説明

コール対応処理方法及びコール管理システム

【課題】 利用者の通信環境に応じて効率的にサービスを提供することができるコール対応処理方法及びコール管理システムを提供する。
【解決手段】 コール管理システム20は、推奨電話番号データ記憶部22を備え、番号分類の地域やキャリアに対応する推奨電話番号を記録している。コール管理システム20の管理コンピュータ21は、利用者の電話端末機10からのコールを受けると、電話端末機10の発信者番号を取得し、推奨電話番号を特定する。管理コンピュータ21は、電話端末機10からの現在のコール先番号が推奨電話番号の場合には、そのコールを継続して処理を行なう。管理コンピュータ21は、電話端末機からの現在のコール先番号が推奨電話番号でない場合には、そのコールを切断し、推奨電話番号を用いてコールセンタ15から電話端末機10にコールバックしてサービスの提供を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して電話を介したサービス処理を行なう場合のコール対応処理方法及びコール管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、電話を用いて、企業からの各種サービスの提供を受けることができる。例えば、テレホンバンキングサービスを利用することにより、金融機関(銀行)に対して振込依頼や残高照会などを行なうことができる。このサービスを利用する場合、利用者又はサービス提供者側が通話料金を通信事業者に支払う必要がある。
【0003】
ところで、通話料金は通話距離や通信事業者によって異なる。例えば、市外料金より市内料金のほうが安価である。また、発信者と着信者とが同一の通信事業者が提供する電話回線網を利用するほうが安価になる場合がある。このような場合、通話料金を支払う側(サービス提供企業や利用者)にとっては、通話料金が安いほうが望ましい。そこで、通話料を安価にするための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1においては、利用者の携帯端末機の現在位置を検出し、検出した位置に対して通話料金が安くなるアクセスポイントを検索し、そのアクセスポイントへのダイヤルを行なう。
【特許文献1】特開2000−36878号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、通話料金は、コールを行なった発信者が負担する。一方、企業が利用者に対してサービスを提供する場合、利用者がコールを行なった場合においても、着信企業側で通話料金を負担する着信課金サービスがある。一例として、フリーダイヤル(登録商標)サービスがある。この場合、通話料金は着信先である企業により支払われる。この着信課金サービスでは、利用者の所在地にかかわらず、着信課金サービスを利用するために設定された電話番号(アクセスポイント)に着信する。このため、企業が複数のアクセスポイントを有していたとしても、利用者が遠隔地のアクセスポイントにコールを行なった場合、企業側はこの遠隔地からアクセスポイントまでの通話料金を支払う必要があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、利用者の通信環境に応じて効率的にサービスを提供することができるコール対応処理方法及びコール管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、電話発信地域又は通信キャリア種別毎に適したアクセスポイントの推奨電話番号を記録した推奨電話番号データ記憶部と、管理コンピュータとを備えたコール管理システムを用いて利用者の電話端末機からのコールに対応する方法であって、前記管理コンピュータが、コールを受けた電話端末機の発信者番号を取得し、この発信者番号に基づいて、その電話端末機の電話発信地域又は通信キャリアを特定し、これに対応する前記推奨電話番号を、前記推奨電話番号データ記憶部から特定する特定段階と、前記コールを切断する通話切断段階と、前記発信者番号に対して、前記特定した推奨電話番号を用いてコールバックを行なうコールバック段階とを実行することにより、前記推奨電話番号を介して前記電話端末機からの依頼処理を行なうことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコール対応処理方法において、前記管理コ
