6)の後側上部に切欠部(23)を形成し、平面視において、前記排出オーガ(8)を半時計回りに旋回させた場合に、排出オーガ(8)の横移送部(56)が前記切欠部(23)に入り込む構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記グレンタンク(6)を、上部のタンク部(20)と、排出螺旋(42)を機体前後方向に軸受支持した下部の漏斗部(40)から形成し、前記漏斗部(40)の下部に開閉自在なシャッタ(45)を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記タンク部(20)の右壁(21a)の内側に前後に延伸する補強材(26)を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、グレンタンク(6)の天井壁(21d)に形成された天井孔(27)の内側にクリンプ網又は目抜き鉄板からなる保護部(29)を設置しているので、誤って操作者が揚穀螺旋(10b)に棒等を挿入することを防止でき揚穀装置(10)やグレンタンク(6)の破損を防止することができる。又、保護部(29)を開閉自在な蓋(28)により覆っているので、雨滴や異物のグレンタンク(6)内への浸入を防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、保護部(29)を天井孔(27)における揚穀装置(10)側に臨む部位のみに設置しているので、グレンタンク(6)内で穀粒が詰まった場合、揚穀装置(10)と反対側に位置する天井孔(27)から棒を挿入し、穀粒の詰まりを容易に解消することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、保護部(29)の剛性が高くなり、保護部(29)及びグレンタンク(6)の変形を抑制することができる。又、保護部(29)の揚穀装置(10)とは反対側の部位には大孔径(30b)を形成しているので、グレンタンク(6)内で穀粒が詰まった場合、大孔径(30b)から棒を挿入し、穀粒の詰まりを容易に取除くことができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、保護部(29)の剛性が高く、保護部(29)の変形を抑制することができる。又、揚穀装置(10)と反対側に位置する保護部(29)に、機体前後方向に長辺を有する長孔(30c)を形成しているので、グレンタンク(6)内で穀粒が詰まった場合、この長孔(30c)から棒を挿入し、グレンタンク(6)内部の前側から後側までに存在する穀粒に外力を加え、穀粒の詰まりを解消することができ、詰まりを除去する作業の能率が更に向上する。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、グレンタンク(6)の前壁(21a)の前側上部に点検窓(24)を設置しているので、操作者はグレンタンク(6)の穀粒の貯留量、穀粒の詰まりを容易に目視することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、平面視において、前記排出オーガ(8)のを半時計回りに旋回させた場合に、排出オーガ(8)の横移送部(56)が前記切欠部(23)に入り込む構成としているので、排出オーガ(8)の広い可動領域を確保することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、グレンタンク(6)の漏斗部(40)の下部に開閉自在なシャッタ(45)を設けているので、漏斗部(40)の保守・点検作業が容易に行なえ、又、漏斗部(40)に残存した穀粒の排出も容易に行なうことができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、グレンタンク(6)のタンク部(20)の右壁(21a)の内側に前後に延伸する補強材(26)を設置しているので、収穫作業によって貯留された穀粒から受ける内圧によって右壁(21c)が変形し、この右壁(21a)が障害物と接触することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コンバインの右側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの背面図である。
【図4】排出オーガの動作の説明図である。
【図5】グレンタンクの右側面図である。
