説明

コールセンタシステム、並びに、コールセンタ装置及び情報処理プログラム、並びに、情報蓄積装置及びプログラム

【課題】 複数のコールセンタ装置を有するコールセンタシステムにおいて、短時間で正確に動作記録情報を取得する。
【解決手段】 本発明は、コールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置と、情報蓄積装置とを備えるコールセンタシステムに関する。そして、コールセンタ装置は、コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を情報に対応付けて記憶する手段と、動作記録情報を情報蓄積装置に送信する際に、前回までに送信した動作記録情報との差分の動作記録情報をシーケンス情報と共に送信する手段とを有することを特徴とする。そして、情報蓄積装置は、それぞれのコールセンタ装置から、受信した動作記録情報とシーケンス情報とを対応付けて記憶する手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はコールセンタシステム、並びに、コールセンタ装置及び情報処理プログラム、並びに、情報蓄積装置及びプログラムに関し、例えば、統計情報が複数の装置に分散されているコールセンタシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来のコールセンタシステムでは、着信履歴等の統計情報をシステム内に構成されたデータベースサーバに格納している。従来のコールセンタシステムにおいて、一台もしくは数台程度のデータベースサーバが配置されるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、現在コールセンタの大規模化に伴い、コールセンタシステムを構成するサーバ機能が複数の装置に分散される場合がある。さらに、P2P(Peer to Peer)技術の発展に伴い、オペレータ端末のみで構成されるコールセンタシステムも存在する。
【0004】
従来のコールセンタシステムとしては、例えば、特許文献1の記載技術がある。特許文献1では、オペレータ端末(エージェントワークステーション)同士のルーティングを用いることで、ACD(Automatic Call Distributor)処理を行うコールセンタシステムを開示している。これにより、特許文献1の記載技術では、ACD処理にオペレータ端末同士のルーティングを用いることで、ACDサーバを利用することなくACD処理を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−203812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の記載技術のように、コールセンタシステムを構成するサーバ機能が複数のオペレータ端末に分散されている場合、統計情報もそれぞれのオペレータ端末で生成されることになる。しかしながら、特許文献1では、コールセンタシステムのサーバ機能の動作に伴って生成される統計情報(例えば、電話呼の着信番号、着信時間、通話終了状態、通話時間等を含む情報)を集中管理することについては記載されていない。あるオペレータ端末でコールセンタシステム全体の統計情報を表示する場合、全オペレータ端末の統計情報を統合して取得する必要がある一方、コールセンタシステムにおいて統計情報はリアルタイムに生成される。また、オペレータ端末では、オペレータに対する音声通話機能の提供等リアルタイム処理も行われるため、統計情報の送受信処理に必要となる負荷はできるだけ少ない方が望ましい。
【0007】
そのため、複数のコールセンタ装置(例えば、サーバ機能にも対応したオペレータ端末)を有するコールセンタシステムにおいて、短時間で正確に動作記録情報(例えば、統計情報)を取得することができるコールセンタシステム、並びに、コールセンタ装置及び情報処理プログラム、並びに、情報蓄積装置及びプログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、(1)当該コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置と、情報蓄積装置とを備えるコールセンタシステムであって、(2)それぞれの上記コールセンタ装置は、(2−1)上記コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を、時系列を示すシーケンス情報に対応付けて蓄積記憶するローカル情報蓄積手段と、(2−2)上記ローカル情報蓄積手段が記憶している動作記録情報について、上記情報蓄積装置に送信する際に、前回までに上記情報蓄積装置に送信した動作記録情報と、上記ローカル情報蓄積手段に記憶されている情報との差分の動作記録情報を、当該動作記録情報のシーケンス情報と共に上記情報蓄積装置に送信する情報送信手段とを有し、(3)上記情報蓄積装置は、それぞれの上記コールセンタ装置から受信した動作記録情報と当該動作記録情報に付されたシーケンス情報とを対応付けて蓄積記憶するシステム情報蓄積手段を有することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明は、コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備えるコールセンタ装置において、(1)上記コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を、時系列を示すシーケンス情報に対応付けて記憶するローカル情報蓄積手段と、(2)上記ローカル情報蓄積手段が記憶している動作記録情報について、上記情報蓄積装置に送信する際に、前回までに上記情報蓄積装置に送信した動作記録情報と、上記ローカル情報蓄積手段に記憶されている情報との差分の動作記録情報を、当該動作記録情報のシーケンス情報と共に上記情報蓄積装置に送信する情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の情報蓄積装置は、コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置のそれぞれから受信した動作記録情報と当該動作記録情報に付されたシーケンス情報とを対応付けて蓄積記憶するシステム情報蓄積手段を備えることを特徴とする。
【0011】
第4の本発明の情報処理プログラムは、コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備えるコールセンタ装置に搭載されたコンピュータを、(1)上記コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を、時系列を示すシーケンス情報に対応付けて記憶するローカル情報蓄積手段と、(2)上記ローカル情報蓄積手段が記憶している動作記録情報について、上記情報蓄積装置に送信する際に、前回までに上記情報蓄積装置に送信した動作記録情報と、上記ローカル情報蓄積手段に記憶されている情報との差分の動作記録情報を、当該動作記録情報のシーケンス情報と共に上記情報蓄積装置に送信する情報送信手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
第5の本発明の情報蓄積プログラムは、コンピュータを、コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置のそれぞれから受信した動作記録情報と当該動作記録情報に付されたシーケンス情報とを対応付けて蓄積記憶するシステム情報蓄積手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のコールセンタ装置を有するコールセンタシステムにおいて、短時間で正確に動作記録情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るオペレータ端末の機能的構成について示したブロック図である。
