説明

ゴルフクラブ

【課題】優れた調整性を有するゴルフクラブの提供。
【解決手段】本発明のゴルフクラブは、少なくとも1の調整機構を備えている。このゴルフクラブでは、少なくとも2つの仕様が、互いに独立して調整可能である。好ましくは、ヘッド、シャフト、グリップ又はそれらの接合部が、調整機構(1)を有しており、上記ヘッド、上記シャフト、上記グリップ又は上記接合部が、更に他の調整機構(2)を有している。好ましくは、上記調整機構(1)と上記調整機構(2)とが、互いに独立して調整可能である。調整機構の数は限定されない。複数の仕様が互いに独立して調整可能であるため、調整性の自由度が向上する。これらの調整機構は、調整性の精度を向上させうる。調整されうる仕様は限定されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブに関する。詳細には、本発明は、調整性(Adjustability)を有するゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルファーは、自分に適合したゴルフクラブを選択し、使用している。ゴルフルールの観点から、プレー中に使用可能はゴルフクラブの数は、14本である。ゴルファーは通常、14本のクラブを選択し、ラウンドする。
【0003】
しかし、同じゴルファーでも、プレー日によって、調子が変わりうる。ゴルフコースのセッティングも、ゴルフクラブの選択に影響する。天候も、ゴルフクラブの選択に影響する。複数のゴルフコースに対処するために、使用される14本のクラブ以外に、交換用のゴルフクラブを用意しておくのが有利である。同様に、天候の変化に対処するために、交換用のゴルフクラブを用意しておくのが有利である。選択の自由度を高めるために、交換用のゴルフクラブを用意しておくのが有利である。
【0004】
調整性を有するゴルフクラブでは、仕様の調整が可能である。調整性を有する1本のゴルフクラブでは、1本のゴルフクラブが複数の仕様に調整されうる。この調整性は、交換用のゴルフクラブを不要としうる。
【0005】
調整性を有するゴルフクラブが提案されている。特開平9−201433号公報は、ロフト角可変のゴルフクラブを開示する。特開2004−267460号公報は、フック角調整が可能なゴルフクラブを開示する。米国特許出願US2006/0293115は、ヘッドとシャフトとの着脱が容易とされた構造を開示する。このUS2006/0293115の図17では、シャフト軸がホーゼル軸に対して傾斜した実施形態が示されている。このUS2006/0293115の図17の実施形態では、スリーブの周方向位置に起因して、ロフト角、ライ角及びフック角が連動して変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−201433号公報
【特許文献2】特開2004−267460号公報
【特許文献3】US2006/0293115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術における調整性には、改良の余地があることが判明した。
【0008】
本発明の目的は、優れた調整性を有するゴルフクラブの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のゴルフクラブは、少なくとも1の調整機構を備えている。このゴルフクラブでは、少なくとも2つの仕様が、互いに独立して調整可能である。
【0010】
好ましくは、ヘッド、シャフト、グリップ又はそれらの接合部が、調整機構(1)を有しており、上記ヘッド、上記シャフト、上記グリップ又は上記接合部が、更に他の調整機構(2)を有している。好ましくは、上記調整機構(1)と上記調整機構(2)とが、互いに独立して調整可能である。上記接合部とは、ヘッドとシャフトとの接合部、及び、シャフトとグリップとの接合部を意味する。
【0011】
好ましくは、上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)は、ホーゼル部以外に位置している。
【0012】
好ましくは、上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)は、ホーゼル部以外に位置している。
【0013】
好ましくは、全ての調整機構が、ホーゼル部以外に位置している。
【0014】
好ましくは、上記ゴルフクラブでは、ロフト角、ライ角、フック角、フェース面積、ヘッドの重心位置、クラブバランス、クラブ長さ、クラブ重心位置、クラブの振動数、クラブ重量、ヘッド形状、ヘッド体積、ヘッド重量、シャフトフレックス、シャフトの調子、シャフトのトルク、シャフトの曲げ剛性分布、シャフトの捻れ剛性分布、シャフト重量、シャフトの重量分布、シャフトの重心位置、シャフトの長さ、グリップ外径、グリップ重量、グリップ重心位置、グリップ長さ、フェース溝の仕様、フェースプログレッション、ヘッドの慣性モーメント、クラブの慣性モーメント、ヘッドとボールとの反発係数及びヘッドとボールとの摩擦係数から選ばれる2以上の上記仕様が、互いに独立して調整可能とされている。
【0015】
互いに独立して調整可能な上記仕様が3以上、更には4以上であってもよい。
【0016】
好ましくは、複数の上記仕様が、ロフト角、ライ角、クラブ長さ及びクラブ重量から選ばれる1以上の特定仕様を含み、この1以上の特定仕様の全てにおいて、調整範囲が2番手相当幅以上である。
【0017】
本発明のゴルフクラブセットは、上記記載のゴルフクラブを複数本備えている。
【発明の効果】
【0018】
仕様調整の精度又は自由度が向上しうる。ゴルファーにとって利便性の高い調整が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、調整機構M1(前方部材交換機構)を備えたヘッドの斜視図である。
【図2】図2は、図1のヘッドの分解図である。
【図3】図3は、前方部材の交換について説明するための図である。
【図4】図4は、図1のヘッドをソール側から見た図である。
【図5】図5は、調整機構M2(フェースプレート交換機構)を備えたヘッドの斜視図である。
【図6】図6は、フェースプレートの交換について説明するための図である。
【図7】図7は、調整機構M3(クラブ長さ調整機構)を備えたゴルフクラブを示す図である。
【図8】図8は、クラブ長さの調整について説明するための図である。
【図9】図9は、調整機構M4(ライ角調整機構)を備えたゴルフクラブを示す図である。
【図10】図10は、図9のゴルフクラブをソール側から見た図である。
【図11】図11は、図9のゴルフクラブの断面図である。
【図12】図12は、図11のCs1−Cs1線に沿った断面図、Cs2−Cs2線に沿った断面図及びCs3−Cs3線に沿った断面図である。
【図13】図13は、ライ角の調整について説明するための図である。
【図14】図14は、調整機構M4及び調整機構M5を備えたゴルフクラブを示す図である。
【図15】図15は、図14のゴルフクラブをソール側から見た図である。
【図16】図16は、調整機構M4、調整機構M5及び調整機構M6を備えたゴルフクラブを示す図である。
【図17】図17は、調整機構M6を備えたゴルフクラブの断面図である。
【図18】図18は、調整機構M7を備えたゴルフクラブの図である。
【図19】図19は、図18のゴルフクラブの分解図である。
【図20】図20は、図18のゴルフクラブの断面図である。
【図21】図21は、図18のゴルフクラブに用いられているスリーブの斜視図である。
【図22】図22は、第1のスリーブの断面図である。
【図23】図23は、第2のスリーブの断面図である。
【図24】図24は、調整機構M8を備えたゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図25】図25は、後方部材の交換について説明するための図である。
【図26】図26は、調整機構M9を備えたゴルフクラブを示す図である。
【図27】図27は、図26の断面図である。
【図28】図28は、図27のF28−F28線に沿ったゴルフクラブの断面図である。
【図29】図29は、調整機構M10を備えたゴルフクラブを示す図である。
【図30】図30は、図29の断面図である。
【図31】図31は、図29の分解図である。
【図32】図32は、調整機構M10を備えた他のゴルフクラブの分解図である。
【図33】図33は、調整機構M1及び調整機構M11を備えたゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図34】図34は、図33のヘッドをクラウン側から見た図である。
【図35】図35は、調整機構M12を備えたヘッドの分解斜視図である。
【図36】図36は、調整機構M6及び調整機構M10を備えたクラブの分解図である。
【図37】図37は、調整機構M13を備えたゴルフクラブの底面図である。
【図38】図38は、調整機構M14を備えたゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【図39】図39は、図38のヘッドの分解斜視図である。
【図40】図40は、図38のヘッドの断面図である。
【図41】図41は、調整機構M15を備えたゴルフクラブヘッドの平面図である。
【図42】図42は、図41のF41−F41線に沿った断面図である。
【図43】図43は、図41のヘッドの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0021】
本発明における調整機構は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)が定めるゴルフ規則を満たしている。即ち、本発明における調整機構は、R&Aが定める、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1b 調整性」で規定される要件を満たしている。この「1b 調整性」が規定する要件は、下記の(i)、(ii)及び(iii)である。
(i)容易に調整できるものでないこと。
(ii)調整可能部分はすべてしっかりと固定され、ラウンド中に緩むことの合理的な可能性がないこと。
(iii)調整後のすべての形状が規則に適合すること。
【0022】
図1は、ヘッド2を示す。このヘッド2は、本発明に用いられ得る調整機構M1を備えている。好ましくは、この調整機構M1は、互いに独立する他の調整機構とともに用いられる。
【0023】
図示されないが、このヘッド2を備えたゴルフクラブは、ヘッド2と、シャフトとグリップとを備える。ヘッド2は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。
【0024】
図2は、ヘッド2の分解斜視図である。ヘッド2は、前方部材4と、後方部材6と、結合用部材8とを有する。前方部材4と後方部材6とが、結合用部材8によって結合されている。前方部材4と後方部材6とは、実質的に隙間の無い状態で結合される。この結合により、中空のヘッド2が完成する。
【0025】
前方部材4は、フェース面10を有する。前方部材4は、フェース面10の全体を有する。図示されないが、前方部材4は、結合用部材8をねじ込むためのネジ孔と、このネジ孔を形成するための厚肉部とを有する。前方部材4は、全体として、略カップ状である。なお、図示は省略しているが、フェース面10には、フェース溝が設けられている。
【0026】
後方部材6は、ホーゼル部12を有する。ホーゼル部12は、シャフト孔14を有する。後方部材6は、結合用部材8を通すための貫通孔16と、この貫通孔16を形成するための厚肉部18とを有する。貫通孔16は、ヘッド2のトウ側及びヒール側に設けられている。厚肉部18も、ヘッド2のトウ側及びヒール側に設けられている。貫通孔16及び厚肉部18の位置は、限定されない。
【0027】
後方部材6は、突出部20を有する。本実施形態では、複数(2個)の突出部20が設けられている。突出部20は、後方部材6の開口部から前方に突出する。突出部20は、前方部材4の位置合わせを容易とする。突出部20は、前方部材4と後方部材6とのネジ止めを容易とする。
【0028】
ヒール側の貫通孔16は、シャフト孔14よりもヒール側に設けられている。ヒール側の厚肉部18は、シャフト孔14よりもヒール側に設けられている。この配置は、貫通孔16の長さを短くするのに寄与しうる。この配置は、厚肉部18の体積を小さくするのに寄与しうる。この配置は、ネジ機構を小型化するのに寄与しうる。
【0029】
結合用部材8は、ネジである。結合用部材8により、前方部材4と後方部材6とが結合される。
【0030】
このヘッド2は、調整機構M1を有している。この調整機構M1は、前方部材4と後方部材6とのネジ止め機構である。この調整機構M1は、前方部材4の交換を可能とする。
【0031】
図3には、ヘッド2と共に、交換用前方部材E4が示されている。図3には、交換用前方部材E4として、交換用前方部材E41と、他の交換用前方部材E42とが示されている。交換用前方部材E41及び交換用前方部材E42は、結合用部材8によって、後方部材6に結合できるように構成されている。ヘッド2と、少なくとも1つの交換用前方部材E4とによって、調整機能付きゴルフクラブが構成される。
【0032】
前方部材4を交換用前方部材E4に交換することにより、例えば、ロフト角(リアルロフト角)が変更される。前方部材4を交換用前方部材E4に交換することにより、例えば、フック角が変更される。
【0033】
調整機構M1により調整可能な仕様として、ロフト角、フック角、フェース面積及びフェースプログレッションが例示される。調整機構M1では、これらの仕様のそれぞれが独立して調整可能である。更に調整機構M1では、ヘッドとボールとの反発係数及びヘッドとボールとの摩擦係数が調整可能である。ヘッドとボールとの反発係数は、例えば、剛性が異なる交換用前方部材に交換することによって、調整されうる。ヘッドとボールとの摩擦係数は、例えば、フェース面の表面粗さが異なる交換用前方部材に交換することによって、調整されうる。
【0034】
上記調整機構M1による仕様の調整として、次が例示される。
(調整1a)ロフト角が変更され、フック角は実質的に変わらない。
(調整1b)ロフト角が変更され、フック角も変更される。
(調整1c)ロフト角は実質的に変更されず、フック角が変更される。
(調整1d)フェース面積が変更され、ロフト角及びフック角は変わらない。
(調整1e)フェースプログレッションが変更され、ロフト角及びフック角は変わらない。
【0035】
上記調整機構M1は、ウッド型ゴルフクラブヘッドに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブ(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0036】
図5は、他の実施形態に係る調整機構M2を備えたヘッド30の分解斜視図である。図6は、ヘッド30の断面図である。図示されないが、ヘッド30を備えたゴルフクラブは、シャフトとグリップとを備える。ヘッド30は、アイアン型ゴルフクラブヘッドである。好ましくは、この調整機構M2は、他の調整機構とともに用いられる。
【0037】
ヘッド30は、フェースプレート32と、ヘッド本体34と、結合用部材36とを有する。フェースプレート32とヘッド本体34とが、結合用部材36によって結合されている。フェースプレート32とヘッド本体34とは、実質的に隙間の無い状態で結合される。この結合により、バックフェースにキャビティ38(図6参照)を有するヘッド30が完成する。ヘッド30では、フェースプレート32の後面に設けられた平面p1と、ヘッド本体34の前面に設けられた平面p2とが面接触している(図6参照)。
【0038】
フェースプレート32は、フェース面40を有する。フェースプレート32は、フェース面40の全体を有する。図示されないが、フェースプレート32は、結合用部材36をねじ込むためのネジ孔を有する。フェースプレート32は、全体として、プレート状である。フェース面40には、フェース溝42が設けられている。
【0039】
ヘッド本体34は、ホーゼル部44を有する。ホーゼル部44は、シャフト孔46を有する。ヘッド本体34は、結合用部材36を通すための貫通孔48を有する。貫通孔48は、ヘッド本体34のトウ側及びヒール側に設けられている。貫通孔48の位置は、限定されない。
【0040】
結合用部材36は、ネジである。結合用部材36により、フェースプレート32とヘッド本体34とが結合される。
【0041】
このヘッド2は、調整機構M2を有している。この調整機構M2は、フェースプレート32とヘッド本体34とのネジ止め機構である。この調整機構M2は、フェースプレート32の交換を可能とする。
【0042】
図6は、ヘッド30の断面図と共に、交換用フェースプレートE32の断面図を示している。図6には、交換用フェースプレートE32として、第1の交換用フェースプレートE321と、第2の交換用フェースプレートE322とが示されている。交換用フェースプレートE32は、結合用部材36によって、ヘッド本体34に結合できるように構成されている。ヘッド30と、少なくとも1つの交換用フェースプレートE32とによって、調整機能付きゴルフクラブが構成される。
【0043】
フェースプレート32を交換用フェースプレートE32に交換することにより、例えば、ロフト角(リアルロフト角)が変更される。フェースプレート32を交換用フェースプレートE32に交換することにより、例えば、フェース溝の仕様が変更される。