ンピュータが、前記コールバックにより前記特定した推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコール対応処理方法において、前記管理コンピュータが前記コールバックにおいて短時間のリンギングを行なうことにより、前記推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のコール対応処理方法において、前記電話端末機からのコールが着信したコール先番号を特定し、前記コール先番号が特定された推奨電話番号である場合には、前記コールを維持して、前記電話端末機からの依頼に基づく処理を実行し、前記コール先番号が前記特定した推奨電話番号と異なる場合のみに、コールバックを行なうことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のコール対応処理方法において、前記コール管理システムは、電話端末機の発信者番号、前記電話端末機に通知した推奨電話番号及び前記コールバックを行なった通知時刻に関するデータを含むコール待ちデータを記録するコール待ちデータ記憶部を更に備え、前記管理コンピュータは、着信したコールに基づいてコール待ちデータを前記コール待ちデータ記憶部に記録する記録段階と、前記通知時刻から所定時間内に、前記コール待ちデータの電話番号から推奨電話番号にコールがあった場合には、このコールに関する依頼を優先して処理する優先処理段階とを更に実行することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、電話発信地域又は通信キャリア種別毎に適したアクセスポイントの推奨電話番号を記録した推奨電話番号データ記憶部と、管理コンピュータとを備え、利用者の電話端末機からのコールに対応するコール管理システムであって、前記管理コンピュータが、コールを受けた電話端末機の発信者番号を取得し、この発信者番号に基づいて、その電話端末機の電話発信地域又は通信キャリアを特定し、これに対応する前記推奨電話番号を、前記推奨電話番号データ記憶部から特定する特定手段と、前記コールを切断する通話切断手段と、前記発信者番号に対して、前記特定した推奨電話番号を用いてコールバックを行なうコールバック手段として機能させることにより、前記推奨電話番号を介して前記電話端末機からの依頼処理を行なうことを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のコール管理システムにおいて、前記管理コンピュータが、前記コールバックにより前記特定した推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを要旨とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のコール管理システムにおいて、前記管理コンピュータが前記コールバックにおいて短時間のリンギングを行なうことにより、前記推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを要旨とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか1つに記載のコール管理システムにおいて、前記電話端末機からのコールが着信したコール先番号を特定し、前記コール先番号が特定された推奨電話番号である場合には、前記コールを維持して、前記電話端末機からの依頼に基づく処理を実行し、前記コール先番号が前記特定した推奨電話番号と異なる場合のみに、コールバックを行なうことを要旨とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、前記コール管理システムは、電話端末機の発信者番号、前記電話端末機に通知した推奨電話番号及び前記コールバックを行なった通知時刻に関するデータを含むコール待ちデータを記録するコール待ちデータ記憶部を更に備え、前記管理コンピュータが、着信したコールに基づいてコール待ちデータを前記コール待ちデータ記
憶部に記録する記録手段と、前記通知時刻から所定時間内に、前記コール待ちデータの電話番号から推奨電話番号にコールがあった場合には、このコールに関する依頼を優先して処理する優先処理手段として更に機能することを要旨とする。
【0016】
(作用)
請求項1又は6に記載の発明によれば、電話発信地域又は通信キャリア種別毎に適したアクセスポイントの推奨電話番号を利用してサービスを提供することができる。例えば、利用者の電話発信地域から最も近いアクセスポイントの電話番号を推奨電話番号データ記憶部に記録しておくことにより、通話料金を抑制することができる。
【0017】
請求項2又は7に記載の発明によれば、コールバックされると、利用者の電話端末には推奨電話番号が記録されることになるため、利用者は推奨電話番号を把握することができる。利用者は、これを利用してコールを行なうことができる。
【0018】
請求項3又は8に記載の発明によれば、短時間のリンギングにより、利用者がハングアップを行なう前にコールを切断することができ、通信料金を支払うことなく、利用者に推奨電話番号を通知することができる。
【0019】
請求項4又は9に記載の発明によれば、推奨電話番号にコールがあった場合には効率的にサービスを提供することができる。
