説明

コンベヤ装置

【課題】 トラフ型ベルトコンベヤとスクリュー軸とにより被搬送物を移送させることにより移送抵抗を軽減させ、被搬送物をスムーズに移送させながら同時に効率よく混合攪拌ができるようにしたコンベヤ装置の提供。
【解決手段】 ローラ11,12間に掛け回された無端ベルト10の積載面がトラフ面10aとして湾曲形成されているトラフ型ベルトコンベヤ1と、回転軸20に螺旋羽根212が設けられたスクリュー軸2とを備え、スクリュー軸が、螺旋羽根の外周縁を前記トラフ面の底部に接触又は近接させる状態で、その軸方向がトラフ型ベルトコンベヤの移送方向に延長するように軸支されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石、砕砂、コンクリート廃骨材、泥土、土砂、脱水スラッジ、廃棄混合骨材、高炉スラグ骨材等の単体又は混合物、それに戻り生コンクートに微粉末又は/及び骨材を混合させた戻り生コン混合骨材、生コンクート等を主な被搬送物とし、これらを移送させながら混合攪拌させることができるコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤ装置として、トラフ型ベルトコンベヤ、スクリューコンベヤが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
トラフ型ベルトコンベヤはローラ間に掛け回された無端ベルトの積載面がトラフ面として湾曲形成されたもので、このトラフ面によって無端ベルトの両側縁から被搬送物がこぼれ落ちるのを防止できるという利点がある。
しかしながら、このトラフ型ベルトコンベヤは、あくまでも搬送装置であり、被搬送物を移送させながら混合攪拌させるといった機能はない。
【0004】
又、ベルトコンベヤは、一般的に概ね25度程度の傾斜角で設置するのが限度とされており、これ以上の傾斜角で設置する場合には、無端ベルトの表面に被搬送物の滑り落ちを防止するための桟部材等を突設させる必要があるし、砕石等を被搬送物とした場合、このような桟部材等を突設させても被搬送物の滑り落ちを十分に防止できないという問題があった。
【0005】
又、スクリューコンベヤは、トラフの内部にスクリュー軸が設けられているため、このスクリュー軸の回転によってトラフの内部に投入した被搬送物を移送させながら混合攪拌することができる。
【0006】
しかしながら、このスクリューコンベヤは、トラフが固定されているため、被搬送物はスクリュー軸の回転のみによって、トラフ内面との摩擦抵抗を多く受けながら移送されることになる。
このような被搬送物に対する移送抵抗によってスクリュー軸の回転に大きな負荷がかかってしまうし、例えば、砕石等を被搬送物とした場合、スクリュー軸の螺旋羽根とトラフ内面との間に砕石等が噛み込み、螺旋羽根やトラフが激しく摩耗したり、異音が発生したりする。
【0007】
又、スクリュー軸の回転に共回わりすることで砕石の混合攪拌が行なわれるが、トラフ内面との摩擦抵抗によって砕石の共回わりが不十分になり、砕石の混合攪拌機能を十分に発揮できないという問題があった。
なお、従来、砕石等を被搬送物としたスクリューコンベヤは見受けられない。
【特許文献1】 実開平6−49412号公報
【特許文献2】 特開平10−119028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のコンベヤ装置は、トラフ型ベルトコンベヤとスクリュー軸とにより被搬送物を移送させることにより移送抵抗を軽減させ、被搬送物をスムーズに移送させながら同時に効率よく混合攪拌ができるようにしたコンベヤ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明(請求項1)のコンベヤ装置は、
ローラ間に掛け回された無端ベルトの積載面がトラフ面として湾曲形成されているトラフ型ベルトコンベヤと、
回転軸に螺旋羽根が設けられたスクリュー軸とを備え、
前記スクリュー軸が、螺旋羽根の外周縁を前記トラフ面の底部に接触又は近接させる状態で、その軸方向がトラフ型ベルトコンベヤの移送方向に延長するように軸支されている構成とした。
【0010】
又、本発明(請求項2)のコンベヤ装置は、
請求項1記載のコンベヤ装置において、前記無端ベルトのトラフ面及びスクリュー軸を覆うように設けられたトンネル状カバーと、このトンネル状カバーの内部に風を送風させる送風装置とが設けられている構成とした。
【0011】
又、本発明(請求項3)のコンベヤ装置は、
