説明

コンベア装置

【課題】本発明は、各電源器を並列接続可能とし、装置全体として電源器の容量が縮減できるコンベア装置を提供することを目的とした。
【解決手段】搬送方向に並ぶ複数のゾーンに区分され、1又は2以上の駆動用モータ14に電力を供給する電源器11が備えられたコンベア装置1であって、各電源器11の出力電流を検知できる電流検知手段12を備え、電流監視手段12が過大な電流を検知した場合に、当該電源器11と他の電源器11を並列接続状態とする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモータを搭載したコンベア装置に関するものであり、特に装置全体における電源器の容量を縮減できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベア装置は、従来からモータを駆動源として被搬送物を搬送するものである。詳しくは、モータによってベルトやローラあるいはチェーンを回転させ、搬送ライン上の被搬送物を搬送するものである。
【0003】
ところで交流のモータを駆動源とする場合には、商用電源がそのままモータに供給されるが、低圧の直流によって駆動されるモータを使用する場合には、整流回路や定電圧回路を備えた電源器が電源として使用される。
またコンベア装置が大型である場合は、複数の電源器が設置され、当該電源器に近い位置のモータに個別の電源器から電力が供給される。
【0004】
すなわちコンベア装置には複数のモータを駆動するためにいくつかの電源器が備えられているものがある。その電源器は、1つの電源器に繋ぐモータの数が多いほど、電源器の最大容量を大きくする必要がある。さらには、モータが搬送可能な被搬送物の最大重量を加味して、電源器の容量は決定される。
【0005】
上記のように決定された電源器において、理想的な容量は、搬送ライン上全てに、モータが搬送できうる最大重量の被搬送物が置かれたときにモータを駆動できる容量である。つまり、その状況で電力を最大に消費し、効率的に搬送できる容量を備えることが望ましい。しかし実際のコンベア装置の使用状況を勘案するとと、そのような状況はむしろ希である。
【0006】
そこで上記した内容に鑑み、コンベアの製造コストを低減させることを目的として、小型で低容量の電源器を使用する方策が考えられる。ところが、実際上、突発的に大きな被搬送物が搬送されたり、大量の搬送物が連続的に搬送される場合もあり、この様な一定の条件により過大な電流が必要となる場合が生じ、低容量の電源器を使用した場合には、電源器の容量不足によりコンベア装置が正常に機能しない事態が想定される。
【0007】
特許文献1には、コントローラに流れる電流を監視し、被搬送物の搬送を停止させることなく、その電流が一定値に達すると1つの電源器が駆動できるモータの範囲内で、搬送方向上流側に流れる電流を制限し、下流側の被搬送物を優先的に搬送可能とした発明が開示されている。
【特許文献1】特許第3368563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した特許文献1に記載の発明は、各ゾーンに設けられたコントローラに流れる電流を監視し、それぞれの前記コントローラに繋がれたモータに流れる電流を制御する。しかし、1つの電源器の容量の範囲内でしか電流の制御ができなかった。つまり、容量を縮減させた電源器は、縮減した分最大容量が小さくなるため、過大な電流が生じる場合には電源器の容量不足による装置の不具合が発生する場合があった。そのため各電源器の容量の著しい縮減は物理的に難しかった。言い換えると、コンベア装置全体としては、電源器の容量が充分縮減することができず、充分なコスト削減を実施することができなかった。
【0009】
そこで本発明は、上述した欠点に鑑み、各電源器を並列接続可能とし、装置全体として電源器の容量が縮減できるコンベア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、搬送方向に並ぶ複数のゾーンに区分され、各ゾーンには少なくとも1つの駆動用モータが設けられ、前記駆動用モータを駆動する複数の電源器を有し、各電源器はそれぞれ1又は2以上の前記駆動用モータに対して電力を供給する回路構成を備えたコンベア装置であって、各前記電源器からの出力電流を監視する電流監視手段を備え、いずれかの前記電流監視手段が前記電源器の過大な電流を検知した場合に、当該電源器と他の少なくともいずれか一つの電源器とを並列接続状態とすることを特徴とするコンベア装置である。
【0011】
