説明

コンバイン

【課題】刈取昇降レバーの操作と独立して掻込リールの下降操作をすることができ、刈取部と掻き込リールでの挟み込みをすることができるコンバインを提供すること。
【解決手段】
機体本体を変速操作する変速操作手段と、刈取部を昇降操作する刈取部昇降操作手段と、掻込リールを昇降操作するリール昇降操作手段と、をそれぞれ単独で操作部に配設しているので、刈取昇降レバーの操作と独立して掻込リールの下降操作をすることができ、刈取部と掻き込リールでの挟み込みをすることができる。そして、刈取部と掻き込リールでの挟み込みをすることで刈り終い時の穀稈が刈取部から脱落するのを防ぐ効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンバイン、詳しくは汎用コンバインの刈取部に配置した掻込リールの操作構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態としては、機体の前方に刈取部を有して、刈取部で刈り取った穀稈の全てを機体に設けた脱穀部に投入して脱穀する全稈投入型のものがある。そして、刈取部は、圃場に植立した穀稈を掻き込む掻込リールと、掻込リールにより掻き込まれた穀稈の株元を切断する刈刃装置と、刈刃装置により刈り取られた穀稈を掻き込みながら横送りする掻込オーガを横架したプラットフォームと、掻込オーガにより横送りされた穀稈を後方へ搬送する搬送コンベアを内蔵したフィーダハウス(FH)とを具備している。
【0003】
そして、刈取部の各作動部である掻込リールと刈刃装置と掻込オーガと搬送コンベアは、本機に搭載したエンジンから動力を受けて作動されるようにしている。すなわち、エンジンから搬送コンベアに動力が伝達され、搬送コンベアからカウンタ軸を介して刈刃装置と掻込オーガにそれぞれ動力が伝達されると共に、カウンタ軸から連動機構を介して掻込リールに動力が伝達されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかも、これらの刈取部の操作や掻込リールの操作、更には、機体走行のための変速操作手段としては、運転席前方に配設した各種操作レバーや操作スイッチにより行うように構成されている。すなわち、運転席の操作コラムに配設した操作レバー盤に刈取部昇降操作レバーや主変速レバーを配設すると共に、電磁式制御弁によるスイッチ操作により昇降操作する掻込リール昇降操作スイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−245521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記の従来のコンバインにおいては、例えば、機体走行形態を変更するために、主変速レバーを把持して操作している時に刈取部の昇降や掻込リールの昇降を同時に行う必要が生起した場合、例えば、畦際まで穀物の刈取を行って、方向転換するための主変速レバー操作を行う必要が生じたときに、刈取部や掻込リールを上昇させて畦際と干渉しない状態に保持しておく等の必要性がある場合は、運転者は操作コラムに配設した左側方の主変速レバーを左手で操作しながら右手で刈取部昇降操作レバーを操作し、あるいは、掻込リール昇降操作用のスイッチを操作することになる。
【0007】
しかし、圃場の刈取状況によっては、刈取部昇降と掻込リール昇降とを別々ではなく、同時に行う方が作業効率がよい場合がある。特に、刈り終いの時に、刈取部を上昇させると、刈取部に残溜した刈取穀稈が圃場に脱落してしまい、後作業を煩雑にすることになるため、刈取部上昇と共に、掻込リールのみを降下させて、刈取部全体と掻込リールによって上下反対の昇降操作を同等に行うことにより、両者間で刈取穀稈の挟み込みを行い、残溜穀稈の圃場脱落防止を図る場合がある。
【0008】
かかる刈取部昇降作動と掻込リール昇降作動とを同時に行うためには、すでに左手は主変速レバーの操作のために塞がっているため、右手だけで両方の操作を行わなければならない。このように両方の操作を右手だけで同時に行うことは困難であり、従って、一旦主変速操作を停止して左右両手で刈取部と掻込リールの各操作を行わなければならず、作業効率の低下を招いていた。
【0009】
