説明

サイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンド

【課題】 水や極性有機溶媒への溶解性に優れ、且つサイズが均質な表面修飾ナノダイヤモンドを得る。
【解決手段】 ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドであって、サイズ排除クロマトグラフィーにより分画され、平均粒子径が0.02μm〜0.1μmであるサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンド。前記表面修飾ナノダイヤモンドにおいて、平均粒子径が0.05μm〜0.09μmであってもよい。また、平均粒子径が0.02μm〜0.05μmであってもよい。ナノダイヤモンドに対するポリグリセリン鎖の重量比は、例えば、前者:後者=60:40〜90:10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドとその製造方法、及び表面修飾ナノダイヤモンドのサイズ制御方法に関する。サイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドは、CMP(Chemical Mechanical Polishing :化学機械研磨)向け研磨剤やドレッサー用材料、燃料電池向け耐腐食性電極メッキ材料、切削工具などの高硬度表面コ−ティング層形成材料、高耐熱・高熱伝導材料など、工学応用分野で利用できる。
【背景技術】
【0002】
ナノダイヤモンドは、ダイヤモンド固有の性質に加え、平均粒径が小さく、比表面積が大きいという特徴を有する。さらに、比較的安価であり、入手も容易である。
【0003】
ナノダイヤモンドは、爆発法や高温高圧法によって製造される。爆発法は、トリニトロトルエンおよびヘキソーゲンを爆発させることにより、ナノサイズのダイヤモンドを得る方法である。この方法で得られるナノダイヤモンドは、水への溶解性は高いが、アモルファスカーボンやグラファイトなどの他の炭素質の混入が多く、また表面化学修飾が難しいという問題を有する。一方、高温高圧法は、例えば、密閉された高圧容器内で、鉄やコバルト等の金属の存在下、原料グラファイト粉末を1〜10GPaの高圧および800〜2000℃の高温に保持し、ダイヤモンドに直接相転移させる方法である。この方法で得られるナノダイヤモンドは、アモルファスカーボンやグラファイトなどの他の炭素質の混入が少なく、粒径も比較的揃っているが、水や有機溶媒への溶解性、分散性、分散安定性が低いという問題がある。そのため、ナノダイヤモンドの用途開発はさほど進んでいない。
【0004】
水や有機溶媒に対する溶解性、分散性を向上させるため、ナノダイヤモンドの表面を化学修飾する試みがなされている(特許文献1〜3参照)。しかし、得られる表面修飾ナノダイヤモンドの水或いは極性有機溶媒への溶解性又は分散性、分散安定性は必ずしも十分なものとは言えなかった。また、これらの方法で得られる表面修飾ナノダイヤモンドのサイズは均質なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−238411号公報
【特許文献2】特開2008−303104号公報
【特許文献3】特開2008−150250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、水や極性有機溶媒への溶解性に優れ、且つサイズが均質な表面修飾ナノダイヤモンドを提供すること、及びそのような表面修飾ナノダイヤモンドを工業的に効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究した結果、ナノダイヤモンドの表面をポリグリセリン鎖で修飾すると、サイズ排除クロマトグラフィーで分離可能なほど水や極性有機溶媒への溶解性が著しく向上すること、及びそのような表面修飾ナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーに付すことにより、サイズの異なる表面修飾ナノダイヤモンド画分を分取できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドであって、サイズ排除クロマトグラフィーにより分画され、平均粒子径が0.02μm〜0.1μmであるサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドを提供する。
【0009】
前記表面修飾ナノダイヤモンドにおいて、平均粒子径が0.05μm〜0.09μmであってもよい。また、平均粒子径が0.02μm〜0.05μmであってもよい。
【0010】
ナノダイヤモンドに対するポリグリセリン鎖の重量比は、例えば、前者:後者=60:40〜90:10である。
【0011】
本発明は、また、前記のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドを製造する方法であって、ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーに付して目的画分を分取する工程を含むサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドの製造方法を提供する。
【0012】
この製造方法は、ナノダイヤモンド、又は表面に活性水素を含む官能基が導入されたナノダイヤモンドに、グリシドールを開環重合させて、ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドを得る工程、及び該表面修飾ナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーに付して目的画分を分取する工程を含んでいてもよい。
【0013】