本発明におけるコンベア装置は、1又は2以上のゾーン毎に設けられた電源器の出力電流を監視する電流監視手段が設けられているため、電源器における過大な電流を検知できる。そして電源器の過大な出力電流値を検知すると複数の電源器が並列接続に切り替えられ、実質的に電源器の容量が増大する。言い換えると、複数の電源器からモータに電流が供給されるので、電源器ごとから供給される電流が平均化され、個々の電源器が供給し得る電流値に収まる。すなわち並列接続された電源器が支配するモータの電流値が平均化される。そのため、効率的に過大な負荷を解消することができる。
また、本発明であれば、それぞれの電源器の容量を縮減した場合(小型の電源器を使用した場合)であっても、電源器に過大な負荷が掛かると他の電源器と並列接続状態となり電流値が平均化するため、過大な負荷が掛かった電源器の負荷を解消することができる。言い換えれば、電源の並列接続により重い且つ/又は多い被搬送物を搬送する複数のゾーンであっても円滑に被搬送物を搬送することが可能となる。つまり、並列接続により実質的な容量アップが図れるため、コンベア装置全体に設けられた電源器の容量を縮減することができ、コスト削減を実行することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、電源器によって電力が供給される駆動用モータの組を1パーティとし、電源器と他の少なくともいずれか一つの電源器とを並列接続状態とした後、所定の条件下、並列に接続した電源器のパーティに属する前記駆動用モータのいずれか又は全てを停止させることを特徴とする。
【0013】
請求項2のコンベア装置では、所定の条件下、並列に接続した電源器のパーティに属する前記駆動用モータのいずれか又は全てを停止させる。ここで所定の条件下とは、例えば電源器を並列に接続した状態であってもなお出力電流が過大である状況が解消されないか、あるいは解消されないことが予想される場合である。
本発明によると、並列に接続した電源器のパーティに属する前記駆動用モータのいずれか又は全てを停止させるので、少なくとも先に過大電流が流れたパーティについては過負荷状態が解消される。
【0014】
また請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、各前記電源器によって電力が供給される駆動用モータの組を1パーティとし、前記電流監視手段が過大な電流を検知した場合には、当該電源器は搬送方向上流側のパーティに電力を供給する電源器と並列に接続され、搬送方向上流側の前記パーティに属する前記駆動用モータのいずれか又は全てを停止させることを特徴とするコンベア装置である。
【0015】
請求項3のコンベア装置は、ある電源器が過大な電流量を出力した場合、その電源器の搬送方向上流側に位置する電源器が支配する駆動用モータが停止さるので、過大な電流を検知された電源器の負担は確実に解消され、被搬送物が搬送方向下流側に搬送される。また本発明では、下流側にあるモータに優先的に電流が流されるので、下流側の被搬送物が優先的に搬送される。そのため複数の箇所で過大な電流が検知されても、搬送物同士は搬送ライン上で衝突することなく円滑に搬送が行われる。
【0016】
請求項4の発明は、搬送方向に並ぶ複数のゾーンに区分され、各ゾーンには少なくとも1つの駆動用モータが設けられ、前記駆動用モータを駆動する複数の電源器を有し、各電源器はそれぞれ1又は2以上の前記駆動用モータに対して電力を供給する回路構成を備えたコンベア装置であって、前記電源器のいくつかは他の1又はそれ以上の電源器と並列に接続されており、各前記電源器からの出力電流を監視する電流監視手段を備え、 各前記電源器によって電力が供給される駆動用モータの組を1パーティとし、 いずれかの前記電流監視手段が前記電源器の過大な電流を検知した場合に、当該電源器と並列に接続された電源器であって当該電源器よりも搬送方向上流側の電源器のパーティに属する駆動モータのいずれか又は全てを停止させることを特徴とするコンベア装置である。
【0017】