さらに、掻込リールは、油圧シリンダにより昇降自在としているが、この油圧シリンダの駆動はレバー操作信号を受けたコントローラから指令で電磁バルブを駆動して、油圧ポンプからの流体の流れを変更することで駆動するようにしている。このように高価な電磁バルブを使用しているので、油圧回路がコストアップとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に記載の発明は、操作部を具備して走行操作可能とした機体本体の前方に刈取部を昇降自在に取り付け、刈取部には回転動作して圃場の穀桿を掻き込み可能とした掻込リールを昇降自在に取り付けたコンバインにおいて、機体本体を変速操作する変速操作手段と、刈取部を昇降操作する刈取部昇降操作手段と、掻込リールを昇降操作するリール昇降操作手段と、をそれぞれ単独で操作部に配設すると共に、リール下降ペダルを運転席のステップに配設したことを特徴とするコンバインである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、リール昇降操作手段は、リール昇降レバーとリール下降ペダルの複合構造とし、リール昇降レバーのリール下降操作とリール下降ペダルのリール下降操作を連動させたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、リール昇降レバーのリール上昇操作とリール下降ペダルの復元動作を非連動としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1記載の本発明では、機体本体を変速操作する変速操作手段と、刈取部を昇降操作する刈取部昇降操作手段と、掻込リールを昇降操作するリール昇降操作手段と、をそれぞれ単独で操作部に配設すると共に、リール下降ペダルを運転席のステップに配設しているので、機体本体の変速操作を行いながら圃場の状況や作業状況に応じて刈取部の昇降を行い、同時に掻込リールの昇降を並行して行う必要が生じた場合に、変速操作や刈取部昇降操作や掻込リール昇降用操作をそれぞれ単独で操作することができることになり、必要によっては2個又は3個の操作を選択的に行うことができ、穀稈刈取の作業効率を向上することができる効果がある。
【0014】
特に、変速操作の途中で、刈取部を上昇し、掻込リールを降下するという3操作を、同時に行うことができることになり、刈り終いの時に変速操作をしながら刈取部と掻込リールとの間で穀稈の挟み込みを行い、刈取部に残溜した刈取穀稈の脱落を防止することができる効果がある。しかも、掻込リールの下降操作はリール下降ペダルでも行うことができ、刈り終わり時の刈取上昇操作と掻込リールの下降操作が安価な構造で同時に行えるので操作性を向上することができる。
【0015】
(2)請求項2記載の本発明では、リール昇降操作手段は、リール昇降レバーとリール下降ペダルの複合構造とし、リール昇降レバーのリール下降操作とリール下降ペダルのリール下降操作を連動させたので、通常の刈取作業の掻込リール昇降操作は掻込リール昇降操作レバーで行うことができ、他方、掻込リールの降下操作を行う場合は、掻込リール操作レバーか、又はリール下降操作ペダルのいずれかをリール降下操作すれば、各操作は連動しているためいずれを操作してもリール降下操作が可能となる。
【0016】
従って、主変速レバーを左手で操作しながら、右手で刈取部操作レバーを操作して刈取部を上昇させると同時に、掻込リールを降下する操作はリール昇降操作レバーを用いることなくリール下降ペダルだけを足を使って操作することにより、両手と足を使いながら3操作が同時に行える効果があり、その後のリール昇降操作レバーの上昇操作を通常の手順で行える効果がある。また、掻込リールの下降操作は踏み込み式のリール下降ペダルで行うようにし、そのリール下降ペダルの操作とリール昇降操作とを連動させたので、誤操作を防止することができる。また、安価な構造で構成することができる。
【0017】
