説明

コード収容装置

【課題】操作者は小さな操作力でコードを引出すことができ、かつ、使用後は自動的にコードを収容することができる。
【解決手段】コード収容装置10は、コード40と、コードが巻回されるドラム18と、ドラムに巻回されているコードをドラムから引出すときに、コードの操作状態を検出する操作状態検出手段30と、ドラムを回転駆動する第1モータ38と、ドラムにコードを巻き取るときに、第1モータ38をコード巻き取り方向に駆動してドラムをコード巻き取り方向に回転させるモータ制御部と、を有している。モータ制御部は、さらに、ドラムからコードが引出されるときは、操作状態検出手段30により検出される操作状態に基づいて第1モータ38を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コード(例えば、電気コード等)を収容するコード収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用しない時はドラムにコードを巻き取っておき、使用時にドラムからコードを引出せるようにしたコード収容装置が知られている。例えば、特許文献1には、電気自動車と電源とを接続する充電用電気コードを収容するコード収容装置が開示されている。このコード収容装置は、筐体に回転可能に取付けられたドラムを有しており、ドラムの外周面に電気コードが巻き付けられる。電気コードは、使用時に必要な長さだけドラムから引き出され、使用後はドラムに巻き取られる。なお、特許文献1の一実施例に係るコード収容装置では、電気コードを巻き取る方向にドラムを回転させる駆動装置を装備し、電気コードをドラムに自動的に巻き取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−52861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、電気コードをドラムに巻き取るときにのみ駆動装置によりドラムを回転駆動する。このため、ドラムから電気コードを引き出す際は、操作者が手動でドラムを回転させて、電気コードを引出さなければならない。電気コードが長くなり、あるいは、電気コード自体が重いと、電気コードをドラムから引出すために、操作者には大きな操作力が必要となるという問題がある。
【0005】
本願は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、操作者は小さな操作力でコードを引出すことができ、かつ、使用後は自動的にコードを収容することができるコード収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願のコード収容装置は、コードと、コードが巻回されるドラムと、ドラムに巻回されているコードをドラムから引出すときに、コードの操作状態を検出する操作状態検出手段と、ドラムを回転駆動する第1モータと、ドラムにコードを巻き取るときに、第1モータをコード巻き取り方向に駆動してドラムをコード巻き取り方向に回転させるモータ制御部と、を有している。モータ制御部は、さらに、ドラムからコードが引出されるときは、操作状態検出手段により検出される操作状態に基づいて第1モータを駆動する。
【0007】
このコード収容装置では、使用後のコードをドラムに巻き取るときは、第1モータがドラムをコード巻き取り方向に回転させる。このため、ドラムにコードを巻き取る作業を人が行う必要はない。一方、ドラムからコードを引出すときは、コード操作状態に基づいて第1モータが駆動される。したがって、コードの引き出し操作を適切にアシストすることができ、操作者は小さな操作力(=コードに作用する引出し力−アシスト力)でコードを引出すことができる。また、適切なアシスト力が付与できるため、コードが弛んで、ドラムからコードを引出すことができないという事態が生じることを防止することができる。
【0008】
ここで、「コードの操作状態(コード操作状態)」とは、コードの引出し操作を定量化して評価することができる物理量を意味する。例えば、ドラムからコードを引き出す速度(例えば、ドラムの回転速度)や、コードに作用する引出し力等を意味する。
【0009】
上記のモータ制御部は、ドラムからコードが引出されるときは、操作状態検出手段により検出されるコード操作状態に基づいて、コードに張力が生じるように第1モータを駆動することが好ましい。このような構成によると、コードの弛みが防止され、ドラムからコードが適切に引き出される。
【0010】
上記のコード収容装置は、コードの引出しが行われることをモータ制御部に入力するスイッチをさらに有することができる。この場合、モータ制御部は、スイッチによりコードの引出しが行われることが入力され、かつ、ドラムが停止しているときは、予め設定された設定駆動力で第1モータをコード引出し方向に駆動することができる。そして、その設定駆動力は、コードに操作者の操作力が付与されない状態では、ドラムが回転しないような駆動力に設定されていることが好ましい。すなわち、設定駆動力は、ドラムの静摩擦力より小さく設定される。このような構成によると、ドラムからコードの引出しを開始する時から第1モータによるアシストを与えることができる。