請求項5又は10に記載の発明によれば、速やかにコールし直してきた利用者に、円滑に対応することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、利用者の通信環境に応じて、より適切なアクセスポイントを通じてサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を、図1〜図3に従って説明する。本実施形態では、利用者が、利用者自身の電話端末機10を用いて、銀行が提供するテレホンバンキングサービスを利用する場合のコール対応処理について説明する。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、利用者は、電話端末機10を用いて銀行のコールセンタの電話番号にコールを行なう。ここで用いられるコールセンタの電話番号は着信課金サービスを利用する番号とする。従って、利用者からのコールの通話料金は銀行側で負担することになる。この場合、市内通話も、遠隔地の市外通話も、着信課金サービスの割り当てられたコールセンタの電話番号(以下、アクセスポイントの電話番号という)を介してコールセンタ15に接続される。
【0023】
また、電話端末機10としては、例えば固定電話機や携帯電話機等を用いることが可能である。固定電話機の場合には利用者が契約している通信事業者の公衆回線を介してコールを行ない、携帯電話機の場合には携帯電話網を介してコールを行なう。
【0024】
そして、着信者側(ここでは、コールセンタ側)では、電話端末機10からのコールを受ける際、発信者の電話番号(電話端末機10)を特定するための発信者番号通知サービスを利用する。従って、発信者側が発信者番号通知の拒否登録を行なっていない場合、着信者側には発信者番号が通知される。
【0025】
また、コールセンタ15は、LANを介してコール管理システム20に接続可能となっ
ている。更に、銀行は、利用者にサービスを提供するために複数の電話番号(アクセスポイント)を保有する。このアクセスポイントには、地域毎に分散されたアクセスポイントや、通信事業者毎に分散されたアクセスポイントがある。
【0026】
コール管理システム20は、利用者との対応を行なう銀行のコンピュータシステムである。このコール管理システム20は、管理コンピュータ21及びこれに接続される推奨電話番号データ記憶部22を備える。
【0027】
管理コンピュータ21は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(特定段階、通話切断段階及びコールバック段階等を含む処理)を行なう。そして、このためのコール対応処理プログラムを実行することにより、管理コンピュータ21は、特定手段、通話切断手段及びコールバック手段等として機能する。
【0028】
推奨電話番号データ記憶部22には、図2に示すように、推奨電話番号データ220が記録される。この推奨電話番号データ220は、銀行が保有するアクセスポイントの中で、各コールに対して対応するアクセスポイントを登録した場合に記録される。この推奨電話番号データ220は、番号分類、地域やキャリア、推奨電話番号に関するデータが相互に関連付けられて記録される。
【0029】
ここで、番号分類は、発信者番号の先頭領域の番号により特定される分類であり、このデータ領域には市外局番や通信事業者識別子に関する番号データが記録される。
地域データ領域やキャリアデータ領域には、番号分類により特定される地域名やキャリア名に関するデータが記録される。
【0030】
推奨電話番号データ領域には、この番号分類の電話から着信があった場合に最も通話料金が安くなるアクセスポイントの番号に関するデータが記録される。この推奨電話番号として、例えば、電話端末機10が固定電話の場合、発信者番号の市外局番により特定された地域と同じ或いは最も近い地域において、銀行が保有するアクセスポイントの電話番号を用いる。また、電話端末機10が携帯電話機の場合、番号分類により携帯電話サービスを提供しているキャリアを特定できるため、推奨電話番号としては、銀行が保有する電話番号の中で、同じキャリアの電話番号を用いる。
【0031】
次に、上記のように構成されたシステムにおける処理について図3を用いて説明する。
まず、利用者は、電話端末機10を用いて、銀行において着信課金サービスの設定された電話番号にコールを行なう。管理コンピュータ21は、利用者の電話端末機10からのコールを受けると、その電話端末機10の発信者番号を取得できたか否かを判断する(ステップS1−1)。具体的には、管理コンピュータ21は、コール時に電話端末機10の電話番号が通知されたかどうかを判断する。
【0032】
電話端末機10の電話番号が非通知の場合(ステップS1−1において「NO」の場合)には、管理コンピュータ21は、発信者番号の入力指示を送出する(ステップS1−2)。具体的には、管理コンピュータ21は、発信者に対してダイヤルボタンを利用して発信者電話番号をプッシュするように依頼する音声メッセージを送出する。そして、この入力指示に応じてプッシュされた信号を電話端末機10から受信した場合、管理コンピュータ21は、この受信信号から発信者番号を取得する(ステップS1−3)。
