説明

コージェネレーションシステム

【課題】 高温出湯を防止することができ、安全性を確保できるコージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】 コージェネレーションシステム100は、温水利用箇所66である給湯栓66bと風呂の浴槽66aに接続されており、貯湯タンク18、発電ユニット24、混合ユニット44を備えている。混合ユニット44は、給湯経路48と給水経路4を接続しており、水道管2から供給される水道水を貯湯タンク18から供給される温水に混合する混合経路40と、温水と水道水を混合する混合器14を備えている。給湯水量センサ12で給湯停止が判断されると、混合器14の混合比率が所定時間維持される。所定時間経過後に、タンク電磁弁36が閉じられて給湯経路48と混合経路44との接続部42よりも上流でタンク給湯経路34が遮断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電ユニットで発生する発電熱で水を加熱し、加熱した温水を貯湯しておき、貯湯しておいた温水を利用して給湯することが可能なコージェネレーションシステムに関する。特に、貯湯しておいた温水と冷水を混合し、温水利用箇所(給湯や風呂の湯張り等)へ供給するコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電熱で加熱した温水を貯湯しておいて給湯するコージェネレーションシステムが知られている。発電熱で加熱した温水は貯湯タンクに貯湯される。給湯運転時に温水利用箇所で必要とする温水温度(給湯設定温度)よりも高温の温水が貯湯タンクに貯湯されていれば、貯湯タンクから送り出される温水と冷水を混合手段で混合することによって必要温度に冷却して給湯する。冷水を熱源機等で加熱して給湯するときに比して必要な熱量は少なくてすむ。コージェネレーションシステムは、総合的なエネルギー効率が高い。
【0003】
このようなコージェネレーションシステムでは一般的に、供給される温水の流量を検出する水量センサの水量が所定量以下になったときに温水の供給停止を判断する。給湯停止判断後、再出湯時の温度を安定させるために、冷水と温水の混合比が所定時間維持される。この間に微量の温水が流れていても供給停止と判断されているため、混合比の調整は行われない。従って、微量の温水が流れているときに設定温度を下げても、設定温度より高温の温水が供給され続けてしまう。また、給湯停止判断後に貯湯タンクへの蓄熱が行われ、貯湯タンクの温水がより高温となっても、混合比の調整が行われないため、予想外に高温の温水が供給されてしまうおそれがある。このような高温出湯を防止するための技術が求められる。
【0004】
特許文献1には、コージェネレーションシステムにおける高温出湯を防止する技術が記載されている。この技術によると、給湯停止判断中に給湯温度を検出する給湯温度センサが所定温度以上を検知したときに、温水と冷水を混合する混合弁を制御して冷水が混合される比率を高めている。冷水の混合比率を高めることによって、誤って出湯されてしまう温水の温度を下げ、安全性を高めることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−3057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の技術によると、給湯温度センサが混合弁よりも下流に設けられている。そのため、給湯温度センサで高温を検出したときには既に高温の温水が混合弁より下流まで流れている。高温出湯を完全に防止することができず、安全性を確保することができない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために提案された。本発明は、温水の供給停止判断後において高温出湯を防止することができ、安全性を確保できるコージェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発電ユニットで発生する発電熱で水を加熱し、加熱した温水を貯湯しておき、貯湯しておいた温水を利用して給湯することが可能なコージェネレーションシステムに関する。
本発明のコージェネレーションシステムは、温水を貯える貯湯タンクと、貯湯タンクの上部から温水利用箇所へ温水を供給する給湯経路と、冷水供給源から貯湯タンクの下部へ冷水を供給する給水経路を備えている。冷水供給源とは、例えば水道管などである。
本発明のコージェネレーションシステムは、給湯経路と給水経路を接続しており、冷水供給源から供給される冷水を貯湯タンクから供給される温水に混合する混合経路を備えている。