【0011】
上記の操作状態検出手段は、ドラムの回転によって回転して起電力を発生する第2モータとすることができる。この場合、モータ制御部は、ドラムにコードを巻き取るときに、第1モータ及び第2モータをコード巻き取り方向に駆動してドラムをコード巻き取り方向に回転させることが好ましい。このような構成によると、コード操作状態を検出するためのモータを、コードをドラムに巻取る際にも利用することができる。また、巻取り時に必要なトルクを第1モータ及び第2モータで負担するため、第1モータ及び第2モータのそれぞれを小型化することができる。なお、コード巻取り時と比較してコード引出し時に必要なトルクは小さいため、コード引出し時は1つのモータで駆動しても充分なトルクを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例のコード収容装置の正面図。
【図2】図1のコード収容装置の平面図(ただし、ハウジングのうちドラムを収容する収容部の図示を省略した状態を示す。)。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】本実施例のコード収容装置の制御系の構成を示す図。
【図5】本実施例のコード収容装置の制御ユニットで行われる処理の手順を示すフローチャート。
【図6】変形例に係るコード収容装置のドラムの回転軸部分を拡大して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施例のコード収容装置10は、電気自動車(EV)又はプラグ・イン・ハイブリッド自動車(PHEV)に搭載される。コード収容装置10は、電気自動車等に搭載されたバッテリ44(図4に図示)を充電するための電気コード40を収容する。図1〜3に示すように、コード収容装置10は、ハウジング12と、ハウジング12に対して回転可能に取付けられたドラム18を有している。
【0014】
ハウジング12は、台座部14aと、台座部14aに載置される収容部14cを有している。台座部14aは、コード収容装置10が設置される設置部(例えば、自動車のトランクルーム、エンジンルーム等)に取付けられる。収容部14cは、ドラム18を回転可能に収容する。収容部14cには、ドラム18に巻回された電気コード40をハウジング12の外側に引出すためのコード引出部14bが設けられている。コード引出部14bには、ガイドローラ16a,16bが設置されている。ガイドローラ16a,16bは、コード引出部14bから引出される電気コード40を案内する。
【0015】
ドラム18は、その外周面に電気コード40が巻回されている。ドラム18に巻回された電気コード40は、ドラム18の外周面に形成された溝18aに案内されている。ドラム18の外周面に溝18aを形成することで、ドラム18の外周面の偏った位置に電気コード40が巻回されることが防止される。
【0016】
図1,3に示すように、ドラム18は回転軸20に固定されている。回転軸20の両端は、ハウジング12(詳細には、ハウジング12の収容部14c)に回転可能に支持されている。これによって、ドラム18はハウジング12に対して回転可能となっている。回転軸20には、第1歯車22が固定されている。このため、ドラム18が回転すると、回転軸20と共に第1歯車22も回転する。第1歯車22には、操作者のコード引出し操作をアシストするアシスト機構39と、コード操作状態を検出する操作状態検出機構31が取付けられている。アシスト機構39と操作状態検出機構31は、ハウジング12内に収容されている。なお、本実施例のコード収容装置10では、ドラム18をコード巻取り方向に付勢する手段(通常は、ぜんまいばねが用いられる)を有していない。
【0017】
アシスト機構39は、アシスト用モータ38(請求項でいう第1モータに相当)と、アシスト用モータ38の出力を第1歯車22に伝達する伝達機構(32,33,34)によって構成されている。すなわち、アシスト用モータ38のモータ軸36には歯車が形成されている。モータ軸36に形成された歯車は、第6歯車34と噛合している。第6歯車34は、伝達軸33に固定されている。伝達軸33は、ハウジング12に回転可能に支持されている。伝達軸33にはさらに、第5歯車32が固定されている。第5歯車32は、上述した第1歯車22に噛合している。したがって、アシスト用モータ38のモータ軸36が回転すると、それによって第6歯車34及び第5歯車32が回転する。その結果、第1歯車22が回転し、第1歯車22に固定された回転軸20及びドラム18が回転する。
