説明

サイクロン式ガスセパレーター

【課題】動力源を必要とせず、簡易な構造でありながら効率よく流体からガスを分離する安価なサイクロン式ガスセパレーターを提供すること。
【解決手段】ガスを含有する流体1を旋回させ、遠心力を利用してガスと流体1に分離するサイクロン式ガスセパレーターにおいて、円筒内周面2を有する容体3の上部に流体1を円筒内周面2の周方向に沿って導入する流体導入部4を設け、この流体導入部4から円筒内周面2に沿って導入される流体1を支承してこの流体1を円筒内周面2に沿って旋回しながら下方へ流れるように規制する螺旋状に配した支持部5を容体3内に設け、この支持部5に沿って流れる流体1に振動を与えるように多数の突起6を容体3の円筒内周面2に設けたサイクロン式ガスセパレーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを含有する流体を、サイクロン方式を用いてガスと流体夫々に分離するガスセパレーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体中に溶存しているガスを流体から分離し取出す手段の一つに遠心力を利用したガスセパレーターがある。この遠心力を利用した方式のことを一般的にはサイクロン式若しくはサイクロン型と称している。
【0003】
このサイクロン式ガスセパレーターは、円筒状の容体の円周方向から液体の流速により渦を描く様に流し込み、比重の大きい流体は、遠心力により分離され、壁面に衝突しその後重力により落下し、比重の小さいガスは円の中心から上方に向って排出される構成を成したものである。
【0004】
このようなサイクロン式ガスセパレーターにおいては、例えば特開平11−347306号のように渦流発生体を設けることで流体をより確実に旋回させ、ガス分離性能を向上させたり、例えば、特開2002−085095号のように流体に直接超音波を当てて、流体を振動させることで強制的にガスを分離させたりすることを特徴とするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−347306号公報
【特許文献2】特開2002−085095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のようなサイクロン式ガスセパレーターにおいては、渦発生体や超音波発信器の作動に動力源を必要とし、また、構造も複雑になることより、装置自体の価格が高くなるとともに装置の維持管理も大変になる。
【0007】
そこで、本発明は、動力源を必要とせず、簡易な構造でありながら効率よく流体からガスを分離する安価なサイクロン式ガスセパレーターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
ガスを含有する流体1を旋回させ、遠心力を利用して前記ガスと前記流体1に分離するサイクロン式ガスセパレーターにおいて、円筒内周面2を有する容体3の上部に前記流体1を前記円筒内周面2の周方向に沿って導入する流体導入部4を設け、この流体導入部4から前記円筒内周面2に沿って導入される前記流体1を支承してこの流体1を前記円筒内周面2に沿って旋回しながら下方へ流れるように規制する螺旋状に配した支持部5を前記容体3内に設け、この支持部5に沿って流れる前記流体1に振動を与えるように多数の突起6を前記容体3の円筒内周面2に設けたことを特徴とするサイクロン式ガスセパレーターに係るものである。
【0010】
また、前記支持部5は、前記円筒内周面2に螺旋状に突設して形成したことを特徴とする請求項1記載のサイクロン式ガスセパレーターに係るものである。
【0011】
また、前記支持部5は、前記流体導入部4の内径とほぼ同等の間隔で上下に対向状態に並設する帯状プレートで形成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のサイクロン式ガスセパレーターに係るものである。
【0012】
また、前記突起6は、前記容体3の円筒内周面2に周方向及びこれと直交する方向に散在状態に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイクロン式ガスセパレーターに係るものである。
【0013】
