説明

ゴム積層体およびその用途

【課題】 従来の積層体は、接着層あるいは接着剤を用いた方法、あるいは接着性を付与するために添加剤を加える方法が提案されているが、いずれも高温下では界面はく離し改良が望まれていた。接着剤あるいは接着層を用いることなしに、高温下における強固な加硫接着を有する積層体を提供する
【解決手段】 第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)からなる積層体において、第一層のゴム(a)と同種ゴム(I)、第二層のゴム(b)と同種ゴム(II)の中、一方を海相、他方を島相とする海島構造を有するゴム組成物(A)を前記第一層のゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)中に含有させることにより、接着剤あるいは接着層を用いることなしに、加硫接着を強固に可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、第一層はゴム(a)、第二層はゴム(a)以外のゴムまたは第一層のゴム(a)の有する架橋基とは異なる架橋基を有するゴム(b)で構成されたゴム積層体に関して、接着剤、あるいは接着層を使用することなしに加硫により強固に接着し、高温下においても、はく離困難なゴム積層体およびその製法、ならびにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムは使用される用途たとえば、タイヤ、ホース、ベルト、シール、パッキン、ローラ、防振ゴム、免震など、また環境たとえば、耐熱(高温・低温)、耐液(合成油、鉱物油、グリース、アルコール、トルエン、キシレンなど)、耐酸・アルカリ液(硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)またこれらが複合化した場合、さらに、地球環境問題たとえば、二酸化炭素(CO)の低減、脱ハロゲンなどの要求によって種々使い分けが必要となる。
【0003】
ゴム種としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム、アクリル酸エステル−エチレン共重合ゴム、アクリル酸エステル−エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
【0004】
これらは、使用される環境・用途および価格、地球環境をとりまく情勢によって適切に選定される。たとえば、耐熱性については、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴムが優れている。耐油性については、フッ素ゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムが優れている。また、耐候性については、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが優れている。
一方、地球環境の問題から、脱ハロゲン対策として、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムをハロゲン元素を含まない他のゴムたとえば、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム、エチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムが期待される。
【0005】
耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐候性などに優れるフッ素ゴムについては工業用材料、その他の分野において極めて有用である。しかしフッ素ゴムは高価であり、そしてこれらの分野で汎用的に使用するときは経済性を無視することができないため、卓越した性能を有しながらも飛躍的に使用量が増加することが期待できないのが現状である。しかしながら近年、自動車において性能向上や燃費向上を目的として益々エンジンルーム内の温度が高温化してきており、従来の耐熱・耐油ホースもより耐熱性能の向上した材料が要求されている。その結果、従来から用いられてきたエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム、アクリルゴム、アクリル酸エステル−エチレン共重合ゴム、アクリル酸エステル−エチレン−酢酸ビニル共重合ゴムでは耐熱性が不十分になってきている。またシリコーンゴムでは耐熱性はフッ素ゴムに次ぐ性能を有するもののオイルによる膨潤やオイルの透過が問題となり、シリコーンゴム単独では使用できないことがある。このように高性能と低価格という相反する要求を同時に満たすためには、1種類のゴム素材で対応することでは困難になってきたといえる。
【0006】
そこで、かかる課題を解決すべく異なる特徴を有するゴムを積層体にする方法が提案されている。積層体の構造で最も問題となるのは、層間界面の接着性である。その一つとしてSP値(溶解度パラメータ)が、極端に離れたゴムの場合は、両者の特徴が生かされ難い。新たに両者のブレンド物を接着層として用いることも考えられる。しかしながら、両者をブレンドする場合、相溶性の乏しさから、機械的強度が低下したり、圧縮永久ひずみが不足するなどの問題がある。
【0007】
特許文献1では、NBRとEPDMとのブレンドの加硫ゴムの劣った機械的性質を改良する目的で、硫黄加硫系における加硫促進剤として特定構造のベンゾチアゾリルスルフェンアミド類を配合することを提案した。この方法は確かに機械的性質が改良されたが、なおNBRとEPDMとの共加硫性に劣る結果、圧縮歪み等の性質において不十分であった。
特許文献2では、EPDMとNBRとのブレンド物の加硫ゴムの機械的性質の改良のために、官能基を有するニトリル系ゴムとハロゲン化EPDMを組み合わせること提案されているが、この効果が不十分である。
脱ハロゲンへの対応策としてヒドリンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムに代わるゴムとして、EPDMとNBRとの組み合わせで期待されているが、接着層を用いるには上記機械的強度、圧縮永久ひずみに劣ることが問題である。
【0008】
また、フッ素ゴムは、他のゴムとの接着が困難な場合があり、フッ素ゴムと他のゴムとの積層体では、両ゴム層が強固に接着した積層体を得ることは困難であった。
【0009】
特許文献3では例えば、ニトリル系ゴム層とフッ素ゴム層を接着する方法としては、ポリオール系架橋剤及び金属酸化物を含有するフッ素ゴム組成物層と、有機ホスホニウム化合物とベンゾトリアゾレート化合物との特殊な塩であるテトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレートおよび硫黄架橋系を含有したニトリル系ゴム層とを、架橋接着する方法が提案されている。しかし、この方法には、硫黄架橋系を含有するニトリル系ゴム層が、架橋処理を行う前に初期架橋を起こして成形・架橋を困難にするスコーチを起こしやすいという欠点があった。
【0010】
特許文献4では、このようなスコーチの問題を解決するために、ニトリル系ゴム層の成分として、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレートは含有させたまま、硫黄架橋系の代わりに有機過酸化物架橋系を用い、さらには架橋促進剤としてスルフェンアミド系化合物を含有させることが提案されている。しかし、この方法では、両層の接着を強固にするためには、ニトリル系ゴム層に水酸化カルシウムを多量に配合することが必要となる。ところが、水酸化カルシウムを多量に含有するニトリル系ゴム層は、架橋後の耐熱老化性が低下するなどの物性が劣るという問題があった。
【0011】
そこで、特許文献5では、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を含有するフッ素ゴム層と、特定の有機ホスホニウム塩、有機過酸化物架橋系、塩基性有機架橋促進剤、およびトリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤を含有するニトリル系ゴムを架橋接着する方法が提案されている。しかし、フッ素ゴムの種類などによっては、十分に架橋接着させることはできなかったし、また溶剤存在下の耐亀裂成長性が不十分であるといった問題点があった。
