説明

ゴムの評価方法および製造方法、並びに、インクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法

【課題】架橋後のゴム製品でも特別な処理無しに短時間で架橋度を評価できるゴムの評価方法、及びその評価方法を用いて所望の架橋度を得るゴムの製造方法、並びにその評価方法を用いたインクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法を提供する。
【解決手段】光電子分光測定によりゴムの成分元素ピーク(塩素化ブチルゴムのCl2p3/2ピーク等)のエネルギーシフト量を測定し、該エネルギーシフト量から該ゴムの架橋度を評価することを特徴とするゴムの評価方法;及び、光電子分光装置がインラインで組み込まれた工程でゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定し、結果をフィードバックして所望の架橋度になるように加熱成形条件を調整するゴムの製造方法;及び、この評価法を用いたインクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムの架橋度を評価する方法、およびその評価方法を用いて所望の架橋度を得るゴムの製造方法、並びにその評価方法を用いたインクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムの架橋度はゴム物性を左右する重要な因子であり、製品設計や製品検査する上で架橋度の評価は不可欠である。ゴム架橋度の測定は、一般的に膨潤試験によって行われることが多い。しかしながら、膨潤試験による架橋度評価はゴム試料を溶剤中に浸漬し、膨潤率を測定する手法であるため数日を要し、簡便にゴム架橋度を評価できないという欠点がある。また、評価するゴムの量が少ないと、測定の誤差が大きくなり正確な架橋度を求めることが難しくなる。
【0003】
また、ゴム架橋度を測定する他の方法として、キュラストメーターによりゴムのトルクを計測し、このトルクの値から架橋度を評価する方法もある。この方法では、試料として未加硫ゴムの用い、この未加硫ゴム試料について時間を横軸、トルクを縦軸にとった加硫曲線を作成し、この加硫曲線からゴム架橋度を評価する方法である。しかしながら、キュラストメーター測定に用いる試料片は、一定以上のサイズと特定の形状をもつ必要があり、実際の製品形態とは異なっている。このため、キュラストメーターによる測定から製品形態におけるゴムの正確な架橋条件を見出すことは困難である。また、架橋済みのゴムに対しては適用できないので、実際に製造されたゴム製品自体の架橋度は評価できない。
【0004】
さらに他のゴム架橋度測定法としては、固体NMR(核磁気共鳴)による緩和時間の測定に基づいてゴムの架橋度を評価する方法がある(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、固体NMRによる測定法では、数万rpmの高速回転で測定するので、試料を挿入したスピナー(回転管)回転の偏心を避けるためにスピナー内に試料を均一に詰めることが必要となる。したがって、製品形態そのものを測定に用いることは困難であり、ゴム試料をスピナー内径形状に切り出すか、あるいは粉末状に加工するなどの測定の前処理が必要となる。しかも、得られる情報は試料全体からの平均情報であり、部分的に架橋度が異なる場合のばらつきは評価できない。
【特許文献1】特開平8−122284
【特許文献2】特開2002−71595
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、架橋後のゴム製品でも特別な処理無しに短時間で架橋度を評価できるゴムの評価方法、およびその評価方法を用いて所望の架橋度を得るゴムの製造方法の提供を目的とする。また、その評価方法を用いたインクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、架橋されたゴムの架橋度を評価する手段を鋭意検討した結果、ゴムの架橋度の評価に非常に有用なパラメータを見出した。具体的には、光電子分光を用いて測定した特定ピークのエネルギー値が、ゴムの架橋度に応じてほぼ線形にシフトすることを初めて見出した。これを利用してゴムの架橋度を間接的に評価すれば、特別な処理無しに短時間で製品自体の架橋度を評価でき、良好な品質管理が可能になる。
【0007】
すなわち本発明は、光電子分光測定によりゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定し、該エネルギーシフト量から該ゴムの架橋度を評価することを特徴とするゴムの評価方法である。
【0008】
さらに本発明は、光電子分光測定により塩素化ブチルゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定し、該エネルギーシフト量から該塩素化ブチルゴムの架橋度を評価することを特徴とするゴムの評価方法である。
【0009】
さらに本発明は、加熱架橋によりゴムを成形する工程、当該成形されたゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定する工程、該エネルギーシフト量から該ゴムの架橋度を算出する工程、該算出結果を前記ゴムを成形する工程にフィードバックする工程、を有することを特徴とするゴムの製造方法である。