【図6】グレンタンクの正面図である。
【図7】グレンタンクの左側面図である。
【図8】グレンタンクの背面図である。
【図9】グレンタンクの平面図である。
【図10】保護部の説明図である。
【図11】変形例1の保護部の説明図である。
【図12】変形例2の保護部の説明図である。
【図13】(a)はグレンタンクの漏斗部の拡大右側面図であり、(b)は(a)のA―A断面図である。
【図14】プレクリーナの設置説明図である。
【図15】燃料タンクの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0024】
図1〜図3に示すように、コンバイン1は、圃場を走向する左右一対のクローラ2a,2bからなる走行装置3と、機体の前端位置で圃場から穀桿を刈取る刈取装置4と、その後方で穀桿の脱穀・選別を行なう脱穀装置5と、脱穀装置5の右側に並設され脱穀・選別された穀粒を貯留するグレンタンク6とを備え、グレンタンク6の前側で刈取装置4の背面に臨む部位に、操作者が搭乗する操縦部7を備えている。操縦部7の座席の下側には、エンジンEを搭載する。
又、グレンタンク6の後側には貯留された穀粒を機外に排出する排出オーガ8を備え、グレンタンク6と収納時の排出オーガ8によって挟まれた空間には、エンジンEに供給される空気を、エンジンE側のエアクリーナの前段で濾過するプレクリーナ70を備えている。
【0025】
(脱穀装置)
刈取装置4によって刈取られた穀稈は、脱穀装置5に揚上搬送され、脱穀装置5によって脱穀・選別される。脱穀装置5は、上部に穀稈の脱穀を行う扱室と、下部に穀稈の選別を行なう選別室を備えている。
脱穀装置5によって脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置5の右側に設置された揚穀装置10によってグレンタンク6に揚送される。
揚穀装置10は、円筒鋼材からなる揚穀筒10aと、穀粒を揚送する揚穀螺旋10bとから構成され、揚穀筒10aの基部11は、脱穀装置5の右側下部に形成された排出口に連通し、揚穀装置10の上部12は、グレンタンク6の投入口35に連通している。
【0026】
(グレンタンク)
図5〜図9に示すように、揚穀装置10によって揚送された穀粒は、グレンタンク6に貯留される。グレンタンク6は、投入口35が形成されたタンク部20と、排出オーガ8に穀粒を移送する排出螺旋42を内設する漏斗部40とから構成されている。
【0027】
グレンタンク6内の点検・保守作業を容易にする為に、タンク部20は、右側部21と、左側部22とをボルト等の締結部材によって接合した接合構造とされている。
右側部21は、前壁21aと、後壁21bと、右壁21cと、天井壁21dとをプレス加工によって一体的に形成し、右側部21の周辺部の内側には、左側部22を介して挿入されるボルト等を固定する為のナット等の止着部が設けられている。又、左側部22の周辺部にはボルトが挿通する取付孔が形成されている。
【0028】
後述する排出オーガ8の湾曲移送部53の広い回転領域を確保する為に、タンク部20の後側上部には、後側から前側に向かう水平切欠部(水平面)23aと、水平切欠部23aの前端部から上方に向かう緩傾斜切欠部(緩傾斜面)23bと、緩傾斜切欠部23bの前端部からタンク部20の天井部21dの後端部に至る急傾斜切欠部(急傾斜面)23cとからなる切欠部23が形成されている。
【0029】
タンク部20と漏斗部40との接合作業を容易にする為に、前壁21aと後壁21bとの下端部は、右側から左側に向かって上方傾斜して形成され、漏斗部40の前壁41aと後壁41bとの上端部も同様に右側から左側に向かって上方傾斜して形成されている。又、タンク部20の下端部の周辺部の内側には、漏斗部40を介して挿入されるボルト等を固定するナット等の止着部が設けられ、漏斗部40の上端部の周辺部にはボルトが挿通する取付孔が形成されている。
【0030】
前壁21aの右側上部には、操作者がグレンタンク6に貯留された穀粒の量を確認する点検窓24が設置され、前壁21aの略中心部には、操作者がグレンタンク6の開閉を行なう開閉レバー25が設置されている。
開閉レバー25の上部は、前壁21aの左端側中心部に支持された軸25aに軸支され、開閉レバー25の下部は、前壁21aの左端側中心部から略右側下部に延伸し、開閉レバー25の上端部にはフック部25bが取付けられている。なお、フック部25bは、脱穀装置5の右側に設置されたフック受け部に係止され、グレンタンク6は、後述する排出オーガ8の連通部61の前方に開閉軸に支持されている。
