コンバイン
【課題】通常の2条刈作業から3条〜4条刈作業に移行する場合に、その作業の切替操作に関連して車速を一定以下に規制することにより、刈取部や脱穀部にかかる負荷を低減させ、穀稈の詰まりなどによるトラブルを防止する。
【解決手段】刈取部(4)の左右両側端部の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態と、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態とに切替自在に構成し、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限される構成とする。
【解決手段】刈取部(4)の左右両側端部の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態と、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態とに切替自在に構成し、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限される構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分草後の穀稈を引き起す一対の引起し装置を左右に対向配置し、これらの引起し装置に備えた引起しラグの移動軌跡の設定により、左右両端および中央の3つの分草体の各間に導入された植立穀稈を、刈取搬送部の中央側に向けて掻き込み案内する掻込案内領域と掻き込み案内された穀稈を引き起す引起し領域とを形成して、引起し範囲の拡大を図るようにした構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、特許文献1に記載された技術は、刈取部の左右両側端部に配置した左右の分草体と、中央に配置された中分草体との間隔を、各2条の植立穀稈を導入できる間隔に固定的に設定し、1条から最大4条の穀稈を刈り取ることができるように構成したものであるが、かかる構成のものでは、3条〜4条の植立穀稈が導入された場合、2条の植立穀稈が導入された場合と同じ走行速度で刈取作業を行おうとすると、刈取部や脱穀部にかかる負担が過大となり、穀稈の詰まりなどによるトラブルを惹き起す問題がある。
【0005】
本発明の課題は、通常の2条刈作業から3条〜4条刈作業に移行する場合には、その作業の切替操作に関連して車速を一定以下に落すことにより、上記問題点を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行装置(2)を備えた走行車体(1)の前側に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の左右両側端部に左右の分草具(14L,14R)を夫々設け、この左右の分草具(14L,14R)の間には中分草具(14C)を設け、これら左右の分草具(14L,14R)および中分草具(14C)の後方に引起し装置(15L,15R)を設け、該引起し装置(15L,15R)の後方に刈刃装置(16)を設けたコンバインにおいて、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態と、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態とに切替自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限される構成としたことを特徴とするコンバインとする。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各1条の植立穀稈を導入可能とし、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各2条の植立穀稈を導入可能な構成とした請求項1記載のコンバインとする。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも広くなり、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも狭くなる構成とした請求項1又は請求項2記載のコンバインとする。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を切替操作する操作具(13L,13R)が、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大する側に操作された場合に、走行変速レバー(10)の操作域を前進側の所定範囲に規制する手段を設けた請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバインとする。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記走行車体(1)上の運転席(5)側方の操作パネル(7)に前記操作具(13)と走行変速レバー(10)を配置した請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバインとする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、刈取部(4)に導入される穀稈量が2条から3条〜4条に増加する場合には、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限されるので、刈取部(4)や脱穀部の過負荷を少なくして詰まり等によるトラブルを未然に防止することができ、3条〜4条の植立穀稈を能率よく刈り取ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では2条の植立穀稈を導入することができ、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では4条の植