説明

コーティング装置およびコーティング方法

【課題】医療用インプラントのコーティング装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの医薬活性物質を含む液体を収容する容器を有する医療用インプラントのコーティング装置であって、コーティング表面上に前記液体を塗布するための、少なくとも1つのチャネルを通して前記容器の内側に接続されている弾性ヘッドを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用インプラントのコーティング装置に関する。本発明は、また、このタイプの装置を用いる医療用インプラントのコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬物質を用いた医療用インプラントのコーティングは、近年ますます注目を集めている。インプラント材料表面の抗生物質による保護は、この状況においてコーティング方法の主な用途である。オッセインテグレーションの改善のための、非セメント医療用インプラントなどの医療用インプラントの表面適合性の改善は、別の重要な用途である。
【0003】
人工関節および骨接合材料のあらゆる移植には、微生物感染の一定のリスクが存在する。インプラント表面に微生物病原体のコロニーが形成されてしまうと、術後に骨炎/骨髄炎の兆候が出る可能性がある。骨炎/骨髄炎は、患者にとって深刻な合併症であるだけでなく、さらには少なからぬ費用がかかる。
【0004】
ゲンタマイシン添加PMMA骨セメントが、セメント人工関節とともに数十年臨床使用されており、大きな成功を収めている。骨セメント中に含まれる広く有効な抗生物質であるゲンタマイシンが、微生物による感染から骨セメント表面を効果的に保護する。
【0005】
非セメント人工関節および骨接合材料に関して、インプラント表面の局所的な抗生物質による保護についても達成するための多くのアプローチが提案されている。
【0006】
たとえば、水難溶性抗生物質の塩の使用が、いくつかの特許出願に記載されている。たとえば、EP0623349Al、EP1470829Al、EP1374923A2、DE10142465Al、DE4404018Alを、ここに参照することができる。この水難溶性抗生物質塩は、体液の作用の結果として、中に含まれる抗生物質を放出しつつ溶解する。物質を徐々に放出することが有利である。しかし、この塩の製造は手間がかかり不利である。
【0007】
あるいは、水溶性の抗生物質の塩を用いることもできる。これには、インプラント表面への抗生物質の固定化に関連する問題がある。
【0008】
これまでに文献に記載されてきたコーティングのほとんどは、好ましくは産業条件下においてコーティングされたインプラントを製造することを意図したものである。このことは、産業的な製造において確実にスループットが十分高く経済的であるような大量使用される僅かな物質しか、インプラントの産業的なコーティングには含まれないことを意味する。
【0009】
特に、抗生物質によるコーティングの場合、ますます問題となっている耐性状態およびそれに続く多耐性病原体(たとえばMRSAやMRSE)の増加兆候を考慮して、インプラント表面の初期抗生物質による効果的な保護を確実にするため、一回法または二回法の感染性人工関節置換における修正人工器官のコーティングに関して、身近な病原菌に適合した複数の抗生物質または複数の抗生物質の組み合わせを用いることに関心が向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP0623349Al
【特許文献2】EP1470829Al
【特許文献3】EP1374923A2
【特許文献4】DE10142465Al
【特許文献5】DE4404018Al
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医療用インプラントのコーティング方法に比較的労力がかかることは、この場合さらに不利である。変更可能な、短時間での塗布は行うことができない。したがって、様々な患者についてのニーズを満たすよう、様々な塗布を行うためには、様々にコーティングされた医療用インプラントの在庫管理が必要である。このことは、大量の在庫を必要とし、特別なケースに一般的でない混合を行うことは困難である。
【0012】
本発明の課題は、従来技術における不具合を克服することである。特に、医療用インプラントたとえば人工器官の表面のコーティングに用いることができる、実行中の外科手術(ongoing surgery:OR)を妨げることのない、簡単かつ使用しやすい装置および方法が提供される。その目的は、同一の装置および同一の方法を用いて、できるだけ多くの異なる医療用インプラントをコーティング可能なことである。さらに、この装置および方法は、これらが医療ニーズ、特に患者に適した投薬に適合可能なように変えることができなければならない。手術室に必要とされる清潔さは、別の考慮要因である。