【0009】
本発明のコージェネレーションシステムは、混合経路上に設けられており、冷水供給源から供給される冷水の流量と貯湯タンクから供給される温水の流量との混合比を調整する混合弁を備えている。混合弁は混合経路上のどの位置に設けられていてもよい。本明細書でいう混合比とは、貯湯タンクから供給される温水の流量を1としたときの、冷水供給源から供給される冷水の流量の割合をいう。
本発明のコージェネレーションシステムは、温水利用箇所へ供給される温水の流量を検出する水量センサを備えている。水量センサは、給湯経路上の混合経路との接続部より下流に設けられていてもよい。または、冷水供給源から給水経路に供給される冷水の水量と給湯経路から温水利用箇所に供給される温水の流量は等しいので、水量センサは、給水経路上の混合経路との接続部より上流に設けられていてもよい。
本発明のコージェネレーションシステムは、貯湯タンクから給湯経路への温水の供給を遮断する制御弁を備えている。制御弁は、給湯経路上の混合経路との接続部よりも上流に設けられていてもよい。または、給水経路から貯湯タンクへ供給される冷水の流量と貯湯タンクから給湯経路へ供給される湯の流量は等しいので、制御弁は、給水経路上の混合経路との接続部よりも下流に設けられていてもよい。
【0010】
本発明のコージェネレーションシステムでは、水量センサで検出される流量が所定量以下になったときに、そのときの冷水と温水の混合比を所定時間維持し、その所定時間経過後に制御弁を閉じる。冷水と温水の混合比は、混合弁を一定の開度に保つことによって維持される。給湯停止から短時間で再出湯する場合に、給湯温度を安定させることができる。
【0011】
本発明のコージェネレーションシステムによると、温水利用箇所へ供給される温水の流量が所定量以下になってから所定時間経過後に、貯湯タンクから給湯経路への温水の供給が遮断される。貯湯タンクから給湯経路への温水の供給が遮断されるため、温水の供給停止判断時に混合弁の開度が維持されていても、温水利用箇所には冷水のみが供給される。給湯停止判断後に貯湯タンクへの蓄熱が行われた場合や、設定温度を下げた場合であっても、予想外に高温の温水が出湯されてしまうことがない。温水の供給停止判断時において高温の出湯を防止することができ、安全性を確保することができる。
【0012】
本発明のコージェネレーションシステムは、混合経路との接続部よりも上流かつ制御弁よりも下流に設けられており、貯湯タンクから供給される温水の温度を検出する第1温度センサをさらに備えていることが好ましい。この場合、水量センサで検出される流量が所定量以下になったときに、そのときの第1温度センサで検出される温度を記憶し、その後に第1温度センサで検出される温度が記憶した温度より所定温度以上高くなったときに上記の所定時間経過前であっても制御弁を閉じることが好ましい。この場合、所定温度は第1温度センサの誤差範囲内とならないように設定することが好ましい。
【0013】
給湯停止判断後、貯湯タンクから給湯経路に温水が供給されなければ、給湯停止判断後に第1温度センサで検出される温度は、給湯経路の放熱によって徐々に低下していく。しかしながら、給湯停止判断後、貯湯タンクへの蓄熱が行われて、貯湯タンク上部の温水の温度が上昇した場合に、微量の温水が貯湯タンクから給湯経路に供給されると、第1温度センサで検出される温水の温度は上昇していく。上記のコージェネレーションシステムによると、所定時間内であっても、第1温度センサで検出される温水の温度が所定温度以上高くなったときに制御弁を閉じる。これによって、上記の所定時間内であっても高温の温水が出湯されるのを防止することができ、安全性をより高めることができる。
【0014】
本発明のコージェネレーションシステムでは、制御弁を閉じた後に、第1温度センサが所定温度以上の温度を検出したときに、制御弁が故障していると判断することが好ましい。
【0015】
上記のコージェネレーションシステムによると、制御弁を閉じているにも関らず、第1温度センサが所定温度以上の温度を検出したときに、制御弁が故障していると判断する。制御上、貯湯タンクから給湯経路への温水経路を遮断していても、第1温度センサが所定温度以上の温度を検出した場合、実際には貯湯タンクから給湯経路へ温水が供給されており、制御弁が故障している可能性が高い。第1温度センサで温水の温度を監視することによって制御弁の故障を判断することができ、安全性をより高めることができる。
【0016】
本発明のコージェネレーションシステムでは、制御弁が故障していると判断したときに、混合比を最大混合比に調整することが好ましい。
【0017】