上記特許文献は、いずれも接着および機械的強度あるいは圧縮永久ひずみ等に問題があることの他に、室温環境下で比較的高い接着強度を得ていても高温下では接着強度が低く、界面剥離を起こすことがあり、改良が求められている。
【0012】
【特許文献1】特開昭56−109230号公報
【特許文献2】特開昭59−226038号公報
【特許文献3】特開昭63−252736号公報など
【特許文献4】特開平1−110141号公報
【特許文献5】WO95/19880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように従来の技術では、室温環境下では高い接着強度を得ていても高温下では接着強度が低く界面はく離するという問題があった。
本発明は、第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)からなる積層体において、接着剤あるいは接着層を用いることなしに、高温下においても架橋接着を強固に可能にする積層体およびその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、少なくとも、第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)からなる積層体において、第一層のゴム(a)と同種ゴム(I)、第二層のゴム(b)と同種ゴム(II)の中、一方を海相、他方を島相とする海島構造を有するゴム組成物(A)を前記第一層のゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)中に含有させることにより、接着剤あるいは接着層を用いることなしに、架橋接着を強固に可能にすることを見出し、本発明を完成するに至った。
このようにして本発明によれば、以下の発明が提供される。
【0015】
(1)少なくとも、第一層はゴム(a)、第二層はゴム(a)以外のゴムまたは第一層のゴム(a)の有する架橋基とは異なる架橋基を有するゴム(b)で構成され、ゴム組成物(A)を前記ゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)中にゴム組成物(A)/[前記ゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)]の重量%比(0.1〜50/50〜99.9)で含有してなるゴム積層体であって、前記ゴム(a)と前記ゴム(b)とが架橋接着されてなることを特徴とするゴム積層体。
(2)前記ゴム(a)と前記ゴム(b)とを押出機により同時に押出すことによりゴム積層体を形成するか、または前記ゴム(a)と前記ゴム(b)のいずれか一方からなる層上に、必要により繊維補強層を施した後に、押出機により他方のゴムを外側層として押出すことにより内側層と、必要により繊維補強層と、外側層とからなるゴム積層体を形成し、ついで得られたゴム積層体を架橋し層間を接着させてゴム積層体を製造する方法。
(3)前記ゴム(a)と前記ゴム(b)とを押出機により同時に押出すことにより内側層と外側層からなるゴム積層体を形成するか、または前記ゴム(a)と前記ゴム(b)のいずれか一方からなる内側層上に、必要により繊維補強層を施した後に、押出機により他方のゴムを外側層として押出すことにより内側層と、必要により繊維補強層と、外側層とからなるゴム積層体を形成し、ついで得られたゴム積層体を架橋し層間を接着させたゴム積層体からなるチューブ、ホースを製造する方法。
(4)前記ゴムチューブが、家庭用LPガスチューブ、家庭用都市ガスチューブ、前記ゴムホースが、耐油・耐熱ゴムホース、ターボオイルホース、ターボエアホース、インタークーラーホースであるゴム製品。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)からなる積層体において、接着剤あるいは接着層を用いることなしに、架橋接着を強固に可能にする積層体およびその用途が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の積層体は、少なくとも、第一層はゴム(a)、第二層はゴム(a)以外のゴムまたは第一層のゴム(a)の有する架橋基とは異なる架橋基を有するゴム(b)で構成され、ゴム組成物(A)を前記ゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)中にゴム組成物(A)/[前記ゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)]の重量%比(0.1〜50/50〜99.9)で含有してなるゴム積層体であって、
前記ゴム(a)と前記ゴム(b)とが架橋接着されてなることを特徴とする。
【0018】
本発明の第一層のゴム(a)は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム、アクリル酸エステル−エチレン共重合ゴム、アクリル酸エステル−エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴム、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴムなどからなる群から選択された少なくとも1種のゴムである。
【0019】
本発明の第二層のゴム(b)は、第一層のゴム(a)で選択されたゴムとは異なる少なくとも1種のゴム、または、第一層のゴム(a)で選択されたゴムであって、架橋基のみ異なる少なくとも1種のゴムである。
【0020】
本発明の第一層のゴム(a)としてのフッ素ゴムは、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF/テトラフルオロエチレン(TFE)/HFP共重合体、VdF/TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、VdF/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体などのVdF/パーハロオレフィン系エラストマー;TFE/プロピレン/VdF共重合体、HFP/エチレン/VdF共重合体などVdF/非パーハロオレフィン系エラストマー;TFE/PAVE共重合体などのパーフルオロエラストマー;TFE/プロピレン共重合体、HFP/エチレン共重合体などの非パーフルオロエラストマー;フルオロシリコーンゴムなどがあげられる。
【0021】
前記フルオロ(アルキルビニルエーテル)は、複数個のエーテル結合を含むものであってもよい。さらにフッ素ゴムの分子量は数平均分子量で20,000〜300,000、好ましくは50,000〜200,000が好ましい。
これらのうち、相溶性の点から、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、TFE/プロピレン/VdF共重合体、HFP/エチレン/VdF共重合体、TFE/プロピレン共重合体、HFP/エチレン共重合体のエラストマーが好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体のエラストマーが特に好ましい。これらの単独あるいは二種以上のブレンドゴムとしてもよい。
【0022】
もちろん架橋基含有単位として、ビニル基やアリル基を複数有する多官能モノマーやヨウ素や臭素含有モノマーを共重合してもよい。また、熱処理などを施すことにより脱フッ酸を促進して架橋点となる二重結合を分子中に生成させてもよい。特にヨウ素、臭素および/または二重結合を含んだものが好ましく、その中でも反応性の高いヨウ素含有フッ素ゴムがより好ましい。
またフッ素ゴム中の架橋点含有量は0.05〜5モル%であることが好ましく、さらに好ましくは0.15〜3モル%、特に好ましくは0.25〜2モル%である。架橋点がこれより少ないとシール性や接着強度が不充分となり、これより多いと伸びや柔軟性が低くなるなどゴム弾性が失われてしまう。
【0023】
