説明

コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構

【課題】搬送用コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構を提供することにある。
【解決手段】間隔をおいて並行する複数の上弦材と複数の下弦材とを有するコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部8が頂部に位置するように配置された第1角形鋼管をトラス架構の各隅部の上弦材4または下弦材5として所定の位置に配置し、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部8が頂部に位置するように配置された第2角形鋼管またはコーナー部8が頂部に位置するように配置された山形鋼を、前記トラス架構1における横方向の繋ぎ梁2あるいは横方向の斜材7として所定の位置に配置し、前記繋ぎ梁2あるいは横方向の斜材7の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレート3を介して接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、コークス等のバラ物を搬送するコンベアーを支持するためのコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭、コークス等のバラ物の搬送コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構として、例えば、図17〜図20に示すような大型の断面箱型のトラス架構20がある。
この箱型構造のトラス架構20は、断面H形鋼材21の各フランジ22を上フランジおよび下フランジとして、それぞれ上下に配置すると共に横方向に延長するように平行に配置して上弦材23あるいは下弦材24として使用している。
また、一側部の前記上弦材23と下弦材24とを、これらに設けられた縦向きガセットプレート25を介して、束材27あるいは斜材28と溶接等により固定することで連結して、側面トラス梁29を構成している。前記の束材27あるいは斜材28は、溝形鋼のウェブが垂直面内に位置するように溝形鋼26を縦向きに配置している。
【0003】
また、横方向に間隔をおいて並行に隣り合う側面トラス梁29相互間における上弦材23相互又は下弦材24相互を、溝形鋼26のフランジを上下に配置するようにした繋ぎ梁30を弦材長手方向に間隔をおいて多数平行に配置すると共に連結している。また、前記各繋ぎ梁30の中間部に水平方向に張り出す横方向張り出しガセットプレート31を設けている。また、上弦材23または下弦材24に横方向に張り出す横方向張り出しガセットプレート31を弦材長手方向に間隔をおいて多数設けて、弦材側の横方向張り出しガセットプレート31と繋ぎ梁30側の横方向張り出しガセットプレート31とを、横方向の斜材32により連結している。横方向の斜材32は、上面が平坦面となるように一辺を横向き(図示の場合は水平配置)に配置すると共に、横方向に延長するように配置された山形鋼からなり、上弦材23(または下弦材24)と繋ぎ梁30と横方向の斜材32とによりトラス構造となるように連結している。
また、このような箱型構造のトラス架構20においては、内部空間が大きく形成できるため、図20に示すように、搬送用コンベアー33におけるフレーム34を繋ぎ梁30に支持させるように脚部35を設置し、断面箱型のトラス架構20の内側空間内に搬送用コンベアー33を配置する形態となる。
【0004】
なお、これらの形態では、上弦材23相互または下弦材24相互を直列に配置して連結する場合には、添え板あるいは端部フランジを設けて、弦材相互を連結したり、繋ぎ梁あるいは弦材と斜材等をボルト等を用いて連結するようになる。
【0005】
このような断面箱型のトラス架構20に粉体を含むバラ物を搬送するコンベアーを設置して搬送した場合、上弦材23あるいは下弦材24における上フランジ22上面には、塵埃が堆積し易いと共に、その下方の下フランジ22にも塵埃が堆積し易く、特に、下フランジ22上の塵埃は、上面からの洗浄あるいは下フランジ22下面側からの水噴射により洗浄する場合には、影面(裏面)となっていることから洗浄しづらいという問題がある。
また、繋ぎ梁30の上フランジ22上面、あるいは下フランジ22上面も前記と同様な問題がある。
また、上弦材23または下弦材24と繋ぎ梁30を連結するための、ガセットプレートは、水平方向に張り出す横方向張り出しガセットプレート31である。
このような箱型構造のトラス架構では、上弦材23あるいは下弦材24または上下の繋ぎ梁30の上下のフランジ上、横方向張り出しガセットプレート31、横方向の斜材32の上フランジ22上は、平坦な上面であるため、塵埃等が堆積し易いと共に雨水が滞留し易い構造となっており、腐食上不利な構造である。
【0006】
また、図21から図23に示すように、上弦材23あるいは下弦材24として鋼製管体を使用すると共に、側面トラス梁29を形成している束材27あるいは斜材28として同様に小径の鋼製パイプ材を使用して鉛直配置のガセットプレート25を介して連結し、さらに側面トラス梁29相互を、横方向に張り出すように設けられた横方向張り出しガセットプレート31を介して鋼製パイプ材からなる傾斜繋ぎ梁30により連結するようにした箱型構造のトラス架構20もある。
【0007】
また、このような箱型構造のトラス架構20においては、図23に示すように、搬送コンベアー33におけるフレーム34を上弦材23に支持させるように脚部35を設置し、断面箱型のトラス架構20の上部に搬送コンベアー33を配置する形態となる。
【0008】
このような箱型構造のトラス架構20では、上弦材23あるいは下弦材24あるいは横方向に傾斜した傾斜繋ぎ梁30として、円形鋼管を使用しているため、円形鋼管の中心軸線で横中心軸線を基準として右周りまたは左周りで45°までは、弦材側面は急傾斜側面であるが、45°を越えて90°までの弦材上端面は、平坦に近い緩い円弧状緩傾斜面36となっているため、平板よりは塵埃堆積あるいは雨水滞留を少なくする点で効果が見込めるが、弦材頂部の平坦に近い緩い円弧状緩傾斜面36上に、塵埃等が堆積し易いと共に雨水が滞留し易い構造となっており、腐食上不利な構造である。
【0009】