【0044】
調整機構M2により調整可能な仕様として、ロフト角、フェース溝の仕様、フェースプログレッション及びヘッドとボールとの摩擦係数が例示される。調整機構M2では、これらの仕様のそれぞれが独立して調整可能である。
【0045】
上記調整機構M2による仕様の調整として、次が例示される。
(調整2a)ロフト角が変更され、フェース溝の仕様は実質的に変わらない。
(調整2b)ロフト角が変更され、フェース溝の仕様も変更される。
(調整2c)ロフト角は実質的に変更されず、フェース溝の仕様が変更される。
(調整2d)フェースプログレッションが変更され、ロフト角及びフェース溝の仕様は変更されない。
【0046】
上記調整機構M2は、アイアン型ゴルフクラブヘッドに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブヘッド(ウッド型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0047】
図7は、他の調整機構に係るゴルフクラブ50を示す。このゴルフクラブ50は、ヘッド52と、シャフト54と、スリーブ56と、グリップ(図示されず)とを備える。ヘッド52は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。シャフト54は、管状である。
【0048】
後述するように、このゴルフクラブ50は、調整機構M3を有する。好ましくは、ゴルフクラブ50は、調整機構M3と共に、互いに独立した他の調整機構を有する。
【0049】
ゴルフクラブ50は、複数の結合用部材58を有する。本実施形態のゴルフクラブ50は、3つの結合用部材58を有する(図7参照)。結合用部材58として、第1の結合用部材581、第2の結合用部材582及び第3の結合用部材583を有する。
【0050】
図8は、ゴルフクラブ50の断面図である。図8では、ホーゼル部分の断面が示されている。図8の左側(構成S1)は、第1の結合用部材581を用いた状態を示す。図8の中央(構成S2)は、第2の結合用部材582を用いた状態を示す。図8の右側(構成S3)は、第3の結合用部材583を用いた状態を示す。
【0051】
ヘッド52は、ホーゼル孔60を有する。このホーゼル孔60に、スリーブ56が挿入されている。ホーゼル孔60の断面形状は、スリーブ56の外面の断面形状の対応している。
【0052】
スリーブ56は、シャフト孔62と、ネジ孔63とを有する。シャフト孔62は、上方に開口している。ネジ孔63は、下方に開口している。
【0053】
図8が示すように、シャフト54の先端部が、シャフト孔62に挿入されている。スリーブ56は、シャフト54の先端部に固定されている。スリーブ56は、シャフト54の先端部に接着されている。
【0054】
スリーブ56の外面66は、断面形状が非円形である部分を有する。本実施形態では、スリーブ56の外面66の断面形状が六角形である。一方、ホーゼル孔60の断面形状も非円形(六角形)である。これらの非円形の断面形状により、スリーブ56がホーゼル孔60に対して回転することが規制されている。
【0055】
なお、スリーブ56の外面の断面形状及びホーゼル孔60の断面形状が円形であってもよい。相対回転の規制は、結合用部材58のみによっても達成されうる。
【0056】
結合用部材58は、頭部r1と、軸部r2と、ネジ部r3とを有する。頭部r1とネジ部r3との間に、軸部r2が設けられている。
【0057】
複数の結合用部材58の間で、長さが異なる。長さの相違は、軸部r2の長さの相違によって達成されている。
【0058】
図8が示すように、結合用部材58のネジ部r3が、スリーブ56のネジ孔63と結合している。このネジ結合により、シャフト孔62からのスリーブ56の抜けが防止されている。
【0059】
図8が示すように、どの結合用部材58を用いるかによって、スリーブ56のシャフト孔62への挿入長さLs(図8参照)が変化する。この変化に起因して、クラブ長さが変更される。
【0060】
このゴルフクラブ50は、調整機構M3を有している。この調整機構M3は、シャフト挿入長さの変更機構である。
【0061】
この調整機構M3により、例えば、クラブ長さが変更される。また、この調整機構M3により、例えば、クラブバランスが変更される。調整機構M3による仕様の調整として、次が例示される。
(調整3a)クラブ長さが変更され、クラブバランスは実質的に変わらない。
(調整3b)クラブ長さが変更され、クラブバランスも変更される。
【0062】
上記(調整3a)を実現するための手段として、長い結合用部材58ほど重量を軽くすることが例示される。このための手段として、長い結合用部材58ほど比重の小さい素材を用いること、及び、長い結合用部材58ほど軸部r2の外径を小さくすることが例示される。
【0063】
上記調整機構M3は、ウッド型ゴルフクラブに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブ(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0064】
図9は、他の調整機構に係るゴルフクラブ70を示す。図10は、ゴルフクラブ70をソール側から見た図である。図11は、ゴルフクラブ70のホーゼル近傍の断面図である。図12は、図11に示された各位置における断面図である。このゴルフクラブ70は、ヘッド72と、シャフト74と、スリーブ76と、結合用部材78(図11参照)と、グリップ(図示されず)とを備える。ヘッド72は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。シャフト74は、管状である。
【0065】
後述するように、ゴルフクラブ70は、調整機構M4を有する。好ましくは、ゴルフクラブ70は、調整機構M4とは独立した他の調整機構を更に有する。
【0066】
ヘッド72は、ホーゼル部73を有する。ホーゼル部73は、スリーブ挿入孔75を有する(図11参照)。
【0067】
スリーブ76は、シャフト74に接着されている。スリーブ76は、ネジ孔77を有する。ネジ孔77は、スリーブ76の底面79に設けられている。
【0068】
更に、ゴルフクラブ70は、複数のスリーブ支持部材80を有する(図11参照)。スリーブ支持部材80として、第1のスリーブ支持部材801、第2のスリーブ支持部材802及び第3のスリーブ支持部材803を有する。
【0069】
結合用部材78は、ネジである。結合用部材78は、頭部r1とネジ部r3とを有する(図11参照)。結合用部材78の頭部r1には、結合用部材78を軸回転させるための凹部81が設けられている(図10参照)。この凹部81の断面形状は、非円形である。
【0070】
結合用部材78は、ネジ孔77とネジ結合している。このネジ結合により、シャフト74の抜け止めが達成されている。
【0071】
ゴルフクラブ70は、調整機構M4を有する。この調整機構M4は、ライ角を調整しうる。本実施形態のゴルフクラブ70は、3つのライ角に調整されうる。シャフト軸線の方向が変更されることで、ライ角が調整される。スリーブ挿入孔75は、ライ角の調整を阻害しないように構成されている。
【0072】
第1のライ角の場合のシャフト軸線が、符号LSで示される(図9及び図11参照)。第2のライ角の場合のシャフト軸線が、符号LFで示される。第3のライ角の場合のシャフト軸線が、符号LUで示される。
【0073】
ヘッド72は、複数の保持孔h1を有する。本実施形態では、第1の保持孔h11、第2の保持孔h12及び第3の保持孔h13を有する。図11には、ゴルフクラブ70の断面図に加えて、ヘッド72の下方から見たときの保持孔h1の輪郭線が示されている。第1の保持孔h11の中心軸線は、上記シャフト軸線LSに一致する。第2の保持孔h12の中心軸線は、上記シャフト軸線LFに一致する。第3の保持孔h13の中心軸線は、上記シャフト軸線LUに一致する。
【0074】
保持孔h1のそれぞれは、結合用部材78(の頭部r1)の中心軸線が、複数のシャフト軸線のうちのいずれかの位置と一致するように、位置決めする。
【0075】
図11が示すように、複数の保持孔h1は、互いに一部重複している。この一部重複により、ライ角の調整間隔が小さくされうる。この一部重複により、ライ角の微妙な調整が可能とされうる。
【0076】
ヘッド72は、複数の挿通孔h2を有する。挿通孔h2には、結合用部材78(のネジ部r3)が挿通される。なお断面の位置の関係で、この挿通孔h2は、図11の断面図に現れない。本実施形態では、第1の挿通孔h21、第2の挿通孔h22及び第3の挿通孔h23を有する。ヘッド72の下方から見たときの挿通孔h2の輪郭線も示されている。第1の挿通孔h21の中心軸線は、上記シャフト軸線LSに一致する。第2の挿通孔h22の中心軸線は、上記シャフト軸線LFに一致する。第3の挿通孔h23の中心軸線は、上記シャフト軸線LUに一致する。
【0077】
図11が示すように、複数の挿通孔h2は、互いに一部重複している。この一部重複により、ライ角の調整間隔が小さくされうる。この一部重複により、ライ角の微妙な調整が可能とされうる。
【0078】
保持孔h1と挿通孔h2とは連続している。保持孔h1の直径は、挿通孔h2の直径よりも大きい。保持孔h1と挿通孔h2との境界には、段差面d1が存在する。この段差面d1は、結合用部材78の段差面d2と当接している。
【0079】
図11及び図12が示すように、スリーブ支持部材80は、貫通孔88と外面90とを有する。第1のスリーブ支持部材801の貫通孔88は、上記シャフト軸線LSに対応している。第2のスリーブ支持部材802の貫通孔88は、上記シャフト軸線LFに対応している。第3のスリーブ支持部材803の貫通孔88は、上記シャフト軸線LUに対応している。
【0080】
スリーブ支持部材80の外面90には、ネジとされている。この外面90のネジ(雄ネジ)に結合しうるネジ(雌ねじ)92が、スリーブ挿入孔75の内面に設けられている(図11参照)。ネジ結合によって、スリーブ支持部材80は、スリーブ挿入孔75に固定されている。なお、このネジ結合は無くてもよい。例えば、スリーブ支持部材80の外面90の断面形状が非円形とされ、この外面90に当接するスリーブ挿入孔75の内面の断面形状も、上記外面90の断面形状に対応していてもよい。この場合、非円形の断面形状に起因して、スリーブ挿入孔75に対するスリーブ支持部材80の回転が防止される。
【0081】
スリーブ支持部材80は、所定の軸線方向に沿ってスリーブ76を支持する。同時に、スリーブ支持部材80は、スリーブ76とスリーブ挿入孔75との相対回転を阻害する。
【0082】
図13は、3つのライ角の状態を示す。図13の左側(構成S4)は、シャフト軸線LUが採用された場合の断面図である。この場合、複数のスリーブ支持部材80のうち、上記第3のスリーブ支持部材803が用いられている。また保持孔h1として、保持孔h13が用いられている。また挿通孔h2として、挿通孔h23が用いられている。この構成S4では、ライ角が、比較的アップライトである。即ちライ角が比較的大きい。
【0083】
図13の中央(構成S5)は、シャフト軸線LSが採用された場合の断面図である。この場合、複数のスリーブ支持部材80のうち、上記第1のスリーブ支持部材801が用いられている。また保持孔h1として、保持孔h11が用いられている。また挿通孔h2として、挿通孔h21が用いられている。
【0084】
図13の右側(構成S6)は、シャフト軸線LFが採用された場合の断面図である。この場合、複数のスリーブ支持部材80のうち、上記第2のスリーブ支持部材802が用いられている。また保持孔h1として、保持孔h12が用いられている。また挿通孔h2として、挿通孔h22が用いられている。この構成S6では、ライ角が、比較的フラットである。即ちライ角が比較的小さい。
【0085】
このゴルフクラブ70では、各ライ角(各シャフト軸線)でのスリーブ76の支持は、スリーブ支持部材80と、保持孔h1とにより達成されている。各ライ角におけるスリーブ76の支持は、スリーブ支持部材80のみにより達成されてもよい。各ライ角におけるスリーブ76の支持は、保持孔h1のみにより達成されてもよい。ホーゼル部の寸法精度を緩和する観点からは、各ライ角におけるスリーブ76の支持は、スリーブ支持部材80又は保持孔h1のいずれかによって達成されるのがよい。また、ホーゼル部の寸法精度を緩和する観点から、スリーブ支持部材80の材質を樹脂とするのも好ましい。この樹脂製のスリーブ支持部材80は、寸法のズレを吸収するように変形しつつ、スリーブ76を支持するのに適している。
【0086】
このゴルフクラブ70では、スリーブ76の回り止めは、スリーブ支持部材80と結合用部材78とにより達成されている。スリーブ76の回り止めは、スリーブ支持部材80のみにより達成されてもよい。スリーブ76の回り止めは、結合用部材78のみにより達成されてもよい。なお、結合用部材78をスリーブ76の回り止めとして機能させる場合、打球時にボールから受ける力によって、結合用部材78が締め付けられるように構成するのが好ましい。また、結合用部材78をスリーブ76の回り止めとして機能させる場合、保持孔h1及び頭部r1の断面形状を非円形とし、保持孔h1と頭部r1との相対回転を防止するのが好ましい。
【0087】
図14及び図15は、他の調整機構に係るゴルフクラブ100を示す。図15は、ソール側から見た図である。このゴルフクラブ100は、ヘッド102と、シャフト74と、スリーブ76と、結合用部材78(図15参照)と、グリップ(図示されず)とを備える。ヘッド102は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。シャフト74は、管状である。
【0088】
ヘッド102は、前述した調整機構M4を有する。この調整機構M4に関する説明は、省略する。
【0089】
更に、ヘッド102は、調整機構M5を有する。この調整機構M5は、重心位置調整機構である。ヘッド102は、調整機構M5として、重量体104と、配置孔Whとを有する。図15が示すように、本実施形態では、複数の配置孔Whが設けられている。これらの配置孔Whは、ヘッド102のソール106に設けられている。
【0090】
配置孔Whは、ネジ孔である。重量体104は、ネジである。重量体104は、配置孔Whにねじ込まれる。重量体104をどの配置孔Whに位置させるかによって、ヘッドの重心位置が調整される。
【0091】
調整機構M5により調整可能な仕様として、ヘッド重心位置及びヘッド慣性モーメントが例示される。
【0092】
上記調整機構M5による仕様の調整として、次が例示される。
(調整5a)重心距離が変更されるが、重心深度は実質的に変化せず、重心高さも実質的に変化しない。
(調整5b)重心距離、重心深度及び重心高さがいずれも変化する。
(調整5c)重心距離が変更され、重心深度及び重心高さについては、いずれか一方が変化し、他方は実質的に変化しない。
【0093】
図15が示すように、本実施形態では、複数の配置孔Whが、トウ−ヒール方向に略沿って並んでいる。即ち、第1の配置孔Wh1の中心軸線SP1、第2の配置孔Wh2の中心軸線SP2及び第3の配置孔Wh3の中心軸線SP3は、トウ−ヒール方向に略沿って並んでいる。この配置によって、本実施形態では、重量体104の配置を変更したとき、主として重心距離が変化し、重心深度はほとんど変化しない。具体的には、重心深度の変化量がCd(mm)とされ、重心距離の変化量がCs(mm)とされたとき、比(Cd/Cs)は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましい。この場合、重心距離が選択的に調整されうる。重心距離の選択的な調整は、インパクトにおけるフェースの向きを調整するのに有用である。
【0094】
上記調整機構M5は、ウッド型ゴルフクラブヘッドに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブヘッド(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0095】
図16は、他の調整機構に係るゴルフクラブ110を示す。このゴルフクラブ110は、ヘッド102と、シャフト74と、スリーブ76と、結合用部材78(図示されない)と、グリップ112とを備える。
【0096】
ヘッド102は、前述した調整機構M4及び調整機構M5を有する。調整機構M4及び調整機構M5に関する説明は、省略する。
【0097】
グリップ112は、本体114、重量体Wg及び保持体118を有する。更にグリップ112は、蓋120を有する。
【0098】
保持体118は、ネジ孔122を有する。保持体118は、シャフト74の内側に配置されている。保持体118は、シャフト74の内面に接着されている。
【0099】
重量体Wgは、保持体118に対して、着脱可能である。この着脱は、ネジ機構により達成されている。
【0100】
本体114は、ゴムよりなる。本体114の後端部の近傍には、凹部124が設けられている。この凹部124は、周溝である。蓋120は、この凹部124に対応する凸部126を有する。この凸部126は、フランジである。ゴムからなる本体114を変形させて、凸部126を凹部124に嵌め込むことが可能である。蓋120は、着脱可能である。
【0101】
