説明

コンベア装置

【課題】装置間隔を狭めることが可能であり、かつ軸受の破損を防止できるコンベア装置を提供する。
【解決手段】コンベア装置では、支持プレート26がフレーム本体4の他端面4cに対向した状態で、ピローブロック13がフレーム本体4の他端面4cに対して固定されている。これにより、固定用ボルトを挿入する切欠部を形成しない分、ベースプレート25の突出量を抑えられ、隣接するコンベア装置1,1間の間隔を狭めることができる。また、ピローブロック13に作用する位置決め用ボルト23からの押し付け力の向き及びベルトからの張力の向きと、固定用ボルト21の向きとが、いずれもサイドフレーム3の長手方向となっている。このため、ベルトの張力調整時にピローブロック13に無理な力が加わることを防止でき、特別の補強を行わなくてもピローブロック13の破損を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば立体駐車装置に組み込まれ、車両等を搬送するコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模立体駐車装置では、入出庫時や庫内車両搬送の際に車両を移動させるコンベア装置が使用されている。コンベア装置は、例えば車両の搬送方向に複数並べられ、隣接するコンベア装置間で車両の搬送及び受け渡しを繰り返しながら車両の搬送を行っている。
【0003】
このようなコンベア装置として、例えば特許文献1に記載のコンベア装置がある。この従来のコンベア装置は、ベルトの脇に設けられたサイドフレームと、サイドフレームの一端部に軸受を介して設けられた駆動プーリと、サイドフレームの他端部に軸受を介して設けられた従動プーリとを備えている。
【0004】
サイドフレームの他端部には、ボルトを挿入するための切欠部を有する軸受固定プレートが設けられており、軸受固定プレートの上面に軸受を載置すると共に下面に当て板を当接させ、サイドフレームから張り出した状態で軸受を軸受固定プレートにボルト固定している。これにより、ベルトの張力調整をコンベア装置の上方から容易に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3894750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したコンベア装置の構成は、構造の簡素化及び小型化を実現しつつ、ベルトの張力調整を容易化できる点で有意である。しかしながら、この構成では、ベルトの張力調整時に従動プーリをサイドフレームの長手方向に移動させることを想定して、軸受固定プレートに十分な長さの切欠部を設けなくてはならず、軸受固定プレートの長さを軸受の幅よりも大きくしておく必要があった。したがって、隣接するコンベア装置の駆動プーリとの接触を避けるため、コンベア装置間の間隔を広げざるを得ない点で改良の余地があった。
【0007】
また、軸受には位置決め用ボルトからの押し付け力及びベルトからの張力が主に加わるが、従来の構成では、これらの力の向きに対して軸受固定プレートに螺入される固定用ボルトの向きが交差しているという問題があった。したがって、軸受の破損を防止するため、軸受の強度を確保しなくてはならない点で改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、装置間隔を狭めることが可能であり、かつ軸受の破損を防止できるコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決のため、本発明に係るコンベア装置は、ベルトの側部に配置されたサイドフレームと、サイドフレームの端部に軸受を介して設けられたプーリとを備えたコンベア装置であって、サイドフレームの端面には、サイドフレームの長手方向に突出するベースプレートと、軸受を固定する固定用ボルトが挿入された第1挿入孔と、軸受をベースプレートに沿ってスライドさせる位置決め用ボルトが挿入された第2挿入孔とが設けられ、軸受の底部には、固定用ボルトの挿入孔に連通する第3挿入孔が形成された支持プレートが設けられ、軸受は、位置決め用ボルトの先端が支持プレートに当接することによって位置決めされ、支持プレートがサイドフレームの端面に対向した状態で、第1挿入孔及び第3挿入孔に挿入された固定用ボルトによってサイドフレームの端面に対して固定されていることを特徴としている。
【0010】
このコンベア装置では、支持プレートがサイドフレームの端面に対向した状態で、軸受がサイドフレームの端面に対して固定されている。これにより、サイドフレームの端面から突出する軸受固定プレートに軸受を固定する従来構成と比較して、固定用ボルトを挿入する切欠部を形成しない分、サイドフレームの端面からのベースプレートの突出量を抑えることが可能となる。したがって、隣接するコンベア装置間の間隔を狭めることができる。また、このコンベア装置では、軸受に作用する位置決め用ボルトからの押し付け力の向き及びベルトからの張力の向きと、固定用ボルトの向きとが、いずれもサイドフレームの長手方向となるので、軸受に無理な力が加わることを防止できる。したがって、軸受の破損を防止できる。