本発明は、さらに、ナノダイヤモンド、又は表面に活性水素を含む官能基が導入されたナノダイヤモンドに、グリシドールを開環重合させて得られるポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーにより分画することを特徴とする表面修飾ナノダイヤモンドのサイズ制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドは、従来のナノダイヤモンドと異なって、水或いは極性有機溶媒への溶解性が大幅に向上しており、取り扱い性が格段に向上するだけでなく、サイズが均質であり、水又は極性有機溶媒に安定して溶解又は分散させた状態で各種目的に使用したり、水又は極性有機溶媒中でナノダイヤモンドに対して各種化学的反応や各種物理的反応を行ったりすることが可能となる。このことによって、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)向け研磨剤やドレッサー用材料、燃料電池向け耐腐食性電極メッキ材料、切削工具などの高硬度表面コーティング層形成材料、高耐熱・高熱伝導材料など、工学応用分野で好適に利用し得るナノダイヤモンド材料の提供が達成される。一方、本発明のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドは生物医療応用においても有用である。このようなサイズが制御されたナノダイヤモンドは、EPR(enhanced permeability and retention) 効果によるがん細胞に対する高い識別能が期待される。これにより、がん細胞を選択的に可視化したり、また、薬物を選択的に送達することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の表面修飾ナノダイヤモンドは、表面がポリグリセリン鎖により修飾されている。ポリグリセリン鎖(ポリグリセリル基)の数平均重合度nは、目的とする高分散性が得られる範囲である限り特に制限は無いが、数平均重合度nが小さすぎると、ナノダイヤモンド粒子間相互の反発力が不足するため粒子の凝集を防ぐ効果が損なわれ、溶媒への安定な分散状態の維持には適さなくなる。また、数平均重合度nが大きすぎると、ナノダイヤモンド粒子間でポリグリセリン高分子鎖同士が絡み合いを起こして同様に粒子の凝集を起こしやすくなるほか、ダイヤモンド材料としての特性が希釈されてしまうことになるので好ましくない。したがって、ポリグリセリル基の数平均重合度nとしては、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜40、さらに好ましくは3〜30である。なお、ここでいう数平均重合度nとは、原料ナノダイヤモンドの表面官能基1に対し結合したポリグリセリン鎖を構成するグリシドール単位の数で定義され、該原料ナノダイヤモンドの表面官能基数は原料ナノダイヤモンドの元素分析値測定または酸価の測定、およびそれら両方を組み合わせて測定することにより求めることができる。
【0016】
ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンド(以下、「ND」と称する場合がある)に直接グリシドールを開環重合させることにより得ることができる。NDは本来的に製造過程で生じるカルボキシル基、水酸基を有しており、これらの官能基とグリシドールを反応させることにより、NDの表面をポリグリセリン鎖によって修飾できる。原料として用いるNDの平均粒子径は、通常3〜200nmである。
【0017】
NDとグリシドールとの反応(開環重合)は、例えば、不活性ガス雰囲気下でNDにグリシドール及び触媒を添加し、50〜100℃に加熱することによって行うことができる。触媒としては、酸性触媒でも塩基性触媒でも用いることができる。酸性触媒としては、好ましくは、トリフルオロホウ素エーテラート、酢酸、りん酸等が挙げられ、塩基性触媒としては、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0018】
グリシドールの開環重合条件に関しては、S. R. SandlerらのJ. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., Vol. 4, 1253(1966)や、E. J. VanderbergのJ. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., vol. 23, 915(1985)、またG. R. NewcomeらのDendritic Macromolecules: Concepts, Syntheses, Perspectives, VCH, Weinheim(1996)等を適宜参照できる。
【0019】
ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドは、また、表面に活性水素を含む官能基を導入したナノダイヤモンドに、グリシドールを開環重合させることにより得ることもできる。
【0020】
活性水素を含む官能基としては、特に限定されず、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基(チオール基)、ホスフィン酸基などが挙げられる。NDに前記活性水素を含む官能基を導入する方法として、NDを水素気流中、400〜1000℃に加熱して還元し、一旦水素化ナノダイヤモンド(以下、「ND−H」と称する場合がある)とした後(特開2007−238411号公報参照)、これに導入すべき官能基に対応する反応剤を反応させる方法が挙げられる。また、ND製造過程で生じて構造欠陥としてND表面に残留している不飽和結合を直接に酸化することで、カルボキシル基、水酸基をND表面に追加的に導入することも可能である。
【0021】
より具体的には、例えば、前記のようにNDをND−Hとした後、このND−Hをアンモニア気流中300〜800℃に加熱することにより、ND表面にアミノ基を導入できる。また、アンモニアと反応させる前に、塩素気流中でND−Hを塩素化した後に、アンモニアと反応させることも可能である(特開2007−238411号公報参照)。
