説明

コンビネーション

ガンに対するヒトの体の治療方法を提供する。1つの態様として、治療量のカペシタビンを、0.75〜1.4mg/mの用量範囲のET−743との併用で投与する。関連する態様として、治療に有効な量のET−743を、1500〜2500mg/m/日の用量範囲のカペシタビンとの併用で投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の組合せに関し、さらに詳細には、ガン(cancer)に対する治療に使用する薬剤の組合せに関する。
【0002】
本発明は、癌の治療のために、エクテナサイジン743を他の活性薬剤との併用で使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
ガンは、一群の悪性の新生物からなり、臨床で観察される症例の大部分を占める癌腫と、白血病、リンパ腫、中枢神経系腫瘍、および肉腫を含む他のより頻度の少ないガンとの2種類に分けることができる。癌腫は上皮組織が起源であるのに対し、肉腫は中胚葉組織に由来する結合組織とそれらの構造体とから発現する。肉腫は、たとえば、筋肉または骨組織によく発症し、骨、膀胱、腎臓、肝臓、肺、耳下腺、脾臓などで発現する。
【0004】
ガンは侵襲性であり、新たな部位に転移する傾向がある。ガンは、周囲の組織に直接的に伝播し、またリンパ系および循環系を経て播種する可能性もある。
【0005】
ガンに対しては、外科手術、局所疾患に対する放射線、および薬物を含む多くの治療法を採ることができる。しかし、多くのタイプのガンにおいて採用可能な治療法の有効性は限られていて、臨床的な利点を持つ、新たな、改良された治療方式が求められている。
【0006】
このことは、進行したおよび/または転移性の疾患を有する患者に特に当てはまる。また、抵抗性の獲得または付随する毒性による投薬治療の制限のため同じ治療法による処置ではほとんど効果がない確立された治療法を以前に受けた後に、進行性の疾患が再発している患者にも当てはまる。
【0007】
化学療法は、遠隔転移を伴う進行ガンの治療に必要であり、外科手術前に腫瘍を縮小させるのに有用であることが多いため、ガンの治療において重要な役割を果たす。
多くの抗ガン剤が様々な作用機序に基づいて開発されてきた。
【0008】
最も一般的に用いられる抗ガン剤のタイプとして、DNAアルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、葉酸拮抗薬、5−フルオロウラシル、ピリミジン拮抗薬)、微小管破壊剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル)、DNA干渉物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、シスプラチン)、ホルモン療法剤(例えば、タモキシフェン、フルタミド)が挙げられる。理想的な抗新生物薬は、非悪性細胞に対する毒性の割に広範な治療指数をもってガン細胞を選択的に死滅させるであろう。また、その薬に長期間曝露した後でも、悪性細胞に対する有効性も保持するであろう。
【0009】
残念ながら、現在のところ理想的なプロファイルを持つ化学療法は1つもない。大部分の化学療法は治療指数が非常に狭く、実質的にいずれの場合においても、わずかに致死量に満たない濃度の化学療法剤に曝されたガン細胞は、そのような薬剤に対して耐性ができ、さらに他のいくつかの抗新生物薬に対して交差耐性ができることが極めて多い。
【0010】
エクテナサイジン類(以下、ETsと略記する。)は、海生被嚢動物Ecteinascidia turbinataから単離された非常に効力のある抗腫瘍剤である。いくつかのエクテナサイジン類については、既に特許および科学論文で報告されている。例えば、熱帯性海生無脊椎動物Ecteinascidia turbinataから抽出された新規化合物について記載した米国特許第5,089,273号を参照されたい。この特許の中で、これらの化合物はエクテナサイジン類729、743、745、759A、759B、および770として名称付けられている。これらの化合物は、哺乳類において抗菌性および/または抗腫瘍性の薬剤として有用である。米国特許第5,478,932号には、カリブ海の被嚢動物Ecteinascidia turbinataから抽出され、リンパ腫P388、黒色腫B16、卵巣肉腫M5076、ルイス肺癌、ならびに、LX−1ヒト肺癌腫およびMX−1ヒト乳房癌腫の異種移植片に対してin vivoでの防御効果があるエクテナサイジン類が記載されている。
【0011】
エクテナサイジン類の1種であるエクテナサイジン743(ET−743)は、in vitroおよびin vivoでマウスおよびヒトの腫瘍においてかなりの抗腫瘍活性がある新規なテトラヒドロイソキノリンアルカロイドであり、現在臨床試験中である。ET−743は、胸腺欠損マウスで培養された種々のヒト腫瘍の異種移植片(黒色腫、卵巣癌、乳癌を含む。)に対して強力な抗新生物活性がある。