また、上弦材23あるいは下弦材24と横方向の傾斜繋ぎ梁30とを、横方向に張り出すガセットプレート31を介して連結している構造であるので、横方向に張り出すガセットプレート31上の平坦な上面に、塵埃等が堆積し易いと共に雨水が滞留し易い構造となっており、この点でも、腐食上不利な構造である。
【0010】
なお、これらの形態でも、上弦材23相互を直列に配置して連結する場合には、添え板あるいは端部フランジ37を設けて、上弦材23の端部相互を連結したり、繋ぎ梁30あるいは弦材23(24)と斜材32等を、ボルト等を用いて連結するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平09−86640号公報
【特許文献2】特開2002−275663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記のように、従来の場合は、上弦材23あるいは下弦材24として、H形鋼あるいはI形鋼の各フランジ22を上部および下部にそれぞれ横向きに配置したり、上面トラス架構あるいは下面トラス架構の斜材にH形鋼を前記と同様な向きに配置して使用したり、溝形鋼のフランジあるいはウェブ、または山形鋼の一辺を前記と同様に横方向に延長するように配置して用いており、これらの部材の上側の平坦部あるいは凹部は、粉体混じりのバラ物を搬送する場合に粉塵が堆積したり、雨水の滞留が生じやすいという問題がある。
また、粉塵が堆積すると雨水などが滲み込み酸性やアルカリ性の湿潤状態が単に保たれるため、構造躯体を腐食させたり、構造躯体の塗装塗膜を損傷させ加速する恐れがあるという問題がある。
また、前記のように、弦材または束材あるいは斜材として円形鋼管を用い水平配置のガセットプレートを介して接合する構造では、断面円形でるため、部材上面が曲面となることで平板よりは、粉塵の堆積あるいは雨水の滞留の点で効果が見込めるが、断面円形の頂上付近は平坦であり堆積が生じる。また、これらの構造においても部材接合部のガセットプレートは水平であり、接合部への堆積防止にはなっていない。
また、コンベアーのローラー支持構造の一部に、山形鋼を山傘向きに配置するアイデアはあるが、その他の部分や接合部に対する配慮もなく、コンベアー用の架構全体の粉塵堆積レス化には効かない。
また、H形鋼あるいはI形鋼では、上下のフランジ上面を水平あるいは横向きに配置する場合には、上フランジの上面あるいは下フランジの下面は、洗浄しやすいが、下フランジ上面(特に、間隔をおいて並行する内側の弦材における下フランジ上面)は表の面ではなく、裏面であり、上面から見て上弦材から隠れる下側の弦材は、2重の裏面となっているため、洗浄が容易でないと共に、堆積した塵埃あるいは雨水の滞留を容易に除去できない部分である。
【0013】
本発明は、前記の問題点を有利に解決し、弦材および横方向の繋ぎ材あるいは横方向の斜材の上面を急傾斜上面とすると共に、ガセットプレートを縦向きに配置することで、水平配置する場合に比べて部材上面側の平面な部分の面積をなくし、塵埃の堆積、雨水の滞留を少なく洗浄する場合にも塵埃の洗い落としが容易であり、これらによる腐食の低減を図ることが可能で、しかも洗浄清掃性を格段に高める効果があり、加えてトラス構造体の寿命を延ばすことが可能な搬送コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構においては、間隔をおいて並行する複数の上弦材と複数の下弦材とを有するコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部が頂部に位置するように配置された第1角形鋼管をトラス架構の各隅部の上弦材または下弦材として所定の位置に配置し、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部が頂部に位置するように配置された第2角形鋼管またはコーナー部が頂部に位置するように配置された山形鋼を、前記トラス架構における横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材として所定の位置に配置し、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介して接合されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材との端部に、部材軸方向に延長するスリットが設けられ、そのスリットに縦向きにガセットプレートが配置されると共に、横方向の繋ぎ材あるいは横方向の斜材の上面側で前記ガセットプレートは溶接により固定されていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介してボルト接合されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介して溶接接合されていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材の上面は、急傾斜上面とされていることを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構の部材の上面は、水平面に対し少なくとも45度傾斜していることを特徴とする。
第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかのコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、前記ガセットプレートが接合される断面角型鋼管の接合部に補強鋼板を溶接により固定することにより断面角形鋼管の管壁を補強していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によると、間隔をおいて並行する複数の上弦材と複数の下弦材とを有するコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部が頂部に位置するように配置された第1角形鋼管をトラス架構の各隅部の上弦材または下弦材として所定の位置に配置し、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部が頂部に位置するように配置された第2角形鋼管またはコーナー部が頂部に位置するように配置された山形鋼を、前記トラス架構における横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