説明

ゴム混合物のための新規な加工活性物質

【課題】加硫ゴム混合物の機械的性質が損なわれることなしに、容易に加工され得る、特に低い混合物粘度と延長された初期の加硫時間を有する流動性のゴム混合物を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種のジエンエラストマー、少なくとも1種の淡色の充填剤、トリメチロールプロパンおよび少なくとも1種の脂肪酸および場合により更なるゴム添加剤を含む加硫可能な混合物。充填剤含有ゴム混合物の混合物粘度において有意の減少効果を有し、その結果、有意に改良された加工性およびゴム混合物の残りの成分を添加することが容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混合物、特に淡色の充填剤を含むゴム混合物、特にシリカ含有ゴム混合物のための新規な加工活性物質、並びに、トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む、それらを含むゴム混合物に関する。前記のゴム混合物は、加硫ゴム混合物の機械的な性質を損なうことなしに非常に良好な加工性を有する。
【背景技術】
【0002】
シリカ含有ゴム又はタイヤ混合物は、カーボンブラックに比べると高い混合物粘度を有していて、それらはゴムの製造のための従来の装置において困難を伴ってようやく加工され得る。
【0003】
DE−A 2 255 577及びDE 4 435 311、EP−A 670 347、US4,709,065及びWO00/05301には、シリカ含有ゴム加硫製品のための強化添加剤としてある種のポリスルフィド系シランが開示されている。しかしながら、シリカ含有ゴム加硫製品のための強化添加剤としてそこに開示されているポリスルフィド系シランを使用することの欠点は、受容できる加工性を達成するために比較的多量の高価なポリスルフィド系シランが必要とされることである。
【0004】
シリカ含有ゴム混合物の加工性を改良するために、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸塩又は鉱油のような添加剤が提案されている。しかしながら、前記の添加剤は、流動性を増加するが、同時に比較的高い伸び(例えば100〜300%)における応力値を減少させ、充填剤の強化作用が損なわれるという不利益を有している。
【0005】
さらに加工性を改良するためにゴム混合物にポリアルコール及びポリグリコールを加えることも知られている(EP−A 761 734及びEP−A 738 755)。しかしながら、ポリアルコール及びポリグリコールは、流動性及び初期の加硫時間の改良に関して不十分である。
【0006】
EP0947548には、特別な粘度を有する工業的なトリメチロールプロパン製造からの蒸留残渣を含むゴム混合物が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、加硫ゴム混合物の機械的性質が損なわれることなしに、容易に加工され得る、特に低い混合物粘度と延長された初期の加硫時間を有する流動性のゴム混合物を提供することにあった。驚くべきことに、本発明の発明者は、トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む混合物が、充填剤含有ゴム混合物の混合物粘度において有意の減少効果を有し、その結果、有意に改良された加工性及びゴム混合物の残りの成分の加入の容易性をもたらすことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それゆえに、本発明は、
a)少なくとも1種のジエンエラストマー
b)少なくとも1種の淡色の充填剤
c)トリメチロールプロパン
d)少なくとも1種の脂肪酸及び
e)任意選択的に更なるゴム添加剤
を含む加硫可能なゴム混合物を提供する。
【0009】
成分a)ジエンエラストマー
本発明によれば、ジエンエラストマーは、ホモポリマー又は(2種以上のモノマーの)コポリマーであり、ジエンモノマー(共役又は非共役の2つの炭素−炭素2重結合を含むモノマー)を含むエラストマーを意味するものとして便宜的に理解される。そのようなジエンエラストマーは、例えば、
(i)4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって製造されるホモポリマー;
(ii)1種又は複数種の共役ジエンの互いの、及び/又は1種又は複数種の8〜20個の炭素原子を有する芳香族ビニル化合物との共重合によって製造されるコポリマー;
(iii)エチレン、3〜6個の炭素原子を有するα−オレフィン及び6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーの共重合によって製造される3元コポリマー、例えばエチレン、プロピレン及び前記のタイプの非共役ジエンモノマー、特に1,4−ヘキサジエン、ノルボネン−エチリデン及びジシクロペンダジエンから出発して製造されるエラストマー;
(iv)イソブテン及びイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)及びハロゲン化された、特に塩素化又は臭素化されたタイプのこれらのコポリマー
を含む。
【0010】
原則として、全てのタイプのジエンエラストマーが、本発明によって使用され得る。しかしながら、タイヤ又は空気タイヤのスレッドにおける使用のためには、実質的に不飽和のジエンエラストマー、特に好ましくは少なくとも50モル%の共役ジエン単位の含有量を有する前記の(i)又は(ii)のタイプのエラストマーが、特に好適である。
【0011】
前記の共役ジエンの中では、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ−(C1〜C5アルキル)−1,3−ブタジエン、例えば2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン及び2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、アリール−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び2,4−ヘキサジエンが特に好適である。
【0012】
前記の芳香族ビニル化合物の中で、例えば、スチレン、オルト−、メタ−及びパラ−メチルスチレン、市販の「ビニルトルエン」混合物、パラ−t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン及びビニルナフタレンが好適である。
【0013】