【0010】
さらに本発明は、成形時に加熱架橋する工程を有するインクジェットプリンター用の塩素化ブチルゴムから成るジョイントシールの製造方法において、光電子分光装置がインラインで組み込まれた工程で成形後のジョイントシールの塩素化ブチルゴムにおけるCl2p3/2ピークのエネルギーシフト量を測定し、この測定値を工程中にフィードバックして前記Cl2p3/2ピークのエネルギーシフト値が0.6eV±0.3eVの範囲内になるように加熱成形条件を調整することを特徴とするインクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特別な処理を必要とせず、製品形態のゴムをそのまま測定に用いて、ゴム架橋度を評価することができる。しかも、光電子分光測定による方法なので、1回の測定に必要な試料面積は小さく(数10ミクロンから数ミリ)、所望形態の製品の一部分の架橋度を評価することもでき、一つの製品の架橋度の分布やばらつきを評価することも可能である。
【0012】
特に、本発明の評価方法をゴムの製造工程に適用すること、具体的には、その工程ラインに光電子分光装置をインラインで組み込めば、製造工程中に簡便かつ迅速にゴム架橋度を評価することが可能となる。それにより、一定した架橋度を有するゴムを簡便かつ精度良く製造することができる。
【0013】
本発明は、特に、インクジェットプリンターに使用される塩素化ブチルゴムから成るジョイントシール等の製造に適用すると非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明においてゴムの架橋度は、光電子分光(以下「XPS」と称す)測定によるゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量により評価する。このXPS測定とは、超高真空中で試料にX線を照射し、放出される光電子のエネルギーをエネルギーアナライザーで測定する分析法である。励起X線としては例えばAlやMgのKαなど比較的低いエネルギーのものを用いることができる。エネルギーアナライザーは電場を用いて電子の運動エネルギーを測定する装置であり、同心半球型(CHA)、同心円筒形(CMA)等のものがある。
【0015】
原子を構成している電子は核から一定の強さの束縛を受けており、X線を当てたときに放出される光電子の運動エネルギーは、励起光のエネルギーから束縛エネルギーを差し引いた値になる。なお、束縛エネルギーは、原則として原子の種類と電子の軌道により定まった値になるが、原子が化合物等を構成している場合は自由な状態と比較するとその値が変化し、これを化学シフトと呼ぶ。
【0016】
本発明は、このXPS測定によるゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量が、架橋度の増減に対して一次関数的に、即ちほぼ直線的に変化するという新たな知見に基づいて完成されたものである。
【0017】
本発明者の知見によれば、例えば、塩素化ブチルゴムの架橋度とXPS測定における塩素化ブチルゴムのCl2p3/2のエネルギーシフト量とは、一次関数的な関係にある。この塩素化ブチルゴムの架橋度に応じてCl2p3/2の値がシフトする理由については、次のように解釈することができる。図1に示すように、塩素化ブチルゴムにおいては、Cl原子は周りに存在するC原子と化学結合(共有結合)しているが、結合していない近傍のC原子とも、分子間相互作用によって弱く結合している。また、Cl原子はC原子と電子を共有するのでややプラスになり、このためClの電子はこのプラス電荷により強く捕捉される。よって、XPS測定を行うとEb(結合エネルギー)の高い方にシフトし、さらに隣接する分子数が多いほどClのエネルギー準位のシフトが大きくなると考えられる。一般にゴムの構造においては分子が網目構造を形成するため、架橋度が高くなるほど塩素原子は多くの隣接分子の影響(分子間相互作用)を受ける傾向を持つようになる。したがって、架橋度が高いほどCl2p3/2のエネルギーシフトが大きくなると考えられるのである。
【0018】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、Cl原子のエネルギーシフト量をXPS測定し、この測定結果に基づいてゴムの架橋度を評価する。
【0019】
XPS測定による架橋度評価は、NMR法やキュラストメーターによるトルク測定(架橋度測定)とは異なり、架橋成型されたゴム製品そのものを評価できることが大きな利点である。しかも、数十μm〜数mmの小領域で測定が可能であるため、成型の各部分で架橋度の分布を評価することもできる。
【0020】
例えば、塩素化ブチルゴムを用いてインジェクション法でジョイントシールを成型する場合、XPS測定するとCl2p3/2ピークは、ゴムの架橋度が高くなるほど高エネルギー側にシフトする。具体的には後に詳述する図2に示すような関係になる。したがって、Cl2p3/2ピークのエネルギーシフト量を測定することにより架橋度を評価し、この結果をインジェクションの条件にフィードバックすることにより、架橋度ばらつきを最小限に抑えたジョイントシールを提供することが出来る。
【0021】