【0018】
アシスト用モータ38は、電気コード40がドラム18から引出されるときは、操作者のコード引出し操作をアシストするために用いられる。一方、電気コード40をドラム18に巻取るときは、アシスト用モータ38は、ドラム18をコード巻取り方向に回転させるために用いられる。図4に示すように、アシスト用モータ38は、バッテリ44から供給される電力によって駆動され、制御ユニット50(請求項でいうモータ制御部に相当)によって制御される。
【0019】
操作状態検出機構31は、アシスト機構39と同様に構成され、図1に示すように、検出用モータ30(請求項でいう操作状態検出手段(第2モータ)に相当)と、検出用モータ30のモータ軸28と第1歯車22とを連結する伝達機構(24,26)によって構成されている。すなわち、モータ軸28に形成された歯車は、第3歯車26と噛合している。第3歯車26は、ハウジング12に回転可能に支持された伝達軸(図示しない)に固定されており、この伝達軸には第2歯車24が固定されている。第2歯車24は、第1歯車22に噛合している。したがって、検出用モータ30のモータ軸28が回転すると、それによって第3歯車26及び第2歯車24が回転する。その結果、第1歯車22が回転し、第1歯車22に固定された回転軸20及びドラム18も回転する。
【0020】
検出用モータ30は、電気コード40がドラム18から引出されるときは、電気コード40の操作状態(本実施例では、コード引出し速度)を検出するために用いる。すなわち、本実施例では、電気コード40をドラム18から引出すときは、検出用モータ30にはバッテリ44からの電力は供給されていない。この状態で、操作者によって電気コード40が引出されるとドラム18が回転し、それにより検出用モータ30も回転して、検出用モータ30に起電力が発生する。検出用モータ30に生じる起電力は、検出用モータ30の回転速度(すなわち、ドラム18の回転速度(コード引出し速度))に応じた値となる。このため、制御ユニット50は検出用モータ30で生じる起電力を検出することで、電気コード40の操作状態(コード引出し速度)を検出する。一方、検出用モータ30は、電気コード40をドラム18に巻取るときは、ドラム18をコード巻取り方向に回転させる。すなわち、検出用モータ30にはバッテリ44からの電力が供給され、検出用モータ30はドラム18をコード巻取り方向に回転駆動する。バッテリ44から検出用モータ30への電力供給のオン/オフは、制御ユニット50によって制御される。
【0021】
なお、電気コード40は、その先端にプラグ49(図4に図示)が設けられており、外部電源62(図4に図示)に接続可能となっている。このプラグ49には、電気コード40の巻取り操作を起動するための巻取りスイッチ48(図4に図示)が設けられている。また、電気コード40の他端はドラム18に固定されている。電気コード40の他端は、コード収容装置10に設けられたスリップリング46(図4に図示)を介して車両側充電装置60に接続されている。このため、電気コード40の先端のプラグ49を外部電源62に接続すると、外部電源62と車両側充電装置60とが、電気コード40及びスリップリング46を介して接続される。なお、電気コード40の先端のプラグ49は、車体に設けられた収容室(図示しない)に収容されており、この収容室はリッド(図示しない)によって開閉可能となっている。リッドの開閉状態は、リッド開閉センサ42(図4に図示)で検出されるようになっている。後述するように、リッド開閉センサ42が、請求項でいう「電気コードの引出しが行われることをモータ制御部に入力するスイッチ」に相当する。
【0022】
ここで、上述したコード収容装置10の制御系の構成について簡単に説明する。図4に示すように、コード収容装置10は、制御ユニット50を備え、制御ユニット50によって制御される。制御ユニット50は、CPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータによって構成することができる。制御ユニット50には、検出用モータ30及びアシスト用モータ38が接続される。検出用モータ30で発生する起電力は、制御ユニット50で検出される。また、制御ユニット50は、検出用モータ30及びアシスト用モータ38の回転駆動を制御する。制御ユニット50にはさらに、リッド開閉センサ42、バッテリ44が接続されている。リッド開閉センサ42から出力される検出信号は、制御ユニット50に入力される。バッテリ44は、制御ユニット50、検出用モータ30及びアシスト用モータ38に電力を供給する。また、巻取りスイッチ48からの信号も、制御ユニット50に入力されるようになっている。なお、制御ユニット50、検出用モータ30及びアシスト用モータ38に電力を供給する電源としては、バッテリ44ではなく、車載されている他のバッテリ(図示しない)を用いることもできる。