【0022】
また、NDをND−Hとした後、このND−Hを酢酸中、過酸化ベンゾイルを加え、加熱してアセチル化し、これを通常の方法により酸又はアルカリで加水分解することにより、ND表面に水酸基を導入できる。
【0023】
さらに、NDを塩化メチレン等の適切な分散媒に分散させ、これにオゾン発生装置により発生させたオゾンを導入して、ND表面に構造欠陥として残留する不飽和結合を酸化開裂させてアルデヒド基を生成せしめ、該アルデヒド基をさらに空気酸化することにより、ND表面にカルボキシル基を導入できる。
【0024】
さらにまた、NDをND−Hとした後、このND−H表面に紫外線(254nm)を照射してラジカルを発生させ、該ラジカルを適切なアルキルメルカプタンやジアルキルジスルフィドにより捕捉することによりND表面にアルキルチオ基を導入し、適切な脱保護試薬でアルキル基を除去することにより、ND表面にメルカプト基(チオール基)を導入できる。より詳細には、例えば、イソプロパノールに分散させたNDに254nmの紫外線を照射しつつ、ビス(4−メトキシベンジル)ジスルフィドを反応させて4−メトキシベンジルチオ基を導入した後、トリメチルシリルブロミド−TFA混合液でメトキシベンジル基を除去することにより、ND表面にメルカプト基を導入することができる。
【0025】
また、NDをND−Hとした後、このND−H表面に紫外線(254nm)を照射してラジカルを発生させ、該ラジカルを適切なリン化合物により捕捉することによりND表面にホスフィン酸基を導入できる。より詳細には、例えば、イソプロパノールに分散させたNDに254nmの紫外線を照射しつつ次亜リン酸を反応させることにより、ND表面にホスフィン酸基を導入することができる。
【0026】
上記の表面に活性水素を含む官能基を導入したナノダイヤモンドへのグリシドールの開環重合は、前記NDへのグリシドールの開環重合と同様にして行うことができる。
【0027】
上記の方法のうち、NDを一旦ND−Hとした後、活性水素を含む官能基を導入し、この官能基にグリシドールを開環重合させる方法は、ポリグリセリン修飾基の導入率などの点で好ましい。
【0028】
表面がポリグリセリン鎖により修飾されている表面修飾ナノダイヤモンドにおいて、ポリグリセリン鎖の導入量は、目的とする高分散性が得られる範囲である限り特に制限は無いが、ナノダイヤモンドに対するポリグリセリン鎖の重量比(前者:後者)は、60:40〜90:10の範囲であることが好ましく、60:40〜75:25の範囲であることがさらに好ましい。なお、NDに活性水素を含む官能基を導入した後、ポリグリセリン鎖をグリシドールの開環重合により形成する場合、上記「ナノダイヤモンドに対するポリグリセリン鎖の重量比」における「ポリグリセリン鎖」の重量には前記官能基に対応する構造部の重量も含まれるものとする。ポリグリセリン鎖の導入量が少なすぎると、ナノダイヤモンド表面のポリグリセリン鎖による被覆量が不足して、粒子の凝集を防ぐ効果が損なわれやすくなり、溶媒への安定な分散状態の維持には適さなくなりやすい。また、あまりポリグリセリン鎖の導入量が多いと、ダイヤモンド材料としての特性が希釈されてしまうことになるので好ましくない。表面に導入されたポリグリセリン鎖とナノダイヤモンド構造部分の比は、示差熱天秤分析装置(TG−DTA)を用いて表面修飾ナノダイヤモンドの熱処理時の重量変化を測定することにより、又は元素分析によるCHNO組成比により求めることができる。
【0029】
生成した、表面がポリグリセリン鎖により修飾されている表面修飾ナノダイヤモンドは、反応終了後、必要に応じて、濃縮、沈殿、遠心分離、濾過、抽出、洗浄、乾燥等の分離精製手段、またはこれらの分離精製手段を2以上組み合わせることにより、ある程度精製した後、サイズ排除クロマトグラフィーにより分画される。
【0030】
サイズ排除クロマトグラフィー(分子排斥クロマトグラフィー)においては、Pharmacia社製の商品名「Sephadex」や、TOSOH社製の商品名「TOYOPEARL」等のような一般に市販されているゲル濾過材を用いた中圧LCカラムやHPLCカラムが用いられるが、カーボンナノチューブのサイズ分離に用いられる商品名「COSMOSIL CNT」シリーズ等が好ましく用いられる。
【0031】
サイズ排除クロマトグラフィーでの溶出液を、一定量ごとに分取することにより、粒子径に従った水溶液ナノダイヤモンドの分画が可能である。分画毎の平均粒子径は、DLS(動的光散乱)等の方法により確認できる。これらの分画物を必要に応じて混合することにより、サイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドを得ることができる。
【0032】
こうして得られる、サイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドは、水や極性有機溶媒に対する溶解性に優れており、かつサイズが均質であるため、CMP向け研磨剤やドレッサー用材料、燃料電池向け耐腐食性電極メッキ材料、切削工具などの高硬度表面コーティング層形成材料、高耐熱・高熱伝導材料など、工学応用分野で使用できる。
【0033】
本発明のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドの平均粒子径は好ましくは0.02μm〜0.1μmの範囲である。平均粒子径が0.05μm〜0.09μmであれば、CMP向け1次研磨および2次研磨工程用研磨剤やドレッサー用材料、切削工具などの高硬度表面コーティング層形成材料、高耐熱・高熱伝導材料などの分野で特に好ましく用いられる。また、平均粒子径が0.02μm〜0.05μmであれば、CMP向けファイナル研磨工程用研磨剤や微細加工用先端工具向けコーティング材、また金属部品表面に低摩擦・低磨耗性を付与できるメッキ液剤などの分野で特に好ましく用いられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0035】
製造例1