立穀稈を導入することができ、2条刈状態と4条刈状態を使い分けて刈取作業を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、基本構造を2条刈仕様としたコンバインでありながら、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を変更するだけで、刈取条数を大幅に増加することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、走行変速レバー(10)の操作域が前進側の所定範囲に規制されているので、不用意に車速を上げて過負荷状態に陥りにくくなり、過負荷に起因するトラブルを未然に防止することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明の効果に加え、走行変速レバー(10)と左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を切替操作する操作具(13)が運転席(5)側方の操作パネル(7)に配置してあるので、走行速度の変速操作並びに左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔の切替操作が手元で集中的に行え、操作性が向上し、作業能率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの平面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】コンバインの側面図
【図4】刈取部の要部の平面図
【図5】刈取部の要部の平面図
【図6】刈取部の要部の正面図
【図7】同上要部の正面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】同上要部の正面図
【図10】同上要部の正面図
【図11】分草体の開閉操作具と副変速レバーとの連動構成を示す側面図
【図12】分草体の開閉操作具と主変速レバーとの連動構成を示す側面図
【図13】コンバイン要部の運転操作部の正面図
【図14】操作具(操作レバー)の側面図
【図15】同上操作具の分解側面図
【図16】コンバイン要部の運転操作部の側面図
【図17】コンバイン要部の運転操作部の側面図
【図18】左右操作具の取付状態を示す要部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、コンバインの全体図を示すものであり、この走行車体1には、走行ミッションMを介して駆動される左右一対の走行クローラ2L,2Rを備えた走行装置2を設け、後部に搭載した脱穀装置(脱穀部)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5、運転席前側のフロント操作パネル6、運転席左横側のサイド操作パネル7等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0018】
フロント操作パネル6の右側には、左右方向の操作で機体の進行方向を操向制御し、前後方向の操作で刈取部4を昇降制御する操向レバー8が設置されている。運転席5左側のサイド操作パネル7上には、刈取部4及び脱穀部3への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー9、走行速を変速制御する走行変速レバー(HSTレバー)10、副変速レバー11等が配置されている。
【0019】
刈取部4は、後支持フレーム19で支持され、この後支持フレーム19基端部(後端部)を、走行車体1に設けた不図示の支持部に回動自在に軸支している。そして、後支持フレーム19の中間部と走行車体1の間に設けた刈取昇降シリンダSの油圧駆動による伸縮により、刈取部4が上下昇降される。
【0020】
後支持フレーム19の先端部(前端部)には、左右方向の横支持フレーム20の左右中間部を連結しており、横支持フレーム20からコンバインの機体前方に向けて、分草支持フレーム21を、左右所定間隔をおいて複数配置している。
【0021】
また、刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する左右両側端部の分草体14L,14R及び中央の中分草体14Cと、分草後の穀稈を引き起す左右一対の穀稈引起し装置(引起し装置)15L,15Rと、引起し後の穀稈を刈り取るバリカン式の刈刃装置16と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込ベルト17aやスターホイル17b等の掻込搬送装置17、掻込搬送後の穀稈を脱穀部に揚上搬送して供給する揚上搬送装置18等を備えている。各分草体14は、刈刃装置16側から前方に突設する分草支持フレーム21の先端に取り付けられている。
【0022】
左右の分草体14L,14Rは、先端側が内側方(閉状態)又は外側方(開状態)に向けて回動するよう分草支持フレーム21の途中部に設けた上下方向の縦軸22回りに回動自在に枢着している。
【0023】
左右の分草体14L,14Rの開状態では、左右の分草体14L,14Rの先端部間隔B1が刈刃装置16の幅Aよりも広くなり、閉状態ではこの左右の分草体14L,14Rの先端部間隔B2が刈刃装置16の幅Aよりも狭くなるように構成している(図4参照)。
【0024】
図6に示すように、通常の2条刈作業を行う場合は、左右の分草体14L,14Rは閉位置状態にあって、左右の分草体14L,14Rと中分草体14Cとの間に各1条づつの穀稈が導入され、左右合わせて2条分の穀稈が刈刃装置16側に案内されるようになっている。
【0025】
左右の分草体14L,14Rのうち、左の分草体14Lを外側方に開いた時(開状態)は、中分草体14Cと左の分草体14Lとの間に各2条の穀稈が導入され、中分草体14Cと右の分草体14Rとの間に導入される1条の穀稈と合わせて3条の穀稈が導入され図7参照、3条刈作業が可能となる。