【0033】
次に、管理コンピュータ21は、取得した発信者番号に基づいて、推奨電話番号を特定する(ステップS1−4)。取得した電話番号は、通常、「市外局番−市内局番−加入者番号」により構成される。更に、電話会社を選択する場合には、市外局番の前に「事業者識別番号」が付加される。携帯電話の場合は「080」又は「090」、PHSの場合は
「070」から始まる11桁の番号である。そこで、管理コンピュータ21は、取得した発信者番号の先頭領域の番号から、市外局番、事業者識別番号又は電話機種別を特定し、その発信者の地域やキャリア等を特定する。そして、この番号に応じた推奨電話番号を、推奨電話番号データ記憶部22から検索する。
【0034】
次に、管理コンピュータ21は、コールを受け付けたアクセスポイントAPが、特定した推奨電話番号(最適アクセスポイント)であるか否かを判断する(ステップS1−5)。具体的には、管理コンピュータ21は、特定した推奨電話番号と、コールセンタがコールを受け付けたアクセスポイントAPの電話番号(コール先番号)とが一致しているか否かを判断する。
【0035】
コール先番号と推奨電話番号が一致していない場合(ステップS1−5において「NO」の場合)には、管理コンピュータ21は、コールバック案内を行なう(ステップS1−6)。具体的には、管理コンピュータ21は、電話端末機10に対して、コールバックする旨の音声メッセージを送出する。そして、管理コンピュータ21は、現在のコールを切断する(ステップS1−7)。
【0036】
次に、管理コンピュータ21は、ステップS1−4において特定した推奨電話番号を用いてコールバックを行なう(ステップS1−8)。具体的には、管理コンピュータ21は、推奨電話番号(アクセスポイント)とコールセンタ15とをLANを介して接続し、このアクセスポイントAPから公衆回線を利用してコールバックを行なう。例えば、利用者の発信地域と同じアクセスポイントAPを用いたり、電話端末機10と同じ通信事業者のアクセスポイントAPを用いたりしながら、コールセンタ15側から利用者の電話端末機10に対してコールを行なう。
【0037】
一方、電話端末機10からのコール先番号が推奨電話番号と一致する場合(ステップS1−5において「YES」の場合)には、管理コンピュータ21は、この利用者からのコールを継続する(ステップS1−9)。
【0038】
このように、管理コンピュータ21は、推奨電話番号のアクセスポイントAPを介してコールセンタ15と利用者の電話端末機10とを接続し、バンキングサービスを提供するための依頼処理を行なう。そして、コールセンタ15は、利用者の電話端末機10からの依頼に基づいてサービス処理を行なう(ステップS1−10)。ここでは、サービス処理として、バンキング処理や問い合わせに対する対応処理などが行なわれる。
【0039】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) コール先番号が推奨電話番号と一致していない場合には、管理コンピュータ21は、現在のコールを切断して(ステップS1−7)、ステップS1−4において特定した推奨電話番号を用いてサービス処理を行なう(ステップS1−10)。従って、管理コンピュータ21は、推奨電話番号以外のコールは切断して、この通話ではサービス処理を行なわず、推奨電話番号のアクセスポイントAPを介してサービス処理を行なう。このため、利用者の通信環境に応じた適切な通信回線を用いてサービスを提供することができる。
【0040】
特に、本実施形態では、管理コンピュータ21は、発信者番号を取得し、この発信者番号から電話発信地域又は通信キャリア種別毎に適した推奨電話番号を決定する。ここで、推奨電話番号として通話料金の安価なアクセスポイント(電話番号)に関するデータが推奨電話番号データ記憶部22に記録されているため、通話料金を低く抑えながらサービスを提供することができる。
【0041】
(2) 本実施形態においては、コール先番号が推奨電話番号と一致していない場合には、管理コンピュータ21は、現在のコールを切断して(ステップS1−7)、ステップS1−4において特定した推奨電話番号を用いてコールバックを行なう(ステップS1−8)。このため、利用者は、コールセンタからのコールバックを待つだけで、バンキングサービスを利用することができる。
【0042】
(3) 本実施形態においては、コール先番号が推奨電話番号であった場合には、管理コンピュータ21は、そのままコールを継続し(ステップS1−9)、サービス処理を行なう(ステップS1−10)。このため、コール先番号が適切である場合には、そのまま通話を継続しながら、効率的にサービスの提供を行なうことができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図4を用いて説明する。以下の実施形態においては、上記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