(3)請求項3記載の本発明では、リール昇降レバーのリール上昇操作とリール下降ペダルの復元動作を非連動としているので、リール昇降操作レバーにより掻込リールを降下させる場合には、リール下降ペダルも連動してリール降下操作状態となるが、他方、リール降下操作状態のリール下降ペダルを元の操作前の状態に復元させても、リール昇降操作レバーのリール上昇操作と連動していないため、リール下降ペダルの下降操作解除を行っても、掻込リールは自動的に上昇することはない。従って、一旦リール下降ペダルを操作すれば、該ペダルを元の状態に復元させても掻込リールは降下したままとなっており、これを上昇させるためには、改めてリール昇降操作レバーを操作して上昇操作をすることになり、ペダル操作による掻込リールの降下操作と、その後のリール昇降操作レバーによる掻込リールの上昇操作とを適確に区別して操作性を良好にすることができる効果がある。この結果、リール下降ペダルの踏み込み操作では、掻込リールを下降方向にしか操作させない為、誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施例におけるコンバインの全体構成を示した左側面図である。
【図2】この発明の実施例におけるコンバインの全体構成を示した右側面図である。
【図3】この発明の実施例におけるコンバインの刈取部を示した左側面図である。
【図4】この発明の実施例におけるコンバインの刈取部を示した正面図である。
【図5】この発明の実施例におけるコンバインの刈取部を示した平面図である。
【図6】この発明の実施例におけるコンバインの刈取部の右側面説明図である。
【図7】この発明の実施例におけるコンバインの刈取部の一部の正面図である。である。
【図8】この発明の実施例におけるコンバインの第2リミットクラッチの説明図である。
【図9】この発明の実施例におけるコンバインの運転部の平面図である。
【図10】この発明の実施例におけるコンバインの複合リンク機構の全体構造を示した説明図である。
【図11】この発明の実施例におけるコンバインの複合リンク機構のペダル周辺構造を示した説明図である。
【図12】この発明の実施例におけるコンバインの複合リンク機構の動作を説明する説明図である。
【図13】この発明の実施例におけるコンバインの油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ式の走行部2,2の直上方に機体3を配置して、機体3の前方に刈取部4を取り付けている。機体3には、左側に脱穀部5と選別部6を上下段に配置し、これらの直後方に排藁処理部7を配置する一方、右側に運転部8と穀粒貯留部9と原動機部10を前後方向に順次配置している。11は原動機部10に設けたエンジン、12は穀粒貯留部9に連通連設した袋詰め用搬出体、13は穀粒貯留部9に連通連設した搬出オーガである。
【0021】
刈取部4は、フィーダハウス20とプラットフォーム21と刈刃装置22と左右一対のデバイダ23,23と掻込リール24とを具備している。
【0022】
具体的には、図3〜図5に示すように、フィーダハウス20は前後方向に伸延する四角形筒状に形成して、内部には刈り取った穀稈を前方から後方に搬送する搬送コンベア27(図10参照))を配設している。そして、フィーダハウス20は運転部8の左側下方に配置するとともに、機体3の前部に後端部を昇降自在に枢支して、昇降油圧シリンダ26により昇降位置調節可能としている。図8に示すように、搬送コンベア27は駆動軸28と従動ドラム29との間に搬送ベルト30を巻回して形成している。
【0023】
プラットフォーム21は、機体3の左右幅と略同一幅で前方が開口するケーシング状に形成して、フィーダハウス20の前端部開口部(搬入口部)に左側部を連通連結し、内部に左右方向に回動軸芯を向けたオーガ支軸32を介して掻込オーガ25を横架している。掻込オーガ25は後述する刈刃装置22により刈り取られた穀稈をプラットフォーム21内に掻き込むとともに、フィーダハウス20の前端部開口部(搬入口部)内に横送り搬入するようにしている。
【0024】
刈刃装置22は、左右方向に伸延するバリカン型に形成しており、プラットフォーム21の前端下部に、その前端全幅にわたって配設している。そして、植立穀稈の株元部を刈り取るようにしている。
【0025】
左右一対のデバイダ23,23は、それぞれプラットフォーム21の左右側壁から前方へ突設して、機体の前進走行に伴って植立穀稈を刈取側と非刈取側とに分草するようにしている。
【0026】
掻込リール24は、左右一対のデバイダ23,23間の上方に掻込回転自在に配置して、両デバイダ23,23により分草された刈取側の植立穀稈をプラットフォーム21側に回転しながら掻き込むようにしている。
【0027】