請求項4のコンベア装置は、電源器がそれぞれ並列に接続されているため、搬送ライン全体が同時に作動しない限り大きな電力によって被搬送物を搬送することができる。また、搬送ライン上全てに被搬送物が積まれている場合であっても、1又は2以上のゾーン毎に設けられた電源器の出力電流を監視する電流監視手段が設けられているため、電源器における過大な電流や所定値より少ない電流を検知できる。これにより電源器の過大な出力電流値を検知すると、その電源器の搬送方向上流側のパーティにおける駆動用モータが停止される。そのため、過大な電流が出力された電源器の負担が解消され、搬送方向下流側が優先的に搬送できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコンベア装置は、各電源器を並列に接続可能とし、電流監視手段が過大な電流を検知した場合に並列接続状態となるため、各電源器の最大容量を縮減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施形態であるコンベア装置1について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態であるゾーン式制御を実施し得るコンベア装置1を示したもので、1本の搬送ラインを備えている。まず、コンベア装置1の一般的な構成等について説明する。
【0020】
搬送ラインは、搬送方向に並ぶゾーンA,ゾーンB及びゾーンC・・・を含む複数の制御ゾーンに区分されており、各制御ゾーンA,B,Cは、各々一つのコンベアユニット2a,2b,2cを構成している。
【0021】
コンベアユニット2a,2b,2cは、平行に配置された左右の一対のサイドフレーム3,3間に被搬送物を搬送する複数の搬送ローラ4を搬送方向に所定間隔で軸支されたものである。この搬送ローラ4は、自由に回転する従動ローラ4bと、電源器により電流を供給される駆動用モータ14を内蔵するモータ内蔵ローラ4aとからなり、隣接する搬送ローラ4同士は伝導ベルト5で巻回されている。そのため、モータ内蔵ローラ4aの回転駆動力を全ての従動ローラ4bに伝導することができる。本実施形態では、ユニットの中央部に一つのモータ内蔵ローラ4aを配し、他は従動ローラ4bとしている。後記する様に、一つの電源器は、1又は2以上の駆動用モータ(モータ内蔵ローラ4a内のモータ)14に電力を供給するものである。
【0022】
コンベア装置1は、図2の様に3基の電源器11A,11B,11Cを備えている。そして電源器11A,11B,11Cそれぞれから複数のゾーンのA,B,C・・・の構成要素たる駆動用モータ(ゾーン内に一個ずつ設けられたモータ内蔵ローラ4a内のモータ)14に電力が供給される。
すなわち本実施形態では、複数のゾーンを1組としたパーティに1つの電源器11を設けており、原則として1つの電源器11は、支配するパーティの駆動用モータ14に対してのみ電力を供給する。ただし、本実施形態の特徴として、一定条件の下、それぞれの電源器11同士が並列接続に切り替わる回路構成である。またこの回路には、電源器11の出力電流を検知できる電力監視手段12が設けられている。
【0023】
また、コンベアユニット2a,2b,2cには、それぞれのモータ内蔵ローラ4a内の駆動用モータ14の駆動制御を行うゾーンコントローラ(図示しない)が設けられている。このゾーンコントローラは、隣接するコントローラ及び後述する上位制御手段13と信号線(図示しない)によって接続されている。つまり、ゾーンコントローラは、上位制御装置13からのRUN/STOP信号やCW/CCW信号(搬送方向を示す信号)などの外部入力信号を受けて、モータに信号を生成送出することができる。
さらに、ゾーンコントローラでは、一斉搬送モード、分離搬送モードに切り替えることが可能である。なお、これらのモードについては、本発明には直接関係しないので説明を省略する。
【0024】
また搬送ラインの運転状態は、プログラマブルロジックコントローラ(P.L.C)などにより構成される上位制御手段13によって集中管理される。上位制御手段13からそのライン全体を運転するか停止するかを示すRUN/STOP信号や、搬送方向を示すCW/CCW信号などの指令信号(外部入力信号)が供給され、これらの指令信号に基づいて搬送ライン全体の動作の制御が行われる。
【0025】
また、搬送ラインにおける各制御ゾーンA,B,Cは、各々センサの検知信号や、上下流の制御ゾーンから伝送される信号などに基づいて独立した搬送制御を行いつつ、搬送ラインとしての連携した搬送を確保している。
【0026】
制御ゾーンAには、在荷センサSAがサイドフレーム3上に設けられている。在荷センサSAとしては光電センサを用いることができ、対向するサイドフレーム3に発光ダイオードや赤外線ダイオード等の発光素子6を設けておく。これにより、被搬送物が搬送されてくると、発光素子6からの光が遮られて光電センサがオン/オフされ、被搬送物が所定位置まで搬送されたことを検知することが可能である。
【0027】
すなわち、在荷センサSAの出力を制御ゾーンAの被搬送物の有無を示す在荷信号として利用している。なお、ゾーンB,Cの各コンベアユニットにも、在荷センサSAと同様の在荷センサSB,SCが設けられており、これらのセンサSB,SCの対向した位置には発光素子6が各々設けられている。これらの在荷センサSA,SB,SCは、被搬送物の存在を検知するとオン(Hレベル)信号を出力し、被搬送物が存在しない場合にはオフ(Lレベル)信号を出力する。