【0031】
右壁21cの内側には、グレンタンク6に貯留された穀粒から受ける内圧によって生じる右壁21cの変形を防止する為に、前後方向に延伸する上下2本の補強材26が設置されている。
【0032】
天井壁21dには、グレンタンク6内に貯留された穀粒の詰まりを取除く為に、木製等からなる細径棒を挿入する略長方形形状の天井孔27が形成され、天井孔27からの異物の混入を防止する為に、天井孔27の上側には開閉自在な蓋28が設置されている。
【0033】
図10に示すように、外部から挿入される異物と揚穀螺旋10bとの接触を防止する為に、天井孔27と蓋28との間には、全面に細径棒を挿入可能な孔30が形成された目抜き鉄板からなる保護部29が設置され、保護部29は、天井孔27の周辺部にボルト等の締結手段によって取付けられている。
保護部29は本実施形態に限定されることはなく、目抜き鉄板に換えてクリンプ網を採用することもでき、保護部29に蝶番を取付け開閉自在な構成とすることもできる。又、保護部29の形態は、以下に示すとおり種々の形態を採用することができる。
【0034】
<変形例1>
図11に示すように、変形例1は、揚穀装置10側の略半分の天井孔27に孔30が形成された目抜き鉄板からなる保護部29aが取付けられている。
変形例1にあっては、グレンタンク6内に貯留された穀粒の詰まった場合に、揚穀装置10と反対側の保護部29aが設置されていない天井孔27から細径棒を挿入し、穀粒の詰まりを取除くことができる。
【0035】
<変形例2>
図12に示すように、変形例2は、揚穀装置10側に細径棒を挿入可能な小径孔30aが形成され、揚穀装置10の反対側に大径孔30b、略長方形孔30cが形成された目抜き鉄板からなる保護部29bが取付けられている。
変形例2にあっては、変形例1による効果に加えて、保護部29bの剛性を高めることができる。
【0036】
左壁22aには、前側上部に揚穀筒10aと連通する挿入口35が形成されている。挿入口35は、後上がり傾斜に形成されており、挿入口35の中心から引いた仮想線L1は、左壁22aの下端辺の左右方向の略中心部と交差する。又、挿入口35からグレンタンク6内へ移送される穀粒と緩傾斜切欠部23bの衝突によって穀粒の詰まりを防止する為に、緩傾斜切欠部23bに沿って引いた仮想線L2よりも挿入口35の中心は左側方向に偏位して形成されている。
【0037】
漏斗部40の枠体41は、前壁41aと、後壁41bと、右壁41cと、左壁41dで構成され、上側が開放された略三角柱形状に形成されている。
漏斗部40の下部には、グレンタンク6に貯留された穀粒を排出オーガ8に搬送する排出螺旋42が設置されている。排出螺旋42の前側端部42aは、前壁41aから前側に突出し、前側端部42aには、プーリ43が軸支され、ベルト(図示省略)によってエンジンの回転が伝動されている。排出螺旋42の後側端部42bは、後壁41bから後側に突出し、後側端部42bは、グレンタンク6の収納時に排出オーガ8の縦移送部50の縦移送螺旋50bと連接する。又、排出螺旋42は、漏斗部40の右側に偏位して設置されている。
【0038】
図13に示すように、グレンタンク6、特に、排出螺旋42の周辺に残存した穀粒を排出する為に、枠体41の右壁41cの下部には、右壁41c側の端部を係合部材44aで係止し、他端を蝶番44bに回動自在に支持されたシャッタ45が設置されており、係合部材44aの係合を解除することで、排出螺旋42の下方を開放可能に構成している。また、枠体41の前部と後部とにはそれぞれグレンタンク6に残存した穀粒を収納する籾袋を係止するフック46が設置されている。又、図3に示すように、排出螺旋42の周辺に残存した穀粒を容易に排出する為に、排出螺旋42は、走行装置3をなす右側のクローラ2aの右側端よりも更に右側の上方に設置されている。
【0039】
操作者にグレンタンク6に貯留された穀粒の満杯状態を知らせる為に、挿入口35よりも下方のグレンタンク6の内側に穀粒の量を検知する籾センサ36を設置するのが好適であり、夜間作業の安全性を向上させる為に、グレンタンク6の右側後部に方向指示器32を設置することが好適である。
【0040】
(排出オーガ)
グレンタンク6に貯留された穀粒は、排出オーガ8により機外に排出される。排出オーガ8は、グレンタンク6に連通する縦移送部50と、湾曲移送部53と、横移送部56によって構成されている。