前記のコポリマーは、好ましくは99〜20重量%のジエン単位及び1〜80重量%のビニル芳香族単位を含むことができる。前記のエラストマーは、目的とするいかなるミクロ構造も有することができ、それは、従う重合条件、特に変性剤及び/又はランダム化剤の存在又は不存在、並びに、使用される変性剤及び/又はランダム化剤の量に左右される。前記のエラストマーは、例えばブロックポリマー、ランダムポリマー、シーケンシャル(sequential)ポリマー又はミクロシーケンシャル(microsequential)ポリマーであることができ;それらは分散又は溶液で製造することができ;それらは、結合され、及び/又はグラフトされ、又は星形に分岐され、又はカップリング剤及び/又はグラフト剤又は官能基化剤で官能基化されていてもよい。
【0014】
好ましいポリマーは、ポリブタジエン、特に4〜80%の範囲内の1,2−結合単位の含有量を有するポリブタジエン又は80%より多いシス−1,4結合単位を有するポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは20〜40重量%のスチレン含有量を有し、好ましくは4〜65%の範囲内の1,2結合のブタジエン単位の含有量を有し、さらに好ましくは20〜80%の範囲内のトランス−1,4結合の含有量を有するコポリマー、ブタジエン/イソプレンコポリマー、好ましくは5〜90重量%の範囲内のイソプレン含有量及び−40〜−80℃のガラス転移温度(Tg)を有するコポリマー、及びイソプレン/スチレンコポリマー、好ましくは5〜50重量%のスチレン含有量及び−25〜−50℃の範囲内のTgを有するコポリマーである。
【0015】
ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの中では、5〜50重量%、及び特に10〜40重量%のスチレン含有量、15〜60重量%、及び特に20〜50重量%のイソプレン含有量、5〜50重量%、及び特に20〜40%のブタジエン含有量、4〜85%の1,2−結合ブタジエン単位の含有量、6〜80%のトランス1,4−結合ブタジエンの含有量、5〜70%の範囲内の1,2−及び3,4−結合されたイソプレン単位の含有量及び10〜50%の範囲内のトランス−1,4−結合されたイソプレン単位の含有量を有するそれらのコポリマーが特に好適であり、そしてさらに−20〜−70℃の範囲内のTgを有するブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが望ましい。
【0016】
ジエンエラストマーは、好ましくはポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、ブタジエン/イソプレンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマー(SBIR)又はこれらの化合物の2種以上の混合物から選択される。
【0017】
S−SBR、S−SBR/NR、S−SBR/NR/BR及びS−SBR/BRが特に好ましい。
【0018】
本発明によって製造された組成物は、好ましくは空気タイヤのスレッドストリップ用を企図するものであり、この場合、ジエンエラストマーは好ましくはブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)であり、それは、任意選択的にポリブタジエン(BR)及び/又は天然ゴム(NR)との混合物で使用される。
【0019】
さらに好ましくは、前記のジエンエラストマーは、20〜30重量%のスチレン含有量、15〜65%の範囲内のブタジエン含有量のビニル結合含有量、15〜75%の範囲内のトランス−1,4−結合の含有量及び−20〜−55℃のガラス転移温度を有する溶液状で製造されるS−SBR(溶剤スチレン/ブタジエンゴム)であり、このブタジエン/スチレンコポリマーは、任意選択的にポリブタジエン及び/又は天然ゴムとの混合物で使用することもでき、そのポリブタジエンは、好ましくは90%より多いシス−1,4結合を含むことができる。
【0020】
本発明で製造される組成物は、1種又は複数種のジエンエラストマーを含むことができる。さらに、ジエンエラストマーと異なる所望の合成エラストマー及び非エラストマー、例えば熱可塑性ポリマーを加えることができる。
【0021】
本発明によってゴム混合物を製造するために使用されるジエンエラストマーは、特に天然ゴム及び合成ゴムを含む。好ましい合成ゴムは、例えばW.Hofmann,Kautschuktechnologie「ゴム技術(Rubber Technology)」,Genter Verlag,Stuttgart 1980に記載されており、とりわけ:
BR−ポリブタジエン
ABR−ブタジエン/アクリル酸C1〜C4アルキルエステルコポリマー
CR−ポリクロロプレン
IR−ポリイソプレン
SBR−1〜60、好ましくは20〜50重量%のスチレン含有量を有するスチレン/ブタジエンコポリマー
IIR−イソブチレン/イソプレンコポリマー
NBR−5〜60、好ましくは10〜40重量%のアクリロニトリル含有量を有するブタジエン/アクリロニトリルコポリマー
HNBR−部分水素化又は完全水素化されたNBRゴム
EPDM−エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー
及びこれらのゴムの混合物
を含む。
【0022】
既述の自動車タイヤの製造に関しては、天然ゴム、乳化SBRゴム、及び溶液状SBRゴム及び/又はポリブタジエンゴムの混合物が特に好ましい。20〜60重量%のビニル含有量を有する溶液状SBRゴムの使用及びニッケル、コバルト、チタン及び/又はネオジウムに基づく触媒で製造された高い1,4−シスの含有量(>90%)を有するポリブタジエン、及び75%までのビニル含有量を有するポリブタジエンゴム、及び前記の溶液状SBR及びポリブタジエンゴムの混合物が、本発明によるゴム混合物での使用に特に有利である。
【0023】
成分b)(淡色の充填剤)
本発明の関係において淡色の充填剤は、補強充填剤を含む。
【0024】
本発明の関係において補強充填剤は、好ましくは、10〜100重量%の添加で少なくとも100%の引張り応力の増加効果を有するような充填剤である。
【0025】
1種又は複数種の淡色の補強充填剤が、本発明によって使用され得る。本発明の関係において「淡色の」は、特にカーボンブラックを除外する。それにもかかわらず、本発明によれば、淡色の充填剤に加えてカーボンブラック、特に、空気タイヤ及び特に空気タイヤのスレッドストリップに従来使用されているHAF、ISAF及びSAFタイプのカーボンブラックを使用することができる。列挙され得るこれらのカーボンブラックの例は、後述されるそれらのタイプに加えて、N115、N134、N234、N339、N347及びN375である。
【0026】
