説明

コンピュータのリセット方法およびコンピュータ

【課題】筐体を開放しないでRTCメモリをリセットする。
【解決手段】カレンダー時刻およびBIOSの設定情報を記憶するRTCメモリ25には、バックアップ電池51から電力が供給される。コンピュータがパワー・オフ状態のときにパワー・コントローラ31には電力が供給される。パワー・オフ状態においてキーボード63のFnキーおよびパワー・ボタン61を同時に押下すると、パワー・コントローラ31はリセット・スイッチ91を所定時間だけオフにしその後オンにする。その後、パワー・コントローラ31は自らに供給されている電力を一旦停止してから復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報を記憶するRTCメモリを搭載するコンピュータをリセットする技術に関し、さらに詳細には、容易かつ安全にリセットする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナル・コンピュータ(以下、ノートPCという。)には、システムにカレンダー時刻を提供するRTC(Real Time Clock)といわれる半導体チップが実装されている。RTCチップは、ノートPCがオフ状態のときにも動作する必要があるため、システム・デバイスに電力を供給する電力源とは異なる専用のバックアップ電池から電力を供給する。
【0003】
バックアップ電池はマザーボードに実装され、一次電池であるボタン電池が使用される。またノートPCには、RTCチップと組になって動作して、カレンダー時刻を記憶したりアラームを設定したりするRTCメモリまたはRTCレジスタも実装される。RTCメモリは電力を停止するだけで記憶内容を消去できるなどの理由で通常はSRAMのような揮発性のメモリで構成され、RTCチップと同じバックアップ電池から電力の供給を受けて動作する。
【0004】
従来は、このバックアップ電池からCMOSメモリに電力を供給して、BIOSの設定情報を保持していた。近年のノートPCでは、RTCチップおよびRTCメモリがチップ・セットに組み込まれるようになり、また、RTCメモリにはBIOSの設定情報なども記憶されるようになってきた。一方ノートPCは、BIOSの更新、BIOSの設定変更またはハードウエアの構成の変更などの後にノートPCがブートしなくなったり動作が不安定になったりすることがある。
【0005】
このようなときに、RTCメモリの記憶内容をリセットすることで回復する場合がある。しかし、RTCメモリは本来リセットすることを予定しておらず、また、安易にリセットしてしまうと正常な状態に戻すまで時間がかかる。これまで、RTCメモリのリセットは、ノートPCの筐体を開いてマザーボードに取り付けられたバックアップ電池を一旦取り外して行うことが一般的であった。
【0006】
しかし、ユーザが自らシステムの障害を回復したり、レンタルで貸し出したノートPCを再度別のユーザに貸し出したりするためには、筐体を開放しないでRTCメモリをリセットできることが望ましい。特許文献1は、RTC情報やセットアップ情報を格納するメモリをリセットする技術を開示する。同文献の発明では、メモリにリセット機能を設け、装置外部にメモリのリセット端子に接続されたスイッチを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−56864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
筐体を開放しないで通常のRTCメモリをリセットするためには、バックアップ電池とRTCメモリとの間に回路スイッチを設け、筐体の外部に設けた専用の操作スイッチで回路スイッチをオフにする方法が考えられる。しかし、RTCメモリのリセットは頻度が少ないためにノートPCの筐体に新たな操作スイッチを設けることはスペースやコストの面で得策ではない。また、RTCメモリをリセットすると再度の設定が必要になるため、操作スイッチの誤操作を防止したり、悪意のあるリセット操作を防止したりする必要がある。さらに、RTCメモリのリセットはノートPCが動作していないパワー・オフ状態で行う必要がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、バックアップ電池から電力の供給を受けるRTCメモリを搭載し、筐体を開放しないでリセットすることが可能なコンピュータを提供することにある。さらに本発明の目的はコンピュータの標準ボタンを利用してリセットすることが可能なコンピュータを提供することにある。さらに本発明の目的は、誤操作の防止を図りながらリセットすることが可能なコンピュータを提供することにある。さらに本発明の目的は、第3者による悪意のあるリセット操作を防止することが可能なコンピュータを提供することにある。さらに本発明の目的は、パワー・オフ状態でリセットすることが可能なコンピュータを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのようなコンピュータのリセット方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるコンピュータは、時刻情報を記憶する揮発性のRTCメモリと、RTCメモリに電力を供給するバックアップ電池を搭載する。バックアップ電池は、システムに電力を供給する主電池とは異なってRTCチップおよびRTCメモリなどの限られた範囲にだけ電力を供給する。バックアップ電池は一次電池で構成することができる。本発明においては、コンピュータをリセットする際にRTCメモリの記憶内容を消去する。
【0011】