材として所定の位置に配置し、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介して接合されているので、弦材,横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の上面を急傾斜面とすることができ、また、ガセットプレートを垂直等の縦向きに配置する形態としたので、ガセットプレートの上面を水平配置する従来の場合に比べて少ない水平方向の面積とすることができ、また、弦材または横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の上面の急傾斜上面上に堆積する塵埃等の堆積を少なくすることができ、また、雨水または水洗浄等による雨水の滞留を抑制することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構の腐食を防止することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構に設けられる塗装塗膜の損傷を防止することができる。その結果、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留等のない環境として、耐候性の高い断面箱型のトラス架構とすることができ、断面箱型のトラス架構の寿命を延ばすことができる等の効果が得られる。
第2発明によると、横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材との端部に、部材軸方向に延長するスリットが設けられ、そのスリットに縦向きにガセットプレートが配置されると共に、縦向きのガセットプレートに部材軸方向に延長するスリットが設けられ、そのスリットに前記繋ぎ梁と横方向の斜材を配置されると共に、溶接により固定されているので、単に、横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部にスリットを設けてその部分を縦向きのガセットプレートに配置して、横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材を、これらを取り付ける側(繋ぎ梁に対しては弦材、または斜材に対しては弦材または繋ぎ梁)のガセットプレートに溶接により固定することができ、溶接作業が容易になるばかりでなく、ガセットプレートの上面側の面積を少なくすることができ、その結果、ガセットプレートの上面側の塵埃等の堆積を少なくすることができ、また、雨水または水洗浄等による雨水の滞留を抑制することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構の腐食を防止することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構に設けられる塗装塗膜の損傷を防止することができる。その結果、トラス架構の寿命を延ばすことができる等の効果が得られる。
第3発明によると、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介してボルト接合されているので、繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部にスリットを設ける場合とスリットを設けない場合の両方がある。前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを利用して、横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材を、これらを取り付ける側(繋ぎ梁に対しては弦材、または斜材に対しては弦材または繋ぎ梁)のガセットプレートにボルト接合により固定することができ、接合作業が容易になるばかりでなく、ガセットプレートの上面側の面積を少なくすることができ、その結果、ガセットプレートの上面側の塵埃等の堆積を少なくすることができ、また、雨水または水洗浄等による雨水の滞留を抑制することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構の腐食を防止することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構に設けられる塗装塗膜の損傷を防止することができる。その結果、トラス架構の寿命を延ばすことができる等の効果が得られる。
第4発明によると、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介して溶接接合されているので、繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部にスリットを設けることなく、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを利用して、横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材を、これらを取り付ける側(繋ぎ梁に対しては弦材、または斜材に対しては弦材または繋ぎ梁)の前記ガセットプレートに溶接接合により固定することができ、接合作業が容易になるばかりでなく、ガセットプレートの上面側の面積を少なくすることができ、その結果、ガセットプレートの上面側の塵埃等の堆積を少なくすることができ、また、雨水または水洗浄等による雨水の滞留を抑制することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構の腐食を防止することができる。また、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留によるトラス架構に設けられる塗装塗膜の損傷を防止することができる。その結果、トラス架構の寿命を延ばすことができる等の効果が得られる。
第5発明によると、第1発明または第2発明のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材の上面は、急傾斜上面とされているので、横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材の上面に、塵埃等の堆積あるいは雨水の滞留を防止でき、また、水洗浄による清掃をする場合にも、効率よく塵埃をおとして洗浄清掃することができ、また、部材上面も平坦面の場合に比べて効率よく乾燥させることができる等の効果が得られる。
