説明

ゴミ拾集用ゴミ袋

【課題】 一方の手提げ用延長部を握って、袋開口部を開放させたまま持ち歩く際に、これが千切れるといったことがなく、特に、持ち歩きに際し、袋本体の底角部が地面に摺れて破れるといった不具合を防止できるゴミ拾集用ゴミ袋の提供。
【解決手段】 袋本体1aの上部に幅広手提げ用延長部11と幅狭手提げ用延長部12が形成され、袋本体の底部に、左右の底角部を直角に形成するように袋底縁を袋幅方向に一直線に形成させた場合と比べて、幅広手提げ用延長部11と対角位置にある仮想底角部9を除去した除去部5が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチックフイルム袋によるゴミ拾集用ゴミ袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラスチックフイルム袋は、左右の手提げ用延長部の幅が同一であり、これを使用する場合、開口部からゴミ等を投入して、内部にゴミ等を収容した状態で両方の手提げ用延長部を一緒に握って持ち歩くようにするのが一般的である(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、プラスチックフイルム袋の利用方法で、河原や公園等で空き缶やゴミを拾い集めるボランティア活動を行なっている場面を多く見受けるようになった。
この際、左右の手提げ用延長部を一緒に握って持ち歩くと、袋開口部が閉じた状態になるため、持ち歩きながらゴミ等を投入することができず、不便である。
【0004】
そこで本出願人は、一方の手提げ用延長部のみを握るようにすれば、袋開口部が開放したままになるため、持ち歩きながらゴミ等を投入することができて便利に使用できるとの観点に立ち、更に、一方の手提げ用延長部のみを握って持ち運ぶ際に、その一方の手提げ用延長部のみに荷重が偏ってしまうことによる手提げ用延長部の千切れを防止できるようにしたゴミ拾集用ゴミ袋を既に提案した(特許文献2参照)。
【0005】
この先行のゴミ拾集用ゴミ袋は、左右の手提げ用延長部の一方が幅広手提げ用延長部に形成され、他方が幅狭手提げ用延長部に形成されて、一方の幅広手提げ用延長部が他方の幅狭手提げ用延長部よりも幅広く形成されている。
【0006】
ただ、このゴミ拾集用ゴミ袋では、袋本体の底部は、左右の底角部を直角に形成するように袋底縁を袋幅方向に一直線に形成させ、この袋底縁に沿って形成した溶着シール線により袋本体の底部を閉鎖させたものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−251848号公報
【特許文献2】特開2004−210462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した先行のゴミ拾集用ゴミ袋では、左右の手提げ用延長部のうち片方の幅広手提げ用延長部だけを握ったり、腕に懸けたりして使用するため、この幅広手提げ用延長部の対角位置にある底角部がどうしても垂れ下がった状態になってしまう。
【0009】
これではゴミ拾集用ゴミ袋を持ち歩く際に、垂れ下がった底角部が地面に接触して引き摺られるといったことが生じ、その底角部が破れて折角に収集したゴミ等が散乱したり飲料物等の液体が漏れ出てしまったりといった問題が生じ、これを改良する必要があった。
【0010】
本発明は、左右の手提げ用延長部のうち一方を幅広手提げ用延長部に形成して強度を高め、この幅広手提げ用延長部を握ったり腕に懸けたりして持ち歩くことで袋開口部を開放させたまま持ち歩きながらゴミ等を投入することができ、特に、持ち歩きに際し、袋本体の底角部が地面に摺れて破れるといった不具合を防止できるようにしたゴミ拾集用ゴミ袋を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1記載のゴミ拾集用ゴミ袋は、
袋本体(1a)の上部左右に手提げ用延長部(11)、(12)が形成され、この左右の手提げ用延長部(11)、(12)の内縁間を切欠するように袋開口部(15)が形成され、前記左右の手提げ用延長部(11)、(12)は一方が幅広手提げ用延長部(11)に形成されると共に他方が幅狭手提げ用延長部(12)に形成されて一方の幅広手提げ用延長部(11)が他方の幅狭手提げ用延長部(12)よりも幅広く形成され、かつ袋本体(1a)の底部が袋底縁16に沿って形成された溶着シール線(17)により閉鎖されているプラスチックフイルム袋において、
前記袋本体(1a)の底部に、左右の底角部を直角に形成するように袋底縁を袋幅方向に一直線に形成させた場合と比べて、前記幅広手提げ用延長部(11)と対角位置にある仮想底角部(9)を除去した除去部(5)が形成されている構成とした。
【0012】
本発明の請求項2記載のゴミ拾集用ゴミ袋は、
請求項1記載のゴミ拾集用ゴミ袋(1)において、
袋開口部(15)を形成する切欠縁は、幅広手提げ用延長部(11)の内縁(15a)と、幅狭手提げ用延長部(12)の内縁(15b)と、前記両内縁間の中間縁(15c)とで形成され、この中間縁(15c)と前記幅広手提げ用延長部(11)の内縁(15a)とが円弧状縁(15d)で連続するように形成されている構成とした。
【0013】
本発明の請求項3記載のゴミ拾集用ゴミ袋は、
請求項1又は2記載のゴミ拾集用ゴミ袋(1)において、
前記幅狭手提げ用延長部(12)は、その上端が袋開口部(15)に連続して開放されている構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明のゴミ拾集用ゴミ袋(請求項1)は、本出願人が既に提案した先行のゴミ拾集用ゴミ袋を基本構成とした上で、幅広手提げ用延長部と対角位置にある仮想底角部を除去した除去部を形成させた構成に特徴がある。
【0015】
従って、ゴミ等の拾い集めに際し、幅広手提げ用延長部を握ったり腕に懸けたりして持ち歩くことで袋開口部を開放させたまま持ち歩きながらゴミ等を投入することができるし、荷重の偏りによって手提げ用延長部が千切れるといったことを防止でき、特に、除去部を形成させたことにより持ち歩きに際し、袋本体の仮想底角部が地面に摺れて破れるといった不具合を防止することができる。
【0016】
また、袋開口部の切欠縁における中間縁と幅広手提げ用延長部の内縁とを弧状に連続させると(請求項2)、荷重が集中する幅広手提げ用延長部の基端部分での応力集中がなくなり、裂け等の破れを防止することができる。
【0017】
又、幅狭手提げ用延長部の上端を袋開口部に連続して開放させると(請求項3)、袋開口部の開口幅を広げることができ、ゴミ等の投入が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のゴミ拾集用ゴミ袋の実施例を示す正面図。
【図2】実施例のゴミ拾集用ゴミ袋の使用状態を示す斜視図。
【図3】本発明のゴミ拾集用ゴミ袋の他例を示す正面図。
【図4】本発明のゴミ拾集用ゴミ袋の他例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す実施例のゴミ拾集用ゴミ袋1は、袋本体1aの両側部から内側にマチ部10,10が折り込まれたマチ付き筒状プラスチックフイルムにより形成されたもので、袋本体1aの上端一側(図面では上端右側)に幅広手提げ用延長部11が形成され、上端他側(図面では上端左側)に幅狭手提げ用延長部12が形成されている。
前記幅広手提げ用延長部11及び幅狭手提げ用延長部12の上端は溶着シール線13,14により閉鎖されている。
【0020】
尚、幅狭手提げ用延長部12の長さ(延長量)を、幅広手提げ用延長部11の長さよりも短く形成してもよい。
又、幅広手提げ用延長部11は、通常、袋本体1aの幅の約1/4以上の幅で形成するのが好ましいが、この幅広手提げ用延長部11の千切れに対する強度を十分に確保する上からは1/3以上の幅で形成するのが望ましい。
又、後述する袋開口部15を確保するために、幅広手提げ用延長部11の幅は、袋本体1の幅の約1/2までの幅で形成するのが好ましい。
【0021】
前記左右の手提げ用延長部11,12の内縁間を切欠するように袋開口部15が形成され、かつ袋本体1の底部が袋底縁16に沿って形成された溶着シール線17により閉鎖されている
【0022】
前記袋開口部15を形成する切欠縁は、幅広手提げ用延長部11の弧状内縁15aと、幅狭手提げ用延長部12の垂直内縁15bと、前記両内縁15a,15b間の水平中間縁15cとで形成され、この水平中間縁15cと前記幅広手提げ用延長部11の弧状内縁15aとが円弧状縁15dで連続するように形成されている。
【0023】
このように、袋開口部15の切欠縁における水平中間縁15cと幅広手提げ用延長部11の弧状内縁15aとを円弧状縁15dで連続させると、荷重が集中する幅広手提げ用延長部11の基端部分での応力集中がなくなり、裂け等の破れを防止することができる。
【0024】
又、前記切欠縁は、前記マチ部10、10にかかるように切欠されており、これにより、幅広手提げ用延長部11及び幅狭手提げ用延長部12は、マチ部10、10が開口して環状に形成され、手提げ用のグリップとして手で握ったり腕に懸けたりすることができる。
【0025】
前記袋本体1の底部には、左右の底角部を直角に形成するように袋底縁を袋幅方向に一直線に形成させた場合と比べて、前記幅広手提げ用延長部11と対角位置にある仮想底角部9(仮想線で示す)を除去した除去部5(平行斜線で示す領域)が形成されている。
【0026】
図1に示したゴミ拾集用ゴミ袋1の場合、袋底縁16は、袋本体(1a)の幅方向のほぼ中央部から幅広手提げ用延長部11の側の下端18(図面では右下端)までは直角の底角部を形成させるように水平底縁16aに形成され、一方、袋幅方向のほぼ中央部から幅狭手提げ用延長部12の側の(図面では左側)は上り傾斜の角度(実施例では45度)を持った傾斜底縁16bに形成され、この水平底縁16aと傾斜底縁16bとによる袋底縁16に沿って屈曲するように溶着シール線17が形成されている。
【0027】
尚、除去部5を形成するための傾斜底縁16bの位置や角度等は袋本体1aの収容容積等を勘案して適宜に決定する。
