説明

コンバイン

脱穀装置の後部に処理胴を配置し、該処理胴で処理した処理物と前記扱胴で処理した処理物を揺動選別装置により選別するだけでは、穀粒ロスが発生したので、収穫効率を更に向上しようとする。 脱穀装置の後側部に配置した処理胴の下方に、処理胴で処理した処理物を受けて前方へ搬送する搬送体を配置して、揺動選別装置上に再度投入して再選別するとともに、二番物を二番還元コンベアにより揺動選別装置の前端に搬送し、該二番還元コンベアの前端に枝梗処理装置を設ける。そして、処理胴および搬送体を用意に着脱できるようにしてメンテナンスを容易とする。また、搬送体前部から落下する処理物をセンサーで検知して詰まりを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインにおける脱穀装置の後部に処理胴を設けて、脱穀後の穀粒ロスを低減するための技術に関し、特に、前記処理胴で処理した処理物を揺動選別装置の前部側へ搬送する搬送体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀性能及び選別性能を向上させるために、扱胴後部側方で平行に送塵口処理胴(処理胴)を配置し、扱胴で処理できなかった枝梗付着粒等を処理胴に送り処理し、脱穀部で処理する穀粒の内、通常10〜15%の穀粒を単粒化し、処理網を通して下方の選別部の揺動選別装置上へ排出するようにしていた。
さらに、脱穀部から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別装置により選別した後の二番物を、二番コンベア、二番還元コンベアを介して再び揺動選別装置の選別開始部へ戻し処理するようにしていた。(例えば特許文献1参照。)
また、収穫速度の高速化に伴い選別部もより高い処理能力(選別能力)が求められ、選別部における詰まり等の防止策も講じられている。例えば、排藁チェーンにおける排藁の流量を検知して選別部のチャフシーブの開度を調節し、被処理物が多いときはチャフシーブの開度を大きくする技術も公知となっている。(例えば特許文献2参照。)
【0003】
しかし、コンバイン本機の高速化、高能率化などによって脱穀処理量が増えてくると、送塵口処理胴の処理物が荒れて処理胴網の濾過が悪くなり、機外への排出量が増えたり、揺動選別装置上に濾過されても、チャフシーブ等で濾過されずに三番口からの機外への排出が増えて、通常の単粒化率の達成も難しくなっていた。特に、送塵口処理胴の直下に多くの穀粒が片寄り集中するため、揺動選別の不良を招くことがあった。
【0004】
また、従来のコンバインにおいて、選別部上部に堆積する被処理物の量を検知するセンサを設けて、チャフシーブの開度を調節する技術も存在するが、送塵搬送コンベアの排塵口(選別部に未処理物を再投入する部分)のすぐ後方、(すなわち、選別部の左右中央よりも送塵口処理胴寄り)にセンサが配置されていたので、排塵口より選別部上部に再投入された被処理物が選別部上で揺動により均等に均される前にセンサに接触し、実際に選別部上部に堆積している被処理物の量がそれほど多くないにもかかわらずセンサが被処理物を検出し、チャフシーブの開度が過度に大きくなる場合があった。このことは、風選別の負担を大きくし、籾と藁屑との選別精度を低下させる場合がある。
特に、近年はコンバインによる収穫作業の高効率化のために、コンバインの収穫作業時の走行速度が高速化しており、送塵口処理胴により処理される未処理物の量が多くなる傾向がある。その結果、送塵搬送コンベアから選別部に再投入される被処理物の量が多いことから、センサを選別部上の適切な位置に配置することが選別能力の向上という観点から見て重要である。
【特許文献1】特開平11−318194号公報
【特許文献2】特開平5−161419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、三番口などからの穀粒ロスを低減することができ、また揺動選別装置の選別幅を有効に活用して穀粒を増加させることができるようにするために、送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、該搬送体の送り方向終端部に枝梗処理装置を位置して、枝梗を取り除くようにし、脱穀効率を向上しようとする。
また、本発明は、搬送体の支持部の改良に係るもので、搬送体を着脱可能とすることで、送塵口処理胴の機能アップを図ると共に、搬送体のメンテナンスを簡単にし、後方側に着脱可能とすることでメンテナンス時間を短縮化するものである。また、更には、処理胴駆動軸から、搬送体をアンダースロー方向になるような駆動力を伝達させ得るようにしたものである。
また、処理胴の前側ベアリングのメタルをギアケースと兼用させたことで、搬送体の軽量化を図ると共に、部品点数を削減させるものである。
また、センサの配置を改良して、選別部における処理能力(選別能力)を向上したコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、脱穀部と、脱穀後の穀粒を選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴を配置し、該脱穀部の後側部に脱粒物を再処理する送塵口処理胴を配置したコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、該搬送体の前方に枝梗処理装置を備えている。
前記搬送体の送り方向終端部は、前記選別部上であって前記扱胴の終端部よりも機体進行方向前側に位置するとともに、前記搬送体の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部上に排出する向きとしている。
前記搬送体の前部の排出部には羽根を設け、該羽根の回転により揺動選別装置の左右中心側へ排出するようにしている。
前記搬送体の搬送終端部には枝梗処理装置を連結している。
前記脱穀部の後部下方から送塵口処理胴前部の送塵口へ案内する案内板を備え、該案内板の下方に前記搬送体の前部から排出される処理物を拡散する拡散板を設けている。
【0007】
また、脱穀部と、脱穀後の穀粒を選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴を配置し、該脱穀部の後側部に脱粒物を再処理する送塵口処理胴を配置したコンバインであって、該送塵口処理胴の下方に配置して、送塵口処理胴から排出された処理物を受けて前方に搬送する搬送体を備え、搬送体の前部を扱胴後部であって揺動選別装置の前後中途部上に配置し、該搬送体の前方に二番還元コンベアの前端部に設けた枝梗処理装置を配置して、処理物を揺動選別装置前部上に落下させるようにしている。
【0008】
また、脱穀部と、脱穀後の穀粒を選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴を配置し、該脱穀部の後側部に脱粒物を再処理する送塵口処理胴を配置したコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、処理胴駆動軸と処理胴を連結する処理胴ボスに第1ギアを設け、この第1ギアと噛み合う第2ギアと同軸に搬送体を駆動する第1スプロケットを配置し、該第1スプロケットと連動する第2スプロケットにより搬送体を駆動するようにしている。
前記送塵口処理胴の下部に設けた上記搬送体は、機体後方に向けて脱着可能に装着している。
上記搬送体前側の駆動軸の軸端が、上記第2スプロケットに対してスプライン結合により支持されており、搬送体後方の脱着のみで機体後方に着脱可能としている。
上記着脱が、上記搬送体の軸受枠と共に行われるものである。
【0009】
また、機体の前後方向に軸架された扱胴と、該扱胴の後側部に配置した送塵口処理胴と、該送塵口処理胴の下方に配置して前方へ搬送する送塵搬送コンベアとを備えるコンバインにおいて、
選別部上部に堆積した被処理物の量を検出するセンサを、前記送塵搬送コンベアの排塵口よりも後方に配置している。