しかしながら、淡色の補強充填剤の含有量は、使用される補強充填剤の合計量に対して50重量%より多く、好ましくは80重量%より多い。カーボンブラックの含有量は、好ましくは50重量%より少なく、さらに好ましくは、20重量%より少ない。好ましい形態においては、本発明による方法においては、カーボンブラックは全く加えられない。補強の淡色の充填剤は、好ましくは例えばシリカ(SiO)若しくは酸化アルミニウム(Al)又はそれらの混合物のような酸化物の充填剤である。使用されるシリカは、専門家に知られている所望の補強シリカ、特にBET表面積及びCTABで定量された特定の表面積が両方共に450m/gより少ない所望の沈殿シリカ又は焼成シリカであり得、特に本発明が低い転がり抵抗を有するタイヤを製造するために使用される場合、高度に分散され得る沈殿シリカが好ましい。好ましい高度に分散され得るシリカの例は、例えば、Perkasil KS 430(AKZO)、BV 3380及びUltrasil 7000(Degussa)、Zeosil 1165 MP及び1115 MP(Rhodia)、Hi−Sil 2000(PPG)、Zeopol 8715、8741又は8745(Huber)及び処理された沈殿シリカ、例えばEP−A−0 735 088に記載されているアルミニウムで「ドープされた」シリカを含む。1種又は複数種のタイプのシリカが使用され得る。同様に、酸化アルミニウムは、好ましくはEP−A−0 810 258に記載されている高度に分散され得る酸化アルミニウムである。例は、A125又はCR125(Baikowski)、APA−100RDX(Condea)、酸化アルミニウムC(Degussa)、及びAKP−GO 15(住友化学)を含む。
【0027】
淡色の補強充填剤は、粉末、マイクロビーズ、粒状又は球状の形であり得る。好ましい実施形態においては、シリカ及び/又は酸化アルミニウムが使用される。シリカ、特に例えばケイ酸塩溶液の沈殿又はハロゲン化ケイ素のフレーム加水分解によって製造され、5〜1,000、好ましくは20〜400m/g(BET表面積)の特定の表面積を有し、及び/又は10〜400nmの一次粒子サイズを有する高度に分散され得るシリカが、特に好ましい。シリカは、任意選択的にまた、例えばAl、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、又はTiの酸化物のような他の金属酸化物との混合酸化物の形態であり得る。合成シリケート、例えば20〜400m/gのBET表面積及び10〜400nmの一次粒子径を有するアルミニウムシリケート、アルカリ土類金属シリケート、例えばマグネシウムシリケート又はカルシウムシリケート;天然シリケート、例えばカオリン及びその他の天然由来のシリカ、ガラス繊維及びガラス繊維製品(マット、ストランド)又はガラスマイクロビーズ;金属酸化物、例えば酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム;金属炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛;金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが、同様に好適であるが、好ましくは、好ましく使用されるシリカとの混合物でのみ使用される。前記の淡色の充填剤は、好ましくはジエンエラストマーの100重量部に対して、1〜200重量部、特に10〜150重量部で使用される。
【0028】
既述のように、カーボンブラックもまたある範囲まで充填剤として使用することができる。それらは、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、又はGPFカーボンブラックのように例えば火炎ブラック又は炉又はガスブラックプロセスによって製造され、20〜200m/gのBET表面積を有している。さらに、ゴムゲルもまた本発明によるゴム混合物に充填剤として付加的に添加することができる。そのようなゴムゲルは、特にポリブタジエン、ポリクロロプレン、NBR又はSBRゴムに基づくものである。
【0029】
補強の淡色の充填剤及び任意選択的に更なる充填剤、例えばカーボンブラックの合計の含有量は、成分a)のジエンエラストマーの100重量部につき、好ましくは10〜300重量部、さらに好ましくは30〜250重量部、特に好ましくは50〜200重量部の範囲内である。最適量は、使用される淡色の充填剤の性質及び所望される用途に左右される。自転車タイヤは、自動車又は例えば重量物資運搬車のような商業運搬車の空気タイヤより低い程度の補強しか必要ではない。
【0030】
成分c)(トリメチロールプロパン)
本発明によるゴム混合物は、成分c)としてトリメチロールプロパン(TMP:2−ヒドロキシメチル−2−エチル−プロパン−1,3−ジオール)を含む。それは、一般的に約90%の収率でのn−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとのアルドール縮合及び還元及びその後の蒸留によって仕上げることによって工業的に製造される。この関係で、例えばUllmann,Verlag Chemie,Weinheim 1976(4)7,231頁及びそこに引用された文献を参照することができる。成分d)と同様にTMPは、特に加工中のゴム混合物の粘度を低下させることができる助剤として、シリカ含有ゴム混合物の加工性を改良する役目を果たす。本発明によるゴム混合物は、好ましくは成分a)の100重量部に対して、約0.5〜10重量部の量でトリメチロールプロパンを含有する。TMPは、特に好ましくは、より詳細に後記される成分d)との混合物で、本発明によるゴム混合物に添加される。
【0031】
成分d)脂肪酸
本発明によるゴム混合物は、好ましくは成分d)として少なくとも1種の脂肪酸を含む。前記の成分c)と同様に、脂肪酸は、シリカ含有ゴム混合物の加工性を改良するための助剤、特に加工中のゴム混合物の粘度を低下させることができる助剤としての役目を果たす。好適な脂肪酸は、天然由来の及び合成の脂肪酸及びそれらの混合物を含む。炭素数6〜22、好ましくは8〜20を有する飽和及び不飽和の脂肪族の直鎖、分岐又は環状のカルボン酸、及びそれらの混合物が好ましい。
【0032】
その例は、天然由来の飽和脂肪酸、例えばカプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキン酸(エイコサン酸)、ベヘニン酸(ドコサン酸)、リグノセリン酸(テトラコサン酸)及びセロチン酸(ヘキサコサン酸)及びこれらの混合物である。2−エチルヘキサン酸もさらに使用され得る。
【0033】
更なる例は、モノ−又はポリ−不飽和脂肪酸及びそれらの混合物、例えばミリストレイン酸(9:10テトラデセン酸)、パルミトオレイン酸(9:10ヘキサデセン酸)、オレイン酸(9:10オクタデセン酸)、バクセン酸(11:12オクタデセン酸)、ペトロセリン酸(6:7オクタデセン酸)、ガドレン酸(9:10エイコセン酸)、11:12エイコセン酸、エルシン酸(12:14ドコセン酸)、リノール酸(9:10 12:13オクタデカジエン酸)、リノレイン酸(オクタデカトリエン酸)等及びそれらの混合物である。
【0034】
更なる例は、飽和又は不飽和のヒドロキシ置換脂肪酸、例えばリレノレイン酸、及び脂環族側鎖を有する脂肪酸、特にシクロペンチル脂肪酸である。