フッ素ゴムの架橋系は特に限定されないが、第二層を形成するゴム(b)との架橋接着を充分に行なわせるために有機過酸化物を架橋剤として混合したゴムがより好ましい。フッ素ゴムに混合される好ましい架橋剤、たとえば有機過酸化物化合物、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合物、ポリチオール化合物を以下に列記する。
【0024】
有機過酸化物架橋に使用する有機過酸化物化合物としては、一般には熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生するものが良く、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。そのなかでも好ましいものはジアルキル化合物である。一般に活性−O=O−の量、分解温度などから種類ならびに使用量が選ばれる。使用量は通常、フッ素ゴム100重量部に対して0.1〜15重量部であるが、好ましくは0.3〜5重量部である。
【0025】
また、有機過酸化物化合物を使用する場合は、架橋助剤や共架橋剤を併用しても良い。この架橋助剤または共架橋剤は、パーオキシラジカルとポリマーラジカルとに対して反応活性を有するものであれば原則的に有効であって、特に種類は制限されない。
【0026】
好ましいものとしては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミドなどが挙げられる。架橋助剤または共架橋剤は必ずしも使用する必要はないが、使用する場合はフッ素ゴム(I)100重量部に対して0.1〜10重量部が好まく、より好ましくは0.3〜5重量部の割合である。
【0027】
ポリアミン架橋に使用するポリアミン化合物としては、分子中に2個以上の塩基性窒素原子を結合する一級アミンまたは二級アミンであり、多くの場合はこれらを塩の形にして反応性を抑えて使用する。具体例としては、例えばエチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4−ジアミンシクロヘキシルメタンカーバメートなどのアルキレンジアミン類;N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンなどのシッフ塩などが挙げられる。
【0028】
そのほか、塩基性に乏しい芳香族ポリアミン化合物も他の塩基性化合物と併用することにより架橋剤として使用できる。他の塩基性化合物としては、例えばジフェニルグアニジン、ジ−O−トリグアニジン、ジフェニルチオウレア、2−メルカプトイミダゾリンや、合成ゴム用の架橋促進剤であって分子内に−NH3および/または−NH−を有する化合物、2価の金属水酸化物などが挙げられる。
【0029】
使用量は通常、フッ素ゴム100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。
【0030】
ポリオール架橋に使用するポリヒドロキシ化合物としては、フェノール性水酸基を有するポリヒドロキシ化合物、式:Rf(CH2OH)2(式中、Rfは炭素数1〜20のポリフルオロアルキレン基またはパークロロフルオロアルキレン基)で示されるジヒドロキシ化合物またはこれらのアルカリ金属塩、これらの混合物などが好適に挙げられる。
【0031】
具体例としては、例えばヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4'−ジヒドロキシフェニルエーテル、HOCH2(CF23CH2OH、HOCH2CF2CFH(CF23CFHCF2CH2OH、HOCH2CH2CH2(CF23CH2CH2CH2OH、HOCH2CF2CH2(CF23CH2CF2CH2OHまたはこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0032】
ポリチオール化合物としては、ジメルカプトジメチルエーテル、ジメルカプトメチルサルファイド、1,6−ヘキサンジチオール、エチレンビスメルカプトアセテート、1,5−ナフタレンジチオール、4,4’−ジメルカプトジフェニル、2−アニリノ−4,6−ジチオール−S−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−S−トリアジンまたはこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0033】
本発明の第二層のゴム(b)としてのシリコーンゴムは、例えば、
平均組成式:RSiO(4−a)/2(式中、Rは同一または異なる置換または非置換の炭素原子数1〜10、好ましくは1から8の1価炭化水素基を表わし、aは1.90〜2.05の正数である)で表わされるものである。
【0034】
上記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。
【0035】
シリコーンゴムは、一般的には、主鎖がジメチルシロキサン単位からなるもの、または、前記主鎖のメチル基の一部がビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等で置き換えられたものが好ましい。また、その分子鎖末端が、トリオルガノシリル基または水酸基で封鎖されたものとすればよく、前記トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、トリビニルシリル基等が例示される。
【0036】
また、シリコーンゴムの重合度は、通常、200〜12,000、好ましくは200〜10,000の範囲とし、オイル状であってもガム状であってもよく、成形方法等にしたがって選択すればよい。
【0037】
シリコーンゴムの架橋剤が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒である場合、シリコーンゴムは、ケイ素原子結合アルケニル基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノポリシロキサンである。ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物が十分に硬化しなくなる。また、ケイ素原子に結合する上記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が例示され、これらの中ではビニル基が好ましい。アルケニル基は、分子鎖末端および/または側鎖にあればよく、少なくとも1個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0038】
この場合の具体例としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフエニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上組合わせても使用することができる。
【0039】
シリコーンゴムの架橋剤が有機過酸化物である場合、シリコーンゴムは、特に限定されないが、1分子中に少なくとも2個の上記アルケニル基を有するものが好ましい。
【0040】
この場合の具体例としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0041】
架橋がヒドロシリル化反応架橋剤である場合、前記架橋剤は、1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒からなるものである。前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基を有するシリコーンゴムに付加反応する架橋剤として機能するものである。
【0042】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖メチルフエニルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組合わせても使用することができる。