すなわち、掻込リール24は、プラットフォーム21の後端上部に左右方向に軸線を向けたアーム支軸40を横架している。アーム支軸40の左右側端部には前後方向に伸延する左右一対の支持アーム41,41の基端部(後端部)を枢支している。そして、各支持アーム41の中途部とプラットフォーム21の側壁との間にリール昇降シリンダ42を介設して、アーム支軸40を中心に両支持アーム41,41を昇降可能としている。
【0028】
両支持アーム41,41の先端部(前端部)間には、左右方向に伸延するリール支軸43をその軸芯廻りに回転自在に軸架するとともに、リール支軸43を前後方向に始端対位置調節自在としている。リール支軸43の左右側端部には、左右一対の回転支持体44,44を左右に対向させてそれらの中心部を取り付けている。両回転支持体44,44は、金属製の板状体を正五角形状に形成して、左右に対向する各角部(頂部)間にタインバー枢支体45を介して左右方向に伸延するパイプ(円管)状のタインバー46をその軸線廻りに回転自在に横架している。各タインバー46には、左右方向に一定の間隔を開けて複数のタイン47を垂下状に取り付けている。
【0029】
このようにして、リール支軸43を左側面視にて反時計廻りに回転させると、リール支軸43に取り付けた左右一対の回転支持体44,44も反時計廻りに回転して、両回転支持体44,44間にタインバー46を介して取り付けたタイン47は回転支持体44の外周廻りに移動する。この際、タイン姿勢保持機構51は、回転移動するタイン47の内、少なくとも植立穀稈に作用するタイン47は所定の垂下姿勢に保持して、かかる垂下姿勢に保持されたタイン47が植立穀稈に掻き込み作用するようにしている。
【0030】
上記のように構成した刈取部4は、左右一対のデバイダ23,23により分草した植立穀稈を分草して、その分草した刈取側の植立穀稈を掻込リール24により掻き込むとともに、その掻き込まれた植立穀稈の株元部を刈刃装置22により刈り取って、プラットフォーム21内に掻き込むようにしている。そして、プラットフォーム21内に掻き込まれた穀稈を掻込オーガ25によりフィーダハウス20の前端部開口部(搬入口部)に横送り搬入させ、さらには、全穀稈をフィーダハウス20内の搬送コンベア27により後方の機体3に配設した脱穀部5に搬入(投入)するようにしている。
【0031】
上記のような構成において、図6〜図8に示すように、本実施形態にかかるコンバイン1の動力伝達構造は、次のように構成されている。すなわち、機体3に搭載したエンジン11には、フィーダハウス20に内蔵させた搬送コンベア27の駆動軸28を連動連結し、搬送コンベア27の駆動軸28に主軸伝動機構60を介して刈取主軸61を連動連結し、刈取主軸61には、各作動部であるリール伝動機構62を介した掻込リール24と、オーガ伝動機構63を介した掻込オーガ25と、刈刃伝動機構64を介した刈刃装置22をそれぞれ連動連結している。
【0032】
具体的には、フィーダハウス20の右側方において、プラットフォーム21の背面壁(後壁)21aに、左右方向に直状に伸延する刈取主軸61を横架し、刈取主軸61の左側端部と、フィーダハウス20の右側壁から右側外方へ突出させた搬送コンベア27の駆動軸28の右側端部28aとの間に、主軸伝動機構60を介設している。主軸伝動機構60は、駆動軸28の右側端部28aに取り付けた駆動スプロケット70と、刈取主軸61の左側端部に取り付けた従動スプロケット71との間に、主軸伝動チェン72を巻回して形成している。
【0033】
また、刈取主軸61の右側端部61aは、プラットフォーム21の右側壁21bよりも右側方へ突出させて、この右側端部61aにリール伝動機構62とオーガ伝動機構63と刈刃伝動機構64の各基端部を連動連結している。
【0034】
リール伝動機構62は、刈取主軸61の右側端部61aにリール駆動スプロケット80を取り付ける一方、アーム支軸40の右側端部に同一軸芯上で突出した中間軸81に従動スプロケット82を回転自在に取り付けて、両スプロケット80,82間にリール伝動チェン83を巻回している。84はリール伝動チェン83を緊張方向に付勢するとともに回動案内する付勢兼案内体である。
【0035】
従動スプロケット82には駆動スプロケット85を同一軸芯上にて一体的に取り付ける一方、リール支軸43の右側端部には従動スプロケット86を取り付けて、両スプロケット85,86間に連動チェン87を巻回して連動機構52を形成している。
【0036】