第6発明によると、コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、全ての部材の上面は、45度以上傾斜とされているので、部材の上面に、塵埃等の堆積あるいは雨水の滞留を防止でき、また、水洗浄による清掃をする場合にも、効率よく塵埃をおとして洗浄清掃することができ、また、部材上面も平坦面の場合に比べて効率よく乾燥させることができる等の効果が得られる。
第7発明によると、コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、ガセットプレートが接合される断面角型鋼管の接合部に補強鋼板を溶接固定することにより断面角形鋼管の管壁を補強していることとなり、断面角型鋼管の剛性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態のバラ物の搬送コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構の主要部を示す概略斜視図である。
【図2】(a)は図1に示すトラス架構の正面図、(b)はその一部を拡大して示す図である。
【図3】図1の一部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】図4の一部を拡大して示す平面図である。
【図6】本発明のトラス架構において使用する縦向きにガセットプレートを取り付けた弦材を示すものであって、(a)は平面図、(b)は(a)のa−a線断面図、(c)は(a)のb−b線断面図である。
【図7】本発明のトラス架構において使用する繋ぎ梁を示すものであって、(a)は平面図、(b)は(a)のd−d線断面図、(c)は(a)のe−e線断面図である。
【図8】本発明のトラス架構において使用する斜材を示すものであって、(a)は平面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す図、(c)は(b)のf−f線断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態のトラス架構の概略図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態のバラ物の搬送コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構の主要部を示す概略斜視図である。
【図11】(a)は図10に示すトラス架構の正面図、(b)はその一部を拡大して示す図である。
【図12】図10の平面図である。
【図13】本発明の第2実施形態のトラス架構の概略図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)のg−g線断面図である。
【図14】第2実施形態のトラス架構相互を添え板により連結し、足場部を設けた形態を示す斜視図である。
【図15】図14における直列に隣り合うトラス架構相互の添え板による連結部付近を拡大して示す斜視図である。
【図16】図15の一部を拡大して示す斜視図である。
【図17】従来のバラ物搬送コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構の主要部を示す概略斜視図である。
【図18】図17の正面図である。
【図19】図17の一部を拡大して示す斜視図である。
【図20】トラス架構の内側に搬送用コンベアーを設置した形態を示す縦断正面図である。
【図21】弦材に鋼管を用いたトラス架構によるコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構を示す斜視図である。
【図22】図21のフランジ継手連結部を拡大して示す斜視図である。
【図23】トラス架構の上側に搬送用コンベアーを設置した形態を示す縦断正面図である。
【図24】断面角形鋼管の剛性の試験部材の形態を示す図で、正面図と側面図である。
【図25】補強鋼板により補強された断面角形鋼管の形態を示す斜視図である。
【図26】補強鋼板により補強された断面角形鋼管の形態を示す図で、正面図と側面図である。
【図27】鋼板の傾斜角の影響を試験した試験部材の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1〜図5および図9には、本発明の第1実施形態の石炭あるいはコークス等の粉体を含むバラ物を搬送するための搬送コンベアーを支持するための断面箱型のトラス架構1の主要部が示されている。図1は搬送コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構1の概略斜視図、図2(a)は図1に示すトラス架構1の正面図、同図(b)は図2(a)の一部を拡大して示す図、図3は図1の一部を拡大して示す斜視図、図4は図1の平面図、図5は図4の一部を拡大して示す平面図である。また、図9(a)および(b)には、第1実施形態の断面箱型のトラス架構1の全体の概略平面図および側面図が、それぞれ示されている。
【0019】
この形態は、箱型のトラス構造1における下側の繋ぎ梁2に、コンベアーフレームを支持させる形態のトラス構造であり、図21に示す形態に対応している。
【0020】
先ず、本発明の箱型のトラス構造1において使用する主要部品について、図6から図8を用いて説明すると、図6には、縦向きにガセットプレート3を固定した上弦材4あるいは下弦材5としての第1角形鋼管が示され、図7には、縦向きにガセットプレート3を固定した横方向の繋ぎ梁2が示され、図8には、両端部に鉛直方向貫通するスリット6を有する斜材7が示されている。
【0021】
さらに具体的に説明すると、図6には、上下方向に延長するように縦向きに鋼板製のガセットプレート3を配置して、ガセットプレート3の基端側を溶接により固定した上弦材4あるいは下弦材5が示されている。
上弦材4および下弦材5として、鋼製角形鋼管が使用され、断面角形における対角方向の一つのコーナー部8が、各弦材4(5)における高レベル位置に配置され、断面角形の頂部に位置するように配置されている。
より具体的には、角形鋼管における断面角形断面で、対角方向が上下方向になるように配置して使用しているため、各弦材4(5)の上面および下面は、45°に傾斜した急傾斜上面9と、急傾斜下面10とされている。また、束材と結合する部分には、上弦材4の下端部または下弦材5の上端部に鉛直に、鋼板製のガセットプレート3が配置されて溶接により固定されている。