【0043】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、通常、シリコーンゴム中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が、通常、0.1〜10.0モル、好ましくは0.3〜5.0モルとなる量である。本成分の含有量が少なすぎると得られるシリコーンゴム組成物が十分に硬化しなくなることがあり、一方、多すぎると得られるシリコーンゴムが非常に硬質となり、表面に多数のクラックを生じたりすることがある。
【0044】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとともに用いられるヒドロシリル化触媒としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子の脱水素反応を促進するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、周期律表VIII族の遷移金属触媒;塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールまたはアルデヒドとの反応物、塩化白金酸と各種オレフィン、ビニル基含有シロキサンとの錯体などの白金系触媒が好ましい。その他、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの一般的な付加反応に使用される遷移金属触媒を用いることも可能である。
【0045】
これらの触媒添加量は、組成物の硬化に必要量であれば特に制限はないが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに対して、周期律表VIII族の遷移金属触媒を金属換算重量で1〜1,000ppm、特に10〜250ppmの範囲で添加することが望ましい。添加量が少なすぎると硬化不良を起こす場合があり、多過ぎると脱水素反応が急激に起こって硬化反応を制御できなくなり、経済的にも不利になる場合がある。
【0046】
本発明に用いる反応制御剤は、組成物が常温付近で反応するのを抑制するものであり、具体的には一般に周期律表VIII族の遷移金属触媒を用いて、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させる際に使用されているものと同様の化合物を使用できる。
【0047】
反応制御剤としては、例えばアセチレンアルコール類(特公昭44−31476号、特
開平6−329917号公報)、シリル化アセチレンアルコール類(特開昭61−261号公報)や、特開平9−143371号公報、特願平10−253454号に提案されている2種類以上の反応制御剤を使用したものなどが有効である。具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、メチルビニルシクロテトラシロキサン、3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチンなどが例示される。これらの中では、1−エチニルシクロヘキサノールと3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチンとの組み合わせがポットライフ、硬化性の観点から好ましい。
【0048】
反応制御剤の配合量は、シリコーンゴムの脱水素反応を制御できる量であれば特に制限されないが、オルガノハイドロジェンポリシロキサン100重量部に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。
【0049】
シリコーンゴムの架橋剤が有機過酸化物である場合、有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。この有機過酸化物の添加量は、シリコーンゴム100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部の範囲内となる量であることが好ましい。補強性シリカとしては、シリコーンゴムに適度な硬さを与えると共に、引張り強さ等の機械的な強度を向上させるために比表面積(BET法)が50m2/g以上、特に100〜400m2/gのシリカを使用することが好ましい。このようなシリカとして具体的にはヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのシリカは、クロロシラン、アルコキシシラン、シランカップリング剤等の反応性シラン、鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等で表面処理したものでもよい。
【0050】
シリコーンゴムの補強性シリカの配合量は、シリコーンゴム100重量部に対し5〜100重量部、特に5〜50重量部が好ましい。5重量部より少ないと、シリコーンゴムの補強性が不十分なものとなり、100重量部より多いと、配合及び加工性が困難となる場合がある。
【0051】
本発明の第一層のゴム(a)としてのエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムは、通常、エチレン性不飽和ニトリルと共役ジエンとを含有する単量体混合物を重合することによって得る。
【0052】
エチレン性不飽和ニトリルの具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル等のようなエチレン性不飽和ニトリル等が挙げられる。これらのうちアクリロニトリルが好適に用いられる。エチレン性不飽和ニトリルの量は、単量体混合物中に、通常、10〜60重量%である。
【0053】
共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン等が挙げられる。これらのうち1,3−ブタジエンが好適に用いられる。共役ジエンの量は、単量体混合物中に、通常、40〜90重量%である。共役ジエンとして、1,3−ブタジエンおよびイソプレンを併用した場合(すなわち、イソプレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴムの場合)は、通常、結合共役ジエン単位中の結合1,3−ブタジエン単位含有量は30〜70重量%、結合イソプレン単位含有量は70〜30重量%である。
ニトリル基含有高飽和共重合ゴムは、その構造中にエチレン性不飽和ニトリル及び共役ジエンと共重可能なエチレン性不飽和モノマー単位を0〜50重量%の範囲で含んだものであってもよい。
【0054】
不飽和ニトリル及び共役ジエンと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレンのごときビニル芳香族化合物;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸プロピル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ペンチル、マレイン酸ジ−n−ヘキシル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ペンチル、フマル酸ジ−n−ヘキシル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ペンチル、イタコン酸ジ−n−ヘキシル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、シトラコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、シトラコン酸ジプロピル、シトラコン酸ジ−n−ブチル、シトラコン酸ジイソブチル、シトラコン酸ジ−n−ペンチル、シトラコン酸ジ−n−ヘキシル、シトラコン酸ジ−2−エチルヘキシル、メサコン酸ジメチル、メサコン酸ジエチル、メサコン酸ジプロピル、メサコン酸ジ−n−ブチル、メサコン酸ジイソブチル、メサコン酸ジ−n−ペンチル、メサコン酸ジ−n−ヘキシル、メサコン酸ジ−2−エチルヘキシル、グルタコン酸ジメチル、グルタコン酸ジエチル、グルタコン酸ジプロピル、グルタコン酸ジ−n−ブチル、グルタコン酸ジイソブチル、グルタコン酸ジ−n−ペンチル、グルタコン酸ジ−n−ヘキシル、グルタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、アリルマロン酸ジメチル、アリルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジプロピル、アリルマロン酸ジ−n−ブチル、アリルマロン酸ジイソブチル、アリルマロン酸ジ−n−ペンチル、アリルマロン酸ジ−n−ヘキシル、アリルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、テラコン酸ジメチル、テラコン酸ジエチル、テラコン酸ジプロピル、テラコン酸ジ−n−ブチル、テラコン酸ジイソブチル、テラコン酸ジ−n−ペンチル、テラコン酸ジ−n−ヘキシル、テラコン酸ジ−2−エチルヘキシルのごときエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル;
