説明

コンピュータ装置

【課題】従来、動作環境データ等の保存を繰返すとアドレス誤り等の蓄積により、突然動作不能に陥ることがあった。本発明は、装置内のメモリ設定誤り等を自動的に修正し、それらが蓄積することによるトラブルを防止したコンピュータ装置を提供する。
【解決手段】CPU、装置管理メモリ領域、ユーザ開放メモリ領域を備えたコンピュータ装置又は該コンピュータを搭載した装置において、時刻電波受信手段、タイマ手段、メモリ領域初期化手段を備え、取得した初期化時刻情報に基づいて前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ装置に関し、詳しくは電波時計等の時刻情報取得手段を備え、正確な時刻情報や周波数情報に基づいて装置のデバイスの初期化処理を行うようにしたコンピュータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置の構成は基本的に中央処理装置(以下CPUと云う)と各種記憶装置(以下メモリと云う)とこれらメモリに記憶されたプログラムやデータで構成されており、コンピュータ装置はパソコン(パーソナル・コンピュータ)等の汎用コンピュータに限らず、コピー装置、FAX装置、デジタルカメラ等の家電製品や携帯電話機等にも広く搭載されて多様な機能を提供している。そして使用されるメモリも各種のものが使用されるようになった。
【0003】
一方、コンピュータ装置は大規模複雑なものでも簡単な構成のものであっても、処理手順・方法の考え方は同じで、一般的に電源投入時に記憶デバイスの初期化、装置デバイスの初期化、装置デバイスの監視を行うようになっている。また、電源に関しては常時電源投入状態で使用するもの、あるいは使用する際に電源を投入し、使用終了時に電源を遮断するもの等、種々の使用形態があり得る。また、主電源遮断時のバックアップ用電源を備えた装置では、再電源投入時に遮断前の状態に復元できるように、データの保存や、コンピュータの各種設定状況をメモリに記憶する等の一連の処理を終了した後、電源遮断を行うサスペンド(リジューム)機能を備えたものが多くなっている。なお、省電力機能として、一定時間使用しない場合やバッテリィ容量減少時に、ディスプレイやハードディスク、周辺機器への電力供給を遮断する機能が付加されている場合が多いが、この際にもサスペンド機能によりデータ保存等の一連の必要な処理を行った後に電源遮断を行い、サスペンド状態から再電源投入すると、サスペンド以前の状態に迅速に復帰させる処理(この処理をリジュームと云う場合もある)が行われる。
【0004】
コンピュータ装置やコンピュータ搭載装置の初期化処理については、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1は、サスペンド(リジューム)機能を備えた電気電子機器の初期化装置に関するもので、工場からコンピュータ装置を出荷する際、コンピュータ装置内部の揮発性メモリに保存されている工場で行った処理や操作状態データ、制御マイクロコンピュータの内部レジスタ、カウンタのデータ等を処理効率よく初期化する手段が開示されている。
【特許文献1】特開2005−92674公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコンピュータ装置では、記憶デバイスの容量が少ないうちは十分な管理が可能であったが、現在では記憶デバイスの容量も飛躍的に増大しており十分な管理ができない状況になっている。例えばメモリ装置としては、EEPROM、FLASHROM、各種のRAM等、管理の方法も処理手順も異なる多くのデバイスがあり、更に、このような傾向は今後益々強まることが予想される。
【0006】
図4は従来のコンピュータ装置の電源投入時の初期化の処理例を示すフローチャートである。周知の通りコンピュータ装置では電源を投入すると、各デバイスメモリの初期化が行われる。この例では同図(a)に示すように先ず記憶デバイスの初期化を行い(S41)、次に、装置デバイスを初期化し(S42)、その後、装置デバイスの変化を監視する(S43)。この処理フローの説明ではデバイスの初期化処理の説明を目的とするので、デバイスの監視については省略する。なお、前記記憶デバイス初期化処理S41では同図(b)に示すように、装置が管理する記憶デバイス領域を予め設定されたデフォルト値で初期化を行い(S41−1)、次に、ユーザに開放された記憶領域を所要のデフォルト値で初期化する(S41−2)。また、同様に装置デバイスの初期化では、装置が管理する装置デバイスを予め設定されたデフォルト値で初期化を行い(S42−1)、次に、ユーザに開放された装置デバイスを所要のデフォルト値で初期化する(S42−2)。
