説明

ゴルジ装置ターゲティング用リポソーム

【課題】細胞内微小オルガネラの一つであるゴルジ装置への選択的な移行能を有するターゲティング用リポソームを提供する。
【解決手段】連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドを表面に有する、ゴルジ装置へ封入物を送達するためのゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。該ゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、細胞内微小オルガネラの一つであるゴルジ装置、特に極性細胞のゴルジ装置に選択的に薬剤を送達させることができ、ゴルジ装置の機能異常に起因する疾患の治療のための薬剤を封入させることによって、前記疾患をより効果的に、あるいは副作用を誘発することなく治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルジ装置に封入物を送達するためのリポソーム、特にゴルジ装置の機能異常による糖蛋白質代謝異常症を治療するための薬剤が封入されているゴルジ装置ターゲティング用リポソームに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物、核酸、ペプチド、タンパク質、糖等を細胞内部に送達するためのベクターやキャリアーとして、リポソームと称される脂質膜構造体が広く利用されている。リポソームは、原理的には脂質(リン脂質)を水相に分散させることで、内部に水相が封入された閉鎖膜として形成される粒子状物質として理解することができる。
【0003】
近年は、このリポソームを細胞内部に送達させるだけではなく、生体内におけるリポソームの安定性を高めたり、生体組織特異性を持たせたり、さらには細胞内の微小オルガネラに対する選択的な送達能を持たせるなどの、様々な工夫が試みられている。
【0004】
本発明者らは、リポソームに対して、細胞内への移行性を高め、さらに封入物を細胞の核に効率的に送達させることのできるリポソームを開発した(特許文献1)。このリポソームは、 連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドを表面に有するリポソームであり、特に核酸を細胞の核に送達させて転写発現を効率的に行わせる必要のある核酸を送達するためのリポソームとして、有用である。
【0005】
一方、生体の疾患は様々な細胞内微小オルガネラにおける機能異常によっても引き起こされることは広く知られている。例えば、一般に「糖蛋白質代謝異常症」と称される疾患は、ゴルジ装置を含むライソソームにおける糖蛋白質の糖鎖部分に対して作用する酵素蛋白質の欠損や機能低下を原因とする疾患であり、臨床的には、臓器への糖蛋白の蓄積や、尿中への疾患特有のオリゴ糖の排泄などが代表的な症状として観察される。
【0006】
「糖蛋白質代謝異常症」に分類される疾患例としては、フコシドーシス、マンノシドーシス、ムコリピドーシス、ガラクトシアリドーシス等を挙げることができる。また、ゴルジ装置における糖転移酵素の欠損により、ライソソームに酵素が転送されなくなり多くの酵素が低下するI−Cell病や、β−ガラクトシダーゼとα−ノイラミニダーゼの蛋白を保護する保護蛋白の欠損症であるガラクトシアリドーシスなどは、ゴルジ装置の機能異常を原因とする「糖蛋白質代謝異常症」の代表例である。
【0007】
この様な微小オルガネラにおける機能異常に起因する疾患を治療等するためには、当該微小オルガネラに選択的に薬剤等を送達させることのできるターゲティングベクターを用いることが望ましい。しかし、これまでのところ、微小オルガネラ、特にゴルジ装置への選択的移行性が高めたリポソームは開発されていない。
【特許文献1】国際特許出願公開第WO2005/032593号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、細胞内微小オルガネラの一つであるゴルジ装置への選択的な移行能を有するターゲティング用リポソーム、特にゴルジ装置の機能異常による糖蛋白質代謝異常症を治療するための薬剤が封入されているゴルジ装置ターゲティング用リポソームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドを表面に有するリポソームが、特に極性細胞においてゴルジ装置にも選択的に移行する能力を有していることを見いだし、下記の各発明を完成した。
【0010】
(1)連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドを表面に有する、ゴルジ装置へ封入物を送達するためのゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0011】
(2)極性細胞のゴルジ装置へ封入物を送達するための、(1)に記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0012】
(3)前記ペプチドが連続した4〜20個の塩基性アミノ酸残基を含む、(1)又は(2)に記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0013】