【0055】
メトキシアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレートのごときエチレン性不飽和カルボン酸アルコキシアルキルエステル;
α−およびβ−シアノエチルアクリレート、α−,β−およびγ−シアノプロピルアクリレート、シアノブチルアクリレート、シアノオクチルアクリレート、α−およびβ−シアノエチルメタクリレート、α−,β−およびγ−シアノプロピルメタクリレート、シアノブチルメタクリレート、シアノオクチルメタクリレートのごときエチレン性不飽和カルボン酸シアノ置換アルキルエステル;
【0056】
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートのごときエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシル基置換アルキルエステル;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミドのごときエチレン性不飽和アミド;
ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンのごとき非共役ジエン;エチレン性不飽和カルボン酸フルオロアルキルエステル;
等を挙げることができる。
【0057】
エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムの具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(HNBR)、アクリロニトリルーブタジエンーイソプレン共重合ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−ブトキシアクリレ−ト共重合ゴム、アクリロニトリルーブタジエンーアクリル酸共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合ゴム等が挙げられる。これらのうちNBRが好適に用いられる。これらは単独あるいは二種以上のブレンドゴムとしてもよい。
【0058】
本発明の第二層のゴム(b)としてのエチレン−α−オレフィン(ジエン)共重合ゴムは、エチレン単位、炭素数3〜12のα−オレフィンからなる繰り返し単位及び非共役ジエンからなる繰り返し単位の合計を100質量%とした場合に、エチレン単位は30〜90質量%、特に40〜80質量%、炭素数3〜12のα−オレフィンからなる繰り返し単位は10〜70質量%、特に20〜60質量%であることが好ましく、非共役ジエンからなる繰り返し単位は、通常、20質量%以下(0質量%であってもよい。)、特に15質量%以下であることが好ましい。
【0059】
素数数3〜12のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、5−エチル−1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。これらのうちではプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。これらのα−オレフィンは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0060】
非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐鎖の非環状ジエン;テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン等が挙げられる。これらの非共役ジエンのうち、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、特に好ましい非共役ジエンとしては、5−ビニル−2−ノルボルネンが挙げられる。
【0061】
繰り返し単位として、エチレン単位と炭素数3〜12のα−オレフィン単位とを有する共重合ゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−1−ブテン共重合ゴム、エチレン−1−ペンテン共重合ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合ゴム、エチレン−1−オクテン共重合ゴム等が挙げられる。また、更に非共役ジエン単位を有する共重合ゴムとしては、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
これらは単独あるいは二種以上のブレンドゴムとしてもよい。
【0062】
第一層のゴム(a)としてのエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴム、第二層のゴム(b)のとしてのエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムの加硫は、硫黄系架橋剤又は有機過酸化物系架橋剤等が用いられる。
【0063】
使用する硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などのような硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物などのような硫黄化合物;さらに、テトラメチルチウラムジスルフィルド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチフゾールなどのような硫黄を含む架橋促進剤を挙げることができる。
さらに、これらの硫黄系架橋剤に加えて、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、活性亜鉛、ステアリン酸などのような架橋促進剤;グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、ザンテート系などの他の架橋促進剤を使用することができる。
【0064】
硫黄系架橋促進剤の使用量は特に限定されないが、通常、カルボキシル化ニトリル基含有高飽和共重合ゴム100重量部当り、0.10〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
有機過酸化物系架橋剤、架橋助剤としては、フッ素ゴムの箇所で記述したものと同様ものを使用できる。有機過酸化物系架橋剤の使用量は、通常、ゴム100重量部当り0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0065】
エチレン−α−オレフィン(ジエン)共重合ゴムが、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネンの場合には、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤の他に、ヒドロシリル化反応による架橋が可能である。ヒドロシリル化反応架橋剤である場合、シリコーンゴムの箇所で記述したものと同様のものを使用できる。
【0066】
本発明において、第一層のゴム(a)、第二層のゴム(b)には、上記成分の他に、それぞれ必要に応じ、その特性を妨げない範囲内において、下記のものを添加することができる。
【0067】