【0007】
装置が管理するメモリ領域(装置管理メモリ領域)は、装置の予約領域で装置が独自に保有する状態番号値、プロトコルデータ値、装置独自のオブジェクトデータ等、ユーザには操作変更できないメモリ領域である。また、ユーザ開放メモリ領域には、コンピュータ搭載装置が携帯電話装置である場合、例えば、電話帳、LCD表示メッセージ、ビープ音のON/OFF設定、メール受信データ、画像データ、着信音等のデータや設定した機能を実行するプログラム等が記憶されている。ユーザ開放メモリ領域はユーザが自由に修正可能であるが、装置管理メモリ領域は、装置がユーザの手に渡ると一切管理できない状態になる。
一方、装置を使用続けると外見上は気がつかないが、装置内部ではメモリの設定誤り等の不具合が発生することが多く、長期間使用を続けるとこれらの不具合が蓄積し、ある日突然動作しなくなることが知られている。
【0008】
従って、コンピュータ装置の電源が連続して常時投入されている場合は、電源遮断・投入時の初期化処理が実行されず、メモリ設定誤り等の蓄積によって、突然制御不能状態に陥る虞が高い。また、電源遮断・再投入時に初期化処理を行う場合であっても上述したようにメモリの容量が多くなると、速やかな遮断と立ち上げを優先してユーザ開放メモリ領域のみの初期化処理を行い、装置管理メモリ領域の初期化を行わないことも考えられるので、その場合も同様にメモリ設定誤り等の蓄積による突然の制御不能状態発生の可能性が高くなる。あるいは、サスペンド処理においては、必要最小限のデータ等の保存のみを行い、時間を要する初期化を行わない場合や、初期化を行うとしてもユーザ開放メモリ領域に留まる場合も、同様の問題が発生する可能性が高くなる。
【0009】
本発明はこのような従来のコンピュータ装置の問題を解決することを目的としてなされたものであって、定期的にコンピュータ装置の所要記憶装置を初期化する処理機能を付加することによって、装置内のメモリ設定誤り等を修正し、それらが蓄積することによるトラブルを防止することができるコンピュータ装置及びコンピュータ搭載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、上記目的を達成するために、請求項1記載のコンピュータ装置では、少なくともCPUと、装置管理メモリ領域と、ユーザ開放メモリ領域と、を備えたコンピュータ装置又は該コンピュータを搭載した装置において、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、該時刻情報取得手段によって得た時刻情報に基づいて予め設定した初期化時刻であることを検知するタイマ手段と、少なくとも前記装置管理メモリ領域を予め設定したデフォルト値に設定する装置管理メモリ領域初期化手段と、前記タイマ手段から取得した初期化時刻情報に基づいて前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する初期化駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載のコンピュータ装置では、少なくともCPUと、装置管理メモリ領域と、ユーザ開放メモリ領域と、を備えたコンピュータ装置又は該コンピュータを搭載した装置において、時刻情報電波を受信する時刻電波受信手段と、該時刻電波受信手段によって得た時刻情報に基づいて予め設定した初期化時刻であることを検知するタイマ手段と、少なくとも前記装置管理メモリ領域を予め設定したデフォルト値に設定する装置管理メモリ領域初期化手段と、前記タイマ手段から取得した初期化時刻情報に基づいて前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する初期化駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項1又は請求項2記載のコンピュータ装置において、前記初期化駆動手段は、更に、前記初期化時刻に当該コンピュータ装置がアイドリング中か否かを判断する手段と、この判断において装置がアイドリング中であることを判断した場合に前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載のコンピュータ装置において、前記時刻情報取得手段又は前記時刻電波受信手段は、更に、取得又は受信した前記時刻情報から基準周波数情報、時刻情報、カレンダ情報の少なくとも一つを検出する手段を備え、前記装置管理メモリ領域初期化手段は、更に、基準周波数情報、時刻情報、カレンダ情報の少なくとも一つに基づいて前記装置管理メモリ領域又はユーザ開放メモリ領域の時刻情報を含むデータの誤りを修正する手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成するので、請求項1記載及び請求項2記載のコンピュータ装置では、少なくともCPUと、装置管理メモリ領域と、ユーザ開放メモリ領域と、を備えたコンピュータ装置又は該コンピュータを搭載した装置において、時刻情報を取得する時刻情報取得手段又は時刻電波受信手段と、該時時刻情報に基づいて予め設定した初期化時刻であることを検知するタイマ手段と、少なくとも前記装置管理メモリ領域を予め設定したデフォルト値に設定する装置管理メモリ領域初期化手段と、前記タイマ手段から取得した初期化時刻情報に基づいて前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する初期化駆動手段を備えたので、時刻情報によって極めて正確な時刻情報や周波数情報、更には、日時等のカレンダ情報を取得し、これらの情報に基づいて自動的に少なくとも装置管理メモリ領域の所要部分を初期化することが可能となる。従って、常時電源を投入している装置においても定期的に装置管理メモリ領域の初期化の実施により、メモリ設定誤り等を修正し、それらが蓄積することによるトラブルを防止することができる。また、電源遮断を頻繁に行い、都度初期化を実施する場合であっても、その際に初期化処理を行わない部分が有るときは、本発明によってその部分について初期化すれば、同様に本発明が有用であり同様の効果が得られる。
【0015】
請求項3記載の発明では、請求項1又は請求項2記載のコンピュータ装置において、前記初期化駆動手段は、更に、前記初期化時刻に当該コンピュータ装置がアイドリング中か否かを判断する手段を備え、装置がアイドリング中であることを判断した場合に前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動するように構成したので、装置が起動中に初期化を行う不都合を除去することが可能となる。この発明は、常時電源を投入して使用する各種サーバシステム等のコンピュータ搭載装置において特に有用である。
【0016】
請求項4記載の発明では、請求項1乃至請求項3記載のコンピュータ装置において、前記時刻取得手段又は時刻電波受信手段は、更に、受信した前記時刻情報から基準周波数情報、時刻情報、カレンダ情報の少なくとも一つを検出する手段を備え、前記装置管理メモリ領域初期化手段は、更に、前記基準周波数情報、時刻情報、カレンダ情報の少なくとも一つに基づいて前記装置管理メモリ領域又はユーザ開放メモリ領域の時刻情報を含むデータの誤りを修正する手段を備えたので、極めて正確な時刻情報や周波数情報に基づいて、保存している各種データの誤り修正、あるいは装置自体のクロック周波数制御手段の補正等に利用可能となり、コンピュータ装置やそれらを搭載する装置の処置精度を維持管理する上で、極めて効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される技術用語、構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明に係るコンピュータ装置の一実施態様例の構成を示す概要ブロック図である。この例に示すコンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)1と、記憶デバイス・メモリ2と、装置デバイス・メモリ3と、時刻電波受信部(時刻電波受信手段)4と、各部を接続するバスライン5と、各部に電力を供給する電源部6と、前記電源部6と前記各部の所要部との間に挿入した電源スイッチ7とを備えている。更に、前記記憶デバイス・メモリ2は、装置管理領域(装置管理メモリ領域)2−1と、ユーザ開放領域(ユーザ開放メモリ領域)2−2とを備え、また前記装置デバイス・メモリ3には、装置管理領域(装置管理メモリ領域)3−1と、ユーザ開放領域(ユーザ開放メモリ領域)3−2とを備えている。また前記時刻電波受信部4は、フェライトコア等に所要数導線を巻き付けたアンテナ4−1と、時刻電波を受信する受信機4−2と、時刻信号処理用マイクロ・プロセッサ4−3とが含まれている。
【0018】
なお、以下に説明するように請求項に記載した構成要素のうち、タイマ手段と、装置管理メモリ領域初期化手段と、初期化駆動手段は、前記CPU1及び記憶デバイス・メモリ2、装置デバイス・メモリ3の記憶している処理プログラムや各種データによって実現される。また、時刻情報取得手段として専ら無線方式について説明するが、本発明では無線方式に限らず有線方式で時刻情報を取得する場合であっても同様に実施可能である。