【0013】
本発明の別の課題は、任意のメーカー製の非常に異なるインプラントを薬剤でコーティングするために、実行中の外科手術においてORスタッフにおける時間の消費を最小限として使用可能な、可能な限り簡単なコーティング装置および可能な限り簡単なコーティング方法を提供することである。この場合、ほとんど労力必要としないOR状態で、任意のメーカー製のインプラントを任意の液体薬剤を用いてコーティングすることができなければならない。さらに、この装置自体は生体分解性でないまたは僅かに生体分解性のいかなるプラスチック粒子、金属粒子または他の粒子も放出しないものでなければならない。別の課題は、この装置は特に非セメント人工関節および骨接合材料のコーティングに適していなければならないことである。さらに、可能な限り簡単なコーティング過程が開発されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題は、少なくとも1つの医薬活性物質を含む液体を収容する容器を有する医療用インプラントのコーティング装置であって、コーティング表面上に液体を塗布するための、少なくとも1つのチャネルを通して容器の内側に接続されている弾性ヘッドを有する装置により解決される。したがって、好ましくは、コーティング表面は、有利にはその上を刷きまたは回転させることによる、コーティング表面と弾性ヘッドとの接触により、この液体でぬらされる。
【0015】
本発明において、医薬活性物質とは、医薬的に効果的な手段または医薬効果を有する手段および薬理効果を支えるまたは体の自己回復力を任意の他の方法で支える手段を意味するものと理解されるべきである。その例としては、抗生物質、有機防腐剤、銅塩、酸化銅、ガリウム塩、ストロンチウム塩、リチウム塩、銀塩、酸化銀、 ビスホスホネート、成長因子、ステロイドホルモン、非ステロイドホルモン、止血剤、消炎剤、プラスミド、コスミド、線状DNAおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
本発明によれば、液体との語は粘性の液体も含む。この目的のため、チャネルの断面の幅はたとえば液体の粘性に適合されている。
【0017】
また、本発明によれば、人口股関節、人口肩関節、人口肘関節、髄内釘および骨接合プレートから選択される、コーティングされる医療用インプラントが提供される。
【0018】
また、本発明において、たとえば、液体は、抗生物質の水溶液、好ましくは、75.0乃至80.0重量%の硫酸ゲンタマイシンを含む硫酸ゲンタマイシン水溶液を含む。硫酸ゲンタマイシン溶液は、油状粘性を有し、金属表面に良好に粘着する。
【0019】
またここで、本発明において、たとえば、一般的な製薬的安定剤が硫酸ゲンタマイシン溶液に含まれる。これにより耐久性、ひいては、塗布される液体の使用性が向上される。
【0020】
また、本発明において、液体または液体成分として、他のアミノグリコシド抗生物質溶液、たとえば硫酸トブラマイシン、硫酸アミカシン、硫酸ネチルマイシンおよび硫酸シソマイシンなどを使用することができる。バンコマイシン、ダルババシン、ラモプラニン、ダプトマイシン、モキシフロキサシン、クリンダマイシンおよびリンコマイシンの水溶液を用いてもよい。
【0021】
本発明の特に簡単な改善によれば、繊維が介在する空間としてのチャネルが提供され、この繊維が弾性ヘッドを形成する。この改善はフェルトペンの機能原理により動作し、インクではなく製薬活性物質を含む液体が医療用インプラントに塗布される。この場合、繊維が液体中に拡がるか、または、液体全体が繊維に含まれる。
【0022】
さらに、本発明の範囲において、液体として、異なる抗生物質の溶液の組み合わせを用いることができる。例としては、硫酸ゲンタマイシンおよび塩酸バンコマイシンの2つの抗生物質の組み合わせ、ダプトマイシンおよび硫酸ゲンタマイシンの2つの抗生物質の組み合わせ、硫酸ゲンタマイシンおよびクリンダマイシンの2つの抗生物質の組み合わせ、ならびに、硫酸ゲンタマイシン、塩酸バンコマイシンおよび塩酸クリンダマイシンの3つの抗生物質の組み合わせが挙げられる。
【0023】
また、本発明において、防腐剤溶液、有利には、ジグルコン酸クロロヘキシジン、オクタニジン二塩酸塩またはポリヘキサニドの溶液を用いることができる。
【0024】
特に有利な改善によれば、本発明において、容器は弾性壁を有してよく、弾性の容器壁に人手による圧力が加えられたとき、少なくとも1つのチャネルを通して液体が弾性ヘッドの表面に流れる。これにより、出る液体の量が人手による圧力によって制御可能となる。
【0025】
本発明に係る方法は、容器の一端のベアリングによりローラがその対称軸の周りに回転可能に支持される、弾性ヘッドが回転対称のローラであることにより特徴付けることができる。
【0026】
