説明

コンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステム

【課題】納品伝票および定期棚卸しを廃し、さらに納品、検品のコストおよび配送コストを著しく低減したシステムを提供する。
【解決手段】納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムであって、取引先から通信ネットワークを介して受信した取引先が入力した納品予定データを格納した納品予定データデータベース、前々日の在庫個数+前日の納品個数−前日のレジ売れ個数から求められる取扱商品の帳簿在庫個数を格納した帳簿在庫データデータベースおよび実在庫個数を格納した実在庫データデータベースを有し、さらに、上記納品予定データデータベースからその当日納品を予定されている全商品を抽出し、取引先が先に入力した納品予定データにさらに、上記帳簿在庫データデータベースに基づいて、店出し個数および店出し時間を演算し、一人一人の担当者に割り当てられている単位売場(セル)の作業用端末に出力する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを使った、多種、多量の商品を取り扱うスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の各店舗から、多数の取引先に、納品日、納品個数を指定して、発注された多数の商品は、その指定された納品日に、それぞれ5〜7枚1組の仕入れ伝票等をも含む納品伝票を付されて、運送業者によって、各店舗の納品場所に運び込まれ、ここで、各店舗の専任の検品担当者が、納入商品に添付された納品伝票と納品された現物を個々に照合して、検品を行なっていた。
【0003】
このようにして、従来、個々の納入商品についての検品が行なわれていたため、スーパーマーケット等の各店舗には専任の検品担当者が必要となると共にそれぞれの取引先は、店舗別納品日毎に記入事項の多い分厚い納品伝票の作成を要求されていた。このことが全体として納品、検品コストを引き上げ、さらに納品を委託された運送業者は納品、検品完了まで車と共に比較的長く待たされることも起こり、これはまた流通コストを引き上げるという問題があった。さらに、各店舗では、日々の納品、検品の作業とは全く独立に、それぞれの売場で定期的にそれぞれの商品の実在庫を数える定期棚卸しも行なっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解消した、即ち、納品、検品コストおよび流通コストを低減し、さらに定期棚卸しを廃した、コンピュータを使った、多種、多量、の商品を取り扱うスーパーマーケット等における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、スーパーマーケット等のコンピュータから通信ネットワークを介して送信された「事前の発注データ」に基づいて、各取引先から通信ネットワークを通してスーパーマーケット等のコンピュータに送られて来た納品予定データを格納している納品予定データデータベースから、当日納品されるそれぞれの商品について、帳簿在庫個数に基づいて、その店出し数および店出し時間を演算し求め、これら求めたデータを取引先名、納入店名、商品名、入り数、納品ケース数、売単価、賞味期限を含むそれぞれの商品のデータに付加して、一人一人の担当者に割り当てられている単位売場(セル)の作業用端末に出力する。それぞれの単位売場の担当者は、その単位売場の作業用端末に出力されたそれぞれの商品の店出し数および店出し時間に従って、取引先ごとに指定された納入商品置場から該当の商品をその単位売場に運び込み、その商品を陳列しながら数を数え、その数を作業用端末に入力して陳列時検品を完了する。さらにそれぞれの商品についての検品を兼ねた陳列時に合わせて、それぞれの商品の実在庫数を数え、その数を同様に作業用端末に入力し、その都度の実在庫を確定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、それぞれの商品について、それぞれの日の納品予定データに基づいて、それぞれの単位売場で、その単位売場の担当者が検品を兼ねた陳列および在庫調べを行なうことによって、従来の納品時検品および定期棚卸しが不要となり、さらに取引先にとっては納品伝票作成が不要となり、そのためのコストが削減出来る。また運送業者にとっては従来の納品、検品のための待ち時間が0となるので、流通コストの著しい削減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付の図1,2を参照して本発明のコンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムの一実施例を説明する。