【0035】
脂肪酸混合物、例えば天然原材料に基づくもの及び例えば脂肪酸開裂によって製造されるもの、例えばヤシ、菜種及び大豆の脂肪酸、及びそのフラクション、その他の主として例えばトール油脂肪酸及び、特に獣脂(tallow)脂肪酸のような脂肪酸を含む工業的混合物もまた特に好適である。
【0036】
特に好ましい脂肪酸は、例えば豚、牛又は魚のような動物廃棄物からの蒸留製品、特にRadiacid(登録商標)409(Oleon)の名前で入手され得る非水素化又は水素化のいわゆる獣脂脂肪酸混合物である。
【0037】
本発明によるゴム混合物は、好ましくは成分a)の100重量部に基づいて約0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の量で脂肪酸を含む。
【0038】
成分c)及びd)は、特に好ましくは、それらを含む混合物の形で前記のゴム混合物へ添加される。それゆえに本発明は、成分c)及びd)を含む混合物及びそれらのゴム混合物、特に淡色の充填剤を含むゴム混合物、特にシリカ含有ゴム混合物のための加工助剤としての使用にも関する。特に、シリカの使用は、ポリマーマトリックスにおける増粘作用をもたらす。前記の混合物の使用は、驚くべきことに加硫ゴム混合物の機械的な性質の劣化を起こさずに、特にゴム混合物の流動性の増大、すなわち低い粘性及び構造粘性をもたらす。
【0039】
成分c)及びd)を含む前記組成物は、好ましくは成分c)及びd)を少なくとも80重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%の範囲で成分c)及びd)を含む。それらは、さらに例えば更なる加工助剤、例えばポリオール又は増量剤などを含むことができる。前記の混合物は、好ましくは成分c)及びd)を好ましくは約10:1〜1:20の重量比で含む。本発明によるゴム混合物は、ゴム混合物中の成分c)及びd)の量が、成分a)の100重量部に対して、好ましくは約0.1〜20重量部となるような含有量で前記の混合物を含むのが好ましい。
【0040】
更なるゴム添加剤e)
カップリング剤
好ましい実施形態において、本発明によるゴム混合物は、好ましくは成分e)として少なくとも1種のいわゆるカップリング剤を含む。カップリング剤は、その表面の変性によって親水性の補強充填剤を疎水性のゴムマトリックスに結合する役目を果たす(参照:例えばU.Gorl,25 Jahre Organosilane in der Reinfenanwending 「タイヤにおけるオルガノシランの使用の25年(25 Years of Using Organosilanes in Tyres)」,GAK 51,416(1998); S.Wolff et al.「シリカベースのスレッド化合物:背景と性能(Silica−Based Tread Compounds: Background and Performance)」,presented at the Tyretech Conference 1993)。カップリング剤は、一般的に2官能性化合物、特に2つのタイプの官能基、すなわち淡色の充填剤と結合するアルコキシシリル基とエラストマーに結合する硫黄含有基とを含む2官能性オルガノシランである。
【0041】
本発明によれば、1種又は複数種のポリスルフィド含有アルコキシシランは組み合わせて使用することができる。
【0042】
ポリスルフィド含有アルコキシシランは、空気タイヤの製造のために意図されたゴム混合物においてカップリング剤(淡色の充填剤/ジエンエラストマー)として専門家には知られており、特に特許US3842111、US3873489、US3978103及びUS3997581、US5580919、US5583245、US5663396、US5684171、US5684172及びUS5696197を参照することができる。
【0043】
次の式:
A−B−Sn−B−A
[式中、nは2〜8の整数;Bは2価の、任意選択的に置換されている炭化水素基、及びAは式:−Si(R1)3−X(R2)〔式中、xは1〜3、及びR1は、任意選択的に置換されているアルキル基(好ましくは1〜20個の炭素原子を有する)、シクロアルキル基(好ましくは3〜20個の炭素原子を有する)又はアリール基(好ましくは6〜20個の炭素原子を有する)、R2は、任意選択的に置換されているアルコキシ基(好ましくは1〜20個の炭素原子を有する)又はシクロアルコキシ基(好ましくは3〜20個の炭素原子を有する)である〕の基である]
の対称ポリスルフィド含有アルコキシシランが特に好ましい。
【0044】
nは、好ましくは2〜5の整数である。市販のポリスルフィド含有アルコキシシランにおいては、専門家には知られているように、異なる「n」の値を有するポリスルフィド含有アルコキシシランの混合物が、従来から存在する。これらの混合物における「n」の平均値は、2〜6、好ましくは3〜5の範囲内であり、特に約4である。特定の実施形態においては、「n」の値は、また2であり得る。
【0045】
前記の2価の、任意選択的に置換されている炭化水素基Bは、好ましくは1〜18個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の炭化水素基、特に好ましくはC1〜18のアルキレン基(又はアルカンジイル基)又はC6〜10のアリーレン基が好適であり、さらに好ましくはC1〜C10のアルキレン基、特にC2〜C4のアルキレン基、特にプロピレン(プロパン−1,3−ジイル)である。
【0046】
基R1は、好ましくはC1〜C6のアルキル基、シクロヘキシル基又はフェニル基、特にC1〜C4のアルキル基、特にメチル及び/又はエチルである。
【0047】
基R2は、好ましくはC1〜C8のアルコキシ基又はC5〜C8のシクロアルコキシ基、特にメトキシ及び/又はエトキシである。
【0048】
これらのポリスルフィド含有アルコキシシラン及びそれらの製造方法に関して、例えばUS5684171及びUS5684172を参照することができる。
【0049】
本発明によって使用されるポリスルフィド含有アルコキシシランは、好ましくはビス(C1〜C4)アルコキシ−[及び任意選択的に(C1〜C4)アルキル]シリルプロピル、さらに好ましくはビス(C1〜C4)−トリアルコキシシリルプロピル、及び特にビス(3−トリエトキシシリルプロピル)又はビス(3−トリメトキシシリルプロピル)のポリスルフィド、特にジスルフィド又はテトラスルフィドである。ビス(トリエトキシシリルプロピル)のジスルフィド又は式:[(CO)Si(CHS]のTESPDが、例えばDegussaからSi266又はSi75(後者はジスルフィド(75重量%)及びポリスルフィドの混合物の形である)の名前で、又はWitcoからSilquest A1589の名前で市販されている。ビス(トリエトキシシリルプロピル)のテトラスルフィド又は式:[(CO)Si(CHのTESPDが、例えばDegussaからSi69(又はキャリアーとして50重量%のカーボンブラックを有するX50S)の名前で、又はWitcoからSilquest A1289(それぞれの場合において約4のnの平均値を有する商業的な混合物である)の名前で入手可能である。TESPT(Si69)が、特に好ましく本発明によって使用される。本発明によって製造されたゴム混合物中のポリスルフィド含有アルコキシシランの含有量は、補強の淡色の充填剤の合計量に対して、好ましくは0.5〜15重量%の範囲内であり得る。本発明によれば、充填剤活性化中に少なくとも1種のカップリング活性化剤を付加的に使用することも可能である(参照:例えばEP1102812)。しかしながら、これは本発明によってはあまり好ましくはない。