また、弦材に傾斜して交差するように、鉛直に、鋼板製の傾斜したガセットプレート3の基端部が溶接により、弦材における急傾斜上面9および急傾斜下面10に当接されて、溶接により固定されている。
【0022】
また、図7には、縦向きに鋼板製のガセットプレート3を配置してその基端側を溶接により固定した繋ぎ梁2が示されている。
繋ぎ梁2としても、前記弦材4(5)よりも外形の小さい鋼製角形鋼管が第2角形鋼管として使用され、角形鋼管における対角方向の一方のコーナー部(角部)8が、角形断面における高レベルに配置され頂部に位置するように配置されている。
弦材4(5)と同様に、角形鋼管における断面角形の対角方向が上下方向になるように配置して使用しているため、繋ぎ梁2の上面および下面は、45°に傾斜した急傾斜上面9と、急傾斜下面10とされている。また、繋ぎ梁2に傾斜して交差するように、鉛直に、鋼板製の傾斜したガセットプレート3の基端部が溶接により、繋ぎ梁2における急傾斜上面9および急傾斜下面10に当接されて、溶接Wにより固定されている。
さらに、繋ぎ梁2の両端部には、各急傾斜上面9の接続部、および各急傾斜下面10の接続部には、弦材4(5)側に固定のガセットプレート3を挿入配置するために、部材軸方向に延長するスリット6が設けられている。
前記の繋ぎ梁2の軸方向端部のスリット6は、弦材4間(または弦材5間)に繋ぎ梁2を配置して、弦材4(5)側に固定のガセットプレート3に、繋ぎ材2のスリット両側急傾斜上面9を溶接Wにより固定するためである。
ガセットプレート3が溶接される弦材4(5)には、図25に示すような補強鋼板47が溶接されることにより弦材4(5)の剛性が向上する。補強鋼板47は、2枚の鋼板が溶接されていてもよいし、山形鋼等断面L字状鋼材を溶接してもよい。なお、前記ガセットプレート3は前記補強鋼板47に溶接により固定される。
また、トラス架構の部材の上面は、水平面に対して45度以上(少なくとも45度)傾斜させることにより、上面に付着した塵埃等の堆積あるいは雨水の滞留を防止でき、また、水洗浄による清掃をする場合にも、効率よく塵埃をおとして洗浄清掃することができ、また、部材上面も平坦面の場合に比べて効率よく乾燥させることができる等の効果が得られる。ここで述べられている部材とは、繋ぎ梁、弦材、斜材、束材等のトラス架構を構成する全ての構成材のことである。
【0023】
また、図8には、山形鋼からなりその各辺(板)38の交差コーナー部8外面を頂部とするように、各辺(板)38を左右同じ傾斜角となるように配置される、横方向の斜材7が示され、前記横方向の斜材7の両端部には、各急傾斜上面9が設けられ、その急傾斜上面9の接続部には、ガセットプレートを挿入配置するための部材軸方向に延長するスリット6が上下方向に貫通するように設けられている。スリット6の幅寸法は、ガセットプレート3の板厚寸法よりも僅かに大きくされている。
前記の横方向の斜材7のスリット6は、弦材4(5)と繋ぎ材2に交差するように横方向の斜材7を配置して、弦材4(5)に固定の縦向きのガセットプレート3と、繋ぎ材2に固定の縦向きのガセットプレート3とに、横向きの斜材7の各スリット両側の辺(板)38上面を溶接Wにより固定する時に、部材上面側から、容易に溶接可能にするためである。縦向きのガセットプレートに横方向の斜材7を挿入するための材軸方向に延長するスリット(図示を省略した)が設けられ、そのスリットの幅寸法は、斜材の頂部よりも僅かに大きくされている。
【0024】
図1〜図5および図9には、図6に示されている弦材を上弦材4あるいは下弦材5として、上下に間隔をおいて、同じ垂直面上に配置し、上弦材4あるいは下弦材5間に、溝形鋼(または山形鋼)を束材あるいは上下方向の縦向きの斜材として配置し、弦材に固定の縦向きのガセットプレート3に、溝形鋼(または山形鋼)を束材11あるいは縦方向の斜材15として使用し、束材11あるいは縦方向の斜材15におけるウェブ12を、溶接またはボルトにより固定して側面トラス梁13を構成している。
【0025】
前記のように、各側面トラス梁13における上弦材4あるいは下弦材5として、本発明では、角形鋼管(断面正方形の鋼管)を使用し、しかも、各角形鋼管の対角方向の一つのコーナー部が、最も高いレベルに配置された頂部に位置するように配置されている。このように弦材4(5)として角形鋼管を配置することで、弦材上面は平坦な上面がなくなり、しかも上弦材4および下弦材5の上面は、それぞれ各急傾斜上面9となり、平坦面あるいは凹部でなくなり、雨水による洗浄あるいは水洗による洗浄も容易で、部材幅方向に流して撤去可能になることから洗浄による清掃効果が上がり、粉塵等の塵埃の堆積あるいは雨水の滞留を防止するようにしている。また、上弦材4および下弦材5の下面側も急傾斜面10となり、塵埃の付着を極力防止していると共に水の切れを良くし、防食上、有利な部材としている。
【0026】
図示の形態では、断面でほぼ正四角形とされた角形鋼管を使用し、一つの対角方向が上下方向になるように角形鋼管を45°回転させた配置とすることで、一方の対角方向が縦方向(鉛直方向)に、他方の対角方向が横方向となるようにされている。
【0027】
角形鋼管からなる間隔をおいて並行に隣り合う上弦材4相互、または角形鋼管からなる間隔をおいて隣り合う下弦材5相互は、図7に示すような繋ぎ梁2により連結されている。
各繋ぎ梁2は、前記各弦材における角形鋼管と同様に、角形断面における一方の対角方向が上下方向(例えば、鉛直方向)となるように、前記弦材と直交するように、繋ぎ梁2が配置されて、前記各弦材4(5)に、垂直配置等による縦ガセットプレート3を介して連結されている。
また、繋ぎ梁2と弦材4(5)とには、これらに傾斜して交差するように、図8に示すような横方向の斜材7が配置されて、前記繋ぎ梁2または弦材4(5)に垂直配置等による縦向きのガセットプレート3を介して連結されている。
弦材4(5)または繋ぎ梁2側に、板状のガセットプレートが垂直に配置されて、その基端部が溶接により固定されて、予め、縦向きのガセットプレート3を備えた縦ガセットプレート付き弦材4(5)または縦ガセットプレート付き繋ぎ梁2とされている。
【0028】