グリップ112は、調整機構M6として、重量調整機構を有する。この重量調整機構は、重量体Wgの交換によって達成される。重量の異なる重量体Wgへの交換によって、クラブバランスの調整が可能である。例えば、第1の重量体Wg1を、より重量の大きな第2の重量体Wg2に交換することにより、クラブバランスが軽くなる。例えば、第1の重量体Wg1を、より重量の小さな第3の重量体Wg3に交換することにより、クラブバランスが重くなる。上記調整機構M6は、重量の異なる少なくとも2の重量体Wgを有する。
【0102】
調整機構M6により調整可能な仕様として、クラブバランス、クラブ慣性モーメント、グリップ重量及びグリップ重心位置が例示される。
【0103】
上記調整機構M6は、ウッド型ゴルフクラブに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブ(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0104】
図18は、他の調整機構に係るゴルフクラブ130を示す。図19は、ゴルフクラブ130の分解図である。図20は、ゴルフクラブ130の断面図である。
【0105】
後述するように、ゴルフクラブ130は、調整機構M7を有する。好ましくは、ゴルフクラブ130は、調整機構M7とは独立した他の調整機構を更に有する。
【0106】
ゴルフクラブ130は、ヘッド132、シャフト134、スリーブSv、ネジ筒135及び結合部材136を有する。シャフト134の先端に、ネジ筒135が固定されている。シャフト134の後端には、図示されないグリップが取り付けられている。
【0107】
ヘッド132は、ヘッド本体138と、係合部材140とを有する。ヘッド本体138は、スリーブSvを挿入するためのホーゼル孔142と、結合部材136を挿通するための通孔144を有する。通孔144は、ホーゼル孔142の底部を貫通している。またヘッド本体138は、ソールに開口するソール孔146を有する(図20参照)。ソール孔146とホーゼル孔142とは、通孔144によって連続している。
【0108】
係合部材140は、ヘッド本体138に固定されている(図20参照)。この固定の方法は限定されず、接着、溶接、嵌め込み及びこれらの組み合わせが例示される。係合部材140は、ホーゼル孔142の上側開口から、ホーゼル孔142の内部に入れられる。係合部材140は、ホーゼル孔142の底部に固定されている。
【0109】
図21は、スリーブSvの斜視図である。図22は、スリーブSvの断面図である。
【0110】
スリーブSvは、シャフト挿入孔150と下側孔152とを有する。シャフト挿入孔150は、上側に開口している。下側孔152は、下側に開口している。シャフト挿入孔150の下側に、下側孔152が配置されている。
【0111】
スリーブSvは、係合部162を有する。係合部162は、凸部t1を有する。複数の凸部t1が周方向に並んでいる。凸部t1は、周方向に均等に配置されている。凸部t1は、30°おきに配置されている。
【0112】
図示されないが、係合部材140の内面には、スリーブSvの係合部162と係合しうる係合面が設けられている。この係合面の断面形状は、係合部162の外面の断面形状に対応している。係合部材140の係合面(内面)と係合部162との係合により、スリーブSvの、ホーゼル孔142に対する回転が防止されている。
【0113】
シャフト挿入孔150は、ネジ孔とされている。即ち、シャフト挿入孔150は、雌ネジである。
【0114】
ネジ筒135は、全体として略円筒状である。ネジ筒135の外面は、ネジである。ネジ筒135の外面は、雄ネジである。ネジ筒135の内面154は、円周面である。シャフト134の外面156は、ネジ筒135の内面154に接着されている。
【0115】
図20が示すように、スリーブSvのシャフト挿入孔150と、ネジ筒135とが、ネジ結合している。このネジ結合により、シャフト134が、スリーブSvに固定される。
【0116】
スリーブSvの抜け止めは、ネジ結合により達成される。図20が示すように、スリーブSvの下側孔152は、結合部材136とネジ結合している。このネジ結合により、スリーブSvの抜けが防止される。このネジ結合に起因する軸力が、ホーゼル端面158とスリーブSvの段差面160とを密着させている。この軸力を担保するため、上記ネジ結合が完了した状態において、結合部材136の先端と下側孔152の底面との間には、隙間K1が存在している(図20参照)。
【0117】
本実施形態では、スリーブSvとして、第1のスリーブSv1と、第2のスリーブSv2とが用意される(図19参照)。スリーブSv1とスリーブSv2とは、互いに交換可能である。なぜなら、前述したように、ネジ機構に起因して、スリーブSvはシャフト134(ネジ筒135)に対して着脱可能だからである。
【0118】
図22は、第1のスリーブSv1の断面図である。この図22が示すように、シャフト挿入孔150の軸線h1は、スリーブSvの軸線z1に対して傾斜している。この傾斜角度θ1は、軸線h1と軸線z1との成す角度の最大値である。なおスリーブSvの軸線z1は、ホーゼル孔142の軸線に実質的に等しい。
【0119】
図23は、第2のスリーブSv2の断面図である。この図23が示すように、シャフト挿入孔150の軸線h1は、スリーブSvの軸線z1に対して傾斜していない。シャフト挿入孔150の軸線h1は、スリーブSvの軸線z1に一致している。
【0120】
図示しないが、上記傾斜角度θ1とは異なる傾斜角度θ2を有する他のスリーブSvが用いられてもよい。
【0121】
スリーブSvのバリエーションは、シャフト挿入孔150の傾斜角度に限られない。例えば、シャフト挿入孔150の位置が変更された他のスリーブSvも用いられ得る。例えば、上記第2のスリーブSv2のシャフト挿入孔150が平行移動してなる他のスリーブSvが用いられてもよい。この場合、上記軸線z1は、上記軸線h1と平行であるが、上記軸線h1と一致しない。
【0122】
本実施形態の調整機構M7は、スリーブ交換機構である。この調整機構M7では、スリーブSvの交換により、ロフト角、ライ角及びフック角から選ばれる1以上の仕様が調整される。
【0123】
調整機構M7により調整可能な仕様として、フェースプログレッション、ライ角、ロフト角、フック角、クラブバランス、クラブ長さ、クラブ重心位置、クラブ振動数、クラブ慣性モーメント、シャフトの調子、シャフトトルク、シャフト曲げ剛性、シャフト捻れ剛性、シャフト重量、シャフト重量分布、シャフト重心位置及びシャフト長さが例示される。
【0124】
上記調整機構M7による仕様の調整として、次が例示される。
(調整7a)ライ角が変更されるが、ロフト角及びフック角は実質的に変化しない。
(調整7b)ロフト角及びフック角は変更されるが、ライ角は実質的に変化しない。
(調整7c)クラブ長さが変更されるが、ロフト角、フック角及びライ角は実質的に変化しない。
(調整7d)シャフトの調子が変更されるが、ロフト角、フック角及びライ角は実質的に変化しない。
(調整7e)シャフトの調子が変更されるが、ロフト角、フック角及びライ角は実質的に変化しない。
(調整7f)フェースプログレッションが変更されるが、ロフト角、フック角及びライ角は実質的に変化しない。
(調整7g)重心距離(シャフト軸線とヘッド重心との間の距離)が変更されるが、ロフト角、フック角及びライ角は実質的に変化しない。
【0125】
スリーブSvの上記傾斜角度θ1が0°である場合、ロフト角、ライ角及びフック角を変えることなく、シャフトを交換することが可能になる。
【0126】
上記傾斜角度θ1が0°であり且つシャフト挿入孔150の位置が相違する複数のスリーブSvが用意されてもよい。この場合、スリーブSvの交換により、シャフト挿入孔150の軸線の平行移動が可能となる。この場合、上記調整7d及び上記調整7eが可能である。
【0127】
図25は、他の調整機構に係るゴルフクラブに用いられるヘッド170の分解斜視図である。図26は、ヘッド170の断面図である。図示されないが、このゴルフクラブは、ヘッド170と、シャフトとグリップとを備える。ヘッド170は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。
【0128】
後述するように、このヘッド170は、調整機構M8を有する。好ましくは、このヘッド170を有するゴルフクラブは、調整機構M8とは独立した他の調整機構を更に備える。
【0129】
ヘッド170は、前方部材172と、後方部材174と、結合用部材176とを有する。前方部材172と後方部材174とが、結合用部材176によって結合されている。前方部材172と後方部材174とは、実質的に隙間の無い状態で結合される。この結合により、中空のヘッド170が完成する。
【0130】
前方部材172は、フェース面178を有する。前方部材172は、フェース面178の全体を有する。図示されないが、前方部材172は、結合用部材176をねじ込むためのネジ孔と、このネジ孔を形成するための厚肉部とを有する。前方部材172は、ホーゼル部180を有する。このホーゼル部180は、シャフト孔182を有する。なお、図示は省略しているが、フェース面178には、フェース溝が設けられている。
【0131】
前方部材172の後方は開口している。この開口の縁には、後方部材174の縁部179を内側から支持しうる延在部181が設けられている。この延在部181は、前方部材172に対する後方部材174の位置決めを容易とする。
【0132】
図示されないが、後方部材174は、結合用部材176を通すための貫通孔と、この貫通孔を形成するための厚肉部とを有する。
【0133】
結合用部材176は、ネジである。結合用部材176により、前方部材172と後方部材174とが結合される。
【0134】
このヘッド177は、調整機構M8を有している。この調整機構M8の構造は、前述した調整機構M1と似ている。この調整機構M8は、ネジ止め機構である。この調整機構M8は、後方部材174の交換を可能とする。
【0135】
図24には、ヘッド170と共に、交換用後方部材E8を示している。図25には、交換用後方部材E8として、交換用後方部材E81と、他の交換用後方部材E82とが示されている。交換用後方部材E81及び交換用後方部材E82は、結合用部材176によって、前方部材172に結合できるように構成されている。ヘッド170と、少なくとも1つの交換用後方部材E8とによって、調整機能付きゴルフクラブが構成される。
【0136】
後方部材174を交換用後方部材E8に交換することにより、例えば、ヘッド形状が変更される。後方部材174を交換用後方部材E8に交換することにより、例えば、重心位置が変更される。後方部材174を交換用後方部材E8に交換することにより、例えば、ヘッド体積が変更される。また、後方部材174を交換用後方部材E8に交換することにより、ヘッドとボールとの反発係数が変化しうる。
【0137】
上記調整機構M8による仕様の調整として、次が例示される。
(調整8a)ヘッド形状が変更され、ヘッドの重心位置は実質的に変わらない。
(調整8b)ヘッド体積が変更され、ヘッドの重心位置は実質的に変わらない。
(調整8c)重心位置が変更され、ヘッド形状は変わらない。
(調整8d)慣性モーメントが変更され、ヘッド形状は変わらない。
(調整8e)ヘッド形状、ヘッド体積、ヘッドの重心位置及び慣性モーメントから選ばれる2以上が変更される。
【0138】
クラブバランスを維持する観点から、調整機構M8においては、ヘッド重量が変化しないのが好ましい。
【0139】
上記調整機構M8は、ウッド型ゴルフクラブヘッドに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブ(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0140】
図26は、他の調整機構に係るゴルフクラブのグリップ近傍を示す。このゴルフクラブは、ヘッド(図示されず)、シャフト190及びグリップ192を有する。ヘッドは、シャフト190の一端部に取り付けられている。グリップ192は、シャフト190の他端部に取り付けられている。
【0141】
後述するように、このゴルフクラブは、調整機構M9を有する。好ましくは、このゴルフクラブは、調整機構M9とは独立した他の調整機構を有する。
【0142】
図27は、図26の断面図である。図28は、図27のF28−F28線に沿ったゴルフクラブの断面図である。
【0143】
図27及び図28が示すように、シャフト190は、管状である。シャフト190の内部は、空洞である。
【0144】
グリップ192は、内側グリップ部材194と、外側グリップ部材196とを有する。内側グリップ部材194は、円筒状のシャフト挿入部198を有する。図27及び図28が示すように、このシャフト挿入部198の内部にシャフト190が挿入されている。
【0145】
内側グリップ部材194は、エンド部200を有している。このエンド部200に、シャフト190の端面202が突き当てられている。またエンド部200の中心には、貫通孔203が設けられている。
【0146】
外側グリップ部材196は、第一の分割体204と、第二の分割体206とを有する。第一の分割体204は、半管状である。第二の分割体206も、半管状である。第一の分割体204と第二の分割体206とにより、管状の外側グリップ部材196が形成されている。図28が示すように、第一の分割体204の縁には、段差部210が設けられている。図28が示すように、第二の分割体206の縁には、段差部212が設けられている。段差部の形状を除き、第二の分割体206の形状は、第一の分割体204と同じである。
【0147】
外側グリップ部材196において、第一の分割体204の段差部210と第二の分割体206の段差部212とが突き合わされている。段差部210と段差部212とは互いに噛み合っている。外側グリップ部材196は、第一の分割体204と第二の分割体206とが重複した重複部を有する。段差部210及び段差部212は、第一の分割体204と第二の分割体206とが重複した重複部を形成する。この重複部を含め、外側グリップ部材196の厚さは、周方向の全周において一定とされている。外側グリップ部材196において、第一の分割体204と第二の分割体206とが突き合わされた部分に、隙間は存在しない。第一の分割体204と第二の分割体206との組み合わせにより、外側グリップ部材196は円筒状とされている。
【0148】
外側グリップ部材196は、シャフト挿入部198の外面214を覆っている。外側グリップ部材196は、外面214の少なくとも一部を覆っている。好ましくは、外側グリップ部材196は、外面214の全部を覆っているのがよい。
【0149】
外側グリップ部材196の内面216は、第一の分割体204の内面218と、第二の分割体206の内面220とから構成されている。第一の分割体204の内面218は、シャフト挿入部198の外面214に貼り付けられている。第二の分割体206の内面220も、シャフト挿入部198の外面214に貼り付けられている。
【0150】
図27が示すように、内側グリップ部材194は、シャフト挿入部198のグリップエンド側端から半径方向外側に延在する第一環状部222と、この第一環状部222の半径方向外側縁からヘッド側に延在する第一円筒部224とを有する。第一環状部222は、単一の環状部分である。第一円筒部224は、単一の円筒状部分である。第一環状部222と第一円筒部224とにより、第一環状部222を底とする第一凹部226が形成されている。
【0151】
図27が示すように、内側グリップ部材194は、シャフト挿入部198のヘッド側端から半径方向外側に延在する第二環状部228と、この第二環状部228の半径方向外側縁からグリップエンド側に延在する第二円筒部230とを有する。第二環状部228は、単一の環状部分である。第二円筒部230は、単一の円筒状部分である。第二環状部228と第二円筒部230とにより、第二円筒部230を底とする第二凹部232が形成されている。
【0152】
図27が示すように、外側グリップ部材196は、グリップエンド側端234を有している。第一の分割体204及び第二の分割体206のそれぞれがグリップエンド側端234を有している。このグリップエンド側端234が第一凹部226に挿入されている。このグリップエンド側端234は、第一円筒部224により覆われている。グリップエンド側端234は、第一円筒部224により保護されている。グリップエンド側端234は、外部に露出していないので、めくれにくい。よって、第一の分割体204及び第二の分割体206は、剥がれにくい。
【0153】
外側グリップ部材196は、ヘッド側端236を有している。第一の分割体204及び第二の分割体206のそれぞれがヘッド側端236を有している。このヘッド側端236が上記第二凹部232に挿入されている。ヘッド側端236は、第二円筒部230により覆われている。ヘッド側端236は、第二円筒部230により保護されている。ヘッド側端236は、外部に露出していないので、めくれにくい。よって、第一の分割体204及び第二の分割体206は、剥がれにくい。
【0154】
内側グリップ部材194は、その全体が一体成形されている。第一環状部222及び第一円筒部224は、シャフト挿入部198と一体である。第二環状部228及び第二円筒部230は、シャフト挿入部198と一体である。
【0155】
内側グリップ部材194の内周面238とシャフト190の外面240とは、両面テープにより接着されている。シャフト190への内側グリップ部材194の取り付けは、一般的なグリップの取り付けと同様になされる。