【0050】
ポリスルフィド含有アルコキシシランは、淡色の補強充填剤へ結合するためのアルコキシシリル含有基を残して、前もって硫黄含有官能基を介してジエンポリマーに結合され得る。また、ポリスルフィド含有アルコキシシランは、前もってアルコキシシリル含有基を介して補強の淡色の充填剤に結合され得、この方法で前もって結合された充填剤が硫黄含有基を介してジエンエラストマーへ結合することができる。しかしながら、非加硫状態における組成物のより良好な加工性のために、カップリング剤は、好ましくは補強の淡色の充填剤へ結合され、その後に充填剤に結合された形でジエンエラストマーと混合されるか、又は未反応状態で充填剤及びジエンエラストマーと混合される。
【0051】
充填剤活性化は、1段階(充填剤、ジエンエラストマー及びアルコキシシランを全て一度に合わせる)又は2段階(第1にアルコキシシラン及び充填剤又はジエンエラストマー、好ましくは充填剤を合わせ、第2にまだ欠けている成分(充填剤又はジエンエラストマー)を加える)で進行させることができる。
【0052】
加硫剤
本発明によれば、本来は所望により加硫剤を使用することができる。加硫剤の例は、硫黄及び硫黄供与体を含み、それは、ジエンエラストマー(成分a))の100重量部につき、硫黄に基づいて0.5〜5.0重量部、好ましくは1〜2重量部の量で加えることができる。その量が0.5重量部より少ない場合、加硫ゴムの破壊強度及び耐摩耗性が減少する。その量が5重量部を超えた場合、ゴムの弾性値が劣化する傾向がある。好ましい加硫剤は、元素硫黄である。好適な加硫剤は、例えばChapter 4.「加硫剤(Curing Agents)」 of The Rubber Handbook,9th edition,1996に掲載されている。
【0053】
加硫促進剤
本発明によるゴム混合物は、好ましくは少なくとも1種の加硫促進剤を含む。これは、本来知られている加硫促進剤及びそれらの混合物から選択される。本発明により好まれる加硫促進剤は、
(i)ジチオホスフェート化合物
(ii)スルフェンアミド化合物及び
(iii)チアゾール化合物
からなる群から選ばれる。
【0054】
加硫促進剤としてのジチオホスフェート化合物は、充填剤としてカーボンブラックを有する系からそれ自体知られている(例えば、Helfried Ehrend,”Uber die Wirkung von Thiophosphaten in Vernetzungssystemen von Dienkautschuke「ジエンゴムの架橋系におけるチオホスフェートの作用(The action of thiophosphates in crosslinking systems of diene rubbers)」”Gummi,Asbest und Kunststoffe 1997,30,68〜71及びEP0832920(Bridgestone))。本発明によれば、それらは、下記の式の化合物から好ましくは選択される。
【化1】


(式中、R及びRは、それぞれの場合において互いに独立して、任意選択的に置換されているC1〜C10のアルキル基及び/又は任意選択的に置換されているC6〜C10のアリール基であり、Xは2価の基、そしてYは1価の基であり、それぞれは、炭素以外の少なくとも1種の元素を含む。)前記の式においてS原子及び基X及びYの間の結合は、共有結合又はイオン結合を表すことができる。イオン結合の場合、S原子は負の電荷を帯びる。
【0055】
2価の基Xは、好ましくは2価の金属、例えば、特にZn、Cuなど、又は2価のポリスルフィド基−(S)−(ここで、yは1〜8、好ましくは2〜6で、平均値であり得る)から選ばれる。S原子への結合がむしろイオン性を有する2価の金属が特に好ましい。Znが特に好ましい。金属上のフリーの配位部位に、例えばアミン又はエーテルのようなルイス酸が配位することができる。
【0056】
1価の基Yは、1価の金属(金属イオン)又はアンモニウム基であり得る。好ましくは、1価の基Yは、例えばNH4−z(R)(ここで、Rは有機基などである)のようなアンモニウム基である。
【0057】
ジチオホスフェート化合物は、好ましくは次の式の亜鉛ジチオホスフェート化合物(また「DPTZn」と略す)である。
【化2】


(式中、基R及びRは、同一であるか又は異なっていて、好ましくは同一であり、前に定義されたとおりである。)好ましくは、基R及びRは、直鎖又は分岐、置換又は非置換の10個までの炭素原子を有するアルキル基又はシクロアルキル基、特にC2〜C8のアルキル基又はC5〜C10のシクロアルキル基である。好ましいアルキル基は、特にエチル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、イソブチル及びシクロヘキシル、中でもC2〜C4のアルキル基である。R及びRは、特に好ましくはn−プロピル又はイソプロピルである。
【0058】
列挙され得るDPTZnの例は、例えばRhein−Chemie(Germany)からRhenocure TP/G及びTP/Sの名前で市販されている亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、MonsantoからVocol S(ジブチルジチオホスフェート)の名前で市販の製品又はEP−A−08329290、EP−A−692 518又はCA−A−2 153 509に記載されている製品である。さらに好適なジチオホスフェート化合物は、Chapter 5.「促進剤(Accelerators)」 of The Rubber Handbook,9th edition,1996に掲載されている。
【0059】
専門家は、所望の用途、選ばれたジエンエラストマー、加硫剤の量などに応じてジチオホスフェート化合物の最適量を選択できる。その量は、ジエンエラストマー(成分a))の100重量に対して、好ましくは0.2〜5重量部、好ましくは0.25〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部である。
【0060】