前記選別部上部に堆積した被処理物の量を検出するセンサを、扱胴後部下方であって、選別部の左右中央よりも扱胴寄りに配置している。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、扱胴で処理できなかった未処理物は送塵口処理胴に送られて処理され、該送塵口処理胴で処理されて処理胴網より落下した処理物は搬送体により前方へ送られて揺動選別装着により再選別され、唐箕当により再度風選別も行われるようになり、処理効率を向上することができ、穀粒ロスを低下することができ、選別装置の選別幅も有効に活用することができる。そして、枝梗処理装置がその前方に位置しているために、枝梗処理装置により処理された処理物と送塵口処理胴により処理された処理物が揺動選別装置上で重なることがなく、別々に処理されて詰まりを招くようなことがなく、効率よく選別することができる。
搬送体の送り方向終端部は、前記選別部上であって前記扱胴の終端部よりも機体進行方向前側に位置させているので、扱胴による脱粒作用で受網より落下する処理物の漏下が少なくなる部分の下方に処理物が投入されるようになり、漏下物が偏ることがなく、選別部の前後方向の幅を有効に利用して、処理効率を向上することができる。また、前記搬送体の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部上に排出する向きとしているので、搬送した処理物が揺動選別装置に叩きつけられながら揺動選別装置に排出されることがなく、穀粒が傷つけられることなく、上方へ投げられることにより分散されて固まりとして揺動選別上に落下することがなく、選別効率を向上することができる。
搬送体の前部の排出部には羽根を設け、該羽根の回転により揺動選別装置の左右中心側へ排出するように構成しているので、羽根により処理物が揺動選別装置側へ飛ばされることがなり、揺動選別装置の幅方向にわたり放出できるようになる。
搬送体の搬送終端部には枝梗処理装置を連結しているので、枝梗処理を効率よく行うことができ、また、送塵口処理胴による処理物には、稈切れも多いが、これを枝梗処理装置で粉砕することができるため、選別能力の向上を図ることができる。
前記脱穀部で処理できなかった未処理物は脱穀部の後部下方から送塵口処理胴前部へ案内板によりスムースに送塵口へ案内されるようになる。そして、送塵口処理胴で処理後の処理物は搬送体により前方へ搬送され、搬送体前部より排出される処理物は拡散板に当たり拡散されて揺動選別装置上に落下して、固まってつまることがなく、選別効率を向上することができる。
また、搬送体の前方に二番還元コンベアの前端部に設けた枝梗処理装置を配置して、処理物を揺動選別装置前部上に落下させるようにしたので、揺動選別装置で処理された二番物を揺動選別装置に再度当入する前に枝梗処理装置により処理することができて、枝梗付きの穀粒が何度も循環することがなく、穀粒の収量を増加し、選別効率も向上することができる。
ギアによる変速後にスプロケットとチェーンにより搬送体に動力を伝えるようになり、簡単な構成により動力が伝達できるようになり、搬送体へはスプロケットとチェーンによる伝達部分で位置調整が可能となり、誤差を吸収できる。
搬送体を機体後方に向けて着脱可能に構成しているので、搬送体の交換・清掃等のメンテナンスに当たっては、軸受枠を受樋の端縁から分離させ、駆動軸側のスプライン嵌入部を第2スプロケット側の嵌合孔から分離して搬送体全体を受樋の上部から引き抜くことができる。また、上記着脱が、上記搬送体の軸受枠と共に行われるので、軸受や軸受けを固定する部品等の分解が不要となり、着脱を簡単に行え、組み立てる順番や方向を間違えることがなくなる。
【0011】
また、選別部上部に堆積した被処理物の量を検出するセンサを、前記送塵搬送コンベアの排塵口よりも後方に配置したので、選別部上に堆積した被処理物の量の検出値が送塵搬送コンベアから落下した直後の被処理物により実際の堆積量から大きくずれた値となることがなく、かつ、送塵搬送コンベアにより選別部に再投入される被処理物と、扱胴の受網を通過して落下してきた被処理物とが、揺動により混合して均等に均された位置で被処理物の量が検出されることから、精度良く被処理物の堆積量を検知することが可能である。
【0012】
前記選別部上部に堆積した被処理物の量を検出するセンサを、扱胴後部下方であって、選別部の左右中央よりも扱胴寄りに配置したので、選別部上に堆積した被処理物の量の検出値が送塵搬送コンベアから落下した直後の被処理物により実際の堆積量から大きくずれた値となることがなく、かつ、送塵搬送コンベアにより選別部に再投入される被処理物と、扱胴の受網を通過して落下してきた被処理物とが、揺動により混合して均等に均された位置で被処理物の量が検出されることから、精度良く被処理物の堆積量を検知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体左側面図。
【図2】本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体平面図。
【図3】本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体右側面図。
【図4】本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体正面図。
【図5】脱穀部及び選別部の左側面模式図。
【図6】送塵口処理胴の右側面図。
【図7】送塵口処理胴の後面図。
【図8】枝梗処理装置と選別装置との配置関係を示す斜視図。
【図9】枝梗処理装置と扱胴との配置関係を示す正面図。
【図10】枝梗処理装置の内部構成を示す側面図。
【図11】枝梗処理装置の内部構成を示す正面図。
【図12】脱穀部と送塵口処理胴部の側面模式図。
【図13】送塵口処理胴から搬送体への駆動構成を示す側面模式図。
【図14】脱穀部と送塵口処理胴の正面図。
【図15】送塵口処理胴から搬送体への駆動構成の別実施例を示す側面模式図。
【図16】送塵口処理胴から搬送体への駆動構成の別実施例の側面断面図。
【図17】搬送体後部の側面図。
【図18】搬送体後支持部の後面図。
【図19】搬送体の別実施例の脱穀部及び選別部の側面断面図。
【図20】搬送体と搬送体駆動部の別実施例の脱穀部の側面模式図。
【図21】搬送体の別実施例の脱穀部の側面模式図。
【図22】搬送体の別実施例の脱穀部後部の側面模式図
【図23】送塵口処理胴と枝梗処理装置の正面図。
【図24】送塵口処理胴と別実施例の搬送体の側面模式図。
【図25】脱穀部及び選別部の後面断面図。
【図26】センサを示す模式図。
【図27】送塵口処理胴と搬送体の側方に設ける案内板と拡散板を設けた正面図。
【符号の説明】
【0014】
10 枝梗処理装置
11 枝梗処理胴
12 脱穀部
17 選別部
20 受網
21 扱胴
22 送塵口処理胴
23 送塵口
24 処理胴網
27 揺動選別装置
28 扱室
29 処理室
40 二番還元コンベア
50 搬送体
56 羽根
100 処理胴ボス
101 処理胴駆動軸
102 ギアボックス
106 第1スプロケット
107 第2スプロケット
108 チェーン
110 軸受枠
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
以下では、図1から図4を用いて本発明の実施の一形態であるコンバイン201の全体構成について説明する。なお、本発明は本実施例のコンバイン201に限定されず、扱胴と送塵口処理胴と送塵搬送コンベアとを備えるコンバイン(自脱型・汎用型)に広く適用可能である。
【0016】
クローラ式走行装置1上には機体フレーム2L・2Rが載置され、該機体フレーム2L・2R前端には引起し・刈取部3が昇降可能に配設されている。該引起し・刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。
【0017】
刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元がフィードチェーン9に受け継がれ、脱穀部12内に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方には排藁カッター装置、拡散コンベアなどからなる排藁処理部19が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出するようにしている。