<NDへのPGL(ポリグリセリン)修飾基の導入>
Small, vol.4(No.12), p2154(2008)記載の方法により製造された平均粒子径30nmのナノダイヤモンドND30は、トーメイダイヤ(株)より入手した。このND30を濃硫酸と60%硝酸の混酸(3/1(V/V))で処理し金属不純物を除去した。
混酸処理したND30(50mg)を、ガラス製反応器に入れた6mlのグリシドール中に添加し、超音波洗浄器(商品名「BRANSON2510」)上、25℃で2時間、超音波処理して分散させた。これをアルゴン雰囲気下で撹拌しつつ、140℃で20時間反応させた。反応混合液を冷却後、60mlのメタノールを加え、超音波処理した後、50400Gで2時間遠心分離し、沈殿物を得た。この沈殿物に対して、上記と同様なメタノール洗浄−遠心分離工程を5回繰り返し、最後に沈殿物に対して透析膜(Spectra/Pro dialysis membrane, MWCO: 12-14 kDa)を用いて純水透析を行い、残留メタノールを水に置換して凍結乾燥し、73.2mgの灰色固形物を得た。
この物質の拡散反射IRスペクトルを測定したところ、2926cm-1付近にポリグリセリル基のC−H結合由来のピーク、および3396cm-1付近にポリグリセリル基の水酸基由来、また1085cm-1付近にポリグリセリル基のエーテル結合由来の各ピーク成分が観測された。元素分析の結果は、C:72.70%、H:3.73%、N:0.01%、O:23.56%であり、これより、ナノダイヤモンド:ポリグリセリン鎖(重量比)=60:40、原料NDの酸性官能基(1.07mmol/g)あたりのポリグリセリン鎖の平均重合度を計算により求めると、8.5量体であった。
【0036】
実施例1
製造例1で得られたポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーに付し、サイズ分離した。サイズ排除クロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
<サイズ排除クロマトグラフィー条件>
カラム:COSMOSIL CNT-2000+COSMOSIL CNT-100+COSMOSIL CNT-300、いずれもナカライテスク社製
検出:UV−254nm
溶離液:100mM硫酸ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH=7.0)
流速:1ml/min
表面修飾ナノダイヤモンドを5mg/mlの濃度に溶離液に溶解し、装置の注入口に注入した。溶出液を0.5mlずつ分取し、各フラクションの平均粒子径をDLS(動的光散乱)法により分析した。分析条件は下記の通りである。
<DLS分析条件>
測定装置:日機装(株)製ナノトラック UPA−EX150
粒子径測定:GPC溶出緩衝液分散液をそのまま測定セルに入れて測定。
【0037】
各フラクション毎の平均粒子径の分析結果を表1に示す。表に示されるように、表面修飾ナノダイヤモンドは粒子径毎に分画されていることが分かる。
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドであって、サイズ排除クロマトグラフィーにより分画され、平均粒子径が0.02μm〜0.1μmであるサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンド。
【請求項2】
平均粒子径が0.05μm〜0.09μmである請求項1記載のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンド。
【請求項3】
平均粒子径が0.02μm〜0.05μmである請求項1記載のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンド。
【請求項4】
ナノダイヤモンドに対するポリグリセリン鎖の重量比が、前者:後者=60:40〜90:10である請求項1〜3の何れかの項に記載のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの項に記載のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドを製造する方法であって、ポリグリセリン鎖によって表面修飾されたナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーに付して目的画分を分取する工程を含むサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドの製造方法。
【請求項6】
ナノダイヤモンド、又は表面に活性水素を含む官能基が導入されたナノダイヤモンドに、グリシドールを開環重合させて、ポリグリセリン鎖によって表面修飾された表面修飾ナノダイヤモンドを得る工程、及び該表面修飾ナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーに付して目的画分を分取する工程を含む請求項5記載のサイズ制御された表面修飾ナノダイヤモンドの製造方法。
【請求項7】
ナノダイヤモンド、又は表面に活性水素を含む官能基が導入されたナノダイヤモンドに、グリシドールを開環重合させて得られるポリグリセリン鎖によって表面修飾された表面修飾ナノダイヤモンドをサイズ排除クロマトグラフィーにより分画することを特徴とする表面修飾ナノダイヤモンドのサイズ制御方法。

【公開番号】特開2012−82103(P2012−82103A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229200(P2010−229200)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(504177284)国立大学法人滋賀医科大学 (41)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】