また、前記容体3の中心部に、前記流体1から分離された前記ガスを収集し上方に導出するための管壁に孔7を設けた管状のガス集合管8を立設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイクロン式ガスセパレーターに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、動力源を必要とするガス分離を向上させる補助的な装置を有することなく、導入した流体が、容体内を確実に旋回し、この旋回によって遠心力が生じてガスが分離し、更に、円筒内周面に設けた多数の突起によって、流体に振動を与えることで流体からガスが分離し、或いは突起に衝突した際に流体が乱流状態になり、それによって攪拌作用が生じて流体中のガスを強制的に分離することが可能となる、簡易な構成で且つ安価に製造可能な秀れた気液分離性能を発揮する画期的なサイクロン式ガスセパレーターとなる。
【0015】
また、請求項2及び請求項3記載の発明においては、簡易な構成で、流体が従来のサイクロン式ガスセパレーターに比べて、より多くの旋回を確実に実施することが可能となり、これによって容体内の流体の道程が長くなり、その分多くのガス分離作用を行うことが可能となる画期的なサイクロン式ガスセパレーターとなる。
【0016】
また、請求項4記載の発明においては、より均等に流体に対して振動を与えることができ、よりガス分離作用を多く行うことが可能となる画期的なサイクロン式ガスセパレーターとなる。
【0017】
また、請求項5記載の発明においては、分離したガスをより効率よく集め、装置外に放出することが可能となる画期的なサイクロン式ガスセパレーターとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例の使用状態を示す概略説明図である。
【図2】本実施例を示す一部を切り欠いた説明斜視図である。
【図3】本実施例を示す分解斜視図である。
【図4】本実施例の容体を示す一部を切り欠いた拡大斜視図である。
【図5】本実施例を示す説明平断面図である。
【図6】本実施例に係る要部を示す断面図である。
【図7】本実施例の容体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
ガスを含有する流体1が、流体導入部4から容体3内に導入する。
【0021】
この流体1は、円筒内周面2の周方向に沿って導入し、この円筒内周面2に沿って旋回し、この流体1自身に遠心力が生じる。
【0022】
また、この流体1には遠心力以外に重力も作用し、この結果、流体1は容体3内を円筒内周面2に沿って旋回しながら容体3の下方へ流れ落ちていくこととなる。
【0023】
このとき流体1は、容体3内に螺旋状に配設した支持部5に支承され、且つこの支持部5に沿って流れる。
【0024】
本来、流体1は、容体3内に接することにより抵抗を受け、徐々に遠心力が低下し、この遠心力の低下とともに重力方向への下降間隔が大きくなり、容体3の単位長さ(高さ)あたりの旋回回数が減少するが、本発明は、支持部5が流体1を支承するので、遠心力が低下しても導入直後の下降間隔と同じ下降間隔で旋回し続けることが可能となり、例えば、同形状,同体積の支持部5の無い容体3と支持部5を設けた容体3に、同じ流体1を同じ吐出圧力で容体内に導入したときに、支持部5の無い従来のサイクロン式セパレーターに比べて、支持部5を設けたサイクロン式ガスセパレーターのほうが、より多くの旋回を確実に行うことができ、その分多くのガス分離が行われることとなる。
【0025】
更に、この支持部5の円筒内周面2を沿うように流れる流体1は、円筒内周面2に設けた多数の突起6と衝突し、この衝突によって流体1に振動を与えることによってガスが流体1より分離し、或いは衝突によって発生する流体1の乱流状態が攪拌作用を生じて流体1からガスを分離する。
【0026】
この強制的な分離作用によって、従来の遠心力のみでガス分離を行うサイクロン式ガスセパレーターに比べて、よりガス分離効率が向上することとなる。
【0027】
このように、遠心力の作用によるガス分離と、振動或いは攪拌作用によるガス分離の2つの作用が支持部5を設けたことで、流体1が、容体3内に導入した直後から常に行われ、このガス分離作用が、より多くの旋回をすることで更に効果を増し非常にガス分離性能の高いサイクロン式ガスセパレーターとなる。
【0028】
また、上述した旋回回数をより多く行わせるための構成と、流体1に振動を与え、或いは攪拌作用を生じさせ、強制的にガス分離を行うための構成は、どちらも簡易な構成なので設計実現が容易であり、従って、コストを掛けずにガス分離効率の向上を図ることが可能となるので、消費者にも安価に製品を提供することが可能となる。