本発明の方法の別の改善によれば、弾性ヘッドは、たとえば容器の一端のベアリングにより、少なくとも1つの軸の周りに回転可能に支持された球体である。液体が基本的に動摩擦なく医療用インプラントに塗布可能であることが、回転可能な弾性ヘッドにおいて特に有利である。これにより、弾性ヘッドの摩耗、したがって問題となる医療用インプラントへの粒子の発生が防がれるだけでなく、医療用インプラントへの液体の移動がこの方法により有利に良好に制御可能となる。ここで、本発明において、この球体は、たとえば、容器の一端のベアリングにより、自由に回転可能なように支持される。
【0027】
さらに、本発明において、たとえば、少なくとも1つのチャネルが、容器壁および弾性ヘッドの間に形成される。これは、液体が容器から弾性ヘッドの回転により装置の表面に送られ、次いで、医療用インプラントの表面に供給可能となるため、有利には回転可能にベアリングに支持される弾性ヘッドにおいて特に有利である。
【0028】
また、本発明によれば、既存の治療シナリオによく適し、液体中に存在する抗生物質または抗生物質の混合物で容器内を満たすようにしてもよい。この方法により、個々の患者の実際の治療シナリオに個別に適合させることができる。
【0029】
特に好ましい改善によれば、本発明において、製薬活性物質は、たとえば、生成されるコーティングが製薬的に活性な容量を含むように、抗生物質および/または有機防腐剤を含む。
【0030】
また、本発明において、弾性ヘッドは、たとえば、多孔質の弾性スポンジから構成される。本発明によれば、多孔質の弾性スポンジは、均一な膜の形態で医療用インプラントに液体を塗布するために用いることができる。
【0031】
別の改善によれば、弾性ヘッドは、たとえば線形に移動可能に容器内に設けられている。有利には、本発明において、たとえば弾性ヘッドは容器内に押しこまれる。これにより、弾性ヘッドが表面上で押されたとき、液体が容器の内部から外側に押される。
【0032】
また、本発明において、チャネルは、たとえば、好ましくはスポンジの孔を通して、弾性ヘッドに内にチャネルを形成する。
【0033】
さらに、本発明において、非弾性栓が弾性ヘッド上に設けられていてよく、該栓は、容器を1つの側で閉じ、少なくとも1つのチャネルを有し、かつ/または、該栓と容器との間に少なくとも1つのチャネルを形成し、たとえば好ましくは線形に移動可能なように容器内に設けられる。これにより、装置の安定性が保証される。
【0034】
本発明の別の改善によれば、たとえば、弾性ヘッドは粗い表面を有し、たとえば、好ましくは、0.5μm乃至100μm、特に好ましくは1μm乃至10μm、より好ましくは2μmの粗さを有する。有利には、回転可能にベアリングに支持される弾性ヘッドの場合、これは装置表面への、すなわち医療用インプラントへの液体の安定な輸送をサポートする。
【0035】
このため、本発明において、さらに、弾性ヘッドはたとえば親水性であり、液体はたとえば水溶液である。
【0036】
特別な清潔さの要件を満たすため、本発明において、少なくとも1つのチャネルを通じた接続を除き、たとえば、弾性ヘッドにより容器は外側に対して閉じられる。
【0037】
確実に容器が簡単に使用できかつ満たすことができるように、本発明において、容器の底および/または少なくとも1つの壁は、少なくともその複数の領域にわたって、孔開け可能な弾性膜を有してよく、この膜は好ましくは生体適合性エラストマーから形成され、および/または、蓋により覆われ、および/または、封止されてよい。
【0038】
また、本発明において、装置は、容器に接続された弾性ヘッドのためのベアリングを有するか、または、容器と同一の部分に設けられて良い。
【0039】
本発明の特に有利な改善によれば、弾性ヘッドは、たとえば、2000MPa未満、好ましくは500MPa未満、特に好ましくは1乃至100MPaの間の弾性率を有する。この弾性率の値を用いて、本発明に係る装置が人手で操作されたときに、医療用インプラントのコーティング表面が不均一な場合であっても表面に液体を均一に塗布することができる。
【0040】
また、本発明において、少なくとも1つのチャネル、好ましくは全てのチャネルは、たとえば、500μm未満の断面積、好ましくは200μm未満の断面積を有する。
【0041】
さらに、本発明において、少なくとも1つのチャネルは、たとえば、500μm未満、好ましくは200μm未満の幅を有する間隙であり、たとえば好ましくは、全てのチャネルは当該間隙である。このチャネルの断面積および/またはチャネルの幅で、医療目的に有利によく適した液体膜が塗布される。
【0042】
本発明によれば、弾性ヘッドおよび/または容器はたとえば生体適合性材料から構成され、好ましくは、少なくとも弾性ヘッドの表面はたとえば生体適合性エラストマーまたはエラストマー混合物から成る。
【0043】
また、本発明によれば、弾性ヘッドおよび/または容器はたとえば生体適合性材料から製造される。
【0044】
有利に操作に適した、本発明に係る装置の改善によれば、本発明において、容器および弾性ヘッドにより囲まれる体積は0.5ml乃至1000ml、好ましくは1ml乃至100mlの間である。