なお、インクジェットプリンター用のジョイントシールは、例えば図7に示す形態に適用できる。図7において、記録ヘッド部は、記録素子ユニットH1002とインク供給ユニットH1003とタンクホルダーH2000とから構成されている。また、インク供給ユニットH1003は、ジョイントシール部材H2300を介して記録素子ユニットH1002と接続される。これにより不図示のインクタンク内のインクを記録素子ユニットH1002に供給することが可能となる。
【0022】
また本発明のジョイントシールは上記例に限られない。具体的には、インクカートリッジのインク室の穴を封止する為のゴム部材に適用可能である。インクカートリッジをジョイントする際にジョイント針によりジョイントシールが突き破られるが、突き破られた部分のジョイント針の周囲をゴムの弾性収縮により塞ぎ、ジョイント針内部のみにインクが流通するように機能する。さらには、着脱式のインクタンクを装着可能にするタンクホルダーのインク供給口周囲に配されるジョイントシールにも適用可能である。
【0023】
図3はゴム製造工程(ジョイントシール製造工程)のフローを表わした図である。ここでは、製造工程中に上述したXPS装置が組み込まれている。このフローで示されるように、例えば、a)原料となる未架橋塩素化ブチルゴムを準備し、b)無機添加物、劣化防止剤、架橋剤等を添加する。さらに、c)予備加熱を行い、d)インジェクション成型またはコンプレッション成型を行い、e)XPS測定を行い、f)ジョイントシールゴム製品を得る。ここで、例えば、工程d)を経た成型後のゴムについてXPS測定によりCl2p3/2のエネルギーシフト量を求め、これにより架橋度を評価する。このエネルギーシフト量の測定値が設計値からずれている場合は、架橋度が所望の値になるまで成型条件あるいは合成条件を調整する。具体的には、塩素化ブチルゴムにおけるCl2p3/2ピークのエネルギーシフト量を測定する場合は、エネルギーシフト量を0.6eV±0.3eVの範囲内になるように調整することが好ましい。上記範囲を外れると、後述するようにインクのシール性が損なわれるためである。そして測定値が設計値と一致したら、製品へのジョイントシール組み込みを開始する。この一連の作業工程は、例えば一定間隔で抜き取り検査として行うことができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0025】
[キュラストメーターによるトルク測定]
まず、評価対象のゴムの架橋度と加熱時間、加熱温度との関係を明らかにする為に、未加硫の塩素化ブチルゴム組成物を用いて、以下のようにしてキュラストメーターによるトルク測定(架橋度測定)を行った。
【0026】
塩素化ブチルゴムに、加硫促進剤等の無機添加剤および有機の劣化防止剤を添加して混練し、未加硫(未架橋)の塩素化ブチルゴム組成物(A)を調製した。次に、一定の温度に保持した状態で、トルクが時間と共にどのように変化するかを調べた。その結果を図4に示す。低い温度では架橋速度が遅く、高い温度では架橋が速く進行し、短時間で架橋が終了することが分った。図5は、図4の結果をもとに横軸を架橋温度、縦軸をトルクに描き変えたものである。この図から、加熱温度を変えることにより塩素化ブチルゴムの架橋度が制御できることが分かる。
【0027】
次に、上記と同様の未加硫の塩素化ブチルゴム組成物(A)を用いて、コンプレッション法により、低架橋ジョイントシール(D)と、高架橋ジョイントシール(E)を作製した。この低架橋ジョイントシール(D)のトルク(架橋度)0.15であり、高架橋ジョイントシール(E)のトルク(架橋度)は0.45である。
【0028】
[XPS測定値のプロット及び架橋度の評価]
次に、未加硫の塩素化ブチルゴム組成物(A)、低架橋ジョイントシール(D)、及び高架橋ジョイントシール(E)の各々について、XPS法により塩素化ブチルゴムのCl2p3/2のエネルギー値を測定した。
【0029】
測定条件は以下の通りである。
・測定装置:JPS−9200(JEOL)。
・測定条件:X線=MgKα、出力=200W(10kV×20mA)。
・測定径:1mmφ。
・エネルギー分解能:アナライザー通過エネルギー10eV(Ag3d5/2ピークにて0.9eV)。
・測定元素:F1s、O1s、Cl2p、Si2p。
【0030】
このXPS測定の結果、未加硫の塩素化ブチルゴム(A)のCl2p3/2のエネルギー値は198.248eV、低架橋ジョイントシール(D)のCl2p3/2のエネルギー値は198.77eVであった。さらに、高架橋ジョイントシール(E)のCl2p3/2のエネルギー値は199.082eVであった。
【0031】
すなわち、トルク0.15の低架橋ジョイントシール(D)のCl2p3/2のエネルギーシフト量は0.522、トルク0.45の高架橋ジョイントシール(E)のCl2p3/2のエネルギーシフト量は0.834である。
【0032】
これらデータに基いて、横軸に前記トルク測定から得られた架橋度を取り、縦軸に前記XPS測定から得られたエネルギーシフト量をプロットして、図2に示すような検量線を作成した。図中(D)及び(E)のデータは「●」で示している。この図に示すように架橋度とエネルギーシフト量は一次関数の関係にあり、両変化量の関係は直線にて表わされる。
【0033】
次に、上記と同様の未加硫の塩素化ブチルゴム組成物(A)を用いて、インジェクション法により、ジョイントシール(B)及びジョイントシール(C)を作製した。これらジョイントシール(B)及び(C)の各々について、XPS法により塩素化ブチルゴムのCl2p3/2のエネルギー値を同様に測定した。
