説明

コーヒーをベースとした飲料を淹れるための装置

本発明は、カプセル(8)に入れられた一杯分の粉挽きコーヒーを抽出することによってコーヒーをベースとした飲料を淹れるための装置に関する。この装置は、水供給路(3)によって順番に接続された水の容器(1)と、ポンプ(2)と、加熱部(15)と、水注入部(9)とを備えている。装置は水注入部(9)の延長線上にさらに、カプセル保持具(7)と、水−コーヒー混合物の出口(10)とを備えている。カプセル保持具(7)は、手での取り付けと取り外しが可能にされ、コーヒーのカプセル(8)を保持する手段を備え、水注入部(9)から送られる加圧された水はカプセル(8)を通過して出口(10)から出て行くことが可能にされている。装置はさらに分岐路(5)を備えていて、その一端は水供給路(3)に接続され、他端には水力手段を備え、それは出口(10)から流出する水−コーヒー混合物制御することができる。装置はさらに、所定の圧力に達したときに分岐路(5)内を水が流れることを可能にする構成のバルブ(4)を備えている。この装置によって、使用者は水−コーヒー混合物の圧力を自分で決めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルに入れられた一杯分の粉挽きコーヒーを抽出することによりコーヒーをベースとした飲料を淹れる装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
このような原理で作動する装置が何十年も前から存在している。
【0003】
特許文献1、特許文献2:アメリカ合衆国特許、特許文献3、特許文献4には、最初からカプセルの複数箇所に穴が開けられていて、加圧された水がその穴を通過する装置が記載されている。
【0004】
特許文献5または特許文献6に記載されているカプセルは、下部に膜を備えている。加圧された水が最初にカプセルの上部に導入され、その結果としてカプセルが主に膜のレベルで膨張する。ある圧力を超えると膜が破れるため、水−コーヒー混合物が流れ出すことが可能になる。
【0005】
特許文献7に提示されている装置では、カプセルに水が導入されて膜が膨張すると、膜は、凹凸のある部材を備えた平面にぶつかることで破れて穴が開く。
【0006】
上に説明したのと同じか似た作動方式を利用した別の装置が、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13に提示されている。
【0007】
別の装置も知られており、その装置では、カプセルを収容したチェンバーの中でまず最初に水−コーヒー混合物が作られるが、その混合物は、カプセルを収容したチェンバー内の圧力が所定の最小値に到達して初めて流れ出す。特に、特許文献14、特許文献15、特許文献16を参照のこと。
【0008】
上記のどの装置でも、水−コーヒー混合物の流出は、その装置を製造したときに決めた所定の圧力に到達してから始まる。
【0009】
特許文献17には、圧力を制御することのできるシステムが記載されている。この装置は、複数の通路、バルブ、チェンバーを備えた水力回路からなる。選択した圧力に応じ、ある通路が閉鎖され、別の通路が開放される。同様に、あるチェンバーが空になり、別のチェンバーが充填される。このような変化によって出口が開閉される。
【0010】
一杯分のコーヒーはチェンバーに収容されており、そのチェンバーは、特定のチェンバー内の水圧によって開閉する。
【0011】
水力回路は、複数のバルブを備えている。そのうちの1つは圧力を感知するバルブであり、回路内の水圧が低過ぎるときには水−コーヒー混合物が流出するのを阻止する下部回路を作動させ、圧力が十分に大きいときには液体状の水−コーヒー混合物を流出させる下部回路を作動させる。
【0012】
この装置は構造と機能が相対的に複雑である。しかもこの装置は、特別なタイプのコーヒー用であり、カプセル保持具を手で取り付けたり取外したりするのには向いていない。
【0013】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第2,899,886号
【特許文献2】アメリカ合衆国特許:第2,968,560号
【特許文献3】アメリカ合衆国特許第3,403,617号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第3,607,297号
【特許文献5】スイス国特許第605,293号
【特許文献6】ヨーロッパ特許第0,242,556 B1号
【特許文献7】ヨーロッパ特許第0,512,470 B1号
【特許文献8】ヨーロッパ特許第0,250,810 B1号
【特許文献9】ヨーロッパ特許第0,521,188 B1号
【特許文献10】ヨーロッパ特許第0,521,397 B1号
【特許文献11】ヨーロッパ特許第0,726,053 B1号
【特許文献12】ヨーロッパ特許第0,469,162 B1号
