説明

サスペションメンバ

【課題】簡単な構成でサスペンションメンバの変形を効果的に抑制させる。
【解決手段】サスペンションメンバ10のサイドレール100、200の湾曲部位104、204の側壁部106、206に棚形状部122、222が形成されているので、湾曲部位104、204の側壁部106、206の剛性(平面視曲げ剛性)が向上される。よって、タイヤ58、68からの前後入力による湾曲部位104、204における車両前後方向の曲げ変形(平面視曲げ変形)が効果的に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサスペションメンバに関する。
【背景技術】
【0002】
車両幅方向両外側部分に車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバが備えられ、それらのサイドメンバ間に平面視略井形状のサスペンションメンバ(サブフレーム)が橋架結合されている構成が知られている。
【0003】
そして、サスペンションメンバ(サブフレーム)を構成する左右一対のサイドレールが、プレス成形によって形成されたサイドレールアッパとサイドレールロアとを上下方向に重ねてスポット溶接して閉断面構造とされた構成において、サイドレールアッパとサイドレールロアとの接合部に起立壁と複数の補強隆起部とを設け、剛性及び耐久性を高めたサスペンションメンバ(サブフレーム)が提案されている。
【特許文献1】特開2007−168754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、サスペンションメンバの変形を簡単な構成で効果的に抑制させることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記を考慮し、簡単な構成でサスペンションメンバの変形、特に湾曲部位の変形を効果的に抑制させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、サイドレールアッパとサイドレールロアとが車両上下方向に重ね合わされて接合された閉断面構造とされると共に車両後方側部が車両幅方向外側に向かって湾曲し、車両前後方向に沿って車両幅方向に間隔をあけて配置された一対のサイドレールと、前記サイドレールの前記車両後方側部の湾曲部位の車両幅方向外側の側壁部における前記サイドレールアッパと前記サイドレールロアとの接合部に沿って形成され、外側が凹んで内側に棚状に張り出した棚形状部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
したがって、サイドレールの湾曲部位の剛性が向上され、例えば、タイヤからの前後入力による湾曲部位における車両前後方向の曲げ変形が効果的に抑制される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のサスペションメンバにおいて、前記棚形状部は、前記接合部の近傍に、前記接合部と平行又は略平行に形成されていることを特徴としている。
【0009】
したがって、湾曲部位の接合部の応力が効果的に低減され、その結果、湾曲部位の接合部の剥離変形が効果的に抑制される。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のサスペションメンバにおいて、前記サイドレールアッパ及び前記サイドレールロアの少なくとも一方に前記棚形状部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
したがって、サイドレールアッパ及びサイドレールロアの少なくとも一方の湾曲部位の剛性が向上され、例えば、タイヤからの前後入力による湾曲部位における車両前後方向の曲げ変形が効果的に抑制される。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載のサスペションメンバにおいて、前記サイドレールアッパ及び前記サイドレールロアは、プレス成形によって形成され、プレス成形時に、前記サイドレールアッパ及び前記サイドレールロアの少なくとも一方の側壁部に前記棚形状部が形成されたことを特徴とする。
【0013】
したがって、プレス成形時にプレス負荷の無い(又はプレス負荷の少ない)棚形状部が容易に形成される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、簡単な構成でサスペンションメンバの変形、特に湾曲部位の変形を効果的に抑制させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、サスペンションメンバの湾曲部位における接合部の剥離変形を効果的に抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、サイドレールアッパ及びサイドレールロアの少なくとも一方の湾曲部位における車両前後方向の曲げ変形を効果的に抑制することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、プレス成形によって棚形状部を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜図5を用いて、本発明のサスペションメンバの実施形態の一例を詳細に説明する。各図中の矢印UPは車両上方向を示し、矢印RRは車両後方向を示し、矢印OUTは車両幅方向外側方向を示す。