第1実施形態においては、利用者の電話端末機10からのコール先番号が推奨電話番号でない場合には、コールセンタからコールバックを行なうことにより、バンキングサービスを提供した。これに対して、本実施形態においては、利用者に、推奨電話番号に再度コールをしてもらうことによりバンキングサービスを提供する。
【0045】
まず、本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、電話端末機10からコールを受けると、管理コンピュータ21は、発信者番号が取得できたかどうかを判断する(ステップS1−1)。そして、発信者番号が取得できない場合(ステップS1−1において「NO」の場合)には、発信者番号の入力指示を行ない(ステップS1−2)、電話端末機10からの信号により発信者番号を取得する(ステップS1−3)。そして、管理コンピュータ21は、上記第1実施形態と同様に、発信者番号に基づいて推奨電話番号を特定する(ステップS1−4)。
【0046】
そして、管理コンピュータ21は、コール先番号と推奨電話番号が一致していない場合には、電話端末機10に対してコールバック案内を送出する(ステップS2−5)。具体的には、「一度、通話を切断させて頂き、コールバックにより連絡先電話番号を案内します。この番号に再度、お電話をお願いします」等というメッセージを送出する。その後、管理コンピュータ21は、現在のコールを切断する(ステップS2−6)。
【0047】
次に、管理コンピュータ21は、推奨電話番号を用いてコールバックを行なう(ステップS2−7)。具体的には、管理コンピュータ21は、最適なアクセスポイントAP(推奨電話番号)を用いて利用者の電話端末機10にコールを行なう。具体的には、短時間のリンギングを行なうことにより、利用者がオフフックを行なう前(例えば、呼出音が1回鳴ったとき)に、このコールを切断する。この場合、電話端末機10には発信者の電話番号(ここでは推奨電話番号)が不在着信履歴として記録される。これにより、推奨電話番号が利用者に通知される。
【0048】
そして、利用者は、電話端末機10に対して着信履歴により通知された推奨電話番号を利用してコールバックを行なう。これにより、管理コンピュータ21は、利用者を推奨電話番号に誘導することができる。
【0049】
本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1)に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(4) 本実施形態においては、推奨電話番号を用いてコールバックを行なう(ステッ
プS2−7)。管理コンピュータ21は、最適なアクセスポイントAP(推奨電話番号)を利用して利用者の電話端末機10にコールを行なう。この場合、利用者がオフフックを行なう前(例えば、呼出音が1回鳴ったとき)に、このコールを切断する。これにより、管理コンピュータ21は、利用者に対して着信履歴を用いて推奨電話番号を通知することができる。従って、利用者が、コールバックを行なう場合にも、例えば安価な回線を利用してバンキングサービスを受けることができる。更に、利用者がオフフックを行なう前にコールを切断するため、通話料金の削減を図ることができる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図5〜図7を用いて説明する。以下の実施形態においては、上記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態においては、利用者が初めてコールをしてきた場合の処理と、コール管理システム20から通知された推奨電話番号にコールし直してきた場合の処理とが異なる。
【0051】
この二つの処理を振り分けるために、本実施形態において、コール管理システム20は、管理コンピュータ21に接続されるコール待ちデータ記憶部23を更に備える。このコール待ちデータ記憶部23は、図6に示すように、初めてのコールか再度のコールかを判定するために用いるコール待ちデータ230を記憶する。このコール待ちデータ230は、推奨電話番号を通知した場合に記録され、推奨電話番号を用いてコールバックしてきた電話端末機10を把握するために用いられる。このコール待ちデータ230は、発信者番号、通知時刻及び推奨電話番号に関するデータを含んで構成される。
【0052】
発信者番号データ領域には、発信者番号、すなわち利用者の電話端末機10を特定するための電話番号に関するデータが記録される。
通知時刻データ領域には、利用者からのコールに対してコールバックにより、管理コンピュータ21が電話端末機10に推奨電話番号を通知した時刻に関するデータが記録される。
【0053】
推奨電話番号データ領域には、利用者の電話端末機10に対して通知した推奨電話番号に関するデータが記録される。
なお、管理コンピュータ21は、定期的にコール待ちデータ230の経過時間を確認し、通知時刻から所定時間(例えば10分)を経過したコール待ちデータ230をコール待ちデータ記憶部23から削除する。