【0041】
縦移送部50は、円筒鋼材からなる縦移送筒50aと、縦移送筒50aに内設された穀粒を揚送する縦移送螺旋50bとから構成される。縦移送筒50aの基部51は、グレンタンク6後部の右側下部に脱着可能に連通され、縦移送螺旋50bは、ベベルギヤを介して排出螺旋42に連結されている。なお、縦移送筒50aは、上下縦軸P1の周りに回転可能に連通部61に支持されており、電動モータ(図示省略)によって上下縦軸P1の周りに回転する。
【0042】
湾曲移送部53は、円筒鋼材からなる湾曲移送筒53aと、湾曲移送筒53aに内設された穀粒を湾曲揚送する湾曲移送螺旋53bとから構成される。湾曲移送筒53aの右端部54は、縦移送筒50aの上端部52に連通され、湾曲移送螺旋53bは、ベベルギヤを介して縦移送螺旋50bに連結されている。なお、湾曲移送筒53aの右端部54は、縦移送筒50aの上端部52に左右横軸P2の周りに回転可能に支持されており、油圧シリンダ(図示省略)によって左右横軸P2の周りに上下方向に回転する。
【0043】
横移送部56は、円筒鋼材からなる横移送筒56aと、横移送筒56aに内設された穀粒を横移送する横移送螺旋56bとから構成される。横移送筒56aの後端部57は、湾曲移送筒53aの左端部55に連通され、横移送螺旋56bは、ベベルギヤを介して湾曲移送螺旋53bに連結されている。なお、横移送筒56aの後端部57は、湾曲移送筒53aの左端部55に前後横軸P3の周りに回転可能に支持されており、電動モータ(図示省略)によって前後横軸P3の周りに回転する。
【0044】
横移送部56の前端部58には、移送された穀粒を機外に排出する排出部59が設置されており、排出部59は、前後横軸P3の周りに回転可能である。又、横移送筒56aの撓みを防止する為に、横移送筒56aの外周下部には、鋼材からなる補強板60が設置されている。なお、図示を省略するが、操作者が誤って異物を排出部59に挿入することを防止する為に、排出部59の内部に突出する防止ガイドを設置するのが好適であり、又、排出作業を効率的に行なう為に、機外に排出された穀粒によって、排出部59からの排出領域が確保されているか否か確認する籾センサを排出部59の内部に設置するのが好適である。
【0045】
(プレクリーナ)
図14に示すように、プレクリーナ70は、粉塵を除去した清浄な空気をエンジンに供給する装置である。プレクリーナ70は、吸気した空気に旋回流を発生させ、この旋回流による遠心力で、大きな塵埃を空気から分離する遠心分離装置と金属繊維を編体にした防塵ネット等を有する上部ケース71と、上部ケース71に連通して清浄な空気をエンジンE側のエアクリーナに導く吸気配管72から構成される。
吸気配管72の基部は、エンジンEの吸気口に連通し、吸気配管72は、グレンタンク6と収納時の排出オーガ8とによって挟まれた空間に立設し、吸気配管72の上部は、揚穀筒10aの前部に至る。又、吸気配管72の上部は、揚穀筒10aの上端部に設置された鋼材からなるブラケット73によって支持されている。
【0046】
図1,図3に示すように、コンバイン1の走行時に、機外の障害物とプレクリーナ70との衝突を防止する為に、グレンタンク6の天井壁21dをプレクリーナ70の上部ケース71よりも同等又は若干上方に設置している。
又、コンバイン1の走行時に、機外の障害物と排出オーガ8との衝突を防止する為に、排出オーガ8の収納時に、グレンタンク6の天井壁21d及びプレクリーナ70の上部ケース71を排出オーガ8の横移送部56の頂上部よりも上方に配置している。
更に、多量の清浄な空気をプレクリーナ70に取込む為に、プレクリーナ70の上部ケース71は、グレンタンク6の前壁21aの前方右側に設置している。
【0047】
図4に示すように、グレンタンク6、プレクリーナ70との衝突を防止する為に、排出オーガ8は、上下縦軸P1を中心に反時計方向(R方向)に回転し、穀粒の機外への排出作業の利便性を高める為に、排出オーガ8の湾曲移送部53はグレンタンク6の切欠部23上を回転し、最大反時計方向回転持には、機体の前方に約10度(θ角度)回転することができる。
【0048】
図2に示すように、コンバイン1を長時間に亘り走行する為に、排出オーガ8の左側に形成された空間Sに、排出オーガ8側から順に主燃料タンク80と、副燃料タンク81とを設置している。又、収納時において排出オーガ8の横移送部56は、湾曲移送部53の左端部55から機体の左側前部に至り、湾曲移送部53の横移送筒56aは機体内に収納されている。