【0019】
なお、図1は本発明の実施形態に係るサスペンションメンバを車両上方側から見た平面図である。図2(A)は本発明の実施形態に係るサスペンションメンバを車両下方側から見た底面図であり、図2(B)は図2(A)の四角で囲ったB部を拡大した拡大底面図である。
【0020】
図3(A)は本発明の実施形態に係るサスペンションを車両下側斜め前方から見た斜視図であり、図3(B)は図3(A)の四角で囲ったB部を拡大した拡大斜視図である。また、図3(C)は本発明が適用されていないサスペンションメンバにおける図3(B)に対応する部位の拡大斜視図である。図4は図3(B)のA−A線に沿った断面図である。なお、図4の二点破線は、図3(C)のA−A線に沿った断面図である。
【0021】
図5(A)はサスペンションメンバの湾曲部位を示す側面図である。図5(B)は湾曲部位が変形した状態における図5(A)のB−B線に沿った断面図であり、図5(C)は図5(A)のC−C線に沿った断面図である。なお、図5(B)及び図5(C)の右図は、左図の四角で囲った部分を拡大した拡大断面図である。また、図5(B)及び図5(C)の二点破線は本発明が適用されていないサスペンションメンバの湾曲部位が変形した状態の断面図である。
【0022】
図1、図2、図3(A)に示すように、サスペンションメンバ10は、車両幅方向両外側に車両前後方向に沿って配置された一対のサイドレール100、200の間にリヤクロスメンバ20とフロントクロスメンバ30とを横架した平面視略井型状とされている。また、サスペンションメンバ10は、四隅部(サイドレール100、200の両端部)に設けられた取付部12、14、16、18が、車両の車両幅方向両側端部に車両前後方向に沿って配置されているフロントサイドメンバ(図示略)に結合されている。
【0023】
一対のサイドレール100、200は、サスペンションメンバ10の車幅方向両側部に車両前後方向に沿って略平行に配置されている。これらのサイドレール100、200の車両後方側部102、202は、夫々車両幅方向外側に向けて湾曲されている。また、サイドレール100、200の前端部は、車両幅方向外側斜め前方側に向けて曲げられている。
【0024】
サイドレール100、200の車両後方側部102、202の間には、車両幅方向に沿ってリヤクロスメンバ20が架設されており、このリヤクロスメンバ20の車幅方向両端部は、夫々サイドレール100、200の車両後方側部102、202(の湾曲部位104、204)の車幅方向内側部に接合されている。
【0025】
一方、サイドレール100、200の前端部の間には、車両幅方向に沿ってフロントクロスメンバ30が架設されており、このフロントクロスメンバ30の車両幅方向両端部は、夫々サイドレール100、200の車両幅方向内側部に接合されている。
【0026】
一対のサイドレール100、200は、プレス成形(プレス加工)された鋼板よりなるサイドレールアッパ110、210及びサイドレールロア120、220の開口側を向き合わせて(対向させて)重ね合わせ、アーク溶接することによって閉断面構造に構成されている(図4、図5(A)も参照)。
【0027】
図2、図3(A)、図3(B)、図4に示すように、サイドレール100の湾曲部位(コーナー部)104における車両幅方向外側の側壁部106のサイドレールアッパ110とサイドレールロア120との接合部(アーク溶接部)130の車両下側近傍に棚形状部122が形成されている(サイドレールロア120の側壁部121の上端部近傍に棚形状部122が形成されている)。
【0028】
図4に示すように、棚形状部122は、外側面が凹み内側面が凸となると共に、内側に棚状に張り出すように形成されている。また、棚形状部122は、断面が略三角形状とされ、若干斜め内側下方に傾斜した上部を構成する棚部122Aと、棚部122Aの端部から斜め外側下方に傾斜し斜面を構成する傾斜面部122Bと、で構成されている。なお、傾斜面部122Bはプレス方向Pに対して抜き勾配θを有している(図8(C)も参照、詳細は後述する)。
【0029】
また、図3(B)に示すように、棚形状部122は、接合部130に沿って、接合部130に平行又は略平行に、湾曲部位104の車両後方側端部から車両前方側端部まで(Rの始まりから終わりまで)形成されている。
【0030】
なお、サイドレール100の湾曲部位104の側壁部106に形成された棚形状部122について説明したが、反対側のサイドレール200の湾曲部位204の側壁部206に形成された棚形状部222も同様の構成であるので、説明を省略する。
【0031】