【0028】
上記構成に加え、本実施形態のコンベア装置1における特有の構成について説明する。
【0029】
本実施形態では、各電源器11の出力電流を電流監視手段12によって監視し、その電流の状況を上位制御装置13に報知している。そして、各電源器11間には、リレースイッチ15が設けられており、通常は開放状態にある。ただし、一定の条件により、リレースイッチ15が接続され並列接続状態に切り替わる。つまり、このような構成とすることで、上位制御装置13において、過大な電流が検知された電源器11や所定値より小さい電流あるいは出力電流が検知できない電源器11を常に把握しておくことができ、電源器11の過大な負荷を効率的に解消可能な構成となる。
【0030】
このような構成を有した実施例1〜3を図2〜7を用いて詳細に説明する。さらに、それぞれの制御についても加えて説明する。
【0031】
(実施例1)
図2は、図1に示すコンベア装置に採用される電源器の接続を示す説明図である。図3は、電力監視手段12Bが過大電流を検知した場合の電流の流れを示す回路図である。図4は、電源器を並列状態にしても電力監視手段12Bが過大電流を検知している状況が解消されない場合の電流の流れを示す回路図である。
図2に示す回路は、3個の電源器11A,11B,11Cを備え、各電源器11A,11B,11Cの出力電流を検知する電力監視手段12A,12B,12Cが設けられている。
そして1つの上位制御手段13に3つ電流監視手段12A,12B,12Cが接続されており、1つの電源器11には1パーティ(各電源器11によって電力が供給される駆動用モータ14の組)の駆動用モータ(ゾーン内に一個ずつ設けられたモータ内蔵ローラ4a内のモータ)14が接続されている。さらに、本実施例の回路は、各電源器11が並列接続可能な構成であり、各電源器11間にリレースイッチ15が設けられている。
【0032】
また各ゾーンコントローラ(図示せず)は、上位制御手段13からのRUN/STOP信号を受信し、各駆動用モータ14を制御する。これにより各電源器11を合理的に並列接続することが可能な回路となる。
また、1パーティに含まれる駆動用モータ14は、1又は2以上の数であり各パーティは同数であるとは限らない。本実施例では、電源器11が3個であるためにパーティ数は3である。そして各パーティ30,31,32の駆動用モータの数は、上流側の電源器11Aが支配する第一パーティ30が7つ(7個のゾーンA,B,C,・・・を構成する7つのモータ)であり、電源器11Bが支配する第二パーティ31は6つ(6個のゾーンA,B,C,・・・を構成する6個のモータ)であり、電源器11Cが支配する第二パーティ32は7つ(7個のゾーンを構成する7つのモータ)としている。
【0033】
上記構成の実施例では、リレースイッチ15がオンするのに一定の条件を持たせており、電流監視手段12A,12B,12Cが検知する電流値により電源器11の並列接続をオン/オフさせる制御が働く。さらに、電流監視手段12が検知する電流値により、搬送方向上流側の電源器11が支配する各駆動用モータ14をRUN/STOPさせる制御が働く。このとき、搬送方向下流側の搬送が優先的に行われる。
【0034】
ここで本実施形態のコンベア装置1は、通常、電源器11が有する容量内で運転しており、一定条件の下、図5に示す制御が働く構成である。したがって、図5の制御フローを用いて説明する。
STEP1では電流監視手段12によって過大な電流が検知されるとSTEP2へ進む。またこのとき、電流監視手段12が過大な電流を検知しなければ再びSTEP1に戻り、各電源器11の電流監視が続けられる。要するに通常運転を維持し、各電源器11のパーティは電気的に独立し、1つの電源器11は、それぞれが支配するパーティにのみ電流を供給する。
【0035】
STEP2では、STEP1で検知された電源器11とその上流側の電源器11とが並列接続される。例えば中央の電源器11Bの電流が過大となったことを電流監視手段12Bが検知すると、電源器11Bと上流側の電源器11Aの間のリレースイッチ15Aが通電状態となる。
その結果、図2の実線で示す回路に電流が流れる。すなわち電源器11Bと上流側の電源器11Aが並列接続され、電源器11Aが支配する第一パーティ30と電源器11bが支配するパーティと第二パーティ31に、電源器11Bと電源器11Aから電流が供給される。