オーガ伝動機構63は、刈取主軸61の右側端部61aにオーガ駆動スプロケット93をリール駆動スプロケット80の左側方に隣接位置させて同軸的に取り付ける一方、プラットフォーム21の右側壁21bより外方へ突出させたオーガ支軸32の右側端部にオーガ従動スプロケット94を取り付けて、両スプロケット93,94間にオーガ伝動チェン95を巻回して形成している。ここで、オーガ従動スプロケット94はオーガ駆動スプロケット93よりも大径に形成して、掻込オーガ25を減速回動させるようにしている。
【0037】
刈刃伝動機構64は、刈取主軸61の右側端部61aと、刈刃装置22の刈刃35との間に介設している。すなわち、刈取主軸61の右側端部61aに、前後方向に伸延する回動アーム101の基端部を取り付け、回動アーム101の先端部には前後方向に伸延する伝動ロッド102の基端部(後端部)を枢支連結している。伝動ロッド102の先端部にはリンク機構103を介して刈刃35の右側端部を連結している。リンク機構103は、上下方向の軸芯線廻りに回動して、伝動ロッド102の前後方向の往復摺動動作と、刈刃35の左右方向の往復摺動動作を連動させている。
【0038】
次に、図8に示す動力伝達機構図によって、エンジン11から刈取部における搬送コンベア27に至るまでの動力伝達について説明する。
【0039】
すなわち、エンジン11の出力軸110に第1連動ベルト機構111を介して入力軸112を連動連結している。入力軸112には走行部2を駆動するHSTポンプ113と第2連動ベルト機構114と第3連動ベルト機構115を連動連結している。116はオーガテンションクラッチ、117は脱穀テンションクラッチ、118は第1中間軸である。第1中間軸118と脱穀部5に配設した軸流型扱胴120の扱胴支軸121との間には第4連動ベルト機構119を介設している。122はギヤケース、123は第2中間軸、124は第3中間軸、125は第2中間軸123と第3中間軸124との間に介設した第5連動ベルト機構である。126は第3中間軸124の右側端部に取り付けたフロントビータである。127は第3中間軸124と搬送コンベア27の駆動軸28との間に介設した第6連動ベルト機構、128は刈取テンションクラッチである。
【0040】
また、選別部6に配設した唐箕130と第1コンベア131と第2コンベア132と揺動選別体133には、それぞれ唐箕支軸134と第1コンベア支軸135と第2コンベア支軸136と揺動作用軸137とを平行させて配置している。そして、第3中間軸124と唐箕支軸134との間に第7連動ベルト機構140を介設し、唐箕支軸134と第1コンベア支軸135との間に第8連動ベルト機構141を介設し、第1コンベア支軸135と第2コンベア支軸136との間に第9連動ベルト機構142を介設し、第2コンベア支軸136と揺動作用軸137との間に第10連動ベルト機構143を介設している。144は第1コンベア131に連動連結した揚穀コンベア、145は第2コンベア132に連動連結した還元コンベアである。
【0041】
このように、エンジン11の駆動力は、走行部2,刈取部4、脱穀部5及び選別部6にそれぞれ伝達されて、各作動部が堅実に作動されるようにしている。
【0042】
かかる構成の汎用コンバインにおいて、この発明の実施例の特徴となるのは機体3本体を変速操作する主変速操作手段と、刈取部を昇降操作する刈取部昇降操作手段と、掻込リールを昇降操作するリール昇降操作手段とを、それぞれ単独で操作可能に操作部に配設したことにある。
【0043】
しかも、リール昇降操作手段はリール昇降レバー18とリール下降ペダルの複合構造とし、リール昇降レバー18のリール下降操作とリール下降ペダル19のリール下降操作を連動させている。
【0044】
更には、リール昇降レバー18のリール昇降操作とリール下降ペダル19の復元動作を非連動としている。
【0045】
以下、具体的に詳説する。
図9に示すように、機体3の刈取部4後方右側には、運転席13を設けており、運転席13は左側方にサイドコラム33を、前方にフロント操作コラム34を設けており、サイドコラム33の前半部には内側方に主変速レバー15を外側方に副変速レバー16をそれぞれ配設し、サイドコラム33の後半部には内側方に脱穀クラッチレバー36を外側方に刈取クラッチレバー37をそれぞれ配設している。
【0046】
また、正面のフロント操作コラム34には、中央に刈取部昇降操作レバー17を、その右側方にリール昇降レバー18を、その左側方にアクセルレバー166をそれぞれ並列に配設している。