【0012】
ガン患者でのET−743の臨床開発計画は、1時間、3時間、24時間、および72時間の静脈内注入スケジュールと、毎日1時間を5日間の注入スケジュール(dx5)とを研究する第1相試験から着手された。肉腫、乳癌、および卵巣癌を有する患者に期待できる反応があった。その結果、この新規な薬剤は現在、種々の腫瘍性疾患を患うガン患者でのいくつかの第2相臨床試験により活発に開発されている。ガンに対する人体への処置のためのET−743の使用についてのさらなる詳細は、その全体が本明細書に組み込まれている国際公開第00/69441号に記載されている。
【0013】
ET−743についての最近の総説、すなわち、その化学、作用機序、ならびに前臨床および臨床開発については、「Yondelis(trabectedin,ET−743):海洋に起源をもつ抗癌剤の開発」van Kasteren,Ch.ら、2003,Anti−Cancer Drugs,14(7),487−502頁およびその参考文献を参照されたい。
【0014】
作用機序の異なる複数の薬剤を使用する併用療法は、治療された腫瘍により耐性が生じるのを避けるのに役立つ、一般に認められた治療方法の1つである。他の抗ガン剤との併用でのET−743のin vitroでの活性については既に研究されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている国際公開第02/36135号を参照されたい。
【特許文献1】国際公開第00/69441号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/36135号パンフレット
【非特許文献1】van Kasteren,Ch.ら、2003,Anti−Cancer Drugs,14(7),487−502頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ガンの治療のための有効な併用物を提供することである。さらに詳細には、本発明の目的は、有効なガンの併用療法である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に従い本発明者等は、エクテナサイジン743と5−フルオロウラシルとを採用するガンの治療のための併用療法を提供する。本発明の併用療法のための代表的な投与プロトコールを開示する。この代表的プロトコールでは、5−フルオロウラシルを、プロドラッグの形態、特にカペシタビン(Xeloda(登録商標))がその良い例である、経口のプロドラッグの形態で与える。第1相臨床試験から、ET−743とカペシタビンとの併用は耐容性があり、実現可能であり、かつ抗腫瘍活性があると判断した。
【0017】
本発明者等は、ET−743と5−フルオロウラシルのプロドラッグ(特にカペシタビン)とを投与することを含むガン患者の治療方法も提供する。ET−743および5−フルオロウラシルのプロドラッグは、ET−743を注入した後続いて5−フルオロウラシルのプロドラッグを多数回経口で投与することにより逐次的に投与することが好ましい。
【0018】
本発明者等はさらに、本発明の治療法を実施するための薬剤の調製における、ET−743の使用法を提供する。本発明者らは、本発明の治療法を実施するための薬剤の調製における、5−フルオロウラシルのプロドラッグ(特にカペシタビン)の使用法も提供する。本発明者らは、本発明の治療法を実行するための薬剤の調製における、ET−473および5−フルオロウラシルのプロドラッグ(特にカペシタビン)の使用法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ET−743は、下記式で表される天然の化合物である。
【0020】
【化1】

【0021】
本明細書で使用したように、用語「ET−743」は、薬学的に許容できる塩、エステル、溶媒和物、水和物、または、受容者への投与の都度化合物ET−743を(直接的または間接的に)供給することができるプロドラッグ化合物のいずれも含む。塩および他の誘導体類ならびにプロドラッグの調製は、当該技術分野で既知の方法により行うことができる。
【0022】
通常、ET−743は、ET−743と賦形剤とが治療上の使用のために適切な処方、特に、マンニトールおよび適切なpHに緩衝されたリン酸塩を含む処方で無菌凍結乾燥された製品として提供され、貯蔵される。
【0023】