【0045】
また、本発明において、容器は滅菌大気または滅菌ガスを含む。
【0046】
さらに、本発明において、たとえば、少なくとも1つの開口多孔質層が、弾性ヘッドおよび容器の間に、好ましくは装置の内部に設けられる。この開口多孔質層によって、確実に弾性ヘッドの領域に常に十分な液体が存在することとなる。
【0047】
本発明の別の改善によれば、液体は、たとえば、好ましくは安定剤を含む硫酸ゲンタマイシン水溶液を含み、有利には、0.5乃至88重量%の硫酸ゲンタマイシンを含む硫酸ゲンタマイシン水溶液が好ましい。
【0048】
ここで、本発明において、液体は、たとえば、10乃至88重量%の硫酸ゲンタマイシン、有利に好ましくは、80重量%の硫酸ゲンタマイシンを含む硫酸ゲンタマイシン溶液である。
【0049】
本発明の課題は、請求項のいずれか1項記載の装置を用いる医療用インプラントのコーティング方法であって、医療用インプラントを用意し、液体が弾性ヘッドから医療用インプラントの表面にフィルムの形態で移されるように、好ましくは医療用インプラントのコーティング表面上に回転させまたは刷くことにより、装置の弾性ヘッドを医療用インプラントのコーティング表面を接触させる方法により解決される。
【0050】
ここで、本発明において、装置の容器は、液体により、好ましくは容器の壁および/または底を介して、液体を有利には膜を介して注入することにより満たしてもよい。この方法により、個々の患者の実際の治療シナリオに対して個別に適合させることができる。
【0051】
ここで、本発明において、たとえば、容器が液体で満たされる前に開けられ、および/または、たとえば、容器が液体で満たされた後に、好ましくは孔開け側の上で、閉じられる。蓋の使用により、汚染物が容器内に入らないようにおよび装置の内容物が周囲すなわちOR手術室を汚染しないようにするための、意図しない容器の開口または孔開けや容器の壁または底への孔開けまたは開口された後に容器の再封止は必要なくなる。
【0052】
本発明に係る方法は、医療用インプラントを挿入する前に行われる。したがって、本方法は「生体外で」進められる。
【0053】
さらに、本発明において、たとえば、医療用インプラントの表面の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは医療用インプラントの表面の少なくとも90%がコーティングされる。
【0054】
また、本発明において、本方法は達成すべき医療用インプラントのコーティング表面の完全なコーティングに必要な限り何度も繰り返されてもよい。有利には、液体の着色とこの着色による完全なコーティングについての検査に関して、十分コーティングされた医療用インプラントを生成するため、これは本発明において有利である。
【0055】
本発明によれば、ORスタッフがインプラントをすぐにコーティングできるように、少なくとも1つの製薬活性物質を含む溶液または懸濁液で装置が予め満たされていてもよい。この場合、このコーティングに要する時間消費は僅か数秒であり、貴重なOR時間を節約することができる。
【0056】
あるいは、少なくとも1つの製薬活性物質を含む溶液または懸濁液の注入により、OR手術室内のその場において1つまたは複数の製薬活性物質で予め満たしていない装置を用意しても良い。抗生物質によるコーティングの場合、これにより、現在の耐性状態に基づいた1つの抗生物質および複数の抗生物質の組み合わせの適切な選択が可能となり、コーティングが確実に抗生物質感受性パターンと一致するようにすることができる。
【0057】
また、コーティングを外科手術の間に全く遅れなく行うことができるように、外科手術の前に、各病院の薬局において活性物質の適切な溶液または懸濁液で、満たされていない装置を満たすようにしてもよい。
【0058】
使用可能な製薬活性物質の例としては、抗生物質、有機防腐剤、銅塩、酸化銅、ガリウム塩、ストロンチウム塩、リチウム塩、銀塩、酸化銀、 ビスホスホネート、成長因子、ステロイドホルモン、非ステロイドホルモン、止血剤、消炎剤、プラスミド、コスミド、線状DNAおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
アミノグルコシドの抗生物質溶液、たとえば、硫酸トブラマイシン、硫酸アミカシン、硫酸ネチルマイシン、硫酸シソマイシンも抗生物質として用いることができる。バンコマイシン、ダルババシン、ラモプラニン、ダプトマイシン、モキシフロキサシン、クリンダマイシンおよび/またはリンコマイシンの水溶液も使用可能である。種々の抗生物質の組み合わせの使用は、本発明の範囲に含まれる。例としては、硫酸ゲンタマイシンおよび塩酸バンコマイシンの2つの抗生物質の組み合わせ、ダプトマイシンおよび硫酸ゲンタマイシンの2つの抗生物質の組み合わせ、硫酸ゲンタマイシンおよびクリンダマイシンの2つの抗生物質の組み合わせ、ならびに、硫酸ゲンタマイシン、塩酸バンコマイシンおよび塩酸クリンダマイシンの3つの抗生物質の組み合わせが挙げられる。さらに、抗生物質溶液の代わりに防腐剤溶液を用いても良い。例としては、グルコン酸クロロヘキシジン、オクタニジン二塩酸塩またはポリヘキサニドが挙げられる。
