ゴムマット
【課題】衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れている、ゴムマットを、提供すること。
【解決手段】本体部と周縁のエッジ部とを有しており、本体部が、表面に、一体に、多数の円柱形の突起部を、有している、ゴムマットであって、平面視において、突起部３１は、その中心が、正六角形の、全ての頂点位置に及び中心位置に、在るよう配置されて、７個の突起部３１からなる第１ユニットＸを構成しており、第１ユニットＸは、その中心が、正六角形の、全ての頂点位置に及び中心位置に、在るよう配置されて、７個の第１ユニットＸからなる第２ユニットＹを構成しており、第２ユニットＹは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部３１の配置形態が構成されている。
【解決手段】本体部と周縁のエッジ部とを有しており、本体部が、表面に、一体に、多数の円柱形の突起部を、有している、ゴムマットであって、平面視において、突起部３１は、その中心が、正六角形の、全ての頂点位置に及び中心位置に、在るよう配置されて、７個の突起部３１からなる第１ユニットＸを構成しており、第１ユニットＸは、その中心が、正六角形の、全ての頂点位置に及び中心位置に、在るよう配置されて、７個の第１ユニットＸからなる第２ユニットＹを構成しており、第２ユニットＹは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部３１の配置形態が構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れている、ゴムマット、に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
表面に多数の円柱形の突起部を有するゴムマットは、従来から知られており、突起部の配置としては、例えば、図５に示される「６０度千鳥配置」が、知られている。そのような従来のゴムマットでは、突起部３１の間隙３０が、広幅の長い直線通路３００を構成している（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特許第３４５０７７５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
突起部３１の配置が千鳥配置であるような従来のゴムマットでは、突起部３１の間隙３０が、広幅の長い直線通路３００を構成しているので、次のような不具合があった。
（１）この直線通路３００に対して平行な方向においては、グリップ力が比較的弱くなるという傾向がある。
（２）ゴムマットの面方向において、衝撃吸収効果のバラツキが生じる。
（３）ゴムマット上に、コップや皿などの什器などが、落下した場合において、突起部３１上では破損防止効果が充分であっても、広幅の直線通路３００上では破損防止効果が極めて不充分である。
【０００５】
本発明は、衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れている、ゴムマットを、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、本体部と、本体部の周縁のエッジ部と、を有しており、本体部が、表面に、一体に、多数の、円柱形又は略円柱形の突起部を、有している、ゴムマットであって、平面視において、突起部は、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の突起部からなる第１ユニットを構成しており、第１ユニットは、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の第１ユニットからなる第２ユニットを構成しており、第２ユニットは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部の配置形態が構成されている、ことを特徴としている。このような突起部の配置を、「六角形配置」と称する。
【０００７】
本発明は、更に、以下の構成（ａ）〜（ｃ）を採用するのが好ましい。
（ａ）本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、２０〜３５％である。
（ｂ）突起部が、円柱形又は略円柱形を有しており、突起部の上端面の直径が、２〜４ｍｍであり、突起部の高さが、１．５〜３ｍｍであり、最も近接している突起部同士の間隙が、２〜３ｍｍである。
（ｃ）本体部は、発泡ゴム層上に、補強シート、更には、非発泡ゴム層が、積層されて一体化された構造を、有しており、非発泡ゴム層が、表面に、一体に、多数の突起部を、有している。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のゴムマットによれば、突起部の配置が「六角形配置」であるので、次のような効果を発揮できる。
【０００９】
（１）隣接する突起部の間隙の寸法が、例えば「６０度千鳥配置」と同じである場合において、本発明のゴムマットは、「６０度千鳥配置」の場合に比して、単位面積当たりの突起部の数を少なくできる。したがって、「６０度千鳥配置」の場合に比して、生産コストを低減できると共に、マットの軽量化を図ることができる。
【００１０】
（２）「六角形配置」においては、平面視において、隣接する突起部の間隙を通る直線の線分を、描いた場合に、突起部のピッチが比較的大きくても、また、突起部の直径が比較的小さくても、どの位置からどの方向（マットの内側へのどの方向）に描いても、線分が有限の長さを有する構成を、設計できる。すなわち、突起部を、千鳥配置などに比して、ランダムに配置できるので、突起部の間隙が広幅の直線通路を構成するのを抑制できる。したがって、マットは、どの直線方向においても、優れたグリップ力を発揮できる。
【００１１】
（３）長尺物の全てが、隣接する突起部の間隙中に嵌り込んでしまうのを、防止できる。例えば、薄い皿が面を垂直にした状態でマット上に落下した場合において、皿のエッジ部分の長さが所定値以上である場合には、本発明によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部の間隙中に嵌り込むのを防止でき、したがって、破損防止効果を発揮できるが、「６０度千鳥配置」の場合によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部の間隙中に嵌り込む危険性を回避できない。
【００１２】
本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、２０％未満の場合には、十分な衝撃吸収効果を発揮できない場合がある。一方、上記割合が３５％を超える場合には、マット上に落下した什器の跳ね返り高さが高くなり、落下した什器がマット外に飛び出して床に当って破損する恐れがある。しかるに、上記構成（ａ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１３】
また、突起部の上端面の直径が２ｍｍ未満である場合には、突起部の耐久性が劣る場合がある。一方、突起部の上端面の直径が４ｍｍを超える場合には、単位面積中に、十分な衝撃吸収効果を発揮するのに必要な数だけの突起部を、作ることができない場合があり、また、コップや皿などの什器などがマット上に落下した場合に、跳ね返りが大きくなる場所が生じる恐れがある。しかるに、上記構成（ｂ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１４】
また、突起部の高さが１．５ｍｍ未満である場合には、マットが品疎になり、また、マットの衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、突起部の高さが３ｍｍを超える場合には、突起部の耐久性が劣る場合がある。しかるに、上記構成（ｂ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１５】
更に、最も近接している突起部同士の間隙が２ｍｍ未満である場合には、突起部と突起部との間に挟まった異物を除去するのが困難である。一方、最も近接している突起部同士の間隙が３ｍｍを超える場合には、衝撃吸収効果が不充分となる恐れがある。しかるに、上記構成（ｂ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１６】
上記構成（ｃ）によれば、次のような効果を発揮できる。
（ｉ）発泡ゴム層を有しているので、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、単位面積当りの重量を小さくできる。したがって、取り扱い易い。
【００１７】