(4)前記ペプチドが塩基性アミノ酸残基のみからなる、(1)〜(3)の何れかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0014】
(5)塩基性アミノ酸残基がアルギニン残基及び/又はリジン残基である、(1)〜(4)の何れかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0015】
(6)脂質二重層を構成する総脂質に対するカチオン性脂質の割合が0〜40%(モル比)である、(1)〜(5)のいずれかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0016】
(7)前記ペプチドが疎水性基又は疎水性化合物で修飾されており、前記疎水性基又は前記疎水性化合物が脂質二重層に挿入され、前記ペプチドが前記脂質二重層から露出している、(1)〜(6)のいずれかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0017】
(8)前記疎水性基がステアリル基である、(7)に記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0018】
(9)ゴルジ装置の機能異常による糖蛋白質代謝異常症を治療するための薬剤が封入されている、(1)〜(8)のいずれかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【0019】
(10)薬剤がキシロースβl−4ガラクトシルトランスフェラーゼ又はGDP−フコースである、(9)記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【発明の効果】
【0020】
本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、細胞内微小オルガネラの一つであるゴルジ装置、特に極性細胞のゴルジ装置に選択的に薬剤を送達させることができる。その結果、ゴルジ装置の機能異常に起因する疾患の治療のための薬剤を封入させた本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームを生体に投与することによって、従来のリポソームを使用した場合と比べて、前記疾患に対して、より効果的にあるいは副作用を誘発することなく治療効果が得られることが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドを表面に有する、ゴルジ装置へ封入物を送達するためのゴルジ装置ターゲティング用リポソームに関する。
【0022】
本発明におけるリポソームにおける封入される薬剤を除く構造ないし構成は、前記特許文献1に記載されたリポソームの構造ないし構成と同じであってよい。本明細書は、この特許文献1の記載を取り込むものである。
【0023】
本発明におけるリポソームの形態は、脂質二重層膜構造を有する閉鎖小胞である限り、脂質二重層の数は特に限定されるものではなく、多重膜リポソーム(MLV)であってもよいし、SUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)、GUV(giant unilamella vesicle)等の一枚膜リポソームであってもよい。また、本発明におけるリポソームのサイズは特に限定されるものではないが、直径50〜800nmであることが好ましく、直径80〜150nmであることがさらに好ましい。
【0024】
本発明におけるリポソームの脂質二重層を構成する脂質の種類は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ホスファチジルコリン(例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルグリセロール(例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジグリセロール)、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジエタノールアミン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン等のリン脂質又はこれらの水素添加物;スフィンゴミエリン、ガングリオシド等の糖脂質が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。リン脂質は、卵黄、大豆その他の動植物に由来する天然脂質(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、合成脂質又は半合成脂質のいずれであってもよい。
【0025】