請求項1又は2記載のコンベヤ装置において、前記無端ベルトの積載面に2列のトラフ面が平行に形成され、この2列のトラフ面に螺旋羽根の外周縁を接触又は近接させる状態で2本のスクリュー軸が平行に軸支され、この2本のスクリュー軸は対向側が下から上に向けて同一回転速度で回転するよう形成されている構成とした。
【0012】
又、本発明(請求項4)のコンベヤ装置は、
請求項1又は2又は3記載のコンベヤ装置において、トラフ型ベルトコンベヤによる被搬送物の移送速度と、スクリュー軸による被搬送物の移送速度とがほぼ同一に設定されている構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンベヤ装置は、トラフ型ベルトコンベヤにスクリュー軸を組み合わせてトラフ型ベルトコンベヤによる移送と、スクリュー軸による移送の両方を利用して被搬送物を移送させるようにした構成に特徴がある。
これにより移送抵抗を軽減させて、被搬送物をスムーズに移送させながら同時に効率よく混合攪拌ができる。
【0014】
このように、移送抵抗を軽減させることができるため、例えば、砕石等を被搬送物とした場合でも、スクリュー軸の螺旋羽根とトラフ内面との間に砕石等が噛み込むのを抑制させて螺旋羽根やトラフの摩耗、異音の発生を抑えることができるし、又、スクリュー軸の回転に加わる負荷を軽減させることができる。
又、被搬送物の移送抵抗を軽減できるため、スクリュー軸の回転に伴う被搬送物の共回わりを促進させ、砕石等を十分に混合攪拌させることができる。
又、傾斜状態に設置した場合、滑り落ちようとする被搬送物をスクリュー軸が下から受け止める状態になるため、急傾斜(45度程度)の傾斜角に設置しても被搬送物を確実に移送させることができる。
【0015】
又、無端ベルトのトラフ面及びスクリュー軸を覆うようにトンネル状カバーを設け、このトンネル状カバーの内部に送風装置で風を送風させるようにすると(請求項2)、移送されながら混合攪拌されている被搬送物に対して風を当てることができ、被搬送物の乾燥を促すことができる。
【0016】
又、無端ベルトの積載面に、対向側が下から上に向けて回転するように2本のスクリュー軸を平行に軸支させると(請求項3)、被搬送物を2本のスクリュー軸の間に寄せ集めることができ、被搬送物の移送及び混合攪拌を効率よく行なうことができるし、被搬送物のこぼれ落ちを防止することができる。
【0017】
又、トラフ型ベルトコンベヤによる被搬送物の移送速度と、スクリュー軸による被搬送物の移送速度とをほぼ同一に設定させると(請求項4)、被搬送物の移送抵抗が殆どなくなるため、被搬送物をスムーズに移送させることができるし、被搬送物のスクリュー軸との共回りが促進され、効果的に混合攪拌させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明に係るコンベヤ装置の実施例を示す切欠側面図、図2はこのコンベヤ装置を示す断面図である。
【0019】
図において、1はトラフ型ベルトコンベヤで、フレーム9の前端に設けた駆動ローラ11と、フレーム9の後端に設けた従動ローラ12の間に無端ベルト10が掛け回されている。
そして、この無端ベルト10の上側移行部、すなわち搬送物を運ぶ側をトラフローラによって支えることで積載面をトラフ(樋)面として湾曲形成させている。
この実施例では、無端ベルト10の両側部分を下からV字状に支える傾斜ローラ13,13と、無端ベルト10の中央部分を下から支える水平ローラ14とによって支えることで、積載面をトラフ(樋)面10aとして湾曲形成させている。
なお、図中15は軸受ブラケットで、トラフローラ(傾斜ローラ13,13、水平ローラ14)を軸支している。
【0020】
なお、トラフローラによる支持構造の他例を図3〜図6に示す。
図3の支持構造は、無端ベルト10の両側部分を下からV字状に支える傾斜ローラ13,13と、無端ベルト10の中央部分を下から支える鼓状ローラ15によって無端ベルト10の積載面を湾曲させてトラフ面10aに形成させている。
【0021】
図4の支持構造は、無端ベルト10の両側部分を下からV字状に支える傾斜ローラ13,13と、無端ベルト10の中央部分を下から支えるコイル状ローラ16によって無端ベルト10の積載面を湾曲させてトラフ面10aに形成させている。
【0022】
図5の支持構造は、無端ベルト10の幅全体を下から支えるコイル状ローラ17によって無端ベルトの積載面を湾曲させてトラフ面10aに形成させている。
【0023】