上記のコージェネレーションシステムによると、制御弁が故障していると判断したときに、混合比を最大混合比にして冷水側全開にする。混合比を冷水側全開にしておけば、出湯される温水の温度を低くすることができる。制御弁が故障しているときに誤って高温出湯されることがない。安全性をより高めることができる。
【0018】
本発明のコージェネレーションシステムは、温水利用箇所へ供給される温水の流量を制御する水量サーボをさらに備えていることが好ましい。この場合、制御弁が故障していると判断したときに、水量サーボを制御して温水利用箇所へ供給される温水を遮断することが好ましい。水量サーボは、給湯経路上の混合経路との接続部よりも下流に設けられていてもよい。または、冷水供給源から給水経路に供給される冷水の水量と給湯経路から温水利用箇所に供給される温水の流量は等しいので、水量サーボは、給水経路上の混合経路との接続部よりも上流に設けられていてもよい。
【0019】
上記のコージェネレーションシステムによると、制御弁が故障していると判断したときに、温水利用箇所への温水の供給が遮断される。制御弁が故障しているときに誤って出湯されてしまうのを、温水の温度に関らず防止することができる。安全性をより高めることができる。
【0020】
本発明のコージェネレーションシステムは、混合経路との接続部よりも下流の給湯経路上に設けられており、温水利用箇所へ供給される温水の温度を検出する第2温度センサをさらに備えていることが好ましい。この場合、水量センサで検出される流量が所定量以下になったときに、そのときの第2温度センサで検出される温度を記憶し、その後に第2温度センサで検出される温度が記憶した温度より所定温度以上高くになったときに所定時間経過前であっても制御弁を閉じることが好ましい。
【0021】
上記のコージェネレーションシステムによると、上記の所定時間内に貯湯タンクから高温の温水が供給された場合であっても、予想外の高温の温水が出湯されるのを防止することができる。安全性をより高めることができる。例えば、第1温度センサが故障している場合であっても、給湯停止判断後に予想外の高温の温水が出湯されるのを防止することができる。安全性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコージェネレーションシステムによると、温水の供給停止判断後において予想外の高温出湯を防止することができ、安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
下記に説明する実施例の好ましい特徴を列記する。
(第1特徴) 給湯水量センサで検出される流量が所定量以上のときに、出湯サーミスタで検出される温度がリモコン設定温度よりも所定温度高い値を示した場合、タンク電磁弁を閉じてタンク給湯経路を遮断する。
(第2特徴) 給湯水量センサで検出される流量が所定量以上のときに、出湯サーミスタで検出される温度がリモコン設定温度よりも所定温度高い値を示した場合、水量サーボを全閉にして温水利用箇所へ供給される温水を遮断する。
(第3特徴) タンク電磁弁が閉じられてタンク給湯経路が遮断されたときに、混合器の開度を制限する。
(第4特徴) 給湯停止判断後に、出湯サーミスタで検出される温度が規定温度以上を示した場合、タンク電磁弁を閉じてタンク給湯経路を遮断する。
【実施例】
【0024】
(第1実施例)
図1に、本発明の第1実施例であるコージェネレーションシステム100の模式図を示す。コージェネレーションシステム100は、温水利用箇所66である給湯栓66bと風呂の浴槽66a等に接続されている。コージェネレーションシステム100は、発電ユニット24、貯湯タンク18、混合ユニット44、リモコン70およびコントローラ68等を備えている。
【0025】
発電ユニット24は、固体高分子型の燃料電池を用いた発電装置である。発電ユニット24は電力需要に応じて発電を行う。発電を行う際に、発電ユニット24は排熱回収ポンプ20を駆動する。排熱回収ポンプ20が駆動されると、貯湯タンク18の下部から水が吸い出される。吸い出された水は、排熱回収熱交換器22で発電熱によって加熱されて、貯湯タンク18の上部に戻される。発電ユニット24から貯湯タンク18の上部に戻される湯の温度は、排熱回収サーミスタ26によって測定されて、コントローラ68へ出力される。上部に戻される湯の温度が低い場合には、三方排熱切替弁28を切替えることによって、貯湯タンク18をバイパスして発電ユニット24に戻されて再び加熱される。
【0026】