パワー・コントローラはリセット信号に応じて、パワー・オフ状態のときにRTCメモリに供給する電力を停止し所定時間の経過後に復帰させる。その結果、筐体を開放することなくRTCメモリの記憶内容を消去した後にRTCメモリの動作を復帰させて、コンピュータをリセットすることができる。また、RTCメモリのリセットはパワー・オフ状態で実行するのでシステムの動作に影響を与えることがなく、メイン・メモリの記憶内容も消去できるためコンピュータ全体のリセットを実現することができる。
【0012】
パワー・コントローラは、パワー・オフ状態のときにコンピュータの電力を制御するために、主電池またはAC/DCアダプタから電力の供給を受けることができる。さらにパワー・コントローラは、自らに供給されている電力を停止したのちに復帰させることができる。その結果、コンピュータは、パワー・コントローラの揮発性メモリまたはレジスタの記憶内容も消去することができる。RTCメモリがBIOSの設定情報を記憶するような場合は、BIOSの更新や設定変更に基づく不具合を、RTCメモリのリセットで回復することができる。
【0013】
リセット信号はコンピュータの筐体を開放しないで操作できる標準ボタンの組み合わせにより生成することができる。したがって、本発明では、RTCメモリをリセットするためにキーやボタンを追加する必要がない。標準ボタンは少なくともパワー・オン状態においては、単独でRTCメモリのリセットに利用できないが複数の標準ボタンを同時に押下するなどの方法で組み合わせて通常のコンピュータの操作では使用しない信号を生成しリセット信号として利用することができるようになる。
【0014】
標準ボタンの組み合わせにより、誤ってリセット操作をすることを防ぐことができる。標準ボタンは、キーボード・コントローラにスキャン・コードを送るキーボード上の特定のキーや、スキャン・コードの割り当てのないパワー・ボタンで構成することができる。さらにコンピュータは、リセット信号に応じて指紋認証を行う指紋認証装置を有し、パワー・コントローラは指紋認証が成功したときに限りRTCメモリに供給する電力を停止するように構成することができる。その結果、悪意のある第3者によりRTCメモリがリセットされることを防ぐことができる。パワー・オフ状態には、ハイバネーション状態を含んでいてもよい。
【0015】
本発明の他の態様では、RTCメモリとバックアップ電池の間にリセット・スイッチを設ける。パワー・オン状態のときにキーボードからの入力でレジスタにビット情報を設定する。パワー・コントローラはレジスタにリセット情報が設定されていることを検出したときに、パワー・オフ状態においてリセット・スイッチを制御してRTCメモリに供給する電力を停止してから所定時間の経過後に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、バックアップ電池から電力の供給を受けるRTCメモリを搭載し、筐体を開放しないでリセットすることが可能なコンピュータを提供することができた。さらに本発明により、コンピュータの標準ボタンを利用してリセットすることが可能なコンピュータを提供することができた。さらに本発明により、誤操作の防止を図りながらリセットすることが可能なコンピュータを提供することができた。さらに本発明により、第3者による悪意のある操作を防止することが可能なコンピュータを提供することができた。さらに本発明により、パワー・オフ状態でリセットすることが可能なコンピュータを提供することができた。さらに本発明により、そのようなコンピュータのリセット方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態にかかるノートPCの主要な構成を示す概略の機能ブロック図である。
【図2】ノートPCのパワー・ステートと複数のDC/DCコンバータの動作関係を示す図である。
【図3】RTCメモリ・リセット回路の主要な構成を示すブロック図である。
【図4】RTCメモリのリセットを行う手順を示すフローチャートである。
【図5】リセット信号を生成する他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[ノートPCの構成]
図1は、ノートPC10の主要な構成を示す概略の機能ブロック図である。メモリ・コントローラ・ハブ(MCH)13はメモリ・コントローラおよびグラフィックス・アクセラレータの機能を備え、CPU11、メイン・メモリ15、ビデオ・コントローラ17、およびアイオー・コントローラ・ハブ(ICH)21が接続されている。ビデオ・コントローラ17には、図示しないLCDが接続される。ICH21は、周辺入出力デバイスに関するデータ転送を処理する。ICH21は、USB(Universal Serial Bus)、SATA(Serial AT Attachment)、SPI (Serial Peripheral Interface)バス、 PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI−Express(PCIe)バス、およびLPC(Low Pin Count)バスなどのインターフェースを備え、それらに対応したデバイスを接続することができる。
【0019】
図1では、SATAポートに接続されたHDD19とLPCポートに接続されたエンベデッド・コントローラ(EC)27を示している。ICH21には、RTCチップ23およびRTCメモリ25が組み込まれている。RTCメモリ25はRTCレジスタということもある。RTCチップ23は水晶発振器から受け取った一定周期のパルス信号により刻時動作をする。RTCチップ23は、ICH21にDC/DCコンバータ71、73から電力が供給されるときはその電力で動作するが、ICH21に電力が供給されないときはバックアップ電池51から供給された電力で動作するため、ノートPC10がいかなるパワー・ステートに遷移していても刻時動作を停止することはない。
【0020】