【0156】
外側グリップ部材196の内面216とシャフト挿入部198の外面214とは、両面テープにより接着されている。換言すれば、第一の分割体204の内面218と外面214とが両面テープにより接着され、且つ、第二の分割体206の内面220と外面214とが両面テープにより接着されている。
【0157】
外側グリップ部材196を内側グリップ部材194のシャフト挿入部198に貼り付ける手順は、例えば次の通りである。
(1b)第一の分割体204の内面218に両面テープを貼り付ける。また、第二の分割体206の内面220に両面テープを貼り付ける。
(2b)第一の分割体204及び第二の分割体206のいずれか一方をシャフト挿入部198に貼り付ける
(3b)第一の分割体204及び第二の分割体206の他方をシャフト挿入部198に貼り付ける。このとき段差部210と段差部212とを噛み合わせる。
【0158】
上記工程(2b)及び(3b)において、グリップエンド側端234は第一凹部226に挿入され、ヘッド側端236は第二凹部232に挿入される。第一凹部226への挿入は、第一円筒部224をめくり上げつつなされる。第二凹部232への挿入は、第二円筒部230をめくり上げつつなされる。
【0159】
第一の分割体204の取り外し方法は、次の通りである。第一円筒部224又は第二円筒部230をめくり上げ、グリップエンド側端234又はヘッド側端236を引っ張ることにより、第一の分割体204が取り外される。第二の分割体206の取り外し方法は、第一の分割体204と同様である。このように、第一の分割体204及び第二の分割体206の取り外しは、容易である。第一の分割体204及び第二の分割体206は、交換可能である。
【0160】
この調整機構M9は、外側グリップ部材の交換機構である。この調整機構M9では、重量の異なる分割体204、206に交換されることにより、クラブの重心位置やクラブバランスが調整されうる。分割体204、206の比重が変更されることにより、グリップ外径を変えることなく、グリップ重量の変更が可能である。また、分割体204、206の厚さが変更されることにより、グリップ192の外径を変更される。
【0161】
内側グリップ部材194の材質は限定されない。好ましくは、内側グリップ部材194の材質は、ゴムである。このゴムとして、天然ゴム(比重0.91〜0.93)、スチレンブタジエンゴム(比重0.92〜0.97)、EPDM(比重0.86〜0.87)、イソプレンゴム(0.92〜0.93)及びこれらの混合物が例示される。成形性の観点から、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)及びSBR(スチレンブタジエンゴム)が好ましい。内側グリップ部材194がゴムである場合、第一円筒部224及び第二円筒部230のめくり上げが可能である。
【0162】
外側グリップ部材196の材質は限定されない。好ましくは、外側グリップ部材196の材質は、ゴムである。このゴムとして、天然ゴム(比重0.91〜0.93)、スチレンブタジエンゴム(比重0.92〜0.97)、EPDM(比重0.86〜0.87)、イソプレンゴム(0.92〜0.93)及びこれらの混合物が例示される。成形性の観点から、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)及びSBR(スチレンブタジエンゴム)が好ましい。重量調整を容易とする観点から、比重10以上の金属粉末が配合されたゴムが好ましく、比重15以上の金属粉末が配合されたゴムがより好ましい。金属粉末として、タングステン合金の粉末が例示される。
【0163】
上記調整機構M9による仕様の調整として、次が例示される。
(調整9a)グリップ太さ(グリップ外径)が変更され、クラブバランスは実質的に変わらない。
(調整9b)グリップ太さが変更され、クラブバランスも変更される。
(調整9c)グリップ重量及びクラブバランスが変更され、グリップ太さは実質的に変わらない。
(調整9d)グリップ重量及びクラブバランスが変更され、グリップ太さも変更される。
【0164】
図29は、他の実施形態に係る調整機構M10を備えたゴルフクラブのグリップエンド近傍を示す。このゴルフクラブは、ヘッド(図示されない)、シャフト250及びグリップ252を有する。ヘッドは、シャフト250の一端部に取り付けられている。グリップ252は、シャフト250の他端部に取り付けられている。
【0165】
好ましくは、このゴルフクラブは、調整機構M10とは独立した他の調整機構を更に備える。
【0166】
なお、グリップ252の外面(グリップ把持面)には、溝が形成されているが、図29から32では、この溝の記載が省略されている。
【0167】
図30は、図29のの断面図である。図31は、図29の分解図である。
【0168】
グリップ252は、グリップ本体252aと、2つの延長部材252bとを有する。グリップ本体252aの後端に、2つの延長部材252bが取り付けられている。
【0169】
グリップ本体252aは、両面テープによって、シャフト250の後端部に固定されている。両面テープによる接着の方法は、通常のグリップの接着方法と同じである。
【0170】
グリップ本体252aの後端に、第一の延長部材252bが取り付けられている。第一の延長部材252bの後端に、第二の延長部材252bが取り付けられている。
【0171】
グリップ本体252aの外面252a1と、延長部材252bの外面252b1とは、実質的に段差なく連続している。更に、延長部材252bの外面252b1同士は、実質的に段差なく連続している。外面252a1と2つの外面252b1とにより、把持面252mが形成されている。
【0172】
グリップ本体252aは、ゴム部g3と、硬質基体h3とを有する。ゴム部g3の材質は、ゴムである。
【0173】
硬質基体h3はゴム部g3の内側に設けられている。ゴム部g3は、硬質基体h3を覆っている。グリップ本体252aの外面252a1は、ゴム部g3の外面である。
【0174】
図30及び図31が示す様に、硬質基体h3は、ネジ孔sc3を有する。硬質基体h3は、円筒部h31と底面部h32とを有する。円筒部h31の内面が、ネジ孔sc3である。ネジ孔sc3は、上方に開放されている。
【0175】
硬質基体h3は、ゴム部g3に固定されている。この固定方法は限定されず、例えば接着剤による接着である。
【0176】
第一の延長部材252bは、グリップ本体252aと第二の延長部材252bとの間に位置する。この第一の延長部材252bは、ゴム部g4と、硬質接続体h4とを有する。ゴム部g4の材質は、ゴムである。ゴム部g4は、硬質接続体h4の上部を覆っている。
【0177】
硬質接続体h4は、ゴム部g4の内側に設けられている。延長部材252bの外面252b1は、ゴム部g4の外面である。
【0178】
硬質接続体h4は、円筒部h41と円柱部h42とを有する(図30参照)。円筒部h41の内面は、ネジ孔sc4(雌ねじ)である。円柱部h42の外面は、雄ねじである。円筒部h41と円柱部h42とは同軸で配置されている。円柱部h42は、ゴム部g4から露出した露出部ex2を有する(図31参照)。円柱部h42の少なくとも一部は、露出部ex2である。露出部ex2は、下方に突出している。
【0179】
第一の延長部材252bとグリップ本体252aとの接続では、グリップ本体252aのネジ孔sc3(雌ねじ)に、円柱部h42(雄ねじ)がねじ込まれている。延長部材252b同士の接続では、第一の延長部材252bのネジ孔sc4に、第二の延長部材252bの円柱部h42がねじ込まれている。
【0180】
全ての延長部材252bは共通である。またネジ孔sc3とネジ孔sc4とは同種である。
【0181】
露出部ex2の軸方向長さは、ネジ孔sc3の軸方向長さよりも短い。よって、グリップ本体252aと延長部材252bとが接続された状態において、底面部h32と円柱部h42との間には隙間k1が存在している(図30参照)。この隙間k1は、グリップ本体252aの外面252a1と、延長部材252bの外面252b1との境界に隙間が生じることを防止している。
【0182】
露出部ex2の軸方向長さは、ネジ孔sc4の軸方向長さよりも短い。よって、延長部材252b同士が接続された状態において、円柱部h42の端面と円筒部h41の底面との間には隙間k2が存在している(図30参照)。この隙間k2は、延長部材252bの外面252b1同士の境界に隙間が生じることを防止している。
【0183】
第二の延長部材252bは、第一の延長部材252bよりもグリップ後端側に位置する。第二の延長部材252bは、最も後端側の延長部材252bである。
【0184】
この第二の延長部材252bは、前述した第一の延長部材252bと同じである。よって第二の延長部材252bの説明は、省略される。
【0185】
このように、本実施形態では、グリップ本体252aと延長部材252bとがネジ結合により連結されうる。更に、延長部材252b同士がネジ結合により連結されうる。
【0186】
本実施形態において、延長部材252bは着脱可能である。延長部材252bを回転させてネジ結合を解除することにより、延長部材252bが外される。延長部材252bの着脱によって、グリップ長さが調整可能である。
【0187】
本実施形態では、延長部材252bが2個の場合が示された。延長部材252bの数が変更されることにより、グリップ長さが更に変更されうる。延長部材252bが0個とされた場合、グリップ長さを短くすることができる。延長部材252bが1個とされてもよい。
【0188】
延長部材252bは、3個以上とされてもよい。延長部材252b同士の連結構造は同じであるから、連結される延長部材252bの個数は自由に選択されうる。
【0189】
このように、本実施形態に係る調整機構M10は、グリップ長さ調整機構である。この調整機構M10は、クラブ長さ調整機構でもある。
【0190】
図32は、上記調整機構M10を用いた他の実施形態に係るグリップ260の分解図である。グリップ260は、グリップ本体252aと、延長部材252bと、延長部材260bとを有する。グリップ本体252aは、前述したグリップ252に用いられていたものである。延長部材252bも、前述したグリップ252に用いられていたものである。
【0191】
延長部材260bは、ゴム部g5と硬質接続体h4とを有する。延長部材260bの硬質接続体h4は、前述した延長部材252bのそれと同じである。延長部材252bと延長部材260bとの差異は、ゴム部の長さのみである。
【0192】
図32において両矢印L1で示されているのは、延長部材252bのゴム部g4の長さである。図32において両矢印L2で示されているのは、延長部材260bのゴム部g5の長さである。長さL1と長さL2とは相違している。本実施形態では、延長部材252b、260bのいずれかを選択するかによって、グリップ260の長さが調整可能である。
【0193】
上記硬質基体の材質は、グリップの把持面の材質よりも硬い。硬質基体の使用により、接続の確実性及びグリップ内部の剛性が向上しうる。硬質基体の好ましい材質は金属又は樹脂であり、より好ましい材質は金属である。樹脂としては、熱可塑性樹脂及び炭素繊維強化樹脂が例示される。加工性の観点から、好ましい樹脂として、ナイロン、PEBAX(ポリエーテルブロック共重合体)、ポリカーボネート等が例示される。金属としては、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金等が例示される。クラブバランスの観点から、タングステン、タングステン合金等の高比重金属(比重が12以上)も用いられうる。
【0194】
上記硬質接続体の材質は、グリップの把持面の材質よりも硬い。硬質接続体の使用により、接続の確実性及びグリップ内部の剛性が向上しうる。硬質接続体の好ましい材質は金属又は樹脂であり、より好ましい材質は金属である。樹脂としては、熱可塑性樹脂及び炭素繊維強化樹脂が例示される。加工性の観点から、好ましい樹脂として、ナイロン、PEBAX(ポリエーテルブロック共重合体)、ポリカーボネート等が例示される。金属としては、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金等が例示される。クラブバランスの観点から、タングステン、タングステン合金等の高比重金属(比重が12以上)も用いられうる。
【0195】
上記ゴム部の材質であるゴムは、限定されない。好ましいゴムは、加硫ゴム等のゴム弾性体である。熱可塑性エラストマーもゴムに含まれるのは当然である。滑りにくさ等の観点から、天然ゴム(比重0.91〜0.93)、スチレンブタジエンゴム(比重0.92〜0.97)、EPDM(比重0.86〜0.87)、イソプレンゴム(比重0.92〜0.93)及びこれらの混合物が好ましい。
【0196】
調整機構M10により調整可能な仕様として、クラブ長さ、クラブ重心位置、クラブ振動数、クラブ慣性モーメント、グリップ重量、グリップ重心位置及びグリップ長さが例示される。
【0197】
上記調整機構M10による仕様の調整として、次が例示される。
(調整10a)グリップ長さ及びクラブ長さが変更され、クラブバランスも変更される。
(調整10b)グリップ長さ及びクラブ長さが変更され、クラブバランスは実質的変わらない。
【0198】
上記延長部材の装着により、クラブ長さは長くなる。クラブ長さの延長は、クラブバランスは増加させる。一方、上記延長部材の装着に起因して、いわゆるカウンターバランスの効果が生じる。このカウンターバランスは、クラブバランスを減少させる。延長部材の重量及び長さの設定により、両者の相殺を促進することができる。この促進により、クラブ長さを増加させつつ、クラブバランスの増加を抑制することができる。更には、クラブ長さを増加させつつ、クラブバランスの変化を実質的に無くすことができる。
【0199】
なお、本願記載のあらゆる仕様において、「実質的に変化しない」とは、変化量が10%未満であることを意味する。またクラブバランスについては、「実質的に変化しない」とは、変化が±1ポイント以下であることを意味する。クラブバランスは、14インチ方式である。クラブバランスは、スイングバランスとも称される。
【0200】
図33は、ヘッド268の分解斜視図である。図34は、ヘッド268をクラウン側から見た図である。このヘッド268は、前述した調整機構M1に加えて、調整機構M11を備えている。図示されないが、このヘッド268を備えたゴルフクラブは、ヘッド268と、シャフトとグリップとを備える。ヘッド268は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。
【0201】
本実施形態では、調整機構M1は、ロフト角調整機構として用いられている。一方、調整機構M11は、フック角調整機構として用いられている。
【0202】
ヘッド268の構成は、調整用中間部材270の存在を除き、前述したヘッド2と同様である。ヘッド268のうち、ヘッド2と同様の部分については、ヘッド2と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0203】
調整機構M11は、調整用中間部材270と、交換用の調整用中間部材(図示されない)とを有する。調整用中間部材270は、前方部材4と後方部材6との間に配置される。前方部材4と、調整用中間部材270と、後方部材6とは、実質的に隙間の無い状態で結合される。調整用中間部材270は、前方部材4と後方部材6とで挟まれて固定される。この固定は、結合様部材8のネジ結合によって達成される。
【0204】
調整用中間部材270は、リング状の部材である。調整用中間部材270は、突出部272を有する(図33参照)。突出部272は、前方部材4に向かって突出している。突出部272は、調整用中間部材270と前方部材4との位置合わせを容易とする。
【0205】
調整用中間部材270の平面形状(図34参照)を変化させることによって、フック角を調整することが可能である。調整用中間部材270を、図示されない他の調整用中間部材に交換することで、フック角の調整が可能である。
【0206】
このように、ヘッド268は、複数の(2つの)調整機構M1、M11を有している。複数の調整機構M1、M11は、互いに独立して調整可能である。このヘッド268では、ロフト角とフック角とが互いに独立して調整可能である。
【0207】
調整機構M11により調整可能な仕様として、フック角及びロフト角が例示される。調整機構M1を用いることなく、調整機構M11のみによって、フック角及びロフト角が調整されうる。
【0208】
上記調整機構M11による仕様の調整として、次が例示される。
(調整11a)フック角が変更され、ロフト角も変更される。
(調整11b)フック角が変更され、ロフト角は実質的変わらない。
(調整11c)ロフト角が変更され、フック角は実質的変わらない。
【0209】
図35は、調整機構M12を備えたヘッド280の分解斜視図である。図示されないが、このヘッド280を備えたゴルフクラブは、ヘッド280と、シャフトとグリップとを備える。ヘッド280は、ウッド型ゴルフクラブヘッドである。
【0210】
ヘッド280は、前方部材282と、後方部材284と、結合用部材8とを有する。前方部材282と後方部材284とが、結合用部材8によって結合されている。前方部材282と後方部材284とは、実質的に隙間の無い状態で結合される。
【0211】