図6の支持構造は、無端ベルト10の両側部分を下からV字状に支える傾斜ローラ13,13だけで無端ベルト10の積載面を湾曲させてトラフ面10aに形成させている。
【0024】
図において、2はスクリュー軸で、回転軸20に螺旋羽根21が設けられている。
実施例のスクリュー軸2は、一定幅の帯状板を螺旋状に形成した螺旋羽根21が回転軸20との間に空隙22を保持するように支持材23を介して回転軸20に取り付けられている。
そして、このスクリュー軸2が、螺旋羽根21の外周縁を前記トラフ面10aの底部に接触又は近接させる状態で、その軸方向がトラフ型ベルトコンベヤ1の移送方向(矢印N方向)に延長するように軸支されている。
【0025】
又、スクリュー軸2は、その回転により、無端ベルト10のトラフ面10aに積載された被搬送物をトラフ型ベルトコンベヤ1による移送方向と同一方向に移送させるように、その回転方向及び螺旋方向が形成されている。
なお、スクリュー軸2としては、図5及び図6及び図7示すように、回転軸20の外周面から直接にブレード状の螺旋羽根21aを立ち上げたものを用いてもよい。
【0026】
この実施例では、無端ベルト10のトラフ面10a及びスクリュー軸2を覆うようにトンネル状カバー3が設けられ、このトンネル状カバー3の内部に風(熱風でもよい)を送風させるための送風装置4が設けられている。
この場合、送風装置4としては、送風ブロアに限らず、自動車や土木建設機械等のエンジンの排気風をトンネル状カバー3内に導入してもよいし、又、送風経路の途中に加熱装置を設けたり、吹き出し口にバーナを設けたりして熱風を送風させるようにしてもよい。
このように、トンネル状カバー3と送風装置4を設けると、被搬送物に被搬送物に対して風を当てることができ、被搬送物の乾燥を促すことができる。
この場合、前記スクリュー軸2に空隙22が形成されているため、この空隙22を通して被搬送物に風(又は熱風)を当てることができ、効率よく被搬送物を乾燥させることができる。
【0027】
図中50はトラフ型ベルトコンベヤ1の駆動モータ、51はスクリュー軸2の駆動モータで、この両駆動モータ50,51は独立して設けられている。
そして、この実施例では、トラフ型ベルトコンベヤ1による被搬送物の移送速度と、スクリュー軸2による被搬送物の移送速度とがほぼ同一なるように、前記に両駆動モータ50,51及びその動力伝達系が設定されている。
【0028】
なお、トラフ型ベルトコンベヤ1による被搬送物の移送速度と、スクリュー軸2による被搬送物の移送速度は、必ずしも同一に設定する必要はなく、トラフ型ベルトコンベヤ1による被搬送物の移送速度をスクリュー軸2による被搬送物の移送速度よりも速くさせたり、遅くさせたりすることができる。
【0029】
又、図中6は被搬送物の供給ホッパーで、この供給ホッパー6からトラフ型ベルトコンベヤ1の始端側(図1において左側)に投入された被搬送物は、トラフ型ベルトコンベヤ1による移送と、スクリュー軸2による移送の両方を利用して移送されるもので、これにより移送抵抗が軽減され、被搬送物はスムーズに移送されながら同時に効率よく混合攪拌されてトラフ型ベルトコンベヤ1の終端側(図1において右側)から落下排出される。
【0030】
次に、図6は本発明に係るコンベヤ装置の他の実施例を示す概略断面図である。
このこのコンベヤ装置は、装置全体を水平面Lに対して傾斜させたものである。
スクリュー軸2を回転させると(矢印A方向)、被搬送物がスクリュー軸2の上向き回転側(図6ではB側)に片寄ってしまう傾向にあり、これでは被搬送物の搬送及び混合攪拌が不十分になるおそれがあるため、スクリュー軸2の上向き回転側Bが上方になるように無端ベルト10を傾斜させ、被搬送物の片寄りをできるだけなくすようにしたものである。
【0031】
次に、図7は本発明に係るコンベヤ装置の他の実施例を示す概略断面図である。
このコンベヤ装置は、無端ベルト10の積載面に2列のトラフ面10a,10aが平行に形成され、この2列のトラフ面10a,10aに螺旋羽根21a,21aの外周縁を接触又は近接させる状態で2本のスクリュー軸2,2が平行に軸支されている。
この場合のトラフローラよる支持構造は、無端ベルト10の両側部分を下からV字状に支える傾斜ローラ13,13と、無端ベルト10の中央部分を下から持ち上げるように支える山形ローラ18によって無端ベルト10の積載面に2列のトラフ面10a,10aを平行に形成させている。
【0032】
そして、この2本のスクリュー軸2,2は対向側が下から上に向けて同一回転速度で回転するよう形成されている