【0060】
本発明の範囲は、また、溶媒として、有機溶媒または複数の有機溶媒の組み合わせあるいは有機溶媒と水との組み合わせを含む、抗生物質と防腐剤と溶液の使用を含む。
【0061】
これにより、たとえば、水難溶性の抗生物質の塩、たとえばラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩を用いることもできる。さらに、懸濁液の状態の水難溶性の抗生物質または抗生物質の塩も用いることができる。
【0062】
本発明は、さらに、薬剤または医療用製品としての装置を提供する。
【0063】
本発明に係る装置と医療用インプラントとの組み合わせも同様に提供可能である。この組み合わせは、装置とインプラントとにより形成され、この組み合わせは0.1秒という最小の使用期間を示す。この組み合わせはコーティング過程において生じる。
【0064】
本発明は、医療用インプラントのコーティングに用いられる液体について、接触によるその使用の直前においても、好ましくは本発明に係る、液体が保存される装置で医療用インプラントを刷くことにより使用可能となるという驚くべき発見に基づいている。したがって、この簡単な方法および装置についてはORにおける使用性が保証される。このために、製薬活性物質を含む塗布される液体は、チャネルを介してまたは好ましくは複数のチャネルを介して、装置の弾性ヘッドに輸送可能である。ここで、本発明によれば、弾性ヘッドによって、ヘッドの形状は確実に少なくともわずかにコーティング対象の外形に適合するものとされる。主にこの驚くべき洞察により、本発明による装置の簡単な操作が確実となる。
【0065】
本発明の特に興味深い改善によれば、特に衛生面から、本発明の別の態様に基づいて、回転する回転体または全方向に自由に回転可能な球体としての弾性ヘッドが提供される。回転体または球体の表面粗さが液体により十分なぬれ性が得られる場合には、回転する弾性ヘッドによって装置の内部からコーティング表面に液体が運ばれる。次いで、脱臭スティックによく似たやり方で液体膜が塗布されるが、医療用インプラントのコーティング表面のラビングは要しない。回転可能にベアリングにより支持された弾性ヘッドの弾性は、変形が容器内で弾性ヘッドのベアリングにまで延伸しないようなものとされ、その場合、装置内での弾性ヘッドの回転性ができる限り少ない程度にだけ影響されるように設定される。このため、容器は、たとえばベアリングの領域内に弾性領域を有する。
【0066】
最初の抗生物質による保護のため、24乃至72時間、インプラント表面に十分に高い濃度の1つまたは複数の抗生物質が存在するようにすれば十分である。したがって、医療用インプラントの十分な一時的かつ局所的な保護は、単に、水溶性抗生物質を液体に局所的に導入することよっても達成可能である。
【0067】
したがって、製造の遙か前の段階で医療用インプラントをコーティングするのではなく、その挿入直前にコーティングすることができる。これにより、比較的短く作用するコーティングも用いることができる。さらに、液体のままの層も使用可能であり、これは新たな適用領域を開くものであり、新たな活性物質も使用可能とするものである。
【0068】
本発明にかかる装置は、ミスト散布によってORの場が汚染されることなく、かつ、ブラシ、ペイントブラシまたは装置の他の要素による毛髪や他の粒子の放出が避けられるように設計される。
【0069】
本発明の例示的実施形態について、以下2つの概略図に従って例示するが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る装置の概略断面図を示す。
【図2】本発明に係る第2の装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、本発明に係る装置1の概略断面図を示す。この装置1は、上部が開放されたジャーの形態の容器4を有する。容器4の側壁は、シリンダ状で等しい厚さを有する。
【0072】
医薬活性物質を含む水溶液6が容器4の内部に含まれている。液体6は、たとえば、医療用インプラント(図示せず)のコーティングに用いられる抗生物質を含む水溶液である。
【0073】
スポンジ8の形態の弾性ヘッド8が、容器4の開口内の栓10上に設けられている。栓10は容器4の開口内に挿し込まれ、容器4を全ての側において閉じている。複数のチャネル12が栓10内に設けられ、栓10を介して液体6が容器4の内部から多孔質のスポンジ8に導かれる。スポンジ8は親水性であり、液体6の取り込みによく適している。したがって、スポンジ8はチャネル12を通して液体6を吸収することができる。
【0074】