RTCメモリ25は、RTCチップ23が生成した刻時情報をカレンダー時刻として記憶する。RTCメモリ25には、使用開始時にBIOSの設定画面で設定されたカレンダー時刻とRTCチップ23から受け取った刻時情報に基づいた生成されたカレンダー時刻が記憶される。カレンダー時刻は、ネットワークを通じて取得した標準時刻で定期的に補正することができる。またカレンダー時刻はシステムに提供され、ファイルのタイムスタンプやコンピュータのスケジュール管理などに利用される。RTCメモリ25には、BIOSまたはOSが設定したハードウエアの設定情報およびパスワードならびにインテル社のAMT(Active Management Technology )に関する設定情報などのデータを格納する。
【0021】
ノートPC10に実装されるOSは、登録したプログラムをあらかじめ設定したカレンダー時刻で実行するタスクスケジューラという機能を提供する。タスクスケジューラでは、ノートPC10がスリーピング状態に遷移しているときに、あらかじめ設定したカレンダー時刻でパワー・オン状態に復帰してから登録したプログラムを実行するような設定をすることができる。所定のカレンダー時刻でノートPCがスリーピング状態からパワー・オン状態に遷移する動作をスケジュール・ウエイク・アップということにする。
【0022】
RTCメモリ25は、タスクスケジューラにより設定されたスケジュール・ウエイク・アップを実行するカレンダー時刻も記憶する。RTCメモリ25は、RTCチップ23と同様にDC/DCコンバータ71、73またはバックアップ電池51から電力が供給されるため、ノートPC10がパワー・オフ状態になっても記憶内容は保持される。バックアップ電池はコイン型リチウムイオン電池などの一次電池を採用してマザーボードに実装することができる。
【0023】
HDD19は、OS、BIOS、アプリケーション・プログラムなどを格納する。EC27は、CPU、ROM、EEPROM、DMAコントローラ、割り込みコントローラ、およびタイマなどで構成されたマイクロ・コンピュータであり、さらにA/D入力端子、D/A出力端子、SMバス・ポート、SPIバス・ポート、およびディジタル入出力端子を備えている。EC27はCPU11からは独立して動作し、ノートPC10に実装されるデバイスに供給する電力をパワー・ステートに応じて制御したり、システム筐体の内部の温度を管理したりする。
【0024】
EC27の不揮発性メモリ29には、EC27のCPUが実行するプログラムが格納されている。EC27には電池パック59の制御回路およびパワー・コントローラ31が接続されている。EC27は電池パック59から充放電に関する情報を受け取ったり、パワー・コントローラ31のレジスタを設定して動作を制御したりすることができる。EC27は、キーボード・コントローラを備えておりキーボード33も接続されている。指紋認証装置63は、ノートPC10を起動する際にOSが動作する前にスワイプ式の指紋センサから取得した指紋画像に基づいて認証を行う。指紋認証装置63は、ノートPC10がパワー・オフ状態のときにも認証を行うことができる。
【0025】
電池パック59は、米国インテル社および米国デュラセル社が主体になって提唱したスマート・バッテリィ・システム(SBS:Smart Battery System)と呼ばれる規格に準拠しており、AC/DCアダプタ53が接続されていないときにDC/DCコンバータ71〜77に電力を供給するノートPC10の電力源となる。DC/DCコンバータ71〜77に対する電力源がAC/DCアダプタ53の場合をAC供給といい、電池パック59の場合をDC供給ということにする。電池パック59はAC供給のときに、AC/DCアダプタ53が供給する電力で充電器55により充電される。電池パック59は、ノートPC10の筐体に設けられた電池ベイに外部から容易に着脱できるように装着される。
【0026】
パワー・コントローラ31はNAND回路およびNOR回路などの論理回路、単体のトランジスタ、および抵抗のような受動素子などで構成されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、制御回路および複数のレジスタを含んでいる。パワー・コントローラ31は、ハードウエア回路だけで構成されプロセッサは含まないため消費電力は極わずかである。パワー・コントローラ31には、電圧検出器57、DC/DCコンバータ73、75、77の制御回路、指紋認証装置63、キーボード61の一部のキーおよびパワー・ボタン61が接続されている。
【0027】
パワー・ボタン61は、キーボード33のキーに並んで配置されており、ユーザが電源をオン/オフする際に使用する。ノートPC10は、スリーピング・ステートおよびソフト・オフ・ステートからはシステムが電源を起動することもできるが、G3ステートからはパワー・ボタン51の押下だけで起動することができる。パワー・コントローラ31は、EC31の指示またはパワー・ボタン61の押下により図示しない充放電回路のスイッチを制御したりDC/DCコンバータ73、75、77の動作を制御したりしてノートPC10の電力を制御する。
【0028】
パワー・コントローラ31は、RTCメモリ25をリセットするために、キーボード33およびパワー・ボタン61により生成されたリセット信号に基づいてリセット・スイッチ91および入力スイッチ85(図3参照)を制御したり、DC/DCコンバータ73の動作を制御したりする。パワー・コントローラ31は、リセット信号を受け取ったときに、自らに供給されている電力を一旦停止してから復帰させることができる。
【0029】
ノートPC10は、ACPIの規格に適合しており、G0ステート、G1ステート、G2ステート、およびG3ステートの4つのグローバル・システム・ステートに遷移することができる。G0ステートはパワー・ステートとしてのS0ステートに相当し、CPU11はアプリケーション・プログラムを実行できる状態となり、周辺デバイスは電力が供給されるが独自の機能に基づいて省電力動作をする。S0ステートはパワー・オン状態ともいう。