また、繋ぎ梁2の軸方向端部の上下両端部、横方向の斜材7の軸方向の端部には、その幅方向中央部に、部材長手方向に延長するように、ガセットプレート挿入用のスリット6が設けられ、このような部材相互を、ガセットプレート3を介した溶接Wによる接合により、部材相互は接合されている。
【0029】
具体的には、図2(b)または図5に示すように、繋ぎ梁2におけるスリット6(または図示を省略するが、水平等横方向の斜材7におけるスリット6)に、弦材側の縦向きのガセットプレート3(または、図示を省略するが、繋ぎ梁2側の縦向きのガセットプレート3)が挿通配置されて、スリット6の上面側に突出するように配置され、部材(弦材4(5)または繋ぎ梁2)側の縦向きのガセットプレート3の上面が、これに取り付けられる部材(弦材に対しては繋ぎ梁2のスリット6、繋ぎ梁2に対しては横方向の斜材7のスリット6)よりも突出するように配置して、隅肉溶接Wにより固着して、弦材4(5)と繋ぎ梁2、弦材4(5)と横方向の斜材7、繋ぎ梁2と横方向の斜材7とを、これらに隅肉溶接Wにより固着したガセットプレート3を介して連結している。
【0030】
図示の形態では、側面トラス13相互が、繋ぎ梁2と横方向の斜材7とにより連結された箱型構造のトラス構造が形成されている。また、前記のような箱型構造のトラス構造相互を連結する必要がある場合には、図示を省略するが、一方の箱型トラス構造の端部の弦材4(5)または斜材7の端部に、複数のボルト挿通孔を設けて、適宜添え板等により連結した継手部連結部40(第2実施形態として示す図13参照)を設けることで、長尺な断面箱型のトラス架構1とするようにしてもよい。
【0031】
なお、前記のような断面箱型のトラス架構1または長尺化されたトラス架構1Aにおける箱型内に、バラ物搬送用のコンベヤーにおける脚部を繋ぎ梁2等に設置する。この場合、繋ぎ梁2における上面があるいは側面が水平面に対して少なくとも45°に傾斜した一対の急傾斜上面あるいは急傾斜下面とされ、側面を兼ねているため、そのような一対の急傾斜面を備えた脚座を備えた脚部とし、ボルトまたは溶接等により繋ぎ梁2等に固定するようにすればよい。
前記実施形態の変形形態として、図示を省略するが、山形鋼からなる斜材の下面側からの溶接を併用するようにしてもよい。
また、前記第1実施形態の変形形態として、繋ぎ梁または斜材にスリットを設けない場合には、繋ぎ梁または斜材の端部に、取り付ける側の縦向きのガセットプレートを直接溶接により固定するようにしてもよい。この場合、例えば、繋ぎ梁が角形鋼管である場合には、弦材に溶接により固定される縦向きのガセットプレートを繋ぎ梁における上下のコーナー部に溶接により固定するようにすればよい。ガセットプレート側に溝を設けて角形鋼管の端部を配置して溶接により固定するようにしてもよい。また、繋ぎ梁または斜材が山形鋼である場合には、弦材側に固定の縦向きのガセットプレートを、山形鋼における内隅部に溶接により固定するようにしてもよく、また、ガセットプレートに溝を設けて、山形鋼のコーナー部の端部をガセットプレートの溝内に配置して溶接により固定するようにしてもよい。このような形態でも、角形鋼管あるいは山形鋼の配置形態は、前記実施形態と同様であり、前記実施形態と同様な効果が得られる。
【0032】
(第2実施形態)
図10から図16には、搬送用コンベアーを、上部に設置する形態の本発明の第2実施形態の箱型のトラス構造1が示されている。
この形態と前記第1実施形態とは同様な要素が多いので、同様な部分には、同様な符号を付して、相違する部分を主に説明する。
【0033】
側面トラス梁13を形成している束材11および鉛直配置の縦方向の斜材15が短尺の鋼製溝形鋼が用いられて、上弦材4または下弦材5に溶接により固定の鉛直なガセットプレート3に、束材11および鉛直な斜材15におけるウェブが当接されて溶接等により固定されている。
したがって、側面トラス梁13の梁せいが、低くなっている以外は、前記第1実施形態の側面トラス梁13の場合と同様である。また、各側面トラス梁13相互は、前記第1実施形態の場合に比べて、間隔が狭くされ、各上弦材4(下弦材5)の急傾斜上面9および急傾斜下面10が交差する側端部に、弦材長手方向の軸線に対して傾斜して交差するように縦向きに、縦向きのガセットプレート3が固定されている。上弦材4相互または下弦材5相互の縦向きのガセットプレート3相互が、弦材4(5)に交差するように山形鋼からなる横方向に傾斜した繋ぎ梁2により連結されている。山形鋼からなる横方向に傾斜した繋ぎ梁2の端部にスリット6が設けられて、その部分に前記ガセットプレート3が嵌合配置されて、傾斜した繋ぎ梁2の上面側から溶接により固着される点は、前記実施形態の場合と同様である。この形態では、弦材4(5)の水平方向の中心軸線付近に、山側鋼からなる横方向の傾斜した繋ぎ梁2における各辺の端部が位置するように配置されている。
【0034】
前記の横方向に傾斜した繋ぎ梁2は、図8に示す斜材7の形態と、同様な部材が用いられている。
【0035】
断面箱型のトラス架構1相互を連結して長尺化する必要がある場合には、図13に示すように、端部側の短尺の箱型構造のトラス架構1Aと、中間部の短尺の箱型構造のトラス架構1Bにおける弦材4(5)の端部に間隔をおいて複数のボルト挿通孔を設けて、図14〜図16に示すように、添え板41およびワンサイドボルト42等を用いて、弦材4(5)における継手相互を連結して、継手連結部40を形成し、長尺な断面箱型のトラス架構1Cとしてもよい。この場合には、横方向に傾斜した繋ぎ梁2または上下方向に傾斜した斜材15は、直列に隣り合う断面箱型のトラス架構に亘って配置するようにしてもよい。また、横方向の斜材7の端部に継手板43を設けて、斜材7が取り付く側のガセットプレート3に対してボルト接合44により接合するようにしてもよい。なお、図14中、符号45は、断面箱型のトラス架構1Aの端部に設けられ、上弦材4および下弦材5の端部に溶接により固定されている端部支柱であり、端部支柱45の下部相互は、繋ぎ梁2により連結されている。また、束材11等により支持させるように足場装置46が設けられる。
【0036】
なお、前記のような断面箱型のトラス架構1または長尺化されたトラス架構1Cにおける箱型上に、バラ物搬送用のコンベヤーにおける脚部を弦材4等に設置する。この場合、繋ぎ梁2における上面があるいは側面が水平面に対して少なくとも45°に傾斜した一対の急傾斜上面あるいは急傾斜下面とされ、側面を兼ねているため、そのような一対の急傾斜面を備えた脚座を備えた脚部とし、ボルトまたは溶接等により繋ぎ梁2等に固定するようにすればよい。