栓10および容器4の内壁は、たとえば、疎水性材料から構成されているかまたは疎水性材料によってコーティングされている。栓10は容器4の開口内に移動可能であり、すなわち、栓10は容器の開口内において線形に移動可能であり、容器4の内壁を通して導かれる。
【0075】
図示の装置1は、本発明に係る方法の実行に用いることができる。この目的のため、この装置1は弾性ヘッド8でコーティングされる医療用インプラントの表面上を引き下ろされる。スポンジ8に加えられる圧力はスポンジ8に含まれる液体6を絞り出し、それを液体膜として医療用インプラントの表面に移す。人手により加えられた圧力は同時に容器4の内部からスポンジ8に液体6を絞り出し、確実に弾性ヘッド8の表面に液体が補充される。この液体膜は医療用インプラントの表面上で急速に乾燥し、医薬活性物質の層、たとえば1つの抗生物質または複数の抗生物質の混合物の層を残す。コーティングされた医療用インプラントは、その後外科手術への使用の準備、すなわち、挿入される準備が整ったものとなる。
【0076】
ここで、液体6の組成は、シリンジを用いて容器4の壁および/または底を通して適切な医薬活性物質を添加することにより外科手術のすぐ前に決定し、確定することができる。あるいは、使用の前に、単に容器4を栓10を開口内に挿し込む前に容器4の開口を通して適切な液体6で満たしても良い。このために、容器4、および、弾性ヘッド8を有する栓10は、無菌包装で予め保存しておいてもよく、包装は無菌ガスで充填されていてもよい。容器4自体も、上記ガスで充填してもよい。
【0077】
コーティング装置1は、ポリプロピレンから製造され、高さ約20cm、直径8cmである。栓10もポリプロピレンから構成され、容器4の内部空間の上方領域にプレス嵌め挿入される。使用の前に、容器4は、容器4の開口を閉じるアルミニウム化合物箔(図示せず)により無菌状態で閉じられる。
【0078】
図2は、本発明に係る方法に適した、本発明に係る第2の装置21の概略断面図を示す。装置21は容器24をその下側で完全に閉じる、孔開け可能な底側の弾性膜25を有する容器24を有する。医療用インプラントのコーティングに用いられる医薬活性物質を含む液体26は、医薬活性物質が溶解された液体の溶媒が蒸発する場合、容器24の内部に入れられている。容器24を液体26で満たすため、または、容器24内に含まれる液体26に医薬活性物質を添加するため、膜25を介してシリンジで孔開けしてもよい。
【0079】
弾性材料からなる円周状の蓋27が容器24の上部の容器壁上に配置されている。容器24の上部は、装置21の弾性ヘッド28としての球体28により閉じられている。球体28は弾性の生体適合性ポリマーから製造され、10μmの表面粗さを有する。球体28と、容器24の壁と、蓋27との間には、容器24の内部上の液体26のためのチャネル32として機能する間隙32が設けられている。
【0080】
球体28は蓋27およびボールベアリング34により容器24内に支持されている。これにより、球体28は自由に可動であり、全ての方向に回転可能である。ボールベアリング34は本発明の改善には必要なものではなく、球体28は、容器24の上端のブラケットにおいて液体26の液体膜上を滑るベアリングにより単に支持されていてもよい。
【0081】
医療用インプラント(図示せず)の上を、球体28を有する装置21が下方に回転する間、装置は、その粗い表面上の液体を装置21の内部から間隙32を通して、球体28により形成される装置21の外部表面に送る。球体28が装置21の重さからの圧力によりボールベアリング34へと押され、妥当な場合にユーザが装置21を動かすと、間隙32は約50μmの幅となる。しかし、間隙の幅は液体26の粘度および/または球体28の粗さにちょうど適合される。液体26の粘性が高いほど、間隙32はより広いものが選択されるべきである。
【0082】
ボールベアリング34を設けない場合、容器のベアリングに、間隙32ではなく、約1乃至10mmの幅、50乃至200μmの深さのチャネルを平坦な溝の形態で設けても良い。液体26はこのとき装置21からこのチャネル内に送られる。本発明の範囲において、装置21は球体28が、容器24内での回転の際に再生され続ける液体膜上をちょうど実際にすべるように設けられる。球体28はこの目的のために十分な表面の粗さを有するよう設けなければならない。
【0083】
本発明に係る図2の実施形態は特殊なものであり、液体26が医療用インプラントのコーティングに用いられる医薬活性物質を含み、および、同時に球体28が装置21の弾性ヘッド28を形成するという本発明の範囲に対応し、ここで、液体26は、装置21の内部から球体28の回転を通して運ばれ、液体26は球体28の弾性により医療用インプラントの外形が不均一な場合においても、表面に均一に塗布される。
【0084】