【0026】
また、左右の分草体14L,14Rのうち、右の分草体14Rを外側方に開いた時(開状態)は、中分草体14Cと右の分草体14Rとの間に2条の穀稈が導入され、中分草体14Cと閉状態の左分草体14Lとの間に導入される1条の穀稈と合わせて3条の穀稈が導入され図7参照、上記と同様に3条刈作業ができるようになっている。
【0027】
そして、図9に示すように、左右の分草体14L,14Rを外側方に開いた時には、左の分草体14Lと中分草体14Cとの間、及び右の分草体14Rと中分草体14Cとの間に、それぞれ2条づつの穀稈が導入され、左右合わせて4条分の穀稈が導入されるようになっており、4条刈作業が可能となる。
【0028】
しかして、前述の2条刈り作業(図7)では、右の分草体14Rを既に刈り取った穀稈(既刈穀稈)の切り株Cの位置に合せると、左右の分草体14L,14Rの間に2条分の穀稈が導入される間隔に設定しているので、操縦者は、運転席5の前方にある右の分草体14Rの位置を切り株Cの上を通過するように前記操向レバー8で機体を操向しながら前進すればよく、刈取作業における機体の操作が容易となる。
【0029】
3条刈りの作業のうち、図8に示す作業では、左の分草体14Lを圃場に植立する穀稈Kがこの左の分草体14Lよりも内側に入るようにする。この作業形態は、主に畦際の穀稈を刈取る際に用いられ、左の分草体14Lの先端が機体の左最外側に近づくことで、畦際の穀稈を刈取る際に周囲の障害物に機体を接触させることなく作業を行うことができ、周囲をコンクリート壁で囲まれた都市部の圃場などでは極めて有効である。
【0030】
図9に示す3条刈り作業では、コンバインの機体の左右両側に未刈り穀稈を位置させて行う所謂中割り作業に好適であり、走行クローラ2Rの外側端との距離が大きい右の分草体14Rの先端を穀稈Kのすぐ右側に位置させて刈取ることで、この穀稈Kよりも機体進行方向右側に位置する穀稈と走行クローラ2Rとのクリアランスを確保して刈取作業を行なうため、未刈穀稈を走行クローラ2R,2Lによって踏みつけることなく中割り作業を行なうことができる。
【0031】
4条刈りの作業(図10)では、二条枠の穀稈引起装置15L,15Rで4条分の穀稈を刈取ることができ、刈取作業の効率を飛躍的に高めることができる。特に、前述の中割り作業を行なうにあたり効果的であり、刈取作業中に機体の方向転換などを行なう際にも、走行クローラ2R,2Lによって穀稈を踏みつけることなく作業を行なうことができる。
【0032】
また、上述のように2条刈りから最大4条刈りまでに左右の分草体14L,14Rの間隔を変更できることで、作業条件が良好な場合(穀稈が立毛状態であり、雨水や泥土等が付着していない場合や、穀稈の穂先の穀粒が比較的少ない場合)には、4条分の穀稈を刈取装置4に導入することで、圃場内を移動する距離や、機体の旋回を行なう回数を減少させ、能率的な作業を行なうことができる。
【0033】
また、穀稈が倒伏していたり、濡れていたり、穀粒が多く、刈取搬送や脱穀の負荷が高いことが予想される作業条件においては、刈取装置4に導入する穀稈の量を2条分に制限することで、刈取装置4や脱穀装置3の負荷を軽減し安定した作業を行うことができる。
【0034】
左右の穀稈引起し装置15L,15Rは、左右対称形状に構成された引起しケース25と、該引起しケース25内上部に架設された駆動スプロケット26、テンションスプロケット27及び引起しケース25内下部に左右所定間隔をあけて架設された左右のガイドローラ28a,28bと、それらにわたって掛け回した引起しラグ29付無端チエン30とから成り立っている。左右の穀稈引起し装置15L,15Rの始端側には、引起しラグ29によって導入された穀稈を外側から内側方の引起し経路Y2側に向けて掻き寄せる横方向所定幅の掻き寄せ経路Y1が設けられている。この掻き寄せ経路Y1は、所定間隔をあけて配置した左右のガイドローラ28a,28b間において構成され、そして、少なくとも、この左右ガイドローラ28a,28b間のピッチP1を引起しラグ29,29間のピッチP2と略同等若しくはそれよりも大きく設定することで、この掻き寄せ経路Y1中には常に複数の引起しラグ29,29が下向き作用姿勢で横移動するようになっている。なお、引起し経路Y2では引起しラグ29が横向き姿勢で上昇移行する。
【0035】
従って、上記構成の掻き寄せ経路によれば、片側に2条の穀稈が導入されても引起し経路内へ確実に掻き寄せることができる。
左右の分草体14L,14Rとこれらを遠隔操作する操作具(操作レバー)13L,13Rとは、操作ワイヤ23等の連繋部材を介して連動連結され、各操作レバー13L,13Rの支軸12を軸芯とする手前側(前方から後方)への引き操作により、左分草体14Lを左外側方へ、右分草体14Rを右外側方へ回動操作するように連動構成している。なお、操作レバー13L,13Rは、前方に押し操作すると、左右の分草体14L,14Rは2条刈作業体勢の閉状態に復帰するようになっている。また、左右の操作レバー13L,13Rは、サイド操作パネル7側において走行変速レバー10と副変速レバー11の横側近傍に配置されている。
【0036】
走行ミッションMに備えた副変速装置は、副変速レバー11によって高速(路上走行速)と中速(刈取標準速)と低速(刈取作業倒伏速)の3段階に切り替えできるようになっている。即ち、作業速の副変速切り替えに「標準」と「倒伏」を有するコンバインでは、左右の分草体14L,14Rの開状態では、操作レバー13の操作に連動して副変速レバー11を「倒伏」位置に切り替えるように構成している。
【0037】
通常、2条刈作業では「標準」の作業速で行うが、これが3条刈或は4条刈作業になると、能力的に無理な面があるので、作業速度を1段階落として低速度で作業することが望ましい。
【0038】
そこで、図11に示すように、操作レバー13を開状態位置に操作すると、連動部材31を介して副変速レバー11が「倒伏」位置に移動し、作業速が標準速より低速に切り替わるようになっている。操作レバー13の閉状態位置では連動部材31に長穴32を設けることで、副変速位置を変更することができる。