充填剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、あるいはこれらの表面をシラン等で疎水化処理したもの;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム、珪酸アルミニウム等の珪酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;珪藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、微粉マイカ、溶融シリカ粉末、湿式シリカ、乾式シリカ、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等が挙げられる。
【0068】
加工助剤としてはステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミン等の高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等が挙げられる。
【0069】
可塑剤としては例えばフタル酸誘導体やセバシン酸誘導体、軟化剤としては例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては例えばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩、そのほか着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤、窒化ホウ素と等の熱伝導性改良剤、接着性付与剤としてアミノ基、エポキシ基、メルカプト基などの反応性有機基を有する有機ケイ素化合物、シランカップリング剤、タレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、防カビ剤、ポリエチレングリコール及びその誘導体などのチクソトロピー性付与剤、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、オゾン劣化防止剤など従来公知の各種添加剤を混合してもよい。
配合方法は特に限定されないが、通常は、押出機やロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混合機を用いて行なうことができる。
【0070】
本発明のゴム組成物(A)を構成するゴム(I)は、第一層のゴム(a)で選択したゴムと同種のゴムであり、本発明のゴム組成物(A)を構成するゴム(II)は、第二層のゴム(b)で選択したゴムと同種のゴムである。
【0071】
ゴム組成物(A)は、海相、島相の相構造からなるが、この相構造を得るには、例えば次の方法が挙げられる。
【0072】
(方法1) 前記ゴム(I)と、前記ゴム(II)とを混練機を用いて練りトルクが一定になるまで混練する。次に一方のみが選択的に架橋する架橋剤を加えてさらに混練りし、十分に混練りした後、混練機の温度を上昇させて架橋反応を進行させる。架橋されたゴムは混練によるせん断変形を受けて微粒子化し、海相のゴム中に分散して海島構造を得る。
(方法2)前記ゴム(I)と前記ゴム(II)のいずれか一方を選定し、これと架橋剤を均一に混練りしゴムを小片化する。つぎに、これをボールミルなどで低温あるいは常温で機械的に粉砕する。この方法によって得られた粉砕物を混練り機によって他方のゴムに混練り分散して海島構造を得る。
【0073】
ここに、混練機としては、通常用いられる二本ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸押出機などの通常の混練機を用いることができる。なお、混練りの際、架橋反応を阻害しない範囲内で、通常ゴムに配合する添加剤を加えも良い。また、架橋反応が十分に進行した後であれば、架橋反応を停止あるいは遅延させるような添加剤であっても差し支えない。
このようにして得られた島相の分散粒子について、その平均粒子径は、50μm以下好ましくは20μm以下さらに好ましくは10μm以下である。50μmを超えると機械的強度が低下し好ましくない。
【0074】
前記ゴム組成物(A)の第一層のゴム(a)または第二層のゴム(b)に対する添加量としては、0.1〜50重量%である。好ましくは、0.5〜30重量%、更に好ましくは、1〜20重量%である。0.1重量%未満では、第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)との接着性が不十分となり、また50重量%を超えると第一層のゴム(a)あるいは第二層のゴム(b)の強度が低下したり、第一層のゴム(a)あるいは第二層のゴム(b)の本来の特性が低下し好ましくない。
【0075】
本発明における前記ゴム組成物(A)を構成する前記ゴム(I)と前記ゴム(II)との重量%比は90〜10/10〜90である。この範囲を超えると接着が不十分となり好ましくない。
【0076】
前記ゴム組成物(A)の第一層のゴム(a)または第二層のゴム(b)に対する添加方法としては、第一層のゴム(a)または第二層のゴム(b)を上記混練機で混練りするときに添加しても良いし、混練り後に、添加して再度混練りしても良い。
【0077】
本発明の積層体は、第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)とを加硫接着することによって第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)とからなるゴム積層体を製造することができる。加硫接着する方法はとくに限定されないが、それぞれ公知の方法すなわち、冷却ロール、バンバリーミキサー、インターミキサーなどの混練機で混練りされた第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)について、適宜の厚みの第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)層とをそれぞれ成形する。次いで、両層を未加硫の状態で接触させ、ホットプレスまたは加硫缶を用いて加圧加硫を行ない両層を加硫接着して積層体を製造する。
【0078】
また、両層を2層押出法により積層チューブに成形後、加硫缶を用いて加圧加硫することも可能である。すなはち、第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)とを押出機により同時に押出すことにより内側層と外側層からなるゴム積層体を形成し、ついで得られたゴム積層体を加硫し層間を接着させる方法;または第一層のゴム(a)と第二層のゴム(b)のいずれか一方からなる内側層上に、必要により繊維補強層を施した後に、押出機により他方のゴムを外側層として押出すことにより内側層と、必要により繊維補強層と、外側層とからなるゴム積層体を形成し、ついで得られたゴム積層体を加硫し層間を接着させる方法があげられる。
【0079】
ホットプレスは通常140〜200℃の温度で20〜150kg/cmの圧力下、5〜60分間行なわれる。加硫缶による場合は通常130〜160℃の温度、1.8〜6.0kg/cmの圧力下で30〜120分間加圧加硫が実施される。さらに、得られたゴム積層体を熱処理(ポストキュア)することによって一次加硫時間の短縮、圧縮永久ひずみの改良を図ることも可能である。
【0080】
第一層のゴム(a)層と第二層のゴム(b)層は、用途によりゴム積層体の内側層になったり外側層になったり、いずれの層構造であっても良い。例えば高温の流体がホース内面を流動する場合には耐熱性の高いゴム層を内側層に、高温物体あるいは高温流体がホース外面に接触あるいは近傍する場合には耐熱性の高いゴム層を外側にする。
なお、本発明のゴム積層体のさらに内側層や外側層に、必要により繊維補強層を施してもよいし、また他のゴム層、熱可塑性樹脂層、熱可塑性エラストマー層を形成しても良い。
【0081】
本発明のゴム積層体は、各種用途を有し、例えば自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系など、駆動系のトランスミッション系など、シャーシのステアリング系、ブレーキ系など、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線などとして好適な特性を備えている。