【図2】実施形態に係るコールセンタシステムの全体構成について示したブロック図である。
【図3】実施形態に係るローカル統計情報の構成例について示した説明図である。
【図4】実施形態に係るオペレータ端末のシステム統計情報の構成例について示した説明図である。
【図5】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送信パケットの構成例について示した説明図である。
【図6】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送受信部が行う統計情報定期更新処理(統計情報の送信側の処理)について示したフローチャートである。
【図7】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送受信部が行う統計情報定期更新処理(統計情報の受信側の処理)について示したフローチャートである。
【図8】実施形態に係るオペレータ端末が送信する統計情報再送要求パケットの構成例について示した説明図である。
【図9】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送受信部が行う統計情報定期更新処理(統計情報の送信側で統計情報再送要求パケットを受信した場合の処理)について示したフローチャートである。
【図10】実施形態に係るオペレータ端末間で、統計情報定期更新処理が行われた場合の各情報の具体例(統計情報の再送信が行われない場合)について示している。
【図11】実施形態に係るオペレータ端末間で、統計情報定期更新処理が行われた場合の各情報の具体例(統計情報の再送信が行われる場合)について示している。
【図12】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送受信部が行う統計情報収集処理(収集側の処理)について示したフローチャートである。
【図13】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送受信部が送信する統計情報送信要求パケットの構成例について示した説明図である。
【図14】実施形態に係るオペレータ端末の統計情報送受信部が、統計情報収集パケットを受信した場合に行う動作について示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)主たる実施形態
以下、本発明によるコールセンタシステム、並びに、コールセンタ装置及び情報処理プログラム、並びに、情報蓄積装置及びプログラムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、オペレータ端末が、本発明のコールセンタ装置及び情報蓄積装置の両方を備えているものとして説明する。
【0016】
(A−1)実施形態の構成
図2は、この実施形態のコールセンタシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
コールセンタシステム1では、複数のオペレータ端末30が配置されている。そして、コールセンタシステム1では、各オペレータ端末30は、相互に通信可能とするためにネットワークN(ここでは、IPネットワークであるものとする)に接続しているものとする。
【0018】
コールセンタシステム1は、有線(有線LAN)でネットワークNに接続することが可能なn台のオペレータ端末30(30−A1〜30−An)と、無線(無線LAN)で、ネットワークNに接続することが可能なm台のオペレータ端末30(30−B1〜30−Bm)とが配置されているものとする。
【0019】
有線通信に対応したオペレータ端末30−A1〜30−Anを実現する具体的な装置としては、例えば、固定IP電話機やPCを用いるようにしても良い。また、無線通信に対応したオペレータ端末30−B1〜30−Bmは、例えば、携帯電話やPDAのようにネットワークに無線接続が可能である端末を用いるようにしても良い。
【0020】
そして、ネットワークNでは、ルータ21の配下にスイッチ22及び無線アクセスポイント23が接続されているものとする。そして、スイッチ22の配下に有線LANによりオペレータ端末30−A1〜30−Anが収容されているものとする。さらに、無線アクセスポイント23の配下に無線LANによりオペレータ端末30−B1〜30−Bmが収容されているものとする。なお、ネットワークNの構成は、図2に示す構成に限定されないものであり、オペレータ端末30間で相互に通信可能であれば、その他の構成を適用することができる。さらに、オペレータ端末30間を相互に接続させる構成としては、図2の構成に限定されず、例えば、コールセンタシステム1において、無線通信に対応したオペレータ端末30間で直接アドホック通信(マルチホップ通信)を行う等、他のトポロジーや通信手段を用いるようにしても良い。
【0021】
コールセンタシステム1では、コールセンタサーバ(例えば、ACD装置やデータベース装置等)としての専用装置を用いずに、各オペレータ端末30に、通常コールセンタサーバが担う機能を分散している。各オペレータ端末30は、オペレータに対してオペレータ端末としての機能を提供する手段に加えて、コールセンタシステム1を構成するコールセンタサーバ機能の一部を提供する手段も備えている。なお、各オペレータ端末30に、コールセンタシステム1のコールセンタサーバの機能を分散する具体的な方式については限定されないものであり、既存の方式(例えば、特許文献1の方式)を適用することができる。
【0022】
そして、各オペレータ端末30のコールセンタサーバ機能の動作に伴って生成される動作記録(動作ログ)を示す動作記録情報のそれぞれについては、まず、当該動作記録情報が生成されたオペレータ端末30で管理されるものとする。ここでは、各オペレータ端末30(コールセンタサーバ機能)で処理される一つの呼(オペレータによる通話が開始されてから終了するまでの間の処理)について一つの統計情報が動作記録情報として生成され、管理されているものとする。そして、コールセンタシステム1で管理される統計情報には、例えば、電話呼の着信番号、着信時間、通話終了状態、通話時間等の情報が含まれるものとする。なお、各統計情報に含まれる情報の項目の数や組合せは上述の組合せに限定されないものである。コールセンタシステム1で管理されるそれぞれの統計情報の内容自体は、既存のコールセンタシステムで管理されるものと同様の内容を適用することができる。なお、ここでは、説明を簡易にするため、全ての統計情報は同じ形式の情報であるものとする、複数の形式の情報が混在するようにしても良いことは当然である。
【0023】
次に、オペレータ端末30の内部構成について図1を用いて説明する。上述の通り、オペレータ端末30−A1〜30−Anとオペレータ端末30−B1〜30−Bmとは、ネットワークNへ接続する手段が異なるだけで、オペレータ端末としての機能的構成は同様である。従って、オペレータ端末30−A1〜30−Anとオペレータ端末30−B1〜30−Bmの機能的構成については、図1のように同様のブロック図により示すことができる。
【0024】
図1に示すように、オペレータ端末30は、それぞれ通信制御部51、入出力部52、統計情報送受信部53及びデータ記憶部60を有している。
【0025】