現在のところ、ET−743は注入により投与することが好ましい。注入するステップは、通常、周期的な方式(サイクル)で反復される。例えば1サイクルから35サイクルにわたる適切なサイクルで反復することができる。このサイクルには、ET−743を注入する期間が含まれ、通常ET−743を注入しない期間も含まれる。概して、このサイクルは、数週間で行われ、したがって、標準的には1週間またはそれ以上のET−743注入期間と、サイクルを完了させるための1週間またはそれ以上の期間とを含む。1つの実施態様では、1サイクルを3週間とすることが好ましい。あるいは、2から6週間とすることもできる。注入期間は、それ自体を各サイクル中の単回の投与時間、例えば、1〜72時間、さらに通例は約1時間、3時間または24時間とすることができ、あるいは、好ましくは1〜5時間、特に好ましくは1〜3時間の注入時間で毎日注入する期間とすることもできる。こうして、ET−743は、例えば、3週間の各サイクルのそれぞれ最初の5日間投与することができる。本発明者らは現在のところ、各サイクルの始めに単回の投与をすることを選択している。注入時間は約1時間、3時間または24時間とすることが好ましい。1つの実施態様では、約3時間の注入時間が好適である。
【0024】
投与量は、既存の用量制限毒性データを考慮した投与スケジュールに従って選択する。用量制限毒性データについては、例えば、本明細書に取り込まれた国際公開パンフレット、および、van Kasteren,Ch.ら、2003,Anti−Cancer Drugs,14(7),487−502頁の「Yondelis(trabectedin,ET−743):海洋に起源をもつ抗癌剤の開発」を参照されたい。この文献は、その全文が参照により本明細書に取り込まれている。
【0025】
各サイクルの始めの単回のET−743投与は、0.2〜2mg/mの範囲が好ましく、より好ましくは0.4〜1.5mg/m、最も好ましくは0.5〜1.2mg/mの範囲である。さらに通例は、1週間またはそれ以上の間隔で単回投与することを含む他のサイクルでは、ET−743の投与量は通常、0.7〜1.2mg/mの範囲である。毎日のスケジュールにより繰返し投与する場合には通常より低い量が適切である。
【0026】
最も好適には、ET−743を3週間のサイクルの第1日目に、約0.75mg/m〜1.4mg/m、好ましくは約0.9mg/m〜1.2mg/m、最も好ましくは約0.75mg/mまたは約0.9mg/mの用量で注入投与する。
【0027】
本発明に組み込まれたvan Kasterenの文献で指摘されているように、ET−743とデキサメタゾンとの併用には予想外の利点がある。この併用には、肝臓障害予防の役割がある。従って、通常は、ET−743を注入する時刻の前後に患者にデキサメタゾンを投与することが好ましい。例えば、デキサメタゾンを、ET−743投与の前日および/またはET−743の投与の次の日に投与することが好ましい。デキサメタゾンの投与は、ET−743の投与後1日を越える期間にわたって行うことができる。特に、本発明者らは、サイクルの第1日目にET−743を単回投与する一方でデキサメタゾンを第1、2、3、および4日目に投与することを選択している。
【0028】
ET−743は、5−フルオロウラシルのプロドラッグ(特にカペシタビン)とともに併用療法の一部として投与する。
【0029】
カペシタビンは、下記式で表される化合物である。
【0030】
【化2】

【0031】
カペシタビンは、特定のガンの治療に適応される。カペシタビンについての情報は、ウエブサイト(www.xeloda.com)、および多数の科学文献で入手可能である。カペシタビンは、胃腸管から容易に吸収されるプロドラッグである。肝臓中で、60kDaのカルボキシルエステラーゼがこの化合物の大部分を5’−デオキシ−5−フルオロシチジン(5’−DFCR)に加水分解する。腫瘍を含め、大部分の組織にみられる酵素であるシチジンデアミナーゼは、その後5’−DFCRを5’−デオキシ−5−フルオロウリジン(5’−DFUR)に変換する。酵素チミジンホスホリラーゼ(dThdPase)がその次に5’−DFURを活性薬剤である5−フルオロウラシル(5−FU)に加水分解する。体中の多くの組織が、チミジンホスホリラーゼを発現している。いくつかのヒト肉腫は、周囲の正常組織より高い濃度でこの酵素を発現する。
【0032】
カペシタビンは、患者の治療サイクルの一部として経口投与される。本発明では、サイクルの一部として毎日反復投与することが好ましい。カペシタビンは、サイクルの日程の大部分の間、例えば、サイクルの約2/3、3/4、またはその他の割合の間、投与することが好ましい。3週間のサイクルの場合、本発明者らは、14日間、特に第2日目から第15日目までの間に投与することを選択する。本明細書を考慮して、その他の投与プロトコールをデザインすることができる。概して、カペシタビンは、ET−743を投与する日には投与せず、ET−743投与後の別の日にカペシタビンの投与を開始することが好ましい。
【0033】
1つの実施態様では、カペシタビンの投与量は、500から3000mg/m/日までの範囲が好ましく、より好ましくは、1500から2500mg/m/日までの範囲であり、さらに最も好ましくは、約1500mg/m/日、約1600mg/m/日、または約2000mg/m/日の用量である。この投与量は、例えば1日2回の処方計画のように、分割で投与することができる。
【0034】
最も好ましくは、カペシタビンを、各サイクルの第2日目から第15日目までの間、約1500mg/m/日、約1600mg/m/日、または約2000mg/m/日の用量で経口投与する。