脂質二重層には、脂質二重層を物理的又は化学的に安定させたり、膜の流動性を調節したりするために、例えば、コレステロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール等の動物由来のステロール;スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等の植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロール等の微生物由来のステロール;グリセロール、シュクロース等の糖類;トリオレイン、トリオクタノイン等のグリセリン脂肪酸エステルのうち、1種又は2種以上を含有させることができる。その含有量は特に限定されるものでないが、脂質二重層を構成する総脂質に対して5〜40%(モル比)であることが好ましく、10〜30%(モル比)であることがさらに好ましい。
【0026】
脂質二重層には、トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン等の抗酸化剤;ステアリルアミン、オレイルアミン等の正荷電を付与する荷電物質;ジセチルホスフェート等の負電荷を付与する荷電物質;膜表在性タンパク質、膜内在性タンパク質等の膜タンパク質を含有させることができ、その含有量は適宜調節することができる。
【0027】
本発明におけるリポソームは、連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドが脂質二重層の外表面に露出されている。ここにいう「露出」は、ペプチドあるいはペプチド部分が疎水性基又は疎水性化合物で修飾されている場合もいない場合も含め、当該ペプチドあるいはペプチド部分が脂質二重層に埋包されていない状態を意味する。なお、一枚膜リポソームについては脂質二重層の外表面がリポソームの表面であり、多重膜リポソームについては最外層の脂質二重層の外表面がリポソームの表面である。また、本発明におけるリポソームは、表面以外の部分(例えば、脂質二重層の内表面)に上記ペプチドを有していてもよい。
【0028】
上記ペプチドにおける連続した塩基性アミノ酸残基の個数は複数個である限り特に限定されるものではないが、通常4〜20個、好ましくは6〜12個、さらに好ましくは7〜10個である。上記ペプチド全体を構成するアミノ酸残基の個数は特に限定されるものではないが、通常4〜35個、好ましくは6〜30個、さらに好ましくは8〜23個である。上記ペプチドは、連続した複数個の塩基性アミノ酸残基のC末端及び/又はN末端に任意のアミノ酸配列を含むことができるが、塩基性アミノ酸残基、特にアルギニン残基及び/又はリジン残基のみからなることが好ましい。好ましいペプチドは、8個のアルギニン残基のみからなるオクタアルギニンペプチド(R8)又は8個のリジン残基のみからなるオクタリジンペプチド(K8)であり、特に好ましいペプチドはR8である。
【0029】
連続した複数個の塩基性アミノ酸残基のC末端又はN末端に付加されるアミノ酸配列は、剛直性を有するアミノ酸配列(例えば、ポリプロリン)であることが好ましい。ポリプロリンは、柔らかくて不規則な形をとっているポリエチレングリコール(PEG)と異なり、直線的で、ある程度の堅さを保持している。
【0030】
本発明におけるリポソームの好ましい態様として、上記ペプチドが疎水性基又は疎水性化合物で修飾されており、疎水性基又は疎水性化合物が脂質二重層に挿入され、上記ペプチドが脂質二重層から露出しているリポソームを例示することができる。なお、本態様において、「ペプチドが脂質二重層から露出している」には、ペプチドが脂質二重層の外表面又は内表面のいずれか一方から露出している場合、両方から露出している場合が含まれる。
【0031】
疎水性基又は疎水性化合物は、脂質二重層に挿入され得る限り特に限定されるものでない。疎水性基としては、例えば、ステアリル基等の飽和又は不飽和の脂肪酸基、コレステロール基又はその誘導体等が挙げられるが、これらのうち特に炭素数10〜20の脂肪酸基(例えば、パルミトイル基、オレイル基、ステアリル基、アラキドイル基等)が好ましい。また、疎水性化合物としては、例えば、上記に例示したリン脂質、糖脂質又はステロール、長鎖脂肪族アルコール(例えば、ホスファチジルエタノールアミン、コレステロール等)、ポリオキシプロピレンアルキル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0032】
本発明におけるリポソームの表面に存在する上記ペプチドの量は、脂質二重層を構成する総脂質に対して通常0.1〜30%(モル比)、好ましくは1〜25%(モル比)、さらに好ましくは2〜20%(モル比)である。
【0033】
本発明におけるリポソームの表面に存在する上記ペプチドの量が、脂質二重層を構成する総脂質に対して2%(モル比)未満、好ましくは1.5%(モル比)未満、さらに好ましくは1%(モル比)未満であると、本発明におけるリポソームは、主にエンドサイトーシスを介して細胞内又は核内へ移行することができる。このときの上記ペプチドの量の下限値は、脂質二重層を構成する総脂質に対して通常0.1%(モル比)、好ましくは0.5%(モル比)、さらに好ましくは0.7%(モル比)である。
【0034】
本発明におけるリポソームの表面に存在する上記ペプチドの量が、脂質二重層を構成する総脂質に対して2%(モル比)以上、好ましくは3%(モル比)以上、さらに好ましくは4%(モル比)以上であると、本発明におけるリポソームは、主にマクロピノサイトーシスを介して細胞内又は核内へ移行することができる。このときの上記ペプチド量の上限値は、脂質二重層を構成する総脂質に対して通常30%(モル比)、好ましくは25%(モル比)、さらに好ましくは20%(モル比)である。