【0011】
また、支持部材には、ベースプレートに当接するコッターが設けられていることが好ましい。これにより、支持部材とベースプレートとが十分な面積で当接するので、軸受がベースプレートに沿って安定してスライド可能となっている。また、ベースプレート上での軸受の安定性が増すので、ベルトの張力調整を行う際の作業性を向上できる。
【0012】
また、固定用ボルトのヘッドとサイドフレームの端面との間、及びサイドフレームの端面と支持部材との間には、予め定められた枚数のシムが配置されていることが好ましい。この場合、シムを軸受の近くで保管できるので、シムの紛失を防止できる。また、ベルトの張力調整を行うにあたって、シムの枚数の合計を変えずに、固定用ボルトのヘッドとサイドフレームの端面との間に配置するシムの枚数と、サイドフレームの端面と支持部材との間に配置するシムの枚数とを変えることにより、固定用ボルトの長さ変更が不要となる。
【0013】
また、軸受は、ピローブロックであることが好ましい。この場合、プーリをしっかりとサイドフレームに対して結合できる。
【0014】
サイドフレームの底面には、サイドフレームの長手方向に延びる据え付け用の長穴が設けられていることが好ましい。こうすると、隣接するコンベア装置とのギャップを調整しながらコンベア装置を固定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコンベア装置によれば、装置間隔を狭めることが可能であり、かつ軸受の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコンベア装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】ピローブロックとフレーム本体の他端面との固定構造を示す拡大斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】図2の側面図である。
【図5】ベルトの張力調整時の工程を示す側面図である。
【図6】図5の後続の工程を示す側面図である。
【図7】図6の後続の工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るコンベア装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るコンベア装置の一実施形態を示す斜視図である。図1に示すコンベア装置1は、例えば平面往復式の大規模立体駐車装置において複数並べられ、隣接するコンベア装置1,1間で車両の搬送及び受け渡しを繰り返しながら車両の搬送を行う装置である。
【0019】
コンベア装置1は、車両を載置可能なベルト2と、ベルト2の側部に配置された1対のサイドフレーム3(図1では手前側のみを図示)とを備えている。サイドフレーム3は、フレーム本体4を有している。フレーム本体4の底面4aには、据え付け用の長穴5が2箇所に形成されており、長穴5にボルトを挿入することによって、隣接するコンベア装置1とのギャップを調整しながらコンベア装置1を架台に対して固定できる。
【0020】
フレーム本体4の一端面4bには、ピローブロック11が固定されている。ピローブロック11には、所定の駆動手段によって駆動する駆動プーリ12が回転可能に軸支されている。また、フレーム本体4の他端面4cには、ピローブロック13が固定されている。ピローブロック13には、駆動プーリ12の駆動に伴って動作する従動プーリ14が回転可能に軸支されている。駆動プーリ12と従動プーリ14とには、上述のベルト2が架け渡されている。なお、ベルト2に代えてチェーンを使用してもよい。
【0021】
ピローブロック11,13のそれぞれは、駆動プーリ12の軸または従動プーリ14の軸が軸支される半円状の頂部と、頂部の下側の直方体状の脚部とによって構成されている。ピローブロック11は、脚部の底面をサイドフレーム3に向けた状態でフレーム本体4の一端面4bにボルト固定され、ピローブロック13は、脚部の底面をサイドフレーム3に向けた状態でフレーム本体4の他端面4cに対してボルト固定されている。
【0022】
続いて、ピローブロック13とフレーム本体4の他端面4cとの固定構造について更に詳細に説明する。
【0023】
図2は、この固定構造を示す拡大斜視図である。また、図3は、その分解斜視図であり、図4はその側面図である。図2〜図4に示すように、フレーム本体4の他端面4cには、ピローブロック13を固定する固定用ボルト21が挿入された第1挿入孔22と、ピローブロック13を位置決めする位置決め用ボルト23が挿入された第2挿入孔24とが設けられている。