前方部材282は、フェース面286を有する。前方部材282は、フェース面286の全体を有する。図示されないが、前方部材282は、結合用部材8をねじ込むためのネジ孔を有する。更に前方部材282は、このネジ孔を形成するための厚肉部288を有する。厚肉部288は2箇所設けられている。
【0212】
前方部材282は、プレート状のフェース部285と、上側後方延在部287と、下側後方延在部289とを有する。2つの厚肉部288は、いずれも、下側後方延在部289に設けられている。
【0213】
なお、前方部材282は、上側後方延在部287及び下側後方延在部289を有していなくても良い。即ち、前方部材282の全体がプレート状であってもよい。この場合、厚肉部288は不要とされうる。この場合、プレート状の前方部材282にネジ孔が設けられうる。
【0214】
後方部材284は、ホーゼル部290を有する。ホーゼル部290は、シャフト孔292を有する。後方部材284は、結合用部材8を通すための貫通孔294と、この貫通孔294を形成するための厚肉部296とを有する。厚肉部296は、ヘッド280のソールのトウ側及びヒール側に設けられている。
【0215】
後方部材284は、突出部298を有する。本実施形態では、複数(2個)の突出部298が設けられている。突出部298は、後方部材284の開口部から前方に突出する。突出部298は、前方部材282の位置合わせを容易とする。突出部298は、前方部材282と後方部材284とのネジ止めを容易とする。
【0216】
結合用部材8は、ネジである。結合用部材8により、前方部材282と後方部材284とが結合される。突出部298は、この結合の確実性を向上させる。
【0217】
このヘッド2は、調整機構M12を有している。この調整機構M12は、前述された調整機構M1と似ている。調整機構M12と調整機構M1との主たる相違は、前方部材の形状である。前方部材282は、前述された前方部材4(図2参照)のトウ部分及びヒール部分が切り取られたような形状を有する。前方部材282は、後方部材284の開口部の全てを塞がない。前方部材282のトウ側において、ヘッド280の中空部は外部に開放されている。更に、前方部材282のヒール側において、ヘッド280の中空部は外部に開放されている。
【0218】
この調整機構M12は、前方部材282の交換を可能とする。前方部材282を交換することにより、例えば、ロフト角(リアルロフト角)が変更される。前方部材282を交換することにより、例えば、フック角が変更される。
【0219】
調整機構M12により調整可能な仕様として、ロフト角、フック角、フェース面積及びフェースプログレッションが例示される。調整機構M12では、これらの仕様のそれぞれが独立して調整可能である。更に調整機構M12では、ヘッドとボールとの反発係数及びヘッドとボールとの摩擦係数が調整可能である。ヘッドとボールとの反発係数は、例えば、剛性が異なる交換用前方部材に交換することによって、調整されうる。ヘッドとボールとの摩擦係数は、例えば、フェース面の表面粗さが異なる交換用前方部材に交換することによって、調整されうる。
【0220】
この調整機構M12では、前述の調整機構M1と比較して、前方部材の形状が単純化されている。この単純化により、前方部材用の金型が低いコストで製造されうる。この形状の単純化は、前方部材の製造コストを低減させる。
【0221】
上記調整機構M12による仕様の調整として、次が例示される。
(調整12a)ロフト角が変更され、フック角は実質的に変わらない。
(調整12b)ロフト角が変更され、フック角も変更される。
(調整12c)ロフト角は実質的に変更されず、フック角が変更される。
(調整12d)フェース面積が変更され、ロフト角及びフック角は変わらない。
(調整12e)フェースプログレッションが変更され、ロフト角及びフック角は変わらない。
【0222】
上記調整機構M12は、ウッド型ゴルフクラブヘッドに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブ(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0223】
図37は、調整機構M13を有するゴルフクラブ310をソール側から見た図である。クラブ310はヘッド312を有している。この調整機構M13は、前述した調整機構M4の変形例である。この調整機構M13は、ライ角に加えて、リアルロフト角を調整しうる。前述した調整機構M4では、選択可能なシャフト軸線の位置が3つとされているが、この調整機構M13では、選択可能なシャフト軸線の位置は5つである。
【0224】
基準シャフト軸線が、符号LS1で示される(図37参照)。第2のシャフト軸線が、符号LF1で示される。第3のシャフト軸線が、符号LU1で示される。第4のシャフト軸線が、符号LP1で示される。第5のシャフト軸線が、符号LM1で示される。
【0225】
前述した調整機構M4では保持孔h1が3つであるが、この調整機構M13では保持孔h1の数が5つである。即ち、ヘッド312は5つの保持孔h1を有する。本実施形態では、第1の保持孔h11、第2の保持孔h12、第3の保持孔h13、第4の保持孔h14及び第5の保持孔h15を有する。これら5つの保持孔h1を設け、これら5種類のシャフト軸線位置が許容されるようにスペースを確保し、且つスリーブ支持部材80(前述)を5種類設けた他は、このゴルフクラブ310の構成は、前述した調整機構M4(ゴルフクラブ70)と同様である。
【0226】
この調整機構M13では、ライ角が3通りに調整されうる。3通りのライ角は、基準シャフト軸線LS1、第2のシャフト軸線LF1及び第3のシャフト軸線LU1によって達成される。更にこの調整機構M13では、リアルロフト角が3通りに調整されうる。3通りのリアルロフト角は、基準シャフト軸線LS1、第4のシャフト軸線LP1及び第5のシャフト軸線LM1によって達成される。基準シャフト軸線LS1に比較して、第4のシャフト軸線LP1では、リアルロフト角が増加する。基準シャフト軸線LS1に比較して、第5のシャフト軸線LM1では、リアルロフト角が減少する。
【0227】
図38は、調整機構M14を有するヘッド320の斜視図である。図39は、ヘッド320の分解斜視図である。図40は、ヘッド320の断面図である。
【0228】
ヘッド320は、前方部材322と、後方部材324とを有する。図39及び図40が示すように、後方部材324は、係合突出部326を有する。係合突出部326は、係合溝328と傾斜面330とを有する(図40の拡大部参照)。この係合突出部326は、ヘッド320のクラウン部及びソール部のそれぞれに設けられている(図40参照)。一方、前方部材322は、内方延在部332を有する。この内方延在部332が、係合突出部326の溝328に嵌められている。係合突出部326と内方延在部332との係合により、前方部材322と後方部材324とが結合している。この結合状態において、前方部材322の外面と後方部材324の外面とは略滑らかに連続している。
【0229】
前方部材322は後方部材324に対して着脱可能である。取付の際には、後方部材324の係合突出部326を前方部材322の開口部に圧入する。この圧入において、内方延在部332の先端が傾斜面330の表面を摺動しうる。この摺動により、圧入を容易とされうる。必要な場合は、圧入の際、後方部材324のクラウン部及びソール部をヘッド内側に向かって圧縮させる。
【0230】
取り外しの際には、後方部材324のクラウン部及びソール部をヘッド内側に向かって圧縮させ、係合溝328と内方延在部332との係合を解除する。この解除により、前方部材322とあ後方部材324との分離が可能となる。調整機構M14は、後方部材320の交換を可能とする。
【0231】
着脱には、後方部材324の塑性変形が必要である。着脱を容易とする観点から、後方部材324の材質が、繊維強化プラスチックとされてもよい。
【0232】
後方部材324を交換することにより、例えば、重心位置が変更される。後方部材324を交換することにより、例えば、ヘッド体積が変更される。
【0233】
上記調整機構M14による仕様の調整として、次が例示される。
(調整14a)ヘッド形状が変更され、ヘッドの重心位置は実質的に変わらない。
(調整14b)ヘッド体積が変更され、ヘッドの重心位置は実質的に変わらない。
(調整14c)重心位置が変更され、ヘッド形状は変わらない。
(調整14d)慣性モーメントが変更され、ヘッド形状は変わらない。
(調整14e)ヘッド形状、ヘッド体積、ヘッドの重心位置及び慣性モーメントから選ばれる2以上が変更される。
【0234】
クラブバランスを維持する観点から、調整機構M14においては、ヘッド重量が変化しないのが好ましい。
【0235】
上記調整機構M14は、ウッド型ゴルフクラブヘッドに適用されているが、他のタイプのゴルフクラブ(アイアン型、ユーティリティー型、パター型等)にも用いられ得る。
【0236】
図41は、調整機構M15を有するヘッド340の平面図である。図42は、図41のF42−F42線に沿った断面図である。図43は、このヘッド340の底面図である。ヘッド340は、前方部材342と、後方部材344と、スペーサー346とを有する。前方部材342のクラウン部と後方部材344のクラウン部とは、回動可能に連結されている。この連結には、蝶番348が用いられている。
【0237】
スペーサー346は、前方部材342と後方部材344との間に配置される。スペーサー346は、ヘッド340の内部に位置する。ただし、スペーサー346の底面は、外部に露出している。スペーサー346の底面は、ヘッド340のソール面の一部を構成している。
【0238】
蝶番348は、後方部材344に対する前方部材342の回動を許容している。この回動は、リアルロフト角の調整を可能とする。一方、ヘッド340が使用される場合、この回動は固定される。この固定は、ネジ部材350によって達成される。ネジ部材350は、スペーサー346を貫通しつつ、前方部材342と後方部材344とを結合している。
【0239】
前方部材342の下端の縁(フェース部の下端)には、下方に開放された溝352と、下方に延びる突出部354とが設けられている。同様に、後方部材344のソール部の前端の縁には、下方に開放された溝352と、下方に延びる突出部354とが設けられている。一方、スペーサー346の下面の前方縁には、上方に開放された溝356と、上方に延びる突出部358とが設けられている。同様に、スペーサー346の下面の後方縁には、上方に開放された溝356と、上方に延びる突出部358とが設けられている。
【0240】
図42の拡大部が示すように、スペーサー346の下面の後方縁では、溝356に突出部354が嵌められており、溝352に突出部358が嵌められている。スペーサー346の下面の前方縁でも、溝356に突出部354が嵌められており、溝352に突出部358が嵌められている。これらの嵌合により、スペーサー346の固定が達成されている。
【0241】
スペーサー346の厚み及び形状によって、リアルロフト角が変化しうる。スペーサー346の交換により、リアルロフト角が調整されうる。
【0242】
[仕様]
本発明において、調整されうる仕様は限定されない。この仕様として、ロフト角、ライ角、フック角、フェース面積、ヘッドの重心位置、クラブバランス、クラブ長さ、クラブ重心位置、クラブの振動数、クラブ重量、ヘッド形状、ヘッド体積、ヘッド重量、シャフトフレックス(シャフト硬さ)、シャフトの調子、シャフトのトルク、シャフトの曲げ剛性分布、シャフトの捻れ剛性分布、シャフト重量、シャフトの重量分布、シャフトの重心位置、シャフトの長さ、グリップ外径、グリップ重量、グリップ重心位置、グリップ長さ、フェース溝の仕様、フェースプログレッション、ヘッドの慣性モーメント、クラブの慣性モーメント、ヘッドとボールとの反発係数、ヘッドとボールとの摩擦係数等が例示される。
【0243】
本発明では、少なくとも2つの仕様が、互いに独立して調整可能である。より好ましくは、調整されうる仕様の全てが、互いに独立して調整可能である。
【0244】
上記仕様は、ヘッドに係る仕様、シャフトに係る仕様、グリップに係る仕様及びクラブ全体に係る仕様を含む。
【0245】
ヘッドに係る仕様として、ロフト角、ライ角、フック角、フェース面積、ヘッドの重心位置、ヘッド形状、ヘッド体積、ヘッド重量、フェースプログレッション、ヘッドの慣性モーメント、ヘッドとボールとの反発係数、ヘッドとボールとの摩擦係数等が挙げられる。ヘッドの重心位置として、ヘッドの実際の(三次元的な)重心位置の他、重心距離(シャフト軸線とヘッド重心との距離)、重心深度及びスイートスポット高さが例示される。
【0246】
上記仕様のうち、シャフトに係る仕様として、シャフトフレックス、シャフトの調子、シャフトのトルク、シャフトの曲げ剛性分布、シャフトの捻れ剛性分布、シャフト重量、シャフトの重量分布、シャフトの重心位置、シャフトの長さ等が挙げられる。
【0247】
上記仕様のうち、グリップに係る仕様として、グリップ外径、グリップ重量、グリップ重心位置、グリップ長さ等が挙げられる。
【0248】
上記仕様のうち、クラブ全体に係る仕様として、クラブバランス、クラブ長さ、クラブ重心位置、クラブの振動数、クラブ重量、クラブの慣性モーメント等が例示される。
【0249】
仕様の調整範囲は限定されない。調整の自由度の観点からは、調整幅は広い方が好ましい。この観点から、ロフト角の調整幅は2°以上が好ましく、3°以上がより好ましく、4°以上が更に好ましい。フック角の調整幅は2°以上が好ましく、3°以上がより好ましく、4°以上が更に好ましい。ライ角の調整幅は1°以上が好ましく、2°以上がより好ましく、3°以上が更に好ましい。重心距離の調整幅は、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上が更に好ましい。クラブ長さの調整幅は、1インチ以上が好ましく、1.5インチ以上がより好ましく、2インチ以上が更に好ましい。ヘッド体積の調整幅は、10cc以上が好ましく、20cc以上がより好ましく、30cc以上が更に好ましい。グリップ外径の調整幅は、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、1.5mm以上が更に好ましい。クラブバランスの調整幅は、1ポイント以上が好ましく、2ポイント以上がより好ましく、3ポイント以上が更に好ましい。
【0250】
調整の自由度を高める観点から、特定仕様において、調整範囲は、2番手相当幅以上であるのが好ましい。2番手相当幅とは、以下の通りである。特定仕様とは、ロフト角、ライ角、クラブ長さ及びクラブ重量から選ばれる1以上である。
[2番手相当幅]
・ロフト角:6°(degree)
・ライ角 :1°(degree)
・クラブ長さ:1インチ
・クラブ重量:14g
【0251】
[調整機構]
本発明のゴルフクラブは、1以上の調整機構を有する。調整機構は限定されない。この調整機構は、仕様の調整を可能とする。1の調整機構は、1以上の仕様の調整を可能とする。1の調整機構が2以上の仕様の調整を可能としてもよい。1の調整機構によって調整される2以上の仕様は、互いに連動して調整されてもよいし、互いに連動することなく独立して調整されてもよい。
【0252】
好ましくは、ゴルフクラブは、複数の調整機構を有する。好ましくは、複数の調整機構により、2以上の仕様が、互いに独立して調整可能とされる。
【0253】
好ましくは、この調整機構は、ヘッド全体の交換を伴うことなく、ヘッドに係る仕様の調整を可能とする。好ましくは、この調整機構は、グリップ全体の交換を伴うことなく、グリップに係る仕様の調整を可能とする。好ましくは、この調整機構は、シャフト全体の交換を伴うことなく、シャフトに係る仕様の調整を可能とする。
【0254】
この調整機構として、上記調整機構M1、上記調整機構M2、上記調整機構M3、上記調整機構M4、上記調整機構M5、上記調整機構M6、上記調整機構M7、上記調整機構M8、上記調整機構M9、上記調整機構M10、上記調整機構M11、上記調整機構M12、上記調整機構M13、上記調整機構M14及び上記調整機構M15が例示される。また、前述した特許文献に記載されている調整機構は、本発明にも適用されうる。
【0255】
複数の調整機構を備えたゴルフクラブとして、上記調整機構M1、上記調整機構M2、上記調整機構M3、上記調整機構M4、上記調整機構M5、上記調整機構M6、上記調整機構M7、上記調整機構M8、上記調整機構M9、上記調整機構M10、上記調整機構M11、上記調整機構M12、上記調整機構M13、上記調整機構M14及び上記調整機構M15から選択される2以上の調整機構を備えたゴルフクラブが例示される。
【0256】
上記実施形態において説明された調整機構は、互いに独立しうる。即ち、複数の上記調整機構を単一のゴルフクラブに設けた場合、これら複数の調整機構は、互いに連動することなく機能しうる。この調整機構間の独立性は、調整の自由度を高める。
【0257】
前述した調整機構M1から調整機構M15から選ばれる2以上の調整機構は、単一のゴルフクラブに設置しうる。2以上の調整機構を設けるのに特段の困難性がある場合を除き、当業者の技術水準の範囲内で、2以上の調整機構を単一のゴルフクラブに設置することが可能である。
【0258】
ヘッドが複数の調整機構を有していてもよい。この場合、ヘッドに係る仕様の調整の自由度が向上する。シャフトが複数の調整機構を有していてもよい。この場合、シャフトに係る仕様の調整の自由度が向上する。グリップが複数の調整機構を有していてもよい。この場合、グリップに係る仕様の調整の自由度が向上する。