（ii）非発泡ゴム層は、表面に多数の突起部を有しているので、非発泡ゴム層全体が受ける衝撃を好適に緩和できる。しかも、非発泡ゴム層の下側に発泡ゴム層を有しているので、非発泡ゴム層が受ける衝撃を発泡ゴム層によっても緩和できる。したがって、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、優れた衝撃吸収効果を発揮できる。しかも、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マットを踏んだ時やマット上で長時間立ち仕事をする時などに、好適な疲労軽減効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マット上に、コップや皿などの什器などが落下した場合に、好適な破損防止効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるとともに多数の突起部を有していることから、マット上を歩行する際に、好適なスリップ抑制効果を発揮できる。
【００１８】
（iii）非発泡ゴム層は、表面に突起部を有しており、突起部は、非発泡ゴム層の一部として一体化されて形成されているので、発泡ゴムのみからなるマット及び特許文献１のゴムマットに比して、優れた耐久性を発揮できる。
【００１９】
（iv）非発泡ゴム層の下側に補強シートを有しているので、非発泡ゴム層が受けた衝撃を、更に緩和できる。また、補強シートによってマット全体を補強できるので、マットの耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の一実施形態のゴムマットの平面部分図である。
【図２】図１のII−II矢視断面図である。
【図３】図１のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図４】図１のゴムマットを製造するための多孔板の平面部分図である。
【図５】従来の「６０度千鳥配置」のゴムマットの平面部分図である。
【図６】従来の「並列配置」のゴムマットの平面部分図である。
【図７】従来の「角千鳥配置」のゴムマットの平面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
図１は、本発明の一実施形態のゴムマットの平面部分図である。図２は、図１のII−II矢視断面図である。なお、図２では、ゴムマットの製造に使用された多孔板の一部も示されている。
【００２２】
本実施形態のゴムマット１０は、本体部１０１とエッジ部１０２とからなっている。エッジ部１０２は、本体部１０１の周縁に形成されている。したがって、本実施形態のゴムマット１０によれば、エッジ部１０２によって、本体部１０１の端部を好適に保護できる。したがって、耐久性の良いマットを得ることができる。
【００２３】
本体部１０１は、発泡ゴム層１上に、補強シート２、更には、非発泡ゴム層３が積層されて一体化された三層構造を、有している。そして、非発泡ゴム層３が、表面に、一体に、多数の突起部３１を有している。エッジ部１０２は、非発泡ゴムからなっている。したがって、本実施形態のゴムマット１０によれば、次のような効果を発揮できる。
【００２４】
（１）発泡ゴム層１を有しているので、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、単位面積当りの重量を小さくできる。したがって、取り扱い易い。
【００２５】
（２）非発泡ゴム層３は、表面に多数の突起部３１を有しているので、非発泡ゴム層３全体が受ける衝撃を好適に緩和できる。しかも、非発泡ゴム層３の下側に発泡ゴム層１を有しているので、非発泡ゴム層３が受ける衝撃を発泡ゴム層１によっても緩和できる。したがって、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、優れた衝撃吸収効果を発揮できる。しかも、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マットを踏んだ時やマット上で長時間立ち仕事をする時などに、好適な疲労軽減効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マット上に、コップや皿などの什器などが落下した場合に、好適な破損防止効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるとともに多数の突起部３１を有していることから、マット上を歩行する際に、好適なスリップ抑制効果を発揮できる。
【００２６】
（３）非発泡ゴム層３は、表面に突起部３１を有しており、突起部３１は、非発泡ゴム層３の一部として一体化されて形成されているので、発泡ゴムのみからなるマット及び特許文献１のゴムマットに比して、優れた耐久性を発揮できる。
【００２７】
（４）非発泡ゴム層３の下側に補強シート２を有しているので、非発泡ゴム層３が受けた衝撃を、更に緩和できる。また、補強シート２によってマット全体を補強できるので、マットの耐久性を向上できる。
【００２８】
そして、本実施形態において、突起部３１の配置は、図１に示されるような「六角形配置」となっている。すなわち、突起部３１は、一点鎖線Ａで示されるように、小さい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、７個の突起部３１からなるユニットＸが、構成されている。そして、更に、ユニットＸが、一点鎖線Ｂで示されるように、大きい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、７個のユニットＸ（すなわち、４９個の突起部３１）からなるユニットＹが、構成されている。そして、ユニットＹが、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されている。なお、正六角形は略正六角形でもよく、頂点位置は略頂点位置でもよく、中心位置は略中心位置でもよい。
【００２９】
突起部３１の上記配置においては、平面視において、隣接する突起部３１の間隙３０を通る直線の線分を、描いた場合に、どの位置からどの方向（マットの内側へのどの方向）に描いても、線分が有限の長さを有している。しかしながら、突起部３１の間隙３０を広く設計した場合や突起部３１の直径Ｄを小さく設計した場合などにおいて、上記線分が有限にならない（直線又は半直線になってしまう）場合であっても、突起部３１の上記配置が、平面視において、隣接する突起部３１の間隙３０を通る、幅１ｍｍの直線の線分Ｅを、描いた場合に、どの位置からどの方向（マットの内側へのどの方向）に描いても、線分Ｅが有限の長さを有していれば、略同等の効果を発揮できる。
【００３０】
突起部３１の配置が「六角形配置」であることにより、本実施形態のゴムマット１０は、次のような効果を発揮できる。
【００３１】
（１）隣接する突起部３１の間隙３０の寸法Ｃが、図５に示される「６０度千鳥配置」の場合と同じである場合において、本実施形態のゴムマット１０は、「６０度千鳥配置」の場合に比して、単位面積当たりの突起部３１の数を少なくできる。したがって、「６０度千鳥配置」の場合に比して、生産コストを低減できると共に、マットの軽量化を図ることができる。
【００３２】
（２）突起部３１は、上述のように、線分Ｅが有限の長さを有するように、配置されているので、マットのどの直線方向においても、隙間無く又は略隙間無く、配置されている。したがって、マットは、どの直線方向においても、優れたグリップ力を発揮できる。なお、線分Ｅの幅が１ｍｍ未満の場合には、幅の寸法に関わらず、略同等のグリップ力を発揮できる。一方、線分Ｅの幅が１ｍｍより大きい場合には、特にマットに水や油が付着した状態においてグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。特に、全ての線分Ｅの長さが２０ｍｍ以下である場合には、より優れたグリップ力を発揮できる。一方、線分Ｅの長さが２０ｍｍより長い部位では、特にマットに水や油が付着した状態において上記の場合よりグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。
【００３３】
（３）最長の線分Ｅより長い寸法Ｌを有する長尺物２００の全てが、隣接する突起部３１の間隙３０中に嵌り込んでしまうのを、防止できる。ちなみに、「６０度千鳥配置」の場合では、図５に示されるように、長尺物２００が、間隙３０中に嵌り込んでしまう。例えば、薄い皿が面を垂直にした状態でマット上に落下した場合において、皿のエッジ部分の長さがＬ以上である場合には、本実施形態によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部３１の間隙３０中に嵌り込むのを防止でき、したがって、破損防止効果を発揮できる。しかしながら、「６０度千鳥配置」によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部３１の間隙３０中に嵌り込む危険性を回避できない。なお、線分Ｅの長さが２０ｍｍ以下である場合には、エッジ部分が鋭角な皿であっても、エッジ部分の大部分が間隙３０中に嵌り込むのを防止できる。
【００３４】
更に、本実施形態のゴムマット１０において、本体部１０１の平面視における総面積に対する、突起部３１の上端面３１０の合計面積の割合は、２０〜３５％が好ましい。２０％未満の場合には、十分な衝撃吸収効果を発揮できない場合があり、一方、３５％を超える場合には、マット上に落下した什器の跳ね返り高さが高くなり、落下した什器がマット外に飛び出して床に当って破損する恐れがある。
【００３５】
また、図１及び図２からわかるように、突起部３１は、円柱形を有している。なお、突起部３１は略円柱形でもよい。突起部３１の上端面３１０の直径Ｄは、２〜４ｍｍが好ましく、突起部３１の高さＨは、１．５〜３ｍｍが好ましい。