本発明によれば、液体で満たされた装置1、21によって、従来のツバイミューラー型人工股関節の上を簡単に刷くことができる。これによりツバイミューラー型人工股関節にはステム表面に液体6、26の膜が設けられる。液体膜がいったん乾燥すると、ツバイミューラー型人工股関節はステム表面に、医薬活性物質が含まれている白いコーティングを有する。こうして、この人工股関節は外科手術における使用の準備が整ったものとなる。
【0085】
液体6、26を用いたコーティングに続いて、水分を含んだままの医療用インプラントを粉末でコーティングしてもよい。この粉末には第2の医薬活性物質、好ましくは骨成長促進物質たとえばリン酸カルシウムが含まれている。医療用インプラント上の液体膜は、粉末をその表面によく付着させる。これにより、医療用インプラントのコーティング表面に液体粉末コーティングが施される。
【0086】
本発明に係る方法のための液体の製造例および本発明に係る装置の別の実施例を以下に示す。
【0087】
実施例1:硫酸ゲンタマイシンを含むコーティング溶液の製造
全量16.0gの硫酸ゲンタマイシン(Fujian Fukang Ltd製)、および、4.0mlの滅菌発熱性物質除去蒸留水を室温で混合した。電磁撹拌器を用いて24時間、室温で撹拌後、油状粘性黄色溶液が得られた。医療用インプラントをコーティングするための液体としての、硫酸ゲンタマイシンを含むコーティング溶液が得られた。
【0088】
実施例2:硫酸ゲンタマイシンおよび塩酸クリンダマイシンの2成分の組み合わせを含むコーティング溶液の製造
全量12.0gの硫酸ゲンタマイシン(Fujian Fukang Ltd製)を、4.0gの塩酸クリンダマイシン(Sigma-Aldrich製)および4.0mlの滅菌発熱性物質除去蒸留水を室温で混合した。電磁攪拌機を用いて24時間、室温で撹拌した後、油状粘性黄色溶液が得られた。
【0089】
実施例3:硫酸ゲンタマイシン、塩酸クリンダマイシンおよび塩酸バンコマイシンの3成分の組み合わせを含むコーティング溶液の製造
全量4.0gの硫酸ゲンタマイシン(Fujian Fukang Ltd製)を、4.0gの塩酸クリンダマイシン(Sigma-Aldrich製)、4.0gの塩酸バンコマイシン(Sigma-Aldrich)および8.0mlの滅菌発熱性物質除去蒸留水を室温で混合した。電磁攪拌機を用いて24時間、室温で撹拌した後、粘性黄色溶液が得られた。
【0090】
実施例4:硫酸ゲンタマイシンおよび塩酸クリンダマイシンの2成分の組み合わせを含むコーティング溶液の製造
全量3.0gの硫酸ゲンタマイシン(Fujian Fukang Ltd製)を、1.0gの塩酸クリンダマイシン(Sigma-Aldrich製)および1.0mlの滅菌発熱性物質除去蒸留水を室温で混合した。電磁攪拌機を用いて24時間、室温で撹拌した後、油状粘性黄色溶液が得られた。
【0091】
実施例5:硫酸ゲンタマイシン、塩酸クリンダマイシンおよび塩酸バンコマイシンの3成分の組み合わせを含むコーティング溶液の製造
全量2.0gの硫酸ゲンタマイシン(Fujian Fukang Ltd製)を、1.0gの塩酸クリンダマイシン(Sigma-Aldrich製)、1.0gの塩酸バンコマイシン(Sigma-Aldrich)および1.0mlの滅菌発熱性物質除去蒸留水を室温で混合した。電磁攪拌機を用いて24時間、室温で撹拌した後、粘性黄色溶液が得られた。
【0092】
実施例6乃至10:コーティングしたインプラントの製造
従来の10mlのプラスチックシリンジを各場合に用いて、実施例1乃至5のコーティング溶液を調製し、カニューレに取り付けた後、本発明に係る装置の容器内に底板を介して注入した。
上記のようにして満たされた装置を、従来のツバイミューラー型人工股関節に用いた。この処理により、粘性の膜がインプラントの表面に形成された。
【0093】
上述の実施例、特許請求の範囲、図面および実施例に記載された発明の特徴は、本発明の種々の実施形態の実施のために、単独でも任意の組み合わせの両方において必須なものでありうる。
【符号の説明】
【0094】
1,21 装置、 4,24 容器、 6,26 液体、 8 弾性ヘッド/スポンジ、 10 栓、 12,32 チャネル/間隙、 25 膜、 28 弾性ヘッド/球体、 34 ボールベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医薬活性物質を含む液体(6、26)を収容する容器(4、24)を有する医療用インプラントのコーティング装置(1、21)であって、
