説明

コークス乾式消火設備のコークスレベル制御方法および制御装置

【課題】コークス乾式消火設備においてチャンバー内に投入されるコークスレベルをチャンバー内の適正コークスレベルとなるように制御でき、しかもその制御の過程でコークスレベルの演算誤差を小さくするための較正を行うことができるコークス乾式消火設備のコークスレベル制御方法および制御装置を提供すること。
【解決手段】チャンバー1内への投入コークス量とチャンバー1外へのコークス切出し量から演算される演算コークスレベルが、チャンバー1内の適正コークスレベルの位置に設置されたレベル検出器8の設置レベル近傍となるように、チャンバー1外へのコークス切出し量を制御する。また、レベル検出器8によって、チャンバー1内のコークスレベルが適正コークスレベルになったことが検出されたときに、演算コークスレベルを適正コークスレベルに置き換えて演算コークスレベルを較正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス乾式消火設備においてチャンバー内に投入されるコークスレベルを制御する制御方法および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス乾式消化設備においては、コークス炉より排出される赤熱コークスをチャンバーに投入して、赤熱コークスを冷却する循環ガスと接触させつつ下降させ、下方の切り出し装置から冷却されたコークスを排出する。
【0003】
このコークス乾式消火設備のチャンバーは、上方がプレチャンバー、その下方が冷却チャンバーとなっており、赤熱コークスはチャンバーの頂部から投入され、プレチャンバーを通過するようになっている。プレチャンバーは、赤熱コークスを受け入れる貯留槽の役割を担い、また、冷却チャンバーに常に安定的に赤熱コークスを供給し、循環ガスとの均一な接触により安定した蒸気の発生を確保するものである。このため、コークス乾式消火設備のチャンバー内のコークスレベルを把握することは適正な操業を行う上で非常に重要であるが、プレチャンバー内は800〜1000℃に達する高温環境であり、かつ赤熱コークスが絶えず移動している状態であるため、コークスレベルを常時連続的に検出する接触式のレベル検出器を設置することは困難であり、放射線またはマイクロ波等を利用した非接触式あるいは電極式のレベル検知器が用いられている。
【0004】
そして、これらのレベル検知器のうちマイクロ波方式に比べ比較的安価なγ線検出器を用いてコークス乾式消化設備のチャンバー内のコークスレベルを制御する方法が特許文献1に開示されている。
【0005】
この特許文献1の制御方法では、チャンバー内のコークスレベルは演算によって把握され、演算誤差の累積を防止するために設置されるプリセットレベル検知用のγ線検出器と、プレチャンバーの頂部からのコークスのオーバーフローを防止するための上限警報用のγ線検出器の2組の検知装置が用いられている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1の制御方法では、プレチャンバー内のコークスレベルを演算し表示すること、およびコークスレベルが通常レベルを逸脱した場合に警報を発することは行われているものの、プレチャンバー内のコークスレベルそのものを所定のレベルに制御するものではなく、コークスレベルは前述の2組のγ線検出器の設置レベルの範囲で常時変動する形態となる。このため、操業の状況によってコークスレベルがプリセットレベルの上方に長時間に亘って推移した場合には、コークスレベルの演算誤差が大きくなるなどの問題を生じる。したがって、操作者がプリセット動作(較正動作)の実行間隔などに注意を払い、プリセット動作の実行が長時間に亘って行われていない場合には、通常の操業を中断しコークスレベルを下げてプリセット動作を行わせるなどの操業介入を行う必要があった。
【特許文献1】特開2003−277758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、コークス乾式消火設備においてチャンバー内に投入されるコークスレベルをチャンバー内の適正コークスレベルとなるように制御でき、しかもその制御の過程でコークレベルの演算誤差を小さくするための較正を行うことができるコークス乾式消火設備のコークスレベル制御方法および制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコークスレベル制御方法は、コークス乾式消火設備のチャンバー内のコークスレベルを制御するコークスレベル制御方法であって、チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量から演算される演算コークスレベルが、チャンバー内の適正コークスレベルの位置に設置されたレベル検出器の設置レベル近傍となるように、チャンバー外へのコークス切出し量を制御することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のコークスレベル制御装置は、コークス乾式消火設備のチャンバー内のコークスレベルを制御するコークスレベル制御装置であって、チャンバー内の適正コークスレベルの位置に設置されたレベル検出器と、チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量から演算コークスレベルを演算し、この演算コークスレベルが前記レベル検出器の設置レベル近傍となるように、チャンバー外へのコークス切出し量を制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