【0030】
G1ステートはスリーピング・ステートともいわれ、パワー・ステートとしてのS3ステートとS4ステートを含む。S3ステートはサスペンド状態ともいわれメイン・メモリ15の記憶を保持するために必要なデバイスの電源以外は停止する。S4ステートは、ハイバネーション状態ともいわれ、コンテキストがHDD19に記憶されてほとんどのデバイスの電源は停止する。G2ステートはソフト・オフともいわれるパワー・ステートとしてのS5ステートに相当し、コンテキストを保持しないでほとんどのデバイスの電源は停止する。
【0031】
G3ステートは、メカニカル・オフ・ステートともいわれ、バックアップ電池51を除いてノートPC10の一切の電源が停止する。G3ステートは、電池パック59を取り外しかつAC/DCアダプタ53を接続しない状態である。本明細書ではS4ステートとS5ステートをパワー・オフ状態ということにする。DC/DCコンバータ71、73、75、77は、AC/DCアダプタ53または電池パック59のいずれかを電力源とし、パワー・ステートに応じてノートPC10のさまざまなデバイスに電力を供給する。
【0032】
AC/DCアダプタ53は、一次側が商用電源のアウトレットに接続され、二次側がノートPC10の筐体に接続される。AC/DCアダプタ53は交流電圧を直流電圧に変換してDC/DCコンバータ71〜77に電力を供給し、さらに充電器55に電力を供給して電池パック59を充電することができる。AC/DCアダプタ53の出力には電圧検出器57が接続されている。電圧検出器57は、AC/DCアダプタ53の出力に所定の範囲の電圧が発生していることを示す電圧検出信号をパワー・コントローラ31に出力する。
【0033】
図1の各構成要素には、#1〜#4の記号でDC/DCコンバータ71〜77のいずれが電力源であるかを示している。たとえば、ICH21を構成する各機能要素には、DC/DCコンバータ71、73、75、77から電力が供給される。EC27には、DC/DCコンバータ73から電力が供給される。パワー・コントローラ31には、DC/DCコンバータ71から電力が供給される。指紋認証装置65には、DC/DCコンバータ71、73から電力が供給される。
【0034】
DC/DCコンバータ71は、構成が簡単で軽負荷時の効率に優れたリニア・レギュレータで構成されている。リニア・レギュレータは可変抵抗素子の抵抗値を制御して出力電圧を所定の範囲に維持するが、入力電圧と出力電圧の差は熱として放熱する必要があり、負荷が大きくなると効率が低下するので小さい負荷の電力源に適している。DC/DCコンバータ71は、AC/DCアダプタ53または電池パック59がシステムに電力を供給するときには、本発明によるRTCメモリ25のリセット処理をするとき以外は常に動作する。
【0035】
DC/DCコンバータ73、75、77は、構成は複雑であるが高負荷時の効率に優れたスイッチング・レギュレータで構成されている。スイッチング・レギュレータは、スイッチング素子のデューティ比を制御して出力電圧を所定の範囲に維持する。スイッチング・レギュレータは、軽負荷時にもスイッチング損失が発生するので、DC/DCコンバータ71のような小さい負荷に対してはリニア・レギュレータよりも効率が低い。DC/DCコンバータ73、75、77はパワー・コントローラ31により動作が制御される。
【0036】
[パワー・ステートと電源系統の関係]
図2は、パワー・ステートとDC/DCコンバータ71〜77の動作関係を示す図である。本実施の形態では、S4ステートとS5ステートはそれぞれにおいて、AC供給とDC供給で動作するDC/DCコンバータが異なる。本実施の形態ではスケジュール・ウエイク・アップはS4ステートだけで設定することができるようになっているため、S4ステートでDC供給の場合はスケジュール・ウエイク・アップがイネーブルかディスエーブルかでDC/DCコンバータ73の動作が異なる。なおスケジュール・ウエイク・アップのS5ステートでも設定できるようにしてもよい。
【0037】
S4ステートでは、DC供給のときにスケジュール・ウエイク・アップが設定されているときはDC/DCコンバータ73が動作し、設定されてないときは停止する。スケジュール・ウエイク・アップを実行するには、ICH21がRTCメモリ25に設定されたカレンダー時刻を確認して、ノートPC10をパワー・オン状態に遷移させる回路に電力を供給する必要があるために、DC/DCコンバータ73を動作させて当該回路に電力を供給する。
【0038】
DC/DCコンバータ71は、G3ステートを除くすべてのパワー・ステート(S5、S4、S3、S0)で動作し、パワー・コントローラ33、充電状態を表示するLED(図示せず。)、指紋認証装置63、および筐体の開閉を検出するリッド・センサ(図示せず。)などのパワー・オフ中の電力管理および起動に関連する最低限のデバイスに電力を供給する。
【0039】
DC/DCコンバータ73は、G3ステート、S5ステート(DC供給)およびS4ステート(DC供給でかつスケジュール・ウエイク・アップがディスエーブル)で動作を停止し、その他のパワー・ステートで動作してICH21の一部とEC31に電力を供給する。DC/DCコンバータ75は、S0ステート、S3ステートで動作し、ICH17の一部、MCH13およびメイン・メモリ15などに電力を供給する。DC/DCコンバータ77はS0ステートで動作し、ICH21の一部、CPU13およびHDD22などに電力を供給する。
【0040】
[RTCメモリ・リセット回路]