【0039】
また、図12に示すように、分草体の操作レバー13を開状態位置に操作すると、連動部材31及び牽制手段33を介して走行変速レバー10が所定範囲の前進側操作域を規制する位置まで移動し、これより前進側高速域には移動しないように牽制する構成としている。なお、分草体の閉状態では、規制がかからないように連動部材31に設けられた融通穴34によって規制を解除することができる。
【0040】
図13に示す実施例では、左右の分草体の操作レバー13L,13Rは、運転席5と走行変速レバー10との間に配置し、同一軸芯(支軸12)を回動支点としてそれぞれ単独で前後方向に揺動操作可能に構成してあり、しかも、サイド操作パネル7の最右側で且つ最前部に配置している。また、図13例では、左右の操作レバー13L,13Rにおいて、正面視でこれらレバーの途中部から運転席5側に向けて折曲する折曲部Cを設け、該レバーの基部側の間隔は狭く、先端のグリップ側は間隔を広くとって操作がし易くなるように構成している。なお、操作ワイヤ23を連結して引き操作するくの字連結プレート39は、左右の操作レバー13L,13R間に配置してコンパクト化を図っている。
【0041】
図14例に示す操作レバー13は、支軸12部位から連結及び分離可能な2分割式としてあり、図15に示すように基部側13aと先端側13bとからなる構成としている。これによると、操作パネル部への組み立てが容易であり、組み付け後の調整も容易に行える。
【0042】
図16及び図17例に示すように、左右の分草体14L,14Rの操作レバー13L,13Rは、両者共前方側から後方に引き操作した時、操作レバーのグリップ部が走行変速レバー10のグリップ部より低い位置となるよう配置している。これによると、レバー操作時に手が他のレバーとの接触を防ぐことができ、操作性が向上する。操作レバー13の回動中心部は走行変速レバー10より前側に設定することで、走行変速レバー10を操作する際に操作レバーとの接触を回避することができる。なお、操作レバー13のストローク距離は、走行変速レバー10のストローク距離よりも大きく設定している。
【0043】
また、この操作レバー13L(13R)は,進行方向前側に向けて側面視くの字型に折り曲げ形成すると共に、閉状態では先端のグリップ部が引き起し装置15の引起しカバー40上部より前側に位置し、且つ、フロント操作パネル6よりも前側に位置する構成とすることで、後方への引き操作が行い易く、荷重を掛けるときにオペレータの体重が掛け易く操作性が向上する。
【0044】
操作レバーの先端(グリップ部)位置が開状態(後方への引き操作の時)の時にオペレータ若しくは運転席5より前側にあるように配置構成することで、操作荷重を掛けるときにオペレータの体重が掛け易く操作性がアップする。
【0045】
図18例は、左右の操作レバー13L,13Rにおいて、一方側のレバー13Lにボス部36を構成して設け、他方側のレバー13Rにはピン軸(支軸12)を一体的に突出構成して設け、レバー13L側のピン軸12を取付ステー37の軸受部38に軸受支持させると共に、レバー13R側のボス部36をピン軸12に嵌合支持することで、両レバーが同一軸芯回りで回動するよう軸受保持させることができる。かかる構成により、操作パネル部への組み立てが容易にでき、組付け後の調整も容易にできる。また、このレバー構成全体を取付ステーと共にそっくり操作パネル部から取外しができるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0046】
5 運転席
7 サイド操作パネル
10 走行変速レバー
13L 左操作具(操作具)
13R 右操作具(操作具)
14L 左の分草体
14R 右の分草体
14C 中分草体
15 穀稈引起し装置(引起し装置)
16 刈刃装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、分草後の穀稈を引き起す一対の引起し装置を左右に対向配置し、これらの引起し装置に備えた引起しラグの移動軌跡の設定により、左右両端および中央の3つの分草体の各間に導入された植立穀稈を、刈取搬送部の中央側に向けて掻き込み案内する掻込案内領域と掻き込み案内された穀稈を引き起す引起し領域とを形成して、引起し範囲の拡大を図るようにした構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、特許文献1に記載された技術は、刈取部の左右両側端部に配置した左右の分草体と、中央に配置された中分草体との間隔を、各2条の植立穀稈を導入できる間隔に固定的に設定し、1条から最大4条の穀稈を刈り取ることができるように構成したものであるが、かかる構成のものでは、3条〜4条の植立穀稈が導入された場合、2条の植立穀稈が導入された場合と同じ走行速度で刈取作業を行おうとすると、刈取部や脱穀部にかかる負担が過大となり、穀稈の詰まりなどによるトラブルを惹き起す問題がある。
【0005】
本発明の課題は、通常の2条刈作業から3条〜4条刈作業に移行する場合には、その作業の切替操作に関連して車速を一定以下に落すことにより、上記問題点を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行装置(2)を備えた走行車体(1)の前側に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の左右両側端部に左右の分草具(14L,14R)を夫々設け、この左右の分草具(14L,14R)の間には中分草具(14C)を設け、これら左右の分草具(14L,14R)および中分草具(14C)の後方に引起し装置(15L,15R)を設け、該引起し装置(15L,15R)の後方に刈刃装置(16)を設けたコンバインにおいて、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態と、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態とに切替自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限される構成としたことを特徴とするコンバインとする。