貯湯タンク18は、発電ユニット24の発電熱によって加熱された湯を貯える。貯湯タンク18に貯えられた湯は、給湯や風呂の追い焚き等に利用される。貯湯タンク18の内部には温度成層が形成されており、貯湯タンク18の上部には下部に比べて高温の湯が貯えられている。従って、貯湯タンク18の蓄熱量が少ないときでも、貯湯タンク18の上部から出湯することによって、高温の湯を利用することができる。貯湯タンク18の上部には、湯温を検出するタンク上部サーミスタ32が設けられており、検出された温度はコントローラ68へ出力される。
【0027】
貯湯タンク18の下部は、タンク給水経路16、混合ユニット44および給水経路4を経由して、水道管(冷水供給源)2に接続されている。給水経路4には減圧弁6が設けられており、水道管2からの給水圧力が調整されている。貯湯タンク18の上部は、タンク給湯経路34、混合ユニット44、給湯経路48を経由して、給湯栓66bに接続されている。タンク給湯経路34は混合経路40との接続部42よりも上流に設けられており、給湯経路48は混合経路40との接続部42よりも下流に設けられている。給湯栓66bが開かれると、給水圧力によって貯湯タンク18の内部の湯水が下部から上部に向けて押し上げられ、貯湯タンク18の上部からタンク給湯経路34へ出湯する。貯湯タンク18から出湯した湯は、混合ユニット44で水道水と混合されて、所望の温度に調温された後に給湯栓66bへ供給される。
【0028】
混合ユニット44は、貯湯タンク18の上部から出湯される高温の湯に水道水を混合して、所望の温度に調温する。混合ユニット44は、給水経路4からタンク給水経路16へ流れる水道水の一部を混合経路40に分岐させて、タンク給湯経路34から給湯経路48へ流れる湯に混合する。給水経路4、タンク給水経路16および混合経路40の接続部分には混合器(混合弁)14が設けられている。混合器14はステッピングモータを内蔵しており、これが駆動されることによって、タンク給水経路16の開度と混合経路40の開度が調整されて、タンク給水経路16へ流れる水道水の流量と混合経路40へ流れる水道水の流量の比率が調整される。混合ユニット44から貯湯タンク18の下部へ給水される水道水の流量と、貯湯タンク18の上部から混合ユニット44へ出湯される湯の流量は等しい。従って、混合器14によってタンク給水経路16へ分岐する水道水の流量と混合経路40へ分岐する水道水の流量の比率を調節することによって、混合経路40からの水道水とタンク給湯経路34からの湯の混合比率を調節することができる。
【0029】
タンク給湯経路34には、タンク電磁弁(制御弁)36と給湯高温サーミスタ(第1温度センサ)38が設けられている。タンク電磁弁36はコントローラ68によって制御されており、内蔵しているソレノイドが駆動されることによって開閉する。タンク電磁弁36が閉じられている状態では、給湯栓66bを開いても貯湯タンク18からは出湯せず、給湯栓66bには給水経路4および混合経路40を経由して水道水が供給される。給湯高温サーミスタ38はタンク給湯経路34を流れる湯の温度を検出して、コントローラ68へ出力する。
【0030】
給湯経路48には、出湯サーミスタ(第2温度センサ)46が設けられている。出湯サーミスタ46は給湯経路48を流れる温水の温度を検出して、コントローラ68へ出力する。
【0031】
給水経路4には、給水サーミスタ8と給湯水量センサ(水量センサ)10と給湯水量サーボ(水量サーボ)12が設けられている。給水サーミスタ8は給水経路4を流れる水道水の温度を検出して、コントローラ68へ出力する。給湯水量センサ10は給水経路4を流れる水道水の流量を検出して、コントローラ68へ出力する。給水経路4から混合ユニット44へ流れる水道水の流量と、混合ユニット44から給湯経路48へ流れる湯の流量は等しいから、給湯水量センサ10で検出される流量は、混合ユニット44から給湯される湯の流量に等しい。給湯水量サーボ12は給水経路4を流れる水道水の流量を制御する。給水経路4から混合ユニット44へ流れる水道水の流量と、混合ユニット44から給湯経路48へ流れる湯の流量は等しいから、給水経路4を流れる水道水の流量を制御することによって、混合ユニット44から給湯経路48へ流れる温水の流量を制御することができる。
【0032】
貯湯タンク18の上部と下部には、三方タンク切替弁30を介して熱源機(図示はしない)に向かう経路29aが設けられている。熱源機では必要に応じて貯湯タンク18の湯水を加熱する。加熱された温水は経路29bから貯湯タンク18の上部に戻される。熱源機によって加熱された温水は、貯湯タンク18へ直接戻されることもあるし、例えば暖房端末機の熱源として利用される熱媒との間で熱交換が行われ、床暖房や風呂の追い炊き等に利用された後に貯湯タンク18へ戻されることもある。貯湯タンク18の上部には熱源機によって加熱された温水が供給されることもあれば、発電ユニット24によって加熱された温水が供給されることもある。