このように、本発明では、演算コークスレベルがチャンバー内の適正コークスレベルの位置に設置されたレベル検出器の設置レベル近傍となるように制御されるので、チャンバー内のコークスレベルが大幅に変動することはなく、コークスレベルを適正範囲内に維持できる。
【0011】
さらに、レベル検出器が適正コークスレベルの位置に設置されているので、このレベル検出器によって、チャンバー内のコークスレベルが適正コークスレベルになったことが検出されたときに、演算コークスレベルを適正コークスレベルに置き換えて演算コークスレベルを較正することができる。前述のように、本発明では、チャンバー内のコークスレベルは、常に適正コークスレベルとなるように制御され、この制御の過程でチャンバー内のコークスレベルが適正コークスレベルになるので、その都度、演算コークスレベルの較正を行うことができる。すなわち、前述の特許文献1のように、通常の操業を中断しコークスレベルを下げてプリセット動作(較正動作)を行わせるなどの操業介入を行うことなく、通常のコークスレベルの制御の過程で演算コークスレベルの較正を行うことができ、これによってコークスレベルの演算誤差を小さくすることができる。
【0012】
本発明において、チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量からのコークスレベルの演算、およびこの演算コークスレベルに基づくコークスレベルの制御は、任意に設定される時間間隔ごとに行うことができる。ただし、その制御を単純化しかつ精度を向上させるためには、コークス乾式消火設備へのコークス移送能力によって決まるチャンバー内へのコークス投入の最短投入時間間隔ごとに前述の制御を行うことが好ましい。
【0013】
すなわち、本発明においては、コークス乾式消火設備へのコークス移送能力によって決まるチャンバー内へのコークス投入の最短投入時間間隔ごとに、チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量を把握して演算コークスレベルを求め、この演算コークスレベルがレベル検出器の設置レベル近傍となるように、チャンバー外へのコークス切出し量を制御するようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コークス乾式消火設備においてチャンバー内に投入されるコークスレベルをチャンバー内の適正コークスレベルとなるように制御できる。さらに、その制御の過程で演算コークスレベルの較正を行うことができ、コークレベルの演算誤差を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明のコークスレベル制御方法を示すプロセスフロー図である。同図において、コークス炉より排出される赤熱コークスはコークス移送用バケット2aによりコークス乾式消火設備の頂部へ運ばれ、頂部に配置したコークス投入ホッパー2bからコークス乾式消火設備のチャンバー1に投入される。投入された赤熱コークスはチャンバー1の下部から吹き込まれる冷却用循環ガスによって冷却され、切り出し装置3により炉外へ排出される。
【0017】
チャンバー1は、上方のプレチャンバー1aと下方の冷却チャンバー1bとから成り、赤熱コークの冷却は冷却チャンバー1bにて行われ、プレチャンバー1aは上流工程であるコークス炉からの赤熱コークスを貯留する役割を果たす。
【0018】
ここで、プレチャンバー1a内のコークスレベルが上昇しプレチャンバー1a頂部の上限レベル6以上となった場合には、高温の赤熱コークスのオーバーフローによる設備トラブルに至るおそれがあり、また、プレチャンバー1a内のコークスレベルが低下しプレチャンバー1aと冷却チャンバー1bの境界部近くの下限レベル7以下となった場合には、冷却用循環ガスの吹き抜けにより操業の継続ができなくなることから、プレチャンバー内のコークスレベルの適正化が重要となる。
【0019】
そこで、プレチャンバー1a内の適正コークスレベルについて検討すると、前述のとおり上限レベル6以上、下限レベル7以下のいずれでも操業の継続が困難となる重大なトラブルを招くことから、上限レベル6と下限レベル7の間に適正コークスレベルを設定し、頂部より投入されたコークス量と同量のコークスを、次回のコークスが投入されるまでに、切り出し装置3から切り出すことで、コークスレベルを適正コークスレベルに維持することが有効である。この適正コークスレベルは、通常は、プレチャンバー1aの容積の1/2に相当する高さ位置に設定するが、上限レベル6と下限レベル7の間であれば、操業形態に応じて適宜設定することができる。