【００３６】
突起部３１が円柱形又は略円柱形を有していることにより、突起部３１の耐久性を向上できる。また、突起部３１の直径Ｄが、２ｍｍ未満である場合には、突起部３１の耐久性が劣る場合があり、一方、４ｍｍを超える場合には、十分な衝撃吸収効果を発揮するのに必要な数だけの突起部３１を、作ることができない場合があり、また、コップや皿などの什器などがマット上に落下した場合に、跳ね返りが大きくなる場所が生じる恐れがある。また、突起部３１の高さＨが、１．５ｍｍ未満である場合には、マットが品疎になり、また、マットの衝撃吸収効果が充分でない場合があり、一方、３ｍｍを超える場合には、突起部３１の耐久性が劣る場合がある。
【００３７】
なお、本実施形態のゴムマット１０は、更に、次のような構成を有するのが好ましい。
【００３８】
（Ａ）本体部１０１の厚さＴ１は、４〜６ｍｍが好ましい。４ｍｍ未満である場合には、衝撃吸収効果が不充分となる傾向があり、マットの耐久性も不充分となる恐れがある。一方、６ｍｍを超える場合には、歩行しながら床からマットに乗り移る時に、高低差を感じて不快感を抱く場合がある。特に、ゴムマットの場合には、パイルマットと比較して高低差に起因した不快感を抱き易い傾向にある。なお、特に、高低差に起因した不快感を解消するためには、本体部１０１の厚さＴ１は５ｍｍ以下が好ましい。
【００３９】
（Ｂ）発泡ゴム層１の厚さＴ３は、１．５〜４ｍｍが好ましい。１．５ｍｍ未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、４ｍｍを超える場合には、マットを踏んだ時の、マットの沈み込み深さが大きくなり、足の自由度が拘束され易くなり、それ故に、充分な疲労軽減効果を発揮できない恐れがある。
【００４０】
（Ｃ）発泡ゴム層１の発泡倍率は、１．５〜３倍が好ましい。１．５倍未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、３倍を超える場合には、マットを踏んだ時の、マットの沈み込み深さが大きくなり、足の自由度が拘束され易くなり、それ故に、充分な疲労軽減効果を発揮できない恐れがある。
【００４１】
（Ｄ）非発泡ゴム層３の、突起部３１以外の部分の厚さＴ４は、０．５〜２ｍｍが好ましい。０．５ｍｍ未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、２ｍｍを超える場合には、マットを折り曲げたり巻いたりして保管することが難しくなり、取り扱い難くなる。
【００４２】
（Ｅ）非発泡ゴム層３の硬度は、５５〜８０度が好ましい。５５度未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、非発泡ゴム層の硬度が８０度を超える場合には、本体部１０１の柔軟性が損なわれ、マットを折り曲げたり巻いたりして保管することが難しくなり、取り扱い難くなる。なお、この硬度は、デュロメーター・タイプＡ・硬度計によって測定されている。
【００４３】
（Ｆ）エッジ部１０２の端部の厚さＴ２は、１〜３ｍｍが好ましい。１ｍｍ未満である場合には、エッジ部１０２の耐久性が不充分となり易い。一方、３ｍｍ以上である場合には、エッジ部１０２に足が掛かった時に、マットと床との高低差を感じ、不快感を抱く場合がある。なお、特に、耐久性を充分に向上でき、且つ、高低差に起因した不快感を解消するためには、エッジ部１０２の端部の厚さＴ２は１．５〜２ｍｍであるのが好ましい。
【００４４】
（Ｇ）発泡ゴム層１、又は、非発泡ゴム層３及び発泡ゴム層１は、耐オゾン剤を含有しているのが好ましい。これによれば、特にＮＢＲのような耐オゾン性の低いゴムを用いた場合でも、耐久性の良いマットを得ることができる。また、発泡ゴム層１だけでなく、非発泡ゴム層３も、耐オゾン剤を含有した場合には、より耐久性の良いマットを得ることができる。
【００４５】
（Ｈ）補強シート２は、繊維構造体からなっていることが好ましく、特にメッシュ構造を有しているのが好ましい。繊維としては、合成繊維、天然繊維、再生繊維などを、使用できる。メッシュ構造の場合には、軽量であり、しかも、発泡ゴム層１と非発泡ゴム層３とが、メッシュ構造の各目を通して、接触して、確実に接合される、という利点がある。すなわち、発泡ゴム層１と非発泡ゴム層３とを、好適に一体化できるので、より耐久性の良いマットを得ることができる。なお、補強シート２に接着剤処理又は粘着剤処理を施せば、発泡ゴム層１と非発泡ゴム層３とを、更に好適に一体化できる。
【００４６】
（Ｉ）突起部３１は、上端面３１０に、シボ目又は切り込みを有しているのが好ましい。これによれば、スリップ抑制効果などを高めることができる。
【００４７】
（Ｊ）発泡ゴム層１及び／又は非発泡ゴム層３は、抗菌剤及び／又は抗カビ剤を含有してもよい。これによれば、衛生性を更に高めることができる。
【００４８】
次に、上記構成のゴムマット１０の製造方法を、図３を参照しながら説明する。
【００４９】
［ｉ］まず、未加硫発泡ゴムシート１Ａ及び未加硫非発泡ゴムシート３Ａを用意する。両ゴムシート１Ａ、３Ａは、何れも、所定のゴム配合物からなっている。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。なお、ゴムシート１Ａのゴム配合物には、発泡剤が含まれている。
【００５０】
［ii］次に、未加硫発泡ゴムシート１Ａの上に、補強シート２、更には、未加硫非発泡ゴムシート３Ａを、積層して、積層体１００を形成する。このとき、積層体１００の周縁には、一部１０２Ｂを積層体１００に重ねるように、未加硫非発泡ゴムシート３Ａと同じゴム配合物からなる未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａを載せる。なお、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、未加硫非発泡ゴムシート３Ａとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【００５１】
［iii］次に、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの表面に、及び、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａの一部１０２Ｃの表面に、多孔板５を押し付けた状態で、積層体１００を、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、両ゴムシート１Ａ、３Ａ及びゴムテープ１０２Ａを加硫させる。このとき、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの一部が多孔板５の孔５１に流れ込んで加硫され、突起部３１が形成される。なお、図３において、一部１０２Ｃの幅寸法Ｘ１は５〜１０ｍｍが好ましく、一部１０２Ｂの幅寸法Ｘ２は１０〜２０ｍｍが好ましい。また、多孔板５の上面には、離型シート（図示せず）を重ねておく。多孔板５としては、パンチングメタルや、シリコーンゴム製の多孔シートなどを、好ましく使用できる。
【００５２】
なお、このとき、未加硫発泡ゴムシート１Ａの一部が、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの一部と共に、多孔板５の孔５１内に流れ込み、突起部３１内に、未加硫発泡ゴムシート１Ａに由来する発泡ゴム部ができることがある。その場合において、当該発泡ゴム部の突起部３１内における高さは、突起部３１の高さＨの３０％以下が好ましく、１０％以下、更には無いことが最も好ましい。マットの衝撃吸収効果が低下するとともに突起部３１の耐久性が低下するからである。
【００５３】
［iv］次に、得られた非発泡ゴム層３の表面から、及び、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）の表面から、多孔板５を取り外す。
【００５４】
［ｖ］そして、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）を適宜の幅にトリミングしてエッジ部１０２を得る。
【００５５】
これにより、非発泡ゴム層３の表面に多数の突起部３１を有する、ゴムマット１０が、得られる。
【実施例】
【００５６】
（実施例１〜７及び比較例１〜３）
実施例１〜７のゴムマットは、図１〜図３に示される形態を有している。比較例１のゴムマットは、図５に示される形態を有している。比較例２のゴムマットは、図６に示される形態を有している。比較例３のゴムマットは、図７に示される形態を有している。
【００５７】
図５は「６０度千鳥配置」を示している。図５において、多数の突起部３１は、等間隔に配置されており、且つ、隣接する列３Ａ、３Ｂにおいて千鳥状となるように配置されている。図５の配置では、列３Ａの突起部３１と列３Ｂの突起部とで構成される三角形Ｚの頂角αが６０度である。図６は「並列配置」を示している。図６において、多数の突起部３１は、縦方向及び横方向に、等間隔に且つ平行に、並んでいる。図７は「角千鳥配置」を示している。図７において、多数の突起部３１は、隣接する列３Ａ、３Ｂにおいて千鳥状となるように配置されている。図７の配置では、列３Ａの突起部３１と列３Ｂの突起部３１とで構成される二等辺三角形Ｚの頂角βが９０度である。そして、表１は、実施例１〜７及び比較例１〜３の、ゴムマット１０の、８個の構成を、示している。