【0033】
風呂の浴槽66aには風呂循環経路62が接続されている。風呂循環経路62には風呂ポンプ54と、風呂水流スイッチ56と、風呂サーミスタ58が設けられている。コントローラ68によって風呂ポンプ54が駆動されると、浴槽66aから風呂循環経路62に湯が吸い出される。浴槽66aから吸い出された湯は、風呂熱交換器60で加熱されて、浴槽66aに戻される。風呂熱交換器60で加熱された温水の温度は、風呂往きサーミスタ64で検出される。
【0034】
風呂循環経路62は、湯張り弁50と湯張り水量センサ52を介して給湯経路48に連通している。湯張り弁50を開くことで、浴槽66aへの湯張りが行われる。湯張り弁50はコントローラ68によって制御される。湯張り水量センサ52は、給湯経路48から風呂循環経路62に向かう温水の水量を検出する。給湯経路48から風呂循環経路62に向かう温水の温度は、風呂サーミスタ58で検出する。
【0035】
リモコン70は、表示板と操作スイッチを備えている。利用者はリモコン70を操作して、コージェネレーションシステム100の運転のON/OFFや、各種の運転モードの開始/終了や、給湯設定温度、風呂設定温度等を入力することができる。リモコン70はコントローラ68と通信可能であって、利用者の操作内容をコントローラ68へ送信する。
【0036】
コントローラ68は、制御プログラムを記憶している。コントローラ68には、リモコン70の操作信号と、給湯水量サーボ12の検出信号と各種サーミスタの検出信号等が入力される。コントローラ68は、入力された信号を制御プログラムで処理し、各種ポンプ、各種弁、混合器14等を制御する。コントローラ68はタイマカウンタを内蔵している。
【0037】
図2に、コージェネレーションシステム100の動作を説明するフローチャートを示す。以下では、そのフローチャートについて説明する。なお、フローチャート中、THの表記はサーミスタを示す。
【0038】
ステップS102では、給湯が開始されるまで待機する。本実施例では、給湯水量センサ10の検出流量が2.7リットル/min以上となった時点で、即ち給湯経路48の流量が2.7リットル/min以上となった時点で、給湯が開始されたと判断する。給湯が開始されると(ステップS102でYESとなると)、ステップS104に進む。給湯経路48の流量が2.7リットル/min未満の場合は、給湯が開始されていないと判断し(ステップS102でNOとなると)、ステップS102に戻り、給湯が開始されるまで(給湯経路48の流量が2.7リットル/min以上となるまで)待機する。
【0039】
ステップS104では、タンク電磁弁36が開かれる。これによって、貯湯タンク18内の上部に貯められていた温水がタンク給湯経路34に送り出される。混合器14では、出湯される温水の温度がリモコン70の設定温度と等しくなる混合比に開度が調整され、タンク給湯経路34から温水利用箇所66(給湯栓66b、風呂の浴槽66a)へ給湯が開始される。混合器14で調整する混合比率は、以下の式で計算される。
混合比率=(給湯高温サーミスタ検出温度−リモコン設定温度)/(リモコン設定温度−給水サーミスタ検出温度)
【0040】
ステップS106では、混合器14の故障判断をする。本実施例では、出湯サーミスタ46で検出される温度がリモコン70の設定温度よりも5℃以上高い値を10秒以上検出したときに、混合器14が故障していると判断し(ステップS106でYESの場合)、ステップS108へ進む。混合器14が故障していないと判断した場合(ステップS106でNOの場合)、ステップS110へ進む。
【0041】
ステップS108では、タンク電磁弁36を閉じてタンク給湯経路34を遮断する。また、給湯水量サーボ12を全閉にして温水利用箇所66へ供給される温水を遮断する。さらに、リモコン70を介して混合器14の異常を報知する。
【0042】
ステップS110では、給湯が終了したか否かを判断する。本実施例では、給湯水量センサ10の検出流量が2.0リットル/min以下となった時点で、給湯が終了したと判断し(ステップS110でYESの場合)、ステップS112へ進む。給湯が終了していない場合(ステップS110でNOの場合)、ステップS104へ戻り、給湯を継続する。
【0043】
ステップS112では、タンク電磁弁36が開かれた状態が維持される。また、混合器14の開度が給湯時の状態に維持される。これによって、給湯停止判断後、給湯が再開されても、前回の給湯時に出湯されていた温度で給湯を開始することができる。タンク電磁弁36が閉じられるまでの間、再出湯する場合に、給湯温度を安定させることができる。