図1に示すように、サスペンションメンバ10には、サスペンションを構成する左右一対のサスペンションアーム50、60が車両上下方向に回転可能(遥動可能)に支持されている。サスペンションアーム50、60は、車両幅方向を長手方向として配置された車両前方側部52、62と、車両前方側部52から車両幅方向内側斜め後方向に延出された車両後方側部54、64と、で構成され、平面視略Y字状とされている。
【0032】
サスペンションアーム50、60の車両前方側部52、62の車両幅方向内側の端部がサイドレール100、200の車両前後方向中央部のやや車両前方側に接続され、車両後方側部54、64の端部がサイドレール100、200の車両後方側部102、202の湾曲部位104、204よりもやや先端側に接続されている。そして、サスペンションアーム50、60の車両幅方向外側端部にタイヤ58、68が支持されている。
【0033】
つぎに本実施形態の作用について説明する。
【0034】
発進時及び制動時に、タイヤ58、68からの前後入力によってサイドレール100、200の湾曲部位104、204に平面視曲げ変形(車両前後方向の曲げ変形)が発生する。これにより、サイドレール100、200の湾曲部位104、204における接合部130、230に剥離変形が生じることがある。
【0035】
しかし、本実施形態では、湾曲部位104、204の側壁部106、206に棚形状部122、222が形成されているので、湾曲部位104、204の側壁部106、206の剛性(平面視曲げ剛性)が向上されている。よって、タイヤ58、68からの前後入力による湾曲部位104、204における車両前後方向の曲げ変形(平面視曲げ変形)が効果的に抑制される。
【0036】
また、棚形状部122、222は湾曲部位104、206の接合部130、230の近傍に、接合部130、230に平行又は略平行に形成されているので、接合部130、230の応力が効果的に低減され、その結果、接合部130、230の剥離変形が効果的に抑制される。
【0037】
つぎに、タイヤ58、68からの前後入力による湾曲部位104、204における車両前後方向の曲げ変形(平面視曲げ変形)の抑制について、図3、図5〜図7を用いて詳しく説明する。なお、代表して、制動時におけるタイヤ58からの前後入力による湾曲部位104における車両前後方向の曲げ変形の抑制について、棚形状部122が形成されてない構成(図3(C),図4を参照)と比較しながら、説明する。
【0038】
なお、前述したように、図3(A)は本発明の実施形態に係るサスペンションメンバを車両下側斜め前方から見た斜視図であり、図3(B)は図3(A)の四角で囲ったB部を拡大した拡大斜視図であり、図3(C)は本発明が適用されていないサスペンションメンバにおける図3(B)に対応する部位の拡大斜視図である。図4は図3(B)のA−A線に沿った断面図である。なお、図4の二点破線は、図3(C)(棚形状部が形成されていない構成)のA−A線に沿った断面図である。
【0039】
図5(A)はサスペンションメンバの湾曲部位を示す側面図である。図5(B)は湾曲部位が変形した状態における図5(A)のB−B線に沿った断面図であり、図5(C)は図5(A)のC−C線に沿った断面図である。なお、図5(B)及び図5(C)の右図は、左図の四角で囲った部分を拡大した拡大断面図である。また、図5(B)及び図5(C)の二点破線は本発明が適用されていない(棚形状部が形成されていない)サスペンションメンバの湾曲部位が変形した状態の断面図である。
【0040】
また、図6(A)は、制動時におけるタイヤ58からの前後入力を説明するための説明図であり、図1に対応するサスペンションメンバを車両上方側から見た平面図である。図6(B)、図6(B)は(A)の湾曲部位104を拡大した拡大平面図である。
【0041】
図7(A)は、本発明が適用されていない(棚形状部が形成されてない)図3(C)に対応する要部の応力部分布であり、図7(B)は、本発明が適用された(棚形状部が形成されている)図3(B)に対応する要部の応力部分布である。なお、発生応力の高い箇所ほど濃度の濃いドットが付与されている。
【0042】
図6(A)に示すように、制動時におけるタイヤ58に発生する前後力F1による前後入力によって、サスペンションメンバ10におけるサスペンションアーム52の車両前方側部52の端部を支持する部位M2には、矢印F2で示すように車両幅方向外側方向(車両前方側部52の長手方向)に力がかかる(入力される)。
【0043】
また、サスペンションメンバ10におけるサスペンションアーム50の車両後方側部54の端部を支持する部位M3には、矢印F3で示すように車両幅方向内側斜め後方向(車両後側部54の長手方向)に力がかかる(入力される)。
【0044】
これにより、図6(B)に示すように、サスペンションメンバ10の湾曲部位104に平面視曲げ変形が発生することがある(タイヤ58からの前後入力によって湾曲部位104に平面視曲げ変形が発生することがある)。なお、判りやすくするため、湾曲部位104の変形量は実際よりも大きく図示している(誇張して図示している)
【0045】