【0259】
互いに独立した複数の調整機構が設けられた場合、一の調整機構により調整される仕様と、他の調整機構により調整される仕様とは、互いに独立して調整可能である。この仕様間の独立性は、調整性の自由度を高める。
【0260】
調整機構が1つであっても、複数の仕様が互いに独立して調整可能な場合がある。例えば、上記調整機構M1では、フック角とロフト角とが独立して調整可能である。即ち、前方部材4におけるフェース面の向きの設定では、フック角を変えずにロフト角を変えることもできるし、ロフト角を変えずにフック角を変えることもできるし、ロフト角及びフック角のそれぞれを独立して変えることもできる。
【0261】
好ましくは、複数の調整機構が設けられる。調整性の自由度の観点から、2以上の調整機構が設けられる場合、それらのうちの少なくとも2つは、互いに独立して調整可能であるのが好ましい。例えば、3つの調整機構を有するゴルフクラブの場合、第1の調整機構と第2の調整機構とは互いに独立して調整可能であるのが好ましく、第1の調整機構と第2の調整機構と第3の調整機構とは互いに独立して調整可能であるのがより好ましい。即ち、2以上の調整機構が設けられる場合、全ての調整機構が互いに独立して調整可能であるのが最も好ましい。
【0262】
前述した米国特許出願US2006/0293115の図17に示された実施形態では、スリーブの周方向位置に起因して、ロフト角、ライ角及びフック角が連動して変化する。この場合、3つの仕様は、互いに独立して調整できない。この非独立性は、調整性の自由度を低下させる。本発明は、この問題を解決しうる。
【0263】
上記ヘッド(又は上記ヘッド本体)の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)及びそれらの組み合わせが例示される。上記ヘッドの製造方法は限定されず、鍛造、鋳造、プレス及びこれらの組み合わせが例示される。複数の材質が組み合わせられたヘッドでもよい。ヘッド本体の構造は、限定されない。
【0264】
上記シャフトの材質は、限定されない。シャフトの材質として、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)や金属が例示される。いわゆるカーボンシャフトやスチールシャフトが好適に用いられうる。また、シャフトの構造は、限定されない。
【0265】
上記スリーブの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。また前述したように、係合部材は、ヘッド本体と一体成形されてもよい。強度と軽量性とのバランスの観点から、例えばアルミニウム合金及びチタン合金がより好適である。
【0266】
上記係合部材の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。樹脂としては、機械的強度に優れたものが好ましく、例えば、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックと称されている樹脂が好ましい。また前述したように、係合部材は、ヘッド本体と一体成形されてもよい。
【0267】
上記結合用部材(ネジ)の材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金等が例示される。
【0268】
上記スリーブ支持部材80の材質は限定されない。好ましい材質として、前述した樹脂が挙げられる他、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金等が例示される
【0269】
仕様は、公知の測定装置によって測定することができる。ロフト角、ライ角及びフック角の測定装置の一例として、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台が挙げられる。いくつかの代表的な仕様は、製品カタログに記載されている場合がある。
【0270】
調整可能な上記仕様の組み合わせは限定されない。調整可能な上記仕様の数は限定されず、好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。
【0271】
ロフト角が調整可能な調整機構と重心距離が調整可能な調整機構とを有するゴルフクラブAは、例えば、ショートアイアンで引っかけるミスが出やすい状況において有効である。この場合、ロフト角を大きくし且つ重心距離を長くすることで、ミスが解消しうる。また上記ゴルフクラブAは、例えば、ショートアイアンでフェースが開くミスが出やすい状況において有効である。この場合、ロフト角を大きくし且つ重心距離を短くすることで、ミスが解消しうる。風が強く且つ引っかけやすいコンディションの場合、ロフト角を小さくし且つ重心距離を大きくする調整が有効である。
【0272】
ロフト角が調整可能な調整機構とクラブ長さが調整可能な調整機構とを有するゴルフクラブBは、飛距離の増加に有効である。この場合の有効な調整の一例は、クラブ長さを長くしてヘッドスピードを大きくし、且つ、ロフト角を大きくして打ち出し角度を大きくする。また、このゴルフクラブBは、コントロール性の向上に有効である。この場合の有効な調整の一例は、クラブ長さを短くして飛距離を小さくし、且つ、ロフト角を大きくして打ち出し角度を大きくする。この場合、高い弾道で落下地点に止まりやすいボールが達成されうる。ロフト角を小さくし且つクラブ長さを長くする調整は、低い打ち出し角度とヘッドスピードの向上とを実現しうるので、ランを含めたトータル飛距離の向上に有効である。ロフト角を小さくし且つクラブ長さを短くする調整は、低い打ち出し角度とヘッドスピードの減少とを実現しうるので、低い打球でランを増やしたい場合に有効である。
【0273】
ロフト角が調整可能な調整機構とクラブバランスが調整可能な調整機構とを有するゴルフクラブCは、コントロール性の向上に有効である。この場合の有効な調整の一例は、クラブバランスを大きくしてスイングを安定させ、且つ、ロフト角を大きくして打ち出し角度を大きくする。又は、クラブバランスを小さくしてヘッドスピードを上げ、且つ、ロフト角を大きくして打ち出し角度を大きくする。この場合、高い弾道で落下地点に止まりやすいボールが達成されうる。ロフト角を小さくし且つスイングバランスを大きくする調整は、低い打ち出し角度と安定した(ゆっくりした)スイングとを実現しうるので、方向性に優れた低い弾道を得るのに有効である。ロフト角を小さくし且つスイングバランスを小さくする調整は、低い打ち出し角度とヘッドスピードの向上とを実現しうるので、低い弾道でランを稼ぎトータル飛距離を伸ばすのに有効である。
【0274】
ホーゼル部には、打撃による衝撃力が集中する。ホーゼル部には強度が要求される。また、調整機構がホーゼル部に位置する場合、ホーゼル部の重量が増加するため、ヘッド重心の設計自由度が低下する。ホーゼル部は軽量であるのが好ましい。ホーゼル部の強度及びホーゼル部の軽量化の観点からは、次の構成(a)が好ましく、構成(b)がより好ましく、構成(c)が更に好ましい。
(a)上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)が、ホーゼル部以外に位置している。
(b)上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)が、ホーゼル部以外に位置している。
(c)全ての調整機構が、ホーゼル部以外に位置している。
【0275】
上記実施形態のうち、ホーゼル部に位置しているのは、調整機構M3、M4、M7及びM13である。調整機構M1、M2、M5、M6、M8、M9、M10、M11、M12、M14及びM15は、ホーゼル部以外に位置している。
【0276】
ホーゼル部以外に位置する調整機構と、ホーゼル部に位置する調整機構とが組み合わせられた例として、後述される実施例2から11が挙げられる。ホーゼル部以外の位置する調整機構同士が組み合わせされた例として、後述される実施例1及び実施例12から28が挙げられる。
【0277】
上記構成(a)の例として、以下の構成(a1)から(a5)が挙げられる。
(a1)上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)はグリップに位置する。
(a2)上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)はシャフトに位置する。
(a3)上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)はシャフトとグリップとの接合部に位置する。
(a4)上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)はヘッドのソールに位置する。
(a5)上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)はホーゼル部以外のヘッドに位置する。
【0278】
ヘッドに対するシャフトの取り付け角度を調整する観点からは、上記構成(a1)、(a2)(a3)、(a4)及び(a5)のそれぞれにおいて、上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)の他方はホーゼル部に位置していてもよい。
【0279】
上記構成(b)の例として、以下の構成(b1)から(b8)が挙げられる。
(b1)上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)がグリップに位置する。
(b2)上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)がシャフトに位置する。
(b3)上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)がホーゼル部以外のヘッドに位置する。
(b4)上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)がヘッドのソールに位置する。
(b5)上記調整機構(1)がシャフトに位置し且つ上記調整機構(2)がグリップに位置する。
(b6)上記調整機構(1)がシャフトに位置し且つ上記調整機構(2)がホーゼル部以外のヘッドに位置する。
(b7)上記調整機構(1)がグリップに位置し且つ上記調整機構(2)がホーゼル部以外のヘッドに位置する。
(b8)上記調整機構(1)がグリップに位置し且つ上記調整機構(2)がヘッドのソールに位置する。
【0280】
上記調整機構M1は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。上記調整機構M2は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。上記調整機構M3は、ホーゼル部に位置する。上記調整機構M4は、ホーゼル部に位置する。上記調整機構M5は、ホーゼル部以外のヘッドに位置し、且つ、ヘッドのソールに位置する。上記調整機構M6は、グリップに位置し、且つ、シャフトに位置する。上記調整機構M7は、ホーゼル部に位置する。上記調整機構M8は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。上記調整機構M9は、グリップに位置する。上記調整機構M10は、グリップに位置する。上記調整機構M11は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。上記調整機構M12は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。上記調整機構M13は、ホーゼル部に位置する。 上記調整機構M14は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。上記調整機構M15は、ホーゼル部以外のヘッドに位置する。
【0281】
2つの調整機構が互いに干渉する場合、機構が複雑となる。複雑な機構は、不具合を生じさせやすい。また、複雑な機構は、高い寸法精度を要求しうる。高い寸法精度は、生産性を低下させる。これらの観点から、上記調整機構(1)と上記調整機構(2)とは、互いに干渉しないのが好ましい。この「干渉」の意味は次の通りである。調整機構Aを構成する少なくとも1の部材が、調整機構Bに関与している場合、調整機構AとBとが互いに干渉していると定義される。調整機構Bを構成する少なくとも1の部材が、調整機構Aに関与している場合も、調整機構AとBとが互いに干渉していると定義される。この干渉の一例は、例えば、調整機構Aを固定するためのネジが、調整機構Bの固定にも寄与している場合である。
【0282】
シャフト交換により、シャフトの仕様が調整されうる。ただし、シャフトのコストは高い。また、ゴルファーには、自分が好むシャフトを交換することなく、他の仕様を調整したいという要請がある。これらの観点からは、上記調整機構(1)及び調整機構(2)がシャフト交換を伴わないのが好ましく、全ての調整機構がシャフト交換を伴わないのがより好ましい。
【0283】
一方、シャフト交換が可能なゴルフクラブでは、好ましくは、スリーブが用いられる。このスリーブは、例えば、上記調整機構M4及びM7において用いられている。上記調整機構M4で示されるように、典型的には、スリーブは、シャフトに接着される。スリーブが用いられることで、シャフトとヘッドとの着脱が可能となり、シャフト交換が容易となる。打撃より、このスリーブに大きな衝撃力が作用する。スリーブの固定を確実とする観点から、このスリーブは、周方向の全体(360°)に亘る面接触によって支持されうるのが好ましい。上記調整機構M4及び上記調整機構M7では、スリーブは、周方向の全体に亘る面接触によって支持されている。このうち調整機構M4では、スリーブ支持部材80が、周方向の全体に亘って、スリーブ76に面接触している。
【0284】
上記のようなゴルフクラブを複数本備えたゴルフクラブセットでは、各クラブの利点が相乗的に組み合わされ、調整性に優れたゴルフクラブセットが実現されうる。
【0285】
以上に例示したように、独立して調整可能な2以上の仕様を有するゴルフクラブでは、コースセッティング、天候、プレーヤーの調子等の状況に対応した調整が可能である。上記以外の仕様の組み合わせでも、種々の状況に対応した調整が可能である。
【実施例】
【0286】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。また、特に説明しない限り、以下における各調整機構は、前述の実施形態で説明されたものと同じである。
【0287】
[実施例1]
上記調整機構M1(フック角調整機構)と上記調整機構M5(ヘッド重心位置調整機構)とを有するヘッドを作成した。また、ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。結合用部材8(ネジ)の材質は、チタン合金(Ti−6Al−4V)とされた。上記調整機構M5の重量体104(ネジ)をねじ込むためのネジ孔は、後方部材6のソールに設けられ、NC加工によって作成された。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例1に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0288】
[実施例2]
上記調整機構M1(フック角調整機構)、上記調整機構M4(ライ角調整機構)、上記調整機構M5(ヘッド重心位置調整機構)及び上記調整機構M6(クラブバランス調整機構)を有するゴルフクラブを作成した。実施例1の後方部材のホーゼル部に上記調整機構M4を追加し、且つ実施例1のグリップに代えて図17に示す調整機構M5付きグリップを装着した。スリーブ76の材質はアルミニウム合金とされた。スリーブ支持部材80の材質はアルミニウム合金とされた。その他は実施例1と同様にして、実施例2のゴルフクラブを得た。
【0289】
[比較例1]
全ての上記調整機構を有さない他は実施例1と同様にして、比較例1のヘッドを得た。ヘッドは、上記前方部材4と上記後方部材6とを溶接して得た。このヘッドに、上記実施例1と同じシャフト及びグリップを装着して、比較例1に係るゴルフクラブを得た。
【0290】
[比較例2]
前述した調整機構M7(図20参照)と同様の構造を、上記実施例1の後方部材6に形成した。この後方部材に、上記実施例1と同じ前方部材を溶接して、ヘッドを得た。また、上記調整機構M7における上記スリーブSvの内面のネジ溝を除去して円周面とした。上記実施例1と同じシャフトに先端部に、このスリーブSvを接着した。即ち、上記ネジ筒135を用いずに、シャフトを直接スリーブSvの内面に接着した。前述したスリーブSv1(図22参照)と同様に、シャフト挿入孔をホーゼル孔142に対して傾斜させた。傾斜角度θ1(図22参照)は1.0°とされた。スリーブSvの材質はアルミニウム合金とされた。係合部材140の材質はチタン合金(Ti−6Al−4V)とされた。更に、上記実施例1と同じグリップを装着して、比較例2に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブでは、シャフトとヘッドとがネジ機構によって着脱可能である。このゴルフクラブでは、スリーブSvとホーゼル孔との周方向における相対的位置関係に起因して、ロフト角、ライ角及びフック角が連動して変化する。