すなわち過大な電流が流れた第二パーティ31に電流を供給する電源器の容量が実質的に増大する。そして、STEP3ではその並列接続状態が一定時間維持される。このとき、駆動用モータに供給される電流が増大するので、駆動用モータの機械的出力が増大し、被搬送物は円滑に搬送されるはずであるが、被搬送物の量などによってはそうでない場合もある。そのためSTEP4では、並列接続された各電源器11の電流が引き続き監視される。
【0036】
そして、ここでさらに過大な電流が検知されるとSTEP5に進む。つまり、このときは並列接続での過大電流を電流監視手段12B又は電流監視手段12Aで監視する。したがって、過大電流が検知されなければ、STEP5’で電源器11の並列接続状態が解消され、再びSTEP1からの動作が行われる。一方電源器11Bを電源器11Aと並列に接続しているにも関わらず、なお過大電流が検知されれば、STEP5に進み、並列接続した上流側の電源器11が支配する駆動用モータ14が停止される。具体的には、図4に示される様に第一パーティ30に属する駆動用モータ14が全て停止される。なお第一パーティ30に属する駆動用モータ14のいずれかを停止する方策を採用してもよい。
その結果、先に過負荷状態であった中央の電源器11Bの負荷が減少し、電源器11Bが支配する第二パーティ31に供給される電流が増大する。つまり搬送方向下流側が優先され、下流側の被搬送物がさらに下流側に送られる。詳しくは、下流側を優先的に搬送することで、搬送ラインの中途で被搬送物が衝突し、詰まることを防ぐためである。そしてSTEP6に進み、第一パーティ30に属する駆動用モータ14を停止した状態を一定時間維持する。一定時間経過後、STEP7に進み、再び並列接続した電源器11Bの電流を監視し、過大な電流値が検知されるとSTEP6に戻る。STEP7で過大な電流が検知されなければ、STEP5’に進み、電源器11の並列状態が解消され、再びSTEP1からの動作が行われる。
【0037】
以上の様に、例えば、図2に示す電源器11Bが過大な電流を出力し、電流監視手段11Bによりその値が検知された場合、上位接続手段13からSTOP信号が発信される。詳しくは、電源器11Bより上流に位置する電源器11Aとリレースイッチ15Aを介して並列接続され、一定時間を経過した後、並列接続した電源器11A又はBの出力電流が過大である場合、パーティ31の各ゾーンコントローラにSTOP信号が生成発信される。それを受信した各前記ゾーンコントローラは、電源器11Aに接続された駆動用モータ14のいずれか又は全てを停止し、並列接続された電源器11Bに接続されたパーティBに主に電流が供給される。これにより、電源器11Bの過大な負担が解消され、被搬送物の円滑な搬送が行われる。
【0038】
また、この被搬送物がパーティCに移動した際も前記した制御が同様に行われ、電源器Cの上流側の電源器11と並列接続される。例えば電源器A又は電源器Bとである。このような構成とすることで、負担が大きい電源器11に繋がれた駆動用モータ14を停止することなく合理的に被搬送物を搬送できる。
【0039】
一方、搬送方向最上流に位置する電源器11Aの出力電流が過大の場合は、さらに上流の電源器11が存在しないので、下流側の電源器11と並列接続することとなる。その場合、電源器11Aの1つ下の電源器11Bやそれより下流側の電源器11Cと並列接続するが、好ましくは電源器11Aより二つ以上下流側の電源器11である。そして、最上流の電源器11Aにおける過大な負担が解消されると、上記したように過大な電流値が検知された電源器11の搬送方向上流側の電源器11と並列接続される制御となる。
【0040】
(実施例2)
上記した実施例1では、電源器11を並列接続した後であっても過負荷状態が続く場合に、上流側のパーティに属する駆動用モータ14を停止する制御回路を採用したが、駆動用モータ14を停止する制御方法を採用するか否かは任意である。
実施例2の回路は、前記した図2と同一であり、3パーティを有する。
【0041】
そしてリレースイッチ15に一定の条件を持たせており、電流監視手段12が検知する電流値により電源器11の並列接続をオン/オフさせる制御が働く。
【0042】
これを図6の制御フローによって説明すると、STEP1では電流監視手段12によって過大な電流が検知されるとSTEP2へ進む。またこのとき、電流監視手段12が過大な電流を検知しなければ再びSTEP1に戻り、各電源器11の電流監視が続けられる。いわゆる通常運転である。STEP2では、STEP1で検知された電源器11と上流側の電源器11とが並列接続される。そして、STEP3ではその並列接続状態が一定時間維持され、電流値が平均化される。このとき、被搬送物は円滑に搬送されるはずであるが、被搬送物の量などによってはそうでない場合もあるため、ステップ4では、並列接続された各電源器11の電流が監視され、ここで過大な電流が検知されるとSTEP3に戻り、並列接続状態が一定時間維持される。また、検知されなければ、STEP5’で並列接続が解消され、再びSTEP1からの動作が行われる。