【００５８】
８個の構成は、「発泡ゴム層１の厚さＴ３」、「非発泡ゴム層３の厚さＴ４」、「突起部３１の高さＨ」、「本体部１０１の厚さＴ１」、「突起部３１の直径Ｄ」、「突起部３１の平均ピッチＰ」、「突起部３１の割合」、及び「隣接する突起部３１の最小の間隙の寸法Ｃ」である。
【００５９】
【表１】
【００６０】
これらの実施例及び比較例のゴムマットは、次のようにして製造した（図３参照）。
【００６１】
［ｉ］未加硫発泡ゴムシート１Ａを用意した。未加硫発泡ゴムシート１Ａは、ＮＢＲポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、発泡剤などを配合してなる、ゴム配合物からなっている。未加硫発泡ゴムシート１Ａのゴム物性は、表２に示されるとおりである。なお、表２に示されるゴム物性は、未加硫発泡ゴムシート１Ａが発泡剤を含有しない状態で加硫された時の物性である。実際には、未加硫発泡ゴムシート１Ａは、加硫によって、２倍に発泡するように、発泡剤を含有している。
【００６２】
【表２】
【００６３】
また、未加硫非発泡ゴムシート３Ａも用意した。未加硫非発泡ゴムシート３Ａは、ＮＢＲポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合してなる、ゴム配合物からなっている。未加硫非発泡ゴムシート３Ａのゴム物性は、表３に示されるとおりである。
【００６４】
【表３】
【００６５】
また、補強シート２として、ポリエステル繊維で構成されたネット構造のシート（具体的には、倉敷紡績株式会社製の商品名「クレネットＥ４５００」)を用意した。
【００６６】
また、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａも用意した。未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、未加硫非発泡ゴムシート３Ａと同じゴム配合物からなっている。なお、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、未加硫非発泡ゴムシート３Ａとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【００６７】
更に、多孔板５として、アルミニウム製のパンチングメタルを用意した。多孔板５は、図４に示されるように、多数の孔５１を上述した「六角形配置」で有しており、隣接する孔５１のピッチＰは５．５ｍｍ、孔５１の径Ｄは３ｍｍである。したがって、この多孔板５を用いて製造されたゴムマット１０の、突起部３１の直径Ｄは３ｍｍ、隣接する突起部３１の間隙３０の寸法Ｃは２．５ｍｍである。
【００６８】
なお、未加硫発泡ゴムシート１Ａ及び未加硫非発泡ゴムシート３Ａは、表１に示される４個の構成の値を満たし得る厚さのものを、各実施例及び比較例に合わせてそれぞれ用意した。ここで、４個の構成とは、「発泡ゴム層１の厚さＴ３」、「非発泡ゴム層３の厚さＴ４」、「突起部３１の高さＨ」、及び「本体部１０１の厚さＴ１」である。また、多孔板５は、表１に示される「突起部３１の高さＨ」を確保できる厚さのものを、各実施例及び比較例に合わせてそれぞれ用意した。
【００６９】
［ii］次に、未加硫発泡ゴムシート１Ａの上に、補強シート２、更には、未加硫非発泡ゴムシート３Ａを、積層して、積層体１００を形成した。なお、このとき、積層体１００の周縁には、一部１０２Ｂを積層体１００に重ねるように、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａを載せた。なお、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、厚さが２ｍｍであり、幅が４．５ｍｍである。
【００７０】
［iii］次に、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの表面に、及び、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａの一部１０２Ｃの表面に、多孔板５を押し付けた状態で、積層体１００を、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、両ゴムシート１Ａ、３Ａ及びゴムテープ１０２Ａを加硫させた。加圧の強さは０．２ＭＰａであり、加熱温度は１８０℃である。
【００７１】
［iv］次に、得られた非発泡ゴム層３の表面から、及び、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）の表面から、多孔板５を取り出した。
【００７２】
［ｖ］そして、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）を、適宜の幅にトリミングして、エッジ部１０２を得た。
【００７３】
このようにして得られたゴムマット１０に関して、５個の効果の評価を行った。その結果を表４に示す。
【００７４】
【表４】
【００７５】
５個の効果の、評価手段は、次のとおりである。
（Ｉ）「衝撃加速度（Ｇ）」
所定の円柱形の重錘を、１０ｃｍの高さから、円柱形の側面がマット表面に平行に衝突するように、マット上に自由落下させた場合の、衝撃加速度を、測定した。ここでは、重錘は、底面の直径が８ｃｍ、高さが１．８ｃｍ、重量が５００ｇである。測定機としては、ウィスター社製のＳＲ１１００−１０００Ｂ衝撃振動加速度レコーダーを用いた。また、同様にして、コンクリート床上に自由落下させた場合の、衝撃加速度も、測定した。なお、表４中における各実施例の数値は、コンクリート床の場合の衝撃加速度を１００とした場合の割合である。
【００７６】
（II）「落下物破損防止効果」
市販のガラスコップ１０個を、飲み口を下に向けて、８５ｃｍの高さから、マット上に自由落下させ、破損したガラスコップの数を求めた。０個の場合は「○」、１〜２個の場合は「△」、３〜５個の場合は「□」、６個以上の場合は「×」、と判定した。
【００７７】
（III）「反発高さ（最大値、ｃｍ）」
市販のガラスコップを、飲み口を下に向けて、８５ｃｍの高さから、マット上に自由落下させ、跳ね上がった高さを、測定した。なお、ガラスコップが割れた場合には、跳ね上がった破片の高さを、測定した。
【００７８】
（IV）「グリップ力の方向性」
使用者が、ゴムマットを踏みしめた際に踏みしめた力が特定の方向において抜けてしまうように感じるか否か、を調べた。感じる場合を「方向性を感じる」と定義する。感じない場合は「○」、微妙に感じる場合は「□」、やや感じる場合は「△」、感じる場合は「×」、と判定した。
【００７９】
（Ｖ）「突起部の破損防止効果」
マットに、上方から、６０ｋｇｆ及び４００ｃｍ２の荷重を、１万回繰り返し加えた場合に、突起部３１が破損したか否かを、求めた。全く破損しなかった場合は「○」、一部分でも破損した場合は「×」、と判定した。
【００８０】
表４に示されるように、実施例１〜７のゴムマットの衝撃加速度は、コンクリート床に比して、かなり小さい。したがって、実施例１〜７のゴムマットは、衝撃吸収効果が優れている。
【００８１】
また、実施例１〜７のゴムマットの落下物破損防止効果は、コンクリート床の場合に比して、優れている。
【００８２】
また、実施例１〜７のゴムマットのその他の効果も、比較例に比して、優れていた。
【００８３】
更に、突起部３１の割合（％）を略同程度に設定した、実施例１及び比較例１〜３を、比較すると、実施例１の種々の効果が優れていることがわかる。したがって、実施例１の突起部３１の配置によれば、突起部３１の数が少ないにも拘わらず、優れた効果を発揮できる。それ故、「六角形配置」は、非常に優れた配置である、と言える。
【産業上の利用可能性】
【００８４】
本発明のゴムマットは、衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れているので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【００８５】
１ 発泡ゴム層 ２ 補強シート ３ 非発泡ゴム層 ３１ 突起部 ３１０ 上端面 １００ 積層体 １０１ 本体部 １０２ エッジ部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れている、ゴムマット、に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
表面に多数の円柱形の突起部を有するゴムマットは、従来から知られており、突起部の配置としては、例えば、図５に示される「６０度千鳥配置」が、知られている。そのような従来のゴムマットでは、突起部３１の間隙３０が、広幅の長い直線通路３００を構成している（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特許第３４５０７７５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