【0019】
時刻情報電波としては、この例では、独立行政法人情報通信研究機構日本標準時グループが管理・運営している標準電波を利用する場合を例示する。この標準電波は数十万年に1秒の誤差と云われるセシウム原子時計の信号に基づいて生成した時刻信号電波を、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)の2カ所から送信している。近年、これらの電波を受信して正確な時刻を表示する時計が「電波時計」として広く普及しており、腕時計や壁掛け時計、あるいは置時計として多数市販されている。また、この標準電波は、例えばテレビやビデオ装置の番組予約用のタイマ手段等、各種の電気製品にも利用されており、時刻電波受信手段として機能し得るマイクロ・プロセッサや周辺回路を含むIC化回路やアンテナが比較的安価に入手できるので、本発明においても利用可能であり、消費電流も極めて少ないので図1の電源スイッチ7のオン・オフに拘わらず、常時供給しておいてもよいし、専用の電池を用意してもよい。
【0020】
また、上述した標準電波では、時計の時刻設定用に定時受信機能が用意されており定期的に修正用の信号が送信される。電波時計用の受信ユニットを使用した場合、電波を受信して時計の秒針、カレンダ情報を正確な値に修正する定時受信は、他のノイズ成分が少なく電波状況が良い夜間に設定されており、回数や設定時刻には、いくつかのものが存在する。例えば、毎日、午前2時と4時2回行うもの、毎日午前2時、3時、4時の3回行うもの、奇数日と偶数日とで、時間が異なるもの等、種々のものが存するので、以下説明するようにこの機能を利用することも可能である。
【0021】
図2は、前記図1に示した構成のコンピュータ装置の制御例を示すフローチャートである。この例に示す処理では電源装置6に付加された電源スイッチ7が操作されて電源が投入されると、先ず、記憶デバイスを予め設定したデフォルト値(初期値)に設定し(S1)、その後、装置デバイスを初期値に設定する(S2)。この両者の処理では、前記図4(a)、(b)、(c)に示した例と同様に、夫々の処理では装置が管理する領域とユーザ開放領域夫々をデフォルト値に設定する処理が含まれている。
【0022】
これら記憶デバイスの初期化と装置デバイスの初期化が終了すると、通常動作に移行し、上述した電波時計の信号を受信し(S3)、受信した時刻情報を監視し、予め設定した時刻になるのを待つ(S3)。あるいは、標準電波に含めて送信される前記定時受信データを受信検出することによって、初期化時刻であることを判断することもできる。予め設定する時刻は、上述したように標準電波による定時受信機能を利用する場合は、夫々のシステムに適応させた時刻に設定すればよいが、定時受信機能を利用する例に限る必要はなく、例えば早朝のコンピュータの使用が比較的少ない時刻に設定することもできる。このとき、定時受信時に送信されるカレンダ情報等が入手できない場合は、定時受信時のデータを保存しておき、必要に応じて内蔵するクロック発生手段や前記タイマ手段によって時刻情報を補正して利用することもできる。対象の装置がメールサーバ等である場合は、比較的メール送受信が少ない時間帯に設定する等、装置が使用される状況に応じて設定することが好ましい。この状態でタイマが予め設定した時刻になると、その時点で制御対象装置がアイドリング中であるか否かを判断する(S4)。ここで云うアイドリング中とは、装置が使用されていない状態を云い、装置が使用中である場合(S4 N)に初期化処理を行うと途中処理の妨げとなるので、初期化処理を行うことなく装置デバイスの変化を監視し、変化に対応した処理を行い(S5)、再び電波時計の信号を受信し上述したタイマ時刻になるのを待つ。
【0023】
また、前記処理S4においてコンピュータ装置がアイドリング中のときは(S4 Y)、前記処理S1に移行して、記憶デバイスの初期化(S1)と装置デバイスの初期化(S2)を実行する。なお、標準電波による定時受信は1日のうちに複数回設定しているので、その中のいずれか1回の定時受信時に装置がアイドリング中と判断され初期化できれば良いので、初回に初期化に成功すれば、その後の定時受信時に初期化処理を行わないように設定してもよい。
【0024】
このように定期的にコンピュータ装置やコンピュータ装置を搭載した装置の記憶デバイスや装置デバイスの初期化を実行すれば、電源を常に投入している装置であっても、定期的に装置内のメモリ設定誤り等を修正することができるので、それらが蓄積することによるトラブルを防止することが可能となる。
【0025】