【0054】
次に、本実施形態の処理手順について、図5を用いて説明する。まず、利用者が初めてコールをしてきた場合の処理を説明し、次に推奨電話番号にコールし直してきた場合の処理を説明する。
【0055】
<最初のコール対応処理>
まず、コール管理システム20に利用者が初めてコールをしてきた場合の処理について説明する。本実施形態においても、上記第1、第2実施形態と同様に、電話端末機10からのコールを受けると、管理コンピュータ21は、発信者番号が取得できたかどうかを判断する(ステップS1−1)。そして、発信者番号が取得できない場合(ステップS1−1において「NO」の場合)には、発信者番号の入力指示を行ない(ステップS1−2)、電話端末機10からの信号により発信者番号を取得する(ステップS1−3)。
【0056】
そして、優先処理を実行すべきかどうかを判断するため、管理コンピュータ21は、このコールについてコール待ちの登録があるかどうかを確認する(ステップS3−1)。この優先処理は、推奨電話番号の通知を受けた利用者がコールバックを行なった場合に優先
してサービスを提供するための処理である。ここでは、利用者は、コール管理システム20に初めてコールを行なっている場合を想定しているので、このコールに関するコール待ちデータ230が記録されていない(ステップS3−1において「NO」)。そこで、管理コンピュータ21は、図5に示すコール対応処理(ステップS1−4)を継続する。すなわち、管理コンピュータ21は、上記第1、第2実施形態と同様に、発信者番号に基づいて推奨電話番号を特定する(ステップS1−4)。
【0057】
次に、管理コンピュータ21は、上記第2実施形態と同様に、コール先番号と推奨電話番号が一致していない場合には、コールバック案内を行ない(ステップS2−5)、現在のコールを切断する(ステップS2−6)。更に、管理コンピュータ21は、上記第2実施形態と同様に、推奨電話番号を用いてコールバックを行なう(ステップS2−7)。この場合も、短時間のリンギングを行なうことにより、利用者がオフフックを行なう前に、このコールを切断する。これにより、推奨電話番号が利用者に通知される。
【0058】
そして、本実施形態では、管理コンピュータ21は、推奨電話番号と通知した利用者を特定するためのコール待ちデータ230を生成し、コール待ちデータ記憶部23に登録する(ステップS3−2)。具体的には、管理コンピュータ21は、電話端末機10から通知された利用者の発信者番号、コールバックにより推奨電話番号を通知した時刻、及び通知した推奨電話番号に関するデータを含むコール待ちデータ230を記録する。
【0059】
その後、利用者は、電話端末機10の着信履歴により通知された推奨電話番号を利用してコールバックを行なう。
<推奨電話番号を用いてのコール対応処理>
次に、推奨電話番号の通知を受けた利用者がコールバックを行なった場合の処理を説明する。この場合も、管理コンピュータ21は、図5に示すステップS1−1〜S1−3により発信者番号を取得する。そして、管理コンピュータ21は、このコールについてコール待ちの登録があるかどうかを確認する(ステップS3−1)。具体的には、このコールの発信者番号と、このコールが着信したコール先番号とを含むコール待ちデータ230がコール待ちデータ記憶部23に記録されているかどうかを確認する。
【0060】
ここで、利用者は通知された推奨電話番号にコールをしているので、このコールの発信者番号と、このコールが着信したコール先番号とを含むコール待ちデータ230がコール待ちデータ記憶部23に記録されている。このため、ここでは(ステップS3−1において「YES」の場合)、優先処理を行なう(ステップS3−3)。この優先処理を、図7を用いて説明する。
【0061】
この優先処理では、まず、管理コンピュータ21は、推奨電話番号を通知した時刻からの経過時間を計算する(ステップS4−1)。そして、通知時刻から所定時間(例えば10分)を経過している場合(ステップS4−2において「YES」の場合)には、管理コンピュータ21は、図5に示すコール対応処理(ステップS1−4)に戻る。なお、利用者は推奨電話番号を用いてコールを行なっているので、管理コンピュータ21は、推奨電話番号の特定を行なう(ステップS1−4)と、推奨電話番号のアクセスポイントAPを介してコールセンタ15と利用者の電話端末機10との接続を継続して、サービス処理を行なう。
【0062】
一方、通知時刻から所定時間が経過していない場合(ステップS4−2において「NO」の場合)には、管理コンピュータ21は、コール待ちデータ記憶部23からコール待ちデータ230を削除する(ステップS4−3)。
【0063】
そして、管理コンピュータ21は、優先サービス処理を行なう(ステップS4−4)。