【0035】
リポソームの細胞内移行経路がエンドサイトーシスに依存する場合、脂質二重層はその主要成分としてカチオン性脂質を含む必要があるが、本発明におけるリポソームの細胞内移行経路は、エンドサイトーシスにのみ依存するわけではないので、脂質二重層にカチオン性脂質が含まれている必要はない。すなわち、本発明におけるリポソームの脂質二重層は、カチオン性脂質及び非カチオン性脂質のいずれか一方で構成されていてもよいし、両方で構成されていてもよい。但し、カチオン性脂質は細胞毒性を有するので、本発明のリポソームの細胞毒性を低減させる点からは、脂質二重層に含まれるカチオン性脂質の量を出来る限り少なくすることが好ましく、脂質二重層を構成する総脂質に対するカチオン性脂質の割合は0〜40%(モル比)であることが好ましく、0〜20%(モル比)であることがさらに好ましい。
【0036】
カチオン性脂質としては、例えば、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(dioctadecyldimethylammonium chloride、DODAC)、N−(2,3−オレイルオキシ)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウム(N−(2,3−dioleyloxy)propyl−N,N,N−trimethylammonium、DOTMA)、ジドデシルアンモニウムブロミド(didodecylammonium bromide、DDAB)、1,2−ジオレイルオキシ−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−dioleoyloxy−3−trimethylammonio propane、DOTAP)、3β−N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモールコレステロール(3β−N−(N’,N’,−dimethyl−aminoethane)−carbamol cholesterol、DC−Chol)、1,2−ジミリストイルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム(1,2−dimyristoyloxypropyl−3−dimethylhydroxyethyl ammonium、DMRIE)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアンモニウムトリフルオロアセテート(2,3−dioleyloxy−N−[2(sperminecarboxamido)ethyl]−N,N−dimethyl−1−propanaminum trifluoroacetate、DOSPA)等が挙げられる。
【0037】
「非カチオン性脂質」とは、中性脂質又はアニオン性脂質を意味し、中性脂質としては、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、コレステロール、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、セレブロシド等が挙げられ、アニオン性脂質としては、例えば、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン(N−スクシニルPE)、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエチレングリコール、コレステロールコハク酸等が挙げられる。
【0038】
また、本発明におけるリポソームの表面に存在する上記ペプチドの量が脂質二重層を構成する総脂質に対して2%(モル比)以上、好ましくは3%(モル比)以上、さらに好ましくは4%(モル比)以上であると、本発明におけるリポソームは、低温(通常4〜10℃、好ましくは4〜6℃)において細胞内移行性を効果的に発揮することができる。このときの上記ペプチド量の上限値は、脂質二重層を構成する総脂質に対して通常30%(モル比)、好ましくは25%(モル比)、さらに好ましくは20%(モル比)である。
【0039】
本発明におけるリポソームは、マクロピノサイトーシスもしくはクラスリン介在性エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる性質を有している。マクロピノサイトーシスにより細胞内に取り込まれる細胞外物質はマクロピノソームという画分となるが、この画分はエンドソームと異なりリソソームと融合しないため、ライソソームによる分解を回避することができる。したがって、本発明におけるリポソームがマクロピノサイトーシスを介して細胞内に移行する場合、本発明のリポソームに封入された目的物質を効率よく細胞内又は核内に送達することができる。
【0040】