本発明によれば、加硫促進剤として、ジチオホスフェート化合物と組み合わせて、1種又は複数種のスルフェンアミド化合物(ii)及び/又はチアゾール化合物(iii)、好ましくは少なくとも1種のスルフェンアミドを使用することがさらに好ましい。そのようなスルフェンアミド化合物は、構造的な要素−S−NR−(ここで、Rは水素又は有機基である)を通常含有する。
【0061】
好ましいスルフェンアミドは、次の構造を有する。
−S−NR
(式中、Rは、好ましくは、任意選択的に置換されているヘテロアリール、さらに好ましくはベンゾ縮合へテロアリール、特に好ましくはベンゾチアゾールであり、Rは、水素及び/又は任意選択的に置換されている直鎖、分岐又は環状の、好ましくは12個までの炭素原子を有する飽和炭化水素基、好ましくは分岐又は環状の6個までの炭素原子を有するアルキル基、さらに好ましくはシクロヘキシル又は第3級ブチルである。)
【0062】
好ましい例は、ベンゾチアゾール基を含むスルフェンアミド、例えば次の式のCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
【化3】


次の式のDCBS(ジ−N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、
【化4】


及び次の式のTBBS
【化5】


である。
【0063】
市場における好適な製品は、Chapter 5.「促進剤(Accelerator)」of The Rubber Handbook,9th edition,1996に掲載されている。好ましくは、ジチオホスフェート化合物との組み合わせで使用されるスルフェンアミド化合物の量は、ジエンエラストマー(成分a))の100重量部に対して、好都合には0.1〜4重量部、好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
【0064】
さらに本発明によって得られる組成物は、好ましくはジホスフェートに加えて、加硫促進剤として1種又は複数種のベンゾチアゾール化合物を含む。ベンゾチアゾール化合物は、任意選択的に置換されている少なくとも1個のベンゾチアゾール基を含む化合物である。本発明によれば、「ベンゾチアゾール化合物」という用語は、前記の定義によりスルフェンアミド化合物を含まない意味として理解されるべきであり、換言すれば、本発明によれば、スルフェンアミド化合物は、ベンゾチアゾール化合物の範囲から除外される。スルフェンアミド基:−S−NRを含まないベンゾチアゾール化合物は、例えばメルカプトベンゾチアゾール及びジベンゾチアゾイルジスルフィドであり、好ましい例は、アルキル化メルカプトベンゾチアゾール及びビス(アルキル化ベンゾチアゾイル)ジスルフィドである。具体的な例は、メルカプトベンゾチアゾール、4−メチルメルカプトベンゾチアゾール、4−エチルメルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビスメルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス(4−メチルメルカプトベンゾチアゾール)及び2,2’−ジチオビス(4−エチルメルカプトベンゾチアゾール)を含む。好ましい代表例は、次の式のMBTS、2,2’−ジチオビス[ベンゾチアゾール]である。
【化6】

【0065】
さらに市場における好適な製品は、Chapter 5.「促進剤(Accelerator)」of The Rubber Handbook,9th edition,1996に掲載されている。ジチオホスフェート化合物との組み合わせで使用されるチアゾール化合物の量は、ジエンエラストマー(成分a))の100重量部に対して、好都合には0.1〜4重量部、好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
【0066】
本発明により得られる組成物は、好ましくは前に定義されたスルフェンアミド化合物を含む。
【0067】
本発明によって得られる組成物は、さらに硫黄で架橋することができ、空気タイヤの製造のために意図されたジエンゴム混合物に従来使用されている成分、例えば可塑剤、顔料、保護剤、例えば抗酸化剤及びオゾン劣化防止剤、さらに過酸化物及び/又はビスマレイミドに基づく架橋システム、さらに加硫促進剤、加硫活性化剤、増量油及び類似のものを含むことができる。強化の淡色の充填剤は、補強性質の低い又は補強性質のない従来の淡色の充填剤、例えば粘土、ベントナイト、タルク、チョーク、カオリン及び2酸化チタンと組み合わせることもできる。本発明によって製造された組成物は、さらに補強の淡色の充填剤を被覆する薬剤又はゴム混合物中の淡色の充填剤の分散を改良し、その組成物の粘度を低減することによって、知られた方法で非加硫状態でのそれらの加工性を改良する、製造のための補助剤を含むことができ、これらは、例えばアルキルアルコキシシラン(特にアルキルトリエトキシシラン)、ポリオール、ポリエーテル(例えばポリエチレングリコール)、第1級、第2級又は第3級のアミン又はヒドロキシル化又は加水分解性ポリオルガノシロキサン、例えばアルファ、オメガ−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(特にアルファ、オメガ−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン)であり得る。本発明によって製造される組成物は、さらにポリスルフィド含有アルコキシシランと異なる更なるカップリン剤を含むことができる。そのような従来の添加剤は、The Rubber Handbook,9th edition,1996に掲載されている。
【0068】
本発明による好ましいものは、成分a)の100重量部に対して、
5〜100重量部の1種又は複数種の淡色の充填剤、
0.1〜20重量部の成分c)及びd)(前記の量は、成分c)及びd)の合計量に基づく)
0.1〜10重量部の少なくとも1種の加硫剤、
0〜150重量部の1種又は複数種の更なるゴム添加剤
を含む。
【0069】
本発明は、さらにトリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む混合物をゴム混合物に加える、本発明によるゴム混合物の製造のための方法に関する。
【0070】
特に、その方法は好ましくは次のステップ:
(i)少なくとも1種のジエンエラストマーと、少なくとも1種の淡色の充填剤と、任意選択的に少なくとも1種の前記の充填剤のためのカップリング剤とを混合するステップ、その後に
(ii)トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む混合物を添加するステップ、その後に
(iii)ゴム混合物の残りの成分を添加するステップ
を含む。
【0071】