【0044】
ステップS114では、給湯停止判断時における給湯高温サーミスタ38の検出温度(=a℃とする)と出湯サーミスタ46の検出温度(=b℃とする)が記憶される。次に、高温出湯防止処理(図示A)が行われる。
【0045】
図3に、高温出湯防止処理の詳細についてのフローチャートを示す。以下では、そのフローチャートについて説明する。
【0046】
ステップS152では、給湯高温サーミスタ38で検出される温度と図2に示すステップS114で記憶された給湯停止判断時の給湯高温サーミスタ38の検出温度(a℃)との差がα℃以上であるか判断する。α℃以上の差がある場合(ステップS152でYESの場合)、S154に進む。差がα℃より小さい場合(ステップS152でNOの場合)、S156に進む。ここで、αは、給湯高温サーミスタ38の測定誤差範囲以上の数値である。
【0047】
ステップS154では、タンク電磁弁36が閉じられてタンク給湯経路34が遮断される。また、混合器14の開度が水側に制限される。混合器14の開度を湯側全開にすることができない。次に、タンク電磁弁36の開故障判断処理(図示B)が行われる。
【0048】
ステップS156では、出湯サーミスタ46で検出される温度と図2に示すステップS114で記憶された給湯停止判断時の出湯サーミスタ46の検出温度(b℃)との差がβ℃以上であるか判断する。β℃以上の差がある場合(ステップS156でYESの場合)、ステップS154に進む。差がβ℃より小さい場合(ステップS156でNOの場合)、ステップS158に進む。ここで、βは、出湯サーミスタ46の測定誤差範囲以上の数値である。
【0049】
ステップS158では、出湯サーミスタ46で検出される温度が規定温度(例えば45℃)以上であるか判断する。規定温度以上ある場合(ステップS158でYESの場合)、ステップS154に進む。規定温度以上ない場合(ステップS158でNOの場合)、ステップS160に進む。
【0050】
ステップS160では、図2に示すステップS110で給湯が終了したと判断されてから所定時間経過したかを判断する。所定時間経過している場合(ステップS160でYESの場合)、ステップS162に進む。所定時間経過していない場合(ステップS160でNOの場合)、ステップS152に戻る。
【0051】
ステップS162では、タンク電磁弁36が閉じられてタンク給湯経路34が遮断される。なお、給湯停止判断後、5分後の再出湯性能までを確保する必要があるため、ステップS160で説明した所定時間とは、少なくとも5分以上である。また、ステップS162では、混合器14の開度が初期設定の位置に戻される。開度が初期設定の位置に戻されると、タンク電磁弁36の開故障判断処理(図示B)が行われる。
【0052】
図4に、タンク電磁弁36の開故障判断処理の詳細についてのフローチャートを示す。以下では、そのフローチャートについて説明する。
【0053】
タンク電磁弁36を閉じた後、ステップS202では、タンク電磁弁36の開故障判断が行われる。本実施例では、タンク電磁弁36を閉じているにも関らず、給湯高温サーミスタ38の検出値がリモコン設定温度より5℃以上高い値を10秒以上検出した場合(ステップS202でYESの場合)、タンク電磁弁36が開故障していると判断し、S206に進む。給湯高温サーミスタ38の検出値がリモコン設定温度より5℃以上高い温度を検出しない場合、または検出してもその温度が10秒以上継続しない場合(ステップS202でNOの場合)、ステップS204に進む。本実施例では、リモコン設定温度より5℃以上高い温度を検出してもその状態が10秒間継続しない場合、給湯高温サーミスタ38の測定誤差範囲内であるとみなし、タンク電磁弁36が開故障していると判断しない。
【0054】
ステップS204では、タンク電磁弁36の開故障判断が上記と別の処理で行われる。本実施例では、出湯サーミスタ46の検出値がリモコン設定温度より5℃以上高い値を10秒以上検出した場合(ステップS204でYESの場合)、タンク電磁弁36が開故障していると判断し、S206に進む。出湯サーミスタ46の検出値がリモコン設定温度より5℃以上高い温度を検出しない場合、または検出してもその温度が10秒以上継続しない場合(ステップS204でNOの場合)、タンク電磁弁36は正常であると判断し、図2に示すS102に戻る。本実施例では、リモコン設定温度より5℃以上高い温度を検出してもその状態が10秒間継続しない場合、出湯サーミスタ46の測定誤差範囲内であるとみなし、タンク電磁弁36が開故障していると判断しない。