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各1条の植立穀稈を導入可能とし、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各2条の植立穀稈を導入可能な構成とした請求項1記載のコンバインとする。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも広くなり、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも狭くなる構成とした請求項1又は請求項2記載のコンバインとする。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を切替操作する操作具(13L,13R)が、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大する側に操作された場合に、走行変速レバー(10)の操作域を前進側の所定範囲に規制する手段を設けた請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバインとする。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記走行車体(1)上の運転席(5)側方の操作パネル(7)に前記操作具(13)と走行変速レバー(10)を配置した請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバインとする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、刈取部(4)に導入される穀稈量が2条から3条〜4条に増加する場合には、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限されるので、刈取部(4)や脱穀部の過負荷を少なくして詰まり等によるトラブルを未然に防止することができ、3条〜4条の植立穀稈を能率よく刈り取ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では2条の植立穀稈を導入することができ、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では4条の植立穀稈を導入することができ、2条刈状態と4条刈状態を使い分けて刈取作業を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、基本構造を2条刈仕様としたコンバインでありながら、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を変更するだけで、刈取条数を大幅に増加することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、走行変速レバー(10)の操作域が前進側の所定範囲に規制されているので、不用意に車速を上げて過負荷状態に陥りにくくなり、過負荷に起因するトラブルを未然に防止することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の発明の効果に加え、走行変速レバー(10)と左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を切替操作する操作具(13)が運転席(5)側方の操作パネル(7)に配置してあるので、走行速度の変速操作並びに左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔の切替操作が手元で集中的に行え、操作性が向上し、作業能率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの平面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】コンバインの側面図
【図4】刈取部の要部の平面図
【図5】刈取部の要部の平面図
【図6】刈取部の要部の正面図
【図7】同上要部の正面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】同上要部の正面図
【図10】同上要部の正面図
【図11】分草体の開閉操作具と副変速レバーとの連動構成を示す側面図
【図12】分草体の開閉操作具と主変速レバーとの連動構成を示す側面図
【図13】コンバイン要部の運転操作部の正面図
【図14】操作具(操作レバー)の側面図
【図15】同上操作具の分解側面図
【図16】コンバイン要部の運転操作部の側面図
【図17】コンバイン要部の運転操作部の側面図
【図18】左右操作具の取付状態を示す要部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、コンバインの全体図を示すものであり、この走行車体1には、走行ミッションMを介して駆動される左右一対の走行クローラ2L,2Rを備えた走行装置2を設け、後部に搭載した脱穀装置(脱穀部)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5、運転席前側のフロント操作パネル6、運転席左横側のサイド操作パネル7等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0018】