【0043】
具体的には、例えば、図2に示す電源器11Bが過大の電流を出力し、電流検知手段12Bによりその値が検知された場合、リレースイッチ15Aがオンされ並列接続可能状態となり、電源器Bはその上流側である電源器Aと並列接続状態となる。つまり、過大な電流を出力している電源器11Bの負担は、原則として、上流側の負担が小さい電源器11A等と並列接続状態となることで電流値が平均化される。言い換えれば、負荷の大きい駆動用モータ14を停止することなく、搬送方向下流側に位置する被搬送物を優先的に下流に搬送する制御が働く。そのため、コンベアの中途で被搬送物が衝突することなく効率的に被搬送物を搬送できる。
【0044】
(実施例3)
上記した実施例では、いずれも各パーティに常時接続されている電源器11同士を並列接続する構成を開示したが、予備の電源器を用意し、この予備の電源器を並列専用に使用する構成も可能である。
図7に示す電気回路図を参照する。
この回路では、1つのPC(パーソナルコンピュータ)10に3つ電流監視手段12が接続されており、各電流監視手段12にそれぞれ1つずつ電源器11が接続されており、また1つの電源器11には1パーティの駆動用モータ14が接続されている。さらに本実施例は、既存の電源器11とリレースイッチ15を介して並列接続可能とした新たに設けた電源器35を有する回路構成としている。なお、本実施例に示したPC10は、P.L.Cで構成される上位制御手段13であっても構わない。
【0045】
上記構成の本実施例では、各既存の電源器11が出力する電流値を常に電流監視手段12によって監視しており、その電流値をPC10によってモニター制御している。そして、電流監視手段12が過大な電流値を検知した際に新たに設けた電源器35と並列接続状態にされる制御が働く。このとき、搬送方向下流側の搬送が優先的に行われる。
【0046】
これの制御フローも前記した図6によって説明できるため、省略する。ただ、STEP2で並列接続される電源器は新たに設けられた電源器35である点が大きく異なる。
【0047】
具体的には、例えば、図4に示す電源器11Bが過大な電流を出力し、電流監視手段12Bによりその電流値が検知された場合、新たに設けられた電源器35とリレースイッチ15Bを介して並列接続状態となり、電源器11Bの過大な負担が解消される。また、電源器11A及び電源器11Cが過大な電力を出力した場合、搬送方向下流側が優先的に搬送されるため、まず電源器35は電源器11Cと並列接続状態となる。そして、電源器11Cによる搬送が完了すると、電源器11Aと電源器11Zが並列接続される。このように、搬送方向下流側の搬送を優先的に行う制御とすることで、コンベア装置1の中途で被搬送物が衝突することなく、効率的に搬送を行うことができる。
【0048】
したがって、上記したように電源器11同士を並列接続状態とできる構成とすることで、電源器11の最大容量を縮減しても、過大な電流を必要とした場合のコンベア装置1に起こる不具合等を解消することができる。さらに、搬送方向下流側の搬送を優先的に行う制御であるため、コンベア装置の中途で被搬送物同士が衝突することなく効率的に搬送することができる。言い換えれば、各電源器11の最大容量を縮減しても、上記した制御により合理的な搬送が行えるため、コンベア装置1全体としてコスト削減を実行することが可能である。
【0049】
本実施形態のコンベア装置1は、実施例3では新たに設けた電源器11Zと既存の電源器11との並列接続、実施例1及び2では既存の電源器11同士の並列接続が可能な回路構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。
例えば、実施例1,2の構成に実施例3に設けた新たな電源器35を設けた構成であっても構わない。しかし、そのような構成にすると、既存の電源器11同士で並列接続できるうえ、新たに設けた電源器11Zとも並列接続されるため過度に電流が流れる懸念がある。
【0050】
本実施形態のコンベア装置1では、電流監視手段12が過大な電流値を検知した場合にその電源器11と他の電源器並列接続に切り替わる制御を示したが、本発明はこれに限られるわけではない。