【0037】
本発明を実施する場合、図14における前記のボルト接合44付近の構造を、継手連結部以外の部分の部材相互の接合や、継手連結そのものが不要な場合でも、弦材と繋ぎ梁との接合、および弦材および繋ぎ梁と斜材との接合に適用してもよい。例えば、弦材に縦向きのガセットプレートの基端側を溶接により固定し、また、繋ぎ梁および斜材にそれぞれ縦向きのガセットプレートの基端側を固定し、弦材側の縦向きのガセットプレートと繋ぎ梁側の縦向きのガセットプレートとを重合してボルト・ナットによりボルト接合してもよい。同様に、弦材側の縦向きのガセットプレートと、繋ぎ梁側の縦向きのガセットプレートとに、それぞれ縦向きのガセットプレートを固定し、また、山形鋼からなる斜材の両端部に縦向きにガセットプレートを固定し、斜材両端部のガセットプレートをそれぞれ、弦材側の縦向きのガセットプレートまたは繋ぎ梁側の縦向きのガセットプレートに重合して、ボルト・ナットによりボルト接合するようにしてもよい。重合されたガセットプレート相互を接合する場合には、予めガセットプレートには、複数のボルト挿通孔を設けておく。このように、部材相互の重合されたガセットプレートをボルト接合すると、溶接作業が不要になるから、箱型断面に組み立てる時の溶接姿勢を気にする必要がなくなり、組み立て中の箱型トラスを反転しながらの接合(溶接)や特別な接合ディテールを用いることなく、箱型のトラス架構を組み立てることができる。
【0038】
本発明を実施する場合、図示を省略するが、束材11あるいは斜材7等についても、角形鋼管や山形鋼を使用してもよく、この場合、角形鋼管のコーナー部や、山形鋼の各辺が接続するコーナー部外面をコーナー部が上端部となるように配置する。弦材側に固定の鉛直縦向きのガセットプレートとの関係で、断面角形の角形鋼管の対角方向にスリットを設け、また山形鋼の各辺が水平方向に対して例えば45°に傾斜した状態で、各辺の交差部に鉛直にスリットを部材端部に設けることで、部材上側に平面や凹部をなくし、さらに、これら部材同士の接合に垂直ガセットプレートを用いたトラス構造とすることで、塵埃等の堆積あるいは雨水等の滞留を防止して、防食環境を高めることができる。
【0039】
本発明を実施する場合、搬送用のコンベアー33を傾斜して上昇または下降するように配置する場合には、上弦材4または下弦材5を上昇または傾斜して下降するように傾斜配置するようにすればよい。
【0040】
本発明を実施する場合、図示を省略するが、束材11あるいは縦方向の斜材15の部分にも、角形鋼管における断面角形の対角方向の一つのコーナー部が頂部(またはトラス架構における軸方向で、部材の側端)となるように配置したり、山形鋼における各辺38が接続する角部のコーナー部が頂部(またはトラス架構における軸方向で、部材の側端)となるように配置してもよい。特に、ベルトコンベアーにおける傾斜上昇搬送部あるいは傾斜下降の搬送部では、断面箱型のトラス架構全体を傾斜配置することになり、弦材に垂直な束材11も鉛直方向から傾斜した状態になるため、束材11あるいは縦方向の斜材15に、角形鋼管における断面角形の対角方向の一つのコーナー部が頂部(またはトラス架構における軸方向で、部材の側端)となるように配置したり、山形鋼における各辺が接続する角部のコーナー部が頂部(またはトラス架構における軸方向で、部材の側端)となるように設置すると、前記実施形態同様に、束材11あるいは縦方向の斜材15がその軸方向に傾斜していると共に、それらの上面が急傾斜上面となるため、鉛直方向から傾斜している束材11あるいは縦方向の斜材15の上面に、塵埃が堆積したとしても、水による洗浄清掃が容易で、水切れもよい。
【0041】
すなわち、本発明を実施する場合、断面箱型のトラス架構における束材または縦方向の斜材として、断面角形の第3角形鋼管が用いられ、その断面角形の第3角形鋼管の対角方向が前記断面箱型のトラス架構の長手方向となるように配置されていると、剛性の高い束材または縦方向の斜材とすることができるばかりでなく、束材または縦方向の斜材にも、塵埃あるいは雨水の滞留を防止でき、また水洗浄の容易なトラス架構とすることができる。
また、本発明を実施する場合、断面箱型のトラス架構における束材または縦方向の斜材として、山形鋼が用いられ、その山形鋼のコーナー部が、山形鋼の各辺38の縁部よりも上部となるように配置されていると、前記第4発明と同様に束材または縦方向の斜材についても、塵埃あるいは雨水の滞留を防止でき、また水洗浄の容易なトラス架構とすることができる。
【0042】
本発明を実施する場合、水による洗浄は、高圧水による洗浄が望ましい。弦材,繋ぎ梁,束材,縦向きに傾斜した斜材等の部材の幅方向に急傾斜上面9を備えていたり、縦向きのガセットプレートとされていると上面側の幅が狭いため、塵埃あるいは雨水等を水を利用して部材幅方向に流すことができるため、部材長手方向に塵埃あるいは雨水を流す場合に比べて、短い距離で、塵埃あるいは雨水を落下させて撤去することができる。
【0043】
本発明を実施する場合、束材11あるいは縦方向の斜材15として、溝形鋼を使用した場合、鉛直方向に配置される以外は、傾斜配置となるため、溝形鋼の下フランジが上フランジの下側で清掃しにくい部分となるため、このような部位の束材11あるいは縦方向の斜材15としては、角形鋼管あるいは山形鋼のコーナー部が上部となるように配置することで、影となる下フランジが存在しない部材となり望ましい。なお、縦方向の斜材としては、山形鋼の一辺を横向きに配置したり、H形鋼のウェブ部分を切断したカットT形鋼のウェブ部分を横向きに配置する形態で使用する場合には、部材そのものが急傾斜状態で配置されているので、塵埃の堆積、雨水の滞留、あるいはこれらの水洗浄による清掃除去に有効に機能することができる
【0044】
本発明を実施する場合、山形鋼としては、等辺山形鋼を使用するのが望ましいが、それ以外の山形鋼を使用するようにしてもよい。
【実施例】
【0045】
1)構造性能の確認
本発明における接合部分の実施例を示す。
図24は上弦材4または下弦材5とガセットプレート3の寸法と耐力の関係を確認するための試験の実施状況を示す。
試験体は、トラス架構の部分モデルである。当該モデルは上弦材4または下弦材5及びガセットプレート3及び横方向の斜材7から構成され、上弦材4または下弦材5の両端を固定し、2つの横方向の斜材7に圧縮力及び引張力Pを作用させることでトラス内の応力状態を再現し、横方向の斜材の引張力及び圧縮力Pと接合部変形δC Tの関係を調査した。