【特許文献13】WO 92/07775
【特許文献14】ヨーロッパ特許出願第0,726,053 A1号
【特許文献15】ヨーロッパ特許第0,622,039 A1号
【特許文献16】ヨーロッパ特許第1,016,364 A2号
【特許文献17】ヨーロッパ特許出願第1,247,480 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題点を解決することを特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は、カプセルに入れられた一杯分の粉挽きコーヒーを抽出することによってコーヒーをベースとした飲料を淹れるための装置であって、水供給路によって順番に接続された水の容器と、ポンプと、加熱部と、水注入部とを備え、水注入部の延長線上にはさらに、カプセル保持具と、水−コーヒー混合物の出口とが配置されていて、カプセル保持具は、手での取り付けと取り外しが可能であり、コーヒーのカプセルを保持する手段を備える構成になっており、水注入部から送られる加圧された水がカプセルを通過して出口から出て行くことが可能にされているものにおいて、装置がさらに分岐路を備えていて、その一端が水供給路に接続され、他端には、水−コーヒー混合物が出口から流出するのを制御する水力手段を備え、さらに、所定の圧力に達したときに分岐路内を水が流れることを可能にする構成のバルブを備えていることを特徴とする装置に関する。
【0016】
本発明の装置には、従来技術と比べて多数の違いと利点があることに注意されたい。特許文献17は、例えば、以下のような違いと欠点を有する。
− カプセルを収容するチェンバーを水圧で閉じること、
− 装置全体が複雑であること(バルブや水路などが複数あること)、
− 圧力を感知するバルブの構成と機能、
− カプセル保持具に対して動かすことのできるカプセル穿孔具が存在していないこと。
【0017】
好ましいことに、本発明の装置は、バルブを開放する圧力を利用者が選択できる手段を備えているため、カプセルのコーヒーを抽出する圧力を利用者が決めることができる。
【0018】
望ましいことに、バルブは圧力を例えば機械によって感知するため、装置を非常に簡単化できる。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、水圧手段は、水−コーヒー混合物が出口から流れ出すのを阻止または許可する封鎖部材を備えている。
【0020】
封鎖部材は、カプセルと出口の間の任意の位置に設けることができる。一実施態様によれば、封鎖部材はカプセル保持具の下方に位置する。
【0021】
もちろん本発明の装置は、複数の穴を塞ぐ必要がある場合には複数の封鎖部材を備えることができる。
【0022】
この実施態様では、穿孔具(例えば歯状部材)を利用することが好ましい。この穿孔具は、カプセル保持具の上に配置されていて、装置の中に挿入されたときにカプセルに穴を開ける。
【0023】
別の一実施態様によれば、水圧手段は、少なくとも1つの穿孔具からなり、この穿孔具が作動したとき、カプセル保持具の上に配置されたカプセルに穴を開け、その結果として水−コーヒー混合物が出口から流出できるようになる。
【0024】
本発明の装置は、カプセル保持具の下方または内部に位置する休止位置(すなわち水−コーヒー混合物が流れていないとき)と、カプセル保持具の上方に位置する作動位置の間を移動する複数の穿孔具を備えていることが望ましい。例えばカプセルは、最初は平面上に位置する。水圧手段が作動すると、穿孔具がその平面から飛び出してカプセルに穴を開ける。
【0025】
本発明の別の一実施態様によれば、本発明の装置では、薄い膜に覆われた穴をすでに備えているカプセルを用いることができる。カプセル保持具は、バネに固定されたシリコーン製の膜を備えている。バネは、最初は穴を塞いでいるが、力を加えてそのバネを圧縮すると穴が開放される。
【0026】
本発明の別の一実施態様によれば、カプセル保持具は、直径が比較的大きい出口を備えている。その穴の縁部には少なくとも1つの穿孔具が取り付けられている。その穿孔具の機能は、カプセルの膨張する膜を破ることである。出口は、最初はピストンによって閉じられているが、ピストンが下方に移動すると開放される。
【0027】
本発明の装置で非常に多くの異なったカプセルを利用できることは明らかである。カプセルとしては、特に、カプセルに水を導入したときに膨張する膜を備えたものと、膨張しない膜を備えたものがある。
【0028】
同様に、本発明の装置では、穿孔具を含む実施態様は除き、堅固な面を有するカプセル、すなわち可撓性のある膜を持たないカプセルを利用できる。
【0029】
使用するカプセルは、さまざまな形態のものが可能であることもわかるであろう。例えば、円錐形や円筒形のものが可能であり、立方体さえ可能である。
【0030】