突起部３１の配置が千鳥配置であるような従来のゴムマットでは、突起部３１の間隙３０が、広幅の長い直線通路３００を構成しているので、次のような不具合があった。
（１）この直線通路３００に対して平行な方向においては、グリップ力が比較的弱くなるという傾向がある。
（２）ゴムマットの面方向において、衝撃吸収効果のバラツキが生じる。
（３）ゴムマット上に、コップや皿などの什器などが、落下した場合において、突起部３１上では破損防止効果が充分であっても、広幅の直線通路３００上では破損防止効果が極めて不充分である。
【０００５】
本発明は、衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れている、ゴムマットを、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、本体部と、本体部の周縁のエッジ部と、を有しており、本体部が、表面に、一体に、多数の、円柱形又は略円柱形の突起部を、有している、ゴムマットであって、平面視において、突起部は、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の突起部からなる第１ユニットを構成しており、第１ユニットは、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の第１ユニットからなる第２ユニットを構成しており、第２ユニットは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部の配置形態が構成されている、ことを特徴としている。このような突起部の配置を、「六角形配置」と称する。
【０００７】
本発明は、更に、以下の構成（ａ）〜（ｃ）を採用するのが好ましい。
（ａ）本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、２０〜３５％である。
（ｂ）突起部が、円柱形又は略円柱形を有しており、突起部の上端面の直径が、２〜４ｍｍであり、突起部の高さが、１．５〜３ｍｍであり、最も近接している突起部同士の間隙が、２〜３ｍｍである。
（ｃ）本体部は、発泡ゴム層上に、補強シート、更には、非発泡ゴム層が、積層されて一体化された構造を、有しており、非発泡ゴム層が、表面に、一体に、多数の突起部を、有している。
【発明の効果】
【０００８】
本発明のゴムマットによれば、突起部の配置が「六角形配置」であるので、次のような効果を発揮できる。
【０００９】
（１）隣接する突起部の間隙の寸法が、例えば「６０度千鳥配置」と同じである場合において、本発明のゴムマットは、「６０度千鳥配置」の場合に比して、単位面積当たりの突起部の数を少なくできる。したがって、「６０度千鳥配置」の場合に比して、生産コストを低減できると共に、マットの軽量化を図ることができる。
【００１０】
（２）「六角形配置」においては、平面視において、隣接する突起部の間隙を通る直線の線分を、描いた場合に、突起部のピッチが比較的大きくても、また、突起部の直径が比較的小さくても、どの位置からどの方向（マットの内側へのどの方向）に描いても、線分が有限の長さを有する構成を、設計できる。すなわち、突起部を、千鳥配置などに比して、ランダムに配置できるので、突起部の間隙が広幅の直線通路を構成するのを抑制できる。したがって、マットは、どの直線方向においても、優れたグリップ力を発揮できる。
【００１１】
（３）長尺物の全てが、隣接する突起部の間隙中に嵌り込んでしまうのを、防止できる。例えば、薄い皿が面を垂直にした状態でマット上に落下した場合において、皿のエッジ部分の長さが所定値以上である場合には、本発明によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部の間隙中に嵌り込むのを防止でき、したがって、破損防止効果を発揮できるが、「６０度千鳥配置」の場合によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部の間隙中に嵌り込む危険性を回避できない。
【００１２】
本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、２０％未満の場合には、十分な衝撃吸収効果を発揮できない場合がある。一方、上記割合が３５％を超える場合には、マット上に落下した什器の跳ね返り高さが高くなり、落下した什器がマット外に飛び出して床に当って破損する恐れがある。しかるに、上記構成（ａ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１３】
また、突起部の上端面の直径が２ｍｍ未満である場合には、突起部の耐久性が劣る場合がある。一方、突起部の上端面の直径が４ｍｍを超える場合には、単位面積中に、十分な衝撃吸収効果を発揮するのに必要な数だけの突起部を、作ることができない場合があり、また、コップや皿などの什器などがマット上に落下した場合に、跳ね返りが大きくなる場所が生じる恐れがある。しかるに、上記構成（ｂ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１４】
また、突起部の高さが１．５ｍｍ未満である場合には、マットが品疎になり、また、マットの衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、突起部の高さが３ｍｍを超える場合には、突起部の耐久性が劣る場合がある。しかるに、上記構成（ｂ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１５】
更に、最も近接している突起部同士の間隙が２ｍｍ未満である場合には、突起部と突起部との間に挟まった異物を除去するのが困難である。一方、最も近接している突起部同士の間隙が３ｍｍを超える場合には、衝撃吸収効果が不充分となる恐れがある。しかるに、上記構成（ｂ）によれば、そのような不具合を解消できる。
【００１６】
上記構成（ｃ）によれば、次のような効果を発揮できる。
（ｉ）発泡ゴム層を有しているので、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、単位面積当りの重量を小さくできる。したがって、取り扱い易い。
【００１７】
（ii）非発泡ゴム層は、表面に多数の突起部を有しているので、非発泡ゴム層全体が受ける衝撃を好適に緩和できる。しかも、非発泡ゴム層の下側に発泡ゴム層を有しているので、非発泡ゴム層が受ける衝撃を発泡ゴム層によっても緩和できる。したがって、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、優れた衝撃吸収効果を発揮できる。しかも、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マットを踏んだ時やマット上で長時間立ち仕事をする時などに、好適な疲労軽減効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マット上に、コップや皿などの什器などが落下した場合に、好適な破損防止効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるとともに多数の突起部を有していることから、マット上を歩行する際に、好適なスリップ抑制効果を発揮できる。
【００１８】
（iii）非発泡ゴム層は、表面に突起部を有しており、突起部は、非発泡ゴム層の一部として一体化されて形成されているので、発泡ゴムのみからなるマット及び特許文献１のゴムマットに比して、優れた耐久性を発揮できる。
【００１９】
（iv）非発泡ゴム層の下側に補強シートを有しているので、非発泡ゴム層が受けた衝撃を、更に緩和できる。また、補強シートによってマット全体を補強できるので、マットの耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の一実施形態のゴムマットの平面部分図である。
【図２】図１のII−II矢視断面図である。
【図３】図１のゴムマットの製造方法を示す断面図である。
【図４】図１のゴムマットを製造するための多孔板の平面部分図である。
【図５】従来の「６０度千鳥配置」のゴムマットの平面部分図である。
【図６】従来の「並列配置」のゴムマットの平面部分図である。
【図７】従来の「角千鳥配置」のゴムマットの平面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
図１は、本発明の一実施形態のゴムマットの平面部分図である。図２は、図１のII−II矢視断面図である。なお、図２では、ゴムマットの製造に使用された多孔板の一部も示されている。
【００２２】
本実施形態のゴムマット１０は、本体部１０１とエッジ部１０２とからなっている。エッジ部１０２は、本体部１０１の周縁に形成されている。したがって、本実施形態のゴムマット１０によれば、エッジ部１０２によって、本体部１０１の端部を好適に保護できる。したがって、耐久性の良いマットを得ることができる。
【００２３】
本体部１０１は、発泡ゴム層１上に、補強シート２、更には、非発泡ゴム層３が積層されて一体化された三層構造を、有している。そして、非発泡ゴム層３が、表面に、一体に、多数の突起部３１を有している。エッジ部１０２は、非発泡ゴムからなっている。したがって、本実施形態のゴムマット１０によれば、次のような効果を発揮できる。