トリメチロールプロパン及び脂肪酸は、ジエンエラストマー又はジエンエラストマー及び淡色の充填剤(及び任意選択的に淡色の充填剤のためのカップリング剤)の混合物に直接加えられることが特に重要である。原則的にトリメチロールプロパン及び脂肪酸は、ここで一緒に又は互いに別々に加えられる。ゴム混合物の残りの成分、例えば選ばれた加硫システムの成分、例えば加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を加える前にそれらを加えることが重要である。
【0072】
本発明によるゴム混合物は、従来の装置類、例えば混合ユニット、特にミル、密閉式混合機、混合押出機中で製造することができる。本発明によるゴム混合物の加硫は、好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは130〜180℃、任意選択的に10〜200バールの圧力下に行うことができる。加硫は、それ自身知られている方法で適当な時間中に行うことができ、それは例えば5〜90分の範囲内であり得、加硫温度、選択された加硫システム及び特別な組成物の加硫の速度に左右される。
【0073】
さらに、本発明は、空気タイヤ又は空気タイヤのための半製品、例えばスレッドストリップ、スレッドストリップのための下層、クラウン層、側面プロファイル、カーカス層、タイヤビーズ、プロテクター、チューブ又はチューブレスタイヤの内側側面などの製造のための本発明によるゴム混合物の使用に関する。
【0074】
さらに本発明は、本発明により製造されたゴム混合物を金型へ導入すること及びその後に金型中のゴム混合物を加硫することを含む、架橋されたエラストマー成形体の製造のための方法に関する。
【0075】
さらに本発明は、生の状態(すなわち、加硫前)及び加硫された状態(すなわち、架橋又は加硫後)の前記の本発明によるゴム混合物の両方に関する。本発明により製造された組成物は、もちろん単独で、又は空気タイヤの製造のために使用され得るその他の所望のゴム混合物と混合して使用することができる。
【0076】
さらに、本発明は、本発明によるゴム混合物の加硫によって得られるエラストマー成形体に関する。
【0077】
トリメチロールプロパン及び脂肪酸を含む本発明によるゴム混合物は、特に特別に良好な流動性、高度の加工の信頼性及び改良された加硫速度が特徴となり、比較的高い応力値を有する加硫生成物をもたらす。それゆえに、それらは、また特に高度に強化された耐磨耗性の成形品、例えばケーブルシース、ホース、駆動ベルト、コンベアベルト、ローラーカバー、(空気圧式)タイヤ、靴底、シール用リング及び制振エレメントの安価な製造に好適である。低い転がり抵抗のタイヤスレッドの製造のための本発明によるゴム混合物の使用が、非常に特別に好ましい。
【0078】
本発明によるゴム混合物中に含有される成分c)及びd)は、既製の混合物の形でゴム混合物に有利に加えられる。
【0079】
それゆえに、本発明は、さらにゴム混合物のための加工助剤として、特に淡色の、特に補強の充填剤を含むゴム混合物、特にシリカ含有ゴム混合物のための加工助剤としてのトリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む少なくとも1種の混合物の使用に関する。ここで、その混合物は、特に好ましくは脂肪酸の混合物、非常に特別に好ましくは、水素化及び/又は非水素化の、いわゆる獣脂脂肪酸の混合物を含有する。その混合物は、加硫ゴム混合物の機械的性質への充填剤の効果を損なうことなく、充填剤含有ゴム混合物の粘度を低減するために有利に使用することができる。本発明による混合物は、その混合物の重量に対して、好ましくは少なくとも80重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%、さらにもっと好ましくは95重量%の成分c)及びd)を含む。その混合物は、更なる物質、例えば更なる加工助剤、例えばポリオール、例えばポリエチレングリコール、増量剤などを好ましくは20重量%より少ない量で含むことができる。本発明による混合物における脂肪酸に対するトリメチロールプロパンの重量比は、好ましくは10:1〜1:20である。本発明による混合物は、従来のミキサーを使用して製造することができる。
【0080】
本発明は、次の実施例によって例証され得る。
【実施例】
【0081】
(実施例1、比較例1及び2)
表1による組成のゴム混合物を製造した。
【表1】


1) 天然ゴム;SMR=標準マレーシアゴム
規格;10=品質
2) 溶液状ビニル/ブダジエン/スチレンゴム(Bayer)
3) 溶液状ブタジエンゴム(Bayer)
4) シリカ;Degussa
5) [(CO)Si(CH(TESPT);Degussa;
6) N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン;Rhein Chemie Rheinau GmbH
7) 25重量%のTMP、70重量%の脂肪酸(水素添加したタロー脂肪酸)及び5重量%のポリエチレングリコールの混合物
8) 選択された高分子量の主として飽和脂肪酸の亜鉛塩;Rhein Chemie Rheinau GmbH
9) 炭化水素、亜鉛石けん及び充填剤の混合物;Rhein Chemie Rheinau GmbH
10) N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールサルフェナミド;Bayer AG
11) EPDM/EVA中の80%強度のN,N’−ジフェニルグアニジン;バイオレット粒子;Rhein Chemie Rheinau GmbH
【0082】
成分の混合は、従来の方法で行い、活性化剤、加硫剤及び促進剤は最後に加えられた。
【0083】
得られた混合物は、レオメーターで調べた。
【0084】
結果を、次の表2に示す。
【表2】

【0085】
更なる物理的なデータを、加硫された試験片について測定した。
【0086】
表3に、得られた結果を示す。
【表3】

【0087】
前記の結果は、成分c)及びd)を含む本発明による混合物を使用して製造されたゴム混合物は、それによって加硫された混合物の物理的な性質を損なうことなしに、有意差をもって改良された加工性(低いムーニー粘度、高いレオバルカメーターIM容量(mm)及び高いレオバルカメーターIM速度(g/mm))を有している(参照:表3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のジエンエラストマー、b)少なくとも1種の淡色の充填剤、c)トリメチロールプロパン、d)少なくとも1種の脂肪酸及びe)任意選択的に更なるゴム添加剤を含む、加硫可能なゴム混合物。
【請求項2】
ジエンエラストマーa)が少なくとも1種の溶液状SBRを含む、請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項3】
淡色の充填剤b)が少なくとも1種の酸化物の充填剤を含む、請求項1又は2に記載のゴム混合物。
【請求項4】
淡色の充填剤b)が少なくとも1種のシリカを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項5】