【0023】
次に、上述したコード収容装置10の動作について説明する。なお、バッテリ44への充電制御は、車両側充電装置60を制御する充電制御ユニット(図示省略)により行われる。操作者(例えば、運転者)が電気コード40を使用して、充電する際の手順を説明する。最初に、操作者は、電気コード40のプラグ49を収容している収容室のリッドを開く。次に、操作者は、収容室内のプラグ49を手で掴んで引くことで、電気コード40をドラム18から引出す。この際、アシスト用モータ38がドラム18を駆動するため、操作者は小さな力で電気コード40をドラム18から引出すことができる。そして、引出された電気コード40の先端のプラグ49を外部電源62に接続する。これによって、外部電源62と車両側充電装置60とが接続され、外部電源62から充電が行われる。充電が終了すると、電気コード40のプラグ49と外部電源62との接続を解除する。次いで、電気コード40のプラグ49に設けられた巻取りスイッチ48を操作する。これによって、アシスト用モータ38及び検出用モータ30がドラム18をコード巻取り方向に回転駆動し、電気コード40がドラム18に自動的に巻き取られる。
【0024】
次に、上述したコード収容装置10の動作を実現するための制御ユニット50の処理について説明する。図5に示すように、制御ユニット50は、まず、電気コード40のプラグ49を収容している収容室のリッドが開閉されたか否かを判断する(S10)。具体的には、リッド開閉センサ42から出力される検出信号に基づいて、リッドの開閉を判断する。
【0025】
リッドが閉じている場合(ステップS10でNO)は、制御ユニット50は、充電フラグを「0」とすると共にアシスト用モータ38に印加している電圧をオフし(S24)、ステップS10の処理に戻る。このため、リッドが閉じている限り、アシスト用モータ38に電圧が印加されることはない。
【0026】
一方、リッドが開いている場合(ステップS10でYES)は、制御ユニット50は、電気コード40の操作状態(すなわち、電気コード40がドラム18から引出されているか否か)を判断する(S12)。具体的には、制御ユニット50は、検出用モータ30で起電力が発生しているか否かにより、ドラム18から電気コード40が引出されているか否かを判断する。電気コード40が引出されていると判断したときは、検出用モータ30で発生する起電力の大きさから、電気コード40の引出し速度を算出する。
【0027】
電気コード40がドラム18から引出されている場合(ステップS12でYES)は、制御ユニット50は、検出用モータ30で検出される起電力の大きさに応じて、アシスト用モータ38に印加する電圧を制御する(S14)。この際、制御ユニット50は、検出用モータ30で検出される起電力の大きさから算出されるコード引出し速度に応じてアシスト用モータ38に印加する電圧の大きさと方向を変化させる。
【0028】
具体的には、算出されたコード引出し速度が設定速度以下と判断される場合は、ドラム18がコード引出し方向に回転するように、コード引出し速度(検出される起電力)に応じた電圧をアシスト用モータ38に印加する。例えば、アシスト用モータ38に印加している電圧と、検出用モータ30で検出される起電力の差に基づいて、アシスト用モータ38に印加する電圧を増減させることができる。これによって、検出用モータ30で検出される起電力が増加している場合(ドラム18が増速している場合)は、アシスト用モータ38に印加する電圧を増加する。一方、検出用モータ30で検出される起電力が減少している場合(ドラム18が減速している場合)は、アシスト用モータ38に印加する電圧を減少する。この結果、電気コード40のコード引出し速度の変化に応じて適切にアシスト用モータ38の回転速度が調整され、操作者は小さな操作力で電気コード40を引出すことができる。なお、アシスト用モータ38によって電気コード40に付与されるアシスト力は、電気コード40に作用する引出し力(=アシスト力+操作者の操作力)よりも小さくなるように制御される。すなわち、操作者の操作力が正の値となるように制御される。これにより、電気コード40には常に張力が発生し、電気コード40を弛むことなくドラム18より引出すことができる。
【0029】
一方、算出されたコード引出し速度が設定速度を越えていると判断される場合は、ドラム18がコード巻取り方向に回転するように、コード引出し速度(検出される起電力)に応じた電圧をアシスト用モータ38に印加する。これによって、ドラム18がコード引出し方向に回転することが抑制され、電気コード40がドラム18から離れて弛んでしまうことが抑制される。
【0030】
なお、ステップS14の処理が終了すると、ステップS12に戻って、ステップS12からの処理を繰り返す。これによって、コード操作状態に応じて適切なアシスト力の調整が行われる。
【0031】