オペレータ端末30は、ハードウェア的なネットワークインタフェースやオペレータとのインタフェース等の構成の他は、PCやPDA等の情報処理装置(コンピュータ)に実施形態の情報処理プログラム(統計情報を他のオペレータ端末30に送信する処理プログラム)や、実施形態の情報蓄積プログラム(統計情報を他のオペレータ端末30から取得して蓄積する処理プログラム)等をインストールすることにより構築することができるが、その場合でも機能的には図1のように示すことができる。すなわち、実施形態の情報処理プログラムは、オペレータ端末30を本発明のコールセンタ装置として機能させるための処理プログラムである。また、実施形態の情報蓄積プログラムは、オペレータ端末30を本発明の情報蓄積装置として機能させるための処理プログラムである。
【0026】
通信制御部51は、自装置を使用するオペレータに対してオペレータ端末としての機能(例えば、電話呼の着信機能、転送機能等)に加えて、コールセンタシステム1を構成するコールセンタサーバ機能(ACDサーバとしての機能を提供するためのルーティング処理を含む)を担っている。
【0027】
通信制御部51としては、従来のコールセンタシステム1におけるオペレータ端末(コールセンタサーバの機能にも対応したオペレータ端末)と同様のものを適用することができる。具体的には、通信制御部51としては、例えば、特許文献1に記載されているエージェントワークステーション(オペレータ端末)と同様の処理構成を適用することができる。すなわち、オペレータ端末30では、オペレータ端末としての機能を提供する構成、及び、コールセンタシステム1を構成するコールセンタサーバの一部の機能を提供する構成自体については、従来のコールセンタシステム(例えば、特許文献1の記載技術)と同様の構成を適用することができるため、詳しい説明は省略する。
【0028】
入出力部52は、当該オペレータ端末30を使用するオペレータとのインタフェースの機能を担っている。入出力部52は、オペレータに情報出力するディスプレイ、オペレータからの情報入力を受付けるためのデバイス(例えば、キーボード、マウス等)、及び電話装置としての機能を実現するための受話器(マイク及びスピーカ)等により実現される。なお、入出力部52は、例えば、既存のコールセンタシステムを構成するオペレータ端末におけるオペレータとの各種インタフェースを適用することができるので、詳しい説明を省略する。
【0029】
データ記憶部60は、当該オペレータ端末30において処理されるデータを記憶する記憶手段であり、少なくとも、ルーティングテーブル61、ローカル統計情報62、及びシステム統計情報63が記憶されている。
【0030】
ルーティングテーブル61は、通信制御部51のサーバ機能(ACDのルーティング処理)で用いられる情報である。ルーティングテーブル61の内容としては、通信制御部51で採用されるルーティング方式等により異なるものであり、既存のオペレータ端末においてルーティング処理を行う処理構成(例えば、特許文献1の記載技術)と同様の内容を適用することができるため、詳しい説明を省略する。
【0031】
ローカル統計情報62には、当該オペレータ端末30内(通信制御部51)で生成された統計情報のリスト(テーブル)が含まれる。
【0032】
図3は、ローカル統計情報62の構成例について示した説明図である。
【0033】
図3では、1つの呼に対する統計情報について一行で表わしている。また、図3では、説明を簡易にするために、各統計情報について「D101」、「D102」、…、といった「D」で始まる符号で表記をしているが、実際には当該統計情報を構成する1又は複数の項目の情報(例えば、電話呼の着信番号、着信時間、通話終了状態、通話時間等)が含まれることになる。そして、以下においても、「D」で始まる符合については統計情報を表わすものとして説明する。
【0034】
図3のテーブルでは、1つの統計情報について1行で表わしており、各統計情報に「タイムスタンプ」の項目の情報が対応付けられている。
【0035】
「タイムスタンプ」の項目は、当該統計情報を他のオペレータ端末30に送信開始した時刻について表わしている。そして、この「タイムスタンプ」の項目は、各オペレータ端末30が統計情報を送信する際のシーケンス番号(シーケンス情報)の機能を果たす情報となっている。従って、各オペレータ端末30間で、タイムスタンプを生成する時計については統一された時刻に同期されている必要はない。各オペレータ端末30は、このタイムスタンプの情報を付して統計情報を他のオペレータ端末30に送信することになるが、その処理の詳細については後述する。
【0036】
システム統計情報63は、コールセンタシステム1内の他のオペレータ端末30から受信した統計情報のリスト(テーブル)である。
【0037】
図4のテーブルでは、1つの統計情報について1行で表わしており、各統計情報に「送信元アドレス」、及び「タイムスタンプ」の項目の情報が対応付けられている。
【0038】
「送信元アドレス」の項目は、当該統計情報の送信元のオペレータ端末30の識別子を表わしている。ここでは、送信元アドレスは、当該送信元のオペレータ端末30のIPアドレスであるものとするが、これに代えて、他の識別子(例えば、ホスト名やユーザID等)を適用するようにしても良い。図4では、説明を簡易にするために送信元アドレスの項目には、「アドレスA2」、「アドレスA3」といった表示をしているが、実際には、IPアドレスが設定されることになる。
【0039】
「タイムスタンプ」の項目は、当該オペレータ端末30が、当該統計情報と共に受信したタイムスタンプの内容を表わしている。
【0040】
次に、統計情報送受信部53の詳細構成について説明する。
【0041】
統計情報送受信部53は、他のオペレータ端末30と、統計情報の送受信処理を行うものである。統計情報送受信部53は、設定されたスケジュール(例えば、一定間隔)でオペレータ端末30へローカル統計情報62に格納された統計情報を送信する処理(以下、「統計情報定期更新処理」と呼ぶ)を行う。そして、統計情報定期更新処理で統計情報の受信側となるオペレータ端末30の統計情報送受信部53は、他のオペレータ端末30から受信した統計情報についてシステム統計情報63に追加する処理を行う。
【0042】
また、統計情報送受信部53は、ユーザの操作や予め設定されたスケジュール等に応じたタイミングで、他のオペレータ端末30へローカル統計情報62に格納された統計情報の送信を要求して収集する処理(以下、「統計情報収集処理」と呼ぶ)も行う。そして、統計情報収集処理の要求を受け付けたオペレータ端末30の統計情報送受信部53は、要求元のオペレータ端末30へ、ローカル統計情報62に格納された統計情報を送信する処理を行う。
【0043】
図5は、オペレータ端末30間で送受信される統計情報が挿入されたパケット(以下、「統計情報送信パケット」と呼ぶ)の構成例について示した説明図である。
【0044】
図5に示すように、統計情報送信パケットには、送信元アドレス、タイムスタンプ、前回タイムスタンプ、統計情報の項目のデータが挿入されているものとする。
【0045】
図5においては図示を省略しているが、実際の統計情報送信パケットにはIPパケットを構成する他のヘッダ情報(例えば、送信先アドレス、ポート番号等)のデータも挿入されているものとする。また、統計情報送信パケットの受信側のオペレータ端末30で、統計情報送信パケットを識別する方式は限定されないものであるが、例えば、当該パケットのヘッダ情報で、ポート番号やタイプ値等を所定の値に設定することにより、識別するようにしても良い。
【0046】
統計情報送信パケットを構成する「統計情報」のフィールドには、送信側のオペレータ端末30のローカル統計情報62に記憶される統計情報自体が設定される。
【0047】
統計情報送信パケットを構成する「送信元アドレス」のフィールドは、統計情報送信パケットの送信元の識別子(ここでは、IPアドレスであるものとする)が設定される。なお、「送信元アドレス」のフィールドについては、IPパケットのヘッダを構成する送信元アドレスのフィールドを用いるようにしても良い。
【0048】
