説明

コーヒー様飲食用組成物、及びコーヒー様飲食用組成物の製造方法

【課題】限りなくコーヒーに近い風味を実現することで嗜好品として機能すると共に、健康増進機能に止まらず、薬理機能をも兼ね備えたコーヒー様飲食用組成物を提供する。
【解決手段】
タンポポの根を所定時間水に浸漬させ、水に浸漬されたタンポポの根を乾燥させ、高麗人参を乾燥させ、乾燥されたタンポポの根と乾燥された高麗人参とを8:2の割合で混合し、混合されたタンポポの根と高麗人参とを火熱で煎ることによって、コーヒー様飲食用組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー類似の風味を有するコーヒー様飲食用組成物及びその製造方法に関し、特に、健康増進機能及び薬理機能が高く、嗜好性に富んだコーヒー様食品組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コーヒー豆を原料とするコーヒーは、その成分中のカフェインの有する機能、即ち、苦味からくる爽快感、中枢神経を興奮させて疲労を回復させる機能が受け入れられ、嗜好飲料として多くの人々に飲用されている。
しかしながら、同時に中枢興奮による不眠作用、胃酸分泌を促進させる作用も有することから、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を悪化させる原因にもなり、健康上の観点からは、必ずしも好ましくない。
【0003】
そのため、コーヒー様の風味を有し、カフェインを含まず、健康増進機能を有する飲食品が各種提案されている。
特許文献1には、カフェインレスコーヒー成分中にタンポポの根から抽出されたエキス分及び若干の和漢薬エキス分を混入してなるタンポポブレンドコーヒーが提案されている。
また、特許文献2には、黒豆と大豆と小豆とを配合してローストし、水系溶媒により抽出することにより得られたコーヒー様飲食用組成物が提案されている。
【特許文献1】特公昭60−27501号公報
【特許文献2】特開2000−189123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものは、コーヒー豆を主成分とし、それに、タンポポの根から抽出されたエキス等を若干量加えるのみであるため、タンポポの根の有する薬理機能(即ち、カルシウム、鉄、ゲルマニウム、ビタミンB1,ビタミンB2、ビタミンE トコフェロール等に由来する健康上好ましい効果)は補充的にしか作用せず、積極的に健康増進機能及び薬理機能が発揮されるものではない。
【0005】
また、特許文献2のものは、良質なタンパク質・脂質を多く含有する食品として周知な大豆等を原料とすることで栄養価を高め、健康増進機能を持たせてはいるものの、生薬特有の薬理機能は発揮されない。
一方、タンポポの根や高麗人参等の生薬を食材に付加した飲食品は、多種提案されてはいるが、その付加によって風味や食感を損ねる場合が多いので、嗜好品として多くの人々に飲食されているものは非常に少ない。
【0006】
そこで、本発明は、限りなくコーヒーに近い風味を実現することで嗜好品として機能すると共に、健康増進機能に止まらず、薬理機能をも兼ね備えたコーヒー様飲食用組成物、及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るコーヒー様飲食用組成物は、タンポポの根を乾燥させて粉状にしたものに、高麗人参を乾燥させて粉状にしたものを混合したものである。
この際、前記タンポポの根と前記高麗人参は、8:2の割合で混合してもよい。
【0008】
また、本発明に係るコーヒー様飲食用組成物の製造方法は、タンポポの根を所定時間水に浸漬させる工程と、水に浸漬されたタンポポの根を乾燥させる工程と、高麗人参を乾燥させる工程と、乾燥されたタンポポの根と乾燥された高麗人参とを混合する混合工程と、 混合されたタンポポの根と高麗人参とを火熱で煎る焙煎工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
この際、前記混合工程は、前記タンポポの根と前記高麗人参とを8:2の割合で混合してもよい。
また、前記焙煎工程は、混合されたタンポポの根と高麗人参に酸化亜鉛粉末を加えて火熱で煎ってもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項3の発明によれば、タンポポの根に高麗人参を混合したので、タンポポの根の有する特有の苦味が緩和され、限りなくコーヒーに近い風味を有する飲食用組成物が製造できる。
【0011】
また、このコーヒー様飲食用組成物は、カフェインの胃酸分泌促進による胃腸障害を回避できると共に、タンポポの根や高麗人参の有する薬理機能、即ち、体を温め血行を促進する機能、肝臓・すい臓・脾臓に作用して血液を浄化する機能、免疫力を強化し、自然治癒力を高める機能、利尿促進、ホルモン分泌促進及び解熱作用等を全面的に享受することができる。
これによって、嗜好飲料やフレーバーとして毎日飲食を楽しみながら、滋養強壮、健康の維持、生活習慣病の予防・改善、生殖機能の改善を図ることができる。
【0012】
請求項2及び請求項4に記載の発明によれば、タンポポの根と高麗人参とを、8:2の割合で混合するので、一層、コーヒーに近い風味を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、酸化亜鉛粉末がタンポポの根や高麗人参の成分に作用するので、タンポポの根や高麗人参の有する薬理機能を増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるコーヒー様飲食用組成物の製造方法を示す流れ図である。
本実施形態のコーヒー様飲食用組成物の製造方法は、タンポポの根のあく抜き工程1と、タンポポの根の乾燥工程2と、高麗人参の乾燥工程3と、タンポポの根と高麗人参の混合工程4と、その混合物を焙煎させる焙煎工程5と、焙煎された混合物を粉砕する粉砕工程6からなるものである。
【0014】
先ず、製造に先立ち、高麗人参とタンポポの根を入手する。
この場合、高麗人参は、寒冷で雨量が少なく、水はけがよく保水力があり、有機物質を適当に含んだ砂質土壌、特に朝鮮半島において栽培されたものが好ましい。
タンポポは、秋口からタンポポの開花時期前の根を掘り出し水洗いをし、土とごみを取り除いておく。
【0015】
この水洗いしたタンポポの根を、2cm程度に切断し、2時間以上、好ましくは5時間程度、水に浸漬する(あく抜き工程1)。これによって、タンポポの根の有する特有のえぐみが無くなる。
あく抜きの終わったタンポポの根をみじん切りにし、乾燥させる(タンポポの根の乾燥工程2)。
【0016】
一方で、生の高麗人参をみじん切りにし、乾燥させる(高麗人参の乾燥工程3)。
乾燥されたタンポポの根と乾燥された高麗人参とを混合する(混合工程4)。この場合、タンポポの根と高麗人参とを、8:2の比率で混合させることによって、タンポポの根の有する特有の苦味が、高麗人参の成分によって解消され、限りなくコーヒーに近い風味を得ることができる。
【0017】
混合されたタンポポの根と高麗人参とを火熱で煎る(焙煎工程5)。この際、混合されたタンポポの根と高麗人参に、酸化亜鉛粉末を総重量の0.05%程度混合し、厚手のフライパンで弱火で約20分、やや焦げ目が着く程度に炒る。このように、焙煎の際に、酸化亜鉛粉末を加えることによって、酸化亜鉛がタンポポの根や高麗人参の成分に作用し、薬理機能が増大される。
【0018】
焙煎されたタンポポの根と高麗人参とをミルで粉砕し、粉状にする(粉砕工程6)。
このようにしてコーヒー様飲食用組成物が製造される。製造されたコーヒー様飲食用組成物は、挽いたコーヒー豆と同様の性状となり、ネットやフィルタで濾して抽出したり、コーヒーサイフォン等(蒸気圧の差によって湯を吸引する仕組み)を利用して抽出することで、飲用に供せられる。
【実施例】
【0019】
水洗いした西洋タンポポの根を2cm程度に切断して5時間水に浸漬した後、みじん切りにし、乾燥させたものと、生の高麗人参をみじん切りにし、乾燥させたものを下記の割合で混合し、酸化亜鉛粉末を加え、フライパンで弱火で約20分、やや焦げ目が着く程度に焙煎した。そして、この焙煎されたタンポポの根と高麗人参とをミルで粉砕し粉状にしたものをフィルタで濾し、コーヒー様の飲料とした。
【0020】
この飲料を100人のパネラーに試飲してもらい、香り、苦味、甘味、酸味、コーヒーとの代替可能性の5項目についての評価を受けたところ、下記の結果を得た。
なお、評価は、その満足度に応じて10段階で行い、市販の粉状コーヒー(比較例F:UCC社製ブレンドコーヒー)を評価点10とした。下記の評価値は、全パネラーによる評価の平均値を表したものである。
【0021】
【表1】