一方、ステップS12でNOの場合(電気コード40がドラム18から引出されていない場合)、制御ユニット50は充電フラグが「1」となっているか否かを判断する(S15)。充電フラグが「1」となっている場合(ステップS15でYES)は、ステップS20に進む。一方、充電フラグが「1」となっていない場合(ステップS15でNO)は、アシスト用モータ38に初期電圧を印加する(S16)。これによって、アシスト用モータ38は、ドラム18をコード引出し方向に回転させようとする駆動力を発生する。ただし、アシスト用モータ38に印加される初期電圧は、電気コード40に操作者の操作力が付与されない限り、ドラム18が回転しないような電圧に設定されている。したがって、ドラム18から電気コード40が勝手に引出されてしまうという事態が生じることはない。また、ステップS16でアシスト力が発生するため、操作者は、電気コード40の引出し開始時からアシスト用モータ38によるアシストを受けることができる。
次に、制御ユニット50は、電気コード40が操作されていない状態(引出されていない状態)が設定時間を越えたか否かを判断する(S17)。電気コード40が操作されていない状態が設定時間を越えていない場合(ステップS17でNO)は、ステップS20に進む。一方、電気コード40が操作されていない状態が設定時間を越えている場合(ステップS17でYES)は、制御ユニット50は、充電フラグを「1」とすると共にアシスト用モータ38に印加している電圧をオフする(S18)。これによって、電気コード40が引出されてから一定時間無操作状態(電気コードが操作されていない状態)が検出されると、アシスト用モータ38への通電がオフされ、電力が無駄に使用されることはない。
【0032】
ステップS20に進むと、制御ユニット50は、巻取りスイッチ48が操作されているか否かを判断する。巻取りスイッチ48が操作されていない場合(ステップS20でNO)は、ステップS10に戻って、ステップS10からの処理を繰り返す。一方、巻取りスイッチ48が操作されている場合(ステップS20でYES)は、制御ユニット50は、検出用モータ30及びアシスト用モータ38により、ドラム18をコード巻取り方向に回転駆動する(S22)。検出用モータ30及びアシスト用モータ38の両者によりドラム18を回転駆動するため、短時間で電気コード40をドラム18に巻取ることができる。ドラム18に電気コード40を巻き取ると、ステップS10に戻って、ステップS10からの処理が繰り返される。
【0033】
上述した説明から明らかなように、本実施例のコード収容装置10では、ドラム18から電気コード40を引出す際は、アシスト用モータ38によってドラム18をコード引出し方向に駆動する。このため、操作者は小さな操作力で電気コード40をドラム18から引出すことができる。また、アシスト用モータ38によって付与されるアシスト力は、検出用モータ30で検出された電気コード40の操作状態に基づいて制御されるため、アシスト力が過大となって電気コード40が弛む等の問題が生じることはない。
【0034】
なお、上述したコード収容装置10では、検出用モータ30によって検出されるコード操作状態に基づいてアシスト用モータ38を駆動することで、電気コード40には常に張力(引張り力)が作用している。これによって、コード収容装置10では、ドラム18をコード巻取り方向に付勢するばねが不要とされており、それによって軽量化が図られている。また、このようなばねを備えていないため、コード引出し量に比例して電気コード40をドラム18から引出すための力が増加するという問題も生じない。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0036】
例えば、上述した実施例のコード収容装置10では、ドラム18をコード巻取り方向に付勢するばねを備えていなかったが、本発明のコード収容装置は、ドラムをコード巻取り方向に付勢するばねを備えていてもよい。このようなばねを備えることで、電気コードに弛みが生じることをより防止することができる。なお、ドラムをコード巻取り方向に付勢するばねを備える場合は、図6に示すように、ドラムの回転軸20の周囲に複数の渦巻きばね52a〜52dを配置し、これら複数の渦巻きばね52a〜52dによって付勢力を与えるようにしてもよい。1個の渦巻きばねで付勢力を与える場合、所望の付勢力を得ようとすると、当該1個の渦巻きばねの板厚を厚くしなければならない。しかしながら、図6に示すように、複数の渦巻きばね52a〜52dによってドラムを付勢すると、各渦巻きばね52a〜52dの板厚を薄くすることができる。その結果、渦巻きばね52a〜52dを設置するスペースが小型化され、コード収容装置の小型・軽量化に寄与することができる。
【0037】