統計情報送信パケットを構成する「タイムスタンプ」のフィールドには、最初に当該統計情報を送信するタイミング(パケット生成のタイミングとしても良い)のタイムスタンプ(すなわちローカル統計情報62で管理されるタイムスタンプ)が設定される。
【0049】
統計情報送信パケットを構成する「前回タイムスタンプ」のフィールドには、当該オペレータ端末30が前回送信した統計情報送信パケットのタイムスタンプの内容が設定される。オペレータ端末30が、最初のタイムスタンプの統計情報を挿入した統計情報送信パケットを送信する場合には、その統計情報送信パケットの「前回タイムスタンプ」のフィールドに、その旨を示すデータ(例えば、所定の文字列)を設定したり、空欄のままにするようにしても良い。オペレータ端末30が、最初のタイムスタンプの統計情報を挿入した統計情報送信パケットを送信する場合、その統計情報送信パケットの「前回タイムスタンプ」のフィールドには、最初の統計情報送信パケットであることを示す情報として、例えば、全ての桁を0に設定したタイムスタンプ(0000/00/00 00:00:00.00)を設定するようにしても良い。
【0050】
各オペレータ端末30から、統計情報送信パケットを送信する方法については、例えば、個別にユニキャストで送信するようにしても良いが、送信先のオペレータ端末30が複数となる場合には、マルチキャストやブロードキャスト等の同報通信により送信するようにしても良い。
【0051】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態のコールセンタシステム1における各オペレータ端末30の動作を説明する。
【0052】
(A−2−1)統計情報定期更新処理
まず、コールセンタシステム1を構成するオペレータ端末30間における統計情報定期更新処理の具体例について説明する。
【0053】
以下では、コールセンタシステム1を構成するオペレータ端末30のうち、オペレータ端末30−A1、30−A2に関する動作について説明する。ここでは、オペレータ端末30−A1が統計情報定期更新処理において統計情報の送信側として動作し、オペレータ端末30−A2が統計情報定期更新処理において統計情報の受信側として動作するものとして説明する。
【0054】
図6は、統計情報定期更新処理において統計情報の送信側として動作するオペレータ端末(オペレータ端末30−A2)の統計情報送受信部53における統計情報送信処理について示したフローチャートである。
【0055】
まず、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53において、統計情報定期更新処理(オペレータ端末30−A1への定期的な統計情報の送信)が開始されたものとする(S11)。
【0056】
そして、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、一定時間待機(S12)した後に、自装置の通信制御部51の動作状況に基づいて、自装置が通話中の状態(他の電話端末と通話が確立された状態)であるか否かを確認する(S13)。
【0057】
上述のステップS13において、自装置が通話中の状態であると確認された場合には、統計情報送受信部53は、その通話が終了(切断)するまで待機する(S14)。
【0058】
一方、上述のステップS13において、自装置が通話中の状態でないと確認された場合、又は、上述のステップS14の待機が終了(通話が切断された後)した場合、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、ローカル統計情報62に格納された統計情報のうち、未送信の統計情報を抽出(複数抽出するようにしても良い)する。そして、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、抽出した統計情報を、統計情報送信パケットに挿入してオペレータ端末30−A1へ送信する処理を行い(S15)、上述のステップS12の処理に戻って同様の処理を繰り返す。
【0059】
なお、ステップS15で、オペレータ端末30−A2が統計情報を送信する際に、一つの統計情報送信パケットで複数の統計情報を送信するようにしても良い。また、ステップS15で、オペレータ端末30−A2が統計情報を送信する際に、複数の統計情報を送信する場合には、一度の統計情報定期更新処理で送信する統計情報の数や容量について上限値を設けて、一度の一度の統計情報定期更新処理で送信するデータ量を制限するようにしても良い。さらに、ステップS15で、オペレータ端末30−A2が統計情報を送信する際に、複数のオペレータ端末30に統計情報送信パケットを送信するようにしても良い。
【0060】
図7は、統計情報定期更新処理において統計情報の受信側として動作するオペレータ端末(オペレータ端末30−A1)の統計情報送受信部53における統計情報送信処理について示したフローチャートである。
【0061】
なお、以下では、オペレータ端末30−A1のIPアドレスを「アドレスA1」、オペレータ端末30−A2のIPアドレスを「アドレスA2」と表わすものとする。
【0062】
オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、オペレータ端末30−A2からの統計情報送信パケットを受信すると(S21)、その統計情報送信パケットに挿入された前回タイムスタンプを確認する(S22)。
【0063】
なお、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53では、統計情報送信パケットに含まれる統計情報が既に受信済みのものと同様の場合(送信元アドレス及びタイムスタンプが一致する統計情報が既に記憶されている場合)には、その統計情報送信パケットを破棄して処理を終了するようにしても良い。
【0064】
そして、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、受信した統計情報送信パケットに含まれる「前回タイムスタンプ」と、システム統計情報63に格納されている統計情報のタイムスタンプとを比較し、オペレータ端末30−A2(アドレスA2)から過去に受信できていない統計情報の有無を確認する(S23)。
【0065】
ステップS23において、まず、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、システム統計情報63で、送信元アドレスがアドレスA2となっている統計情報のうち、受信した統計情報送信パケットに含まれる「前回タイムスタンプ」と一致するものがあるか否かを確認する。そして、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、「前回タイムスタンプ」と一致する統計情報を検出した場合には、オペレータ端末30−A2(アドレスA2)から過去に受信できていない統計情報はないと判断する。また、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、「前回タイムスタンプ」と一致する統計情報を検出できない場合には、オペレータ端末30−A2(アドレスA2)から過去に受信できていない統計情報があると判断する。
【0066】
上述のステップS23において、過去に受信できていない統計情報がないと判断された場合、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、オペレータ端末30−A2から受信した統計情報送信パケットの統計情報を、タイムスタンプの情報と共に、システム統計情報63に追加記憶して(S24)処理を終了する。
【0067】