【0018】
また、前記脱穀部12側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には運転室14が配設される一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にしてグレンタンク13が側方へ回動可能とし、本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
そして、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部12下方には、選別部17が配設され、脱穀部12から流下する穀粒や藁屑等(以下「処理物」とする)から穀粒を選別し、前記グレンタンク13に搬送するようにしている。
【0019】
次に、脱穀部12について図5、図6および図7を用いて説明する。
脱穀部12に形成された扱室28には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴21が設けられ、該扱胴21の外周面には扱歯21a・21a・・・が植設される。一方、フィードチェーン9により、穀桿の株元部は拘束され、かつ穀桿の先端部は扱胴21の下方に挿入されつつ機体後方に搬送される。扱胴21の回転により、扱歯21a・21a・・・が籾(処理物)に接触して脱粒が行われるとともに、受網20は扱胴21が格納される扱室28の下半部を覆うように設けられ、被処理物(籾および細断された藁屑の混合物)のみを下方へ落下するようにしている。
【0020】
そして、前記扱胴21後部で、グレンタンク13側(本実施例では機体右側)の処理室29に、略円柱形状の送塵口処理胴22が設けられる。該送塵口処理胴22は、扱胴21と平行となるように前後方向に横架・軸支される。また、扱胴21を覆って扱室28を形成する扱胴ケース61の後部(右)側面は、送塵口処理胴22を覆って処理室29を形成する処理胴ケース62の前部(左)側面と送塵口23を介して連通している。扱胴21で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口23より処理室29内に搬送される。処理胴網24は送塵口処理胴22が格納される処理室29の下半部を覆うように設けられ、該処理胴網24に設けられた孔(網目)を通過して被処理物(籾および細断された藁屑の混合物)のみ下方に落下するようにしている。
また、送塵口処理胴22の後端部の外周面には前後に長い板体より成る羽体91・91が固設されている。該羽体91・91は、該送塵口処理胴22と一体的に回転し、送塵口処理胴22により処理室29後方まで搬送されてきた藁屑は該羽体91・91・・・の回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴22の下方に排出され、後述するガイド板81によって機体外部に案内される。
【0021】
続いて、脱穀部12の下方に配置される選別部17について図5を用いて説明する。
選別部17においては、揺動選別装置27による揺動選別と唐箕26による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
揺動選別装置27は機枠35内に収納される。揺動選別装置27の前端部は扱胴21の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置27の後端部は送塵口処理胴22後端部の下方まで延出されるように揺動選別装置27の前後長さが定められている。そして、揺動選別装置27前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には図示せぬ揺動駆動機構が設けられ、揺動駆動機構によって揺動選別装置27が機枠35に対して揺動するように構成されている。
【0022】
揺動選別装置27の前部には前流穀板30が設けられるとともに、該前流穀板30の後下方に後流穀板31が設けられる。該前後の流穀板30・31は板状の部材を波形に成形したものであり、受網20を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は前後の流穀板30・31上に落下し、揺動選別装置27の揺動により機体後方に搬送される。そして、前記後流穀板31後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ32が連設されるとともに、該グレンシーブ32と前記後流穀板31の上方、かつ前流穀板30の後方には、第一選別部であるチャフシーブ33が被装されている。
【0023】
また、揺動選別装置27下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア36と二番コンベア37とが横設される。一番コンベア36と二番コンベア37との位置関係は、一番コンベア36が唐箕26に近い側(機枠35の前部)、二番コンベア37が唐箕26から遠い側(機枠35の後部)となる。
一番コンベア36の右端部にはその長手方向(搬送方向)が略上下方向となるように設けられた揚穀コンベア38が連結され、該揚穀コンベア38の上端はグレンタンク13内と連通している。
揺動選別装置27内で選別されて一番コンベア36の流穀板39上に漏下された一番物は、一番コンベア36から揚穀コンベア38を経て、グレンタンク13に搬送される。
また、前記二番コンベア37の右端部にはその長手方向(搬送方向)が前方斜め上方となるように設けられた二番還元コンベア40が連結されており、該二番還元コンベア40の前方側端部には枝梗処理装置10が連設される。
揺動選別装置27内で選別されて二番コンベア37の付近に漏下された二番物は、二番コンベア37から二番還元コンベア40を経て、枝梗処理装置10に搬送される。枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11により枝梗が除去された後の二番物は、揺動選別装置27の選別開始部、すなわち前流穀板30上に再投入される。
【0024】
揺動選別装置27の後端部上方には、吸引ファン25が全幅に横設されており、該吸引ファン25に、唐箕26、セカンドファン46から供給される選別風の流れに乗ってきた塵が吸引されて機外に排出される。
唐箕26は前記前流穀板30後部の下方に配置され、該唐箕26のファンケース26aは上後方が開放されて、上から順に上ガイド板92、中ガイド板93、下ガイド板94とそれぞれ始端(一端)部が羽根体の外周部に配置され、上ガイド板92は中ガイド板93の上方に配置されて、その他端は斜め上方へ延設されて、ファンケース26aと上ガイド板92との間に第一風路96を形成している。中ガイド板93は唐箕26の上方に配置されて、その他端は斜め後方へ延設されて、上ガイド板92と中ガイド板93との間で第二風路97を形成している。下ガイド板94は側面視略三角形状に形成されて唐箕26の後部に配置され、中ガイド板93と下ガイド板94の間に上第三風路98が形成されている。該下ガイド板94とファンケース26a後端に連設した流穀板39の間に下第三風路99が形成されている。
【0025】
前記第一風路96を流れる第一選別風は、風向を上方から後方へ徐々に変えながらチャフシーブ33に向かって流れていく。そして、該チャフシーブ33上面に沿って流れながら、後方の吸引ファン25に向かって次第に上昇して吸い込まれていき、前記各受網20・24から揺動選別装置27へ漏下する処理物の、チャフシーブ33上での風選を可能としている。そして、前記ファンケース26aの上端は枝梗処理装置10の後下方に位置しているため、前流穀板30の揺動により脱穀後の処理物や枝梗処理装置10により処理された穀粒等を均された後に風選を行うようにして、さらにその後部の受網20後部から落下する籾や藁くず等を選別するとともに、後述する搬送体50により搬送されて落下する処理物を風選し、更に、後述する山70を崩すようにして、詰まりが生じないようにしている。つまり、搬送体50前端の排出口は第一風路96の後部上方に位置するように構成されている。
【0026】