このように、2本のスクリュー軸2,2を設けると、被搬送物を2本のスクリュー軸2,2の間に寄せ集めることができ、被搬送物の移送及び混合攪拌を効率よく行なうことができるし、被搬送物のこぼれ落ちを防止することができる。
【0033】
なお、本発明において、無端ベルトの材質は、積載面を湾曲させてトラフ面に形成できるような屈曲性を有していれば特に制限はないが、表面が弾性部材によって被覆されているものを使用するのが、被搬送物の噛み込みを逃がすためには好適である。
又、トラフの深さや湾曲の曲率等も適宜に設計できる。
又、無端ベルトの両側上面に荷こぼれを防止するためのスカートを設ける等、従来周知の構造を付加することは適宜にできる。
【0034】
又、トラフ型ベルトコンベヤとして、トラフと無端ベルトの間に空気を供給することにより無端ベルトを浮上させた状態で移行させるようにした空気浮上式ベルトコンベヤ(例えば、特許公開2006−8371号公報参照)を用いることができる。
【0035】
又、スクリュー軸の螺旋羽根の外周部分にゴムやウレタン等の弾性部材を取り付けたり、トラフローラの外周面にゴムやウレタン等の弾性部材を取り付けたりすれば、スクリュー軸の螺旋羽根とトラフ面との間に被搬送物が噛み込んだ場合に、この弾性部材がクッションとなるため噛み込みを逃がすことができ、噛み込みに伴う摩耗や破損を軽減できる。
【0036】
又、本発明のコンベヤ装置は、被搬送物を下から上に移送させることを目的として上り傾斜状態に設置する場合に好適に使用できるが、水平に設置して使用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】 本発明に係るコンベヤ装置の実施例を示す切欠側面図である。
【図2】 このコンベヤ装置を示す断面図である。
【図3】 トラフローラによる支持構造の他例を示す概略断面図である。
【図4】 トラフローラによる支持構造の他例を示す概略断面図である。
【図5】 トラフローラによる支持構造の他例を示す概略断面図である。
【図6】 本発明に係るコンベヤ装置の他の実施例を示す概略断面図である。
【図7】 本発明に係るコンベヤ装置の他の実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 トラフ型ベルトコンベヤ
10 無端ベルト
10a トラフ面
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
13 傾斜ローラ
14 水平ローラ
15 鼓状ローラ
16 コイル状ローラ
17 コイル状ローラ
18 山形ローラ
2 スクリュー軸
20 回転軸
21 螺旋羽根
21a 螺旋羽根
22 空隙
23 支持材
3 トンネル状カバー
4 送風装置
50 駆動モータ
51 駆動モータ
6 供給ホッパー
9 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ間に掛け回された無端ベルトの積載面がトラフ面として湾曲形成されているトラフ型ベルトコンベヤと、
回転軸に螺旋羽根が設けられたスクリュー軸とを備え、
前記スクリュー軸が、螺旋羽根の外周縁を前記トラフ面の底部に接触又は近接させる状態で、その軸方向がトラフ型ベルトコンベヤの移送方向に延長するように軸支されていることを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
請求項1記載のコンベヤ装置において、前記無端ベルトのトラフ面及びスクリュー軸を覆うように設けられたトンネル状カバーと、このトンネル状カバーの内部に風を送風させる送風装置とが設けられているコンベヤ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコンベヤ装置において、前記無端ベルトの積載面に2列のトラフ面が平行に形成され、この2列のトラフ面に螺旋羽根の外周縁を接触又は近接させる状態で2本のスクリュー軸が平行に軸支され、この2本のスクリュー軸は対向側が下から上に向けて同一回転速度で回転するよう形成されているコンベヤ装置。
【請求項4】
請求項1又は2又は3記載のコンベヤ装置において、トラフ型ベルトコンベヤによる被搬送物の移送速度と、スクリュー軸による被搬送物の移送速度とがほぼ同一に設定されているコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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