図3は本発明の変形実施態様例を示すフローチャートであり、この例では予め設定した初期化時刻にコンピュータ装置がアイドリング状態でない場合の対応について変形すると共に、処理手順を若干異なるように表現したものである。
即ち、処理がスタートすると、時刻電波を時刻電波受信部4の受信機4−2によって受信し(S10)、マイクロ・プロセッサ4−3により時刻情報を取得する(S11)。時刻情報には、例えば、タイムコードとして、時、分、通算日、年(西暦下2桁)、曜日が含まれており、また、受信する電波信号の周波数も正確な周波数情報として利用可能である。これらの情報を入手すると共に、独自に初期化時刻を設定する場合には、タイマ手段によって、その時刻であることを判断し(S12)、予定時刻でない場合は(S13 N)予定時刻になるのを待つ。この判断処理において予定時刻であることが判断されると(S13 Y)コンピュータ装置がアイドリング中であるか否かを判断し、アイドリング中でない場合は(S14 N)、アイドリング中になるのを待って(S14 Y)、記憶デバイス初期化処理(S15)と装置デバイス初期化処理(S16)を行う。これら初期化処理については前記図2に示した例と同様であるので、説明は省略する。このように、初期化予定時刻に制御対象装置が使用中で初期化するのに適当でない場合は、アイドリング状態になるのを待って初期化処理を実行するので、比較的アイドリング状態になるチャンスが少ない装置であっても、確実に初期化を実行することが可能となる。
【0026】
本発明は以上説明した実施例に限定する必要はなく種々変形が可能である。例えば、上述したように電波時計用の標準電波には正確な周波数情報や、日、時、分等のカレンダ情報が含まれているので、コンピュータ装置を初期化する際、あるいは任意の時刻に保存している各種データ中の時刻情報を検出し、これらを前記カレンダ情報と比較し、誤りがある場合は修正するように構成することも可能である。例えば、保存時刻の正確さは、その後の処理における誤動作を防止する上で効果があるし、コンピュータ装置のクロック周波数を正確に保つことは、動作の正確性を保つ上で有用である。
【0027】
また、携帯電話機にもコンピュータ装置が搭載されているが、今後、益々処理スピードが高速になり、またメモリ容量も増加し複雑なプログラムがインストールされることが予想されるので、携帯電話端末装置に対し、基地局を介して時刻情報を送信し、あるいは実際に送信されている時刻情報を利用して、又は同様の標準電波受信機能を付加して、定期的に装置デバイスや記憶デバイスを初期化すれば、多数使用されている携帯端末の機能維持を行うことができる。
【0028】
なお、本発明では標準電波による時刻情報取得の他、他の時刻情報を用いることも可能である。時刻情報としては、例えばNHK(日本放送協会)教育放送の時報を受信することによって、正確な時刻情報を得ることができる、またその際の時報報知トーン信号も正確な周波数情報として利用可能である。また、GPS(Global Position System)用人工衛星からの電波も正確な時刻情報が含まれているので、利用可能である。更に、CDMA方式の携帯電話基地局から送信される電波には、端末の正確な位置を検出するために、前記GPS電波から得た正確な時刻情報を送信しているので同様に利用可能である。従って、これらの時刻情報を適宜取得することによって、上述した例と同様に本発明を実現することが可能である。また、初期化を行うサイクルは、1日単位である必要はなく、週単位、月単位、数ヶ月単位等、適宜設定することができる。
【0029】
なお更に、上記実施例においてはコンピュータ装置の電源が連続して常時投入されている場合を示したが、本発明はこの例に限らず、種々の場合に効果が考えられる。即ち、電源遮断・再投入時に初期化処理を行う場合であっても上述したようにメモリの容量が多くなると、速やかな遮断と立ち上げを優先してユーザ開放メモリ領域のみの初期化処理を行い、装置管理メモリ領域の初期化を行わないことも考えられるが、その場合も同様にメモリ設定誤り等の蓄積による突然の制御不能状態発生の可能性が高くなり、あるいは、サスペンド処理においては、必要最小限のデータ等の保存のみを行い、時間を要する初期化を行わない場合や、初期化を行うとしてもユーザ開放メモリ領域に留まる場合も、同様の問題が発生する可能性がある。そこで、定期的に上述した本発明の目的とする所要デバイスの初期化処理を行って、このような不具合を除去することが有用である。
【0030】