第二風路97を流れる第二選別風は、チャフシーブ33とグレンシーブ32との間に導かれていき、その後、チャフシーブ33下面に沿って流れながら、チャフシーブ33内を次第に上昇して吸引ファン25に吸い込まれていき、後流穀板31上に滞留する湿った処理物を後方に送り出すと同時に、チャフシーブ33を漏下してくる処理物の、グレンシーブ32上での風選を可能としている。
上第三風路98を流れる上第三選別風は、後流穀板31の後下面からグレンシーブ32を通過してチャフシーブ33の後部へと流れ、最後は吸引ファン25に吸い込まれ、グレンシーブ32を漏下する処理物の、グレンシーブ32下での風選を可能としている。
下第三風路99を流れる下第三選別風は、流穀板39上を後斜め下方に向かって吹き下ろし、一番コンベア36後部の流穀板95に衝突して風向が後斜め上方に変わった後、グレンシーブ32の後部から吸引ファン25に吸い込まれる。
そして、前記一番コンベア36と二番コンベア37との間にも副圧送ファンであるセカンドファン46が設けられ、該セカンドファン46の吐出口は上後方に開口されて、揺動選別装置27の後部に設けたストローラック44と後部流穀板88との間に後部風路89を形成している。該後部流穀板88は揺動本体49の後部下方に一体的に形成され、揺動され、該後部流穀板98と二番コンベア後部の流穀板との間にも戻り風路84を形成している。
【0027】
こうして、唐箕26による選別風の風力が弱まる選別部17後部においても風選別による選別性能が低下しないようにし、後部風路89はセカンドファン46より斜め上後方に吹き出されて、ストローラック44と後部流穀板88との間を通過し、グレンシーブ32後部およびストローラック44から落下する二番物を風選する。そして、後部流穀板88の後端においては渦流が発生し、戻り風路84に流れ込む。すなわち、この渦流は、二番コンベアへの二番物の流下を促進するのである。
【0028】
次に、枝梗処理装置10について、図8及至図11を用いて説明する。
枝梗処理装置10は枝梗処理胴11を二番還元コンベア40の前側の終端下方に配置し、枝梗処理装置10はグレンタンク13の裏側、つまり、正面視グレンタンク13の右側で揺動選別装置27の左側上に位置している。よって、グレンタンク13を開放することによって枝梗処理装置10をメンテナンスすることができる。
前記枝梗処理胴11の外周面には、処理歯11a・11a・・・が、適宜間隔を開けて配置されている。該枝梗処理胴11は筒体45内に収納され、該筒体45の右側(進行方向)上後部に供給口41を設けて二番還元コンベア40と連通されている。該筒体45の内側面には、ツースバー(固定側処理刃)77・77・・・が突設されている。
また、筒体45の左側下方に排出口42を設けて、揺動選別装置27の開始部に臨ませて配置している。該排出口42の前部または側部には籾ガイド板43を上下方向に配置して落下する籾が飛散しないようにガイドしている。
【0029】
以上の構成において、二番還元コンベア40からの二番物の流れを説明すると、二番物は、供給口41より枝梗処理装置10内へ投入された後、枝梗処理胴11の回転により、該枝梗処理胴11の外周に備える処理歯11a・11a・・・と、枝梗処理装置10の外枠を構成する筒体45の内側面に突設したツースバー77・77・・・とにより、枝梗を除去されつつ排出口42まで搬送され、該排出口42から下方に向けて排出された後、該排出口42の近傍に配置された籾ガイド板43に当たって、揺動選別装置27の選別開始部、即ち、前流穀板30の前方表面上へ落下するように案内される。
本実施例では、該籾ガイド板43の配置は、排出口42の前方とし、該排出口42の開口が、機体正面視中央側にかけて広くなるように構成されている。
【0030】
また、図8に示すごとく、前記枝梗処理胴11は、平面視において、機体進行方向と直交して(左右方向に)配置し、該枝梗処理胴11の回転方向は、機体進行方向左側面視において、時計回りとしている。
この枝梗処理胴11の回転方向により、前記供給口41より投入される二番物が、筒体下方の排出口42から排出される際には、枝梗処理胴11の回転による風の流れによって前方に向けて流され、前流穀板30の前方に排出されるようになる。
こうして、前流穀板30を移動させる距離を十分に確保し、二番物を拡散させ、籾層を薄くすることができ、一番コンベア36への漏下が行われ易くなる。即ち、選別性能の向上が図られるのである。
また、上述した籾ガイド板43に、排出後の二番物を確実に当てることができるので、籾ガイド板43による選別性能の向上をさらに効果的なものにすることができる。
【0031】
次に、枝梗処理装置10への駆動伝達構成について図10及び図11を用いて説明する。
枝梗処理装置10への駆動の伝達において、駆動源であるエンジンからの駆動は、出力軸、ギアケース、一番コンベア36、二番コンベア37等を介して、二番還元コンベア40に伝達され、そして、該二番還元コンベア40の末端から枝梗処理装置10へ伝達される。
二番還元コンベア40のコンベア駆動軸90終端に設けられているベベルギア71より、スプロケット72、チェーン73を介して、駆動軸11bに動力を伝達し、枝梗処理胴11を回転する構成としている。
【0032】
次に、送塵口処理胴22および処理室29内部の詳細構成について説明する。
図6に示すように、送塵口処理胴22の外周面にはスクリュー状の螺旋体22aが形成される。また螺旋体22aには、複数の処理歯22b・22b・・・が突設される。
送塵口処理胴22が回転駆動されると、送塵口23から処理室29内に搬送されてきた枝梗付着粒等の未処理物は、機体後方に搬送されながら籾と枝梗とに分離される。
【0033】
このとき、図6および図7に示す如く、送塵口処理胴22を被覆するケースの一部を形成する扱胴ケース61の後部右側板部の外壁(右側面)には、扱胴ケース側リード弁63・63・・・が設けられる。また、送塵口処理胴22を被覆するケースの大部分を形成する処理胴ケース62の前部右側板の内壁(左側面)には、処理胴ケース側リード弁64・64・・・が設けられる。
一対の扱胴ケース側リード弁63と処理胴ケース側リード弁64とで、リード弁65が形成される。リード弁65は、送塵口処理胴22の回転により未処理物が搬送方向(図6中の矢印A)に送られるように、所定のリード角(リード弁65の作用面に垂直なベクトルBと、前後方向のベクトルA(矢印A)との成す角度)θを持って(すなわち、略螺旋状に)処理室29内壁の上半部に設けられる。
【0034】
このように、処理室29の内壁面にリード角θを有するリード弁65・65・・・を設けたことにより、送塵口処理胴22の回転駆動による処理室29後方(排出方向)への未処理物の搬送が促進され、扱室28から送塵口23を経て処理室29に搬送されてきた未処理物が、処理室29内を速やかに移動する。従って、扱室28後部および処理室29前部(すなわち、送塵口23近傍)での未処理物の滞留、および処理室29から扱室28への未処理物の逆流が防止され、脱穀・選別能力が向上する。
なお、本実施例においては、リード弁65(扱胴ケース側リード弁63および処理胴ケース側リード弁64)は送塵口23の設けられている処理室29前部に配置されているが、これに限定されず、未処理物の発生量等に応じて処理室29中途部や後部に設けても良い。
【0035】
また、リード弁65を扱胴ケース側リード弁63と処理胴ケース側リード弁64の二つの部材から構成し、それぞれ扱胴ケース61および処理胴ケース62に取り付けることにより、処理室29の上半部にわたってリード弁65を設けて該リード弁65の作用面積を大きくすることができ、未処理物の搬送能力が向上する。また、処理室29内の清掃・メンテナンス時の分解・組み立てが容易でメンテナンス性に優れる。
【0036】
また、図6に示す如く、リード弁65を構成する扱胴ケース側リード弁63の前端部63aと、処理胴ケース側リード弁64の後端部64bとは、側面視で前後方向、すなわち未処理物の搬送方向において重なって(オーバーラップして)おり、処理胴ケース側リード弁64の作用面に沿って移動してきた未処理物は、確実に扱胴ケース側リード弁63の作用面に受け渡される。従って、リード弁65が二つの部材に分かれているにもかかわらず、未処理物の搬送能力を高く維持することができる。