しかし、本実施形態では、湾曲部位104に棚形状部122が形成されているので、湾曲部位104の平面視曲げ剛性が向上されている。よって、曲げ変形の変形量が低減し(図5(B)の実線と二点破線とを比較参照)、湾曲部位104の接合部130近傍の応力が低減する(図7(A)と図7(B)とを比較参照)。その結果、湾曲部位104の断面崩れ変形の変形量が低減されるので、接合部130の剥離変形が低減される(図5(C)の実線と二点破線とを比較参照)。
【0046】
なお、棚形状部122は接合部130の近傍に接合部130に沿って、接合部130に平行又は略平行に形成されている(図5(A)を参照)。よって、湾曲部位104の接合部130の剥離変形が効果的に低減される。(図7(A)と図7(B)とを比較参照)。
【0047】
つぎに、棚形状部122、222の形成方法について図8を用いて説明する。なお、代表して、棚形状部122の形成について説明する。
【0048】
なお、図8(A)は、棚形状部122が形成されていないサイドレールロア500のプレス成形を模式的に示すイメージ図である。図8(B)は、図8(A)のサイドレールロア500の側壁部502の拡大図である。図8(C)は、棚形状部122が形成されたサイドレールロア120を模式的に示すイメージ図の側壁部121の拡大図である(なお、実際の棚形状部122(図4参照)とは、判りやすくするため若干形状が異なっている)。また、図8(D)は、サイドレールロア500の側壁部502に、内側面が凹んで外側面に凸となる断面略矩形状のビード504を形成した図である。
【0049】
図8(A)、図8(B)に示すように、一般的にプレス成形の型Kの抜き勾配θ(プレス方向に対してθの角度を有している)が側壁部502に設けられている。また、湾曲部位は剛性の低い平面形状であるので、このような一般的なプレス成形で成形が可能である。なお、矢印Pはプレス方向を示している。
【0050】
そして、図8(C)に示すように、棚形状部122は、外側面が凹み内側面が凸となると共に、内側に棚状に張り出すように形成されている。また、棚形状部122は、棚部122Aと傾斜面部122Bと、で構成されている。なお、傾斜面部122Bはプレス方向に対して抜き勾配θを有している(プレス方向に対して角度を有している)。よって、プレス負荷が無いので、容易にプレス成形によってサイドレールロア120の側壁121に棚形状部122をすることができる。言い換えると、図8(A)と同様に、通常のプレス成形によって棚形状部122が形成されたサイドレールロア120を成形することがきる。
【0051】
なお、図8(D)に示すように、サイドレールロア500の側壁502に、内側面が凹んで外側面に凸となる断面略矩形状のビード504は、図8(A)と同様の通常のプレス成形では形成することはできない。つまり、特殊な成形方法及び特殊な設備で成形する必要があり、作りにくく又コスト高になる。
【0052】
いままで、説明したように、容易に形成することができる棚形状部122によって、サスペンションメンバ10の湾曲部位104の変形を効果的に抑制させることができる。
【0053】
なお、近年、市場ニーズであるタイヤの大型化、制動静止距離の短縮、及びエンジン出力(トルク)の大容量化により、発進時及び制動時に発生するタイヤの前後力(図6(A)のF1を参照)が増大している。これにより、サスペンションメンバへの入力も増大するため、サスペンションメンバの耐久強度が相対的に低下することになる。よって、入力増大傾向に対して、サスペンションメンバの耐久強度を維持させるために、特に負担の大きな湾曲部位を補強する必要が生じる。しかし、湾曲部位を補強すると重量が増加し、重量増加は二酸化炭素の排出量の増大につながる。また、環境面から二酸化炭素の排出量の大幅削減が求められている(二酸化炭素の排出量削減は自動車業界全体の課題となっている)。したがって、軽量で(重量増加を伴うことなく)高耐久強度を有するサスペションメンバが求められている。
【0054】
そして、本実施形態では、前述したように、棚形状部122を形成することによって、重量の増加を伴うことなく、言い換えると、二酸化炭素の排出量の増加を伴うことなく、湾曲部位104の接合部130近傍の剛性が向上する。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0056】
例えば、上記実施形態では、棚形状部122、222は、湾曲部104、204の接合部130、230の近傍に、接合部130、230に沿って、接合部130、230に平行又は略平行に形成したが、これに限定されない。平面視曲げ剛性が向上すれば、棚形状部を接合部130、230に対して斜めに形成してもよい。また、接合部130、230の剥離変形が向上すれば、棚形状部を接合部130、230から離して形成してもよい。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、棚形状部122、222は、湾曲部位104の車両後方側端部から車両前方側端部まで(Rの始まりから終わりまで)形成されているがこれに限定されない。棚形状部122、222は、湾曲部位104の車両後方側端部よりも後方側から車両前方側端部よりも前方側まで形成されていてもよい(Rの始まりから終わりまでを含んでいればよい)。或いは、棚形状部122、222は、上記実施形態よりも棚形状部を狭い範囲(湾曲部位104の車両後方側端部よりも前方側から車両前方側端部よりも後方側まで)に形成されていてもよい。なお、棚形状部を狭い範囲に形成すると、平面視曲げ変形の抑制効果は減るが、棚形状部を形成しない構成と比較し、変形量が低減する。