上述のステップS23において、過去に受信できていない統計情報があると判断された場合、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、統計情報送信パケットの送信元であるオペレータ端末30−A2に対して、受信できていない統計情報の再送を要求するパケット(以下の、「統計情報再送要求パケット」と呼ぶ)を送信して(S25)処理を終了する。
【0068】
ここで、統計情報再送要求パケットの構成について図8を用いて説明する。
【0069】
図8に示すように、統計情報再送要求パケットには、送信元アドレス、受信済最新タイムスタンプの項目のデータが挿入されているものとする。
【0070】
図8においては図示を省略しているが、実際の統計情報再送要求パケットにはIPパケットを構成する他のヘッダ情報のデータも挿入されているものとする。また、統計情報再送要求パケットの受信側のオペレータ端末30で、統計情報再送要求パケットを識別する方式は限定されないものであるが、例えば、当該パケットのヘッダ情報で、ポート番号やタイプ値等を所定の値に設定することにより、識別するようにしても良い。
【0071】
統計情報再送要求パケットを構成する「送信元アドレス」のフィールドは、統計情報再送要求パケットの送信元のアドレスが設定される。なお、「送信元アドレス」のフィールドについては、IPパケットのヘッダを構成する送信元アドレスのフィールドを用いるようにしても良い。
【0072】
統計情報再送要求パケットを構成する「受信済最新タイムスタンプ」のフィールドには、送信元のオペレータ端末30で受信できている統計情報のうち最新の統計情報のタイムスタンプが設定されるものとする。ただし、送信元のオペレータ端末30で、送信先のオペレータ端末30からの統計情報が一つも受信できていない状態の場合には、全ての統計情報を要求する旨を示す情報として、例えば、全ての桁を0に設定したタイムスタンプ(0000/00/00 00:00:00.00)を設定するようにしても良い。
【0073】
次に、統計情報定期更新処理において統計情報の送信側として動作するオペレータ端末(オペレータ端末30−A2)の統計情報送受信部53で、統計情報再送要求パケットを受信した場合の処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
なお、図9のフローチャートでは、繰り返し処理に用いる変数として、「送信済タイムスタンプTS」を用いている。
【0075】
オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、統計情報再送要求パケットを受信すると(S31)、その統計情報再送要求パケットに挿入されている受信済最新タイムスタンプの内容を、送信済タイムスタンプTSに設定する(S32)。
【0076】
そして、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、自装置の通信制御部51の動作状況に基づいて、自装置が通話中の状態(他の電話端末と通話が確立された状態)であるか否かを確認する(S33)。
【0077】
上述のステップS33において、自装置が通話中の状態であると確認された場合には、統計情報送受信部53は、その通話が終了(切断)するまで待機する(S38)。
【0078】
一方、上述のステップS33において、自装置が通話中の状態でないと確認された場合、又は、上述のステップS38の待機が終了(通話が切断された後)した場合、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、ローカル統計情報62から、タイムスタンプが送信済タイムスタンプTSの次となる統計情報を抽出する(S34)。
【0079】
そして、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、ステップS34で抽出した統計情報を挿入した統計情報送信パケットを生成して、オペレータ端末30−A1に再送信する処理を行う(S35)。なお、この統計情報送信パケットの「前回タイムスタンプ」のフィールドには、送信済タイムスタンプTSの内容を設定するものとする。
【0080】
そして、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、ステップS35で送信した統計情報送信パケットに挿入した統計情報が、ローカル統計情報62で最新の統計情報(タイムスタンプが最も新しいもの)であるか否かを確認し(S36)、最新のものであると確認できた場合には、統計情報の再送処理を終了する。
【0081】
一方、上述のS36で、最新の統計情報について再送が行われてないと確認された場合には、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、送信済タイムスタンプTSに上述のステップS36で送信した統計情報のタイムスタンプを設定して(S37)、上述のステップS33の処理から動作する。
【0082】
次に、オペレータ端末30−A1が上述の図7のフローチャートに基づいて動作し、オペレータ端末30−A2が上述の図6、図9のフローチャートに基づいて動作した場合の具体的な処理例について説明する。
【0083】
図10は、統計情報定期更新処理で、統計情報の再送処理が行われない場合のオペレータ端末30−A1、30−A2で保持される情報の内容、及び、オペレータ端末30−A1、30−A2の間を流れるパケットの内容の例について示した説明図である。
【0084】
ここでは、まず、オペレータ端末30−A2のローカル統計情報62は、図10(a)のような状態になっているものとする。図10(a)では、統計情報D201は既に、統計情報送信パケットとして送信済みであり、タイムスタンプが登録されているが、統計情報D202については未送信であり、またタイムスタンプが登録されていない。
【0085】
一方、オペレータ端末30−A1のシステム統計情報63は、図10(b)のような状態になっているものとする。図10(b)に示すように、オペレータ端末30−A1のシステム統計情報63には、統計情報D201のみが登録されている。
【0086】
そして、図10(a)、図10(b)に示す状態で、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、図10(c)に示す内容の統計情報送信パケット(統計情報D202を送信するパット)を、オペレータ端末30−A1に送信したものとする。
【0087】
そうすると、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53では、システム統計情報63から、新たにオペレータ端末30−A2から受信した統計情報送信パケットの「前回タイムスタンプ」と一致する統計情報を検出することができるため、過去に受信できていない統計情報はないと判断する。そして、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、最新に受信した統計情報送信パケットの統計情報D202をシステム統計情報63に登録する。その結果オペレータ端末30−A1のシステム統計情報63の内容は、図10(d)のようになる。
【0088】
図11は、統計情報定期更新処理で、統計情報の再送処理が行われる場合のオペレータ端末30−A1、30−A2で保持される情報の内容、及び、オペレータ端末30−A1、30−A2の間を流れるパケットの内容の例について示した説明図である。
【0089】
ここでは、まず、オペレータ端末30−A2のローカル統計情報62は、図11(a)のような状態になっているものとする。図11(a)では、統計情報D201、D202は既に、統計情報送信パケットとして送信済みであり、タイムスタンプが登録されているが、統計情報D203については未送信であり、まだタイムスタンプが登録されていない。
【0090】