【0020】
プレチャンバー1a内のコークスレベルを制御するにあたっては、チャンバー頂部より投入されるコークスの投入量とチャンバー底部より排出されるコークスの切り出し量の把握が重要となる。チャンバー頂部からのコークス投入は、図1(a)に示すとおり、上流のコークス炉からの窯出しスケジュールにしたがって前回の投入からT1時間後に重量W1、さらにT2時間後に重量W2のようにコークス移送用バケット2aにて間欠的に行われる。本実施例では、このコークス投入量を図1(b)に示すとおり、コークス乾式消化設備へのコークスの移送能力から決まるコークス投入の最短投入時間間隔Toごとにコークス投入量の演算を行うことで把握する。すなわち、最短投入時間間隔Toより短い時間間隔でのコークスの投入動作は起こりえないため、最短投入時間間隔Toごとにコークス投入量の演算を行うようにすれば、各To区間内のコークス投入回数は0回または1回の2通りに単純化される。コークス投入量(重量)は、コークス移送用バケット2aに設けられているロードセルの信号を用いてチャンバー上部に赤熱コークスの入ったコークス移送用バケット2aが到着した時点とコークス移送用バケット2a内の赤熱コークスをチャンバーに投入した後の空バケットが同位置に戻った時点での計測値の差などから求めることができる。
【0021】
一方、チャンバー底部から排出されるコークスの切り出し量は切り出し装置3の下流に設けられている排出コンベア11の秤量器12による計測値にて把握することができる。
【0022】
プレチャンバー1a内のコークスレベルを前述の適正コークスレベルに維持するための制御は、図1(b)に示す単純化されたコークス投入量と秤量器12の計測信号から求まるコークス切り出し量を用いて、図1(c)に示すとおり、最短投入時間間隔Toごとにコークスレベルの現在値を演算にて求め、この現在値と適正コークスレベルとの間の偏差を、最短投入時間間隔Toの区間でなくすように切り出し装置3の切り出し量を制御することで実施される。コークスレベルが適正コークスレベルを大きく上回る、すなわち正の偏差が著しく大きく、この偏差を最短投入時間間隔To内でなくすことができないような場合には、切り出し指令量は切り出し装置3の最大出力値となるが、切り出し装置3の能力はコークス投入装置の能力を若干、上回るように計画されていることから、最短投入時間間隔Toの数回の制御の中で適正コークスレベルに収束されることとなる。また逆に、コークスレベルが適正コークスレベルを大きく下回り、負の偏差が著しく大きい場合には、切り出し装置3の切り出し指令量を0とし、コークスレベルが適正コークスレベル以上となった後にコークスの切り出しを再開する。このとき、排出コンベア11以降の排出装置は運転を継続し、切り出し装置3のみの運転/停止を行えば下流設備へ影響を与える懸念もない。
【0023】
なお、前述した投入コークス量とコークス切出し量からのコークスレベルの演算、およびこの演算コークスレベルを適正コークスレベルにするためのコークス切出し量を制御は、制御部9によって実施される。
【0024】
図2は図1に示した本発明のコークスレベル制御方法の応用例を示す。これは、間欠的に投入されるコークスの投入量を図2(b)に示すとおり、設定されたコークス投入時間間隔Taごとに演算を行うことで把握するようにしたものである。コークス投入時間間隔Taは、あくまで操業状態から決定される平均的な投入時間であることから、コークス投入時間間隔Taより短い時間間隔でのコークス投入とコークス投入時間間隔Taより長い時間間隔での投入動作があり、このため、コークス投入時間間隔Taごとにコークス投入量の演算を行うようにすれば、各コークス投入時間間隔Ta内の投入回数は0〜3回の3通りを考慮しておけば良いこととなる。ここで、コークス投入時間間隔Ta内の投入回数が0回の場合と3回の場合ではコークス投入量の偏差が大きくなるため、コークス投入量の算出にあたっては、図2(b)に示すように、2回のコークス投入時間間隔Ta区間の平均値にて扱うなどの平均値処理を講じても良い。
【0025】
プレチャンバー1a内のコークスレベルを適正コークスレベルに維持するための制御は、図1と同様の要領で実施される。すなわち、図2(b)に示す単純化されたコークス投入量と秤量器12から求まるコークス切り出し量を用いて、図2(c)に示すとおり、コークス投入時間間隔Taごとにコークスレベルの現在値を演算にて求め、この現在値と適正コークスレベルとの間の偏差をコークス投入時間間隔Taの区間でなくすように切り出し装置3の切り出し量を制御する。コークスレベルが適正コークスレベルを大きく上回る、すなわち正の偏差が著しく大きく、この偏差をコークス投入時間間隔Ta内でなくすことができないような場合には、切り出し指令量は切り出し装置3の最大出力値となるが、切り出し装置3の能力はコークス投入装置の能力を若干、上回るように計画されていることから、コークス投入時間間隔Taの数回の制御の中で適正コークスレベルに収束されることとなる。また逆に、コークスレベルが適正コークスレベルを大きく下回り、負の偏差が著しく大きい場合には、切り出し装置の切り出し指令量を0とし、コークスレベルが適正コークスレベル以上となった後にコークスの切り出しを再開することで、コークスレベルを適正コークスレベルに制御することができる。