ここでは、コール待ちデータ記憶部23に記録されていないコールよりも対応順番を早くして、そのコールについてのサービス処理を行なう。具体的には、管理コンピュータ21は、コールの早い順にサービス提供順番待ちデータを所定のデータ記憶部(図示せず)に記録する。そして、管理コンピュータ21は、優先サービス処理を行なう電話端末機10を、サービス提供順番待ちの電話端末機10より優先的に依頼処理を行なう。以上によりコール対応処理を終了する。
【0064】
本実施形態によれば、上記実施形態の(1)、(4)と同様な効果を得ることができるとともに、以下のような効果を得ることができる。
(5) 本実施形態においては、管理コンピュータ21は、推奨電話番号を使ってコールバックを行った後(ステップS2−7)、コール待ちデータ230をコール待ちデータ記憶部23に登録する(ステップS3−2)。このコール待ちデータ230は、発信者番号、通知時刻及び推奨電話番号に関するデータを含んで構成される。その後、管理コンピュータ21が、利用者からコールバックを受けた場合、コール待ちデータ記憶部23における登録を確認し、通知時刻から所定時間以内の場合には、優先サービス処理を行なう(ステップS4−4)。このため、推奨電話番号を通知された利用者が、推奨電話番号にかけ直してきた場合には、その利用者の処理を優先して実行することができる。従って、利用者は円滑にサービスを受けることができる。
【0065】
また、通知時刻から所定時間が経過しているコール待ちデータ230は削除され、通知時刻から所定時間を経過している場合(ステップS4−2において「YES」の場合)には、図5に示すコール対応処理に戻る。このため、速やかにコールバックしてきた利用者のみが優先的にサービスを受けることができる。
【0066】
また、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ 上記第1実施形態では、管理コンピュータ21は、利用者からのコールが推奨電話番号でなかった場合には、コール切断をした後、推奨電話番号を用いてコールバックを行なう。このコールバックは、コール切断後直ちに行なっても良いし、所定の時間経過後に行なっても良い。例えば、コールセンタ15が混雑している場合には、利用者に対するサービス提供が可能になってからコールバックを行なうようにしてもよい。具体的には、管理コンピュータ21は、コール切断時に、発信者番号とそのコール切断時刻とを所定のデータ記憶部に記録する。そして、利用者のサービス処理が完了するたびに、管理コンピュータ21は、コール切断時刻の早い発信者番号を特定し、この順番にコールバックを行なう。これにより、推奨電話番号でコールセンタ15の状況を勘案しながらサービス処理を行なうことができる。
【0067】
・ 上記各実施形態では、推奨電話番号データ記憶部22には、地域やキャリアに関連付けられて推奨電話番号に関する推奨電話番号データ220が記録されている。推奨電話番号には、この番号分類の電話から着信があった場合に最も通話料金が安くなるアクセスポイントの番号を用いる。この推奨電話番号は最も安価になる電話番号に限られるものではない。例えば、通話の混雑状態に推奨電話番号を選択してもよい。具体的には、管理コンピュータ21は、各アクセスポイントAPの混雑状況(接続数)に関するデータを取得し、最も安価になる電話番号が混雑している場合には、次に安価になる電話番号を特定して、利用者の電話端末機10に通知する。この推奨電話番号には、例えば、銀行が保有する番号の中で、利用者の隣接地域の電話番号を利用する。これにより、状況に応じて適切なアクセスポイントAPに利用者を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】推奨電話番号データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】第1実施形態における処理手順の流れ図。
【図4】第2実施形態における処理手順の流れ図。
【図5】第3実施形態における処理手順の流れ図。
【図6】コール待ちデータ記憶部に記憶されたデータの説明図。
【図7】第3実施形態における優先処理の処理手順の流れ図。
【符号の説明】
【0069】
AP…アクセスポイント、10…電話端末機、20…コール管理システム、21…管理コンピュータ、22…推奨電話番号データ記憶部、23…コール待ちデータ記憶部、230…コール待ちデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話発信地域又は通信キャリア種別毎に適したアクセスポイントの推奨電話番号を記録した推奨電話番号データ記憶部と、管理コンピュータとを備えたコール管理システムを用いて利用者の電話端末機からのコールに対応する方法であって、
前記管理コンピュータが、
コールを受けた電話端末機の発信者番号を取得し、この発信者番号に基づいて、その電話端末機の電話発信地域又は通信キャリアを特定し、これに対応する前記推奨電話番号を、前記推奨電話番号データ記憶部から特定する特定段階と、
前記コールを切断する通話切断段階と、