図1からはRTCメモリ25をリセットするための詳細な部分は省略しているので、つぎに、RTCメモリ・リセット回路について説明する。図3は、RTCメモリ・リセット回路の構成を示す機能ブロック図である。図3はRTCメモリ・リセット回路100として、図1に対してRTCメモリ25のリセットに必要な要素を加えて描いている。以下においては、説明の重複を避けるため図1で説明していない部分を中心に説明する。最初にRTCメモリ・リセット回路100の電力系統を説明する。
【0041】
RTCメモリ25をリセットするには、DC/DCコンバータ#2を停止し、かつ、リセット・スイッチ91をオフにしてRTCメモリ25に対する電力を完全に停止する必要がある。S0ステートのときにDC/DCコンバータ73の動作を停止するとシステムの動作に必要な情報が喪失してしまうので、S0ステートではDC/DCコンバータ73を停止することはできない。S3ステートでも同様にもとのS0ステートの状態に復帰できなくなるのでDC/DCコンバータ73を停止することはできない。したがってRTCメモリ25のリセットはパワー・オフ状態で行う必要がある。パワー・オフ状態は前述のようにS4ステートとS5ステートに相当する。S4ステートでは、AC供給およびDC供給のいずれの場合でもスケジュール・ウエイク・アップの設定をすることができる。
【0042】
RTCメモリ25には、スケジュール・ウエイク・アップのカレンダー時刻を記憶しているため、本実施の形態ではスケジュール・ウエイク・アップがディスエーブルのときにRTCメモリ25のリセットを行う。ただし、ユーザはスケジュール・ウエイク・アップがイネーブルであっても、RTCメモリ25のリセットを行うことができる。したがって、RTCメモリ25のリセットは、S4ステートまたはS5ステートのいずれかで、かつ、S4ステートではスケジュール・ウエイク・アップがディスエーブルに設定された状態またはイネーブルに設定された状態のときに行うことができる。
【0043】
AC/DCアダプタ53と電池パック59は、ダイオード81とダイオード83によるダイオード・オア回路で接続され、いずれか電圧の高い方が電力源となってDC/DCコンバータ71、73に電力を供給する。DC/DCコンバータ71の入力側には、Pチャネル型のMOS−FETで構成された入力スイッチ85が接続されている。入力スイッチ85のゲートはパワー・コントローラ31に接続されている。
【0044】
DC/DCコンバータ71は、入力スイッチ85がオフになると二次側への電圧出力を停止する。DC/DCコンバータ73は、パワー・コントローラ31によりスイッチング動作が制御される。DC/DCコンバータ71とバックアップ電池51は、ダイオード87、89で形成されたダイオード・オア回路で接続され、Pチャネル型のMOSーFETで構成されたリセット・スイッチ91を経由してRTCチップ23およびRTCメモリ25に電力を供給する。
【0045】
リセット・スイッチ91のゲートは、パワー・コントローラ31に接続されている。切換回路93はNチャネル型のMOS−FETとPチャネル型のMOS−FETがそれぞれのゲートに対する共通の入力で反転動作をするように並列接続されている。切換回路93はパワー・コントローラ31とDC/DCコンバータ71、73と指紋認証装置63に接続され、パワー・コントローラ31の制御信号により指紋認証装置41に対する電力源をDC/DCコンバータ71またはDC/DCコンバータ73のいずれかに切り換える。
【0046】
指紋認証装置63は、認証モードとアイドル・モードで動作する。認証モードのときは、DC/DCコンバータ73から電力を受け取り、アイドル・モードのときはDC/DCコンバータ71から電力の供給を受け取る。指紋認証装置63には、スワイプ型の指紋センサ67が接続されている。指紋認証装置63は、DC/DCコンバータ71から電力の供給を受けてアイドル・モードで動作している間に、指紋センサ67に指が接近したことを接近センサが検出したときには、パワー・コントローラ31に電力源の切換を要求する。パワー・コントローラ31は切り換え要求に応じて切換回路93を制御して指紋認証装置にDC/DCコンバータ73から電力を供給する。指紋センサの近辺にはLED69が設けられており、パワー・コントローラ31は認証が必要なときにLED69を点滅させてユーザに指のスワイプを促す。
【0047】
パワー・コントローラ31はDC/DCコンバータ71から電力の供給を受けて動作し、レジスタ35、37、39、41を含んでいる。レジスタ35は、電圧検出器57から電圧検出信号を受け取ったことを示す状態を設定する。レジスタ37は、パワー・ボタン61が押下されたことを示す状態を設定する。レジスタ37はノートPC10を起動するイベントの種類を判断するためにEC27により参照され、ノートPC10がパワー・オン状態に移行したあとにはリセットされる。レジスタ39には、OSおよびBIOSがノートPC10のパワー・ステートを遷移させるときに、ICH21がEC27経由で遷移後のパワー・ステートを示すビットを設定する。レジスタ41は、タスクスケジューラがスケジュール・ウエイク・アップをイネーブルに設定した状態をICH21がEC27経由で設定する。
【0048】
パワー・コントローラ31は、DC/DCコンバータ71の出力が停止したときに、入力スイッチ85およびリセット・スイッチ91のゲートにロー信号を送る。したがって、パワー・コントローラ31の電力が停止したときは、入力スイッチ85およびリセット・スイッチ91はオンになる。パワー・コントローラ31は、DC/DCコンバータ71から電力の供給を受けている間は、入力スイッチ85およびリセット・スイッチ91のオン・オフを制御することができる。
【0049】