【0055】
ステップS206では、リモコン70を介してタンク電磁弁36の異常が報知される。また、混合器14の開度が水側全開に調整される。混合器14の開度を水側全開にしておけば、誤って出湯される温水の温度を低くすることができる。タンク電磁弁36が故障しているときに誤って高温出湯されることがない。安全性をより高めることができる。
【0056】
ステップS208では、給湯水量サーボ12を全閉にする。タンク電磁弁36が故障していると判断した場合、給湯水量サーボ12を全閉にすることで、温水利用箇所66への温水の供給が遮断される。安全性をより高めることができる。
【0057】
本実施例のコージェネレーションシステム100では、給湯水量センサ10で検出される水量が所定量以下になった後(給湯停止判断後)に、通常給湯時にリモコン70で設定されていた温度より高い予想外の高温の温水が温水利用箇所66へ誤って供給されてしまうことがない。また、給湯水量センサ10で検出される水量が所定量以上のとき(給湯時)でも、リモコン70で設定されている温度より高い予想外の高温の温水が温水利用箇所66へ誤って供給されてしまうことがない。本実施例のコージェネレーションシステム100では、高温出湯に対する安全性が確保される。
【0058】
コージェネレーションシステム100では、ステップS106で、給湯水量センサ10で検出される流量が2.7リットル/min以上のとき(給湯判断時)に、出湯サーミスタ46で検出される温度がリモコン70の設定温度よりも5℃以上高い値を10秒以上検出した場合、ステップS108で、タンク電磁弁36を閉じてタンク給湯経路34を遮断する。出湯サーミスタ46は、混合経路40との接続部42より下流に設けられているため、温水利用箇所66へ供給される温水の温度(出湯サーミスタ46の検出温度)とリモコン70の設定温度との差が大きい場合は、混合器14が故障している可能性が高い。そのため、タンク電磁弁36が開かれているときに出湯サーミスタ46で検出される温度がリモコン70の設定温度よりも5℃以上高い値を10秒以上検出した場合、混合器14が故障していると判断する。混合器14が故障していると判断した場合、タンク電磁弁36を閉じるため、高温出湯が防止される。
【0059】
コージェネレーションシステム100では、ステップS106で、給湯水量センサ10で検出される流量が2.7リットル/min以上のとき(給湯判断時)に、出湯サーミスタ46で検出される温度がリモコン70の設定温度よりも5℃以上高い値を10秒以上検出した場合、ステップS108で、給湯水量サーボ12を全閉にして温水利用箇所66へ供給される温水を遮断する。出湯サーミスタ46は、混合経路40との接続部42より下流に設けられているため、温水利用箇所66へ供給される温水の温度(出湯サーミスタ46の検出温度)とリモコン70の設定温度との差が大きい場合は、混合器14が故障している可能性が高い。混合器14が故障していると判断した場合、給湯水量サーボ12を全閉にすることで、温水利用箇所66への温水の供給が遮断される。安全性をより高めることができる。
【0060】
コージェネレーションシステム100では、ステップS154で、タンク電磁弁36が閉じられてタンク給湯経路34が遮断されたときに、混合器14の開度を水側に制限する。給湯停止判断後、混合器14の開度が湯側全開のときにタンク電磁弁36が閉じられると、水道水が混合経路40に供給されなくなるため、給湯水量センサ10で水量を検出することができない。タンク給湯経路34が遮断されたときに混合器14の開度を水側に制限することで、タンク電磁弁36が閉じられても水量を検出することができ、良好な再出湯性能を得ることができる。
【0061】
コージェネレーションシステム100では、ステップS158で、出湯サーミスタ46で検出される温度が規定温度(例えば45℃)以上を示した場合、ステップS154で、タンク電磁弁36を閉じてタンク給湯経路34を遮断する。給湯停止判断後にリモコン70の設定温度を変化させても、規定温度以上の湯は出湯されない。高温の温水が出湯されるのを防止することができ、安全性が確保される。
【0062】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本発明の実施例のコージェネレーションシステムでは、発電ユニットが、燃料電池を用いた発電装置であるが、発電ユニットが、燃料電池以外を用いた発電装置であってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施例であるコージェネレーションシステム100の模式図を示す。