フロント操作パネル6の右側には、左右方向の操作で機体の進行方向を操向制御し、前後方向の操作で刈取部4を昇降制御する操向レバー8が設置されている。運転席5左側のサイド操作パネル7上には、刈取部4及び脱穀部3への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー9、走行速を変速制御する走行変速レバー(HSTレバー)10、副変速レバー11等が配置されている。
【0019】
刈取部4は、後支持フレーム19で支持され、この後支持フレーム19基端部(後端部)を、走行車体1に設けた不図示の支持部に回動自在に軸支している。そして、後支持フレーム19の中間部と走行車体1の間に設けた刈取昇降シリンダSの油圧駆動による伸縮により、刈取部4が上下昇降される。
【0020】
後支持フレーム19の先端部(前端部)には、左右方向の横支持フレーム20の左右中間部を連結しており、横支持フレーム20からコンバインの機体前方に向けて、分草支持フレーム21を、左右所定間隔をおいて複数配置している。
【0021】
また、刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する左右両側端部の分草体14L,14R及び中央の中分草体14Cと、分草後の穀稈を引き起す左右一対の穀稈引起し装置(引起し装置)15L,15Rと、引起し後の穀稈を刈り取るバリカン式の刈刃装置16と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込ベルト17aやスターホイル17b等の掻込搬送装置17、掻込搬送後の穀稈を脱穀部に揚上搬送して供給する揚上搬送装置18等を備えている。各分草体14は、刈刃装置16側から前方に突設する分草支持フレーム21の先端に取り付けられている。
【0022】
左右の分草体14L,14Rは、先端側が内側方(閉状態)又は外側方(開状態)に向けて回動するよう分草支持フレーム21の途中部に設けた上下方向の縦軸22回りに回動自在に枢着している。
【0023】
左右の分草体14L,14Rの開状態では、左右の分草体14L,14Rの先端部間隔B1が刈刃装置16の幅Aよりも広くなり、閉状態ではこの左右の分草体14L,14Rの先端部間隔B2が刈刃装置16の幅Aよりも狭くなるように構成している(図4参照)。
【0024】
図6に示すように、通常の2条刈作業を行う場合は、左右の分草体14L,14Rは閉位置状態にあって、左右の分草体14L,14Rと中分草体14Cとの間に各1条づつの穀稈が導入され、左右合わせて2条分の穀稈が刈刃装置16側に案内されるようになっている。
【0025】
左右の分草体14L,14Rのうち、左の分草体14Lを外側方に開いた時(開状態)は、中分草体14Cと左の分草体14Lとの間に各2条の穀稈が導入され、中分草体14Cと右の分草体14Rとの間に導入される1条の穀稈と合わせて3条の穀稈が導入され図7参照、3条刈作業が可能となる。
【0026】
また、左右の分草体14L,14Rのうち、右の分草体14Rを外側方に開いた時(開状態)は、中分草体14Cと右の分草体14Rとの間に2条の穀稈が導入され、中分草体14Cと閉状態の左分草体14Lとの間に導入される1条の穀稈と合わせて3条の穀稈が導入され図7参照、上記と同様に3条刈作業ができるようになっている。
【0027】
そして、図9に示すように、左右の分草体14L,14Rを外側方に開いた時には、左の分草体14Lと中分草体14Cとの間、及び右の分草体14Rと中分草体14Cとの間に、それぞれ2条づつの穀稈が導入され、左右合わせて4条分の穀稈が導入されるようになっており、4条刈作業が可能となる。
【0028】
しかして、前述の2条刈り作業(図7)では、右の分草体14Rを既に刈り取った穀稈(既刈穀稈)の切り株Cの位置に合せると、左右の分草体14L,14Rの間に2条分の穀稈が導入される間隔に設定しているので、操縦者は、運転席5の前方にある右の分草体14Rの位置を切り株Cの上を通過するように前記操向レバー8で機体を操向しながら前進すればよく、刈取作業における機体の操作が容易となる。
【0029】
3条刈りの作業のうち、図8に示す作業では、左の分草体14Lを圃場に植立する穀稈Kがこの左の分草体14Lよりも内側に入るようにする。この作業形態は、主に畦際の穀稈を刈取る際に用いられ、左の分草体14Lの先端が機体の左最外側に近づくことで、畦際の穀稈を刈取る際に周囲の障害物に機体を接触させることなく作業を行うことができ、周囲をコンクリート壁で囲まれた都市部の圃場などでは極めて有効である。
【0030】
図9に示す3条刈り作業では、コンバインの機体の左右両側に未刈り穀稈を位置させて行う所謂中割り作業に好適であり、走行クローラ2Rの外側端との距離が大きい右の分草体14Rの先端を穀稈Kのすぐ右側に位置させて刈取ることで、この穀稈Kよりも機体進行方向右側に位置する穀稈と走行クローラ2Rとのクリアランスを確保して刈取作業を行なうため、未刈穀稈を走行クローラ2R,2Lによって踏みつけることなく中割り作業を行なうことができる。
【0031】
4条刈りの作業(図10)では、二条枠の穀稈引起装置15L,15Rで4条分の穀稈を刈取ることができ、刈取作業の効率を飛躍的に高めることができる。特に、前述の中割り作業を行なうにあたり効果的であり、刈取作業中に機体の方向転換などを行なう際にも、走行クローラ2R,2Lによって穀稈を踏みつけることなく作業を行なうことができる。
【0032】
また、上述のように2条刈りから最大4条刈りまでに左右の分草体14L,14Rの間隔を変更できることで、作業条件が良好な場合(穀稈が立毛状態であり、雨水や泥土等が付着していない場合や、穀稈の穂先の穀粒が比較的少ない場合)には、4条分の穀稈を刈取装置4に導入することで、圃場内を移動する距離や、機体の旋回を行なう回数を減少させ、能率的な作業を行なうことができる。
【0033】
また、穀稈が倒伏していたり、濡れていたり、穀粒が多く、刈取搬送や脱穀の負荷が高いことが予想される作業条件においては、刈取装置4に導入する穀稈の量を2条分に制限することで、刈取装置4や脱穀装置3の負荷を軽減し安定した作業を行うことができる。
【0034】
