説明

コンピュータ制御駒

駒10は、ディスプレイ18のディスプレイ表面19上に、該駒を支持するための底面11を備える。該底面11は、該底面11の下のディスプレイ表面19上の制御画像を検出するための画像検出器12を有する。該駒10は、更に、前記制御画像に依存して前記駒10の外観又は位置を制御するために、前記画像検出器12に結合される制御手段13,14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観又は位置がコンピュータ制御可能である駒(pawn)に関する。
【0002】
本発明は、更に、このような駒と、該駒を制御する手段とを有するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
このような駒は、US2004/0164696として公開された米国特許出願から知られる。該米国特許出願は、インタフェース表面上の自身の位置を示すデータを感知するセンシング装置を有するロボットを記載する。前記データをコンピュータアプリケーションに伝えるため、無線トランシーバが使用される。該無線トランシーバは、前記ロボットによって前記コンピュータアプリケーションから運動命令を受信するためにも使用される。前記ロボットは、前記インタフェース表面に渡って運動するために、これらの運動命令を使用する。
【0004】
前記米国特許出願に記載されたシステムの不利な点は、複数のロボットが使用される場合に、干渉が、前記ロボットと前記コンピュータアプリケーションとの間の通信を妨害し得るということである。各々のロボットからコンピュータアプリケーションに、又はその逆に送信される多くの通信信号により、干渉が起こり得る。携帯電話又はラップトップPCのような他の装置によっても、干渉が起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、操作が干渉によって妨害されない、コンピュータ制御可能な駒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、この目的は、ディスプレイのディスプレイ表面上において駒を少なくとも部分的に支持するための底面と、該底面の下のディスプレイ表面上の制御画像を検出する画像検出器と、前記制御画像に依存して駒を制御するため、画像検出器に結合される制御手段とを有する駒を提供することによって達成される。
【0007】
ディスプレイ表面上の制御画像は、駒を制御するために使用される、制御手段のための情報を有する。該情報が駒の下に現れるので、情報が向けられる駒の画像検出器によってのみ、該情報が受信される。結果として複数のこのような駒を使用する場合にも、干渉の問題は起こらない。
【0008】
本発明による駒の一実施例において、画像検出器は、感光性ダイオードを有する。制御画像からの光が該ダイオードに影響を与える場合、前記制御手段は、駒を制御、すなわち該駒の位置又は外観を変える。
【0009】
本発明による駒の好ましい実施例において、画像検出器は、詳細な画像を検出することを可能にするためにCCDモジュールを有する。詳細な画像は、より多くの情報を有することができ、それゆえ、単一の制御画像を使用する駒の様々なパラメータを制御するのに非常に役立つ。
【0010】
制御手段は、ディスプレイ表面に対して駒を運動させる移送手段を有してもよい。運動の速度及び方向は、制御画像により含まれる情報に依存しても良い。
【0011】
制御手段は、駒の外観を変えるためのディスプレイ手段又は光源を有しても良い。該光源は、制御画像に依存してオン又はオフにされてもよい。代替として、光は点滅してもよく、又は、光の強度は調整されてもよい。駒のディスプレイ手段は、テキスト又は記号のメッセージをユーザに対して提供しても良い。
【0012】
駒は、制御手段に電力を供給する電源を有しても良い。本発明による駒の一実施例において、画像検出器は、制御画像から制御手段にエネルギーを輸送する。前記実施例において、制御手段に電力を供給するために、外部の電源は必要とされない。駒は、使い尽くされたら交換されなければならないバッテリを必要としない。画像検出器は、少なくとも1つの光電池を有しても良い。光電池は、ディスプレイ表面からの光を、制御手段によって使用する電気エネルギーに変換するために使用されてもよい。
【0013】
本発明の更なる態様において、駒を制御するシステムが設けられ、該システムは、ディスプレイ及び少なくとも1つの駒を有する。該ディスプレイは、制御画像を表示すると共に、該駒を支持するディスプレイ表面と、該ディスプレイ表面上の制御画像の生成を制御するプロセッサとを有する。前記駒は、ディスプレイ表面上において、駒を少なくとも部分的に支持する底面と、制御画像を検出する画像検出器と、制御画像に依存して駒を制御するために、画像検出器に結合される制御手段とを有する。
【0014】
本発明によるシステムの好ましい実施例において、ディスプレイは、更に、ディスプレイ表面上の駒の位置を検出する駒検出手段を有し、プロセッサは、駒の底面の下のディスプレイ表面の制御画像を生成する。
【0015】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例から明らかであり、該実施例を参照して明確にされるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明による駒10を示す。駒10の底面11は、ディスプレイ18のディスプレイ表面19上にある。底面11は、感光性ダイオード12を有し、その結果、ディスプレイ表面19から光を受けることができる。電気駆動ホイール13は、フォトダイオード12に結合される。フォトダイオード12とホイール13との間の結合は、例えば、ディスプレイ表面19がフォトダイオード12の下に白の制御画像を示すときにホイール13が回転するようにされる。