なお、本実施例では、前記扱胴ケース側リード弁63は側面視で送塵口23の上端から処理室29の上部位置に四本平行に、送塵口23の前端から扱室28の略後端位置まで設けられている。また、処理胴ケース側リード弁64は送塵口2の上下中途部から処理室29の上部位置に三本平行に、送塵口23の前端から送塵口23の略後端位置まで設けられ、送塵口23から処理室29内へ確実に搬送できるようにしている。
【0037】
さらに、前記リード角θの大きさについては、未処理物の搬送方向における扱胴ケース側リード弁63の後端部63bから処理胴ケース側リード弁64の前端部64aまでの長さL1が、未処理物の搬送方向における送塵口23の開口幅L2の半分以上となる(L1≧(1/2)×L2)ように構成することが好ましい。
このように構成することにより、送塵口23から処理室29内に搬送されてきた未処理物を排出方向(後方)に素早く移動させることができ、扱室28後部および処理室29前部(すなわち、送塵口23近傍)での未処理物の滞留、および処理室29から扱室28への未処理物の逆流が防止され、脱穀・選別能力が向上する。
なお、リード角θを過大とすると、リード弁65の作用面と未処理物との摩擦が過大となり、処理胴22の回転駆動に係る負荷が増大したり、籾の脱ぷや破砕等の原因となる場合がある。従って、コンバインの使用条件等によりリード角θを適宜選択する必要がある。
【0038】
また、図6に示す如く、送塵口23から離れた処理室29中央部から後部にかけて、リード角θを持たない(θ≒0)仕切板66・66・・・が処理胴ケース62内壁に設けられている。このように、処理室29の中央部から後部にかけては、むしろ未処理物が速やかに後方に搬送されるのを阻害して揉み、十分な分離・選別を行うことにより、分離・選別(濾過)を促進し、ロスを低減することができる。
【0039】
また、図5に示す処理胴網24については、板材に打ち抜き孔を多数設けたプレス網とすることにより、クリンプ網やコーンケーブと比較して処理物の流通性(処理物の下方への落下の容易さ)が向上する。また、製造コストを低減化することができる。
【0040】
さらに、図6に示す如く、回転中の送塵口処理胴22の処理歯22b・22b・・・が、処理胴ケース62内壁に設けられた抵抗板67・67間を通過するように構成することにより、処理室29内に搬送されてくる未処理物の量が多いとき(例えば高速走行での収穫作業時など)でも、処理胴網24上に滞留して籾の濾過を阻害する長藁を効率よく細断することが可能であり、分離・選別(濾過)を促進し、ロスを低減することができる。また、このとき、処理歯22b・22b・・・の先端部分を刃物状に加工することにより、長藁の細断を容易にすることもできる。
【0041】
次に、搬送体50について説明する。
図12乃至図14に示す如く、前記処理室29において、送塵口処理胴22の下方に搬送体50が、送塵口処理胴22と平行に平面視で重複するように前後方向に横設されており、該搬送体50によって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して落下する処理物を受け、該処理物を前方、即ち送塵口処理胴22による脱粒物の送り方向と反対方向に搬送して、揺動選別装置27上に排出するように構成されている。
【0042】
該搬送体50は、処理室29の下部に前後方向に正面視で漏斗状の受桶52を横設して上方を開放し、該受樋52内に螺旋状体としてスクリュー53を備えてコンベアを構成しており、前記送塵口処理胴22と同様に、側面視において該搬送体50はその搬送始端部を処理胴網24の後端下方に配置し、その搬送終端部を前記扱胴21の終端部側板59より機体進行方向前側に配置して、扱胴21の後部と前後方向で一部重複して配置されている。また、搬送体50及び送塵口処理胴22より前方には前記枝梗処理装置10が配設され、側面視で扱胴21と重複するように配置されている。
【0043】
また、前記搬送体50と扱胴21とが側面視で重複しない部分において、搬送体50から処理物が落下しないように受桶52の扱胴21側に側壁54が固設される一方、搬送体50と扱胴21とが重複する部分、即ち、搬送終端部においては、受桶52の扱胴21側が開放状態とされて排出部52aが形成されている。そして、該排出部52aに位置するスクリュー53の駆動軸55に、板状の羽根56が固着され、該羽根56の回転により処理物を揺動選別装置27の左右中心側へ排出するようにしている。
【0044】
図13に示す如く、搬送体50前方において、スクリュー53の駆動軸55上にギア47aが固定され、該47aは入力軸58の一端に固定されたギア47bと噛合している。そして、該入力軸58の他端にプーリ48aが固着され、該プーリ48aと、送塵口処理胴22の駆動軸34に固着されたプーリ48bとがベルト57で巻回されている。こうして、前記送塵口処理胴22の駆動軸34にプーリ48a・48b、ベルト57及びギア47a・47bを介して搬送体50の駆動軸55を連動連結させ、送塵口処理胴22の駆動軸34から搬送体50の駆動軸55に動力を伝達するようにして、送塵口処理胴22の回転に応じて搬送体50を回転駆動できるようにしている。
【0045】
また、他の駆動構造の他の実施例を図15、図16より説明する。送塵口処理胴22の駆動軸34の前端部には、筒状の処理胴ボス100が連結され、該処理胴ボス100には処理胴駆動軸101が連結される。換言すれば、処理胴駆動軸101と駆動軸34とは、処理胴ボス100を介して一体的に回転するように連結されている。そして、上記処理胴ボス100は、機体フレーム2に支持されたギアボックス102に回転自在に軸支されている。
【0046】
図16に示すように、ギアボックス102には、上記処理胴ボス100と平行に中間軸103が軸支されており、上記ギアボックス102内では、処理胴ボス100に設けられている第1ギア104と上記中間軸103に設けられている第2ギア105とが噛み合って伝動状態に配置されている。そして、上記中間軸103の一端(後端)はギアボックス102外に突出しており、その突出部には第1スプロケット106が嵌合・固定されている。
【0047】
一方、図16に示すように、前記搬送体50の前方において、スクリュー53の駆動軸55の前端部に断面方形状のスプライン嵌入部55aが所定長さに亘って形成される。このスプライン嵌入部55aが嵌入・分離可能な嵌合孔107aを軸芯部に具備する第2スプロケット107が機台2に対して回転可能に支持され、該第2スプロケット107と前記第1スプロケット106とは、チェーン108によって連動するように構成されている。
したがって、駆動軸55側のスプライン嵌入部55aが、第2スプロケット107側の嵌合孔107aに嵌合状態あれば、搬送体50は送塵口処理胴22の回転に連動して回転することになる。
但し、搬送体50の駆動構成は限定するものではなく、チェーン式等であってもよく、また、送塵口処理胴22からだけでなく、下方の選別装置等から動力を伝達する構成とすることもできる。
【0048】
一方、搬送体50の後部側の支持枠側(後側)の構成は、図17、図18に示すように、上記搬送体50の駆動軸55の後端は、軸受枠110によって支持されている。該軸受枠110は、図18に示すように、正面視略5角形に形成され、その中心部に駆動軸55及びスクリュー53が回転可能に装着される(軸受部110a)。そして、軸受枠110の下方側辺部の折曲げ部111・112には、ボルト孔が穿設され、該ボルト113により漏斗状の受樋52の端縁に搬送体50全体が着脱可能に形成されている。
【0049】
このように構成することによって、図12、図13、図14に示すように、処理物が送塵口処理胴22から処理胴網24を介して洩れ落ちて搬送体50に落下すると、該処理物はスクリュー53の回転によって搬送体50の搬送終端部である排出部52aまで搬送されて、該排出部52aから羽根56の回転により揺動選別装置27の左右中心側へ排出されるのである。したがって、送塵口処理胴22から直接二番コンベア37に落下することがなくなり、二番物は分散されて揺動選別装置27上に還元されるようになり、揺動選別装置27の選別幅を有効に活用して搬送した処理物を再選別し、穀粒ロスを低減するとともに、穀粒の処理の増加を図ることができる。