【0029】
また、例えば、支持部5を流体導入部4の内径とほぼ同等の間隔で上下に対向状態に並設する帯状プレートで円筒内周面2に螺旋状に突設して形成した場合は、導入した流体1が上下に設けたプレートの間隔に規制されることで、容体3内で広がらず、流体1の持つ吐出エネルギーの分散を抑制する効果が働くことで、流体1が持つ進行方向に進む力が弱まらず、導入直後に大きな遠心力を生じることができ、その分、容体3内での遠心力が長く保持でき、従って、ガス分離作用も長く行われ、より多くのガスを流体1より分離することが可能となる。
【0030】
また、例えば、突起6を容体3内の円筒内周面2に周方向及びこれと直交する方向に散在状態に配設した場合は、流体1の流動経路のほぼ全域に突起6が存在するので、流体1は常に突起6と衝突し振動が与えられ、ガスを分離する作用を繰り返すので、より効率よくガス分離を行うことが可能となる。
【0031】
また、例えば、容体3の中心部に流体1から分離されたガスを収集し上方に導出するための管壁に孔7を設けた管状のガス集合管8を立設した場合は、この孔7より分離したガスを取り込み、このガス集合管8内を通じてガスを上部に排出するので、円筒内周面2を旋回している流体1の旋回気流に引き込まれ、折角分離したガスが再度流体1内に取り込まれることがなく、流体1中の含有ガス濃度を十分に低下することが可能となる。
【実施例】
【0032】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0033】
本実施例のガスセパレーターは、図1に示すように、温泉施設において、流体1としての温泉水1の湧出部9と貯蔵タンク10の間に設けた場合を示したもので、吐出圧を有する温泉水1が、容体3内に吐出導入し、容体3内で旋回しながら遠心力によって温泉水1中に含まれるガスとしての天然ガスを分離し、温泉水1中に含有する天然ガスの濃度を十分低くして次の貯蔵タンク10に送り込む温泉施設を構成しているためのサイクロン式ガスセパレーターである。
【0034】
尚、吐出圧の低い温泉水を本実施例に導入する場合は、ポンプなどを用いて温泉水の吐出圧を上げ、本実施例の容体内に導入する際に吐出導入する状態となることが好ましい。
【0035】
本実施例は、図2に示すように、円筒内周面2を有する容体3の上部側面に温泉水1を導入する流体導入部4を設け、容体3内には温泉水1中の含有天然ガスを効率よく分離するための機能として支持部5と多数の突起6を円筒内周面2に設け、更にこれらによって分離された天然ガスを効率よく回収するためのガス集合管8を設け、このガス集合管8より回収された天然ガスを外部に放出するガス散気管11を容体の上方に設けた構成としている。尚、本実施例は、温泉湧出温度が90℃以上の高温であったり、温泉水1中に含まれる成分によって腐食が発生したりすることを想定し、本実施例に係る構成各部の略全てが耐熱性のFRP樹脂で形成されている。
【0036】
具体的には、円筒内周面2を有する容体3は、図2,図7に示すように、上方部が有天の円筒形で下方部が下方に向って徐々に細くなる円錐形に形成されている。
【0037】
この上方部の円筒形の部分(以下、ガス分離作用部12)に、後述する支持部5と突起6とガス集合管8が設けられていて、この部分において温泉水1に含有している天然ガスが温泉水1より分離されることとなる。
【0038】
また、下方部の円錐形の部分は、最下部に温泉水1を導出する流体導出部13が垂設されていて、下方部を徐々に細くすることで容体3内の温泉水1の吐出エネルギーを高め、貯蔵タンク10に送出する際に、ポンプを介さなくても送出可能となるように形成している。
【0039】
また、この容体3全体には、硬質ウレタン14が被覆されており、これによって温泉水1の温度の低下を防止している。
【0040】
また、容体3の略最上部の側面に設けた流体導入部4は、図3〜図5に示すように、温泉水1が容体3の円筒内周面2の周方向に沿って吐出導入するように、流体導入口15が円筒内周面2に沿うように設けると共に、容体3の筒長さ方向(高さ方向)と直交状態に付設している。
【0041】
また、この流体導入口15の内径は、後述する支持部5の間隔と同等若しくは稍小さめの径として、流体導入口15が支持部5に架からないよう配置している。
【0042】
従って、この流体導入部4を介して容体3内に吐出導入した温泉水1は、円筒内周面2に沿って旋回し、この旋回によって遠心力を発生することとなる。
【0043】