【0047】
すなわち、変速操作手段として、サイドコラム33に主変速レバー15を設けており、刈取部昇降操作手段としてフロント操作コラム34に刈取部昇降操作レバー17を設けており、またリール昇降操作手段として同じくフロント操作コラム34にリール昇降レバー18を設けている。
【0048】
しかも、主変速レバー15と刈取部昇降操作レバー17とリール昇降レバー18とはそれぞれ単独で操作することができるように構成している。
【0049】
すなわち、前進後進走行等の走行変速を行うために主変速レバー15により機体3の変速操作を行いながら刈取部4の昇降を必要とする場合は刈取部昇降操作レバー17により昇降操作を行い、同時に掻込リール24の昇降もリール昇降レバー18の操作により並行して行うことができる。特に、これらの操作手段としての各レバーの操作を単独で行えるように構成したので、畦際での刈り終い作業の時に主変速の操作の途中で、刈取部昇降操作レバー17で刈取部を上昇させながら、同時に掻込リール24をリール昇降レバー18により降下して、刈取部4と掻込リール24との間で穀稈の挟み込みを行い、刈取部4に残溜した刈取穀稈の脱落を防止することができることが望まれている。
【0050】
しかし、実際の作業においては、左手で主変速レバー15を操作しながら、右手で刈取部昇降操作レバー17とリール昇降レバー18の両方を同時に操作することは困難であるため、リール昇降操作手段としてリール昇降レバー18の他に、運転席13のステップ164に配設したリール下降ペダル19を配設し、これらを複合リンク機構151を介して連動連結している。
【0051】
すなわち、複合リンク機構151としては、図10に示すように、リール昇降レバー18の下端を略L字状に折曲させて略L字状の横扞152を中心に該レバーを回動して前後進操作可能に構成しており、横扞152にはアーム153基端を突設し、アーム153先端にはメカバルブ165aに連動連結した垂下ロッド154の上端を枢支し、垂下ロッド154の下端には連結コマ155を枢支し、連結コマ155の先端は横軸パイプ156の周面に固設している。
【0052】
従って、リール昇降レバー18の前後進操作に伴い垂下ロッド154の上下動を促し、連結コマ155を介して横軸パイプ156を回転する。そして、横軸パイプ156の一端は、図10及び図11に示すように、運転席13のステップ164に配設した足踏み式のリール下降ペダル19に連動連結している。
【0053】
すなわち、図11(a)及び図11(b)に示すように、横軸パイプ156の一端には連動コマ157を突設し、連動コマ157の先端は垂直に配設したリンク扞158下端と枢支し、リンク扞158の上端は縦長孔159を介してペダルピン160と遊嵌されている。ペダルピン160は、リール下降ペダル19の下部に突設されている。従って、リール下降ペダル19の下降作動によってペダルピン160は縦長孔159中を下方に移動し、縦長孔159の再下端に当接し、リンク扞158を降下させる。そして、連動コマ157を介して横軸パイプ156を回転運動させ、横軸パイプ156の回転運動は連結コマ155を介して垂下ロッド154の下降作動を促し、同時にリール昇降レバー18を下降操作位置に自動的にシフト変位させる。
【0054】
複合リンク機構151の作用は、手動によるリール昇降レバー18の下降操作の場合にも及びものであり、複合リンク機構151を構成する連結コマ155、垂下ロッド154、連動コマ157、横軸パイプ156、リンク扞158等を介してリール下降ペダル19を連動して自動的に下降させることになる。
【0055】
すなわち、リール昇降操作手段は、リール昇降レバー18とリール下降ペダル19を複合操作機能とし、掻込リール24の降下作動はいずれを下降操作しても達成可能としている。他方、図11によって以下に説明するように、掻込リール24の上昇作動は、リール昇降レバー18のシフトによってのみ達成可能であって、リール下降ペダル19の復元動作はリール昇降レバー18と非連動としている。
【0056】
すなわち、リンク扞158に設けた縦長孔159とその縦長孔159に挿嵌したペダルピン160との位置関係は、リール下降ペダル19の踏み込み前の通常位置、すなわち、掻込リール24が上昇位置にあるときは、ペダルピン160は縦長孔159の最下端に位置しており(図12a)、垂下ロッド154も上昇して掻込リール24上昇と対応している。