上記の構造ないし成分を有する本発明におけるリポソームは、細胞内微小オルガネラの一つであるゴルジ装置に対して選択的に移行する能力、すなわちゴルジ装置へのターゲティング能力を獲得する。これにより、上記リポソームはゴルジ装置ターゲティング用リポソームとして使用することができる。特に本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、極性細胞内のゴルジ装置に対して高い移行能を示し、封入された薬剤を極性細胞のゴルジ体に効率的に送達させることができる。
【0041】
本発明にいう極性細胞とは、細胞極性を有する細胞、すなわち細胞膜や細胞内の成分が細胞内にある偏りをもって存在している細胞を意味する。その代表例は上皮細胞やニューロンであり、その他LLC−PK1細胞、MDCK細胞、Caco−2細胞なども極性細胞の一種であるが、本発明ではこれらに限定されることはない。例えば、球状のリンパ球や不規則に見える繊維芽細胞でも、移動や活性化の際には細胞の形が変化して細胞内成分および細胞膜成分の再配置を伴う変化を起こし、極性細胞となる場合もあり、本発明に係る極性細胞も含まれる。
【0042】
本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、特に上記の極性細胞に対して作用させることによって、全く予期せぬことに当該細胞のゴルジ装置に対して選択的な移行能を示す。
【0043】
ゴルジ装置とは、真核細胞の、通常は核に近接して存在する、ほぼ平行に積み重なった相互に連絡する扁平な嚢(ゴルジ槽)が、細管でできた2つの複雑な網目構造(シスゴルジ網とトランスゴルジ網)の間にはさまれた構造を有する、当業者に広く知られる動的な細胞内微小オルガネラである。ゴルジ装置は、ゴルジ複合体、ゴルジ体、ゴルジ複合体、ゴルジ小胞体(ゴルジ体により生成される小胞)とも呼ばれるが、本発明では何れも実質的には同一のオルガネラを意味するものとして、まとめてゴルジ装置として表すこととする。
【0044】
ゴルジ装置は、分泌タンパク質や細胞外タンパク質の糖鎖修飾や、リボゾームタンパク質のプロセシングなど、小胞体(粗面小胞体)により生産された各種前駆体タンパク質の化学的修飾を行うとともに、各々のタンパク質を分類し、分泌顆粒、ライソソームあるいは細胞膜にそれぞれ振り分ける働きをもつ。
【0045】
このゴルジ装置の機能異常に起因する疾患として、ゴルジ装置における蛋白質の糖鎖修飾に関連する蛋白質の欠損あるいはそうした原因による糖類の欠損に起因する、糖蛋白代謝異常症に分類される疾患が知られている。その様な疾患の例としては、Ehler−Danlos症候群、炭水化物欠損糖蛋白質症候群、I−Cell病、ガラクトシアリドーシス等を挙げることができる。
【0046】
Ehler−Danlos症候群は、ゴルジ装置におけるキシロースβ1−4ガラクトシルトランスフェラーゼの欠損に起因する疾患であり、また炭水化物欠損糖蛋白質症候群は、ゴルジ装置におけるGDP−フコースの欠損ないし不足に起因する疾患である。
【0047】
またI−Cell病は、ムコリピドーシスII型とも呼ばれる、ゴルジ装置における糖転移酵素の欠損に起因する疾患である。顕微鏡で細胞を観察すると封入対(Inclusion body)の形成が認められ、ムコ多糖症の症状を呈するが、尿中にはムコ多糖が認められない。さらにシアリドーシスは、βーガラクトシダーゼとαーノイラミニダーゼの蛋白を保護する保護蛋白の欠損に起因する疾患として理解されている。
【0048】
この様なゴルジ装置の機能異常に起因する疾患に対する薬剤が封入された本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、本発明において好ましい態様の一つである。封入される薬剤の例としては、例えばEhler−Danlos症候群に対してはキシロースβ1−4ガラクトシルトランスフェラーゼ等のようにゴルジ体において欠損している酵素蛋白質を、あるいは炭水化物欠損糖蛋白質症候群に対してはGDP−フコースのようにゴルジ体において欠損ないし不足している糖自体を、それぞれ挙げることができる。また、シアリダーゼなどのマンノース6リン酸によって糖鎖修飾を受けている糖加水分解酵素、β1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、GlcNAcリン酸基転移酵素、カスパーゼ2等、その他ゴルジ装置特異的にその働きを発揮する酵素やタンパク質、遺伝子、あるいは低分子化合物等が封入されていてもよい。
【0049】
タンパク質や糖類、あるいは低分子化合物などのゴルジ装置の機能異常に起因する疾患を治療するための薬剤を封入させた本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、既に説明した連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドの使用及び薬剤の選択の他は、一般的な薬剤封入型リポソームの製造方法によって作ることができる。
【0050】