成分e)として淡色の充填剤b)のための少なくとも1種のカップリング剤を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項6】
成分e)として少なくとも1種のポリスルフィド含有アルコキシシランを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項7】
成分e)として少なくとも1種の加硫剤を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項8】
成分e)として少なくとも1種の加硫促進剤を含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項9】
加硫促進剤が、(i)ジチオホスフェート化合物、(ii)スルフェンアミド化合物及び(iii)チアゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である、請求項8に記載のゴム混合物。
【請求項10】
成分a)の100重量部に対して、成分c)及びd)の合計量が0.1〜20重量部である、請求項1から9までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項11】
成分c)及びd)が混合物の形で加えられる、請求項1から10までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項12】
成分a)の100重量部に対して、
5〜100重量部の1種又は複数種の淡色の充填剤、
0.1〜20重量部の成分c)及びd)(前記の量は、成分b)及びc)の合計量に対するものである)、
0.1〜10重量部の少なくとも1種の加硫剤、及び、
0〜150重量部の1種又は複数種の更なるゴム添加剤
を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項13】
成分c)対成分d)の重量比が10:1〜1:20である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項14】
脂肪酸(成分d))が脂肪酸の混合物である、請求項1から13までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項15】
脂肪酸(成分d))が、獣脂から誘導される水素化及び/又は非水素化脂肪酸の混合物である、請求項1から14までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項16】
成分a)及びb)並びに任意選択的に成分b)のためのカップリング剤の混合物にトリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸の混合物を添加することによって得ることができる、請求項1から15までのいずれか一項に記載のゴム混合物。
【請求項17】
トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む少なくとも1種の混合物をゴム混合物に添加することを含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載の加硫可能なゴム混合物の調製方法。
【請求項18】
(i)少なくとも1種のジエンエラストマーと、少なくとも1種の淡色の充填剤と、任意選択的に、前記充填剤のための少なくとも1種のカップリング剤とを混合するステップ、その後に
(ii)トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の脂肪酸を含む混合物を添加するステップ、その後に
(iii)ゴム混合物の残りの成分を添加するステップ
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から16までのいずれか一項に記載の加硫可能なゴム混合物又は請求項17又は18に記載の方法で得られたゴム混合物を加硫することを含む、加硫ゴム混合物の製造のための方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法によって得ることができる、加硫ゴム混合物。
【請求項21】
請求項1から15までのいずれか一項に記載のゴム混合物又は請求項17又は18に記載の方法により得られたゴム混合物の、空気タイヤ又は空気タイヤ用半製品の製造のための使用。
【請求項22】
請求項1から15までのいずれか一項に記載のゴム混合物、又は、請求項17若しくは18に記載の方法により得られたゴム混合物を金型中へ導入すること及びその後に金型中のゴム混合物を加硫することを含む、架橋されたエラストマー成形体の製造のための方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法によって得ることができる、エラストマー成形体。
【請求項24】
トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の水素化及び/又は非水素化の脂肪酸を含む混合物の、ゴム混合物のための加工助剤としての使用。
【請求項25】
淡色の充填剤を含むゴム混合物のための加工助剤としての、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
トリメチロールプロパン及び少なくとも1種の水素化及び/又は非水素化の脂肪酸を含む混合物。
【請求項27】
トリメチロールプロパン及び脂肪酸の合計量が前記の混合物の重量に対して少なくとも80重量%である、請求項26に記載の混合物。
【請求項28】
トリメチロールプロパン対脂肪酸の重量比が、10:1〜1:20である、請求項26又は27に記載の混合物。
【請求項29】
脂肪酸(成分d))が脂肪酸の混合物である、請求項26から28までのいずれか一項に記載の混合物。
【請求項30】
脂肪酸(成分d))が、獣脂から誘導された水素化及び/又は非水素化の脂肪酸の混合物である、請求項26から29までのいずれか一項に記載の混合物。
【請求項31】
脂肪酸(成分d))が、獣脂から誘導された水素化及び/又は非水素化の脂肪酸の混合物であり、前記獣脂がステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸を含む、請求項26から30までのいずれか一項に記載の混合物。

【公開番号】特開2006−52407(P2006−52407A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−233852(P2005−233852)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(505305938)ライン ケミー ライナウ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】