【0291】
これらのクラブを用いて、テスターの実打による評価テストがなされた。このテスターは、ドライバーでのヘッドスピードが約40m/sであり、且つ、スライサー(打球がスライスしやすい人)である。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表1に示される。
【0292】
【表1】

【0293】
表1及び以下の各表の「方向性」において、「+」は、目標方向から右側にズレたことを意味し、「−」は、目標方向から左側にズレたことを意味する。表1及び以下の各表の「サイドスピン」において、正の値はスライス回転であることを意味し、負の値はフック回転であることを意味する。
【0294】
実施例1は、表1に示される比較例1の仕様に調整されうる。この実施例1を、上記表1に示される仕様となるように調整して、評価テストを行った。
【0295】
実施例2は、表1に示される比較例1の仕様に調整されうる。この実施例2を、上記表1に示される仕様となるように調整して、評価テストを行った。
【0296】
上記比較例2を用いて、比較例2−1の状態のクラブを作製し、評価テストを行った。次に、スリーブSv(シャフト)とホーゼル孔との周方向における相対的位置関係を変化させて、比較例2−2の状態のクラブを作製し、評価テストを行った。
【0297】
表1が示すように、比較例2では、ロフト角、ライ角及びフック角が連動して変化しているため、調整が不十分であった。そのため、スライスの解消が不十分であり、飛距離も相対的に少なかった。実施例1及び実施例2は、調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0298】
[実施例3]
上記調整機構M1(フック角調整機構)と上記調整機構M4(ライ角調整機構)とを有するヘッドを作成した。また、ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M4を設けた。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例3に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0299】
[比較例3]
表2の仕様に変更された他は上記比較例1と同様にして、比較例3のヘッドを得た。このヘッドに、上記実施例1と同じシャフト及びグリップを装着して、比較例3に係るゴルフクラブを得た。
【0300】
[比較例4]
表2の仕様に変更された他は上記比較例2と同様にして、比較例4のゴルフクラブを得た。このゴルフクラブでは、シャフトとヘッドとがネジ機構によって着脱可能である。このゴルフクラブでは、スリーブSvとホーゼル孔との周方向における相対的位置関係に起因して、ロフト角、ライ角及びフック角が連動して変化する。
【0301】
これらのクラブを用いて、テスターの実打による評価テストがなされた。このテスターは、ドライバーでのヘッドスピードが約40m/sであり、且つ、スライサー(打球がスライスしやすい人)である。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表2に示される。
【0302】
【表2】

【0303】
調整機構を用いて、実施例3のゴルフクラブを、表2に示す実施例3−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例3のゴルフクラブを、表2に示す実施例3−2の仕様に調整して、評価した。
【0304】
上記比較例4を用いて、比較例4−1の状態のクラブを作製し、評価テストを行った。次に、スリーブSv(シャフト)とホーゼル孔との周方向における相対的位置関係を変化させて、比較例4−2の状態のクラブを作製し、評価テストを行った。
【0305】
表2が示すように、比較例4では、ロフト角、ライ角及びフック角が連動して変化しているため、調整が不十分であった。そのため、スライスの解消が不十分であり、飛距離も相対的に少なかった。実施例3は調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0306】
[実施例4]
上記調整機構M1(ロフト角調整機構)と上記調整機構M4(ライ角調整機構)とを有するヘッドを作成した。また、ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M4を設けた。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例4に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0307】
この実施例4と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表3に示される。
【0308】
【表3】

【0309】
調整機構を用いて、実施例4のゴルフクラブを、表3に示す実施例4−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例4のゴルフクラブを、表3に示す実施例4−2の仕様に調整して、評価した。実施例4は調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0310】
[実施例5]
上記調整機構M1(フック角調整機構)、上記調整機構M4(ライ角調整機構)及び上記調整機構M5(ヘッド重心位置調整機構)を有するヘッドを作成した。ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のソール部に、上記調整機構M5のネジ孔を設けた。ネジ孔はNC加工によって形成された。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M4を設けた。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例5に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0311】
この実施例5と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表4に示される。
【0312】
【表4】

【0313】
調整機構を用いて、実施例5のゴルフクラブを、表4に示す実施例5−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例5のゴルフクラブを、表4に示す実施例5−2の仕様に調整して、評価した。実施例5は調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0314】
[実施例6]
上記調整機構M1(ロフト角調整機構)、上記調整機構M4(ライ角調整機構)及び上記調整機構M5(ヘッド重心位置調整機構)を有するヘッドを作成した。ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のソール部に、上記調整機構M5のネジ孔を設けた。ネジ孔はNC加工によって形成された。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M4を設けた。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例6に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0315】
この実施例6と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表5に示される。
【0316】
【表5】

【0317】
実施例6のゴルフクラブは、比較例3の仕様に調整可能である。調整機構を用いて、実施例6のゴルフクラブを、表5に示す実施例6−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例6のゴルフクラブを、表5に示す実施例6−2の仕様に調整して、評価した。実施例6は調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0318】
[実施例7]
上記調整機構M1(フック角調整機構)及び上記調整機構M3(クラブ長さ調整機構)を有するヘッドを作成した。ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M3を設けた。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例7に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0319】
この実施例7と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表6に示される。
【0320】
【表6】

【0321】
実施例7のゴルフクラブは、比較例3の仕様に調整可能である。調整機構を用いて、実施例7のゴルフクラブを、表6に示す実施例7−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例7のゴルフクラブを、表6に示す実施例7−2の仕様に調整して、評価した。実施例7は調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0322】
[実施例8]
上記調整機構M1(ロフト角調整機構)及び上記調整機構M3(クラブ長さ調整機構)を有するヘッドを作成した。ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M3を設けた。このヘッドにシャフト(カーボンシャフト)及びグリップを装着して、実施例8に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0323】
この実施例8と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表7に示される。
【0324】
【表7】

【0325】
実施例8のゴルフクラブは、比較例3の仕様に調整可能である。調整機構を用いて、実施例8のゴルフクラブを、表7に示す実施例8−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例8のゴルフクラブを、表7に示す実施例8−2の仕様に調整して、評価した。このテストでも、実施例8では、調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0326】
[実施例9]
上記調整機構M1(フック角調整機構)、上記調整機構M3(クラブ長さ調整機構)、上記調整機構M5(ヘッド重心距離調整機構)及び上記調整機構M6(クラブバランス調整機構)を有するクラブを作成した。ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M3を設けた。後方部材6のソール部に、上記調整機構M5のネジ孔を設けた。このヘッドに、上記調整機構M6を有するシャフトグリップ組み立て体を装着して、実施例9に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0327】
この実施例9と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表8に示される。
【0328】
【表8】

【0329】
実施例9のゴルフクラブは、比較例3の仕様に調整可能である。調整機構を用いて、実施例9のゴルフクラブを、表8に示す実施例9−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例9のゴルフクラブを、表8に示す実施例9−2の仕様に調整して、評価した。このテストでも、実施例9では、調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0330】
[実施例10]
上記調整機構M1(ロフト角調整機構)、上記調整機構M3(クラブ長さ調整機構)、上記調整機構M5(ヘッド重心距離調整機構)及び上記調整機構M6(クラブバランス調整機構)を有するクラブを作成した。ヘッドの前方部材4及び後方部材6は、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いて、ロストワックス精密鋳造法により作製した。後方部材6のホーゼル部に、上記調整機構M3を設けた。後方部材6のソール部に、上記調整機構M5のネジ孔を設けた。このヘッドに、上記調整機構M6を有するシャフトグリップ組み立て体を装着して、実施例10に係るゴルフクラブを得た。このゴルフクラブは、三番ウッドであった。
【0331】
この実施例10と、上記比較例3、4とを比較した。実施例及び比較例の仕様と評価結果が、下記の表9に示される。
【0332】
【表9】

【0333】
実施例10のゴルフクラブは、比較例3の仕様に調整可能である。調整機構を用いて、実施例10のゴルフクラブを、表9に示す実施例10−1の仕様に調整して、評価した。更に、調整機構を用いて、実施例10のゴルフクラブを、表9に示す実施例10−2の仕様に調整して、評価した。実施例10は、調整性に優れ、スライスの解消及び飛距離において良好な結果が得られた。
【0334】
[実施例11]
上記調整機構M7と上記調整機構M8とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0335】
調整機構M7は、上記傾斜角度θ1が0°である2つのスリーブSvが備えていた。これら2つのスリーブSvの間で、シャフト挿入孔150の位置を相違させた。第1のスリーブSvでは、シャフト挿入孔150の軸線がスリーブ外面の中心軸線と同軸であるのに対し、第2のスリーブSvでは、シャフト挿入孔の軸線がスリーブ外面の中心軸線からズレていた。即ち、第2のスリーブSvでは、シャフト挿入孔が偏心していた。
【0336】
調整機構M8は、重心位置の相違する2つの交換用後方部材E8を備えていた。
【0337】
この実施例11に係るゴルフクラブでは、スリーブSvを交換することにより、フェースプログレッションを変更することができた。スリーブSvの交換によって、ライ角、フック角及びロフト角は変化しなかった。更に、このゴルフクラブでは、交換用後方部材E8を交換することにより、ヘッドの重心位置を変更することができた。このゴルフクラブでは、フェースプログレッションとヘッドの重心位置とを、互いに独立して調整することができた。
【0338】
[実施例12]
上記調整機構M1と上記調整機構M9とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0339】
調整機構M1は、ロフト角のみが相違する2つの交換用前方部材E4を備えていた。
【0340】
調整機構M9は、厚さの相違する2つの外側グリップ部材196を備えていた。
【0341】
この実施例12に係るゴルフクラブでは、交換用前方部材E4を交換することにより、ロフト角を変更することができた。交換用前方部材E4の交換によって、フック角は変化しなかった。更に、このゴルフクラブでは、外側グリップ部材196を交換することにより、グリップ太さを変更することができた。このゴルフクラブでは、ロフト角とグリップ太さとを、互いに独立して調整することができた。
【0342】
[実施例13]
上記調整機構M1と上記調整機構M10とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0343】
調整機構M1は、フック角のみが相違する2つの交換用前方部材E4を備えていた。
【0344】
調整機構M10は、1つの延長部材252bを備えていた。
【0345】
この実施例13に係るゴルフクラブでは、交換用前方部材E4を交換することにより、フック角を変更することができた。交換用前方部材E4の交換によって、ロフト角は変化しなかった。更に、このゴルフクラブでは、延長部材252bの着脱により、クラブ長さを変更することができた。フック角とクラブ長さとは、互いに独立して調整することができた。
【0346】
[実施例14]
上記調整機構M1と上記調整機構M11とを備えたゴルフクラブが作製された。実施例14に係るヘッドの分解斜視図は、図33及び34で示されているヘッド268と同様である。
【0347】
この実施例14では、前方部材の交換が可能であり、且つ、調整用中間部材の交換も可能である。前方部材のみの交換によって、フック角及びロフト角が調整されうる。また、調整用中間部材のみの交換によっても、フック角及びロフト角が調整されうる。更に、前方部材と調整用中間部材との組み合わせによって、多様な調整が可能とされうる。
【0348】
[実施例15]
上記調整機構M1と上記調整機構M6とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0349】
調整機構M1は、フック角のみが相違する2つの前方部材E4を備えていた(図3参照)。
【0350】
調整機構M6は、互いに重量が異なる複数の重量体Wgを備えていた(図17参照)。
【0351】
この実施例15に係るゴルフクラブでは、交換用前方部材E4を交換することにより、フック角を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、重量体Wgの交換及び着脱により、クラブバランスを変更することができた。フック角とクラブバランスとは、互いに独立して調整することができた。