キーボード33は、EC27のキーボード・コントローラにスキャン・コード送るキーと、スキャン・コードを送らないボタンを備える。スキャン・コードを送らないボタンには、パワー・ボタン61、音量調整ボタン、CPU11にEC27を経由して割り込みをかけて特別なプログラムを実行させるボタン、またはその他の特別な機能を提供するためにメーカが独自に設けたボタンなどがある。本実施の形態では筐体を開放しないで操作できるノートPC10の表面には、ユーザがRTCメモリ25のリセット操作をするための専用のキーまたはボタンを設ける必要はなく、本来の目的を備えているキーまたボタンを使用する。
【0050】
ノートPC10に本来の目的で設けられているキーまたはボタンを標準ボタンということにする。標準ボタンには、単独で何らかのスキャン・コードを発生したり、他のキーと組み合わせてスキャン・コードを発生したりするものがある。また、標準ボタンにはパワー・ボタン61のように、スキャン・コードを発生しないで所定の機能を発揮するものがある。RTCメモリ25のリセット処理を開始するリセット信号は、S0ステートで生成することもできる。この場合は、複数の標準ボタンを組み合わせて本来の機能としては使用しないリセット信号を生成する必要がある。
【0051】
本実施の形態では、Fnキーとパワー・ボタン61を所定の時間の間同時に押下したときにRTCメモリ25のリセット信号が生成される。このような条件で生成されるリセット信号は、標準ボタンの通常の操作では生成されにくいので、誤操作を防ぐことができる。キーボード33のFnキーがパワー・コントローラ31に接続され、その他のキーまたはボタンはEC27に接続されている。従来はFnキーのスキャン・コードはキーボード33から直接EC27に送られていたが、本実施の形態では、パワー・コントローラ31を経由してEC27に送られることでFnキーの本来の機能を実現するようになっている。
【0052】
なお、図1および図3は本実施の形態を説明するために、本実施の形態に関連する主要なハードウエアの構成および接続関係を簡略化して記載したに過ぎないものである。ここまでの説明で言及した以外にも、ノートPC10を構成するには多くのデバイスが使われる。しかしそれらは当業者には周知であるので、ここでは詳しく言及しない。図で記載した複数のブロックを1個の集積回路もしくは装置としたり、逆に1個のブロックを複数の集積回路もしくは装置に分割して構成したりすることも、当業者が任意に選択することができる範囲においては本発明の範囲に含まれる。
【0053】
たとえば、RTCチップ23とRTCメモリ25はメモリ・コントローラ機能とPCIeの機能をCPUに移して1チップ・セットとして構成したインテル社製のPCH(Platform Controller Hub)の中に収納することができる。あるいはRTCチップ23とRTCメモリ25は独立したチップで構成してもよく、本発明はバックアップ電池から電力の供給を受けるRTCメモリであればいかなる構成であっても適用できる。また、キーボード・コントローラの機能はEC27に設けないで、専用のキーボード・コントローラを採用することもできる。
【0054】
[リセットの手順]
つぎに、RTCメモリ・リセット回路100の動作を図4のフローチャートに基づいて説明する。RTCメモリ25のリセット操作は、図2のG3ステートを除けばいずれのパワー・ステートで開始してもよい。いずれのパワー・ステートにおいてもパワー・コントローラ31は、入力スイッチ85とリセット・スイッチ91のゲートにロー信号を送ってそれらをオンにしている。RTCチップ23とRTCメモリ25には、DC/DCコンバータ73が動作しているときはそこから電力が供給され、DC/DCコンバータ73が停止しているときはDC/DCコンバータ71またはバックアップ電池51から電力が供給される。DC/DCコンバータ71、73が停止しているときは、バックアップ電池51から電力が供給される。
【0055】
ブロック201では、ユーザがパワー・ボタン61とキーボード33のFnキーを同時に数秒間押下してパワー・コントローラ31にリセット信号を送りリセット処理を開始する。パワー・ボタン61とFnキーを所定時間の間同時に押下してリセット信号を生成する方法はあくまで例示であり、通常の操作では使用しない複数の標準ボタンの組み合わせまたはさらにそれらの同時押下の時間の組み合わせでリセット信号を生成することができる。
【0056】
ブロック203では、パワー・コントローラ31はリセット信号が入力されたことを検知すると、LED69を点滅させて指紋センサ67に指をスワイプするように促す。指紋認証装置63は、ノートPC10がパワー・オフ状態であっても、DC/DCコンバータ71から供給される電力を利用してアイドル・モードで動作することができる。指紋認証装置63は認証が成功したときはパワー・コントローラ31にその旨を通知してブロック206に移行する。認証が失敗したときはブロック207に移行してリセット処理を中止する。
【0057】
ブロック206では、認証成功の通知を受けたパワー・コントローラ31はレジスタ41を参照してスケジュール・ウエイク・アップが設定されているか否かを判断する。スケジュール・ウエイク・アップが設定されていると判断したときは、ブロック207に移行してパワー・コントローラ31はRTCメモリ25のリセット処理を中止する。スケジュール・ウエイク・アップが設定されていないと判断したときは、ブロック209に移行する。なお、スケジュール・ウエイク・アップの設定の有無をRTCメモリ25のリセット条件に含めない場合は、ブロック206の手順を省略することができる。
【0058】
ブロック209では、認証成功の通知を受けたパワー・コントローラ31はレジスタ39を参照して現在のパワー・ステートを調べる。現在のパワー・ステートがS4ステートまたはS5ステートのときはブロック213に移行し、S0ステートまたはS3ステートのときはブロック211に移行する。なお、G3ステートのときは、パワー・コントローラ31には電力が供給されないためリセット処理をすることはできない。ブロック211では、パワー・コントローラ31がS0ステートまたはS3ステートからS4ステートまたはS5ステートのいずれかに移行させる。S3ステートとS4ステートのいずれに移行させるかは、あらかじめパワー・コントローラ31に設定して決めておく。