【図2】コージェネレーションシステム100の動作を説明するフローチャートを示す。
【図3】高温出湯を防止する処理のフローチャートを示す。
【図4】タンク電磁弁の開故障を判断する処理のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0064】
2:水道管(冷水供給源)
4:給水経路
6:減圧弁
8:給水サーミスタ
10:給湯水量センサ(水量センサ)
12:給湯水量サーボ(水量サーボ)
14:混合器(混合弁)
16:タンク給水経路
18:貯湯タンク
20:排熱回収ポンプ
22:排熱回収熱交換器
24:発電ユニット
26:排熱回収サーミスタ
28:三方排熱切替弁
29a、29b:経路
30:三方タンク切替弁
32:タンク上部サーミスタ
34:タンク給湯経路
36:タンク電磁弁(制御弁)
38:給湯高温サーミスタ(第1温度センサ)
40:混合経路
42:タンク給湯経路と混合経路と給湯経路との接続部
44:混合ユニット
46:出湯サーミスタ(第2温度センサ)
48:給湯経路
50:湯張り弁
52:湯張り量センサ
54:風呂ポンプ
56:風呂水量スイッチ
58:風呂サーミスタ
60:風呂熱交換器
62:風呂循環経路
64:風呂往きサーミスタ
66:温水利用箇所
66a:浴槽
66b:給湯栓
68:コントローラ
70:リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電ユニットで発生する発電熱で水を加熱し、加熱した温水を貯湯しておき、貯湯しておいた温水を利用して給湯することが可能なコージェネレーションシステムであって、
温水を貯える貯湯タンクと、
貯湯タンクの上部から温水利用箇所へ温水を供給する給湯経路と、
冷水供給源から貯湯タンクの下部へ冷水を供給する給水経路と、
給湯経路と給水経路を接続しており、冷水供給源から供給される冷水を貯湯タンクから供給される温水に混合する混合経路と、
混合経路上に設けられており、冷水供給源から供給される冷水の流量と貯湯タンクから供給される温水の流量との混合比を調整する混合弁と、
温水利用箇所へ供給される温水の流量を検出する水量センサと、
貯湯タンクから給湯経路への温水の供給を遮断する制御弁を備えており、
水量センサで検出される流量が所定量以下になったときに、そのときの冷水と温水の混合比を所定時間維持し、その所定時間経過後に制御弁を閉じる、コージェネレーションシステム。
【請求項2】
前記混合経路との接続部よりも上流かつ前記制御弁よりも下流の給湯経路上に設けられており、前記貯湯タンクから供給される温水の温度を検出する第1温度センサをさらに備えており、
前記水量センサで検出される流量が前記所定量以下になったときに、そのときの前記第1温度センサで検出される温度を記憶し、その後に前記第1温度センサで検出される温度が前記記憶した温度より所定温度以上高くなったときに前記所定時間経過前であっても前記制御弁を閉じる、請求項1のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記制御弁が閉じた後に、前記第1温度センサが所定温度以上の温度を検出したときに、前記制御弁が故障していると判断する、請求項2のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記制御弁が故障していると判断したときに、前記混合比を最大混合比に調整する、請求項3のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
温水利用箇所へ供給される温水の流量を制御する水量サーボをさらに備えており、
前記制御弁が故障していると判断したときに、前記水量サーボを制御して温水利用箇所へ供給される温水を遮断する、請求項3のコージェネレーションシステム。
【請求項6】
前記混合経路との接続部よりも下流の給湯経路上に設けられており、前記温水利用箇所へ供給される温水の温度を検出する第2温度センサをさらに備えており、
前記水量センサで検出される流量が前記所定量以下になったときに、そのときの前記第2温度センサで検出される温度を記憶し、その後に前記第2温度センサで検出される温度が前記記憶した温度より所定温度以上高くなったときに前記所定時間経過前であっても前記制御弁を閉じる、請求項1〜5のいずれか1項のコージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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