この円筒内周面2に沿って旋回する温泉水1は、円筒内周面2に沿って螺旋状に配した支持部5に沿って流れることとなる。
【0044】
この支持部5は、図3,図4,図7に示すように、容体3のガス分離作用部12の全範囲に渡って容体3上部より下方に向けて、上下2枚の帯状のプレートを等間隔で螺旋状に円筒内周面2に突設し形成している。
【0045】
支持部5をこのように形成することで、流体導入部4より吐出導入した温泉水1が容体3内に入った直後に、この上下2枚の対向状態に並設する帯状のプレートに挟持される状態となり、容体3内で分散せず、温泉水1の吐出エネルギーを低下させること無く旋回流動することが可能となる。
【0046】
また、この螺旋状の支持部5の傾斜角は、温泉水1が容体3内を旋回しながら下方に流れ落ちる際に、遠心力を保ちつつ、より多く旋回するような角度とし、本実施例では、この傾斜角を10°に設定している。
【0047】
また、支持部5となる帯状のプレートの幅は、広すぎると温泉水1との接触抵抗が大きくなってしまい、温泉水1の流速が低下し遠心力を衰退させる要因となってしまうので、接触抵抗の発生を極力抑えつつ、温泉水1の旋回行動を規制し得ることが可能な幅とし、具体的には、容体3の内径の1/10〜1/20程度とするのが適好であり、本実施例においては、1/15としている。
【0048】
また、この支持部5に沿って流れる温泉水1には常に遠心力が働いていて、この遠心力は温泉水1を円筒内周面2側に押し付ける力となるので、温泉水1は、支持部5に沿って流れると共に、円筒内周面2側にも沿って流れている。このような状態で流れている温泉水1が、後述する円筒内周面2に設けた多数の突起6に衝突して、更なるガス分離作用を生じている。
【0049】
この突起6は、図4,図6に示すように、支持部5となる上下2枚の対向状態に並設した帯状のプレートの間の円筒内周面2に、周方向及びこれと直交する方向に千鳥状に散在状態に突設されている。
【0050】
また、この突起6は、温泉水1の抵抗となることを極力抑えるように、突起6自体の角部を排除した断面略かまぼこ形の半球面状突起としている。
【0051】
また、この突起6は、大きすぎると支持部5同様、温泉水1の流れに対して大きな抵抗となってしまい、流速を落としてしまうので、あまり抵抗とならず、それでいて温泉水1がこの突起6に衝突し、この衝突の際にガス分離作用が発生するような大きさとし、具体的には、突起6の高さは、支持部5となるプレート幅の1/5〜1/10とし、また、突起6の径は突起6の高さの2倍程度が適好であり、本実施例においては、突起6の高さをプレート幅の3/20としている。
【0052】
このような突起6を設けたことで、温泉水1は、この突起6に衝突し、この衝突により温泉水1に振動が与えられ温泉水1から天然ガスが強制的に分離し、或いはこの衝突により温泉水1の流れが乱流状態になり、この乱流状態によって攪拌作用が生じ、この攪拌作用によって温泉水1から天然ガスが強制的に分離されることとなる。
【0053】
このように、遠心力の作用によるガス分離と、多数の突起6が温泉水1と衝突し、振動或いは攪拌作用によって生じる強制的なガス分離の2つのガス分離作用がほぼ同時に容体3内で行われているので、従来のサイクロン式ガスセパレーターに比べて、より効率的にガスの分離が行われることとなる。
【0054】
従って、ガス分離作用部12で分離された天然ガスの量も多く、この天然ガスを効率的に収集し、容体3の外部へ放出する必要がある。
【0055】
本実施例では、この分離した天然ガスを効率よく収集し、容体3の外部に放出するためにガス集合管8を設けている。
【0056】
このガス集合管8は、図2,図3,図7に示すように、円筒形の容体3の中心部に立設し、上部は容体3上面から容体3外に突出した状態となっており、ガス分離作用部12全体に渡る長さに形成され、ガス集合管8の下方部において、容体3の円筒内周面2に突設し四方より固定し得る振れ止め支持棒16にて係止されている。
【0057】
更に、このガス集合管8の管壁には、分離した天然ガスをガス集合管8内に導入するための孔7が多数設けられており、この孔7はガス集合管8の前後方向に貫通する前後貫通孔と左右方向に貫通する左右貫通孔を段違いに配置し、ガス集合管8の長さ方向において略全体に渡って形成している。このように段違いに孔7を配置したことで、天然ガスを効率よく収集するための孔7を出来るだけ大きくし、且つこの孔7を四方に複数段に設けてもガス集合管8の強度を確保することが可能となる。