【0034】
XPS測定の結果、ジョイントシール(B)のCl2p3/2のエネルギー値は198.864eV、ジョイントシール(C)のCl2p3/2のエネルギー値は199.168eVであった。
【0035】
すなわち、ジョイントシール(B)のCl2p3/2のエネルギーシフト量は0.616、ジョイントシール(C)のCl2p3/2のエネルギーシフト量は0.920である。
【0036】
図2の検量線からこれらの値に対応する架橋度を求めると、ジョイントシール(B)の架橋度は0.32、ジョイントシール(C)の架橋度は0.57である。図中(B)及び(C)のデータは「□」で示している。
【0037】
また、以上の(A)〜(E)のXPS測定の結果であるスペクトルを図6に示す。Cl2pスペクトルでは、2p3/2と、2p1/2の2本のピークが現れる、これら2本のうち、2p3/2のピーク位置は、架橋度が増加することにより徐々に高結合エネルギー側へとシフトすることが分かる。
【0038】
なお、ジョイントシール(B)及び(C)については、その架橋成型条件とキュラストメーターの測定データから一般的に予想される架橋度はどちらも0.32である。しかしながら、同一の成型条件を用いても、成型する日時やゴム材料のロットが異なると必ずしも同一の架橋度に再現されない。また、成型した塩素化ブチルゴムの架橋度が設定値と必ずしも一致せずにばらついてしまう理由は、成型方法の違いや、温度分布の存在、温度計測の微妙なずれ、ゴム材料成分のばらつき等によると考えられる。
【0039】
ゴムの架橋度が増すと、硬化によりゴム本来の性質が損なわれ、ゴム製品としての安定した機能を果たさない場合がある。このような点から、本実施例においては、インクジェットプリンター用のジョイントシールとして、(B)は良品、(C)は不良品である。
【0040】
このような点から、成型ゴムの架橋度を所望の値に保ち、十分な品質管理を行うためには、実際の成型されたゴム製品に対して架橋度を測定し、その結果を成型条件にフィードバックすることが重要である。それ故に、本実施例のように実際の成型されたジョイントシールの架橋度をXPS測定により評価することは非常に有用である。具体的には、製造工程において抜き取り検査などにより逐次、製品の架橋度を評価し、(C)のような高架橋度の不良品が生じた場合は、その情報をフィードバックし、加熱温度や加熱時間等の加熱成型条件を変更する。それによりCl2p3/2ピークのエネルギーシフト値を好ましくは0.6eV±0.3eVの範囲内になるように調整するだけで、簡易且つ良好に製品管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】架橋塩素化ブチルゴムにおける分子の状態を示す模式図である。
【図2】実施例のゴム架橋度とエネルギーシフト量のデータとそのデータから作成した検量線を示す図である。
【図3】ゴムの製造工程のフローを示す図である。
【図4】架橋時間と架橋度の関係を示す図である。
【図5】架橋温度と架橋度の関係を示す図である。
【図6】実施例の試料(A)〜(E)のXPS測定により得たスペクトルを示す図である。
【図7】実施例のジョイントゴムを適用したインクジェット記録ヘッドカートリッジの記録ヘッド部の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
H1003 インク供給ユニット
H1002 記録素子ユニット
H2000 タンクホルダー
H2300 ジョイントシール部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子分光測定によりゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定し、該エネルギーシフト量から該ゴムの架橋度を評価することを特徴とするゴムの評価方法。
【請求項2】
光電子分光測定により塩素化ブチルゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定し、該エネルギーシフト量から該塩素化ブチルゴムの架橋度を評価することを特徴とするゴムの評価方法。
【請求項3】
塩素化ブチルゴムのCl2p3/2のピークのエネルギーシフト量を測定することを特徴とする請求項2に記載のゴムの評価方法。
【請求項4】
加熱架橋によりゴムを成形する工程、当該成形されたゴムの成分元素ピークのエネルギーシフト量を測定する工程、該エネルギーシフト量から該ゴムの架橋度を算出する工程、該算出結果を前記ゴムを成形する工程にフィードバックする工程、を有することを特徴とするゴムの製造方法。
【請求項5】
成形時に加熱架橋する工程を有するインクジェットプリンター用の塩素化ブチルゴムから成るジョイントシールの製造方法において、光電子分光装置がインラインで組み込まれた工程で成形後のジョイントシールの塩素化ブチルゴムにおけるCl2p3/2ピークのエネルギーシフト量を測定し、この測定値を工程中にフィードバックして前記Cl2p3/2ピークのエネルギーシフト値が0.6eV±0.3eVの範囲内になるように加熱成形条件を調整することを特徴とするインクジェットプリンター用ジョイントシールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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