【0082】
具体的には、以下に列記する用途に使用可能である。
【0083】
エンジン本体の、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴムなど。
【0084】
主運動系の、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなど。
【0085】
動弁系の、エンジンバルブのバルブステムオイルシールなど。
【0086】
潤滑・冷却系の、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットなどや、ラジエータ周辺のウオターホース、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなど。
【0087】
燃料系の、燃料ポンプのオイルシール、ダイヤフラム、バルブなど、フィラー(ネック)ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホースなどの燃料ホース、燃料タンクのインタンクホース、フィラーシール、タンクパッキン、インタンクフューエルポンプマウントなど、燃料チューブのチューブ本体やコネクターO−リングなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターO−リング、プレッシャーレギュレーターダイヤフラム、チェックバルブ類など、キャブレターのニードルバルブ花弁、加速ポンプピストン、フランジガスケット、コントロールホースなど、複合空気制御装置(CAC)のバルブシート、ダイヤフラムなど。
【0088】
吸気・排気系の、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキンなど、EGR(排気際循環)のダイヤフラム、コントロールホース、エミッションコントロールホースなど、BPTのダイヤフラムなど、ABバルブのアフターバーン防止バルブシートなど、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、タービンシャフトシール、バキュームセンシングホースなど。
【0089】
トランスミッション系の、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなど、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類など。
【0090】
ステアリング系の、パワーステアリングオイルホースなど。
【0091】
ブレーキ系の、オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキオイルホースなど、マスターバックの大気弁、真空弁、ダイヤフラムなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類など。
【0092】
基本電装品の、電線(ハーネス)の絶縁体やシースなど、ハーネス外装部品のチューブなど。
【0093】
制御系電装品の、各種センサー線の被覆材料など。
【0094】
装備電装品の、カーエアコンのO−リング、パッキン、クーラーホースなど。
【0095】
また自動車用以外では、例えば家庭用の都市ガス用ゴムホースおよびチューブ、プロパンガス用ホースおよびチューブ、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のパッキン、O−リング、ホース、その他のシール材、ダイヤフラム、バルブに、また化学プラントにおける同様のパッキン、O−リング、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ホース、ロール、チューブ、耐薬品用コーティング、ライニングに、食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ベルト、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブに、原子力プラント機器における同様のパッキング、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、チューブに、一般工業部品における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウエザーストリップ、PPC複写機のロールブレードなどへの用途に好適である。
【実施例】
【0096】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0097】
参考例
【0098】
表1に示す配合内容により、ゴム組成物(A)を作製した。
【0099】
参考例1
3リッターニーダー(50℃、30rpm)に、FKM1、Q1を投入し、ほほ均一になった時点で、Hシロキサン1を加え十分混入した後、触媒1を加えてさらに混練りした。十分に混練りが進行した時点で、(トルクがほぼ一定に到達)ニーダーの温度を上昇させ(150℃)架橋反応を開始させた。架橋反応が終了(トルクが上昇後一定になった時点あるいは減少した時点)後排出した。次に10インチロール(50℃、20rpm)を用いて、表1の他の添加剤を加えて混練りし、ゴム組成物(A)を得た。これをA1とした。
このA1を凍結切断し、切断面を透過型電子顕微鏡で島相を形成する分散ゴム粒子の数が約50〜100個からなる領域を任意に3個所選び、各々について分散ゴム粒子の長径と個数を観察し、数平均粒子径を算出し、3領域の平均値を平均粒子径として求めた。
【0100】
参考例2〜4
表1の配合内容で、参考例1と同様にしてゴム組成物(A)を得た。これらをそれぞれA2〜A4とした。また、これらについても同様にして島層を形成する分散ゴム粒子の平均粒子径を求めた。
【0101】
参考例5
3リッターニーダー(50℃、30rpm)に、NBR1、EPDM1、ステアリン酸を投入し、ほほ均一になった時点で、Hシロキサン1を加え十分混入した後、触媒1を加えて更に混練りした。十分に混練りが進行した後、(トルクがほぼ一定に到達)ニーダーの温度を上昇させ(150℃)架橋反応を開始させ架橋反応が終了(トルクが上昇後一定になった時点あるいは減少した時点)後排出した。 次に10インチロールを用いて、表1の他の添加剤を加えて混練りし、ゴム組成物(A)を得た。これをA5とした。また、これらについても同様にして島層を形成する分散ゴム粒子の平均粒子径を求めた。
【0102】
参考例6〜8
表1の配合内容で、参考例5と同様にしてゴム組成物(A)を得た。これらをそれぞれA6〜A8とした。また、これらについても同様にして島層を形成する分散ゴム粒子の平均粒子径を求めた。
【0103】
実施例1
ゴム(a)としてFKM1を用い、ゴム組成物(A)として参考例1のA1を用い、表2に示す配合内容で、1.8リッターバンバリーミキサを用いて混練りし、配合物aを得た。
次に、ゴム(b)としてQ1を用い、ゴム組成物(A)として参考例A1を用い、表3に示す配合内容で、3リッターニーダーを用いて混練りし、配合物Aを得た。
このようにして得られた配合物aと配合物Aを6インチロールで各々2mmのシート状に成形した。次にこのゴムシートを表4の組み合わせでお互いに接触させ170℃で10分間プレス加硫した後、長さ150mm、幅25mmの短冊状に切断し、はく離用試験片としてのゴム積層体1を得た。これについて、JISK6256−2002に従ってT型はく離試験を行ない結果を表4に示した。
【0104】
実施例2〜14
実施例1と同様にして配合物を得た。次に同様にシート状に成形し表4の組み合わせでゴム積層体2〜ゴム積層体13を得た。同様にしてT型はく離試験を行ない、結果を表4に示した。
【0105】
比較例
ゴム組成物(A)を第一層のゴム(a)および第二層のゴム(b)のいずれにも含まない組み合わせとして以下の比較例を示した。
比較例1
【0106】
第一層のゴム(a)として配合物k、第二層のゴム(b)として配合物Hを用いた他は、実施例1と同様にして試験用の積層体14を得た。同様にしてはく離試験を行い結果を表4に示した。