【0050】
また、上記構成により、搬送体50の交換・清掃等のメンテナンスに当たっては、ボルト113を取り外し、軸受枠110を受樋52の端縁52b、52cから分離させ、駆動軸55側のスプライン嵌入部55aが第2スプロケット106側の嵌合孔107aから分離され、搬送体50全体を受樋52の上部から、引き抜くことができる。
但し、搬送体50の駆動構成は上記実施例に限定するものではなく、プーリ式等であってもよく、また、送塵口処理胴22からでなく、下方の選別装置等から動力を伝達する構成とすることもできる。
【0051】
ここで、前記搬送体50の駆動軸55は、図14に示す如く、正面視で搬送体50が扱胴21の左側に設置されている場合、反時計回りに回転駆動するように構成されている。このようにしてスクリュー53と羽根56の回転方向を反時計回り方向とすることで、該スクリュー53により搬送された処理物は、羽根56によって揺動選別装置27上にアンダースローで排出されることになり、該処理物を受桶52の排出部52aから揺動選別装置27のチャフシーブ33等にたたきつけることなく排出することができる。なお、本実施例においては、処理物は排出部52aから揺動選別装置27上にアンダースローで排出されるが、スクリュー53と羽根56を時計回りに回転駆動させて、処理物をオーバースローで排出するように構成することもできる。
このように構成することによって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して洩れ落ちて、処理物が搬送体50に落下すると、該処理物はスクリュー53の回転によって搬送体50の搬送終端部である排出部52aまで搬送されて、該排出部52aから羽根56の回転により揺動選別装置27の左右中心側へ排出されるのである。したがって、送塵口処理胴22から直接二番コンベア37に落下することがなくなり、二番物は分散されて揺動選別装置27上に還元されるようになり、揺動選別装置27の選別幅を有効に活用して搬送した処理物を再選別し、穀粒ロスを低減するとともに、穀粒の処理の増加を図ることができる。
【0052】
また、排出部52aにおいて、図12、図27に示すように、搬送体50の側方に案内板115と拡散板116を設けている。即ち、搬送体50前部と扱胴21後部とが側面視で重複する機体中央側の部分は、受網20が設けられておらず、この部分に正面視で受網20と略重複するように、案内板115が設けられ、その下方に拡散板116が設けられている。該案内板115は送塵口23と側面視で略重複する幅で、図27に示すように、送塵口処理胴22の下部から、即ち、処理胴網24の機体中央方向端部から斜め横下方の受網20の接線方向に向かって延設されている。そして、該案内板115の左右略中央下方より斜め機体中央側下方に拡散板116が延設されている。つまり、送塵口23と搬送体50の羽根56が位置する搬送体50の前部排出側において、後面視で搬送体50の機体左右中央側上方に案内板115が配設されており、該案内板115の上端は処理胴網24の機体中央側に固定されて斜め機体左右中央側へ斜め下方に向かって配置され、下端を受網20の後部に固定され、更に、案内板115の上下左右中途部より下方に向かって拡散板116が機体中央側に傾斜して配設されている。
このように構成することで、受網20終端から脱穀処理できなかった枝梗付着粒等が案内板115にガイドされて送塵口23から送塵口処理胴22へ投入される。そして、送塵口処理胴22で処理された後の処理物が、その下方の搬送体50により前方へ搬送されて前部において羽根56により掬いあげられながら機体左右中央側斜め上方へアンダースローで放出される。このとき、案内板115に当たった処理物は機体中央側下方へ跳ね返るように案内される。更に、投げ出された処理物が案内板115裏側に配置される拡散板116に当たることで揺動選別装置27上に拡散して放出され、処理物が固まることなく分散されて揺動選別されて選別効率を向上している。
【0053】
次に、搬送体の第二実施例について説明する。
図19及び図20に示す如く、前記処理室29において、送塵口処理胴22の下方に搬送体60が、送塵口処理胴22と平面視で重複するように平行に前後方向に横設されている。該搬送体60は処理室29の下部に前後方向に正面視で漏斗状の受桶82を横設して上方を開放し、該受樋82内にスクリュー83を備えてコンベアを構成しており、該搬送体60はその搬送終端部(機体進行方向前側)が扱胴21の略中央部まで延設されて、搬送体60及び送塵口処理胴22の前方に配設された前記枝梗処理装置10に連結されている。
【0054】
そして、搬送体60によって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して落下する処理物を受け、該処理物を送塵口処理胴22による脱粒物の送り方向と反対方向である搬送終端部までスクリュー83の回転によって搬送して、枝梗処理装置10に投入し、該枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11により枝梗を除去した後、揺動選別装置27の選別開始部に再投入する構成としている。
【0055】
また、図20に示す如く、前記搬送体60の搬送始端部(機体進行方向後側)には、二番還元コンベア80の後方上端部が連結されており、二番還元コンベア80から搬送される二番物を、搬送体60へ受け継ぎ、該搬送体60内をスクリュー83の回転によってその搬送終端部まで搬送して前記枝梗処理装置10に投入し、枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11により枝梗を除去した後、揺動選別装置27の選別開始部に再投入する構成としている。
【0056】
ここで、上述の如く前記搬送体60の搬送始端部に二番還元コンベア80を連結する構成とした場合、二番還元コンベア80は後方に傾斜して搬送体60の搬送始端部に連結されるため、従来の如く二番還元コンベアを前方に傾斜して枝梗処理装置に連結する場合に比べて、二番還元コンベア80の全長を短縮することができ、軽量化とコストの低減化を図ることができる。また、二番還元コンベア80は揚穀コンベア38とラップしないので、脱穀部12の横幅を短縮することができ、グレンタンク13の容量を増加したり、グレンタンク13の脱穀部12側の側板を簡素化したりすることができる。
【0057】
なお、本実施例においては、搬送体60は枝梗処理装置10内の枝梗処理胴11と同軸上に配置されているが、図21に示す如く、搬送体60を前上がりに傾斜して、該搬送体60の搬送終端部の下方に枝梗処理装置10を配置し、搬送される処理物を枝梗処理胴11の上方から投入するように構成することもできる。
【0058】
このような構成において、枝梗の多い二番物と送塵口処理胴22の処理物を、二番還元コンベア80と搬送体60とからなる一経路で枝梗処理装置10に投入して枝梗を除去することができるため、効率よく枝梗処理を行うことができ、第一実施例と比較して、部品点数を低減することができる。また、送塵口処理胴22よる処理物には、稈切れも多いが、これを枝梗処理装置10で粉砕することができるため、選別能力の向上を図ることができる。
【0059】
次に、搬送体の第三実施例について説明する。
図22、図23に示す如く、前記処理室29において、送塵口処理胴22の下方に搬送体85が、送塵口処理胴22と平行に平面視で重複するように前後方向に横設されている。該搬送体85は処理室29の下部に前後方向に正面視で漏斗状の受桶86を横設して上方を開放し、該受樋86内にスクリュー87を収納してコンベアを構成しており、該搬送体60はその搬送終端部(機体進行方向前側)が扱胴21の後端部まで延設されて、前記枝梗処理装置68に連結されている。
【0060】
そして、搬送体85によって、送塵口処理胴22から処理胴網24を介して落下する処理物を受け、該処理物を送塵口処理胴22による脱粒物の送り方向と反対方向である搬送終端部までスクリュー87の回転によって搬送して、枝梗処理装置68に投入する。該枝梗処理装置68内では前記同様に枝梗処理胴69により枝梗を除去した後、揺動選別装置27に投入する構成としている。