【0058】
また、例えば、上記実施形態では、サイドレールアッパ110とサイドレールロア120との接合部130の車両下側に棚形状部122が形成、すなわち、サイドレールロア120の側壁部121に棚形状部122が形成されていたがこれに限定されない。接合部130の車両上側に棚形状部122が形成、すなわちサイドレールアッパ110の側壁部に棚形状部を形成してもよい。さらに、接合部130の車両上側と下側の両方、すなわちサイドレールロア120とサイドレールアッパ110の側壁部の両方に棚形状部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るサスペンションメンバを車両上方側から見た平面図である。
【図2】(A)は本発明の実施形態に係るサスペンションメンバを車両下方側から見た底面図であり、(B)は(A)の四角で囲ったB部を拡大した拡大底面図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に係るサスペンションメンバを車両下側斜め前方から見た斜視図であり、(B)は(A)の四角で囲ったB部を拡大した拡大斜視図であり、(C)は本発明が適用されていないサスペンションメンバにおける(B)に対応する部位の拡大斜視図である。
【図4】図3(B)のA−A線に沿った断面図である。
【図5】(A)はサスペンションメンバの湾曲部位を示す側面図であり、(B)の右図は湾曲部位が変形した状態における(A)のB−B線に沿った断面図であり左図は右図の四角で囲った部分を拡大した図であり、(C)の右図は湾曲部位が変形した状態における(A)のC−C線に沿った断面図であり左図は右図の四角で囲った部分を拡大した図である。
【図6】(A)は、制動時におけるタイヤからの前後入力を説明するための説明図であり、図1に対応するサスペンションメンバを車両上方側から見た平面図であり、(B)は(A)の湾曲部位を拡大した拡大平面図である。
【図7】(A)は、本発明が適用されていない(棚形状部が形成されてない)図3(C)に対応する要部の応力分布図であり、(B)は、本発明が適用された(棚形状部が形成されている)図3(C)に対応する要部の応力部分布である。
【図8】(A)は、棚形状部が形成されていないサイドレールロアのプレス成形を模式的に示すイメージ図であり、図8(B)は(A)のサイドレールロアの側壁の拡大図であり、(C)は棚形状部が形成されたサイドレールロアの側壁の拡大図であり、(D)はサイドレールロアの側壁に内側面が凹んで外側面に凸となるビードを形成した図である。
【符号の説明】
【0060】
10 サスペンションメンバ
100 サイドレール
104 湾曲部位
106 側壁部
110 サイドレールアッパ
120 サイドレールロア
121 側壁部
122 棚形状部
130 接合部
200 サイドレール
204 湾曲部位
210 サイドレールアッパ
220 サイドレールロア
222 棚形状部
230 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドレールアッパとサイドレールロアとが車両上下方向に重ね合わされて接合された閉断面構造とされると共に車両後方側部が車両幅方向外側に向かって湾曲し、車両前後方向に沿って車両幅方向に間隔をあけて配置された一対のサイドレールと、
前記サイドレールの前記車両後方側部の湾曲部位の車両幅方向外側の側壁部における前記サイドレールアッパと前記サイドレールロアとの接合部に沿って形成され、外側面が凹んで内側に棚状に張り出した棚形状部と、
を備えることを特徴とするサスペションメンバ。
【請求項2】
前記棚形状部は、前記接合部の近傍に、前記接合部と平行又は略平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペションメンバ。
【請求項3】
前記サイドレールアッパ及び前記サイドレールロアの少なくとも一方に前記棚形状部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサスペションメンバ。
【請求項4】
前記サイドレールアッパ及び前記サイドレールロアは、プレス成形によって形成され、
プレス成形時に、前記サイドレールアッパ及び前記サイドレールロアの少なくとも一方の側壁部に前記棚形状部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載のサスペションメンバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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