【００２４】
（１）発泡ゴム層１を有しているので、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、単位面積当りの重量を小さくできる。したがって、取り扱い易い。
【００２５】
（２）非発泡ゴム層３は、表面に多数の突起部３１を有しているので、非発泡ゴム層３全体が受ける衝撃を好適に緩和できる。しかも、非発泡ゴム層３の下側に発泡ゴム層１を有しているので、非発泡ゴム層３が受ける衝撃を発泡ゴム層１によっても緩和できる。したがって、非発泡ゴムのみからなるマットに比して、優れた衝撃吸収効果を発揮できる。しかも、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マットを踏んだ時やマット上で長時間立ち仕事をする時などに、好適な疲労軽減効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるので、マット上に、コップや皿などの什器などが落下した場合に、好適な破損防止効果を発揮できる。また、優れた衝撃吸収効果を発揮できるとともに多数の突起部３１を有していることから、マット上を歩行する際に、好適なスリップ抑制効果を発揮できる。
【００２６】
（３）非発泡ゴム層３は、表面に突起部３１を有しており、突起部３１は、非発泡ゴム層３の一部として一体化されて形成されているので、発泡ゴムのみからなるマット及び特許文献１のゴムマットに比して、優れた耐久性を発揮できる。
【００２７】
（４）非発泡ゴム層３の下側に補強シート２を有しているので、非発泡ゴム層３が受けた衝撃を、更に緩和できる。また、補強シート２によってマット全体を補強できるので、マットの耐久性を向上できる。
【００２８】
そして、本実施形態において、突起部３１の配置は、図１に示されるような「六角形配置」となっている。すなわち、突起部３１は、一点鎖線Ａで示されるように、小さい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、７個の突起部３１からなるユニットＸが、構成されている。そして、更に、ユニットＸが、一点鎖線Ｂで示されるように、大きい正六角形の各頂点位置とその中心位置とに配置されており、それによって、７個のユニットＸ（すなわち、４９個の突起部３１）からなるユニットＹが、構成されている。そして、ユニットＹが、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されている。なお、正六角形は略正六角形でもよく、頂点位置は略頂点位置でもよく、中心位置は略中心位置でもよい。
【００２９】
突起部３１の上記配置においては、平面視において、隣接する突起部３１の間隙３０を通る直線の線分を、描いた場合に、どの位置からどの方向（マットの内側へのどの方向）に描いても、線分が有限の長さを有している。しかしながら、突起部３１の間隙３０を広く設計した場合や突起部３１の直径Ｄを小さく設計した場合などにおいて、上記線分が有限にならない（直線又は半直線になってしまう）場合であっても、突起部３１の上記配置が、平面視において、隣接する突起部３１の間隙３０を通る、幅１ｍｍの直線の線分Ｅを、描いた場合に、どの位置からどの方向（マットの内側へのどの方向）に描いても、線分Ｅが有限の長さを有していれば、略同等の効果を発揮できる。
【００３０】
突起部３１の配置が「六角形配置」であることにより、本実施形態のゴムマット１０は、次のような効果を発揮できる。
【００３１】
（１）隣接する突起部３１の間隙３０の寸法Ｃが、図５に示される「６０度千鳥配置」の場合と同じである場合において、本実施形態のゴムマット１０は、「６０度千鳥配置」の場合に比して、単位面積当たりの突起部３１の数を少なくできる。したがって、「６０度千鳥配置」の場合に比して、生産コストを低減できると共に、マットの軽量化を図ることができる。
【００３２】
（２）突起部３１は、上述のように、線分Ｅが有限の長さを有するように、配置されているので、マットのどの直線方向においても、隙間無く又は略隙間無く、配置されている。したがって、マットは、どの直線方向においても、優れたグリップ力を発揮できる。なお、線分Ｅの幅が１ｍｍ未満の場合には、幅の寸法に関わらず、略同等のグリップ力を発揮できる。一方、線分Ｅの幅が１ｍｍより大きい場合には、特にマットに水や油が付着した状態においてグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。特に、全ての線分Ｅの長さが２０ｍｍ以下である場合には、より優れたグリップ力を発揮できる。一方、線分Ｅの長さが２０ｍｍより長い部位では、特にマットに水や油が付着した状態において上記の場合よりグリップ力の弱い直線方向が、生じる傾向がある。
【００３３】
（３）最長の線分Ｅより長い寸法Ｌを有する長尺物２００の全てが、隣接する突起部３１の間隙３０中に嵌り込んでしまうのを、防止できる。ちなみに、「６０度千鳥配置」の場合では、図５に示されるように、長尺物２００が、間隙３０中に嵌り込んでしまう。例えば、薄い皿が面を垂直にした状態でマット上に落下した場合において、皿のエッジ部分の長さがＬ以上である場合には、本実施形態によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部３１の間隙３０中に嵌り込むのを防止でき、したがって、破損防止効果を発揮できる。しかしながら、「６０度千鳥配置」によれば、皿のエッジ部分が隣接する突起部３１の間隙３０中に嵌り込む危険性を回避できない。なお、線分Ｅの長さが２０ｍｍ以下である場合には、エッジ部分が鋭角な皿であっても、エッジ部分の大部分が間隙３０中に嵌り込むのを防止できる。
【００３４】
更に、本実施形態のゴムマット１０において、本体部１０１の平面視における総面積に対する、突起部３１の上端面３１０の合計面積の割合は、２０〜３５％が好ましい。２０％未満の場合には、十分な衝撃吸収効果を発揮できない場合があり、一方、３５％を超える場合には、マット上に落下した什器の跳ね返り高さが高くなり、落下した什器がマット外に飛び出して床に当って破損する恐れがある。
【００３５】
また、図１及び図２からわかるように、突起部３１は、円柱形を有している。なお、突起部３１は略円柱形でもよい。突起部３１の上端面３１０の直径Ｄは、２〜４ｍｍが好ましく、突起部３１の高さＨは、１．５〜３ｍｍが好ましい。
【００３６】
突起部３１が円柱形又は略円柱形を有していることにより、突起部３１の耐久性を向上できる。また、突起部３１の直径Ｄが、２ｍｍ未満である場合には、突起部３１の耐久性が劣る場合があり、一方、４ｍｍを超える場合には、十分な衝撃吸収効果を発揮するのに必要な数だけの突起部３１を、作ることができない場合があり、また、コップや皿などの什器などがマット上に落下した場合に、跳ね返りが大きくなる場所が生じる恐れがある。また、突起部３１の高さＨが、１．５ｍｍ未満である場合には、マットが品疎になり、また、マットの衝撃吸収効果が充分でない場合があり、一方、３ｍｍを超える場合には、突起部３１の耐久性が劣る場合がある。
【００３７】
なお、本実施形態のゴムマット１０は、更に、次のような構成を有するのが好ましい。
【００３８】
（Ａ）本体部１０１の厚さＴ１は、４〜６ｍｍが好ましい。４ｍｍ未満である場合には、衝撃吸収効果が不充分となる傾向があり、マットの耐久性も不充分となる恐れがある。一方、６ｍｍを超える場合には、歩行しながら床からマットに乗り移る時に、高低差を感じて不快感を抱く場合がある。特に、ゴムマットの場合には、パイルマットと比較して高低差に起因した不快感を抱き易い傾向にある。なお、特に、高低差に起因した不快感を解消するためには、本体部１０１の厚さＴ１は５ｍｍ以下が好ましい。
【００３９】
（Ｂ）発泡ゴム層１の厚さＴ３は、１．５〜４ｍｍが好ましい。１．５ｍｍ未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、４ｍｍを超える場合には、マットを踏んだ時の、マットの沈み込み深さが大きくなり、足の自由度が拘束され易くなり、それ故に、充分な疲労軽減効果を発揮できない恐れがある。
【００４０】
（Ｃ）発泡ゴム層１の発泡倍率は、１．５〜３倍が好ましい。１．５倍未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、３倍を超える場合には、マットを踏んだ時の、マットの沈み込み深さが大きくなり、足の自由度が拘束され易くなり、それ故に、充分な疲労軽減効果を発揮できない恐れがある。
【００４１】
（Ｄ）非発泡ゴム層３の、突起部３１以外の部分の厚さＴ４は、０．５〜２ｍｍが好ましい。０．５ｍｍ未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、２ｍｍを超える場合には、マットを折り曲げたり巻いたりして保管することが難しくなり、取り扱い難くなる。
【００４２】
（Ｅ）非発泡ゴム層３の硬度は、５５〜８０度が好ましい。５５度未満である場合には、衝撃吸収効果が充分でない場合がある。一方、非発泡ゴム層の硬度が８０度を超える場合には、本体部１０１の柔軟性が損なわれ、マットを折り曲げたり巻いたりして保管することが難しくなり、取り扱い難くなる。なお、この硬度は、デュロメーター・タイプＡ・硬度計によって測定されている。