図面を参照し、本発明のいくつかの実施態様を以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1と図2に概略を示した装置は、容器1と、ポンプ2と、加熱部15と、水注入部9とを水供給路3が順番につなぐ構成になっている。水注入部9は、先端部が十分に尖っているため、水供給路3の延長線上に位置するカプセル保持具7の上に配置されたカプセル8に穴を開けることができる。カプセル保持具7は、下部に出口10を備えている。
【0032】
カプセル保持具の上部には、上下方向に移動可能な穿孔具13が取り付けられている。カプセル8の底部に穿孔具13で穴が開けられると、水−コーヒー混合物が流れ出してカプセル保持具7を通過し、出口10の下に配置したカップ(図示せず)に回収される。
【0033】
この装置は、分岐路5も備えている。その分岐路5の上端は、ポンプ2と加熱部15の間の位置で、Y字型接合部11によって水供給路3に接続されている。分岐路5は、圧力が所定の値よりも大きくなったときに開放されるバルブ4も備えている。最後に、分岐路5の下端は、作動用水力手段6(例えばピストン)に接続されている。水力手段6は、バルブ4が開放されて作動状態になると、穿孔具13を上方に移動させてカプセル8に向かわせる。
【0034】
この装置は、以下のように動作する。最初は、バルブ4が閉じていて、ポンプ2が止まっている。新しいカプセル8をカプセル保持具7の上に設置した後、その上面に水注入部9で穴を開ける。次に、ポンプ2を作動させて水を水供給路3に導入する。ポンプ2が作動した結果として水供給路の水で占められた部分を黒く表示してある図1を参照のこと。
【0035】
水供給路3の中、したがってカプセル8の中に存在する水が所定の圧力に達したとき、バルブ4が開いて水が分岐路5の残りの部分に流れ込み、穿孔具13を作動状態にする。すると穿孔具13はカプセル8の下面に穴を開ける(図2を参照のこと)。カプセル8の中に入っている水−コーヒー混合物がカプセル保持具7を通り抜け、穴(図示せず)を通り、出口10の下に配置したカップ(図示せず)に回収される。
【0036】
図1と図2の概略図に本発明の可能なあらゆる実施態様がまとめられているわけではないことは言うまでもない。カプセル保持具は、必ずしもカプセルの下方に配置しなくてもよい。例えば、カプセルを下方に保持したカプセル保持具を考えることができる。同様に、穿孔具は、カプセルに側方から、または上方から穴を開けることができる。
【0037】
図3と図4に示した別の実施態様は、穿孔具が1つの(場合によっては複数の)封鎖部材12で置き換えられている点だけが図1と図2の実施態様と異なっている。封鎖部材12は、作動していないとき、出口を塞ぎ、作動したとき、出口を開放する。この実施態様では、カプセル8の下面に穴を開けるのは、カプセル8をカプセル保持具7の中に設置したときであり、カプセルに水が到着する前であることがわかる。
【0038】
図5と図6は、本発明の装置で使用できるバルブ4の図である。バルブ4は、水供給路3に接続される入口16と、水力手段6、12、13に接続される出口17とを備えている。入口と出口は閉鎖領域18を介してつながっており、封鎖用ピストン25がこの閉鎖領域18を塞ぐことができる。封鎖用ピストンは、休止位置では、バネ19によって閉鎖領域18に閉じ込められている。バネ19が封鎖用ピストンを押さえている力が水供給路3内の圧力よりも大きい限り、バルブ4は閉じたままである。水圧が大きくなるとバルブ4が開き、水が出口17から出てくる。
【0039】
望ましいことに、バネが及ぼす力を装置の利用者が調節できる。したがって利用者は、カプセル内の水−コーヒー混合物の圧力を変化させることにより、自分の好みに合ったコーヒーを淹れることができる。
【0040】
図1と図2の実施態様に関する詳細な実施態様を図7と図8に示してある。同じ参照番号を使用してある。
【0041】
穿孔具13の動作機構は以下の部材を備えている。分岐路5(図示せず)に接続された、可撓性のある材料からなる環状容器20。カプセル8を取り囲む移動可能な環状部材21。その環状部材21の上部が容器20の上に載っている。固定リング22によって環状部材21に接続された、穿孔具13の支持板24。カプセル保持具7の支持体23は複数の穴を備えており、その穴を通って穿孔具13が移動することができる。
【0042】
穿孔具13の動作メカニズムは以下の通りである。穿孔具は、休止位置(図7)では、カプセル8の下面の下に位置する。動作位置(図8)では、水が容器20に侵入する。容器は膨張し、移動可能な環状部材21と、それと一体化しているもの、すなわち固定リング22と、支持板24と、穿孔具13とを上方に移動させる。するとカプセルの下面に穴が開き、その結果として水−コーヒー混合物が出口10から流れ出す。
【0043】