本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、一般的な水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、界面活性剤法、凍結・融解法等の方法によって製造することができ、例えば、封入される薬剤が水溶性である場合には、リポソームの製造にあたり脂質膜を水和する際に使用される水性溶媒に薬剤を添加することによってリポソーム内部の水相に当該水溶性薬剤を封入することができ、あるいは封入される薬剤が脂溶性である場合には、リポソームの製造にあたり使用される有機溶剤に当該薬剤を添加することによってリポソームの脂質二重層に薬剤を封入することができる。
【0051】
なお、一般的な水和法の場合、脂質二重層の構成成分である脂質と疎水性基又は疎水性化合物で修飾された本発明に係る連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドとを有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得た後、脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することにより、上記ペプチドを表面に有するリポソームを製造することができる。また、脂質二重層の構成成分である脂質を有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得、この脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することによりリポソームを製造する。次いで、このリポソームの外液に、疎水性基又は疎水性化合物で修飾された上記ペプチドを添加することにより、リポソームの表面に上記ペプチドを導入することができる。
【0052】
上記の方法において、有機溶媒として、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール等の低級アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類等を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
また、所定のポアサイズのフィルターを通過させることにより、一定の粒度分布を持ったリポソームを得ることができる。また、公知の方法に従って、多重膜リポソームから一枚膜リポソームへの転換、一枚膜リポソームから多重膜リポソームへの転換を行うことができる。
【0054】
本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、例えば、分散液の状態で使用することができる。分散溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を使用することができる。分散液には、例えば、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン界面活性剤、抗酸化剤、pH調節剤、水和促進剤等の添加剤を添加して使用してもよい。
【0055】
本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、分散液を乾燥(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等)させた状態で使用することもできる。乾燥させたリポソームは、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を加えて分散液とすることができる。
【0056】
本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、in vivo及びin vitroのいずれにおいても使用することもできる。本発明のリポソームをin vivoにおいて使用する場合、投与経路としては、例えば、静脈、腹腔内、皮下、経鼻等の非経口投与が挙げられ、投与量及び投与回数は、リポソームに封入された抗原性物質の種類や量等に応じて適宜調節することができる。また、本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、0〜40℃という広範な温度域(効果的な温度域は4〜37℃)において細胞内移行性を発揮することができるので、目的に応じた温度条件を設定することができる。
【0057】
また本発明のゴルジ装置ターゲティング用リポソームは、連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドの他に、かかるペプチドのゴルジ装置ターゲティング機能を損なわない限り、リポソームに有用な機能を与える物質を有していてもよい。その様な物質の例としては、組織、器官あるいは特定の細胞に対してターゲティング能を有するペプチドや抗体や、GALAと呼ばれる30アミノ酸残基からなる合成ペプチド(特開2006−28030号公報)などを挙げることができる。
【実施例】
【0058】
<実施例1>
1)ゴルジ装置ターゲティング用リポソームの作製
総脂質重量比で下記の組成からなる成分をガラス試験管に分取し、全量で250μLとなるようにクロロホルムを加えて溶解させた後、窒素ガスにより溶媒を留去することで、6種類の脂質膜を形成させた。
【0059】
【表1】

【0060】