【0058】
また、このガス集合管8は、螺旋状に流れる温泉水1と適度な間隔をあけて設置する必要があり、この間隔を設けないと、温泉水1から分離した天然ガスが再度温泉水1に取り込まれてしまう可能性がある。そのため、このガス集合管8の径は、容体3のガス分離作用部12の内径に対して1/3程度とすることが適好である。
【0059】
このガス集合管8で集められ、容体3上部に移動した天然ガスは、容体3上面から突出したガス集合管8の上部に接続されているガス散気管11より大気中へ放出される。
【0060】
このガス散気管11は、図2,図3に示すように、ガス集合管8の上部に立設し、ガス集合管8と同径のガス経路部17に、このガス経路17の径より大きい円筒状の防風板18を、ガス経路部17を被嵌するように係止して形成されている。
【0061】
この防風板18には、防雨プレート19が設けられていて、例えば、雨や雪が降っても、このガス経路部17を通じて容体3内に雨や雪が入り込むことが無いような構成としている。
【0062】
本実施例は上述のように構成したから、流体導入部4を介して導入した温泉水1は、円筒内周面2に沿って流れ、遠心力を生じ、この遠心力の作用を利用し温泉水1から天然ガスを分離する1つ目のガス分離作用と、円筒内周面2に設けられた多数の突起6の効果で温泉水1に振動或いは攪拌作用が生じ、この作用によって強制的に温泉水1から天然ガスを分離する2つ目のガス分離作用との、2つのガス分離作用が容体3上方部のガス分離作用部12の略全域において、略同時に行われるので、従来のサイクロン式ガスセパレーターに比べて、より効率的に温泉水1中の天然ガスを分離し、温泉水1中の天然ガスの濃度を十分に下げた状態にして容体3下方に設けた流体導出部13より温泉水1を送出することが可能となる。
【0063】
更に、このサイクロン式ガスセパレーター自身は動力源を必要としないので、現在温泉施設にガス分離設備を設けていない場合でも、容易に追加設置することが可能となる。
【0064】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0065】
1 流体
2 円筒内周面
3 容体
4 流体導入部
5 支持部
6 突起
7 孔
8 ガス集合管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを含有する流体を旋回させ、遠心力を利用して前記ガスと前記流体に分離するサイクロン式ガスセパレーターにおいて、円筒内周面を有する容体の上部に前記流体を前記円筒内周面の周方向に沿って導入する流体導入部を設け、この流体導入部から前記円筒内周面に沿って導入される前記流体を支承してこの流体を前記円筒内周面に沿って旋回しながら下方へ流れるように規制する螺旋状に配した支持部を前記容体内に設け、この支持部に沿って流れる前記流体に振動を与えるように多数の突起を前記容体の円筒内周面に設けたことを特徴とするサイクロン式ガスセパレーター。
【請求項2】
前記支持部は、前記円筒内周面に螺旋状に突設して形成したことを特徴とする請求項1記載のサイクロン式ガスセパレーター。
【請求項3】
前記支持部は、前記流体導入部の内径とほぼ同等の間隔で上下に対向状態に並設する帯状プレートで形成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のサイクロン式ガスセパレーター。
【請求項4】
前記突起は、前記容体の円筒内周面に周方向及びこれと直交する方向に散在状態に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイクロン式ガスセパレーター。
【請求項5】
前記容体の中心部に、前記流体から分離された前記ガスを収集し上方に導出するための管壁に孔を設けた管状のガス集合管を立設したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイクロン式ガスセパレーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−269250(P2010−269250A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123490(P2009−123490)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(598091055)株式会社 ユザワエンタープライズ (1)
【Fターム(参考)】