【0017】
ホイール13が回転するとき、駒はディスプレイ表面19に渡って移動する。好ましくは、ホイール13の回転の速度を制御して、したがって駒10の運動の速度を制御するために、異なるグレイレベルの制御画像が使用される。異なるグレイレベルは、駒10の運動の前/後の方向を符号化するために使用されてもよい。1つの駒10において、異なる方向に移動することを可能にするために、2又はそれより多くのホイール13が含まれても良い。
【0018】
図2a及び図2bは、ディスプレイ18と共動する、本発明による駒10を示す。両方の図において、駒の回りの表面領域は着色される。図2bにおいて、駒10の底面11の下のディスプレイ表面19は、白の制御画像を表示する。制御画像が駒10の底面11の下にあるので、駒11が透明でない限り、前記画像は、ユーザには見られない。ユーザは、それぞれの状況におけるディスプレイ表面19の間にいかなる違いも見つけないであろう。
【0019】
フォトダイオード12は、LED14又は他の光源に結合される。LED14がオン又はオフになるのは、制御画像に依存する。図2a及び図2bにおいて示される例では、制御画像が暗い場合(図2a)、LED14はオフであり、制御画像が白の場合(図2b)、LED14はオンである。例えば点滅するLED14を備えるために、又は光源14の強度を制御するために、グレイレベルが使用されてもよい。代替として、点滅する光のパターンは、制御画像の色の頻繁な変化によって提供されても良い。
【0020】
図3は、3つの別体の制御可能LED141、142、143を有する、本発明による駒10を示す。駒10は、3つのLED141,142,143を別々に制御する3つのフォトダイオード121,122,123を有する。各々のLED141,142,143は、図2a及び図2bと同じ態様で、フォトダイオード121、122,123に結合される。このイベントにおいて、ディスプレイ表面19上に表示される制御画像は、駒10の底面11の下の全体の領域をカバーしておらず、フォトダイオード12の直下の部分のみをカバーする。図3において、白の制御画像は、2つのフォトダイオード121及び122の下に示される。暗い制御画像は、第3のフォトダイオード123の下に表示される。第1の2つのフォトダイオード121及び122に結合されるLED141及び142がオンである。第3のフォトダイオード143に結合されるLED123は、オフである。
【0021】
図4は、3つのLED141、142、143を用いた駒10の代替の実施例を示す。この駒は、1つのフォトダイオード12のみを有する。フォトダイオード12は、集積回路IC15に結合される。3つのLED141,142,143は、IC15に結合される。IC15において、グレイレベル又は色は、電光パターンに変換される。電光パターンは、静的に例えば1つのLEDがオンで、2つのLEDがオフであるか、又は、動的にまず1つのLEDがオンで、それから2つ、3つ、1つ、...がオンであっても良い。IC15の使用は、非常に様々な電光パターンの使用を可能にする。図1のようにホイール13との組合せにおいて、IC15は、様々な運動パターンを提供しても良い。
【0022】
図5は、本発明による駒10の代替の実施例を示す。駒10は、より詳細な制御画像を検出するために、アレイ状の光センサ51を有する。このようなアレイ51の一例は、デジタルカメラにおいてしばしば使用されるCCDモジュールである。このようなアレイ51を使用する場合、制御画像は、例えば、バーコード、テキスト、矢印又は他の記号を有しても良い。IC15は、共に駒内に備えられるディスプレイスクリーン54とスピーカ53とを制御する。ディスプレイスクリーン54は、例えばLCDディスプレイであっても良い。図5の駒10内の全ての電子機器は、バッテリ52により給電される。CCDモジュール及び/又はICは、もちろん図1に示されるようにホイール13と組み合わせて、又は駒を制御する他の手段と組み合わせて使用されてもよい。
【0023】
代替として、光電池が、駒10内の電子機器に給電するために使用されてもよい。光電池は、電子機器に直接給電するか、又はバッテリを充電しても良い。光電池は、制御画像を検出するために使用されてもよい。例えば第1グループの光電池は、駒10を前又は後に移動するための第1ホイールに結合される。ディスプレイ表面19が、この第1グループの下で適切な強度の光を放出する場合、対応するホイールが給電され、回転を開始する。したがって、駒10は、前又は後ろに移動する。第2グループの光電池が光を受けるとき、駒10は、第2ホイールにより右又は左に移動される。対応するグループの光電池が光を受けるとき、ホイールは直接給電されるので、駒10の運動を制御するために、電源又は信号処理は必要とされない。
【0024】
ディスプレイ表面19から駒に少ないエネルギーしか輸送する必要のない光電池を持つ駒の一実施例において、光電池は、あるレベルまでキャパシタを充電する。このレベルが到達されると、駒内の電子機器は、駒のLEDで点滅を生成するために、この蓄積されたエネルギーを使用する。
【0025】