また更には、上述した処理を手順として把握し、それらを実現するようにプログラムを作成すれば、制御対象のコンピュータ装置にこれらのプログラムや必要なデータをインストールするだけで、本発明を実施可能であるし、時刻情報が他の装置等から供給される場合は、それを利用することによって、新たに無線受信手段を付加する必要もない。なお、本発明はコンピュータ装置そのものに限らず、コンピュータを搭載した装置に広く採用可能であり、その装置が時刻情報取得手段を備えている場合は、その情報を流用することも可能であり、又は、装置自体が時刻情報を必要とする場合は、本発明において付加する時刻取得手段を流用することも可能である。なお更に、上述した特許文献1に記載された発明を併用すること、あるいは本発明において詳述していない事項については、同特許文献を参照して補うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るコンピュータ装置の制御例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係るコンピュータ装置の他の制御例を示すフローチャートである。
【図4】従来のコンピュータ装置の制御例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 CPU、2 記憶デバイス・メモリ、3 装置デバイス・メモリ、4 時刻電波受信部(時刻電波受信手段)、5 バスライン、6 電源部、7 電源スイッチ、2−1 装置管理領域(装置管理メモリ領域)、2−2 ユーザ開放領域(ユーザ開放メモリ領域)、3−1 装置管理領域(装置管理メモリ領域)、3−2 ユーザ開放領域(ユーザ開放メモリ領域)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともCPUと、装置管理メモリ領域と、ユーザ開放メモリ領域と、を備えたコンピュータ装置において、時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、該時刻情報取得手段によって得た時刻情報に基づいて予め設定した初期化時刻であることを検知するタイマ手段と、少なくとも前記装置管理メモリ領域を予め設定したデフォルト値に設定する装置管理メモリ領域初期化手段と、前記タイマ手段から取得した初期化時刻情報に基づいて前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する初期化駆動手段と、を備えたことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
少なくともCPUと、装置管理メモリ領域と、ユーザ開放メモリ領域と、を備えたコンピュータ装置において、時刻情報電波を受信する時刻電波受信手段と、該時刻電波受信手段によって得た時刻情報に基づいて予め設定した初期化時刻であることを検知するタイマ手段と、少なくとも前記装置管理メモリ領域を予め設定したデフォルト値に設定する装置管理メモリ領域初期化手段と、前記タイマ手段から取得した初期化時刻情報に基づいて前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する初期化駆動手段と、を備えたことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項3】
前記初期化駆動手段は、更に、前記初期化時刻に当該コンピュータ装置がアイドリング中か否かを判断する手段と、この判断において装置がアイドリング中であることを判断した場合に前記装置管理メモリ領域初期化手段を駆動する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記時刻情報取得手段又は前記時刻電波受信手段は、更に、取得又は受信した前記時刻情報から基準周波数情報、時刻情報、カレンダ情報の少なくとも一つを検出する手段を備え、前記装置管理メモリ領域初期化手段は、更に、前記時刻情報取得手段又は前記時刻電波受信手段が得た基準周波数情報、時刻情報、カレンダ情報の少なくとも一つに基づいて前記装置管理メモリ領域又はユーザ開放メモリ領域の時刻情報を含むデータの誤りを修正する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載のコンピュータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−279951(P2007−279951A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104095(P2006−104095)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】