【0049】
図15に示すように、主燃料タンク80と副燃料タンク81とを上下の配管82で連通させ、燃料が少量になったことを操作者に知らせる為に、主燃料タンク81内にフロート形式の燃料ゲージ83を設置している。この場合、燃料が少量になった警報があった後にも、長期間に亘ってコンバイン1を走行させることができる。又、燃料ゲージ83の設置位置は、本実施形態に限られず、副燃料タンク80内に設置することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 コンバイン
4 刈取装置
5 脱穀装置
6 グレンタンク
8 排出オーガ
10 揚穀装置
10a 揚穀筒
10b 揚穀螺旋
20 タンク部
21a 前壁
21b 後壁
21c 右壁
21d 天井壁
22a 左壁
23 切欠部
24 点検窓
26 補強材
27 天井孔
28 蓋
29 保護部
30a 小径孔
30b 大径孔
30c 長孔
40 漏斗部
41a 前壁
41b 後壁
41c 右壁
41d 左壁
42 排出螺旋
45 シャッタ
50 縦移送部
53 湾曲移送部
56 横移送部
70 プレクリーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植立する穀桿を刈取る刈取装置(4)と、刈り取った穀桿を脱穀する脱穀装置(5)と、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(6)と、貯留された穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を備えるコンバインにおいて、
前記脱穀装置(5)とグレンタンク(6)との間に揚穀螺旋(10b)を内装する揚穀装置(10)を設け、該揚穀装置(10)の上端部をグレンタンク(6)の上部に連通させ、
前記グレンタンク(6)の天井壁(21d)に形成された天井孔(27)に開閉自在な蓋(28)を設け、該蓋(28)の内側にクリンプ網又は目抜き鉄板からなる保護部(29)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記保護部(29)を天井孔(27)における前記揚穀装置(10)側に臨む部位のみに設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記保護部(29)における揚穀装置(10)側の部位に小径孔(30a)を形成し、該保護部(29)における揚穀装置(10)とは反対側の部位には前記小径孔(30a)よりも大径の大径孔(30b)を形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記保護部(29)における揚穀装置(10)側の部位に小径孔(30a)を形成し、保護部(29)の前記揚穀装置(10)とは反対側の部位には、機体前後方向に長辺を有する長孔(30c)を形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項5】
前記グレンタンク(6)の前壁(21a)の上部に点検窓(24)を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記グレンタンク(6)の後側上部に切欠部(23)を形成し、平面視において、前記排出オーガ(8)を半時計回りに旋回させた場合に、排出オーガ(8)の横移送部(56)が前記切欠部(23)に入り込む構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記グレンタンク(6)を、上部のタンク部(20)と、排出螺旋(42)を機体前後方向に軸受支持した下部の漏斗部(40)から形成し、
前記漏斗部(40)の下部に開閉自在なシャッタ(45)を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記タンク部(20)の右壁(21a)の内側に前後に延伸する補強材(26)を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−249529(P2012−249529A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122225(P2011−122225)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】