組成1〜6の脂質膜それぞれに250μLのHEPES緩衝液(10mM HEPES/NaOH、pH7.4)を添加し、15分間水和した。この水和物に対して、水槽型超音波発生装置で超音波処理を30秒〜1分間行うことで、カチオン性ペプチドを有さない1種類の組成1からなるリポソーム1及びカチオン性ペプチドを有する5種類の組成2〜6からなるゴルジ装置ターゲティング用リポソーム2〜6を作製した。
【0061】
リポソーム1〜6のサイズと膜電位(Zeta potential)を、Zetasizer(Malvern社)を用いて測定した。その結果を表に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
2)細胞の形質転換
3.5cmガラスベースディッシュ(IWAKI社)にイヌ腎臓上皮細胞株であるMDCK細胞を播き、37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後に、インビトロ遺伝子導入試薬であるLipofectamine Plus試薬(Invitrogen社)を用いて、同試薬のマニュアルに従って、ゴルジ装置特異的GFP発現プラスミドであるpAc−GFP1 vector(Clontech社)を細胞にトランスフェクションした後、さらに37℃、5%CO2環境下で培養した。
【0064】
上記のトランスフェクションから48時間後、細胞がコンフルエントになった状態で、培養液を血清を含有しない培養液に換え、リポソーム1〜2、5〜6をそれぞれ総脂質量が27.5nmolとなるように加えた。6時間後に細胞をヘパリン溶液(40units/mL PBS溶液)1mLで3回洗浄し、Krebs buffer(4.8mM KCl、1mM KHPO、1.2mM MgSO、12.5mM Hepes、1.5mM CaCl、120mM NaCl、23.8mM NaHCO、5mM Glucose、pH7.3)1mLで1回洗浄し、培養液の代わりにKrebs buffer 1mLを細胞に加え、confocal laser scan microscope(CLSM)(Carl Zeiss社)を用いて細胞を観察した。
【0065】
その結果、STR−R8またはSTR−K8を含有するリポソーム(赤)がゴルジ装置(緑)と共局在を示すこと(黄)が確認され、カチオン性ペプチドを含有しないリポソーム(赤)はゴルジ装置(緑)と共局在を示さないことが確認された(図1)。
【0066】
このことから、リポソームのゴルジ装置への輸送は、カチオン性ペプチドのリポソーム表面修飾によってもたらされているものと推察された。
【0067】
<試験例1>
実施例1と同様にして、MDCK細胞をコンフルエントになるまで培養した後、細胞膜染色試薬であるPKH67(SIGMA社)を用いて、同試薬のマニュアルに従って細胞膜を染色した後、リポソーム1〜2、5〜6をそれぞれ総脂質量が27.5nmolとなるようにディッシュに加え、6時間後に細胞を洗浄し、観察した。
【0068】
その結果、カチオン性ペプチドの含有に関わらず、すべてのリポソーム(赤)が膜コンパートメント(緑)と共局在を示すこと(黄)が確認された(図2)。
【0069】
さらに、実施例1と同様にして、MDCK細胞をコンフルエントになるまで培養した後、リポソーム1〜2をそれぞれ総脂質量が27.5nmolとなるようにディッシュに加え、6時間後に細胞を洗浄し、培養液の代わりにKrebs buffer 1mLを細胞に加えた。ディッシュに低pHコンパートメント染色試薬であるlysotracker(Invitrogen社)を用いて、同試薬のマニュアルに従って、細胞を染色し、観察した。
【0070】
その結果、カチオン性ペプチドを含有しないリポソーム(赤)がほとんど低pHコンパートメント(緑)と共局在を示すこと(黄)が確認され、カチオン性ペプチドを含有するリポソーム(赤)は低pHコンパートメント(緑)と一部だけ共局在を示すこと(黄)が確認された(図3)。
【0071】
以上の結果及び実施例1の結果から、カチオン性ペプチドを含有するリポソームは細胞内取り込み後、膜コンパートメントから脱出せず、lysosome分解経路を避けてゴルジ装置へ輸送されることが推察された。
【0072】
<試験例2>
実施例1と同様にして、ゴルジ装置をGFPで染色したMDCK細胞をコンフルエントになった状態で、培養液を血清を含有しない培養液に換え、リポソーム3〜4をそれぞれ総脂質量が27.5nmolとなるようにディッシュに加え、6時間後に細胞を洗浄し、観察した。
【0073】
その結果、リポソーム3(赤)がゴルジ装置(緑)と共局在を示すこと(黄)が確認され、リポソーム4(赤)はゴルジ装置(緑)と共局在を示さないことが確認された(図4)。
【0074】
以上の結果及び実施例1から、リポソームのゴルジ装置への輸送の成否には、カチオン性ペプチドのリポソーム表面修飾のみならず、リポソームの構成脂質も寄与していると推察された。
【0075】
<試験例3>