【0061】
また、図22に示す如く、前記搬送体85の搬送始端部(機体進行方向後側)には、二番還元コンベア80の後方上端部が連結されており、二番還元コンベア80から搬送される二番物を、搬送体85へ受け継ぎ、該搬送体85内をスクリュー87の回転によってその搬送終端部まで搬送して枝梗処理装置68に投入し、枝梗処理装置68内の枝梗処理胴69により枝梗を除去した後、揺動選別装置27に投入する構成としている。
【0062】
ここで、上述の如く前記搬送体60の搬送始端部に二番還元コンベア80を連結する構成とした場合、二番還元コンベア80は後方に傾斜して搬送体50の搬送始端部に連結されるため、従来の如く二番還元コンベアを前方に傾斜して枝梗処理装置に連結する場合に比べて、二番還元コンベア80の全長を短縮することができ、軽量化とコストの低減化を図ることができる。また、二番還元コンベア80は揚穀コンベア38とラップしないので、脱穀部12の横幅を短縮することができ、グレンタンク13の容量を増加したり、グレンタンク13の脱穀部12側の側板を簡素化したりすることができる。
【0063】
また、図22に示す如く、前記枝梗処理装置68は、扱胴21の終端部側板59の真後ろ下方に配置されており、枝梗処理胴69を送塵口処理胴22前部下方から扱胴21後部下方まで延出して左右方向に横設されている。該枝梗処理胴69は筒体75内に収納されており、該筒体75の進行方向右側後部に開口を設けて搬送体85と連通するとともに、進行方向左側上部に扱胴21の横幅と略同じ横幅を有する開口部75aを設けて上方を開放し、該開口部75aより扱胴21の終端部側板59よりオーバーフローした稈切れなど受けて、枝梗処理胴69で粉砕し拡散して、揺動選別装置27上に排出するようにしている。
【0064】
このような構成において、枝梗処理胴69は、機体進行方向左側面視において、時計回りに回転駆動されるため、前記搬送体85及び開口部75aより投入される処理物や稈切れ等は、筒体75の前部下に開口された排出部75bから排出される際には、枝梗処理胴69の回転による風の流れによって前方に向けて流され、揺動選別装置27の前方に排出される。
そのため、揺動選別装置27を移動させる距離を十分に確保し、処理物を拡散させて片寄りを防止することができ、選別性能の向上を図ることができる。
【0065】
次に、搬送体の第四実施例について説明する。
図24に示すように、本実施例では、前記送塵口処理胴24と、その下方に配置された第2の処理胴78との2段式処理胴としたものである。
共にスクリュー式に構成された送塵口処理胴37と、第二の処理胴78は回転数が異なっており、送塵口処理胴24の下方には、サン方式の網目の粗い処理胴網24が張架され、第2の処理胴78の下方には、網目の細かい第2の処理網79が張架されている。
【0066】
送塵口処理胴24は、受口が扱胴21の送塵口23に連通して扱胴21の脱粒物を機体の後方に送りながら再処理し、処理胴網24を通過した濾過物を第2の処理胴78上に排出する。第2の処理胴78は送塵口処理胴22からの濾過物を機体の前方に送りながら再処理し、その処理物を第2の処理網79を通して揺動選別装置27の揺動選別揺動本体49上に還元する。この送塵口処理胴22と第2の処理胴78の2段処理で、枝梗付着粒が減少し、また扱胴の脱粒物の再処理距離が確保されて整粒の増加を図ることが可能となる。
【0067】
また、本実施例では送塵搬送コンベア50の回転軸の前端部に外嵌された歯車と、送塵口処理胴22の回転軸の前端部に外嵌された歯車とが互いに噛合しており、送塵搬送コンベア50の回転数と送塵口処理胴22の回転数との比が略一定となるように構成されている。従って、送塵口処理胴22で分離され、送塵搬送コンベア50に捕捉される被処理物の量と、送塵搬送コンベア50により前方に搬送される被処理物の量とを所定の比率で維持することができる。なお、送塵搬送コンベア50および送塵口処理胴22の回転軸の後端部側で歯車、ベルトとプーリ、あるいはチェーンとスプロケット等、送塵搬送コンベア50と送塵口処理胴22の回転数比を略一定に維持しつつ駆動力を分配するように構成しても良い。
処理胴網24に設けられた孔(網口)を通過して下方に落下してきた被処理物は、該送塵搬送コンベア50により機体前方(すなわち、送塵口処理胴22の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送される。そして、該被処理物は送塵搬送コンベア50前端に設けられた排塵口50aより選別部17に再投入される。より具体的には、被処理物はチャフシーブ33上において流穀板39の上方(すなわち、一番コンベア36の上方)となる位置に落下する。
なお、本実施例では送塵搬送コンベア50はスクリュー式のコンベアであるが、これに限定されず、ベルト式のコンベアでもよい。また、送塵搬送コンベア50により被処理物が再投入される位置は、前流穀板30上でもよい。
【0068】
以下では、図5、図25および図26を用いてセンサ51について説明する。
センサ51は、選別部17前上部に設けられた前流穀板30およびチャフシーブ33に堆積した排藁の量を検知し、チャフシーブ33の開度を調整するためのものであり、主に接触体51aおよびセンサ部51bで構成されている。
接触体51aは細長い板状の部材であり、その一端はセンサ部51bの回転軸に取り付けられている。センサ部51bはレゾルバ、回転式ポテンショメータ、ロータリーエンコーダなどの回転角度センサであり、機体に対する接触体51aの姿勢を角度の形で検出することが可能である。
【0069】
図26に示す如く、チャフシーブ33上に堆積している被処理物(籾および細断された藁屑の混合物)の上下方向の厚みT[mm]は、チャフシーブ33上面からセンサ部51bまでの高さH[mm]と、接触体51aの長さR[mm]と、センサ部51bにより検出される接触体51aの回転角度φ[rad]により、φ=0のときは0<T<H−R、φ>0のときはT=H−R×cosθと表すことができる。なお、接触体51aの回転角度φは接触体51aが真下を向いているとき(被処理物と接触していないとき)をゼロとし、接触体51aが後方に搬送されていく被処理物に接触して後方に回動したときに正の値をとるものと定義する。
一方、選別部17において藁屑と籾とを精度良く分離可能な範囲内において、チャフシーブ33からグレンシーブ32への落下量を極力多くし、選別処理能力が極大となるチャフシーブ33の開度と被処理物(籾および細断された藁屑の混合物)の上下方向の厚みT[mm]との関係を、実験等により予め求めておく。
そして、センサ51からの回転角度φに関する情報(すなわち、チャフシーブ33および前流穀板30上への被処理物の堆積量に関する情報)に基づいて、チャフシーブ33の開度を調節する。
【0070】
例えば、被処理物がセンサ51の直下でのみ山状に堆積しており、チャフシーブ33および前流穀板30上の他の場所には堆積していないような場合には、センサ51により検出される回転角度φから求められる厚みT[mm]は、実際のチャフシーブ33および前流穀板30上の被処理物の堆積量を正しく反映しているとはいえない(この場合、実際の堆積量よりも堆積量を多く見積もることとなってしまう)。従って、被処理物がチャフシーブ33および前流穀板30上において均等に均されていることが、厚みT[mm]を精度良く求めるという観点から見ても、選別を効率よく行うという観点から見ても重要である。
【0071】
実際には、選別部17の揺動により、被処理物はチャフシーブ33および前流穀板30上において均等に均されているが、送塵搬送コンベア50前端の排塵口50aの直下だけは、特に収穫時の走行速度が大きい(収穫物が単位時間当たりに脱穀部12および選別部17に投入される量が多い)ときには、排塵口50aより落下してきた被処理物が山状に堆積する場合がある。
従って、センサ51の取付位置は、送塵搬送コンベア50により選別部17に再投入される被処理物により生じる局部的な「山」から少し離れた位置であって、該送塵搬送コンベア50により選別部17に再投入される被処理物と受網20を通過して落下してきた被処理物とが、揺動により混合して均等に均された位置に配置されることが好ましい。