【0024】
第2挿入孔24は、他端面4cの略中央に設けられており、第1挿入孔22は、第2挿入孔24の上下にそれぞれ設けられている。また、他端面4cの下部には、ベースプレート25が設けられている。ベースプレート25は、例えばSS400などの一般構造用鋼材からなり、ピローブロック13における従動プーリ14の軸支位置までは到達しない長さでサイドフレーム3の長手方向に突出している。
【0025】
一方、ピローブロック13における脚部の底面には、脚部の幅よりもわずかに大きい幅の支持プレート(支持部材)26が設けられている。支持プレート26の下部には、ピローブロック13の頂部側に張り出すコッター27が設けられている。このコッター27は、ベースプレート25に対する支持プレート26の脚部として機能し、支持プレート26とベースプレート25とが十分な面積で当接した状態となるので、ピローブロック13は、ベースプレート25に沿ってサイドフレーム3の長手方向に安定してスライド可能となっている。
【0026】
また、支持プレート26の略中央には、第2挿入孔24に通された位置決め用ボルト23の先端が当接している。そして、ピローブロック13の脚部及び支持プレート26には、第1挿入孔22に連通する第3挿入孔28(図4参照)が形成され、ナット29を介して第1挿入孔22に通された固定用ボルト21の先端部分が挿入されている。
【0027】
これにより、ピローブロック13は、位置決め用ボルト23の先端が支持プレートに当接する位置でベースプレート25に対して位置決めされ、支持プレート26がフレーム本体4の他端面4cに対向した状態で、サイドフレーム3の他端面4cに対して固定されている。なお、固定用ボルト21による固定後は、位置決め用ボルト23を緩め、位置決め用ボルト23と支持プレート26との当接状態を解除してもよい。
【0028】
さらに、サイドフレーム3とピローブロック13との固定状態において、
固定用ボルト21のヘッド21aとフレーム本体4の他端面4cとの間、及びフレーム本体4の他端面4cと支持プレート26との間には、予め定められた枚数(例えば計5枚)のシム30が挟み込まれている。
【0029】
シム30は、固定用ボルト21,21及び位置決め用ボルト23に対応する3つの切り欠きが形成された櫛歯状をなし(図3参照)、サイドフレーム3の側方からの抜き差しが可能になっている。本実施形態では、位置決め用ボルト23によるフレーム本体4の他端面4cからのピローブロック13のスライド量に一致するように、フレーム本体4の他端面4cと支持プレート26との間に2枚のシム30が差し込まれ、残りの3枚のシム30が固定用ボルト21のヘッド21aとフレーム本体4の他端面4cとの間に差し込まれている。
【0030】
このようなコンベア装置1において、ベルト2の張力調整を行う場合、まず、図5に示すように、固定用ボルト21,21を緩め、ピローブロック13をフリーな状態にする。次に、位置決め用ボルト23を締め、位置決め用ボルト23の先端でピローブロック13の支持プレート26を押圧し、ピローブロック13をベースプレート25上でサイドフレーム3の長手方向にスライドさせる。
【0031】
ピローブロック13を所望の位置までスライドさせた後、図6に示すように、固定用ボルト21のヘッド21aとフレーム本体4の他端面4cとの間に差し込まれていたシム30を抜き取り、フレーム本体4の他端面4cと支持プレート26との間に差し込む。最後に、図7に示すように、固定用ボルト21,21を締め、スライド後の位置でピローブロック13をフレーム本体4の他端面4cに対して再び固定すると、ベルト2の張力調整が完了する。なお、固定用ボルト21,21を締めた後、位置決め用ボルト23を緩めてもよい。
【0032】
以上説明したように、コンベア装置1では、支持プレート26がフレーム本体4の他端面4cに対向した状態で、ピローブロック13がフレーム本体4の他端面4cに対して固定されている。これにより、サイドフレームの他端面から突出する軸受固定プレートにピローブロックを固定する従来構成と比較して、固定用ボルトを挿入する切欠部を形成しない分、フレーム本体4の他端面4cからのベースプレート25の突出量を抑えられる。したがって、隣接するコンベア装置1,1間の間隔を狭めることができる。
【0033】
また、コンベア装置1では、ピローブロック13に作用する位置決め用ボルト23からの押し付け力の向き及びベルト2からの張力の向きと、固定用ボルト21の向きとが、いずれもサイドフレーム3の長手方向となっている。このため、ベルト2の張力調整時にピローブロック13に無理な力が加わることを防止でき、特別の補強を行わなくてもピローブロック13の破損を防止できる。
【0034】