試験体の寸法は、上弦材4または下弦材5については管径150mmと175mm、板厚4.5mmと6mm、ガセットプレート3については、幅85mmと128mmと181mmである。
試験の結果、接合部の降伏耐力は、上弦材4または下弦材5の板厚の増加に伴い増大し、ガセットプレート3の幅の増加に伴い増大した。一方で、上弦材4または下弦材5の管径の影響は小さかった。接合部の耐力はガセットプレート3が接合される角形鋼管の角を含む図25の荷重負担範囲に示す山形断面の破壊により決まると考えられる。
前記山形断面の荷重負担範囲に図26に示すように鋼製の山形板等の断面L字状の補強鋼板47を溶接固定することにより、断面角形鋼管の管壁が補強される。
前記補強による断面角形鋼管の耐力の上昇は、断面角形鋼管の板厚に対する鋼製の山形板等の断面L字状の補強鋼板47の板厚の比に比例する。例えば、角形鋼管の板厚6mmに対し、山形板4.5mmを溶接固定すれば、角形鋼管の耐力は補強前の耐力に対し1.75倍となる。
2)堆積抑制性能確認
本発明における粉塵堆積抑制効果を確認した実施例を示す。
稼働ベルトコンベアの下方に設置角度の異なる試験体を設置し、堆積状況を確認した。
図27に示すように、試験体は平板からなる鋼板48を水平面に対し0°,30°,45°,90°傾斜させて試験架台に設置し、5週間経過後の単位面積当たりの堆積量を計測した。
傾斜角度0°の水平な平板からなる鋼板48には粒径の大小にかかわらず塵埃や落鉱が一面に堆積していた。鋼板48の傾斜角度が大きくなるに従い粒径の小さいものは残るものの、粒径の大きいものの堆積量は明らかに少なくなり、鋼板48の水平面に対する傾斜角度が大きくなるほどその差は顕著であった。
単位面積当たりの堆積量は、0°において8.0g/cm2、30°において2.4g/cm2、45°において0.8g/cm2 、90°において0.02g/cm2となり、45°以上傾斜させることで十分な堆積抑制効果が発揮された。
【符号の説明】
【0046】
1 断面箱型のトラス架構
1A 短尺な断面箱型のトラス架構
1B 短尺な断面箱型のトラス架構
1C 長尺な断面箱型のトラス架構
2 繋ぎ梁
3 ガセットプレート
4 上弦材
5 下弦材
6 スリット
7 横方向の斜材
8 一つのコーナー部
9 急傾斜上面
10 急傾斜下面
11 束材
12 ウェブ
13 側面トラス梁
15 縦方向の斜材
20 トラス架構
21 断面H形鋼材
22 フランジ
23 上弦材
24 下弦材
25 縦向きガセットプレート
26 溝形鋼
27 束材
28 斜材
29 側面トラス梁
30 繋ぎ梁
31 横方向張り出しガセットプレート
32 横方向の斜材
33 搬送用コンベアー
34 フレーム
35 脚部
36 円弧状緩傾斜面
37 端部フランジ
38 辺
40 継手連結部
41 添え板
42 ワンサイドボルト
43 継手板
44 ボルト接合
45 端部支柱
46 足場装置
47 補強鋼板
48 鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて並行する複数の上弦材と複数の下弦材とを有するコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構において、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部が頂部に位置するように配置された第1角形鋼管をトラス架構の各隅部の、上弦材または下弦材として所定の位置に配置し、断面角形鋼管における対角方向の一つのコーナー部が頂部に位置するように配置された第2角形鋼管またはコーナー部が頂部に位置するように配置された山形鋼を、前記トラス架構における横方向の繋ぎ梁あるいは横方向の斜材として所定の位置に配置し、前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介して接合されていることを特徴とするコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。
【請求項2】
横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材との端部に、部材軸方向に延長するスリットが設けられ、そのスリットに縦向きにガセットプレートが配置されると共に、溶接により固定されていることを特徴とする請求項1に記載のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。
【請求項3】
前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介してボルト接合されていることを特徴とする請求項1に記載のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。
【請求項4】
前記繋ぎ梁あるいは横方向の斜材の端部は、前記端部に溶接により固定されると共に縦向きに配置されたガセットプレートを介して溶接接合されていることを特徴とする請求項1に記載のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。
【請求項5】
横方向の繋ぎ梁と横方向の斜材の上面は、急傾斜上面とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。
【請求項6】
コンベアー支持用の断面箱型のトラス架構の部材の上面は、水平面に対し少なくとも45度傾斜していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。
【請求項7】
前記ガセットプレートが接合される断面角型鋼管の接合部に補強鋼板を溶接により固定することにより断面角形鋼管の管壁を補強していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンベアー支持用の断面箱型のトラス架構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−99313(P2011−99313A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215720(P2010−215720)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】