一方、オペレータ端末30−A1のシステム統計情報63は、図11(b)のような状態になっているものとする。図11(b)に示すように、オペレータ端末30−A1のシステム統計情報63には、統計情報D201のみが登録されている。すなわち、統計情報D202については、オペレータ端末30−A2からは送出されているが、例えば、何らかの障害(例えば、ネットワーク障害等)により、オペレータ端末30−A1には到達していない状態であるものとする。
【0091】
そして、図11(a)、図11(b)に示す状態で、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、図11(c)に示す内容の統計情報送信パケット(統計情報D203を送信するパット)を、オペレータ端末30−A1に送信したものとする。
【0092】
そうすると、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53では、システム統計情報63から、新たにオペレータ端末30−A2から受信した統計情報送信パケットの「前回タイムスタンプ」と一致する統計情報を検出することができないため、過去に受信できていない統計情報があると判断する。そして、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、オペレータ端末30−A2(アドレスA2)から受信している統計情報のうち最新の統計情報D201のタイムスタンプを読み込む。そして、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、読み込んだタイムスタンプを受信済最新タイムスタンプとした統計情報再送要求パケット(図11(d)参照)を生成して、オペレータ端末30−A2(アドレスA2)宛に送信する。
【0093】
そして、オペレータ端末30−A1からの統計情報再送要求パケットを受信したオペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53では、その統計情報再送要求パケットの受信済最新タイムスタンプ(統計情報D201のタイムスタンプ)以降の統計情報(D202以降の統計情報)の送信を開始する。具体的には、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、まず、図11(e)に示す統計情報D202を送信するための統計情報送信パケットを生成してオペレータ端末30−A1に送信する。なお、オペレータ端末30−A2の統計情報送受信部53は、最新の統計情報D203の統計情報送信パケットについては、既にオペレータ端末30−A1に到達済みとして再送を省略するようにしてもよいが、再送信の対象に含めるようにしても良い。
【0094】
以上の処理の結果、オペレータ端末30−A1では、オペレータ端末30−A2のローカル統計情報62における統計情報(統計情報D201〜D203)の全てを保持することができる。その結果オペレータ端末30−A1のシステム統計情報63の内容は、図11(f)のようになる。
【0095】
(A−2−2)統計情報収集処理
次に、コールセンタシステム1を構成するオペレータ端末30間における統計情報収集処理の具体例について説明する。
【0096】
以下では、コールセンタシステム1を構成するオペレータ端末30のうち、オペレータ端末30−A1〜30−A4に関する動作について説明する。ここでは、オペレータ端末30−A1が統計情報収集処理において統計情報の収集側(統計情報の受信側)として動作し、オペレータ端末30−A2〜30−A4が統計情報定期更新処理において統計情報の被収集側(統計情報の送信側)として動作するものとして説明する。なお、以下では、オペレータ端末30−A1〜30−A4のアドレスを、それぞれアドレスA1〜A4と表すものとする。
【0097】
図12は、統計情報収集処理において統計情報の収集側(統計情報の受信側)として動作するオペレータ端末(オペレータ端末30−A1)の統計情報送受信部53における処理について示したフローチャートである。
【0098】
オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、統計情報収集処理を開始すると、まず、他のオペレータ端末30に統計情報収集パケットを送信し、収集対象のオペレータ端末30(オペレータ端末30−A2〜30−A4)からの統計情報送信パケットの受付けを開始する(S41)。ここでは、上述のとおり、オペレータ端末30−A2〜30−A4を被収集側(統計情報の送信側)として動作させるため、統計情報収集パケットは、少なくともオペレータ端末30−A2〜30−A4にだけ到達すれば良い。オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53から、統計情報収集パケットを送信する方式は限定されないものであるが、収集対象のオペレータ端末30にだけユニキャストで送信するようにしても良いし、ネットワークN上の全てのオペレータ端末30に対して同報通信(例えば、マルチキャストやブロードキャスト等)により送信するようにしても良い。ここでは、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、同報通信により、ネットワークN上の全てのオペレータ端末30に統計情報収集パケットを送信するものとして説明する。そして、その統計情報収集パケットには、収集対象として指定するオペレータ端末30の識別子(IPアドレス)のリストが含まれているものとする。
【0099】
ここで、統計情報再送要求パケットの構成について図13を用いて説明する。
【0100】
図13に示すように、統計情報再送要求パケットには、送信元アドレス、収集対象アドレスリストのフィールドが挿入されているものとする。
【0101】
図13においては図示を省略しているが、実際の統計情報収集パケットにはIPパケットを構成する他のヘッダ情報のデータも挿入されているものとする。また、統計情報収集パケットの受信側のオペレータ端末30で、統計情報再送要求パケットを識別する方式は限定されないものであるが、例えば、当該パケットのヘッダ情報で、ポート番号やタイプ値等を所定の値に設定することにより、識別するようにしても良い。
【0102】
統計情報収集パケットを構成する「送信元アドレス」のフィールドは、統計情報収集パケットの送信元のIPアドレスが設定される。なお、「送信元アドレス」のフィールドについては、IPパケットのヘッダを構成する送信元アドレスのフィールドを用いるようにしても良い。ここでは、統計情報収集パケットの送信元のオペレータ端末30はオペレータ端末30−A1であるので、「送信元アドレス」のフィールドには「アドレスA1」が設定される。
【0103】
統計情報収集パケットを構成する「収集対象アドレスリスト」のフィールドには、収集対象として指定されるオペレータ端末30のアドレス(以下、「収集対象アドレス」と呼ぶ)と、収集を開始する位置を示すタイムスタンプ(以下、「収集開始タイムスタンプ」と呼ぶ)とが対応付けて設定されるものとする。オペレータ端末30−A1で、既に、統計情報定期更新処理等により、受信済みの統計情報がある場合には、受信済みの統計情報の中で最も新しい統計情報のタイムスタンプを収集開始タイムスタンプに設定することにより、その次のタイムスタンプの統計情報から受信することができる。なお、収集対象アドレスのオペレータ端末30から、全ての統計情報を受信したい場合には、その旨を示す内容として、例えば、全ての桁を0に設定したタイムスタンプ(0000/00/00 00:00:00.00)を設定するようにしても良い。ここでは、収集対象として指定されるオペレータ端末30は、オペレータ端末30−A2〜30−A4であるので、収集対象アドレスとして「アドレスA2」、「アドレスA3」、「アドレスA4」が設定される。なお、図13では、「収集対象アドレスリスト」のフィールドについて、説明を簡易にするためにテーブル形式の表記としているが、実際にはシーケンシャルなビット列により記述される(記述形式は限定されないものである)。