図6は、本発明によるシステム60を示す。図6に示される例となるシステム60は、ボードゲームをするために使用される。該システムは、上述のディスプレイ18と、複数の駒10とを有する。駒10は、ディスプレイ18のディスプレイ表面19上に置かれる。該ディスプレイは、ディスプレイ表面19上でグラフィックスを表示するためのグラフィックユニット62を有する。図6において、ゲームボードが示される。駒検出ユニット61は、ディスプレイ表面19上の駒10の位置を検出する。ボード上の駒の位置を検出する多くの技術が、従来技術において知られている。例えば本出願と同じ出願人の欧州特許公開公報EP0414562.6(内部整理番号PHNL041016)の出願において、駒を検出すると共に、駒を識別するためにその底面をスキャンすることができるスキャニングディスプレイが記載される。プロセッサ63は、駒10の位置についての情報を使用し、制御画像がディスプレイ表面19上のどこに表示されなければならないのかを計算する。それから、グラフィックユニット62は、制御画像を生成する。制御画像が駒10の運動を制御するために使用される場合、駒検出ユニット61は、表示されるべき制御画像の位置を再計算するために、駒10の位置をプロセッサ63に連続的に供給しても良い。代替として、完全な運動パターンは、更なる干渉なしに駒10を移動することができるように、1つの制御画像において符号化されても良い。
【0026】
代替の実施例において。ディスプレイ18は、駒検出ユニット61を持たない。ユーザは、制御画像が表示される、ディスプレイ表面19上の特定の位置に駒10を位置するように指示される。ディスプレイ表面19上のこの位置は、駒10により連続的に覆い隠されるわけではない。それゆえ制御画像は、好ましくは可視光波長ではない光、例えば赤外光又は紫外光を放出する。
【0027】
上述の実施例は、本発明を制限するのではなく説明し、当業者らが、請求項の範囲から逸脱することなく、多くの代替の実施例を設計することができるであろうということは、留意されるべきである。請求項において、括弧内に位置されたいかなる参照符号も、請求項を制限するとして解釈されるべきではない。動詞「有する」、及びその活用形の使用は、請求項において述べられる以外の要素又はステップの存在を排除しない。要素の単数の表記は、このような要素の複数の存在を排除しない。本発明は、いくつかの異なる要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実施され得る。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの同一の部品によって実施されても良い。ある手段が相互に異なる従属請求項において繰り返されるという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による駒を示す。
【図2a】図2aは、ディスプレイと共動する、本発明による駒を示す。
【図2b】図2bは、ディスプレイと共動する、本発明による駒を示す。
【図3】図3は、3つの別体の制御可能LEDを有する、本発明による駒を示す。
【図4】図4は、駒を制御する集積回路を有する、本発明による駒を示す。
【図5】図5は、テキスト及び記号のメッセージを供給するディスプレイを有する、本発明による駒を示す。
【図6】図6は、ディスプレイ及び複数の駒を有する、本発明によるシステムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駒であって、
‐ ディスプレイのディスプレイ表面上で、該駒を少なくとも部分的に支持する底面と、
‐ 該底面の下の前記ディスプレイ表面上の制御画像を検出する画像検出器と、
‐ 前記制御画像に依存して前記駒を制御するために、前記画像検出器に結合される制御手段と、
を有する駒。
【請求項2】
前記画像検出器が感光性ダイオード又はCCDモジュールを有する、請求項1に記載の駒。
【請求項3】
前記制御手段が、前記ディスプレイ表面に対して前記駒を移動する移送手段を有する、請求項1に記載の駒。
【請求項4】
前記制御手段が、前記駒の外観を変えるためのディスプレイ手段又は光源を有する、請求項1に記載の駒。
【請求項5】
前記制御手段が、音を生成するスピーカを有する、請求項1に記載の駒。
【請求項6】
前記制御手段に電力を供給する電源を更に有する、請求項1に記載の駒。
【請求項7】
前記電源が、前記制御画像から前記制御手段にエネルギーを輸送する前記画像検出器を有する、請求項6に記載の駒。
【請求項8】
前記画像検出器が、少なくとも1つの光電池を有する、請求項7に記載の駒。
【請求項9】
駒を制御するシステムであって、該システムが、ディスプレイと少なくとも1つの駒とを有し、該ディスプレイが、
‐ 制御画像を表示すると共に、前記駒を支持するディスプレイ表面と、
‐ 該ディスプレイ表面上に前記制御画像を生成するプロセッサと、
を有し、前記駒が、
‐ 前記ディスプレイ表面上において、少なくとも部分的に前記駒を支持する底面と、
‐ 前記制御画像を検出する画像検出器と、
‐ 前記制御画像に依存して、前記駒を制御するために、前記画像検出器に結合される制御手段と、
を有するシステム。
【請求項10】
前記ディスプレイが、前記ディスプレイ表面上の前記駒の位置を検出する駒検出手段を更に有し、前記プロセッサが、前記駒の底面の下の前記ディスプレイ表面上に前記制御画像を生成する、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−539933(P2008−539933A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510704(P2008−510704)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051436
【国際公開番号】WO2006/120633
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】