例えば、図3及び図4で示すゴミ拾集用ゴミ袋1では、袋底縁16を幅広手提げ用延長部11の側の下端18(図面では右下端)から幅狭手提げ用延長部12の側に向けて上り傾斜で袋本体1aの横幅全長に亘って形成した例である。
【0028】
このように、袋底縁16の全長を傾斜底縁16bで形成したものについても、本発明の特徴的な構成である、幅広手提げ用延長部11と対角位置にある仮想底角部9(仮想線で示す)を除去した除去部5(平行斜線で示す領域)が形成されている、という構成に含まれるものである。
【0029】
尚、図3及び図4で示すゴミ拾集用ゴミ袋1では、幅狭手提げ用延長部12の上端が溶着シールされることなく、袋開口部15に連続した開放部12aに形成されている。
このように、幅狭手提げ用延長部12の上端に開放部12aを形成させると、袋開口部15の開口幅が広がり、ゴミ等の投入が容易なる。
【0030】
又、図4で示すゴミ拾集用ゴミ袋1では、袋本体1aの幅広手提げ用延長部11の側だけにマチ部10が折り込まれ、幅狭手提げ用延長部12の側にはマチ部は形成されていない。
このようにマチ部については、袋本体1aの幅広手提げ用延長部11の側及び/又は幅狭手提げ用延長部12の側に形成することができるし、両側共にマチ部を形成しなくてもよい。
【0031】
前記ゴミ拾集用ゴミ袋1を使用するに際しては、図2に示すように、幅広手提げ用延長部11を腕に懸けたり握ったりして持ち歩くもので、このように一方の幅広手提げ用延長部11のみを握ると、他方の幅狭手提げ用延長部12はフリーになるため、袋開口部15は開放したままの状態になる。
従って、ゴミ拾集用ゴミ袋1を持ち歩きながら袋開口部15から空き缶やゴミ等を投入することができ、拾集作業を便利に行なうことができる。
【0032】
そして、左右の手提げ用延長部11、12のうち片方の幅広手提げ用延長部11だけを握ったり腕に懸けたりして使用すると、この幅広手提げ用延長部11の対角位置にある仮想底角部9がどうしても垂れ下がった状態になるが、除去部5を形成させたことによって持ち歩きに際し、袋本体1aの仮想底角部9が地面に摺れて破れるといった不具合を防止でき、仮想底角部9が破れることによるゴミ等の散乱、飲料物等の液体漏れといった不具合を防止できる。
【0033】
なお、袋本体1aの内部が、拾集したゴミ等で一杯になると、両方の手提げ用延長部11,12を結んで袋開口部15を閉じることになり、このため、袋本体1aの両側に手提げ用延長部11,12を形成しておく必要がある。
【符号の説明】
【0034】
1 ゴミ拾集用ゴミ袋
1a 袋本体
10 マチ部
11 幅広手提げ用延長部
12 幅狭手提げ用延長部
12a 開放部
13 溶着シール線
14 溶着シール線
15 袋開口部
15a 弧状内縁
15b 垂直内縁
15c 水平中間縁
15d 円弧状縁
16 袋底縁
16a 水平底縁
16b 傾斜底縁
17 溶着シール線
18 下端
5 除去部
9 仮想底角部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体(1a)の上部左右に手提げ用延長部(11)、(12)が形成され、この左右の手提げ用延長部(11)、(12)の内縁間を切欠するように袋開口部(15)が形成され、前記左右の手提げ用延長部(11)、(12)は一方が幅広手提げ用延長部(11)に形成されると共に他方が幅狭手提げ用延長部(12)に形成されて一方の幅広手提げ用延長部(11)が他方の幅狭手提げ用延長部(12)よりも幅広く形成され、かつ袋本体(1a)の底部が袋底縁(16)に沿って形成された溶着シール線(17)により閉鎖されているプラスチックフイルム袋において、
前記袋本体(1a)の底部に、左右の底角部を直角に形成するように袋底縁を袋幅方向に一直線に形成させた場合と比べて、前記幅広手提げ用延長部(11)と対角位置にある仮想底角部(9)を除去した除去部(5)が形成されていることを特徴としたゴミ拾集用ゴミ袋。
【請求項2】
請求項1記載のゴミ拾集用ゴミ袋において、
袋開口部(15)を形成する切欠縁は、幅広手提げ用延長部(11)の内縁(15a)と、幅狭手提げ用延長部(12)の内縁(15b)と、前記両内縁間の中間縁(15c)とで形成され、この中間縁(15c)と前記幅広手提げ用延長部(11)の内縁(15a)とが円弧状縁(15d)で連続するように形成されているゴミ拾集用ゴミ袋。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のゴミ拾集用ゴミ袋において、前記幅狭手提げ用延長部(12)は、その上端が袋開口部(15)に連続して開放されているゴミ拾集用ゴミ袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−218866(P2012−218866A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85368(P2011−85368)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(592182311)日本フイルム株式会社 (19)
【Fターム(参考)】