【0059】
現在のパワー・ステートがS0ステートのときには、パワー・コントローラ31はEC27を通じてICH21にS4ステートまたはS5ステートへの移行を要求する。ICH21は、現在実行中のプログラムに対して実行を終了することを要求し、すべてのプログラムから終了通知を受けてS4ステートまたはS5ステートへの移行準備ができたと判断するとEC27に通知する。通知を受けたEC27はパワー・コントローラ31に所定のDC/DCコンバータを停止するように指示する。現在のパワー・ステートがS3ステートの場合は、パワー・コントローラ31は一旦S0ステートに移行させてからEC27を通じてICH21にS4ステートまたはS5ステートへの移行を要求する。
【0060】
パワー・コントローラ31は、レジスタ35を参照して現在AC供給かDC供給かを判断し、さらにレジスタ41を参照してスケジュール・ウエイク・アップが設定されているか否かを判断して、所定のDC/DCコンバータを停止する。このとき、AC供給でS4ステートまたはS5ステートに移行する場合はDC/DCコンバータ73が動作することになる。
【0061】
ブロック213では、パワー・コントローラ31がDC/DCコンバータ73が動作しているか否かを判断する。ICH21は、DC/DCコンバータ73からも電力の供給を受けて動作する。ICH21は、DC/DCコンバータ73から電力の供給を受けた場合には、RTCチップ23およびRTCメモリ25に対する電力源が内部でDC/DCコンバータ73に切り換わるようになっている。DC/DCコンバータ73が電力の供給をする間は、RTCメモリ25のリセットができないので、パワー・コントローラ31は、DC/DCコンバータ73が動作していると判断したときは、ブロック215でその動作を停止する。
【0062】
ブロック217では、パワー・コントローラ31はゲートにハイ信号を送ってリセット・スイッチ91をオフにする。リセット・スイッチ91がオフになるとRTCチップ23とRTCメモリ25の電力が停止して記憶内容が消去される。パワー・コントローラ31は、リセット・スイッチ91をオフにしてから、RTCメモリ25の記憶内容が完全に消去されるまでの所定の時間が経過した後に、ブロック219でゲートにハイ信号を送って入力スイッチ85をオフにする。入力スイッチ85がオフになるとDC/DCコンバータ71が動作を停止し、ブロック221でパワー・コントローラ31は電力が停止してレジスタの記憶内容が消去される。なお、パワー・コントローラ31が入力スイッチ85をオフにするタイミングは、RTCメモリ25の消去のための所定時間が経過してリセット・スイッチ91をオンにしたあとであってもよい。
【0063】
パワー・コントローラ31は、電力が停止したときには入力スイッチ85とリセット・スイッチ91のゲートにロー信号を送るように構成されているため、ブロック223では入力スイッチ85とリセット・スイッチ91がオンなり、DC/DCコンバータ219は動作を再開する。さらに、RTCメモリ25には、DC/DCコンバータ71から電力が供給される。電力が供給されて動作を再開したパワー・コントローラ31は、入力スイッチ85とリセット・スイッチ91のゲートに供給していたロー信号を維持する。
【0064】
ブロック221では、パワー・コントローラ31のリセットを入力スイッチ85で行う例を説明したが、それに代えてパワー・コントローラ31の内部にパワー・コントローラ31の電力が停止したときにオンになるような内部電源のリセット・スイッチを設けて行うこともできる。この場合、パワー・コントローラ31は電力が供給されている間に、当該リセット・スイッチを一旦オフにすると、自らの電力が停止した後に内部リセット・スイッチがオンになって電力を復帰することができるため、その間に、パワー・コントローラ31のレジスタをリセットすることができる。あるいは、AC/DCアダプタ53と電池パックを同時に取り外したときに入力スイッチがオフになり、いずれかを装着したときにオンになるような回路を組み込んでパワー・コントローラをリセットするようにしてもよい。
【0065】
[リセット信号を生成する他の例]
図4の手順では、リセット信号をキーボード33のFnキーとパワー・ボタン61の組み合わせにより生成する例を示したが、キーボード33のキーおよびマウスによる操作をして生成することもできる。図5は、リセット信号をキーボード33およびマウスにより生成する例を示すフローチャートである。ブロック301でノートPC10はS0ステートで動作している。
【0066】
ブロック303で、LCDに表示されたリセット処理の画面を通じて、ユーザはマウスでリセット開始の指示をする。リセット処理の画面の生成および信号の処理はコンピュータ・プログラムが行う。ブロック305で、プログラムはLCDにRTCメモリ25のリセットのためにパスワードの入力を要求する画面を表示する。ブロック307でプログラムが正しいパスワードが入力されたと判断した場合は、ブロック311で、プログラムはEC27を通じてパワー・コントローラ31のレジスタにリセット情報を設定する。
【0067】
ブロック307で正しいパスワードが入力されない場合は、ブロック309に移行してリセット処理を中止する。ブロック311で、レジスタにリセット情報が設定されたパワー・コントローラ31はその後、図4のブロック211へ移行して、EC27にノートPC10をS4ステートまたはS5ステートに移行させるように要求する。図5の手順によれば、リセット信号を生成するためにキーボード33やパワー・ボタン61に特別な配線をする必要がなくなる。なお、ブロック305の認証は、指紋認証装置65を利用して行うこともできる。