6ウェルプレートにMDCK細胞を播き、37℃、5%CO2環境下で48時間培養した後、細胞がコンフルエントになった状態で、取り込み経路阻害剤としてクラスリン介在性エンドサイトーシス阻害剤であるクロルプロマジン、 カベオラ介在性エンドサイトーシス阻害剤であるフィリピン、マクロピノサイトーシス阻害剤であるアミロライドを、それぞれ5μg/mL、3μg/mL、2.5mMとなるように添加し、それぞれ1時間、1時間、30分間静置した。阻害剤処理細胞と未処理細胞に、リポソーム1〜2、5〜6を総脂質量が27.5nmolとなるようにディッシュに加え、1時間後に細胞を0.1%アジ化ナトリウム及び0.5%BSA含有PBS溶液4mLで1回洗浄し、ヘパリン溶液(40units/mL PBS溶液)1mLで3回洗浄し、トリプシン処理した後、4℃、1000rpm、5分間条件下で遠心をして細胞を沈殿させ、0.1%アジ化ナトリウム及び0.5%BSA含有PBS溶液500μLで懸濁させて、フィルターろ過をして、FACS解析を行った。
【0076】
その結果、STR−R8またはSTR−K8を含有するリポソームはともに、クラスリン介在性エンドサイトーシス及びマクロピノサイトーシスを取り込み経路として細胞内に取り込まれ、両者の割合は同程度であることが確認された。カチオン性ペプチドを含有しないリポソームにおいては上記の三種の取り込み経路はいずれも寄与が低いことが確認された(図5)。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例で作製されたリポソーム1〜2、5〜6とゴルジ装置の局在関係を示す共焦点レーザー顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図2】実施例で作製されたリポソーム1〜2、5〜6と膜コンパートメントの局在関係を示す共焦点レーザー顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図3】実施例で作製されたリポソーム1〜2と低pHコンパートメントの局在関係を示す共焦点レーザー顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図4】実施例で作製されたリポソーム3〜4とゴルジ装置との局在関係を示す共焦点レーザー顕微鏡を用いて撮影した写真である。
【図5】実施例で作製されたリポソーム1〜2、5〜6のFACS解析によって得られる平均蛍光値に基づいて、阻害剤処理細胞を用いた時の値を、未処理細胞を用いた時の値で除することで得られる、各取り込み経路の阻害率を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した複数個の塩基性アミノ酸残基を含むペプチドを表面に有する、ゴルジ装置へ封入物を送達するためのゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項2】
極性細胞のゴルジ装置へ封入物を送達するための、請求項1に記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項3】
前記ペプチドが連続した4〜20個の塩基性アミノ酸残基を含む、請求項1又は2に記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項4】
前記ペプチドが塩基性アミノ酸残基のみからなる、請求項1〜3の何れかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項5】
塩基性アミノ酸残基がアルギニン残基及び/又はリジン残基である、請求項1〜4の何れかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項6】
脂質二重層を構成する総脂質に対するカチオン性脂質の割合が0〜40%(モル比)である、請求項1〜5のいずれかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項7】
前記ペプチドが疎水性基又は疎水性化合物で修飾されており、前記疎水性基又は前記疎水性化合物が脂質二重層に挿入され、前記ペプチドが前記脂質二重層から露出している、請求項1〜6のいずれかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項8】
前記疎水性基がステアリル基である、請求項7に記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項9】
ゴルジ装置の機能異常による糖蛋白質代謝異常症を治療するための薬剤が封入されている、請求項1〜8のいずれかに記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。
【請求項10】
薬剤がキシロースβl−4ガラクトシルトランスフェラーゼ又はGDP−フコースである、請求項9記載のゴルジ装置ターゲティング用リポソーム。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−286709(P2009−286709A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138990(P2008−138990)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】