また、上述した実施例では、電気コード40のコード操作状態を検出用モータ30によって検出していたが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、ドラム18の回転角速度を検出するエンコーダを用いてもよい。エンコーダを用いても、電気コードがドラムから引出されているか否かを判断することができ、また、電気コードの引出し速度を得ることができる。これによって、上述した実施例と同様、コード操作状態に応じてアシスト用モータを制御することができる。さらには、エンコーダ以外のセンサによってコード操作状態を検出することもできる。例えば、電気コードに作用する張力をセンサで検出し、この検出値に基づいてアシスト用モータに印加する電圧を制御してもよい。あるいは、ドラムの回転軸に作用するトルクを検出し、この検出値に基づいてアシスト用モータに印加する電圧を制御してもよい。
【0038】
また、上述した実施例では、検出用モータ30とアシスト用モータ38の2つのモータを備えていたが、本発明はこのような形態に限られない。例えば、1つのモータで、コード操作状態の検出と、ドラムの回転駆動を行うようにしてもよい。例えば、モータにコード引出し方向の電圧を印加してドラムを駆動しながら、モータに実際に発生する電圧を検出する。そして、モータに印加した電圧と、モータに生じる電圧との差に基づいて、モータに印加する電圧を調整するようにしてもよい。このような形態によっても、コード操作状態に応じたアシスト用モータの制御を実現することができる。
【0039】
また、上述した実施例のコード収容装置10は、自動車に搭載され、車載バッテリを充電するための電気コードを収容する例であったが、本発明はその他の用途にも用いることができる。例えば、電気コードの先端のプラグを充電ガンとすることで、充電スタンドや吊り下げ型充電リール、あるいは、キャリー型充電リール等の用途にも用いることができる。また、電気コード以外のコード(例えば、流体(ガス、水、エアー等)が流れるホース)を巻き取って収容する装置にも適用することができる。
【0040】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0041】
10 コード収容装置
12 ハウジング
14a 台座部
16a,16b ガイドローラ
18 ドラム
20 回転軸
22 第1歯車
24 第2歯車
26 第3歯車
28 モータ軸
30 検出用モータ
32 第5歯車
33 伝達軸
34 第6歯車
36 モータ軸
38 アシスト用モータ
40 電気コード
50 制御ユニット
52a,52b,52c,52d 渦巻きばね
60 車両側充電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードを収容するコード収容装置であって、
コードと、
コードが巻回されるドラムと、
ドラムに巻回されているコードをドラムから引出すときに、コードの操作状態を検出する操作状態検出手段と、
ドラムを回転駆動する第1モータと、
ドラムにコードを巻き取るときに、第1モータをコード巻き取り方向に駆動してドラムをコード巻き取り方向に回転させるモータ制御部と、を有しており、
モータ制御部は、さらに、ドラムからコードが引出されるときは、操作状態検出手段により検出される操作状態に基づいて第1モータを駆動する、コード収容装置。
【請求項2】
モータ制御部は、ドラムからコードが引出されるときは、操作状態検出手段により検出される操作状態に基づいて、コードに張力が生じるように第1モータを駆動する、請求項1に記載のコード収容装置。
【請求項3】
コードの引出しが行われることをモータ制御部に入力するスイッチをさらに有し、
モータ制御部は、スイッチによりコードの引出しが行われることが入力され、かつ、ドラムが停止しているときは、予め設定された設定駆動力で第1モータをコード引出し方向に駆動し、
前記設定駆動力は、コードに操作力が付与されない状態では、ドラムが回転しないような駆動力に設定されている、請求項1又は2に記載のコード収容装置。
【請求項4】
操作状態検出手段が、ドラムの回転によって回転して起電力を発生する第2モータである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコード収容装置。
【請求項5】
モータ制御部は、ドラムにコードを巻き取るときに、第1モータ及び第2モータをコード巻き取り方向に駆動してドラムをコード巻き取り方向に回転させる、請求項4に記載のコード収容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206809(P2012−206809A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72635(P2011−72635)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】