【0072】
図5および図25に示す如く、本実施例では、選別部17の左右中央(図25に示す左右中央線C−C)よりも扱胴21の回転軸は左側方に寄っており、送塵口処理胴22の回転軸は右側方に寄っている。従って、送塵口処理胴22で発生する被処理物を搬送する送塵搬送コンベア50もまたその回転軸が選別部17の左右中央よりも右側方に寄っており、排塵口50aから選別部17上に落下する被処理物は、選別部17の左右中央よりも右寄りの位置に山70を形成する。
そして、センサ51は、送塵搬送コンベア50の排塵口50aよりも機体後方(すなわち、選別部17における被処理物の搬送方向の下流側)、かつ選別部17の左右中央よりも扱胴21寄りに配置されている。従って、選別部17上に堆積した被処理物の量の検出値が山70の影響を受けて実際の堆積量から大きくずれた値となることがなく、かつ、送塵搬送コンベア50により選別部17に再投入される被処理物と、受網20を通過して落下してきた被処理物とが、揺動により混合して均等に均された位置で被処理物の量が検出されることから、精度良く被処理物の堆積量を検知することが可能である。
なお、センサ51の位置は、(1)送塵搬送コンベア50の排塵口50aよりも機体後方(すなわち、選別部17における被処理物の搬送方向の下流側)、または、(2)扱胴21後部下方であって、選別部17の左右中央よりも扱胴21寄り、のいずれか一方を満たすように配置しても同様の効果を奏する。
また、本実施例では、センサ51のセンサ部51bはレゾルバ、回転式ポテンショメータ、ロータリーエンコーダなどの回転角度センサとしたが、これに限定されず、センサ部51bを接触式のスイッチとして、接触体51aが所定の角度以上回動したときに該スイッチのオン・オフが行われる構成としても良い。また、静電容量センサ等を用いてもよい。
【0073】
そして、前記搬送体50の後方にガイド板81を配設している。該ガイド板81は、図12乃至図14に示すように、処理胴22の下方で揺動選別装置27の上方に配置している。ガイド板81の前端位置は処理胴網24の後端より前方に、ガイド板81の後端位置は揺動選別装置27の後端より後方に配置しており、前部を高く後部を低く斜めに形成している。該ガイド板81は、処理胴22の左右方向の幅と略同等として前記吸引ファン25と処理胴カバー76との間に配置しており、ボルト等の固定手段により固定されている。
【0074】
該ガイド板81は、前記送塵口処理胴22内部の藁屑等を機体外部に案内するもので、前記処理胴22内部の藁屑を前記羽体91・91の回転によって跳ね飛ばし、処理胴22の下方に排出し、前記ガイド板81によって機体外部に案内している。このように、ガイド板81を設けることで、藁屑が前記搬送体50や揺動選別装置27に混入せずに機体外部に排出することができる。なお、このガイド板81の設置は、任意事項で、設置しなくてもコンバインとして機能する場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0075】
脱穀装置の扱胴の後部に処理胴を配置し、処理胴の下方に処理後の穀粒や塵等を搬送体により前方へ配置し、その前方に枝梗処理装置を配置することによって、麦や米等の穀粒を脱穀して選別する性能を向上する用途に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部と、脱穀後の穀粒を選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴を配置し、該脱穀部の後側部に脱粒物を再処理する送塵口処理胴を配置したコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、該搬送体の前方に枝梗処理装置を備えたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記搬送体の送り方向終端部は、前記選別部上であって前記扱胴の終端部よりも機体進行方向前側に位置するとともに、前記搬送体の回転方向は、該処理物を下方から上方に向けて選別部上に排出する向きであることを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記搬送体の前部の排出部に羽根を設け、該羽根の回転により揺動選別装置の左右中心側へ排出するようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記搬送体の搬送終端部に枝梗処理装置を連結したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項5】
前記脱穀部の後部下方から送塵口処理胴前部の送塵口へ案内する案内板を備え、該案内板の下方に前記搬送体の前部から排出される処理物を拡散する拡散板を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項6】
脱穀部と、脱穀後の穀粒を選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴を配置し、該脱穀部の後側部に脱粒物を再処理する送塵口処理胴を配置したコンバインであって、該送塵口処理胴の下方に配置して、送塵口処理胴から排出された処理物を受けて前方に搬送する搬送体を備え、搬送体の前部を扱胴後部であって揺動選別装置の前後中途部上に配置し、該搬送体の前方に二番還元コンベアの前端部に設けた枝梗処理装置を配置して、処理物を揺動選別装置前部上に落下させるようにしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項7】
脱穀部と、脱穀後の穀粒を選別する選別部とを有し、該脱穀部に扱胴を配置し、該脱穀部の後側部に脱粒物を再処理する送塵口処理胴を配置したコンバインであって、該送塵口処理胴の下方にあって該送塵口処理胴から排出された処理物を受け、該処理物を該送塵口処理胴による脱粒物の送り方向とは反対方向に搬送して選別部の揺動選別装置上に排出する搬送体を備え、処理胴駆動軸と処理胴を連結する処理胴ボスに第1ギアを設け、この第1ギアと噛み合う第2ギアと同軸に搬送体を駆動する第1スプロケットを配置し、該第1スプロケットと連動する第2スプロケットにより搬送体を駆動することを特徴とするコンバイン。
【請求項8】
前記送塵口処理胴の下部に設けた上記搬送体を機体後方に向けて脱着可能に装着することを特徴とする請求項7記載のコンバイン。
【請求項9】
上記搬送体前側の駆動軸の軸端が、上記第2スプロケットに対してスプライン結合により支持されており、搬送体後方の脱着のみで機体後方に着脱可能とすることを特徴とする請求項7記載のコンバイン。
【請求項10】
上記着脱が、上記搬送体の軸受枠と共に行われることを特徴とする請求項9記載のコンバイン。
【請求項11】
機体の前後方向に軸架された扱胴と、該扱胴の後側部に配置した送塵口処理胴と、該送塵口処理胴の下方に配置して前方へ搬送する送塵搬送コンベアとを備えるコンバインにおいて、
選別部上部に堆積した被処理物の量を検出するセンサを、前記送塵搬送コンベアの排塵口よりも後方に配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項12】
機体の前後方向に軸架された扱胴と、該扱胴の後側部に配置した送塵口処理胴と、該送塵口処理胴の下方に配置して前方へ搬送する送塵搬送コンベアとを備えるコンバインにおいて、
選別部上部に堆積した被処理物の量を検出するセンサを、扱胴後部下方であって、選別部の左右中央よりも扱胴寄りに配置したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【国際公開番号】WO2005/020665
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513405(P2005−513405)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009936
【国際出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】