【0035】
カペシタビンの代わりに、5−フルオロウラシルのその他のプロドラッグを採用することができる。そのようなプロドラッグには、5’−デオキシ−5−フルオロウリジンに代謝され、さらにそこから5−フルオロウラシルに代謝されるその他の化合物が含まれる。例えば、Fujiu等の米国特許第4,996,891号、及びArasaki等の米国特許第5,472,949号を参照されたい。これらの特許は、その全体が引用により本明細書に組み込まれている。特に、本発明のためには、プロドラッグが、米国特許第4,996,891号の特許請求の範囲1の化合物、または、米国特許第5,472,949号の特許請求の範囲1の化合物であることが好ましい。
【0036】
腫瘍のタイプおよびその疾患の進行段階により、本発明の治療法は腫瘍の成長のリスクを避け、腫瘍の退縮を促進し、腫瘍の増殖を停止させおよび/または転移を回避するのに有用である。特に、本発明の方法は、ヒト患者、とりわけ再発性のまたは以前の化学療法に対して難治性のヒト患者に好適である。第一選択の治療も想定されている。
【0037】
本発明の併用療法は、上述したスケジュールおよび投与量に従って、肉腫、骨肉腫、卵巣癌、乳癌、黒色腫、膣癌、胃癌、腺癌、直腸結腸癌、中皮腫、腎癌、子宮体癌、および肺癌の治療のために利用することが好ましい。乳癌患者に最も好適である。
【0038】
本発明のさらなる態様として、ET−743を5−フルオロウラシルのプロドラッグとの併用で投与するためのメディカルキットを提供する。このキットは、上述の投薬スケジュールに従ってET−743を投与するための印刷された取扱説明書と、少なくとも1サイクル分の用量単位のET−743の供給源とを含み、この場合において、各用量単位は、前述した治療のための有効量のET−743および製薬品として許容できる担体を含む。
【0039】
用量の指針について上述したが、化合物類の的確な用量は、特定の処方設計、適用方法、ならびに、治療する特定の位置、宿主、および腫瘍によって様々である。年齢、体重、性別、食事、投与時間、排泄率、宿主の健康状態、薬剤の組合せ、反応感受性、疾患の重症度などの他の因子も考慮される。投与は、最大耐量の範囲内で、連続的または周期的に実施することができる。
【実施例】
【0040】
(実施例1:第1相臨床試験)
この研究の目的は、第1日目に3時間にわたって静脈内注入により投与するET−743と、第2日目から第15日目まで1日に2回経口で投与するカペシタビンとの併用療法の最大耐量(MTD)を求めることである。本研究のさらなる目的は、この処方計画の安全プロファイルを評価することである。
【0041】
本研究への患者の参加は、クレアチニン試験および肝機能試験が正常範囲内であり、かつ、ECOG一般状態が0〜2であることを含む、標準的な試験参加基準に従って行った。さらに、グレード1を超える中枢神経系転移および末梢神経障害が明らかとなった場合を含む、標準的な除外基準にも従った。
【0042】
用量制限毒性(DLT)は以下のとおりに規定した。
−適正な対症療法がされなかった悪心および嘔吐(N/V)を除いたグレード3〜4の非血液毒性、7日間未満のグレード3のトランスアミナイティス、および手足症候群。
−5日間のグレード4の好中球減少、または熱/敗血症を伴うグレード4の好中球減少。
−21日間を超える治療の延期。
−血小板数が25,000未満。
【0043】
薬剤の投与は21日サイクルで実施した。ET−743は、各サイクルの第1日目に3時間の静脈内注入で投与した(3週間ごと)。デキサメタゾンは、第−1日目から第3日目まで投与した。カペシタビンは、3週間ごとの第2日目から第15日目まで、1日2回経口投与した。さらに、カペシタビンは、2000mg/m/日の固定用量で投与したのに対し、ET−743は、400μg/mから開始し、その後少なくとも新たな3例からなるコホートとなるように段階的に増量した。
【0044】
表1は、患者の特徴を示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表2は、各用量増量レベルに曝された患者数と観察された用量制限毒性とを示す。
【0047】
【表2】

【0048】
表3は、高い頻度で報告された、薬物に関係する血液毒性を示す。毒性グレードを規定するために、NCIの一般的基準を用いた。
【0049】
【表3】

【0050】
表4は、高い頻度で報告された、薬物に関係する非血液毒性を示す。毒性グレードを規定するために、NCIの一般的基準を用いた。
【0051】
【表4】

【0052】
併用療法の抗腫瘍活性について、患者14例のうち13例の反応の評価が可能であった(患者1例は第1サイクル後の毒性のため研究から除外した。)。患者7例(肉腫4例、胃癌、乳癌、膣癌、および腺癌それぞれ1例)は、10、6、5、2、3、4、および4サイクル後に病態の安定が見られた。胆管癌の患者1例は、8サイクル後に部分反応があった。患者5例は1〜2サイクル後に回復した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療に有効な量のET−743を治療に有効な量の5−フルオロウラシルまたはそのプロドラッグとの併用で投与する工程を含む、ガンを有するヒトの体の治療方法。