また、本実施形態では、支持プレート26の下部に、ベースプレート25に当接するコッター27が設けられている。これにより、支持プレート26とベースプレート25とが十分な面積で当接するので、ピローブロック13がベースプレート25に沿って安定してスライド可能となっている。また、ベースプレート25上でのピローブロック13の安定性が増すので、ベルト2の張力調整を行う際、例えば固定用ボルト21,21を緩めたときにピローブロック13が倒れてしまうこと等を防止でき、作業性を向上できる。
【0035】
また、本実施形態では、固定用ボルト21のヘッド21aとフレーム本体4の他端面4cとの間、及びフレーム本体4の他端面4cと支持プレート26との間には、予め定められた枚数のシム30が配置されている。これにより、シム30をピローブロック13の近くで保管できるので、シム30の紛失を防止できる。
【0036】
また、ベルト2の張力調整を行うにあたって、シム30の枚数の合計を変えずに、固定用ボルト21のヘッド21aとフレーム本体4の他端面4cとの間に配置するシム30の枚数と、フレーム本体4の他端面4cと支持プレート26との間に配置するシム30の枚数とを変えることにより、ピローブロック13をスライドさせた場合でも固定用ボルト21とピローブロック13との位置関係が一定となる。したがって、固定用ボルト21の長さ変更が不要となり、ボルトの交換作業を省略することが可能となる。
【0037】
さらに、本実施形態では、第2軸受としてピローブロック13を用いることで、従動プーリ14をしっかりとサイドフレーム3に対して結合できる。また、フレーム本体4の底面4aには、サイドフレーム3の長手方向に延びる据え付け用の長穴5が設けられている。これにより、隣接するコンベア装置1とのギャップを調整しながらコンベア装置1を架台に対して固定できる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、ピローブロック13とフレーム本体4の他端面4cとの固定構造を例示しているが、同様の固定構造をピローブロック11とフレーム本体4の一端面4bとの間に適用してもよい。また、その双方に適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…コンベア装置、2…ベルト、3…サイドフレーム、4…フレーム本体、4a…底面、4b…一端面、4c…他端面、5…長穴、11…ピローブロック(軸受)、12…駆動プーリ、13…ピローブロック(軸受)、14…従動プーリ、21…固定用ボルト、21a…ヘッド、22…第1挿入孔、23…位置決め用ボルト、24…第2挿入孔、25…ベースプレート、26…支持プレート(支持部材)、27…コッター、28…第3挿入孔、30…シム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトの側部に配置されたサイドフレームと、前記サイドフレームの端部に軸受を介して設けられたプーリとを備えたコンベア装置であって、
前記サイドフレームの端面には、前記サイドフレームの長手方向に突出するベースプレートと、前記軸受を固定する固定用ボルトが挿入された第1挿入孔と、前記軸受を前記ベースプレートに沿ってスライドさせる位置決め用ボルトが挿入された第2挿入孔とが設けられ、
前記軸受の底部には、前記固定用ボルトの挿入孔に連通する第3挿入孔が形成された支持プレートが設けられ、
前記軸受は、前記位置決め用ボルトの先端が前記支持プレートに当接することによって位置決めされ、前記支持プレートが前記サイドフレームの端面に対向した状態で、前記第1挿入孔及び前記第3挿入孔に挿入された前記固定用ボルトによって前記サイドフレームの端面に対して固定されていることを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
前記支持部材には、前記ベースプレートに当接するコッターが設けられていることを特徴とする請求項1記載のコンベア装置。
【請求項3】
前記固定用ボルトのヘッドと前記サイドフレームの端面との間、及び前記サイドフレームの端面と前記支持部材との間には、予め定められた枚数のシムが配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコンベア装置。
【請求項4】
前記軸受は、ピローブロックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のコンベア装置。
【請求項5】
前記サイドフレームの底面には、前記サイドフレームの長手方向に延びる据え付け用の長穴が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−51682(P2011−51682A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200317(P2009−200317)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】