コーティング表面上に前記液体(6、26)を塗布するための、少なくとも1つのチャネル(12、32)を通して前記容器(4、24)の内側に接続されている弾性ヘッド(8、28)を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記容器(4、24)は弾性壁を有し、人手による圧力が前記弾性壁に加えられたとき、前記液体(6、26)は前記少なくとも1つのチャネル(12、32)を通って前記弾性ヘッド(8、28)の表面へと流れる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記弾性ヘッド(8、28)は、前記容器(4、24)の一端のベアリングにより、少なくとも1つの軸の周りを回転可能に支持された球体(28)から構成される、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのチャネル(12、32)が前記容器の壁と前記弾性ヘッド(8、28)との間に形成されている、請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記弾性ヘッド(8、28)は多孔質弾性スポンジ(8)から構成されており、前記少なくとも1つのチャネル(12、32)は、前記スポンジ(8)の孔により前記弾性ヘッド(8、28)中に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記容器(4、24)を一方の側で閉じる非弾性栓(10)が前記弾性ヘッド(8、28)上に設けられており、前記栓(10)は少なくとも1つのチャネル(12、32)を有しおよび/または前記栓(10)と前記容器(4、24)との間に少なくとも1つのチャネル(12、32)を形成し、前記栓(10)は好ましくは線形に移動可能なように前記容器(4、24)内に設けられている、請求項1乃至5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記弾性ヘッド(8、28)は粗い表面を有し、好ましくは0.5μm乃至100μm、特に好ましくは1μm乃至10μm、さらに特に好ましくは2μmの粗さを有する、請求項1乃至6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記弾性ヘッド(8、28)は親水性を有し、前記液体(6、26)は水溶液である、請求項1乃至7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記容器(4、24)の底および/または少なくとも1つの壁は、その少なくとも複数の領域において孔開け可能な弾性膜(25)を有する、請求項1乃至8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記弾性ヘッド(8、28)は、2000MPa未満、好ましくは500MPa未満、特に好ましくは1乃至100MPaの間の弾性率を有する、請求項1乃至9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つのチャネル(12、32)、好ましくは全てのチャネル(12、32)が、500μm未満、好ましくは200μm未満の断面を有する、請求項1乃至10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの開口多孔質層が、前記弾性ヘッド(8、28)と前記容器(4、24)との間に、好ましくは前記装置(1、21)の内側に設けられている、請求項1乃至11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記液体(6、26)は、好ましくは安定剤を含む、硫酸ゲンタマイシン水溶液を含み、特に、0.5乃至88重量%の硫酸ゲンタマイシンを含む該硫酸ゲンタマイシン水溶液が好ましい、請求項1乃至12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記チャネル(12、32)には、繊維が介在する空間が設けられており、該繊維が前記弾性ヘッド(8、28)を形成する、請求項1乃至13のいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項記載の装置を用いる医療用インプラントのコーティング方法であって、
医療用インプラントを用意し、
前記液体が前記弾性ヘッドから前記医療用インプラントの表面に膜の形態で移されるように、前記装置の弾性ヘッドを前記医療用インプラントのコーティング表面と接触させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記容器が前記液体で満たされる前に蓋を開け、および/または、前記容器が液体で満たされた後、好ましくは孔を開ける側で、蓋を閉める、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−130709(P2012−130709A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−283030(P2011−283030)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(508316210)ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp−Reis−Str. 8/13, D−61273 Wehrheim, Germany
【Fターム(参考)】