【0068】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0069】
10…ノートPC
100…RTCメモリ・リセット回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻情報を記憶するRTCメモリと、
前記RTCメモリに電力を供給するバックアップ電池と、
パワー・オフ状態のときにリセット信号に応じて前記バックアップ電池が前記RTCメモリに供給する電力を停止してから所定時間の経過後に復帰させるパワー・コントローラと
を有するコンピュータ。
【請求項2】
前記パワー・コントローラが、パワー・オフ状態のときに前記コンピュータの電力を制御するために主電池またはAC/DCアダプタから電力の供給を受ける請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記パワー・コントローラは、前記RTCメモリに供給する電力を停止した後に自らに供給されている電力を停止してから復帰させる請求項2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記RTCメモリは、BIOSの設定情報を記憶する請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項5】
前記リセット信号が前記コンピュータの筐体を開放しないで操作できる標準ボタンの組み合わせにより生成される請求項1から請求項4のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項6】
前記標準ボタンが、キーボード・コントローラにスキャン・コードを送るキーボードのキーを含む請求項5に記載のコンピュータ。
【請求項7】
前記標準ボタンが、スキャン・コードの割り当てのないボタンを含む請求項5または請求項6に記載のコンピュータ。
【請求項8】
前記リセット信号に応じて指紋認証を行う指紋認証装置を有し、前記パワー・コントローラは指紋認証が成功したときに限り前記RTCメモリに供給する電力を停止する請求項1から請求項7のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項9】
前記パワー・オフ状態がハイバネーション状態を含む請求項1から請求項8のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項10】
キーボードを有するコンピュータであって、
時刻情報を記憶するRTCメモリと、
前記RTCメモリに電力を供給するバックアップ電池と、
前記バックアップ電池が前記RTCメモリに供給する電力を制御するリセット・スイッチと、
パワー・オン状態で前記キーボードからの入力でリセット情報を設定するレジスタと、
前記レジスタに前記リセット情報が設定されていることを検出したときにパワー・オフ状態において前記リセット・スイッチを開いてから所定時間の経過後に閉じるように制御するパワー・コントローラと
を有するコンピュータ。
【請求項11】
バックアップ電池から電力の供給を受け時刻情報を記憶するRTCメモリと電力を制御するパワー・コントローラとを有するコンピュータをリセットする方法であって、
前記コンピュータがリセット信号を受け取るステップと、
前記コンピュータがパワー・オフ状態で前記パワー・コントローラに電力を供給するステップと、
前記パワー・オフ状態で前記パワー・コントローラが前記リセット信号に応じて、前記バックアップ電池が前記RTCメモリに供給する電力を停止してから所定時間の経過後に復帰させるステップと
を有する方法。
【請求項12】
前記リセット信号に応じて前記コンピュータがパワー・オン状態から前記パワー・オフ状態に移行するステップを有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リセット信号に応じてユーザ認証を行うステップを有し、
前記パワー・コントローラは前記ユーザ認証が成功したことに応じて前記RTCメモリに供給する電力を停止してから所定時間の経過後に復帰させる請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記RTCメモリに供給する電力を停止した後、前記パワー・コントローラが自らに供給されている電力を停止してから復帰するステップを有する請求項11から請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
キーボードとバックアップ電池から電力の供給を受け時刻情報を記憶するRTCメモリと電力を制御するパワー・コントローラを有するコンピュータをリセットする方法であって、
パワー・オン状態で前記キーボートからの入力に応じてレジスタにリセット情報を設定するステップと、
パワー・オフ状態に移行するステップと、
パワー・オフ状態で前記パワー・コントローラに電力を供給するステップと、
パワー・オフ状態において前記パワー・コントローラが前記レジスタを参照し、前記RTCメモリに供給する電力を停止してから所定時間の経過後に復帰させるステップと
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−73928(P2012−73928A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219664(P2010−219664)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【Fターム(参考)】