例えば、図2におけるリレースイッチ15を設けない回路構成であっても構わない。(実施例4)この場合、各電源器11同士は常に並列接続状態であり、一定条件の下、パーティに属する駆動用モータ14が制御される。詳しくは、いずれかの電流監視手段12が過大な電流を検知した場合、その電源器11の搬送方向上流側のパーティに属する駆動用モータ14のいずれか又は全てが停止する。つまり、被搬送物は搬送方向下流側が優先的に搬送されることになる。
このような構成とすることで、上記した実施例と同様に、搬送ライン上全てに被搬送物が積まれ、電流が不足する状況に陥っても、搬送方向下流側が優先的に搬送されるため、被搬送物がラインの中途で衝突することなく、円滑な搬送ができる。つまり、各電源器11の容量を縮減することが可能で、コスト削減を実行することに繋がる。
【0051】
本実施形態のコンベア装置1は、3パーティ構成の回路を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。
例えば、2パーティや4パーティ以上であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るゾーン制御式コンベア装置の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係るゾーン制御式コンベア装置に採用される電源器の接続を示す回路図である。
【図3】電力監視手段12Bが過大電流を検知した場合の電流の流れを示す回路図である。
【図4】電源器を並列状態にしても電力監視手段12Bが過大電流を検知している状況が解消されない場合の電流の流れを示す回路図である。
【図5】実施例1における電源器を並列接続状態に制御するフローチャートである。
【図6】実施例2における電源器を並列接続状態に制御するフローチャートである。
【図7】本発明の実施例3におけるゾーン制御式コンベア装置に採用される電源器の接続を示す回路図である。
【符号の説明】
【0053】
1 コンベア装置
10 PC
11 電源器
12 電流監視手段
13 上位制御手段
14 駆動用モータ
15 リレースイッチ(接続手段)
30,31,32 パーティ
35 電源器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に並ぶ複数のゾーンに区分され、各ゾーンには少なくとも1つの駆動用モータが設けられ、前記駆動用モータを駆動する複数の電源器を有し、各電源器はそれぞれ1又は2以上の前記駆動用モータに対して電力を供給する回路構成を備えたコンベア装置であって、
各前記電源器からの出力電流を監視する電流監視手段を備え、
いずれかの前記電流監視手段が前記電源器の過大な電流を検知した場合に、当該電源器と他の少なくともいずれか一つの電源器とを並列接続状態とすることを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
電源器によって電力が供給される駆動用モータの組を1パーティとし、電源器と他の少なくともいずれか一つの電源器とを並列接続状態とした後、所定の条件下、並列に接続した電源器のパーティに属する前記駆動用モータのいずれか又は全てを停止させることを特徴とする請求項1に記載のコンベア装置。
【請求項3】
各前記電源器によって電力が供給される駆動用モータの組を1パーティとし、前記電流監視手段が過大な電流を検知した場合には、当該電源器は搬送方向上流側のパーティに電力を供給する電源器と並列に接続され、搬送方向上流側の前記パーティに属する前記駆動用モータのいずれか又は全てを停止させることを特徴とする請求項1に記載のコンベア装置。
【請求項4】
搬送方向に並ぶ複数のゾーンに区分され、各ゾーンには少なくとも1つの駆動用モータが設けられ、前記駆動用モータを駆動する複数の電源器を有し、各電源器はそれぞれ1又は2以上の前記駆動用モータに対して電力を供給する回路構成を備えたコンベア装置であって、
前記電源器のいくつかは他の1又はそれ以上の電源器と並列に接続されており、
各前記電源器からの出力電流を監視する電流監視手段を備え、
各前記電源器によって電力が供給される駆動用モータの組を1パーティとし、
いずれかの前記電流監視手段が前記電源器の過大な電流を検知した場合に、当該電源器と並列に接続された電源器であって当該電源器よりも搬送方向上流側の電源器のパーティに属する駆動モータのいずれか又は全てを停止させることを特徴とするコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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