左右の穀稈引起し装置15L,15Rは、左右対称形状に構成された引起しケース25と、該引起しケース25内上部に架設された駆動スプロケット26、テンションスプロケット27及び引起しケース25内下部に左右所定間隔をあけて架設された左右のガイドローラ28a,28bと、それらにわたって掛け回した引起しラグ29付無端チエン30とから成り立っている。左右の穀稈引起し装置15L,15Rの始端側には、引起しラグ29によって導入された穀稈を外側から内側方の引起し経路Y2側に向けて掻き寄せる横方向所定幅の掻き寄せ経路Y1が設けられている。この掻き寄せ経路Y1は、所定間隔をあけて配置した左右のガイドローラ28a,28b間において構成され、そして、少なくとも、この左右ガイドローラ28a,28b間のピッチP1を引起しラグ29,29間のピッチP2と略同等若しくはそれよりも大きく設定することで、この掻き寄せ経路Y1中には常に複数の引起しラグ29,29が下向き作用姿勢で横移動するようになっている。なお、引起し経路Y2では引起しラグ29が横向き姿勢で上昇移行する。
【0035】
従って、上記構成の掻き寄せ経路によれば、片側に2条の穀稈が導入されても引起し経路内へ確実に掻き寄せることができる。
左右の分草体14L,14Rとこれらを遠隔操作する操作具(操作レバー)13L,13Rとは、操作ワイヤ23等の連繋部材を介して連動連結され、各操作レバー13L,13Rの支軸12を軸芯とする手前側(前方から後方)への引き操作により、左分草体14Lを左外側方へ、右分草体14Rを右外側方へ回動操作するように連動構成している。なお、操作レバー13L,13Rは、前方に押し操作すると、左右の分草体14L,14Rは2条刈作業体勢の閉状態に復帰するようになっている。また、左右の操作レバー13L,13Rは、サイド操作パネル7側において走行変速レバー10と副変速レバー11の横側近傍に配置されている。
【0036】
走行ミッションMに備えた副変速装置は、副変速レバー11によって高速(路上走行速)と中速(刈取標準速)と低速(刈取作業倒伏速)の3段階に切り替えできるようになっている。即ち、作業速の副変速切り替えに「標準」と「倒伏」を有するコンバインでは、左右の分草体14L,14Rの開状態では、操作レバー13の操作に連動して副変速レバー11を「倒伏」位置に切り替えるように構成している。
【0037】
通常、2条刈作業では「標準」の作業速で行うが、これが3条刈或は4条刈作業になると、能力的に無理な面があるので、作業速度を1段階落として低速度で作業することが望ましい。
【0038】
そこで、図11に示すように、操作レバー13を開状態位置に操作すると、連動部材31を介して副変速レバー11が「倒伏」位置に移動し、作業速が標準速より低速に切り替わるようになっている。操作レバー13の閉状態位置では連動部材31に長穴32を設けることで、副変速位置を変更することができる。
【0039】
また、図12に示すように、分草体の操作レバー13を開状態位置に操作すると、連動部材31及び牽制手段33を介して走行変速レバー10が所定範囲の前進側操作域を規制する位置まで移動し、これより前進側高速域には移動しないように牽制する構成としている。なお、分草体の閉状態では、規制がかからないように連動部材31に設けられた融通穴34によって規制を解除することができる。
【0040】
図13に示す実施例では、左右の分草体の操作レバー13L,13Rは、運転席5と走行変速レバー10との間に配置し、同一軸芯(支軸12)を回動支点としてそれぞれ単独で前後方向に揺動操作可能に構成してあり、しかも、サイド操作パネル7の最右側で且つ最前部に配置している。また、図13例では、左右の操作レバー13L,13Rにおいて、正面視でこれらレバーの途中部から運転席5側に向けて折曲する折曲部Cを設け、該レバーの基部側の間隔は狭く、先端のグリップ側は間隔を広くとって操作がし易くなるように構成している。なお、操作ワイヤ23を連結して引き操作するくの字連結プレート39は、左右の操作レバー13L,13R間に配置してコンパクト化を図っている。
【0041】
図14例に示す操作レバー13は、支軸12部位から連結及び分離可能な2分割式としてあり、図15に示すように基部側13aと先端側13bとからなる構成としている。これによると、操作パネル部への組み立てが容易であり、組み付け後の調整も容易に行える。
【0042】
図16及び図17例に示すように、左右の分草体14L,14Rの操作レバー13L,13Rは、両者共前方側から後方に引き操作した時、操作レバーのグリップ部が走行変速レバー10のグリップ部より低い位置となるよう配置している。これによると、レバー操作時に手が他のレバーとの接触を防ぐことができ、操作性が向上する。操作レバー13の回動中心部は走行変速レバー10より前側に設定することで、走行変速レバー10を操作する際に操作レバーとの接触を回避することができる。なお、操作レバー13のストローク距離は、走行変速レバー10のストローク距離よりも大きく設定している。
【0043】
また、この操作レバー13L(13R)は,進行方向前側に向けて側面視くの字型に折り曲げ形成すると共に、閉状態では先端のグリップ部が引き起し装置15の引起しカバー40上部より前側に位置し、且つ、フロント操作パネル6よりも前側に位置する構成とすることで、後方への引き操作が行い易く、荷重を掛けるときにオペレータの体重が掛け易く操作性が向上する。
【0044】
操作レバーの先端(グリップ部)位置が開状態(後方への引き操作の時)の時にオペレータ若しくは運転席5より前側にあるように配置構成することで、操作荷重を掛けるときにオペレータの体重が掛け易く操作性がアップする。
【0045】