【請求項2】
ET−743を5−フルオロウラシルのプロドラッグとの併用で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ET−743をカペシタビンとの併用で投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
カペシタビンとET−743とを、異なる時刻に投与するための別個の薬剤として提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
カペシタビンを1500〜2500mg/m/日の用量範囲で投与する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ET−743を、0.75〜1.4mg/mの用量範囲で投与する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
カペシタビンを最大で2000mg/m/日の投与量で投与し、かつ、ET−743を最大で1.2mg/mの投与量で投与する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
カペシタビンを約1600mg/m/日の投与量で投与し、かつ、ET−743を約0.9mg/mの投与量で投与する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
カペシタビンを経口で投与する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項10】
ET−743を静脈注射で投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ET−743の静脈注射の前記注入時間が最大で24時間である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ET−743の静脈注射の前記注入時間が約3時間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ET−743の前記注入を1週間から6週間の間隔を置いて行う、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ET−743の前記注入を21日ごとに1回行う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
21日ごとに、ET−743の前記注入を第1日目に行い、カペシタビンの前記投与を第2日目から第15日目まで行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
カペシタビンを1日に2回投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者が、肉腫、骨肉腫、卵巣癌、乳癌、黒色腫、膣癌、結腸直腸癌、胃癌、腺癌、中皮腫、腎臓癌、子宮内膜癌、および肺癌から選ばれるガンを有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者が、肉腫、乳癌、胃癌、膣癌、および腺癌から選ばれるガンを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法のための薬剤の調製における、ET−743の使用。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法のための薬剤の調製における、5−フルオロウラシルまたはそのプロドラッグの使用。
【請求項21】
ET−743をカペシタビンとの併用で投与するためのメディカルキットであって、少なくとも1サイクル分の投与量単位のET−743の供給源と、投薬スケジュールに従ってET−743を投与するための印刷された取扱説明書とを含み、各投与量単位が治療のための有効量のET−743と製薬品として許容できる担体とを含む、メディカルキット。


【公表番号】特表2007−511499(P2007−511499A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538970(P2006−538970)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/GB2004/050026
【国際公開番号】WO2005/049031
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(505036641)ファーマ・マール・エス・アー・ウー (11)
【Fターム(参考)】