前記発信者番号に対して、前記特定した推奨電話番号を用いてコールバックを行なうコールバック段階と
を実行することにより、前記推奨電話番号を介して前記電話端末機からの依頼処理を行なうことを特徴とするコール対応処理方法。
【請求項2】
前記管理コンピュータが、前記コールバックにより前記特定した推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを特徴とする請求項1に記載のコール対応処理方法。
【請求項3】
前記管理コンピュータが前記コールバックにおいて短時間のリンギングを行なうことにより、前記推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを特徴とする請求項2に記載のコール対応処理方法。
【請求項4】
前記電話端末機からのコールが着信したコール先番号を特定し、
前記コール先番号が特定された推奨電話番号である場合には、前記コールを維持して、前記電話端末機からの依頼に基づく処理を実行し、
前記コール先番号が前記特定した推奨電話番号と異なる場合のみに、コールバックを行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のコール対応処理方法。
【請求項5】
前記コール管理システムは、電話端末機の発信者番号、前記電話端末機に通知した推奨電話番号及び前記コールバックを行なった通知時刻に関するデータを含むコール待ちデータを記録するコール待ちデータ記憶部を更に備え、
前記管理コンピュータは、着信したコールに基づいてコール待ちデータを前記コール待ちデータ記憶部に記録する記録段階と、
前記通知時刻から所定時間内に、前記コール待ちデータの電話番号から推奨電話番号にコールがあった場合には、このコールに関する依頼を優先して処理する優先処理段階と
を更に実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のコール対応処理方法。
【請求項6】
電話発信地域又は通信キャリア種別毎に適したアクセスポイントの推奨電話番号を記録した推奨電話番号データ記憶部と、管理コンピュータとを備え、利用者の電話端末機からのコールに対応するコール管理システムであって、
前記管理コンピュータが、
コールを受けた電話端末機の発信者番号を取得し、この発信者番号に基づいて、その電話端末機の電話発信地域又は通信キャリアを特定し、これに対応する前記推奨電話番号を、前記推奨電話番号データ記憶部から特定する特定手段と、
前記コールを切断する通話切断手段と、
前記発信者番号に対して、前記特定した推奨電話番号を用いてコールバックを行なうコールバック手段として機能させることにより、前記推奨電話番号を介して前記電話端末機からの依頼処理を行なうことを特徴とするコール管理システム。
【請求項7】
前記管理コンピュータが、前記コールバックにより前記特定した推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを特徴とする請求項6に記載のコール管理システム。
【請求項8】
前記管理コンピュータが前記コールバックにおいて短時間のリンギングを行なうことにより、前記推奨電話番号を前記電話端末機に通知することを特徴とする請求項7に記載のコール管理システム。
【請求項9】
前記電話端末機からのコールが着信したコール先番号を特定し、
前記コール先番号が特定された推奨電話番号である場合には、前記コールを維持して、前記電話端末機からの依頼に基づく処理を実行し、
前記コール先番号が前記特定した推奨電話番号と異なる場合のみに、コールバックを行なうことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載のコール管理システム。
【請求項10】
前記コール管理システムは、電話端末機の発信者番号、前記電話端末機に通知した推奨電話番号及び前記コールバックを行なった通知時刻に関するデータを含むコール待ちデータを記録するコール待ちデータ記憶部を更に備え、
前記管理コンピュータが、着信したコールに基づいてコール待ちデータを前記コール待ちデータ記憶部に記録する記録手段と、
前記通知時刻から所定時間内に、前記コール待ちデータの電話番号から推奨電話番号にコールがあった場合には、このコールに関する依頼を優先して処理する優先処理手段
として更に機能することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載のコール管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−53689(P2007−53689A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238914(P2005−238914)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(592259978)株式会社みずほ銀行 (117)
【Fターム(参考)】