【0008】
図1は、本発明のコンピュータを使ったスーパーマーケット等における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムの一実施例の概略システム図であり、店舗Aのコンピュータ(以下CPと称す)は通信ネットワークおよび複数の店舗を統括する本部CPを介して取引先AのCP、取引先BのCP、・・・取引先NのCPにそれぞれ繋がっている。店舗のCPにはそれぞれ納品予定データデータベース、実在庫データデータベース、帳簿在庫データデータベース、レジA、レジB、・・・、レジNおよび一人一人の担当者に割り当てられる単位売場ごとに用意された作業用端末A、作業用端末B、・・・、作業用端末Nがそれぞれ設けられている。
【0009】
取引先A、B、・・・、Nからは、店舗CPからの通信ネットワークを介しての「事前の発注データ」に基づいて、少なくとも納品日の前日に、それぞれの発注商品について納品日、取引先名、納入店名、商品名、入り数、納品ケース数、売単価、賞味期限等のデータを付した納品予定データが、通信ネットワークを介して店舗CPに送られて来る。店舗CPはこのようにして送られて来た納品予定データをその都度納品予定データデータベースに格納する。
【0010】
店舗CPは、納品予定データデータベースからその当日納品される商品を抽出し、これを単位売場ごとに仕分け区分し、それぞれの商品について、帳簿在庫データデータベースに格納されている前々日の在庫個数+前日の納品個数−前日のレジ売れ数によって求められた当日の朝の帳簿在庫個数に基づいて、それぞれの商品について店出し時間および店出しケース数を求め、これらをそれぞれの取引先から送られて来た納品日、取引先名、納入店名、商品名、入り数、納品ケース数、売単価、賞味期限等のデータを含む納品予定データに付加して、それぞれの該当する作業用端末に分配する。
【0011】
図2は、このようにして作業用端末に分配されたデータを表示した画面「納品店出作業」の一例を示している。この「納品店出作業」画面の表示は、取引先別・店出時間順表示の「取引先時間」を基準としているが、「時間取引先」を選択すると店出時間・取引先別順の表示に変るように構成されている。
【0012】
店舗CPが、帳簿在庫データデータベースのその当日朝の帳簿在庫個数によって店出し時間を決める際、在庫の少ない商品については、その店出時間欄に開店前の店出しを指示する「開店前」の表示を行う。
【0013】
また、その当日の納品ケース数が、その商品についての売場陳列可能ケース数を上廻る場合には、「納品店出作業」画面の倉庫留置ケース欄にその数が表示される。従って、入荷量が多く一度に売場に陳列しきれない商品について、誤ってその商品を売場に移動するという無駄が無くなり、店舗運営コストが低減される。
【0014】
それぞれの単位売場の担当者は、それぞれの該当する作業用端末の「納品店出作業」の画面の表示に従い、指定の店出し時間に合わせ、それぞれの取引先に割り当てられた店舗の指定納品商品置場に赴き、そこから該当の納入商品を取り出し、担当の単位売場に搬入し、陳列時にまず納入商品のJANコード(またはケースのJANコード)をスキャンし、店出しケース数を数え、確認の上、作業用端末の「確認店出ケース数欄」にその数を入力する。なお「納品店出作業」画面に倉庫留置ケース数が指定されている場合には、指定納品商品置場に店出し商品を取りに行った際に、先の店出ケース数確認と同様なやり方で、倉庫留置ケース数を数え、確認し、作業用端末の「確認倉庫ケース数欄」にその数えた数を入力する。また、その単位売場の担当者は、これらの納入商品の個数の確認の際に、納入商品に破損欠落があった場合には、「破損欠落個数欄」にその数を入力する。
【0015】
また、それぞれの単位売場の担当者は、開店前を含む指定の店出し時間に従った、該当する納入商品についての検品を兼ねた陳列作業に合わせて、該当商品の昨日の売れ残り品に%値引きシールを貼りながらの在庫調べも行い、作業用端末の開店前実在庫個数欄にその数えた数を入力する。従って、それぞれの商品についての改めての棚卸しは不要となる。
【0016】
以上のようなそれぞれの単位売場での作業に基づく作業用端末への入力を受けて、店舗CPはそれぞれの当日納入商品について、確認店出ケース数+確認倉庫留置ケース数=納品ケース数を確認し、不一致の場合には、該当する単位売場の作業用端末の「納品店出作業」画面の納品不足ケース欄に不足ケース数を表示すると共に“ケース数を再確認してください”のメッセージを画面に表示する。
【0017】
再確認指示のメッセージに従った、該当する単位売場の担当者による再確認作業にもかかわらず、不一致が解消されない場合には、店舗CPは、本部CPを介して該当の取引先CPに対して納品不足ケース数または余剰ケース数を自動的に連絡する。