【0057】
しかし、リール下降ペダル19を踏み込んだ時(図12b)は、ペダルピン160は縦長孔159を降下して縦長孔159最下端に当接し、この位置でリンク扞158と係合してそのままリンク扞158を下方に変位し、連動コマ157を介して横軸パイプ156を回転させて垂下ロッド154をリール降下方向に下降させる。
【0058】
同時に、リール下降ペダル19と連動したリール昇降レバー18もリール降下位置にシフトされる(図12c)。かかる状態でリール下降ペダル19から足を離すと(図12d)、該リール下降ペダル19は後述する復元バネ167により上昇するが、同時にペダルピン160も縦長孔159を滑動して上方に移動し、ペダル操作前の状態に復元する(図12e)。
【0059】
しかし、リール下降ペダル19が復元しても複合リンク機構151の主たるリンク機構は不動状態、すなわち、リール降下状態のままであり、リール昇降レバー18も元のリール降下操作位置にある。次いで、掻込リール24を上昇させるためにはリール昇降レバー18を上昇位置にシフトすれば(図12f)、リール下降ペダル19の位置とは無関係にリール上昇操作が可能となる。
【0060】
リール昇降操作のための複合リンク機構151は、図10に示すように構成されているものであるが、複合リンク機構151中の垂下ロッド154下端には掻込リール24の昇降作動を行うリール昇降シリンダ42と連動連結している
【0061】
すなわち、図13に示すように、リール昇降シリンダ42は油圧ポンプ169より油路170を介して圧油の供給を受けているが、その油路170中途には油圧切換弁装置165を介設し、該装置のメカバルブ165aと垂下ロッド154下端を連動連結している。例えば、垂下ロッド154下端に連結ロッド168を連結して、メカバルブ165aに図示しないリンク機構を介して連結ロッド168先端を連結することにより、垂下ロッド154の昇降作動によりメカバルブ165aによる切換制御が使えるように構成している。このように構成することにより、掻込リール24の昇降油圧回路(リール昇降油圧回路171)に高価な電磁弁を使用しない安価な構造とすることができる。
【0062】
なお、図13中、171はリール昇降油圧回路、172はパイロットチェック弁、173及び174はリリーフ弁、175はプラットフォーム昇降油圧回路、175aはプラットフォーム昇降シリンダ、175はオーガ昇降油圧回路、175aはオーガ昇降シリンダである。
【0063】
従来は、油圧切換弁装置165は電磁弁を用いて弁制御を行うように構成したものであったがコスト的に不利であり、電気的トラブルで作動不能となる危険を回避するために、本発明の実施例ではメカバルブ165aを用いた機械的連動連結機構としている。これにより、掻込リール24の昇降を安価な構造で構成することができる。
【0064】
なお、図11中、132は運転席13のステップ164に開設した方形状の支持ボックス162であり、横軸パイプ156の端部をボックス肉厚方向に挿貫することにより、該パイプの片持ち支持を行うと共に、リール下降ペダル19の下底面に垂設したペダル軸161を昇降自在に挿入してリール下降ペダル19の踏み込み動作の支持構造を構成する。また、リール下降ペダル19の支持ボックス162の上端面との間には該リール下降ペダル19の復元を行うための復元バネ167を介設しており、従ってリール下降ペダル19で掻込リール24を降下させた場合は、運転者は復元バネ167に抗してリール下降ペダル19を踏み込んだままにしておく。
【0065】
そして、該リール下降ペダル19から足を離すと、復元バネ167の復元力によって自動的にリール下降ペダル19は上昇して踏み込み前の位置に復元する。しかし、かかる状態ではリール昇降レバー18のリール上昇操作とリール下降ペダル19の復元動作を非連動としているため、掻込リール24は降下状態のままとなっており、リール昇降レバー18も掻込リール24の降下操作位置のままである。改めて、掻込リール24を上昇させる場合にはリール昇降レバー18を上昇操作させる。
【0066】
この発明の実施例では上記のように構成されているので、圃場の穀稈刈取作業のうち、刈り終いの場面において、本発明の実施例の操作を説明する。すなわち、直進刈取り 後に圃場の畦際まで穀稈を刈り取っていくと、畦際でUターンの方向転換を行うに際しては頻繁に前後進を繰り返してUターンを徐々に行いながらUターン領域の圃場の穀稈刈取作業、すなわち、いわゆる刈り終い作業を行っていく。