本発明が上に説明した実施態様に限定されないことは明らかである。例えばY字型接合部は、加熱部と水注入部の間に位置していてもよい。この構成だと、上に説明した可撓性のある容器を利用することが特に望ましかろう。分岐路内に石灰が形成された場合には、容器を簡単に交換することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施態様が休止状態になっているときの概略図である。
【図2】作動状態になっている図1の実施態様である。
【図3】本発明の第2の実施態様が休止状態になっているときの概略図である。
【図4】作動状態になっている図3の実施態様である。
【図5】閉鎖位置にあるバルブである。
【図6】開放位置にある図5のバルブである。
【図7】本発明の第1の実施態様が休止状態になっているときの立面断面図である。
【図8】本発明の第1の実施態様が作動状態になっているときの立面断面図である。
【符号の説明】
【0045】
図面で使用する参照番号は以下の通りである。
1 容器
2 ポンプ
3 水供給路
4 バルブ
5 分岐路
6 作動用水力手段
7 カプセル保持具
8 カプセル
9 水注入部
10 出口
11 Y字型接合部
12 封鎖部材
13 穿孔具
14 流出穴
15 加熱部
16 バルブの入口
17 バルブの出口
18 閉鎖領域
19 バネ
20 可撓性のある容器
21 可動環状部材
22 固定リング
23 カプセル支持体
24 穿孔具の支持板
25 封鎖用ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル(8)に入れられた一杯分の粉挽きコーヒーを抽出することによってコーヒーをベースとした飲料を淹れるための装置であって、
水供給路(3)によって順番に接続された水の容器(1)と、ポンプ(2)と、加熱部(15)と、水注入部(9)とを備え、
水注入部(9)の延長線上にはさらに、カプセル保持具(7)と、水−コーヒー混合物の出口(10)とが配置されていて、
カプセル保持具(7)は、手での取り付けと取り外しが可能であり、コーヒーのカプセル(8)を保持する手段を備える構成になっているため、水注入部(9)から送られる加圧された水がカプセル(8)を通過して出口(10)から出て行くことが可能にされている装置において、
さらに分岐路(5)を備えていて、その一端が水供給路(3)に接続され、他端には、水−コーヒー混合物が出口(10)から流出するのを制御する水力手段(6、12、13、20)を備えており、かつ、
所定の圧力に達したときに分岐路(5)内を水が流れることを可能にする構成のバルブ(4)を備えている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
利用者が作動させることのできる圧力調節手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
バルブ(4)が圧力を感知する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
水圧手段(6、12)が、水−コーヒー混合物が出口(10)から流出するのを阻止または許可する封鎖部材(12)を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
カプセル保持具(7)が、少なくとも1つの流出穴(14)を備えており、水圧手段(6、12)が、その流出穴(14)を封鎖できる構成にされている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
水圧手段(6、13)が少なくとも1つの穿孔具(13)からなり、この穿孔具が作動したとき、カプセル保持具(7)の上に配置されたカプセル(8)に穴を開けて水−コーヒー混合物が出口(10)から流出できるようにする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
水圧手段が可撓性のある容器(20)を備えており、水が供給されることによってその容器が膨張したとき、水−コーヒー混合物が出口(10)から流出できるようにする手段(21、22、24、12、13)を作動させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の装置を使用する方法であって、水供給路(3)の液体の一部を用い、水−コーヒー混合物が出口(10)から流出するのを制御することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−501031(P2007−501031A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522194(P2006−522194)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000484
【国際公開番号】WO2005/011452
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506038143)
【Fターム(参考)】