【００４３】
（Ｆ）エッジ部１０２の端部の厚さＴ２は、１〜３ｍｍが好ましい。１ｍｍ未満である場合には、エッジ部１０２の耐久性が不充分となり易い。一方、３ｍｍ以上である場合には、エッジ部１０２に足が掛かった時に、マットと床との高低差を感じ、不快感を抱く場合がある。なお、特に、耐久性を充分に向上でき、且つ、高低差に起因した不快感を解消するためには、エッジ部１０２の端部の厚さＴ２は１．５〜２ｍｍであるのが好ましい。
【００４４】
（Ｇ）発泡ゴム層１、又は、非発泡ゴム層３及び発泡ゴム層１は、耐オゾン剤を含有しているのが好ましい。これによれば、特にＮＢＲのような耐オゾン性の低いゴムを用いた場合でも、耐久性の良いマットを得ることができる。また、発泡ゴム層１だけでなく、非発泡ゴム層３も、耐オゾン剤を含有した場合には、より耐久性の良いマットを得ることができる。
【００４５】
（Ｈ）補強シート２は、繊維構造体からなっていることが好ましく、特にメッシュ構造を有しているのが好ましい。繊維としては、合成繊維、天然繊維、再生繊維などを、使用できる。メッシュ構造の場合には、軽量であり、しかも、発泡ゴム層１と非発泡ゴム層３とが、メッシュ構造の各目を通して、接触して、確実に接合される、という利点がある。すなわち、発泡ゴム層１と非発泡ゴム層３とを、好適に一体化できるので、より耐久性の良いマットを得ることができる。なお、補強シート２に接着剤処理又は粘着剤処理を施せば、発泡ゴム層１と非発泡ゴム層３とを、更に好適に一体化できる。
【００４６】
（Ｉ）突起部３１は、上端面３１０に、シボ目又は切り込みを有しているのが好ましい。これによれば、スリップ抑制効果などを高めることができる。
【００４７】
（Ｊ）発泡ゴム層１及び／又は非発泡ゴム層３は、抗菌剤及び／又は抗カビ剤を含有してもよい。これによれば、衛生性を更に高めることができる。
【００４８】
次に、上記構成のゴムマット１０の製造方法を、図３を参照しながら説明する。
【００４９】
［ｉ］まず、未加硫発泡ゴムシート１Ａ及び未加硫非発泡ゴムシート３Ａを用意する。両ゴムシート１Ａ、３Ａは、何れも、所定のゴム配合物からなっている。そのゴム配合物におけるゴム成分としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどを、使用でき、特に、コスト及び耐油性の観点から、ニトリルゴムを好ましく使用できる。なお、ゴムシート１Ａのゴム配合物には、発泡剤が含まれている。
【００５０】
［ii］次に、未加硫発泡ゴムシート１Ａの上に、補強シート２、更には、未加硫非発泡ゴムシート３Ａを、積層して、積層体１００を形成する。このとき、積層体１００の周縁には、一部１０２Ｂを積層体１００に重ねるように、未加硫非発泡ゴムシート３Ａと同じゴム配合物からなる未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａを載せる。なお、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、未加硫非発泡ゴムシート３Ａとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【００５１】
［iii］次に、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの表面に、及び、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａの一部１０２Ｃの表面に、多孔板５を押し付けた状態で、積層体１００を、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、両ゴムシート１Ａ、３Ａ及びゴムテープ１０２Ａを加硫させる。このとき、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの一部が多孔板５の孔５１に流れ込んで加硫され、突起部３１が形成される。なお、図３において、一部１０２Ｃの幅寸法Ｘ１は５〜１０ｍｍが好ましく、一部１０２Ｂの幅寸法Ｘ２は１０〜２０ｍｍが好ましい。また、多孔板５の上面には、離型シート（図示せず）を重ねておく。多孔板５としては、パンチングメタルや、シリコーンゴム製の多孔シートなどを、好ましく使用できる。
【００５２】
なお、このとき、未加硫発泡ゴムシート１Ａの一部が、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの一部と共に、多孔板５の孔５１内に流れ込み、突起部３１内に、未加硫発泡ゴムシート１Ａに由来する発泡ゴム部ができることがある。その場合において、当該発泡ゴム部の突起部３１内における高さは、突起部３１の高さＨの３０％以下が好ましく、１０％以下、更には無いことが最も好ましい。マットの衝撃吸収効果が低下するとともに突起部３１の耐久性が低下するからである。
【００５３】
［iv］次に、得られた非発泡ゴム層３の表面から、及び、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）の表面から、多孔板５を取り外す。
【００５４】
［ｖ］そして、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）を適宜の幅にトリミングしてエッジ部１０２を得る。
【００５５】
これにより、非発泡ゴム層３の表面に多数の突起部３１を有する、ゴムマット１０が、得られる。
【実施例】
【００５６】
（実施例１〜７及び比較例１〜３）
実施例１〜７のゴムマットは、図１〜図３に示される形態を有している。比較例１のゴムマットは、図５に示される形態を有している。比較例２のゴムマットは、図６に示される形態を有している。比較例３のゴムマットは、図７に示される形態を有している。
【００５７】
図５は「６０度千鳥配置」を示している。図５において、多数の突起部３１は、等間隔に配置されており、且つ、隣接する列３Ａ、３Ｂにおいて千鳥状となるように配置されている。図５の配置では、列３Ａの突起部３１と列３Ｂの突起部とで構成される三角形Ｚの頂角αが６０度である。図６は「並列配置」を示している。図６において、多数の突起部３１は、縦方向及び横方向に、等間隔に且つ平行に、並んでいる。図７は「角千鳥配置」を示している。図７において、多数の突起部３１は、隣接する列３Ａ、３Ｂにおいて千鳥状となるように配置されている。図７の配置では、列３Ａの突起部３１と列３Ｂの突起部３１とで構成される二等辺三角形Ｚの頂角βが９０度である。そして、表１は、実施例１〜７及び比較例１〜３の、ゴムマット１０の、８個の構成を、示している。
【００５８】
８個の構成は、「発泡ゴム層１の厚さＴ３」、「非発泡ゴム層３の厚さＴ４」、「突起部３１の高さＨ」、「本体部１０１の厚さＴ１」、「突起部３１の直径Ｄ」、「突起部３１の平均ピッチＰ」、「突起部３１の割合」、及び「隣接する突起部３１の最小の間隙の寸法Ｃ」である。
【００５９】
【表１】
【００６０】
これらの実施例及び比較例のゴムマットは、次のようにして製造した（図３参照）。
【００６１】
［ｉ］未加硫発泡ゴムシート１Ａを用意した。未加硫発泡ゴムシート１Ａは、ＮＢＲポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、発泡剤などを配合してなる、ゴム配合物からなっている。未加硫発泡ゴムシート１Ａのゴム物性は、表２に示されるとおりである。なお、表２に示されるゴム物性は、未加硫発泡ゴムシート１Ａが発泡剤を含有しない状態で加硫された時の物性である。実際には、未加硫発泡ゴムシート１Ａは、加硫によって、２倍に発泡するように、発泡剤を含有している。
【００６２】
【表２】
【００６３】
また、未加硫非発泡ゴムシート３Ａも用意した。未加硫非発泡ゴムシート３Ａは、ＮＢＲポリマーに、加硫促進助剤、活性剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合してなる、ゴム配合物からなっている。未加硫非発泡ゴムシート３Ａのゴム物性は、表３に示されるとおりである。
【００６４】
【表３】
【００６５】
また、補強シート２として、ポリエステル繊維で構成されたネット構造のシート（具体的には、倉敷紡績株式会社製の商品名「クレネットＥ４５００」)を用意した。
【００６６】
また、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａも用意した。未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、未加硫非発泡ゴムシート３Ａと同じゴム配合物からなっている。なお、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、未加硫非発泡ゴムシート３Ａとは異なるゴム配合物からなってもよい。
【００６７】
更に、多孔板５として、アルミニウム製のパンチングメタルを用意した。多孔板５は、図４に示されるように、多数の孔５１を上述した「六角形配置」で有しており、隣接する孔５１のピッチＰは５．５ｍｍ、孔５１の径Ｄは３ｍｍである。したがって、この多孔板５を用いて製造されたゴムマット１０の、突起部３１の直径Ｄは３ｍｍ、隣接する突起部３１の間隙３０の寸法Ｃは２．５ｍｍである。