【0026】
プレチャンバー1a内のコークスレベルは、前述のとおり、コークス移送用バケット2bからチャンバー頂部より投入されるコークスの投入量と切り出し装置3から排出されるコークスの切り出し量を用いて演算により求められ、この演算コークスレベルに基づいてコークスレベルが適正コークスレベルとなるように制御される。このため、コークスレベルの演算にあたっては演算誤差、とくに累積誤差をなくすことが重要であり。本発明では、プレチャンバー1a内の適正コークスレベルの位置にレベル検出器8を設け、このレベル検出器8によって、プレチャンバー1a内のコークスレベルが適正コークスレベルになったことが検出されたときに、演算コークスレベルを適正コークスレベルに置き換えて演算コークスレベルを較正するようにしている。
【0027】
レベル検出器8は、γ線源8aと線量検出器8bと線量判定器8cとを備え、線量判定器8c内には信号出力器8dを備えている。このレベル検出器8は、γ線源8aから線量検出器8bに向かってプレチャンバー1a内を貫通するようにγ線を貫通させておき、プレチャンバー1a内のコークスがこれを遮ることによって生じる線量検出器8bに入射されるγ線の線量の増減を線量判定器8cで検知することによって、プレチャンバー1a内のコークスレベルが適正コークスレベル(レベル検出器8の設置レベル)にあるか否かを検出する。
【0028】
例えば、図1に示すように、コークスレベルが適正コークスレベルよりも上方のレベル4から、適正コークスレベル5まで低下すると、線量検出器8bに入射するγ線の線量が増加方向に変化するため、この変化を線量検出器8bで検知することで、コークスレベルが適正コークスレベル5になったことを検知する。
【0029】
較正動作は、レベル検出器8によって、コークスレベルが適正コークスレベルになったことを検知した時点で、コークスレベルの演算値、すなわち演算コークスレベルをレベル検出器8の設置レベルである適正コークスレベルに置き換えることで行われる。具体的には、レベル検出器8の線量判定器8cによってコークスレベルが適正コークスレベルになったことが検知されると、信号出力器8dが作動し、これによって較正開始スイッチ8eがONになって較正動作指令が出ることによって較正動作が制御部9で実施される。
【0030】
従来は、特許文献1のコークスレベル制御方法で説明したように、長期間に亘って較正動作が行われなかった場合には、操作者の判断によって通常の操業を中断しコークスレベルを下げてプリセット動作を行わせるなどの操業介入を行い較正動作を行うのが一般的であった。これに対して、本発明のコークスレベル制御方法によれば、プレチャンバー内のコークスレベルは適正コークスレベルに設置されたレベル検出器の設置レベル近傍に常に制御されるため、コークスレベルの演算値の較正動作が行われる機会を格段に多く持つことが可能となり、従来のように操業を中断しコークスレベルを下げてプリセット動作を行わせるなどの操業介入が不要となる。
【0031】
図3は、前述の較正動作を定期的あるいは操作者の判断によって随時行えるようにするための制御フロー図である。
【0032】
図3において、制御部9の制御盤10には、較正動作間隔設定器10aと較正開始スイッチ10bが配置されている。そして、較正動作間隔設定器10aによって設定された時間間隔が経過したことがタイムアップ判定回路10cで判定されるか、較正開始スイッチ10bがONにされると、プレチャンバー内のコークスレベルが適正コークスレベルを超えているか否かが判定され、超えていれば較正動作指令が出力され較正動作を開始する。較正動作は、チャンバー頂部のコークス移送用バケット2aへの投入禁止インターロックの信号出力を行った後、コークスの切り出し量を増加させコークスレベルを適正コークスレベル以下まで下げることで実行される。そして、コークスレベルが適正コークスレベルになった時点で演算コークスレベルを適正コークスレベルに置き換える。なお、較正動作中には、操作盤10の表示ランプ10dが点灯するようにしている。
【0033】
この較正動作は、レベル検出器8によりコークスレベルが適正コークスレベル以下まで低下したことが検知され、その後t1時間が経過した時点で終了し、コークス移送用バケット2aの投入禁止インターロックを解除すると共に表示ランプ10dの点灯を解除する。なお、較正動作を開始しようとしたときに、プレチャンバー内のコークスレベルが適正コークスレベル以下であった場合には、既に較正動作が実行中あるいは実行済みであることから、前述の較正動作は実行不要であることは言うまでもない。
【0034】