【0107】
比較例2
第一層のゴム(a)として配合物l、第二層のゴム(b)として配合物Jを用いた他は、実施例1と同様にして試験用の積層体15を得た。同様にしてはく離試験を行い結果を表4に示した。
なお、表2、表3中の各略号および成分はそれぞれ次に示すものである。
【0108】
第一層のゴム(a)関係
FKM1:ダイキン工業(株)製のヨウ素を約0.2モル%含有するVdF/TFE/HFP(50/20/30モル%)共重合体フッ素ゴム。ムーニー粘度は50(ML1+10、100℃)
FKM2:ダイキン工業(株)製のヨウ素を約0.36モル%含有するVdF/TFE/HFP(50/20/30モル%)共重合体フッ素ゴム。ムーニー粘度は61(ML1+10、100℃)
NBR1:ジェイエスアール(株)製高ニトリルNBR(N220S)
NBR2:ジェイエスアール(株)製中高ニトリルNBR(N230S)
NBR3:ジェイエスアール(株)製低ニトリルNBR(N260S)
【0109】
第二層のゴム(b)関係
Q1:GE東芝シリコーン(株)製TSE221−5U
Q2:旭化成ワッカー(株)製ELASTOSIL R401/60S
Q3:GE東芝シリコーン(株)製EH1470U
EPDM1:三井石油化学(株)製PX046
EPDM2:三井石油化学(株)製PX052
【0110】
ヒドロシリル化触媒
触媒1:和光純薬工業(株)製の塩化白金酸6水和物1gを1000gの純水に溶解したもの。
触媒2:GE東芝シリコーン(株)製TC−18B
触媒3:旭化成ワッカー(株)製触媒EP
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
Hシロキサン1:GE東芝シリコーン(株)製XF40−412
Hシロキサン2:旭化成ワッカー(株)製H−Siloxane
架橋剤
架橋剤1:GE東芝シリコーン(株)製TC−8
架橋剤2:日本油脂(株)製パ−ヘキサ25B
架橋剤3:日本油脂(株)製パ−カドックス14/40
架橋剤4:鶴見化学工業(株)製サルファックスPMC
架橋助剤
架橋助剤1:日本化成(株)製TAIC
架橋助剤2:大内新興化学工業(株)製バルノックPM
架橋促進剤
架橋促進剤1:大内新興化学工業(株)製ノクセラ−CZ
架橋促進剤2:大内新興化学工業(株)製ノクセラ−TT
(実施の形態の効果)
【0111】
表4の結果から以下のようなことがわかる。
ゴム組成物(A)を第一層のゴム(a)およびまたは第二層のゴム(b)に含有したもの、特に実施例1〜8は、高温下(200℃)でも極めて優れた接着強度をもつことが比較例1との対比で明らかである。比較例1は、100℃を超えると極端に接着強度が低下してしまう。
また、実施例9〜13は、脱ハロゲン・耐候性・耐油性を考慮した積層体であり、50℃においても優れた接着性を示している。比較例2は50℃では接着強度は著しく低下する。

















【0112】
【表1】



【0113】
【表2】

【0114】
【表3】


【0115】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第一層はゴム(a)、第二層はゴム(a)以外のゴムまたは第一層のゴム(a)の有する架橋基とは異なる架橋基を有するゴム(b)で構成され、ゴム組成物(A)を前記ゴム(a)およびまたは前記ゴム(b)中に、ゴム組成物(A)/[前記ゴム(a)または前記ゴム(b)]の重量%比(0.1〜50/50〜99.9)で含有してなるゴム積層体であって、前記ゴム (a)と前記ゴム(b)とが架橋接着してなることを特徴とするゴム積層体。
【請求項2】
ゴム組成物(A)が、前記ゴム(a)と同種のゴム(I)と、前記ゴム(b)と同種のゴム(II)からなり、前記ゴム(I)と前記ゴム(II)との重量%比が90〜10/10〜90である請求項1に記載のゴム積層体。
【請求項3】
ゴム組成物(A)を構成する前記ゴム(I)と前記ゴム(II)の中、一方が海、他方が島となる相構造からなり、島相の平均粒子径が50μm以下である請求項1〜2のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項4】
ゴム組成物(A)を構成する前記ゴム(I)と前記ゴム(II)の中、いずれか一方のみが架橋する架橋剤によって、動的架橋してなる請求項1〜3のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項5】
前記ゴム(I)あるいは前記ゴム(II)の中、島相を形成する側が、少なくとも二個以上のアルケニル基を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項6】
前記ゴム(I)あるいは前記ゴム(II)の中、島相を形成する側が、ヒドロシリル化触媒および少なくとも二個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンで動的架橋してなる請求項1〜5のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項7】
前記ゴム(a)が有機過酸化物架橋可能なフッ素ゴム、前記ゴム(b)が有機過酸化物架橋可能なシリコーンゴムである請求項1〜6のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項8】
前記ゴム(a)がエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴム、前記ゴム(b)がエチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴムである請求項1〜6のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項9】
前記エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムがアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、前記エチレンαオレフィン(ジエン)共重合ゴムがエチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネンゴムである請求項1〜8のいずれかに記載のゴム積層体。
【請求項10】
前記ゴム(a)と前記ゴム(b)とを押出機により同時に押出すことによりゴム積層体を形成するか、または前記ゴム(a)と前記ゴム(b)のいずれか一方からなる層上に、必要により繊維補強層を施した後に、押出機により他方のゴムを外側層として押出すことにより内側層と、必要により繊維補強層と、外側層とからなるゴム積層体を形成し、ついで得られたゴム積層体を加硫し層間を接着させて請求項1〜9いずれかに記載のゴム積層体を製造する方法。
【請求項11】
前記ゴム(a)と前記ゴム(b)とを押出機により同時に押出すことにより内側層と外側層からなるゴム積層体を形成するか、または前記ゴム(a)と前記ゴム(b)のいずれか一方からなる内側層上に、必要により繊維補強層を施した後に、押出機により他方のゴムを外側層として押出すことにより内側層と、必要により繊維補強層と、外側層とからなるゴム積層体を形成し、ついで得られたゴム積層体を加硫し層間を接着させて請求項1〜10のいずれかに記載のゴム積層体からなるゴム製品を製造する方法。
【請求項12】
前記ゴム製品がゴムチューブ、ゴムホースである請求項1〜11いずれかに記載のゴム積層体。
【請求項13】
前記ゴムチューブが、家庭用LPガスチューブ、家庭用都市ガスチューブ、前記ゴムホースが、耐油・耐熱ゴムホース、ターボオイルホース、ターボエアホース、インタークーラーホースである請求項1〜12いずれかに記載のゴム積層体。

【公開番号】特開2007−98900(P2007−98900A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295147(P2005−295147)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(302067844)株式会社ツーワン (12)
【Fターム(参考)】