【0104】
なお、全てのオペレータ端末30を収集対象とする場合には、例えば、「収集対象アドレス」のフィールドに、ワイルドカードを示す文字列(例えば、「*」等)を設定するようにしても良い。
【0105】
そして、上述の通り、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、統計情報収集パケットを送信した後、収集対象のオペレータ端末30(オペレータ端末30−A2〜30−A4)からの統計情報送信パケットを受信して、システム統計情報63に登録する処理を開始する。オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53による統計情報送信パケットの受信処理は、例えば、統計情報定期更新処理における受信処理(上述の図7のフローチャート)と同様の処理を適用することができるため詳しい説明を省略する。
【0106】
そして、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、統計情報収集パケットを送信した後、所定の時間内に、収集対象のオペレータ端末30(最新に送信した統計情報収集パケットで指定したオペレータ端末30)の全てから、統計情報送信パケットの返信が開始された否か(すなわち、統計情報送信パケットが受信できたか否か)を確認する(S42)。
【0107】
オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、上述のステップS42において、所定の時間内に、収集対象のオペレータ端末30の全てから、統計情報送信パケットの返信が確認できなかった場合には、統計情報送信パケットの返信が確認できないオペレータ端末30についてだけ収集対象アドレスリストに記載した統計情報収集パケットを生成して再送信し(S43)、上述のステップS42の処理から動作する。
【0108】
また、オペレータ端末30−A1の統計情報送受信部53は、上述のステップS42において、所定の時間内に、収集対象のオペレータ端末30の全てから、統計情報送信パケットの返信が確認できた場合には、全ての統計情報を受信後に、受信した統計情報に基づくシステム統計情報63の内容を出力(出力形式は限定されないものである)して(S44)処理を終了する。なお、オペレータ端末30−A1では、ステップS44の出力処理を特に行わずに、単にシステム統計情報63に統計情報を蓄積するだけで終了するようにしても良い。
【0109】
なお、上述のステップS43における統計情報収集パケットの再送信処理については、全ての収集対象のオペレータ端末30から統計情報が得られるまで繰り返しても良いし、所定の回数を上限として実行した後、上述のステップS44の処理に移行するようにしても良い。すなわち、オペレータ端末30−A1において、統計情報収集パケットの再送信処理を行う回数については限定されないものである。また、上述のステップS43における統計情報収集パケットの再送信処理を一回も行わずに上述のステップS44の処理に移行するようにしても良い。
【0110】
図14は、統計情報収集パケットを受信したオペレータ端末30の統計情報送受信部53における処理について示したフローチャートである。
【0111】
上述の通り、この実施形態において、統計情報収集パケットは、収集対象となるオペレータ端末30(オペレータ端末30−A2〜30−A4)を含むすべてのオペレータ端末30に到達する。オペレータ端末30の統計情報送受信部53は、統計情報収集パケットを受信すると(S51)、その統計情報収集パケット内の収集対象アドレスリストの内容を参照する(S52)。
【0112】
そして、オペレータ端末30の統計情報送受信部53は、参照した収集対象アドレスリストに自装置のIPアドレスが含まれているか否かを確認する(S53)。
【0113】
ステップS53において、参照した収集対象アドレスリストに、自装置のIPアドレスが含まれていないと確認された場合には、オペレータ端末30の統計情報送受信部53は、受信した統計情報収集パケットを破棄して(S54)処理を終了する。
【0114】
一方、ステップS53において、参照した収集対象アドレスリストに、自装置のIPアドレスが含まれている確認された場合には、オペレータ端末30の統計情報送受信部53は、収集対象アドレスリストから、自装置のIPアドレスに(収集対象アドレス)に対応する収集開始タイムスタンプを参照する。そして、オペレータ端末30の統計情報送受信部53は、ローカル統計情報62に格納された統計情報のうち、当該収集開始タイムスタンプの次以降の統計情報について、当該統計情報収集パケットの送信元のオペレータ端末30に送信する(S55)。
【0115】
なお、オペレータ端末30の統計情報送受信部53における、ステップS55の統計情報送信処理については、「受信済最新タイムスタンプ」が「収集開始タイムスタンプ」に置き換わるだけで、上述の統計情報再送要求パケットを受信した場合の動作(上述の図9参照)と同様の動作により実現することができるため、詳しい説明については省略する。なお、ステップS55の統計情報送信処理で、オペレータ端末30の統計情報送受信部53は、最後の統計情報(最新のタイムスタンプの統計情報)を送信する場合には、例えば、その旨のメッセージを送信先のオペレータ端末30に通知するようにしても良い(メッセージの内容やパケットの構成は限定されないものである)し、最後に送信する統計情報送信パケットに、最後のパケットであることを示すデータを設定する(記述形式は限定されないものである)ようにしても良い。
【0116】
ここでは、上述の通り、当該統計情報収集パケットの収集対象アドレスリストには、オペレータ端末30−A2〜30−A4のIPアドレス(アドレスA2〜アドレスA4)のみが記載されている。したがって、オペレータ端末30−A2〜30−A4では、上述のステップS55の処理(統計情報の送信処理)が行われ、それ以外のオペレータ端末30(ただし、統計情報収集パケットの送信元であるオペレータ端末30−A1を除く)では、上述のステップS54の処理(統計情報収集パケットの破棄)が行われることになる。
【0117】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0118】
オペレータ端末30間で行われる統計情報定期更新処理では、タイムスタンプを用いて差分の統計情報だけを送受信しているので、一回に送信するデータ量を減少させることができるため、統計情報が複数のオペレータ端末30に分散されていても、正確な統計情報を短時間で取得することができる。
【0119】
また、オペレータ端末30において、通話中の状態(他の電話端末と通話が確立された状態)には、統計情報の送信処理を停止する処理を行っている。これにより、オペレータ端末30において、統計情報送信に伴う処理が、音声処理等リアルタイム処理に与える影響を低減することができる。
【0120】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0121】
(B−1)上記の実施形態の各オペレータ端末のローカル統計情報及びシステム統計情報では、統計情報をタイムスタンプと共に記憶しているが、タイムスタンプではなく、シーケンス番号の形式により管理するようにしても良い。また、統計情報に付されるタイムスタンプは、オペレータ端末から送出される時間ではなく、当該統計情報が生成された時刻を表すようにしても良い。
【0122】