【0352】
[実施例16]
上記調整機構M1と上記調整機構M8とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0353】
この実施例16に係るヘッドは、前述されたヘッド170と同様とされた(図24及び25参照)。
【0354】
この実施例16では、調整機構M1として、図24に示される前方部材172が複数用意された。複数の前方部材172の間で、互いにフック角が相違していた。更にこの実施例16では、調整機構M8として、互いに体積が異なる複数の後方部材174が用意された。
【0355】
この実施例16に係るゴルフクラブでは、前方部材172の交換により、フック角を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、後方部材174の交換により、ヘッド体積(重心深度、ヘッド慣性モーメント)を変更することができた。フック角とヘッド体積(重心深度、ヘッド慣性モーメント)とは、互いに独立して調整することができた。
【0356】
[実施例17]
上記調整機構M1と上記調整機構M10とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0357】
調整機構M1は、フック角のみが相違する2つの前方部材E4を備えていた(図3参照)。
【0358】
調整機構M10は、互いに同一形状である2つの延長部材252bを備えていた(図31参照)。
【0359】
この実施例17に係るゴルフクラブでは、交換用前方部材E4を交換することにより、フック角を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、延長部材252bの装着数により、クラブ長さ(クラブバランス)を変更することができた。フック角とクラブ長さ(クラブバランス)とは、互いに独立して調整することができた。
【0360】
[実施例18]
上記調整機構M5と上記調整機構M6とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0361】
調整機構M5は、一つの重量体104を備えていた(図14参照)。
【0362】
調整機構M6は、互いに重量が異なる複数の重量体Wgを備えていた(図17参照)。
【0363】
この実施例18に係るゴルフクラブでは、重量体104の位置を変更することにより、ヘッドの重心位置を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、重量体Wgの交換及び着脱により、クラブバランスを変更することができた。ヘッド重心位置とクラブバランスとは、互いに独立して調整することができた。
【0364】
[実施例19]
上記調整機構M5と上記調整機構M8とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0365】
実施例19に係るヘッドの基本構造は、図24に示される通りとされた。更に、このヘッドの前方部材172(図24参照)に、複数の配置孔Wh(図15参照)が設けられた。即ち、調整機構M5は、前方部材172に設けられた。なお、調整機構M5は、後方部材174(図24参照)に設けられてもよい。即ち、後方部材174に、複数の配置孔Wh(図15参照)が設けらてもよい。
【0366】
調整機構M5は、一つの重量体104を備えていた(図14参照)。
【0367】
調整機構M8は、体積が異なる複数の後方部材174を備えていた(図24参照)。
【0368】
この実施例19に係るゴルフクラブでは、重量体104の位置を変更することにより、ヘッドの重心位置を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、後方部材174の変更により、ヘッド体積を変更することができた。ヘッド重心位置とヘッド体積とは、互いに独立して調整することができた。
【0369】
一方、ヘッドの重心位置は、調整機構M5によっても変化し、且つ、調整機構M8によっても変化した。よって、ヘッドの重心位置を多様に調整することができた。即ち、ヘッドの重心位置の調整において高い自由度が達成された。
【0370】
[実施例20]
上記調整機構M5と上記調整機構M9とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0371】
調整機構M5は、一つの重量体104を備えていた(図14参照)。
【0372】
調整機構M9は、厚さの相違する複数の外側グリップ部材196を備えていた(図27、28参照)。
【0373】
この実施例20に係るゴルフクラブでは、重量体104の位置を変更することにより、ヘッドの重心位置を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、外側グリップ部材196を交換することにより、グリップ太さを変更することができた。このゴルフクラブでは、ヘッド重心位置とグリップ太さとを、互いに独立して調整することができた。
【0374】
[実施例21]
上記調整機構M5と上記調整機構M10とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0375】
調整機構M5は、一つの重量体104を備えていた(図14参照)。
【0376】
調整機構M10は、互いに同一形状である2つの延長部材252bを備えていた(図31参照)。
【0377】
この実施例21に係るゴルフクラブでは、重量体104の位置を変更することにより、ヘッドの重心位置を変更することができた。更に、このゴルフクラブでは、延長部材252bの装着数により、クラブ長さ(グリップ長さ、クラブバランス)を変更することができた。ヘッド重心位置とクラブ長さ(グリップ長さ、クラブバランス)とは、互いに独立して調整された。
【0378】
[実施例22]
上記調整機構M6と上記調整機構M8とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0379】
調整機構M6は、互いに重量が異なる複数の重量体Wgを備えていた(図17参照)。
【0380】
調整機構M8は、形状の相違する複数の後方部材174を備えていた(図24、25参照)。
【0381】
この実施例22に係るゴルフクラブでは、重量体Wgの着脱及び変更により、クラブバランスが変更された。更に、このゴルフクラブでは、後方部材174の変更により、ヘッド形状を変更することができた。クラブバランスとヘッド形状とは、互いに独立して調整された。
【0382】
[実施例23]
上記調整機構M6と上記調整機構M9とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0383】
調整機構M6は、互いに重量が異なる複数の重量体Wgを備えていた(図17参照)。
【0384】
調整機構M9は、厚さの相違する複数の外側グリップ部材196を備えていた(図27、28参照)。
【0385】
この実施例23に係るゴルフクラブでは、重量体Wgの着脱及び変更により、クラブバランスが変更された。更に、このゴルフクラブでは、外側グリップ部材196の変更により、グリップ外径が変更された。クラブバランスとグリップ外径とは、互いに独立して調整された。
【0386】
[実施例24]
上記調整機構M6と上記調整機構M10とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0387】
図36は、実施例24に係るゴルフクラブのグリップ部分における分解図である。このゴルフクラブは、前述のグリップ252(図31参照)を有する。更にこのゴルフクラブは、2つの重量体Wgを有する。
【0388】
第1の重量体Wg1は、頭部300と本体部302とを有する。頭部300は円盤状である。本体部302は雄ねじである。頭部300と本体部302とは、同軸である。第2の重量体Wg2は、頭部300と本体部306とを有する。本体部306は雄ねじである。頭部300と本体部306とは、同軸である。本体部302と本体部300とで、軸方向長さが相違する。この相違に起因して、重量体Wg1と重量体Wg2とで、重量が相違する。
【0389】
重量体Wgの本体部302,306は、延長部材252bのネジ孔sc4に適合している。本体部302,306は、ネジ孔sc4にねじ込まれうる。
【0390】
この実施例24における調整機構M10は、図30の実施形態と同じである。一方、この実施例24における調整機構M6は、図17の実施形態とは相違する。この調整機構M6は、図36に示される通り、重量体Wgと延長部材252bとによって構成されている。延長部材252bにどの重量体Wgを装着するかによって、クラブバランスが調整されうる。また、重量体Wgの装着の有無によって、クラブバランスが調整されうる。
【0391】
この実施例24に係るゴルフクラブでは、重量体Wgの着脱及び変更により、クラブバランスが変更された。更に、このゴルフクラブでは、延長部材252bの装着数により、クラブバランス及びクラブ長さが変更された。この実施例24では、クラブ長さが調整可能である。また、この実施例24では、延長部材252bと重量体Wgとの組み合わせによって、クラブバランスを多様に調整することができた。
【0392】
[実施例25]
上記調整機構M8と上記調整機構M9とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0393】
調整機構M8は、重心位置の相違する2つの後方部材174を備えていた(図24、25参照)。
【0394】
調整機構M9は、厚さの相違する複数の外側グリップ部材196を備えていた(図27、28参照)。
【0395】
この実施例25に係るゴルフクラブでは、後方部材174の交換により、ヘッド重心位置が変更された。更に、このゴルフクラブでは、外側グリップ部材196の変更により、グリップ外径が変更された。ヘッド重心位置とグリップ外径とは、互いに独立して調整された。
【0396】
[実施例26]
上記調整機構M8と上記調整機構M10とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0397】
調整機構M8は、重心位置の相違する2つの後方部材174を備えていた(図24、25参照)。
【0398】
調整機構M10は、互いに同一形状である2つの延長部材252bを備えていた(図31参照)。
【0399】
この実施例26に係るゴルフクラブでは、後方部材174の交換により、ヘッド重心位置が変更された。更に、このゴルフクラブでは、延長部材252bの装着数により、クラブバランス及びクラブ長さが変更された。ヘッド重心位置とクラブバランス(クラブ長さ)とは、互いに独立して調整された。
【0400】
[実施例27]
上記調整機構M6と上記調整機構M12とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0401】
調整機構M6は、互いに重量が異なる複数の重量体Wgを備えていた(図17参照)。
【0402】
調整機構M12は、互いにロフト角が異なる複数の前方部材282を備えていた(図35参照)。
【0403】
この実施例27に係るゴルフクラブでは、重量体Wgの交換により、クラブバランスが変更された。更に、このゴルフクラブでは、前方部材282の交換により、ロフト角が変更された。クラブバランスとロフト角とは、互いに独立して調整された。
【0404】
[実施例28]
上記調整機構M10と上記調整機構M12とを備えたゴルフクラブが作製された。
【0405】
調整機構M10は、互いに同一形状である2つの延長部材252bを備えていた(図31参照)。
【0406】
調整機構M12は、互いにロフト角が異なる複数の前方部材282を備えていた(図35参照)。
【0407】
この実施例28に係るゴルフクラブでは、延長部材252bの装着数により、クラブ長さ(クラブバランス)が変更された。更に、このゴルフクラブでは、前方部材282の交換により、ロフト角が変更された。クラブ長さ(クラブバランス)とロフト角とは、互いに独立して調整された。
【0408】
調整機構の組み合わせは、これらの実施例での組み合わせに限定されない。調整機構の組み合わせの数も限定されない。例えば、上記調整機構M1からM12から選ばれるあらゆる2つが組み合わせられうる。また、上記調整機構M1からM12から選択されるあらゆる3つ以上が組み合わせられうる。
【産業上の利用可能性】
【0409】
以上説明された発明は、ウッド型、ユーティリティ型、ハイブリッド型、アイアン型、パター型など、あらゆるゴルフクラブに適用されうる。
【符号の説明】
【0410】
2・・・ヘッド
4・・・前方部材
6・・・後方部材
8・・・結合用部材
10・・・フェース面
12・・・ホーゼル部
14・・・シャフト孔
16・・・貫通孔
18・・・ヘッド孔
E4・・・交換用前方部材
30・・・ヘッド
32・・・フェースプレート
34・・・ヘッド本体
36・・・結合用部材
E32・・・交換用フェースプレート
50・・・ゴルフクラブ
52・・・ヘッド
54・・・シャフト
56・・・スリーブ
58・・・結合用部材
70・・・ゴルフクラブ
72・・・ヘッド
74・・・シャフト
75・・・スリーブ挿入孔
76・・・スリーブ
78・・・結合用部材
80・・・スリーブ支持部材
88・・・貫通孔
100・・・ゴルフクラブ
102・・・ヘッド
104・・・重量体
Wh・・・配置孔(ネジ孔)
110・・・ゴルフクラブ
112・・・グリップ
Wg・・・重量体
118・・・保持体
130・・・ゴルフクラブ
132・・・ヘッド
134・・・シャフト
135・・・ネジ筒
140・・・係合部材
Sv・・・スリーブ
Sv1・・・第1のスリーブ
Sv2・・・第2のスリーブ
170・・・ヘッド
172・・・前方部材
174・・・後方部材
E8・・・交換用後方部材
192・・・グリップ
194・・・内側グリップ部材
196・・・外側グリップ部材
204・・・第一の分割体
206・・・第二の分割体
252・・・グリップ
252a・・・グリップ本体252a
252b・・・延長部材
M1・・・調整機構(ロフト角及び/又はフック角の調整機構)
M2・・・調整機構(ロフト角調整機構)
M3・・・調整機構(クラブ長さ調整機構)
M4・・・調整機構(ライ角調整機構)
M5・・・調整機構(ヘッド重心位置調整機構)
M6・・・調整機構(クラブバランス調整機構)
M7・・・調整機構(スリーブ交換機構)
M8・・・調整機構(ヘッド形状等調整機構)
M9・・・調整機構(グリップ外径調整機構)
M10・・・調整機構(グリップ長さ調整機構)
M11・・・調整機構(フック角調整機構)
M12・・・調整機構(ロフト角及び/又はフック角の調整機構)
M13・・・調整機構(ライ角及びロフト角の調整機構)
M14・・・調整機構(ヘッド形状等調整機構)
M15・・・調整機構(ロフト角調整機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の調整機構を備えており、
少なくとも2つの仕様が、互いに独立して調整可能であるゴルフクラブ。
【請求項2】
ヘッド、シャフト、グリップ又はそれらの接合部が、調整機構(1)を有しており、
上記ヘッド、上記シャフト、上記グリップ又は上記接合部が、更に他の調整機構(2)を有しており、
上記調整機構(1)と上記調整機構(2)とが、互いに独立して調整可能である請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
上記調整機構(1)又は上記調整機構(2)が、ホーゼル部以外に位置している請求項2に記載のゴルフクラブ。
【請求項4】
上記調整機構(1)及び上記調整機構(2)が、ホーゼル部以外に位置している請求項2又は3に記載のゴルフクラブ。
【請求項5】
全ての調整機構が、ホーゼル部以外に位置している請求項1から4のいずれかに記載のゴルフクラブ。
【請求項6】
ロフト角、ライ角、フック角、フェース面積、ヘッドの重心位置、クラブバランス、クラブ長さ、クラブ重心位置、クラブの振動数、クラブ重量、ヘッド形状、ヘッド体積、ヘッド重量、シャフトフレックス、シャフトの調子、シャフトのトルク、シャフトの曲げ剛性分布、シャフトの捻れ剛性分布、シャフト重量、シャフトの重量分布、シャフトの重心位置、シャフトの長さ、グリップ外径、グリップ重量、グリップ重心位置、グリップ長さ、フェース溝の仕様、フェースプログレッション、ヘッドの慣性モーメント、クラブの慣性モーメント、ヘッドとボールとの反発係数及びヘッドとボールとの摩擦係数から選ばれる2以上の上記仕様が、互いに独立して調整可能とされている請求項1から5のいずれかに記載のゴルフクラブ。
【請求項7】
複数の上記仕様が、ロフト角、ライ角、クラブ長さ及びクラブ重量から選ばれる1以上の特定仕様を含み、この1以上の特定仕様の全てにおいて、調整範囲が2番手相当幅以上である請求項1から6のいずれかに記載のゴルフクラブ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のゴルフクラブを複数本備えたゴルフクラブセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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