【００６８】
なお、未加硫発泡ゴムシート１Ａ及び未加硫非発泡ゴムシート３Ａは、表１に示される４個の構成の値を満たし得る厚さのものを、各実施例及び比較例に合わせてそれぞれ用意した。ここで、４個の構成とは、「発泡ゴム層１の厚さＴ３」、「非発泡ゴム層３の厚さＴ４」、「突起部３１の高さＨ」、及び「本体部１０１の厚さＴ１」である。また、多孔板５は、表１に示される「突起部３１の高さＨ」を確保できる厚さのものを、各実施例及び比較例に合わせてそれぞれ用意した。
【００６９】
［ii］次に、未加硫発泡ゴムシート１Ａの上に、補強シート２、更には、未加硫非発泡ゴムシート３Ａを、積層して、積層体１００を形成した。なお、このとき、積層体１００の周縁には、一部１０２Ｂを積層体１００に重ねるように、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａを載せた。なお、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａは、厚さが２ｍｍであり、幅が４．５ｍｍである。
【００７０】
［iii］次に、未加硫非発泡ゴムシート３Ａの表面に、及び、未加硫非発泡ゴムテープ１０２Ａの一部１０２Ｃの表面に、多孔板５を押し付けた状態で、積層体１００を、厚さ方向に、加圧し且つ加熱して、両ゴムシート１Ａ、３Ａ及びゴムテープ１０２Ａを加硫させた。加圧の強さは０．２ＭＰａであり、加熱温度は１８０℃である。
【００７１】
［iv］次に、得られた非発泡ゴム層３の表面から、及び、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）の表面から、多孔板５を取り出した。
【００７２】
［ｖ］そして、得られた非発泡ゴムテープ（すなわち加硫非発泡ゴムテープ部）を、適宜の幅にトリミングして、エッジ部１０２を得た。
【００７３】
このようにして得られたゴムマット１０に関して、５個の効果の評価を行った。その結果を表４に示す。
【００７４】
【表４】
【００７５】
５個の効果の、評価手段は、次のとおりである。
（Ｉ）「衝撃加速度（Ｇ）」
所定の円柱形の重錘を、１０ｃｍの高さから、円柱形の側面がマット表面に平行に衝突するように、マット上に自由落下させた場合の、衝撃加速度を、測定した。ここでは、重錘は、底面の直径が８ｃｍ、高さが１．８ｃｍ、重量が５００ｇである。測定機としては、ウィスター社製のＳＲ１１００−１０００Ｂ衝撃振動加速度レコーダーを用いた。また、同様にして、コンクリート床上に自由落下させた場合の、衝撃加速度も、測定した。なお、表４中における各実施例の数値は、コンクリート床の場合の衝撃加速度を１００とした場合の割合である。
【００７６】
（II）「落下物破損防止効果」
市販のガラスコップ１０個を、飲み口を下に向けて、８５ｃｍの高さから、マット上に自由落下させ、破損したガラスコップの数を求めた。０個の場合は「○」、１〜２個の場合は「△」、３〜５個の場合は「□」、６個以上の場合は「×」、と判定した。
【００７７】
（III）「反発高さ（最大値、ｃｍ）」
市販のガラスコップを、飲み口を下に向けて、８５ｃｍの高さから、マット上に自由落下させ、跳ね上がった高さを、測定した。なお、ガラスコップが割れた場合には、跳ね上がった破片の高さを、測定した。
【００７８】
（IV）「グリップ力の方向性」
使用者が、ゴムマットを踏みしめた際に踏みしめた力が特定の方向において抜けてしまうように感じるか否か、を調べた。感じる場合を「方向性を感じる」と定義する。感じない場合は「○」、微妙に感じる場合は「□」、やや感じる場合は「△」、感じる場合は「×」、と判定した。
【００７９】
（Ｖ）「突起部の破損防止効果」
マットに、上方から、６０ｋｇｆ及び４００ｃｍ２の荷重を、１万回繰り返し加えた場合に、突起部３１が破損したか否かを、求めた。全く破損しなかった場合は「○」、一部分でも破損した場合は「×」、と判定した。
【００８０】
表４に示されるように、実施例１〜７のゴムマットの衝撃加速度は、コンクリート床に比して、かなり小さい。したがって、実施例１〜７のゴムマットは、衝撃吸収効果が優れている。
【００８１】
また、実施例１〜７のゴムマットの落下物破損防止効果は、コンクリート床の場合に比して、優れている。
【００８２】
また、実施例１〜７のゴムマットのその他の効果も、比較例に比して、優れていた。
【００８３】
更に、突起部３１の割合（％）を略同程度に設定した、実施例１及び比較例１〜３を、比較すると、実施例１の種々の効果が優れていることがわかる。したがって、実施例１の突起部３１の配置によれば、突起部３１の数が少ないにも拘わらず、優れた効果を発揮できる。それ故、「六角形配置」は、非常に優れた配置である、と言える。
【産業上の利用可能性】
【００８４】
本発明のゴムマットは、衝撃吸収効果及びスリップ抑制効果などが優れており、更には耐久性も優れているので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【００８５】
１ 発泡ゴム層 ２ 補強シート ３ 非発泡ゴム層 ３１ 突起部 ３１０ 上端面 １００ 積層体 １０１ 本体部 １０２ エッジ部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
本体部と、本体部の周縁のエッジ部と、を有しており、
本体部が、表面に、一体に、多数の、円柱形又は略円柱形の突起部を、有している、ゴムマットであって、
平面視において、突起部は、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の突起部からなる第１ユニットを構成しており、第１ユニットは、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の第１ユニットからなる第２ユニットを構成しており、第２ユニットは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部の配置形態が構成されている、
ことを特徴とするゴムマット。
【請求項２】
本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、２０〜３５％である、
請求項１記載のゴムマット。
【請求項３】
突起部が、円柱形又は略円柱形を有しており、
突起部の上端面の直径が、２〜４ｍｍであり、
突起部の高さが、１．５〜３ｍｍであり、
最も近接している突起部同士の間隙が、２〜３ｍｍである、
請求項１記載のゴムマット。
【請求項４】
本体部は、発泡ゴム層上に、補強シート、更には、非発泡ゴム層が、積層されて一体化された構造を、有しており、
非発泡ゴム層が、表面に、一体に、多数の突起部を、有している、
請求項１記載のゴムマット。
【請求項１】
本体部と、本体部の周縁のエッジ部と、を有しており、
本体部が、表面に、一体に、多数の、円柱形又は略円柱形の突起部を、有している、ゴムマットであって、
平面視において、突起部は、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の突起部からなる第１ユニットを構成しており、第１ユニットは、その中心が、正六角形又は略正六角形の、全ての頂点位置又は略頂点位置に、及び、中心位置又は略中心位置に、在るよう、配置されて、７個の第１ユニットからなる第２ユニットを構成しており、第２ユニットは、互いに重ならないように且つ四方に並んで、配置されており、これにより、突起部の配置形態が構成されている、
ことを特徴とするゴムマット。
【請求項２】
本体部の平面視における総面積に対する、突起部の上端面の合計面積の割合が、２０〜３５％である、
請求項１記載のゴムマット。
【請求項３】
突起部が、円柱形又は略円柱形を有しており、
突起部の上端面の直径が、２〜４ｍｍであり、
突起部の高さが、１．５〜３ｍｍであり、
最も近接している突起部同士の間隙が、２〜３ｍｍである、
請求項１記載のゴムマット。
【請求項４】
本体部は、発泡ゴム層上に、補強シート、更には、非発泡ゴム層が、積層されて一体化された構造を、有しており、
非発泡ゴム層が、表面に、一体に、多数の突起部を、有している、
請求項１記載のゴムマット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１１−４５６４１（Ｐ２０１１−４５６４１Ａ）
【公開日】平成２３年３月１０日（２０１１．３．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１９８１９０（Ｐ２００９−１９８１９０）
【出願日】平成２１年８月２８日（２００９．８．２８）
【出願人】（０００１３３４４５）株式会社ダスキン (119)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月１０日（２０１１．３．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年８月２８日（２００９．８．２８）
【出願人】（０００１３３４４５）株式会社ダスキン (119)
【Ｆターム（参考）】
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