(B−2)上記の実施形態では、全てのオペレータ端末について、実施形態の情報処理プログラム(統計情報を他のオペレータ端末に送信する処理プログラム)や、実施形態の情報蓄積プログラム(統計情報を他のオペレータ端末から取得して蓄積する処理プログラム)がインストールされていると説明したが、いずれか一方のプログラムのみをインストールするようにしても良い。すなわち、一部のオペレータ端末について、本発明のコールセンタ装置としてのみ機能させるようにしても良いし、本発明の情報蓄積装置としてのみ機能させるようにしても良い。
【0123】
また、上記の実施形態では、コールセンタシステム内の全てのオペレータ端末について、コールセンタサーバとしての機能も担っているものとして説明したが、一部のオペレータ端末について通常のオペレータ端末(コールセンタサーバの機能に対応しないもの)を適用するようにしても良い。
【0124】
また、上記の実施形態では、コールセンタシステム内に、情報処理装置(オペレータ端末としてもコールセンタサーバとしても機能しないコンピュータ)に実施形態の情報蓄積プログラムだけをインストールした、単に統計情報オペレータ端末から取得(収集)して蓄積するだけの装置(情報蓄積装置)を配置するようにしても良い。
【0125】
(B−3)上記の実施形態では、統計情報の送信側となるオペレータ端末において、通話中の状態(他の電話端末と通話が確立された状態)になると、統計情報の送信処理を停止する処理を行っているが、統計情報の受信側となるオペレータ端末でも、同様に通話中の状態で、統計情報の受信処理を停止する(例えば、統計情報送信パケットを受信しても無視する)ようにしても良い。
【0126】
(B−4)上記の実施形態では、統計情報の受信側のオペレータ端末において、自装置のローカル統計情報は、システム統計情報には含まれないが、自装置のローカル統計情報の統計情報を、システム統計情報にマージする処理を行うようにしても良い。
【0127】
(B−5)上記の実施形態において、コールセンタシステムを構成する各オペレータ端末は、オペレータに対してオペレータ端末としての機能を提供する手段に加えて、コールセンタシステムにおいてコールセンタサーバ機能を提供する手段も備えていると説明したが、オペレータ端末の機能提供をする手段だけを省略した、コールセンタサーバ(コールセンタ装置)を配置するようにしても良い。
【符号の説明】
【0128】
1…コールセンタシステム、21…ルータ、22…スイッチ、30、30−A1〜30−An、30−B1〜30−Bm…オペレータ端末(コールセンタ装置)、23…無線アクセスポイント、N…ネットワーク、51…通信制御部、52…入出力部、53…統計情報送受信部、60…データ記憶部、61…ルーティングテーブル、62…ローカル統計情報、63…システム統計情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置と、情報蓄積装置とを備えるコールセンタシステムであって、
それぞれの上記コールセンタ装置は、
上記コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を、時系列を示すシーケンス情報に対応付けて蓄積記憶するローカル情報蓄積手段と、
上記ローカル情報蓄積手段が記憶している動作記録情報について、上記情報蓄積装置に送信する際に、前回までに上記情報蓄積装置に送信した動作記録情報と、上記ローカル情報蓄積手段に記憶されている情報との差分の動作記録情報を、当該動作記録情報のシーケンス情報と共に上記情報蓄積装置に送信する情報送信手段とを有し、
上記情報蓄積装置は、
それぞれの上記コールセンタ装置から受信した動作記録情報と当該動作記録情報に付されたシーケンス情報とを対応付けて蓄積記憶するシステム情報蓄積手段を有する
ことを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項2】
上記情報送信手段は、所定時間ごとに、上記情報蓄積装置への動作記録情報の送信処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のコールセンタシステム。
【請求項3】
それぞれの上記コールセンタ装置は、
当該コールセンタ装置を使用するオペレータに対してオペレータ端末としての機能を提供するオペレータ端末機能提供手段と、
上記オペレータ端末機能提供手段の動作状態に基づいて、上記情報送信手段による動作記録情報の送信処理の停止又は再開を決定し、決定した内容に従って、上記情報送信手段を制御する情報送信制御手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコールセンタシステム。
【請求項4】
上記オペレータ端末機能提供手段は、他の電話装置と呼接続する電話通信機能提供部を備え、
上記情報送信制御手段は、上記通話機能提供部が他の電話装置と呼接続中の場合には、上記情報送信手段に対して動作記録情報の送信処理を停止させる制御を行い、その後、上記通話機能提供部による呼接続が終了すると、上記情報送信手段に対して動作記録情報の送信処理を再開させる制御を行う
ことを特徴とする請求項3に記載のコールセンタシステム。
【請求項5】
コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備えるコールセンタ装置において、
上記コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を、時系列を示すシーケンス情報に対応付けて記憶するローカル情報蓄積手段と、
上記ローカル情報蓄積手段が記憶している動作記録情報について、上記情報蓄積装置に送信する際に、前回までに上記情報蓄積装置に送信した動作記録情報と、上記ローカル情報蓄積手段に記憶されている情報との差分の動作記録情報を、当該動作記録情報のシーケンス情報と共に上記情報蓄積装置に送信する情報送信手段と
を有することを特徴とするコールセンタ装置。
【請求項6】
コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置のそれぞれから受信した動作記録情報と当該動作記録情報に付されたシーケンス情報とを対応付けて蓄積記憶するシステム情報蓄積手段を備えることを特徴とする情報蓄積装置。
【請求項7】
コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備えるコールセンタ装置に搭載されたコンピュータを、
上記コールセンタサーバ機能提供手段の動作記録情報を、時系列を示すシーケンス情報に対応付けて記憶するローカル情報蓄積手段と、
上記ローカル情報蓄積手段が記憶している動作記録情報について、上記情報蓄積装置に送信する際に、前回までに上記情報蓄積装置に送信した動作記録情報と、上記ローカル情報蓄積手段に記憶されている情報との差分の動作記録情報を、当該動作記録情報のシーケンス情報と共に上記情報蓄積装置に送信する情報送信手段と
して機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
コールセンタシステム内でコールセンタサーバとしての機能を提供するコールセンタサーバ機能提供手段を備える複数のコールセンタ装置のそれぞれから受信した動作記録情報と当該動作記録情報に付されたシーケンス情報とを対応付けて蓄積記憶するシステム情報蓄積手段
として機能させることを特徴とする情報蓄積プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−5399(P2013−5399A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137674(P2011−137674)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】