【0018】
以上の作業によって、従来の仕入伝票を無くしても、仕入が確定することになる。
【0019】
また、店舗CPは、以上の入力に基づいて、「納品店出作業」画面の「開店前算在庫個数欄」(当日朝の帳簿在庫個数に対応する)の数値と「開店前実在庫個数欄」の数値との差を「在庫不足(実一帳簿)欄」に表示する。担当者がこの数値は異常値でないと判断して作業用端末の確定キーを押すと、帳簿在庫データデータベースの該当する商品の帳簿在庫データは確定した実在庫データに置き換えられる。以上の作業を通して、それぞれの単位売場で、検品を兼ねた陳列および在庫調べが完了する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のコンピュータを使ったスーパーマーケット等における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムの一実施例の概略システム図。
【図2】図1のある単位売場の作業用端末に表示された「納品店出作業」画面の一例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステムであって、上記コンピュータは多数の取引先のコンピュータから通信回線を介して受信したそれぞれの取引先が入力した納品日、取引先名、納入店名、商品名、入り数、納品ケース数、原単価、賞味期限を含むそれぞれの取扱商品についての納品予定データを格納する納品予定データデータベース、前々日の在庫個数+前日の納品個数−前日のレジ売れ個数から求められるそれぞれの取扱商品についての帳簿在庫個数を格納した帳簿在庫データデータベースおよびそれぞれの取扱商品についてその都度の納品個数を含めてその個数を数えて確認した実在庫個数を格納した実在庫データデータベースを有し、さらに上記スーパーマーケット等の流通業のコンピュータは、上記納品予定データデータベースからその当日納品を予定されている全商品を抽出し、抽出した全商品について、それぞれの取引先が先に入力したそれぞれの商品の納品予定データにさらに、上記帳簿在庫データデータベースに基づいて、それぞれの商品の店出し個数および店出し時間を演算し、それらのデータを付加して、一人一人の担当者に割り当てられている単位売場(セル)に割り当てられた該当する作業用端末に出力する機能および上記の該当する作業用端末から出力されたそれぞれの商品についての店出し個数、店出し時間に従ったそれぞれの単位売場でのそれぞれの納入商品についての検品を兼ねた陳列で数えた個数およびそれに合わせてそれぞれ該当する商品についての実在庫調べで数えた個数の上記該当する作業用端末への入力に基づいて、それぞれの納入商品について納品個数の照合を行い、さらにそれぞれの商品についての実在庫個数を確定する機能を有することを特徴とするコンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステム。
【請求項2】
上記スーパーマーケット等のコンピュータは、確定したそれぞれの商品の実在庫個数に基づいて、上記帳簿在庫データデータベースの該当するデータを修正することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステム。
【請求項3】
上記スーパーマーケット等のコンピュータは、照合の結果、上記の該当する作業用端末から入力された個数と対応する納品予定データ中の納品個数が不一致の場合に、上記の該当する作業用端末に再度納入商品の数を数えその個数を入力するよう指示することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステム。
【請求項4】
上記スーパーマーケット等のコンピュータは、照合の結果の不一致が解消されない場合は、該当する取引先に不一致の内容を伝達することを特徴とする請求項3に記載のコンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステム。
【請求項5】
上記スーパーマーケット等のコンピュータは、作業用端末から入力されたそれぞれの商品の実在庫個数と上記帳簿在庫データデータベースから求めた帳簿在庫個数の差をそれぞれ該当する作業用端末の該当する商品の在庫不足欄に表示することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータを使ったスーパーマーケット等の流通業における納入商品の検品および検品時棚卸しを支援するシステム。


【図1】
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【図2】
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