【0067】
この時に、運転者は主変速レバー15を左手で操作しながら、右手で刈取部4昇降のための刈取部昇降操作レバー17を操作し、必要に応じて、例えば、刈取部4と掻込リール24との間で刈取穀稈の挟み込みを行う必要が生起した場合は掻込リール24の下降操作と刈取部4の上昇操作とを同時に行う。この時に、刈取部昇降操作レバー17は右手で行うが掻込リール24の下降作業は、ステップ164に配設したリール下降ペダル19を足で踏み込んで行うことになる。
【0068】
このように、左手は主変速レバー15を、右手は刈取部昇降操作レバー17をそれぞれ操作しながら、右足は刈取部昇降操作レバー17をそれぞれ操作しながら、右足はリール下降ペダル19を操作することにより、変速操作手段と刈取部昇降操作手段と、リール昇降操作手段とをそれぞれ独立して単独に操作することが可能となる。
【0069】
そして、単独に掻込リール24のみの下降操作を行う場合には、リール昇降レバー18とリール下降ペダル19とが連動しているので、いずれかの操作手段によって掻込リール24の下降操作が行える。また、リール下降ペダル19から足を離すと、該リール下降ペダル19は復元バネ167により元のペダル上昇位置に復元するもののリール昇降レバー18のリール上昇操作と非連動であるため、リール昇降レバー18はそのまま掻込リール24下降状態にシフトしたままである。従って、掻込リール24を改めて上昇する場合は、リール昇降レバー18を操作して行うことになる。このように、掻込リール24の昇降は、リール昇降レバー18やリール下降ペダル19を操作することにより、機械的なリンク機構を介してリール昇降シリンダ42に連結しら油圧弁切換135aの切換作動を行うことにより行われる。
【符号の説明】
【0070】
A コンバイン
3 機体
4 刈取部
12 操作部
13 運転席
14 ステップ部
15 主変速レバー(主変速操作手段)
16 副変速レバー(主変速操作手段)
17 刈取部昇降操作レバー(刈取部昇降操作手段)
18 リール昇降操作レバー(リール昇降操作手段)
19 リール下降ペダル(リール昇降操作手段)
24 掻込リール
33 サイドコラム
34 フロント操作コラム
36 脱穀クラッチレバー
37 刈取クラッチレバー
151 複合リンク機構
152 横扞
153 アーム
154 垂下ロッド
155 連結コマ
156 横軸パイプ
157 連動コマ
158 リンク扞
159 縦長孔
160 ペダルピン
161 ペダル軸
162 支持ボックス
163 油圧切換弁装置
164 ステップ
165 油圧切換弁装置
166 アクセルレバー
167 復元バネ
168 連結ロッド
169 油圧ポンプ
170 油路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を具備して走行操作可能とした機体本体の前方に刈取部を昇降自在に取り付け、刈取部には回転動作して圃場の穀桿を掻き込み可能とした掻込リールを昇降自在に取り付けたコンバインにおいて、
機体本体を変速操作する変速操作手段と、
刈取部を昇降操作する刈取部昇降操作手段と、
掻込リールを昇降操作するリール昇降操作手段と、
をそれぞれ単独で操作部に配設すると共に、
リール下降ペダルを運転席のステップに配設したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
リール昇降操作手段は、リール昇降レバーとリール下降ペダルの複合とし、リール昇降レバーのリール下降操作とリール下降ペダルのリール下降操作を連動させたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
リール昇降レバーのリール上昇操作とリール下降ペダルの復元動作を非連動としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−63035(P2013−63035A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203471(P2011−203471)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】