図18例は、左右の操作レバー13L,13Rにおいて、一方側のレバー13Lにボス部36を構成して設け、他方側のレバー13Rにはピン軸(支軸12)を一体的に突出構成して設け、レバー13L側のピン軸12を取付ステー37の軸受部38に軸受支持させると共に、レバー13R側のボス部36をピン軸12に嵌合支持することで、両レバーが同一軸芯回りで回動するよう軸受保持させることができる。かかる構成により、操作パネル部への組み立てが容易にでき、組付け後の調整も容易にできる。また、このレバー構成全体を取付ステーと共にそっくり操作パネル部から取外しができるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0046】
5 運転席
7 サイド操作パネル
10 走行変速レバー
13L 左操作具(操作具)
13R 右操作具(操作具)
14L 左の分草体
14R 右の分草体
14C 中分草体
15 穀稈引起し装置(引起し装置)
16 刈刃装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)を備えた走行車体(1)の前側に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の左右両側端部に左右の分草具(14L,14R)を夫々設け、この左右の分草具(14L,14R)の間には中分草具(14C)を設け、これら左右の分草具(14L,14R)および中分草具(14C)の後方に引起し装置(15L,15R)を設け、該引起し装置(15L,15R)の後方に刈刃装置(16)を設けたコンバインにおいて、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態と、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態とに切替自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限される構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各1条の植立穀稈を導入可能とし、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各2条の植立穀稈を導入可能な構成とした請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも広くなり、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも狭くなる構成とした請求項1又は請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を切替操作する操作具(13L,13R)が、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大する側に操作された場合に、走行変速レバー(10)の操作域を前進側の所定範囲に規制する手段を設けた請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記走行車体(1)上の運転席(5)側方の操作パネル(7)に前記操作具(13)と走行変速レバー(10)を配置した請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)を備えた走行車体(1)の前側に刈取部(4)を設け、該刈取部(4)の左右両側端部に左右の分草具(14L,14R)を夫々設け、この左右の分草具(14L,14R)の間には中分草具(14C)を設け、これら左右の分草具(14L,14R)および中分草具(14C)の後方に引起し装置(15L,15R)を設け、該引起し装置(15L,15R)の後方に刈刃装置(16)を設けたコンバインにおいて、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態と、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態とに切替自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、走行装置(2)の駆動速度の増速が制限される構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各1条の植立穀稈を導入可能とし、前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、中分草具(14C)と左右の分草具(14L,14R)との間に各2条の植立穀稈を導入可能な構成とした請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも広くなり、左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を縮小した状態では、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔が刈刃装置(16)の幅よりも狭くなる構成とした請求項1又は請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を切替操作する操作具(13L,13R)が、該左右の分草具(14L,14R)の先端部間隔を拡大する側に操作された場合に、走行変速レバー(10)の操作域を前進側の所定範囲に規制する手段を設けた請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記走行車体(1)上の運転席(5)側方の操作パネル(7)に前記操作具(13)と走行変速レバー(10)を配置した請求項1から請求項4のいずれか一項記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−9611(P2013−9611A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143164(P2011−143164)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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