【0022】
上記実施例A〜Cと比較例Eとの対比により、タンポポの根の乾燥粉末に高麗人参の乾燥粉末を混合することによって、コーヒーとの代替可能性が高い飲食用組成物が製造できることが判った。
また、実施例Bと他の実施例との対比により、タンポポの根と高麗人参とを8:2の比率で混合することによって、限りなくコーヒーに近い飲食用組成物が製造できることが判った。
そして、実施例Bのコーヒー様飲食用組成物の成分を検出したところ、以下の結果を得た。
【0023】
【表2】

【0024】
上記検出結果より、本実施形態に係るコーヒー様飲食用組成物には、無水カフェイン等の健康を阻害する成分が含まれないことが判った。
また、貧血・冷え性の女性に試飲させたところ症状が改善され、月経困難症の女性に試飲させたところ症状が改善された。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のコーヒー様飲食用組成物の製造方法の工程を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・・タンポポの根のあく抜き工程
2・・・タンポポの根の乾燥工程
3・・・高麗人参の乾燥工程
4・・・混合工程
5・・・焙煎工程
6・・・粉砕工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンポポの根を乾燥させて粉状にしたものに、高麗人参を乾燥させて粉状にしたものを混合してなるコーヒー様飲食用組成物。
【請求項2】
前記タンポポの根と前記高麗人参は、8:2の割合で混合されたことを特徴とする請求項1に記載のコーヒー様飲食用組成物。
【請求項3】
タンポポの根を所定時間水に浸漬させる工程と、
水に浸漬されたタンポポの根を乾燥させる工程と、
高麗人参を乾燥させる工程と、
乾燥されたタンポポの根と乾燥された高麗人参とを混合する混合工程と、
混合されたタンポポの根と高麗人参とを火熱で煎る焙煎工程と、
を含むことを特徴とするコーヒー様飲料用組成物の製造方法。
【請求項4】
前記混合工程は、前記タンポポの根と前記高麗人参とを8:2の割合で混合することを特徴とする請求項3に記載のコーヒー様飲食用組成物の製造方法。
【請求項5】
前記焙煎工程は、混合されたタンポポの根と高麗人参に酸化亜鉛粉末を加えて火熱で煎ることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のコーヒー様飲食用組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−82460(P2007−82460A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274801(P2005−274801)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(505304425)
【Fターム(参考)】