このように、較正動作を定期的あるいは操作者の判断によって随時行えるようにすることで、コークスレベルの演算誤差を常に所定値以下に抑えることが可能となり、コークスレベルの制御精度をさらに向上させ、より安定なコークスレベル制御を実現することができる。
【0035】
また、較正動作間隔設定器10aの設定を通常あってしかるべき較正動作間隔のチェック用として許容最大間隔に設定するようにすれば、この設定間隔内に較正動作指令が1度も出力されなかった場合に、切り出し装置の異常警報を出力するようにし、コークスの投入禁止処理や設備の点検を操作者に知らしめるなどの処理を実現することも容易に可能である。
【0036】
以上、本発明のコークスレベル制御方法によれば、プレチャンバー内のコークスレベルをレベル検出器が設置される適正コークスレベルを中心に1回のコークスの投入量1杯分程度の範囲に安定的にコークスレベルを制御することが可能である。このためコークスのオーバーフローを防止するための上限警報レベルは適正コークスレベルの上方1.5〜2杯分の高さ位置に、循環ガスの吹き抜け防止のための下限警報レベルは適正コークスレベルの下方0.5〜1杯分の高さ位置に設定しておけば良い。また、コークスレベルが常に適正コークスレベル近傍に維持されることから、上限警報レベルにまでコークスレベルが上昇する可能性がなくなり、上限警報に関しては従来別個に設置していた上限検出用のレベル検出器を無くすることができるとともに、下限警報に関しても循環ガスの吹き抜けを生じさせる懸念のある下限の充分手前で警報動作を実施させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のコークスレベル制御方法を示すプロセスフロー図である。
【図2】図1に示した本発明のコークスレベル制御方法の応用例を示すプロセスフロー図である。
【図3】演算コークスレベルの較正動作を定期的あるいは随時行えるようにするための制御フロー図である。
【符号の説明】
【0038】
1 チャンバー
1a プレチャンバー
1b 冷却チャンバー
2a コークス移送用バケット
2b コークス投入ホッパー
3 切り出し装置
4 適正コークスレベルよりも上方のレベル
5 適正コークスレベル
6 上限レベル
7 下限レベル
8 レベル検出器
8a γ線源
8b 線量検出器
8c 線量判定器
8d 信号出力器
9 制御部
10 操作盤
11 排出コンベア
12 秤量器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス乾式消火設備のチャンバー内のコークスレベルを制御するコークスレベル制御方法であって、
チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量から演算される演算コークスレベルが、チャンバー内の適正コークスレベルの位置に設置されたレベル検出器の設置レベル近傍となるように、チャンバー外へのコークス切出し量を制御するコークス乾式消火設備のコークスレベル制御方法。
【請求項2】
コークス乾式消火設備へのコークス移送能力によって決まるチャンバー内へのコークス投入の最短投入時間間隔ごとに、チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量を把握して演算コークスレベルを求め、この演算コークスレベルが前記レベル検出器の設置レベル近傍となるように、チャンバー外へのコークス切出し量を制御する請求項1に記載のコークス乾式消火設備のコークスレベル制御方法。
【請求項3】
前記レベル検出器によって、チャンバー内のコークスレベルが前記適正コークスレベルになったことが検出されたときに、前記演算コークスレベルを前記適正コークスレベルに置き換えて前記演算コークスレベルを較正する請求項1または請求項2に記載のコークス乾式消火設備のコークスレベル制御方法。
【請求項4】
コークス乾式消火設備のチャンバー内のコークスレベルを制御するコークスレベル制御装置であって、
チャンバー内の適正コークスレベルの位置に設置されたレベル検出器と、
チャンバー内への投入コークス量とチャンバー外へのコークス切出し量から演算コークスレベルを演算し、この演算コークスレベルが前記レベル検出器の設置レベル近傍となるように、チャンバー外へのコークス切出し量を制御する制御部とを備えたコークスレベル制御装置。
【請求項5】
前記レベル検出器によって、チャンバー内のコークスレベルが前記適正コークスレベルになったことが検出されたときに、前記制御部が前記演算コークスレベルを前記適正コークスレベルに置き換えて前記演算コークスレベルを較正する請求項4に記載のコークスレベル制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−231202(P2008−231202A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70929(P2007−70929)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】